JP2002226697A - 難燃性ポリカーボネート樹脂組成物及びその成形品 - Google Patents
難燃性ポリカーボネート樹脂組成物及びその成形品Info
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Abstract
つ埃が付着することのない帯電防止性能の持続性に優れ
た成形品を得ることのできる難燃性ポリカーボネート樹
脂組成物と、その成形品を提供する。 【解決手段】(A)ポリカーボネート樹脂37〜97.
95質量%、(B)無機質充填剤2〜60質量%および
(C)酸塩基含有芳香族ビニル系樹脂0.05〜3質量
%からなる難燃性ポリカーボネート樹脂組成物と、その
樹脂組成物を成形してなる電気・電子部品。
Description
ネート樹脂組成物とその成形品に関する。さらに詳しく
は、剛性と寸法精度に優れ、かつ帯電防止性能の持続性
に優れた難燃性ポリカーボネート樹脂組成物と、その成
形品に関する。
耐熱性、電気的特性、透明性などに優れていることか
ら、オフィスオートメーション機器や、情報・通信機
器、家庭電化機器などの電気・電子機器分野、自動車分
野、建築分野など様々な分野において幅広く利用されて
いる。ポリカーボネート樹脂は、このように優れた特性
を有しているが、さらに機械的強度や寸法安定性を向上
させるため、ガラス繊維などの無機質充填剤を配合した
強化ポリカーボネート樹脂組成物として用いられてい
る。このように機械的強度や寸法安定性を向上させた強
化ポリカーボネート樹脂組成物を電気・電子機器などの
素材として使用する場合、安全性のさらなる向上のため
に、難燃性の程度をより高めることが要請されている。
る方法として、ハロゲン化ビスフェノールAやハロゲン
化ポリカーボネートオリゴマーなどのハロゲン系難燃剤
が難燃剤効率が高いことから、酸化アンチモンなどの難
燃助剤とともに用いられてきた。しかしながら、近年、
安全性や廃棄物の焼却時に環境への影響が大きいことか
ら、ハロゲンを含まない難燃剤による難燃化方法が要請
されている。そこで、非ハロゲン系難燃剤として、有機
リン系難燃剤、特に有機リン酸エステル化合物を配合す
ると、難燃性に優れると同時に可塑剤としての作用もあ
ることから、この有機リン酸エステル化合物を用いた難
燃性ポリカーボネート樹脂組成物が提案されている。
を用いてポリカーボネート樹脂を難燃化するためには、
有機リン酸エステル化合物を比較的多量に配合する必要
がある。また、ポリカーボネート樹脂は、成形温度が高
くかつ溶融粘度も高いため、成形品の薄肉化、大型化に
対応するためには、ますます成形温度を高くして流動性
を上げることが必要になる。したがって、この有機リン
酸エステル化合物は、難燃性に寄与するが、ポリカーボ
ネート樹脂の成形加工時に、金型に付着したり、ガスの
発生を招くなど、成形環境や成形品の外観上必ずしも十
分でない場合がある。また、この有機リン酸エステル化
合物を用いた難燃性ポリカーボネート樹脂組成物の成形
品は、高温履歴や高温高湿履歴に伴って衝撃強度の低下
を招いたり、変色するという問題がある。
開昭50−98546号公報では、少量の重合体状芳香
族スルホン酸の金属塩、例えば、ポリスチレンスルホン
酸ナトリウム塩を配合することによりポリカーボネート
樹脂を難燃化することを提案している。しかしながら、
ポリスチレンを通常の手法でスルホン化し、さらに水酸
化ナトリウムで中和して得られるポリスチレンスルホン
酸ナトリウム塩を用いてポリカーボネート樹脂の難燃化
をはかると、難燃性に優れたものが得られるが、ポリス
チレンスルホン酸ナトリウム塩の分散性が劣ることに起
因して成形品の外観不良を招くという難点がある。
樹脂組成物においては、ポリカーボネート樹脂の特性を
維持した難燃性成形材料の開発が要請されており、この
ような要請に応えるため、例えば、特開平8−1764
25号公報では、ポリカーボネート樹脂に、有機アルカ
リ金属塩または有機アルカリ土類金属塩およびオルガノ
ポリシロキサンを配合した樹脂組成物を提案している。
この樹脂組成物は、難燃性と機械的強度に優れている
が、これを成形してなる成形品には、その表面に埃が付
着しやすいという難点がある。
においては、ポリスチレンスルホン酸金属塩と各種の熱
可塑性樹脂を配合してなる難燃性樹脂組成物を提案して
いるが、熱可塑性樹脂としてポリスチレンやポリフェニ
レンエーテルを主体とする樹脂組成物については、難燃
性に優れた樹脂組成物が示されているが、ポリカーボネ
ート樹脂が本来的に有している特性を維持したポリカー
ボネート樹脂を主体とする難燃性樹脂組成物については
示されていない。
ト樹脂組成物が有する優れた機械的強度や寸法安定性を
維持し、かつ埃が付着することのない帯電防止性能の持
続性に優れた成形品を得ることのできる難燃性ポリカー
ボネート樹脂組成物の開発が要請されている。
と寸法安定性に優れると共に、埃が付着することのない
帯電防止性能の持続性に優れた成形品を得ることのでき
る難燃性ポリカーボネート樹脂組成物と、その成形品を
提供することを目的とするものである。
題解決のために種々検討した結果、(A)ポリカーボネ
ート樹脂と、(B)無機質充填剤および(C)酸塩基含
有芳香族ビニル系樹脂を特定の組成割合で配合してなる
難燃性ポリカーボネート樹脂組成物によれば、上記目的
を達成することができることを見出し、これら知見に基
づいて本発明を完成するに至った。
ある。 〔1〕(A)成分としてポリカーボネート樹脂37〜9
7.95質量%、(B)成分として無機質充填剤2〜6
0質量%および(C)成分として酸塩基含有芳香族ビニ
ル系樹脂0.05〜3質量%からなる、難燃性ポリカー
ボネート樹脂組成物。 〔2〕(B)成分の無機質充填剤が、ガラス繊維、ガラ
スフレーク、ガラスビーズ、タルク、マイカおよび炭素
繊維の群から選択される少なくとも1種の充填剤であ
る、前記〔1〕に記載の難燃性ポリカーボネート樹脂組
成物。 〔3〕(C)成分の酸塩基含有芳香族ビニル系樹脂が、
ポリスチレンスルホン酸金属塩である、前記〔1〕また
は〔2〕に記載の難燃性ポリカーボネート樹脂組成物。 〔4〕(A)成分と(B)成分および(C)成分の合計
100質量部に対して、(D)成分としてドリップ抑制
剤0.02〜5質量部を配合してなる、前記〔1〕〜
〔3〕のいずれかに記載の難燃性ポリカーボネート樹脂
組成物。 〔5〕(D)成分のドリップ抑制剤がフッ素系樹脂であ
る、前記〔4〕に記載の難燃性ポリカーボネート樹脂組
成物。 〔6〕(A)成分と(B)成分および(C)成分の合計
100質量部に対して、(E)成分として官能基含有シ
リコーン化合物0.1〜10質量部を配合してなる、前
記〔1〕〜〔5〕のいずれかに記載の難燃性ポリカーボ
ネート樹脂組成物。 〔7〕(A)成分と(B)成分および(C)成分の合計
100質量部に対して、(F)成分としてコア・シェル
タイプのグラフトゴム状弾性体0.5〜10質量部を配
合してなる、前記〔1〕〜〔6〕のいずれかに記載の難
燃性ポリカーボネート樹脂組成物。 〔8〕(A)成分と(B)成分および(C)成分の合計
100質量部に対して、(G)成分として難燃剤0.1
〜30質量部を配合してなる、前記〔1〕〜〔7〕のい
ずれかに記載の難燃性ポリカーボネート樹脂組成物。
リカーボネート樹脂組成物を成形してなる成形品。 〔10〕成形品が、電気・電子機器部品である前記
樹脂組成物は、(A)成分のポリカーボネート樹脂37
〜97.95質量%、(B)成分の無機質充填剤2〜6
0質量%および(C)成分の酸塩基含有芳香族ビニル系
樹脂0.05〜3質量%からなる難燃性ポリカーボネー
ト樹脂組成物である。また、本発明の難燃性ポリカーボ
ネート樹脂組成物は、これら基本的な(A)、(B)、
(C)各成分に、必要に応じて、さらに(D)成分とし
てドリップ抑制剤、(E)成分として官能基含有シリコ
ーン化合物、(F)成分としてコア・シェルタイプのグ
ラフトゴム状弾性体、または(G)成分として難燃剤
を、それぞれ特定の割合で添加してなる難燃性ポリカー
ボネート樹脂組成物である。
樹脂組成物を構成する(A)成分のポリカーボネート樹
脂、(B)成分の無機質充填剤、(C)成分の酸塩基含
有芳香族ビニル系樹脂、(D)成分のドリップ抑制剤、
(E)成分の官能基含有シリコーン化合物、(F)成分
のコア・シェルタイプのグラフトゴム状弾性体および
(G)成分の難燃剤について、以下に詳細に説明する。
て用いる(A)成分のポリカーボネート樹脂としては、
特に制約はなく、種々の構造単位を有するポリカーボネ
ート樹脂が挙げられる。通常、二価フェノールとカーボ
ネート前駆体との反応により製造される芳香族ポリカー
ボネートを用いることができる。すなわち、二価フェノ
ールとカーボネート前駆体とを溶液法あるいは溶融法に
より反応させて製造したポリカーボネート樹脂が好適に
用いられる。
4,4’−ジヒドロキシビフェニル、ビス(4−ヒドロ
キシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ
フェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェ
ニル)プロパン、2,2−ビス(3−メチル−4−ヒド
ロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジ
メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−
ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、ビス
(4−ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(4−ヒド
ロキシフェニル)スルフィド、ビス(4−ヒドロキシフ
ェニル)スルホン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ス
ルホキシド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ケトン、
ハイドロキノン、レゾルシン、カテコールなどが挙げら
れる。これら2価フエノールの中でも、ビス(ヒドロキ
シフェニル)アルカン類が好ましく、さらに2,2−ビ
ス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンを主原料とした
ものが特に好ましい。
ボニルハライドやカルボニルエステル、ハロホルメート
などが挙げられる。具体的には、ホスゲン、二価フェノ
ールのジハロホルメート、ジフェニルカーボネート、ジ
メチルカーボネート、ジエチルカーボネートなどが挙げ
られる。また、このポリカーボネート樹脂は、その重合
体鎖の分子構造が直鎖構造であるもののほか、分岐構造
を有していてもよい。このような分岐構造を導入するた
めの分岐剤としては、1,1,1−トリス(4−ヒドロ
キシフェニル)エタン、α,α’,α”−トリス(4−
ヒドロキシフェニル)−1,3,5−トリイソプロピル
ベンゼン、フロログルシン、トリメリット酸、イサチン
ビス(o−クレゾール)などを用いることができる。ま
た、分子量調節剤として、フェノールやp−t−ブチル
フェノール、p−t−オクチルフェノール、p−クミル
フェノールなどを用いることができる。
樹脂としては、上記の二価フェノールの単独重合体のほ
か、ポリカーボネート構造単位中にポリオルガノシロキ
サン構造単位を含有する共重合体、あるいはこれら単独
重合体と共重合体からなる樹脂組成物であってもよい。
また、テレフタル酸などの二官能性カルボン酸やそのエ
ステル形成誘導体などのエステル前駆体の存在下にポリ
カーボネートの重合反応を行うことによって得られるポ
リエステル−ポリカーボネート樹脂であってもよい。さ
らに、種々の構造単位を有するポリカーボネート樹脂を
溶融混練して得られる樹脂組成物を用いることもでき
る。なお、本発明における(A)成分のポリカーボネー
ト樹脂としては、その構造単位中に実質的にハロゲン原
子が含まれないものが好適に用いられる。
カーボネート樹脂は、その粘度平均分子量が10,00
0〜100,000であるものが好ましい。それは、こ
の粘度平均分子量が10,000未満であると、得られ
る樹脂組成物の熱的性質や機械的性質が充分でなく、ま
たこの粘度平均分子量が100,000を超えるもので
は、得られる樹脂組成物の成形加工性が低下するからで
ある。このポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量は、
より好ましくは11,000〜40,000であり、さ
らに好ましくは12,000〜30,000である。
て用いる(B)成分の無機質充填剤としては、例えば、
ガラス繊維、ガラスフレーク、ガラスビーズ、ガラスバ
ルーン、タルク、クレー、マイカ、パールマイカ、シリ
カ、アルミナ、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、ケイ
酸カルシウム、酸化チタン、酸化亜鉛、硫化亜鉛、石英
粉、アスベスト、黒鉛、カーボンブラック、炭素繊維、
チタン酸カリウムウィスカー、ホウ酸アルミニウムウイ
スカー、ボロン繊維、テトラポット状酸化亜鉛ウィスカ
ー、ロックウールなどの鉱物繊維、ステンレス鋼繊維な
どの金属繊維、アルミニウム箔などの金属箔が挙げられ
る。これら無機質充填剤の中でも、特にガラス繊維、ガ
ラスフレーク、ガラスビーズ、タルク、マイカ、炭素繊
維が好適なものとして挙げられる。そして、これら無機
質充填剤は、予め表面処理してあるものが樹脂成分との
親和性がよいことから好ましいが、無処理でも差し支え
はない。表面処理剤としては、例えば、シラン系カップ
リング剤や、高級脂肪酸系、脂肪酸金属塩系、不飽和有
機酸系、有機チタネート系、樹脂酸系、ポリエチレング
リコール系などの処理剤を用いることができる。
適したガラス繊維としては、素材として含アルカリガラ
スや低アルカリガラス、無アルカリガラスを用いて製造
したものが好ましく、その繊維の形態は、ロービング、
ミルドファイバー、チョップドストランドなどいずれの
形態であってもよい。また、このガラス繊維の直径は、
1〜20μmであるものが好ましく、その長さは1〜6
mmであるものを用いるのが好ましい。このガラス繊維
の長さについては、樹脂成分との混練に際して、混練機
に供給したガラス繊維が破断するため、樹脂組成物ペレ
ット中においてはその繊維長が0.01〜2mm、好ま
しくは0.05〜1mmとなるように充填するのがよ
い。
向上させるために、表面処理剤により処理した後、さら
に収束剤を用いて収束処理をしたものを、上記(A)成
分や(C)成分の樹脂成分に配合して、溶融混練するの
が望ましい。このガラス繊維の表面処理剤としては、例
えば、アミノシラン系、エポキシシラン系、ビニルシラ
ン系、アクリルシラン系などのシラン系カップリング剤
や、チタネート系、アルミニウム系、クロム系、ジルコ
ニウム系、ホウ素系などのカップリング剤が挙げられ
る。これらの中では、シラン系カップリング剤およびチ
タネート系カップリング剤が特に好適に用いられる。表
面処理方法は、一般的な水溶液法や有機溶媒法、スプレ
ー法などによればよい。そして、この表面処理後の収束
処理に用いる収束剤としては、ウレタン系、アクリル
系、アクリロニトリル−スチレン系共重合体系、エポキ
シ系などの収束剤が挙げられる。これら収束剤によるガ
ラス繊維の収束処理方法については、浸漬塗り、ローラ
塗り、吹き付け塗り、流し塗り、スプレー塗りなどの公
知の方法によることができる。
した炭素繊維としては、セルロース繊維や、アクリル繊
維、リグニン、石油ピッチまたは石炭ピッチを原料とし
て焼成されたものが好適に用いられる。この炭素繊維に
おいても、焼成条件によって、耐炎質、炭素質、黒鉛質
などのタイプがあるが、いずれのタイプのものであって
もよい。また、炭素繊維の形態は、ロービング、ミルド
ファイバー、チョッピングストランドのいずれのもので
あってもよい。そして、繊維径は5〜15μmであるも
のが好ましく、繊維長は樹脂成分との混練組成物ペレッ
ト中における長さが0.01〜10mmの範囲にあるも
のが好ましい。さらに、この炭素繊維は、予め、エポキ
シ樹脂やウレタン樹脂によって表面処理してあるもの
が、樹脂成分との親和性に優れることから好ましい。
て用いる(C)成分の酸塩基含有芳香族ビニル系樹脂
は、芳香族ビニル系樹脂の重合体鎖における芳香環の水
素原子の一部を酸塩基で置換した構造を有する芳香族ビ
ニル系樹脂が好適に用いられる。この芳香族ビニル系樹
脂としては、ポリスチレン、ゴム変性ポリスチレン、ス
チレン−アクリロニトリル共重合体、アクリロニトリル
−ブタジエン−スチレン共重合樹脂などの重合体鎖中に
少なくともスチレンに由来する構造単位を有する芳香族
ビニル系樹脂を用いることができる。これらの中でも、
特にポリスチレン樹脂が好ましい。
芳香環の水素原子に置換される酸塩基としては、例え
ば、スルホン酸塩基、ホウ酸塩基、リン酸塩基などのア
ルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩な
どが挙げられる。また、これら酸塩基の置換比率につい
ては、特に制約はなく、例えば、10〜100%の範囲
内で適宜選択することができる。
脂として好適な酸塩基含有ポリスチレン樹脂について
は、下記一般式(1)
素原子または炭素数1〜10の炭化水素基を示す。ま
た、mは1〜5の整数を示し、nは酸塩基で置換された
スチレンに由来する構造単位のモル分率を表し、0<n
≦1である。〕で表される酸塩基含有ポリスチレン樹脂
が好適に用いられる。この一般式(1)において、Xが
表わす酸塩基としては、スルホン酸塩基、ホウ酸塩基、
リン酸塩基が好ましく、これら酸のナトリウムやカリウ
ムなどのアルカリ金属塩、マグネシウムやカルシウムな
どのアルカリ土類金属塩、アルミニウム塩、亜鉛塩、錫
塩、アンモニウム塩などが好適なものとして挙げられ
る。また、一般式(1)におけるYとしては、水素原子
が好ましいが、炭化水素基としてはメチル基が特に好ま
しい。
族ビニル系樹脂の製造方法については、単量体としてス
ルホン基などを有する芳香族ビニル系単量体またはこれ
らと共重合可能な他の単量体とを重合または共重合した
後、塩基性物質で中和する方法によることができる。ま
た、芳香族ビニル系重合体または芳香族ビニル系共重合
体、あるいはそれらの混合物をスルホン化し、塩基性物
質で中和する方法によることもできる。この芳香族ビニ
ル系重合体をスルホン化した後に中和する方法による場
合には、例えば、ポリスチレン樹脂の1,2−ジクロロ
エタン溶液に無水硫酸を加えて反応させることによりポ
リスチレンスルホン酸を製造し、ついで、これを水酸化
ナトリウムまたは水酸化カリウムなどの塩基性物質で中
和し、精製することにより酸塩基含有芳香族ビニル系樹
脂を得ることができる。
族ビニル系樹脂としては、酸塩基含有芳香族ビニル系樹
脂中に含有される無機金属塩を5質量%未満、好ましく
は3質量%未満に減少させたものがより好適に用いられ
る。それは、この芳香族ビニル系樹脂、例えばポリスチ
レンをスルホン化した後に水酸化ナトリウムにより中和
したのみでは、副生した硫酸ナトリウムが、ポリスチレ
ンスルホン酸ナトリウム中に残存し、その硫酸ナトリウ
ムの含有率が5質量%を超えると、これを用いて得られ
る難燃性ポリカーボネート樹脂組成物の機械的性質や熱
的性質、電気的性質が低下したり、成形品の外観不良を
招くようになるからである。このポリスチレンスルホン
酸ナトリウムの精製は、溶媒を用いて再結晶する方法
や、副生した硫酸ナトリウムを濾別する方法、あるいは
イオン交換剤、キレート剤、吸着剤による処理などによ
り行うことができる。
ビニル系樹脂としては、その重量平均分子量が1,00
0〜300,000であるものが好適に用いられる。そ
れは、この酸塩基含有芳香族ビニル系樹脂の重量平均分
子量が1,000未満であると、これを配合成分として
用いた樹脂組成物の物理的性質の低下を招き、また、こ
の酸塩基含有芳香族ビニル系樹脂の重量平均分子量が3
00,000を超えると、これを配合成分として用いた
樹脂組成物の流動性が悪くなって生産性の低下を招くよ
うになるからである。
て用いる(D)成分のドリップ抑制剤としては、フッ素
樹脂、シリコーン系樹脂、フェノール系樹脂が好適に用
いられる。そして、このフッ素樹脂としては、フルオロ
オレフィン系樹脂が好ましく、重合体鎖がフルオロエチ
レン構造単位により構成された重合体や共重合体がより
好ましい。このようなフルオロオレフィン系樹脂として
は、例えば、ジフルオロエチレン樹脂、テトラフルオロ
エチレン樹脂、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオ
ロプロピレン共重合樹脂、テトラフルオロエチレンとフ
ッ素原子を含まないエチレン系モノマーとの共重合樹脂
が挙げられる。これらフッ素樹脂の中でも、ポリテトラ
フルオロエチレン系樹脂が特に好適に用いられる。ま
た、これらフッ素樹脂は、1種単独で(D)成分として
用いてもよいし、2種以上のものを組合せて(D)成分
に用いてもよい。また、これらフッ素樹脂は、その平均
分子量が500,000以上であるもの、さらに50
0,000〜10,000,000であるものが好まし
い。
ン系樹脂の中でも、フィブリル形成能を有するものを用
いると、より高い溶融滴下抑制効果が得られる。このよ
うなフィブリル形成能を有するポリテトラフルオロエチ
レン系樹脂としては、例えば、ASTM規格においてタ
イプ3に分類されているものが挙げられる。そして、こ
のポリテトラフルオロエチレン系樹脂は、例えば、テト
ラフルオロエチレンを水性溶媒中、ナトリウム、カリウ
ム、アンモニウムパーオキシジスルフィドの存在下に、
0.01〜1MPaの圧力下、温度0〜200℃、好ま
しくは20〜100℃で重合させることによって得られ
たものが好適に用いられる。
テトラフルオロエチレン系樹脂としては、市販品とし
て、ASTM規格のタイプ3に分類されているもので
は、テフロン6−J(三井・デュポンフロロケミカル社
製)、ポリフロンD−1、ポリフロンF−103、ポリ
フロンF201(ダイキン工業社製)、CD076(旭
硝子フロロポリマーズ社製)などがある。また、AST
M規格のタイプ3に分類されるもの以外では、アルゴフ
ロンF5(モンテフルオス社製)、ポリフロンMPA、
ポリフロンFA−100(ダイキン工業社製)などがあ
る。
ルガノシロキサン樹脂が好適であり、具体的には、ポリ
ジメチルシロキサン樹脂、ポリメチルフェニルシロキサ
ン樹脂、ポリジフェニルシロキサン樹脂、ポリメチルエ
チルシロキサン樹脂、さらにこれらの混合物が挙げられ
る。これらシリコーン系樹脂は、その数平均分子量が2
00以上、好ましくは500〜5,000,000であ
り、その形態についてはオイル状、ワニス状、ガム状、
粉末状、ペレット状のいずれでもよい。
ノール、クレゾール、キシレノール、アルキルフェノー
ルなどのフェノール類と、ホルムアルデヒド、アセトア
ルデヒドなどのアルデヒド類とを、触媒の存在下に反応
させて得られるものが好適に用いられる。そして、この
フェノール系樹脂は、レゾール型であっても、ノボラッ
ク型であってもよい。
いる(E)成分としては、官能基含有シリコーン化合物
が用いられる。この官能基含有シリコーン化合物は、
(R1 )a (R2 )b SiO(4-a-b)/2 〔式中、R1 は
官能基を示し、R 2 は炭素数1〜12の炭化水素基を示
す。また、a,bは、それぞれ0<a≦3、0≦b<
3、0<a+b≦3を満足する整数である。〕で表され
る構造単位からなる重合体または共重合体である。そし
て、このR1 が表わす官能基としては、アルコキシ基、
アリールオキシ基、ポリオキシアルキレン基、水素基、
水酸基、カルボキシル基、シラノール基、アミノ基、メ
ルカプト基、エポキシ基、ビニル基などが挙げられる
が、これらの中ではアルコキシ基、水素基、水酸基、エ
ポキシ基、ビニル基が好ましく、メトキシ基、ビニル基
がより好ましい。また、R 2 が表わす炭化水素基として
は、メチル基、エチル基、フェニル基などが挙げられ
る。
の中でも、本発明における(E)成分として用いるのに
特に有用性の高いのは、上記式におけるR2 が表わす炭
化水素基としてフェニル基を含む構造単位からなる官能
基含有シリコーン化合物である。また、上記式において
R1 が表わす官能基としては、1種の官能基を含有して
いるものでも、異種の複数の官能基を含有しているもの
であってもよく、それらの混合物であってもよい。そし
て、上記式における官能基(R1 )/炭化水素基
(R2 )の値が、0.1〜3、好ましくは0.3〜2で
あるものが好適に用いられる。さらに、この官能基を含
有するシリコーン化合物は、液状であっても、粉末状で
あってもよい。液状のものでは、その室温における粘度
が10〜500,000cst程度であるものが好まし
い。
状弾性体 本発明の難燃性ポリカーボネート樹脂組成物の原料に用
いる(F)成分としては、コア・シェルタイプのグラフ
トゴム状弾性体が好適に用いられる。コア・シェルタイ
プのグラフトゴム状弾性体は、コア(芯)と、シェル
(殻)から構成される2層構造を有している。そして、
このコア部分は軟質なゴム状態であって、その表面のシ
ェル部分は硬質な樹脂状態であり、ゴム状弾性体自体は
粉末状(粒子状態)であるグラフトゴム状弾性体が好適
に用いられる。このコア・シェルタイプのグラフトゴム
状弾性体は、ポリカーボネート樹脂と溶融ブレンドした
後も、その粒子状態は、大部分が元の形態を保ってい
る。したがって、このグラフトゴム状弾性体は、ポリカ
ーボネート樹脂中に均一に分散して、表層剥離を起こす
ことが少ない。
トゴム状弾性体は、例えば、ブタジエン、アルキルアク
リレート、アルキルメタクリレート、ジメチルシロキサ
ンを主体とする単量体から得られる1種または2種以上
のゴム状重合体やエチレン−プロピレン−ジエン共重合
ゴムの存在下に、スチレンなどのビニル系単量体の1種
または2種以上を重合させて得られるものが好適に用い
られる。これらアルキルアクリレートやアルキルメタク
リレートとしては、炭素数2〜10のアルキル基を有す
るもの、例えば、エチルアクリレート、ブチルアクリレ
ート、2−エチルヘキシルアクリレート、n−オクチル
メタクリレートなどを用いて得られたものが好ましい。
これらアルキルアクリレートを主体とする単量体を用い
て得られるエラストマーとしては、アルキルアクリレー
ト70重量%以上と、これと共重合可能なビニル系単量
体、例えば、メチルメタクリレート、アクリロニトリ
ル、酢酸ビニル、スチレンなどを30重量%以下の割合
で反応させて得られる共重合体が好適に用いられる。さ
らに、ジビニルベンゼンや、エチレンジメタクリレー
ト、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレ
ートなどの多官能性化合物により架橋化させたものであ
ってもよい。
ン、α−メチルスチレンなどの芳香族ビニル化合物や、
アクリル酸メチル、アクリル酸エチルなどのアクリル酸
エステル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチルな
どのメタクリル酸エステルなどを重合あるいは共重合さ
せて得られるものを用いてもよい。さらに、これら単量
体と共に他のビニル系単量体、例えば、アクリロニトリ
ルや、メタクリロニトリルなどのシアン化ビニル化合
物、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどのビニルエス
テル化合物などを共重合させて得られたものであっても
よい。そして、これら重合体や共重合体は、塊状重合法
や懸濁重合法、乳化重合法などの各種方法によって得ら
れたものが用いられるが、それらの中でも、乳化重合法
によって得られたものが特に好適に用いられる。
トゴム状弾性体として、n−ブチルアクリレート60〜
80質量%に、スチレンとメタクリル酸メチルを20〜
40質量%の割合でグラフト共重合させたMAS樹脂弾
性体が用いられる。また、ポリシロキサンゴム成分5〜
95質量%とポリ(メタ)アクリレートゴム成分5〜9
5質量%とが分離できないように相互に絡み合った構造
を有する平均粒子径0.01〜1μm程度の複合ゴム
に、少なくとも1種のビニル系単量体をグラフト共重合
させて得られる複合ゴム系グラフト共重合体を用いるこ
ともできる。これら種々の形態を有するコア・シェルタ
イプのグラフトゴム状弾性体は、市販品としては、ハイ
ブレンB621(日本ゼオン社製)、KM−357P
(呉羽化学工業社製)、メタブレンW529、メタブレ
ンS2001、メタブレンC223(三菱レイヨン社
製)などがある。
いる(G)成分としては、例えば、有機リン系化合物、
シリコーン系化合物、含窒素化合物、金属水酸化物、ハ
ロゲン系化合物、赤リン、酸化アンチモン、膨張性黒鉛
などの公知の難燃剤を単独で、あるいは複数のものを適
宜組合わせて用いることができる。ここで、含窒素化合
物としては、メラミンや、アルキル基または芳香族基を
置換基として有するメラミン化合物が挙げられ、金属水
酸化物としては、水酸化マグネシウムや水酸化アルミニ
ウムなどが好ましいものとして挙げられる。
ラブロモビスフェノールAや、ハロゲン化ポリカーボネ
ート、デカブロモジフェニルエーテル、テトラブロモビ
スフェノールエポキシオリゴマー、ハロゲン化ポリスチ
レン、ハロゲン化ポリオレフィンなどが難燃化効率に優
れたものではあるが、これらは、樹脂組成物の成形時に
金型の腐食のおそれがあり、また自然環境に悪影響を及
ぼすおそれが大きいことから、ハロゲン非含有難燃剤の
使用が好ましい。
率に優れたものとして、有機リン系化合物が挙げられ、
その中でもリン酸エステル系難燃剤が好適なものとして
挙げられる。このリン酸エステル系難燃剤としては、リ
ン原子に直接結合するエステル性酸素原子を1つ以上有
するリン酸エステル化合物が好適に用いられる。このよ
うなリン酸エステル化合物は、例えば、下記一般式
(2)
4 は、それぞれ独立に水素原子または有機基を表し、X
は2価以上の有機基を表す。また、pは0または1を表
し、qは1以上の整数を表し、rは0以上の整数を表
す。〕で示されるリン酸エステル化合物やその混合物が
好適に用いられる。ここで、一般式(2)においてR1
〜R4 が表わす有機基としては、それぞれ置換基を有し
ていてもよいアルキル基、シクロアルキル基、アリール
基などが挙げられる。また、置換基を有する場合、その
置換基は、アルキル基やアルコキシ基、アリール基、ア
リールオキシ基、アリールチオ基などが好ましい。さら
に、これら置換基を組合わせた基であるアリールアルコ
キシアルキル基などであってもよいし、これら置換基を
酸素原子、窒素原子、イオウ原子などにより結合したア
リールスルホニルアリール基などであってもよい。ま
た、一般式(2)においてXが表わす2価以上の有機基
としては、上記の有機基から炭素原子に結合している水
素原子を1個以上除いた2価以上の基を意味する。例え
ば、それぞれ置換基を有していてもよいアルキレン基や
フェニレン基、あるいは多核フェノール類であるビスフ
ェノール類から誘導される基であってもよい。
樹脂組成物における各成分の組成割合については、
(A)成分のポリカーボネート樹脂は、その組成割合を
37〜97.95質量%とする。この(A)成分の組成
割合は、37質量%未満であると、得られる樹脂組成物
におけるポリカーボネート樹脂が本来的に有する優れた
物理的性質を維持することが困難になり、またこの組成
割合が97.95質量%を超えるものでは、得られる樹
脂組成物の剛性や寸法安定性などが充分でなくなるから
である。この(A)成分のより好ましい組成割合は、4
8〜94.9質量%である。
組成割合を2〜60質量%とする。それは、この熱可塑
性樹脂の組成割合が2質量%未満であると、この(B)
成分を配合することにより得られる樹脂組成物の剛性や
寸法安定性の向上効果の発現が充分でなく、また、この
組成割合が60質量%を超えると、得られる樹脂組成物
の成形性の低下を招くようになるからである。この
(B)成分のより好ましい組成割合は、5〜50質量%
である。
ニル系樹脂は、その組成割合を0.05〜3質量%とす
る。それは、この酸塩基含有芳香族ビニル系樹脂の組成
割合が0.05質量%未満であると、この(C)成分を
配合することにより得られる樹脂組成物の難燃性や帯電
防止性能の持続性についての向上効果の発現が充分でな
く、また、この組成割合が3質量%を超えると、得られ
る樹脂組成物の衝撃強度などの物理的特性の低下を招く
ようになるからである。この(C)成分のより好ましい
配合割合は、0.1〜2質量%であり、さらに好ましい
配合割合は、0.5〜2質量%である。
物は、上記の(A)〜(C)の各成分からなる基本的な
構成の組成物において、実用上充分に高い難燃性と帯電
防止性能の持続性が得られるのであるが、さらに高い難
燃性の要請される使途においては、これら基本的な構成
成分の合計100質量部に対して、(D)成分のドリッ
プ抑制剤を0.02〜5質量部配合してなる難燃性ポリ
カーボネート樹脂組成物が好適に用いられる。この
(D)成分の配合割合が0.02質量部未満では、その
配合効果の発現が充分でなく、また、5質量部を超えて
配合量を増やしてもそれに見合うだけの効果は得られな
いからである。この(D)成分のより好ましい配合割合
は、0.1〜1質量部である。
成物のさらなる難燃性の向上のために、上記の基本的な
構成成分の合計100質量部に対して、(E)成分の官
能基含有シリコーン化合物を0.1〜10質量部配合し
てなる難燃性ポリカーボネート樹脂組成物が好適に用い
られる。この(E)成分の配合割合が0.1質量部未満
では、その配合効果の発現が充分でなく、また、10質
量部を超えて配合量を増やしてもそれに見合う効果は得
られず、かえって得られる樹脂組成物の機械的強度の低
下を招くことになるからである。この(E)成分のより
好ましい配合割合は、0.1〜5質量部である。
組成物として、さらに高い耐衝撃性と難燃性が要請され
る使途においては、上記の基本的な構成成分の合計10
0質量部に対して、(F)成分のコア・シェルタイプの
グラフトゴム状弾性体を0.5〜10質量部配合してな
る難燃性ポリカーボネート樹脂組成物が好適に用いられ
る。この(E)成分の配合割合が0.5質量部未満で
は、その配合効果の発現が充分でなく、また、10質量
部を超えて配合量を増やしてもそれに見合うだけの効果
は得られないからである。この(F)成分のより好まし
い配合割合は、0.5〜5質量部である。
成物のさらなる難燃性の向上のために、上記の基本的な
構成成分の合計100質量部に対して、(G)成分の難
燃剤を0.1〜30質量部配合してなる難燃性ポリカー
ボネート樹脂組成物が好適に用いられる。この(G)成
分の配合割合が0.1質量部未満では、その配合効果の
発現が充分でなく、また、30質量部を超えて配合量を
増やしてもそれに見合う効果は得られないからである。
樹脂組成物を製造する方法については、上記(A)〜
(C)の各成分を上記の配合割合で、さらに必要に応じ
て(D)〜(G)成分を適宜配合し、混合および溶融混
練すればよい。ここでの各成分の配合や混練は、通常用
いられている機器、例えば、リボンブレンダーやドラム
タンブラーなどで予備混合し、ついで、バンバリーミキ
サーや単軸スクリュー押出機、二軸スクリュー押出機、
多軸スクリュー押出機、コニーダなどにより、溶融混練
する方法によることができる。溶融混練時温度は、通常
240〜300℃の範囲で適宜選択すればよい。この溶
融混練物の成形は、押出成形機、特にベント式の押出成
形機によりストランド状に押出した後、冷却し切断して
ペレット化する方法によるのが好ましい。
リカーボネート樹脂組成物のペレットを用いて射出成形
法や、射出圧縮成形法、押出成形法、ブロー成形法、プ
レス成形法などにより各種成形品を製造することができ
る。このようにして得られる本発明の成形品は、剛性と
寸法安定性および難燃性に優れ、かつその表面に埃が付
着することのない帯電防止性能の持続性に優れることか
ら、このような特性を有することの要請されている電子
・電気機器、例えば、複写機、ファクシミリ、テレビジ
ョン、ラジオ、テープレコーダー、ビデオデッキ、パソ
コン、プリンター、電話機、情報端末機、冷蔵庫、電子
レンジなどのハウジングや内部部品のほか、自動車部品
などの広汎な分野で使用することができる。
合〔ただし、表中の(A)〜(C)各成分は質量%を示
し、(D)〜(G)の各成分は(A)〜(C)成分の合
計100質量部に対する各成分の質量部を示す。〕にお
いて配合し、ベント式二軸押出成形機(東芝機械社製:
TEM35)に供給し、280℃で溶融混練した。そし
て、この混練物をストランド状に押出した後、冷却して
切断することにより、難燃性ポリカーボネート樹脂組成
物のペレットを得た。つぎに、得られたペレットを、1
20℃で12時間乾燥した後、成形温度270℃、金型
温度80℃において射出成形し、各種試験片とした。こ
こで、原料の(A)〜(G)各成分としては、下記のも
のを用いた。
プロパンに由来する構造単位を有し、直鎖状構造であっ
て、粘度平均分子量が19,500であるポリカーボネ
ート樹脂。 (A−2) ジメチルシロキサンに由来する構造単位が
30のブロックを4質量%の割合で含有し、他は2,2
−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンに由来する
構造単位からなり、直鎖状構造であって、粘度平均分子
量が15,000であるポリカーボネート樹脂。
繊維〔旭ファイバーグラス社製:MA409C〕。 (B−2) 平均長径1400μmのガラスフレーク
〔日本板硝子社製:REFG101〕。 (B−3) 平均粒径3μmのタルク〔富士タルク社
製:TP−A25〕。 (B−4) 繊維径6μm、繊維長13mmの炭素繊維
〔東邦レーヨン社製:HTAC−6SRS〕。
つスルホン化率が100%であるポリスチレンスルホン
酸ナトリウム。 (C−2) 重量平均分子量が20,000であり、か
つスルホン化率が40%であるポリスチレンスルホン酸
カリウム。
社製:CD076〕。(E)官能基含有シリコーン化合
物 (E−1) 官能基としてビニル基とメトキシ基を含有
するメチルフェニルシリコーン〔信越化学工業社製:K
R219〕。 (E−2) 官能基としてメトキシ基を含有するメチル
フェニルシリコーン〔東レダウコーニング社製:DC3
037〕。
状弾性体 (F−1) メタクリル酸メチル−ブチルアクリレート
−スチレン共重合樹脂〔呉羽化学工業社製:KM357
P〕。 (G)難燃剤 (G−1) レゾルシノールビス(ジフェニルホスフェ
ート)〔旭電化工業社製:アデカスタブPFR〕。 (G−2) テトラブロモビスフェノールAオリゴマー
〔帝人化成社製:FG7500〕。
の評価 上記〔1〕で得られた難燃性ポリカーボネート樹脂組成
物の試験片を用いて、下記の各項目について性能の評価
をした。これら結果を第1表に示す。 (1)アイゾット衝撃強度 ASTM D256に準拠し、試験片として肉厚3.1
8mmのものを用い、23℃において測定した。 (2)曲げ弾性率 JIS K 7203に準拠して測定した。ここで、試
験機としては、オリエンテック社製;HTM−250を
用い、曲げ速度2.0mm/分、スパン60mmの条件
において測定した。 (3)成形収縮率 射出成形機により、成形温度300℃、金型温度80℃
において、一辺の長さが150mmで厚さ3mmの平板
状の試験片を成形し、この試験片を温度23℃、湿度5
0%RHの雰囲気中で48時間保持した後、この試験片
の成形時の樹脂の流れ方向(MD)についての収縮率
(%)を測定した。
い、これに印加電圧9kvにおいて1分間帯電させ、帯
電圧に対して、放電中断後の電位が半分になる時間
(秒)を測定した。 (5)水洗い後の帯電圧半減期 上記(4)で用いた試験片を、23℃の水により1分間
水洗した後、付着した水を拭きとって、これに印加電圧
9kvにおいて1分間帯電させ、帯電圧に対して、放電
中断後の電位が半分になる時間(秒)を測定した。 (6)難燃性 試験片として、厚さ1.5mmのものを用い、アンダー
ライターズラボラトリー・サブジェクト94に従って、
垂直燃焼試験を行った。
示は、実施例の場合と同様である。〕に示す割合におい
て配合し、ベント式二軸押出成形機(東芝機械社製:T
EM35)に供給し、280℃で溶融混練した。つい
で、混練物をストランド状に押出し、冷却して切断する
ことにより、難燃性ポリカーボネート樹脂組成物のペレ
ットを得た。つぎに、得られたペレットを、120℃で
12時間乾燥した後、成形温度270℃、金型温度80
℃において射出成形し、試験片および成形品とした。こ
こで、原料の各成分としては、下記のものを用いた。
ネート樹脂。 (B)無機質充填剤 実施例1〜10における(B−1)、(B−2)と同一
の無機質充填剤。 (C)酸塩基含有芳香族ビニル系樹脂 実施例1〜10における(C−1)、(C−2)と同一
の酸塩基含有芳香族ビニル系樹脂、および下記の金属
塩。 (C−3) ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム
〔竹本油脂社製:エレカットS412−2〕。 (C−4) ポリアミドエラストマー〔アトフィナジャ
パン社製:PEBAX−MH1657〕。
フルオロエチレン樹脂。 (E)官能基含有シリコーン化合物 実施例1〜10における(E−2)と同一のシリコーン
化合物、および下記のシリコーン化合物。 (E−3) ジメチルシリコーン〔東レダウコーニング
社製:SH200〕。 (F)コア・シェルタイプのグラフトゴム状弾性体 実施例1〜10における(F−1)と同一のメタクリル
酸メチル−ブチルアクリレート−スチレン共重合樹脂。
の評価 上記〔1〕で得られた難燃性ポリカーボネート樹脂組成
物の試験片を用いて、上記実施例1〜10における各項
目について性能の評価をした。これら結果を第2表に示
す。
び難燃性に優れ、かつ埃が付着することのない帯電防止
性能の持続性に優れた成形品を得ることのできる難燃性
ポリカーボネート樹脂組成物と、その成形品を提供する
ことができる。
Claims (10)
- 【請求項1】 (A)成分としてポリカーボネート樹脂
37〜97.95質量%、(B)成分として無機質充填
剤2〜60質量%および(C)成分として酸塩基含有芳
香族ビニル系樹脂0.05〜3質量%からなる難燃性ポ
リカーボネート樹脂組成物。 - 【請求項2】 (B)成分の無機質充填剤が、ガラス繊
維、ガラスフレーク、ガラスビーズ、タルク、マイカお
よび炭素繊維の群から選択される少なくとも1種の充填
剤である請求項1に記載の難燃性ポリカーボネート樹脂
組成物。 - 【請求項3】 (C)成分の酸塩基含有芳香族ビニル系
樹脂が、ポリスチレンスルホン酸金属塩である請求項1
または2に記載の難燃性ポリカーボネート樹脂組成物。 - 【請求項4】 (A)成分と(B)成分および(C)成
分の合計100質量部に対して、(D)成分としてドリ
ップ抑制剤0.02〜5質量部を配合してなる、請求項
1〜3のいずれかに記載の難燃性ポリカーボネート樹脂
組成物。 - 【請求項5】 (D)成分のドリップ抑制剤が、フッ素
系樹脂である請求項4に記載の難燃性ポリカーボネート
樹脂組成物。 - 【請求項6】 (A)成分と(B)成分および(C)成
分の合計100質量部に対して、(E)成分として官能
基含有シリコーン化合物0.1〜10質量部を配合して
なる、請求項1〜5のいずれかに記載の難燃性ポリカー
ボネート樹脂組成物。 - 【請求項7】 (A)成分と(B)成分および(C)成
分の合計100質量部に対して、(F)成分としてコア
・シェルタイプのグラフトゴム状弾性体0.5〜10質
量部を配合してなる、請求項1〜6のいずれかに記載の
難燃性ポリカーボネート樹脂組成物。 - 【請求項8】 (A)成分と(B)成分および(C)成
分の合計100質量部に対して、(G)成分として難燃
剤0.1〜30質量部を配合してなる、請求項1〜7の
いずれかに記載の難燃性ポリカーボネート樹脂組成物。 - 【請求項9】 請求項1〜8のいずれかに記載の難燃性
ポリカーボネート樹脂組成物を成形してなる成形品。 - 【請求項10】成形品が、電気・電子機器部品である請
求項9に記載の成形品。
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