JP2002228650A - 低炭素鋼あるいは低炭素合金鋼鋳片のデンドライト顕出方法 - Google Patents
低炭素鋼あるいは低炭素合金鋼鋳片のデンドライト顕出方法Info
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- JP2002228650A JP2002228650A JP2001020308A JP2001020308A JP2002228650A JP 2002228650 A JP2002228650 A JP 2002228650A JP 2001020308 A JP2001020308 A JP 2001020308A JP 2001020308 A JP2001020308 A JP 2001020308A JP 2002228650 A JP2002228650 A JP 2002228650A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 C:0.1〜0.35%という低炭素濃度が
低い鋼の鋳片において、試料採取後に加熱・熱処理する
ことを要せず、鋳片から採取したそのままの試料を研磨
・腐食するだけで、明瞭なデンドライトを顕出させ、凝
固組織を検査する方法を提供する 【解決手段】 図1の(本発明)に示すように、質量%
で、炭素濃度がC:0.1〜0.35%である低炭素鋼
あるいは低炭素合金鋼鋳片の凝固組織のデンドライトを
検査する方法において、鋳造後の鋳片温度がA3変態点
より冷える前の状態で、すなわち、γ−相でフェライト
粒界が析出する前の状態で、鋳片より試料を切り出し、
切り出した試料をCCT曲線においてフェライトが析出
する冷却速度以上で急冷し、冷却した試料を腐食液で腐
食する検査試料として用いる低炭素鋼あるいは低炭素合
金鋼鋳片のデンドライト顕出方法。
低い鋼の鋳片において、試料採取後に加熱・熱処理する
ことを要せず、鋳片から採取したそのままの試料を研磨
・腐食するだけで、明瞭なデンドライトを顕出させ、凝
固組織を検査する方法を提供する 【解決手段】 図1の(本発明)に示すように、質量%
で、炭素濃度がC:0.1〜0.35%である低炭素鋼
あるいは低炭素合金鋼鋳片の凝固組織のデンドライトを
検査する方法において、鋳造後の鋳片温度がA3変態点
より冷える前の状態で、すなわち、γ−相でフェライト
粒界が析出する前の状態で、鋳片より試料を切り出し、
切り出した試料をCCT曲線においてフェライトが析出
する冷却速度以上で急冷し、冷却した試料を腐食液で腐
食する検査試料として用いる低炭素鋼あるいは低炭素合
金鋼鋳片のデンドライト顕出方法。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、低炭素鋼鋳片ある
いは低炭素合金鋼鋳片のデンドライトを検査するための
デンドライト顕出方法に関するものである。
いは低炭素合金鋼鋳片のデンドライトを検査するための
デンドライト顕出方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】鋼の凝固組織、特にデンドライトを顕出
して検査することは、凝固状態を把握する必要のある研
究や鋳造鋳片の品質管理の上で極めて重要で不可欠であ
る。このデンドライトの顕出方法としては、a.郡司好
喜、岡本平:「鉄と鋼」、61(1975)P.886
において、ピクリン酸飽和水溶液1リットルにライポン
Fなどの洗剤2〜3滴を加えた腐食液を80℃に加熱
し、その中に鋳片より採取して鏡面研磨を行った試料を
1〜3分浸漬する方法が知られており、この方法は日本
鉄鋼協会編:「鉄鋼便覧I基礎」、S56年、丸善発
行、P.207にも記載されている。b.一方、炭素濃
度が50ppm以下の極低分素鋼鋳片のデンドライトの
顕出方法としては、特開平7−120457号公報に開
示の、炭素濃度が50ppm以下の極低炭素鋼鋳片の凝
固組織の顕出方法として、試料を700℃以上780℃
以下に加熱した後、冷却した試料を腐食液で腐食する方
法が示されている。c.発明者らは、図1の(先願)に
示すように、連続鋳造(CC)した低炭素鋼鋳片を一旦
冷却した鋳片(変態が完了してα粒界析出済み)から切
り出した試料(T.P.)を室温からA3変態点以上の
温度まで加熱・保持した後、600℃より低い温度まで
空冷し、次にA1変態点直下の温度まで加熱・保持して
炉内徐冷した試料を腐食液で腐食して、デンドライトを
顕出する方法を開発して先に出願している。
して検査することは、凝固状態を把握する必要のある研
究や鋳造鋳片の品質管理の上で極めて重要で不可欠であ
る。このデンドライトの顕出方法としては、a.郡司好
喜、岡本平:「鉄と鋼」、61(1975)P.886
において、ピクリン酸飽和水溶液1リットルにライポン
Fなどの洗剤2〜3滴を加えた腐食液を80℃に加熱
し、その中に鋳片より採取して鏡面研磨を行った試料を
1〜3分浸漬する方法が知られており、この方法は日本
鉄鋼協会編:「鉄鋼便覧I基礎」、S56年、丸善発
行、P.207にも記載されている。b.一方、炭素濃
度が50ppm以下の極低分素鋼鋳片のデンドライトの
顕出方法としては、特開平7−120457号公報に開
示の、炭素濃度が50ppm以下の極低炭素鋼鋳片の凝
固組織の顕出方法として、試料を700℃以上780℃
以下に加熱した後、冷却した試料を腐食液で腐食する方
法が示されている。c.発明者らは、図1の(先願)に
示すように、連続鋳造(CC)した低炭素鋼鋳片を一旦
冷却した鋳片(変態が完了してα粒界析出済み)から切
り出した試料(T.P.)を室温からA3変態点以上の
温度まで加熱・保持した後、600℃より低い温度まで
空冷し、次にA1変態点直下の温度まで加熱・保持して
炉内徐冷した試料を腐食液で腐食して、デンドライトを
顕出する方法を開発して先に出願している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、炭素濃度の
低い(C:0.1〜0.35%)鋼種では、鋳片から採
取したそのままの試料については研磨・腐食を行っただ
けでは、フェライト粒界が強く腐食されてしまうために
デンドライト樹間の偏析部の腐食が隠されてしまい、鮮
明なデンドライトを得ることができない。すなわち、上
記の従来法のa.では炭素濃度が比較的高い(0.35
%≦C)中・高炭素鋼あるいは中・高炭素合金鋼では、
鋳片から切り出して鏡面検査しただけの試料を腐食液で
腐食するだけでデンドライトを顕出することができる
が、炭素濃度がC:0.1〜0.35%までの低炭素鋼
あるいは低炭素合金鋼の場合には鋳片から切り出したま
まの試料でデンドライトを顕出することは困難である。
又、上記のb.の方法は炭素濃度が50ppmの方法
で、本願の発明が対象としているC:0.1〜0.35
%(=1000〜3500ppm)という低炭素濃度の
鋼種では、このb.の方法では明瞭なデンドライトを顕
出することはできない。これらは試料採取後に加熱して
熱処理をすることが必要であった。
低い(C:0.1〜0.35%)鋼種では、鋳片から採
取したそのままの試料については研磨・腐食を行っただ
けでは、フェライト粒界が強く腐食されてしまうために
デンドライト樹間の偏析部の腐食が隠されてしまい、鮮
明なデンドライトを得ることができない。すなわち、上
記の従来法のa.では炭素濃度が比較的高い(0.35
%≦C)中・高炭素鋼あるいは中・高炭素合金鋼では、
鋳片から切り出して鏡面検査しただけの試料を腐食液で
腐食するだけでデンドライトを顕出することができる
が、炭素濃度がC:0.1〜0.35%までの低炭素鋼
あるいは低炭素合金鋼の場合には鋳片から切り出したま
まの試料でデンドライトを顕出することは困難である。
又、上記のb.の方法は炭素濃度が50ppmの方法
で、本願の発明が対象としているC:0.1〜0.35
%(=1000〜3500ppm)という低炭素濃度の
鋼種では、このb.の方法では明瞭なデンドライトを顕
出することはできない。これらは試料採取後に加熱して
熱処理をすることが必要であった。
【0004】本発明は、C:0.1〜0.35%という
低炭素濃度が低い鋼において、上記のような試料採取後
に加熱して熱処理することを必要とせず、鋳片から採取
したそのままの試料を研磨・腐食するだけで、明瞭なデ
ンドライトを顕出させ、凝固組織を検査する方法を提供
することである。
低炭素濃度が低い鋼において、上記のような試料採取後
に加熱して熱処理することを必要とせず、鋳片から採取
したそのままの試料を研磨・腐食するだけで、明瞭なデ
ンドライトを顕出させ、凝固組織を検査する方法を提供
することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
めの本発明の手段は、請求項1の発明では、質量%で、
炭素濃度がC:0.1〜0.35%である低炭素鋼ある
いは低炭素合金鋼鋳片の凝固組織のデンドライトを検査
する方法において、鋳造後の鋳片温度がA3変態点より
冷える前の状態で、すなわち、γ−相でフェライト粒界
が析出する前の状態で、鋳片より試料を切り出し、切り
出した試料をCCT曲線においてフェライトが析出する
冷却速度以上の冷却速度で急冷し、冷却した試料を腐食
液で腐食する検査試料として用いることを特徴とする低
炭素鋼あるいは低炭素合金鋼鋳片のデンドライト顕出方
法である。
めの本発明の手段は、請求項1の発明では、質量%で、
炭素濃度がC:0.1〜0.35%である低炭素鋼ある
いは低炭素合金鋼鋳片の凝固組織のデンドライトを検査
する方法において、鋳造後の鋳片温度がA3変態点より
冷える前の状態で、すなわち、γ−相でフェライト粒界
が析出する前の状態で、鋳片より試料を切り出し、切り
出した試料をCCT曲線においてフェライトが析出する
冷却速度以上の冷却速度で急冷し、冷却した試料を腐食
液で腐食する検査試料として用いることを特徴とする低
炭素鋼あるいは低炭素合金鋼鋳片のデンドライト顕出方
法である。
【0006】
【発明の実施の形態】本発明は、質量%で、炭素濃度が
C:0.1〜0.35%である低炭素鋼あるいは低炭素
合金鋼の連続鋳造による鋳片温度がA3点より高温にあ
り組織がγ−相でフェライト粒界が析出する前である冷
却前の鋳片から試料を切り出し、切り出した試料をCC
T曲線においてフェライトが析出する冷却速度以上の速
度の冷却速度で急冷して焼入れし、組織がフェライト−
パーライトになる前にベイナイト−マルテンサイトとす
る。フェライトは、冷却速度が遅いと析出するので、こ
のようにすることで、粒界のフェライト析出を防ぐこと
ができる。
C:0.1〜0.35%である低炭素鋼あるいは低炭素
合金鋼の連続鋳造による鋳片温度がA3点より高温にあ
り組織がγ−相でフェライト粒界が析出する前である冷
却前の鋳片から試料を切り出し、切り出した試料をCC
T曲線においてフェライトが析出する冷却速度以上の速
度の冷却速度で急冷して焼入れし、組織がフェライト−
パーライトになる前にベイナイト−マルテンサイトとす
る。フェライトは、冷却速度が遅いと析出するので、こ
のようにすることで、粒界のフェライト析出を防ぐこと
ができる。
【0007】本発明の実施の形態を以下に記載する。図
1の(本発明)に示すように、C:0.15%のクロム
モリブデン鋼(JIS SCM415)を溶製して連続
鋳造(CC)し、この連続鋳造による鋳片温度がA3点
より低い温度に冷える前にガス切断して試料(T.
P.)を採取し、この試料をA3点より高い温度からそ
のまま水中に浸して急冷焼入れした。その後、冷却した
試料をさらに幅20mm×長さ40mm×厚み10mm
の試料に切り出し、切り出した試料を研磨・鏡面研磨仕
上げし、60℃に温めたピクリンサン水溶液などのデン
ドライト顕出用腐食液に3分間浸漬して腐食を行った。
その結果、この試片を観察するとデンドライトの顕出が
できた。
1の(本発明)に示すように、C:0.15%のクロム
モリブデン鋼(JIS SCM415)を溶製して連続
鋳造(CC)し、この連続鋳造による鋳片温度がA3点
より低い温度に冷える前にガス切断して試料(T.
P.)を採取し、この試料をA3点より高い温度からそ
のまま水中に浸して急冷焼入れした。その後、冷却した
試料をさらに幅20mm×長さ40mm×厚み10mm
の試料に切り出し、切り出した試料を研磨・鏡面研磨仕
上げし、60℃に温めたピクリンサン水溶液などのデン
ドライト顕出用腐食液に3分間浸漬して腐食を行った。
その結果、この試片を観察するとデンドライトの顕出が
できた。
【0008】
【実施例】本発明の実施例を表1を参照して説明する。
上記したように、C:0.15%のクロムモリブデン鋼
(JIS SCM415)を溶製して連続鋳造し、この
連続鋳造による鋳片温度がA3点より低い温度に冷える
前にガス切断して表1に示す各No.1〜No.5の試
料を採取した。一方、比較例として、上記と同様に連続
鋳造し、この連続鋳造による鋳片温度がA3点より低い
温度でガス切断して表1に示す各No.6〜No.10
の試料を比較例として採取した。そしてこれらの試料の
うち、No.1〜No.5の試料はα相が析出する前の
A3点以上の高い温度から各種の冷却速度で冷却した。
No.1はそのまま水中に浸して3℃/s以上の冷却速
度で急冷して焼入れした。No.2はシャワーをかけて
急冷した。No.3はスプレーミストで冷却した。N
o.4は強制空冷し、No.5は単に自然空冷の徐冷を
した。これらの試料を幅20mm×長さ40mm×厚み
10mmの試料に切り出し、切り出した試料を研磨・鏡
面研磨仕上げした。一方、60℃の温水500ccに対
してピクリン酸を7g溶かし、これにライポンFを5c
c加え、さらに界面活性剤としてドデシルベンゼンスル
ホン酸ナトリウムを2gを加えてデンドライト顕出用腐
食液を用意した。このデンドライト顕出用腐食液を60
℃に加熱し、このデンドライト顕出用腐食液に先に鏡面
研磨仕上げした試料を3分間浸漬して腐食を行った。こ
の結果、実施例のNo.1およびNo.2はデンドライ
トの顕出は良好であった。No.3はスプレーによるミ
ストの量の条件により、デンドライト顕出できるものと
できにくいものがあった。No.4およびNo.5は、
冷却速度が3℃/sより遅く、このためフェライトが析
出してきてフェライト粒界が強く腐食されてしまった結
果、デンドライト樹間の偏析部が隠されてしまい、デン
ドライトの顕出ができなかった。
上記したように、C:0.15%のクロムモリブデン鋼
(JIS SCM415)を溶製して連続鋳造し、この
連続鋳造による鋳片温度がA3点より低い温度に冷える
前にガス切断して表1に示す各No.1〜No.5の試
料を採取した。一方、比較例として、上記と同様に連続
鋳造し、この連続鋳造による鋳片温度がA3点より低い
温度でガス切断して表1に示す各No.6〜No.10
の試料を比較例として採取した。そしてこれらの試料の
うち、No.1〜No.5の試料はα相が析出する前の
A3点以上の高い温度から各種の冷却速度で冷却した。
No.1はそのまま水中に浸して3℃/s以上の冷却速
度で急冷して焼入れした。No.2はシャワーをかけて
急冷した。No.3はスプレーミストで冷却した。N
o.4は強制空冷し、No.5は単に自然空冷の徐冷を
した。これらの試料を幅20mm×長さ40mm×厚み
10mmの試料に切り出し、切り出した試料を研磨・鏡
面研磨仕上げした。一方、60℃の温水500ccに対
してピクリン酸を7g溶かし、これにライポンFを5c
c加え、さらに界面活性剤としてドデシルベンゼンスル
ホン酸ナトリウムを2gを加えてデンドライト顕出用腐
食液を用意した。このデンドライト顕出用腐食液を60
℃に加熱し、このデンドライト顕出用腐食液に先に鏡面
研磨仕上げした試料を3分間浸漬して腐食を行った。こ
の結果、実施例のNo.1およびNo.2はデンドライ
トの顕出は良好であった。No.3はスプレーによるミ
ストの量の条件により、デンドライト顕出できるものと
できにくいものがあった。No.4およびNo.5は、
冷却速度が3℃/sより遅く、このためフェライトが析
出してきてフェライト粒界が強く腐食されてしまった結
果、デンドライト樹間の偏析部が隠されてしまい、デン
ドライトの顕出ができなかった。
【0009】
【表1】
【0010】一方、連続鋳造して鋳片温度がA3点より
低い温度になった鋳片からガス切断により試料を採取
し、これらをその温度から表に示す冷却条件により急冷
ないし徐冷した。これらの冷却した試料から、上記と同
様に、さらに幅20mm×長さ40mm×厚み10mm
の試料に切り出し、切り出した試料を研磨・鏡面研磨仕
上げして、比較例のNo.6〜No.10の比較例の試
料とした。これらの比較例の試料を上記の60℃に加熱
したデンドライト顕出用腐食液に3分間浸漬して腐食し
た。この結果、比較例のNo.6〜No.10はいずれ
も表1に示すように×でデンドライトの顕出はできなか
った。これは、連続鋳造して鋳片温度がA 3点より低い
温度になった鋳片からガス切断により試料を採取したの
で、鋳片が冷却によりすでにフェライトの析出をしてお
り、その後たとえ水冷により急冷しても、このすでに析
出したフェライトが存在するので、そのフェライト粒界
が強く腐食されてしまった結果、デンドライト樹間の偏
析部が隠されてしまい、デンドライトの顕出ができなか
ったことによると考えられる。このため、一旦、鋳片温
度をA3点以上に加熱保持して、フェライトを消失して
熱処理する必要があった。
低い温度になった鋳片からガス切断により試料を採取
し、これらをその温度から表に示す冷却条件により急冷
ないし徐冷した。これらの冷却した試料から、上記と同
様に、さらに幅20mm×長さ40mm×厚み10mm
の試料に切り出し、切り出した試料を研磨・鏡面研磨仕
上げして、比較例のNo.6〜No.10の比較例の試
料とした。これらの比較例の試料を上記の60℃に加熱
したデンドライト顕出用腐食液に3分間浸漬して腐食し
た。この結果、比較例のNo.6〜No.10はいずれ
も表1に示すように×でデンドライトの顕出はできなか
った。これは、連続鋳造して鋳片温度がA 3点より低い
温度になった鋳片からガス切断により試料を採取したの
で、鋳片が冷却によりすでにフェライトの析出をしてお
り、その後たとえ水冷により急冷しても、このすでに析
出したフェライトが存在するので、そのフェライト粒界
が強く腐食されてしまった結果、デンドライト樹間の偏
析部が隠されてしまい、デンドライトの顕出ができなか
ったことによると考えられる。このため、一旦、鋳片温
度をA3点以上に加熱保持して、フェライトを消失して
熱処理する必要があった。
【0011】
【発明の効果】以上に説明したように、従来の炭素濃度
C:0.1〜0.35%の低炭素鋼鋳片におけるデンド
ライトの顕出方法では、試料の熱処理などの処理が必要
であった。これに対し、本発明の方法をとることによ
り、鋳片から採取したままの試料を研磨し、腐食するだ
けで、デンドライトの顕出が可能となったため、採取し
た試料の調査の過程における熱処理の手間を省くことが
可能となり、低炭素鋼鋳片の凝固組織(デンドライト)
の調査が迅速に行えるようになった。
C:0.1〜0.35%の低炭素鋼鋳片におけるデンド
ライトの顕出方法では、試料の熱処理などの処理が必要
であった。これに対し、本発明の方法をとることによ
り、鋳片から採取したままの試料を研磨し、腐食するだ
けで、デンドライトの顕出が可能となったため、採取し
た試料の調査の過程における熱処理の手間を省くことが
可能となり、低炭素鋼鋳片の凝固組織(デンドライト)
の調査が迅速に行えるようになった。
【図1】本発明の方法と先願の発明の方法の工程を示す
図である。
図である。
Claims (1)
- 【請求項1】 質量%で、炭素濃度がC:0.1〜0.
35%である低炭素鋼あるいは低炭素合金鋼鋳片の凝固
組織のデンドライトを検査する方法において、鋳造後の
鋳片温度がA3変態点より冷える前のγ−相でフェライ
ト粒界が析出する前の状態で、鋳片より試料を切り出
し、切り出した試料をCCT曲線においてフェライトが
析出する冷却速度以上の冷却速度で急冷し、冷却した試
料を腐食液で腐食する検査試料として用いることを特徴
とする低炭素鋼あるいは低炭素合金鋼鋳片のデンドライ
ト顕出方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2001020308A JP2002228650A (ja) | 2001-01-29 | 2001-01-29 | 低炭素鋼あるいは低炭素合金鋼鋳片のデンドライト顕出方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2001020308A JP2002228650A (ja) | 2001-01-29 | 2001-01-29 | 低炭素鋼あるいは低炭素合金鋼鋳片のデンドライト顕出方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2002228650A true JP2002228650A (ja) | 2002-08-14 |
Family
ID=18886033
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2001020308A Pending JP2002228650A (ja) | 2001-01-29 | 2001-01-29 | 低炭素鋼あるいは低炭素合金鋼鋳片のデンドライト顕出方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2002228650A (ja) |
Cited By (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2010138436A (ja) * | 2008-12-10 | 2010-06-24 | Nippon Steel Corp | 鋼の凝固組織検出方法 |
JP2011226993A (ja) * | 2010-04-22 | 2011-11-10 | Nippon Steel Corp | 鋼の凝固組織の検出方法 |
JP2011226992A (ja) * | 2010-04-22 | 2011-11-10 | Nippon Steel Corp | 鋼の凝固組織の検出方法 |
JP2011225957A (ja) * | 2010-04-22 | 2011-11-10 | Nippon Steel Corp | 鋼の凝固組織検出装置および凝固組織検出方法 |
KR101159927B1 (ko) | 2009-11-27 | 2012-06-25 | 현대제철 주식회사 | 연속주조 슬라브의 몰드내 초기 응고층 현출방법 |
CN116699097A (zh) * | 2023-07-28 | 2023-09-05 | 北京科技大学 | 一种汽车用高强钢凝固组织的无损检测方法 |
-
2001
- 2001-01-29 JP JP2001020308A patent/JP2002228650A/ja active Pending
Cited By (7)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2010138436A (ja) * | 2008-12-10 | 2010-06-24 | Nippon Steel Corp | 鋼の凝固組織検出方法 |
KR101159927B1 (ko) | 2009-11-27 | 2012-06-25 | 현대제철 주식회사 | 연속주조 슬라브의 몰드내 초기 응고층 현출방법 |
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CN116699097A (zh) * | 2023-07-28 | 2023-09-05 | 北京科技大学 | 一种汽车用高强钢凝固组织的无损检测方法 |
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