JP2002226293A - シリコン単結晶の成長方法 - Google Patents

シリコン単結晶の成長方法

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JP2002226293A
JP2002226293A JP2000374147A JP2000374147A JP2002226293A JP 2002226293 A JP2002226293 A JP 2002226293A JP 2000374147 A JP2000374147 A JP 2000374147A JP 2000374147 A JP2000374147 A JP 2000374147A JP 2002226293 A JP2002226293 A JP 2002226293A
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慎 小島
Yasuhiro Ishii
康裕 石井
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MEMC Japan Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 熱履歴における変動をより低く制御すること
により、熱履歴の変動により惹き起こされる酸化膜耐圧
の低下を防止すると共に、FPDとLPDとのバランス
が取れたシリコン単結晶を成長させる方法、および同方
法により得られる特定の水準以上の酸化膜耐圧を有する
と共に、FPDとLPDとのバランスが取れたシリコン
単結晶の提供。 【解決手段】 結晶育成過程において、サイド・ヒータ
ーに供給する電力を上げ始める時点に達したときに、ボ
トム・ヒーターへの電力の供給を開始してサイド・ヒー
ターの温度を上げて行き、原料のポリシリコンを融液状
態に保持すると共に、その時点以降にサイド・ヒーター
に供給する電力は、エンド・コーンの引き上げ操作が終
了するまで少なくとも所望の水準に保持するか、好まし
くは、徐々に低下させることにより、熱履歴における変
動幅をより低く制御して、熱履歴の変動により惹き起こ
される酸化膜耐圧の低下を防止すると共に、FPDとL
PDとのバランスが取れたシリコン単結晶を製造するこ
とで達成。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】 本発明は、チョクラルスキ
ー法によるシリコン単結晶の成長方法において、ボトム
・ヒーターを直胴部から印加することにより、熱履歴の
制御をより確実とすることが可能なシリコン単結晶の成
長方法、および同方法により得られるシリコン単結晶に
関する。特に、いわゆる徐冷工程において、LPD(li
ght point defects)と酸化膜耐圧のバランスを維持す
ることが可能なシリコン単結晶の成長方法、および同方
法により得られるシリコン単結晶に関する。
【0002】
【従来の技術】 通常、デバイスを製作するために使用
されるシリコン・ウェーハはFZ法やCZ法により引き
上げられる。CZ法の場合、従来の結晶育成方法では引
き上げ途中に結晶が受ける熱履歴が変化してしまうこと
がよく知られている。この理由のひとつには、引き上げ
を進めている間にメルトが減少して行くが、融液の温度
を一定に保つためサイド・ヒーター・パワーを上げて行
く必要があった。従って、サイド・ヒーター・パワーが
上がることにより引き上げられた結晶が熱せられやすく
なり、品質が変化してしまう。特に、徐冷品のように熱
履歴により品質が大きく変化してしまう工程では色々な
パラメーターを変化させてコントロールしようとしてい
るが管理が煩雑で、それでもなお均一にすることが非常
に難しい。
【0003】 このことをより具体的述べると以下のよ
うなことが言える。即ち、種部を融液に浸漬して絞り
部、コーン部、直胴部およびエンド・コーン部を有する
従来のCZ(チョクラルスキー)法によるシリコン単結
晶の引き上げにおいては、結晶直胴部が引き上げられる
につれ融液の量が減少する。融液の量が減少するに伴
い、サイド・ヒーター熱の融液加熱への利用効率が減少
し、直胴部始めの部分の引き上げ操作に比較して、後半
部分の引き上げ操作中は、サイド・ヒーターに供給する
電力を上げる必要がある。特にエンド・コーン部分の引
き上げ操作中は、さらにこの傾向は顕著になり、サイド
・ヒーターに供給する電力を急激に上げる必要がある。
【0004】 従って、従来のサイド・ヒーター・パワ
ー・プロファイルは直胴部始めから直胴部の長さの約3
0〜40%までの引き上げ操作中は、ほぼ横一線で、そ
の後徐々に上昇しエンド・コーンに入ると急激に上がる
ようになる。この様な状態のサイド・ヒーターから放射
される熱を受けると、結晶が受ける熱履歴は直胴部の始
めとエンド・コーンの寸前では大きく違うことになる。
言い換えると、直胴部始めは比較的冷たく、エンド・コ
ーンの手前は熱くなる。特に、最近のデバイスの高集積
化に伴い注目を浴びている徐冷品を製造する際に採用さ
れる、1050℃〜1100℃の冷却速度が1.00℃
/min以下、好ましくは0.50℃/min以下の熱
履歴が与えられるような構造を有するホットゾーンで
は、従来工程のように引き上げ操作の終盤でサイド・ヒ
ーターに供給する電力を上昇させるようなプロファイル
では、LPDや酸化膜耐圧に影響を与えてしまうため、
製品の収率が悪くなるという問題が発生する。
【0005】 一方、結晶引き上げ操作中の熱履歴制御
方法としては、特開平7−157391号公報等に記載
のように、凝固界面からの高温域での徐冷操作におい
て、特定高温領域での冷却の温度勾配を特定以上の速度
にする方法等が提案されているが、未だに、引き上げ操
作に際して、融液を溶融状態に保つための加熱操作に注
目した発明はない。本発明者らは、この点に注目し、直
胴部始めからエンド・コーンまでの引き上げ操作中の融
液量の減少に伴い問題化するサイド・ヒーターからの熱
ロスをサイド・ヒーターとボトム・ヒーターを併用する
ことにより補い、より高熱化したサイド・ヒーターから
の放熱によるシリコン単結晶に対する熱履歴を制御する
ことを、2000年6月19日出願に係る米国特許出願
第09/596,493号において既に提案している。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】 しかし、上記の方法
では、より高集積度の微細デバイスに使用可能なシリコ
ン単結晶を得るには必ずしも充分ではないことがその後
の研究で明らかとなった。この様な現象の原因を追求し
て行く過程において、結晶長が長くなると、結晶の徐冷
速度がより一層遅くなること、特に、逆円錐形のエンド
・コーンが加熱されることにより、直胴終端部徐冷速度
がより一層遅くなる傾向がでること等の影響を抑えるた
めには、サイド・ヒーターへの供給する電力を少なくと
も所望とする水準に保持するか、好ましくは、供給する
電力を低下させる方がより効果的なことを見出した。即
ち、本発明は、熱履歴を結晶頭部から終端部までほぼ一
定に制御することにより、熱履歴の変動により惹き起こ
される酸化膜耐圧の低下を防止すると共に、FPD(fl
ow pattern defects)とLPDとのバランスが取れたシ
リコン単結晶を成長させる方法、および同方法により得
られる特定の水準以上の酸化膜耐圧を有すると共に、F
PDとLPDとのバランスが取れたシリコン単結晶を提
供することをその目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】 本発明者等は、上記の
課題を解決するために種々検討の結果、結晶育成過程に
おいて、従来方法においてサイド・ヒーターに供給する
電力を上げ始める時点に達したときに、ボトム・ヒータ
ーへの電力の供給を開始してボトム・ヒーターの温度を
上げて行き、原料のポリシリコンを融液状態に保持する
と共に、その時点以降にサイド・ヒーターに供給する電
力は、エンド・コーンの引き上げ操作が終了するまで少
なくとも所望の水準に保持するか、あるいは、徐々に低
下させることにより、熱履歴における変動幅をより低く
制御し、このことにより、熱履歴の変動により惹き起こ
される酸化膜耐圧の低下を防止すると共に、FPDとL
PDとのバランスが取れたシリコン単結晶を製造しうる
ことを見出して本発明を完成させたものである。
【0008】 換言すれば、サイド・ヒーターに供給す
る電力を、引き上げた結晶が直胴部の長さの中程に達し
た時点での水準に保持するか、或いは、その水準から徐
々に下げるようにすることで引き上げられたシリコン単
結晶への熱履歴による影響を最小限に止めると共に、融
液の温度を一定に保つために必要な熱量をボトム・ヒー
ターを加熱して補い融液状態を保持することにより上記
の目的を達成できることを見出して、本発明を完成させ
たものである。
【0009】 即ち、本発明によれば、第1に、種部を
融液に浸漬して絞り部、コーン部、直胴部及びエンド・
コーン部を有するCZ(チョクラルスキー)法によるシ
リコン単結晶引き上げに際して、結晶引き上げ速度と結
晶固化点から1325℃までの軸方向の冷却速度を制御
することにより、直胴部の空孔濃度を制御できる構成を
有する引き上げ機を使用し、シリコン単結晶の直胴部お
よびエンド・コーン部の育成時において、サイド・ヒー
ターとボトム・ヒーターを併用し、その際、サイド・ヒ
ーターに供給するパワーを少なくとも所望の水準に保持
するか、好ましくは徐々に低下させると共に、ボトム・
ヒーターに供給する電力を融液の減少に対応した坩堝の
位置の上昇に合わせて増加させることによりポリシリコ
ンよりなる原料を融液状態に引き上げ操作終了時まで保
持することを特徴とするシリコン単結晶の成長方法が提
供される。
【0010】 更にまた、本発明によれば、結晶直胴部
の少なくとも75%の部分におけるFPDが100個/
cm2以下、好ましくは85%の部分におけるFPDが
100個/cm2以下である上記のシリコン単結晶の成
長方法により成長させたことを特徴とするシリコン単結
晶が提供される。なお、本発明に係るシリコン単結晶
は、好ましくは、結晶直胴部における直径0.20μm
以上のLPDが20個/ウェーハまたはそれ以下、更に
好ましくは15個/ウェーハまたはそれ以下であり、更
にまた、結晶直胴部における9MV/cm以上の酸化膜
耐圧が少なくとも70%、好ましくは、少なくとも80
%の確率で得られる優れた特性を有するシリコン単結晶
である。
【0011】
【発明の実施の形態】 上述のように本発明は、基本的
には、種部を融液に浸漬して絞り部、コーン部、直胴部
およびエンド・コーン部を有するCZ(チョクラルスキ
ー)法によるシリコン単結晶引き上げに際して、結晶引
き上げ速度と結晶固化点から1325℃までの軸方向の
冷却速度を制御することにより、直胴部の空孔濃度を制
御できる構成を有する引き上げ機を使用するものであ
る。この種の引き上げ機は、CZ(チョクラルスキー)
法によるシリコン単結晶引き上げに際して汎用されるも
のであり、通常は、結晶の性質を空孔型となるように、
熱遮蔽板が配置されている。なお、結晶引き上げ速度と
結晶固化点から1325℃までの軸方向の冷却速度を制
御する理由は、この間の冷却速度を制御することによ
り、結晶の性質を容易に制御できるからである。
【0012】 形成されたシリコン単結晶がホットゾー
ンと称される1050℃〜1100℃の温度領域を通過
するに際して、その実質的な通過時間を15〜50分、
好ましくは25〜40分の間に制御することにより、結
晶直胴部の少なくとも75%の部分におけるFPDが1
00個/cm2以下、好ましくは85%の部分における
FPDが100個/cm2以下で、また、結晶直胴部に
おける直径0.20μm以上のLPDが20個/ウェー
ハまたはそれ以下、更に好ましくは15個/ウェーハま
たはそれ以下で、更にまた、結晶直胴部における9MV
/cm以上の酸化膜耐圧が少なくとも70%、好ましく
は、少なくとも80%の確率で得られるといった優れた
バランスの取れた特性を有するシリコン単結晶を成長さ
せることができる。
【0013】 ボトム・ヒーターへの電力供給を、結晶
直胴部の20%〜60%、好ましくは30〜40%を引
き上げた時点で開始するのは、通常、原料のポリシリコ
ンを融液状態に保持するためには、結晶直胴部の約30
%を超えた時点から、従来方法によるサイド・ヒーター
の昇温プロファイルにおいては、サイド・ヒーターへの
電力の供給量を上げることとなっているので、シリコン
単結晶の熱履歴における変動を最小限に抑えるには、ボ
トム・ヒーターの昇温における時差も考慮する必要があ
るからである。ボトム・ヒーターへの電力供給の開始時
期の最も早い時点として、結晶直胴部の20%の時点を
採用するのは、この時点で開始して、予め予熱しておい
てもよいからである。また、開始の終点を60%の時点
としたのは、この時点で、ボトム・ヒーターから熱を供
給しないと、原料を融液状態に保つことが困難になる場
合があるからである。なお、作業性等を考慮すると、3
0〜40%を引き上げた時点で開始することが好まし
い。
【0014】 ボトム・ヒーターへ供給する電力は、原
料のポリシリコンを融液状態の保持するに充分な電力で
あればよいが、融液の減少に対応した坩堝の位置の上昇
に合わせて増加させる必要がある。供給する電力は、原
料の残存量、シリコン単結晶の直径、坩堝の大きさ、引
き上げ速度、種結晶回転数、坩堝回転数などを考慮して
選定すればよく、通常は、エンド・コーン部の引き上げ
操作が終了するまでの間、0.01kw/min〜0.
50kw/min程度の割合で上昇させれば充分であ
る。
【0015】 なお、この際、サイド・ヒーターからの
放熱による影響を極力抑えるために、サイド・ヒーター
は、融液の状態を維持し且つ結晶育成するに充分な温度
であればよく、そのためには、結晶直胴部の20%を超
えた時点で供給されている電力と同一の水準に保持する
か、好ましくは、徐々に低下させる。この際に供給され
る電力は、原料の仕込量、シリコン単結晶の直径、坩堝
の大きさ、引き上げ速度、種結晶回転数、坩堝回転数な
どを考慮して選定すればよく、通常は、130kw以
下、好ましくは、本発明に係るプロセスにおいてチャー
ジ量が140kgの場合で、全工程終了時点での供給す
る電力が、最大で115kw程度、より好ましくは、1
10kw程度となるように、所望とする電力を供給する
か、好ましくは徐々に低下させればよい。特に、上記の
ように、サイド・ヒーターに供給する電力を徐々に低下
させることにより、直胴部終端部における温度による影
響を実質的に零に止めることができるからである。な
お、本明細書においては、供給する電力を徐々に低下さ
せるとは、0.002kw/min〜0.0050kw
/min程度の割合で供給電力を次第に下げることをい
う。例えば、直径が200mmの単結晶を引き上げるに
際しては、結晶直胴部からエンド・コーン部の引き上げ
操作が終了するまでの間、サイド・ヒーターには、徐々
に減少させながら、例えば、115kwまたはそれ以下
の電力を供給すると共に、ボトム・ヒーターには、0.
01kw/min〜0.50kw/min程度の割合で
上昇させながら、0kwから45kwの間の電力を、融
液の減少に対応した坩堝の位置の上昇に合わせて供給す
ればよい。
【0016】 なお、上述の様にサイド・ヒーターとボ
トム・ヒーターとへの供給する電力を制御しつつ、結晶
直胴部での1050℃〜1100℃の温度域における冷
却速度を1℃/min以下、好ましくは0.5℃/mi
n以下になる温度域を有するように制御することによ
り、一定の水準以上の酸化膜耐圧を保持しつつ、FPD
とLPDとの間のバランスが取れたシリコン単結晶が得
られる。
【0017】
【実施例】 以下、実施例および比較例を挙げて本発明
を更に説明するが、勿論、本発明はこれらの実施例によ
り何らの制限を受けるものではないことはいうまでもな
い。
【0018】 (実施例および比較例)以下の例におい
て得られたシリコン単結晶について、LPD(light po
int defects)、FPD(flow pattern defects)、お
よび酸化膜耐圧を以下の方法により測定した。 LPDの測定 レーザーにてウェーハ全体をスキャンし輝点をカウント
する。即ち、輝点の強度を測定し、大きさと場所を特定
することにより測定する。 GOIの測定 ウェーハにフォトリソグラフィー工程を施し、MOS構
造をつくる。ひとつの電極に針を接触させ電圧を徐々に
上げて行き、酸化膜が破壊した電界値を記録する。次い
で、次の電極に移り同様の測定をする。すべての測定点
の測定が終了後、9MV/cm以上で破壊した割合を計
算して、GOIを求める。 FPDの測定 ウェーハをセコエッチング液に30分間浸ける。その
後、乾燥させ、顕微鏡下で、ウェーハ表面に形成された
流れるようなパターンの数を数え、その数を使用して上
記パターンの面積比を算出する。
【0019】 実施例および比較例においては、サイド
・ヒーターとボトム・ヒーターとへの電力の供給量を除
き以下の条件でシリコン単結晶の成長をさせた。なお、
実施例および比較例におけるサイド・ヒーターとボトム
・ヒーターとへの電力の供給量のプロファイルについて
は、引き上げた結晶の各部位の引き上げ時間との関係に
おいて、図1に示した。 坩堝へのチャージ量 :140kg 単結晶の直径 :200mm 1050℃から1100℃での冷却速度:0.50℃/
min以下 引き上げ速度 :<1.00mm/min なお、実施例においては、以下の条件でサイド・ヒータ
ーとボトム・ヒーターとへの電力を供給した。 サイド・ヒーターへの供給量 引き上げ開始時 :115kw 結晶直胴部400mmの時点:115kw エンド・コーン頭部 :110kw エンド・コーン尾部 :110kw ボトム・ヒーターへの供給量 引き上げ開始時 :0kw 結晶直胴部400mmの時点:0kw エンド・コーン頭部 :5kw エンド・コーン尾部 :15kw
【0020】 比較例においては、以下の条件でサイド
・ヒーターのみに電力を供給した。 引き上げ開始時 :115kw 結晶直胴部400mmの時点:116kw エンド・コーン頭部 :122kw エンド・コーン尾部 :132kw
【0021】 得られたシリコン単結晶について、酸化
膜耐圧、FPD、およびLPDを測定した。酸化膜耐圧
についての測定結果は、図2に、FPDについての測定
結果は、図3に、およびLPDについての測定結果は、
図4に、それぞれ示した。酸化膜耐圧についての測定結
果からは、本発明に係る方法と従来の方法との間には、
ほとんど差は見られず、9MV/cmで切った時のC−
モードの収率は、全ての位置で70%以上を達成してい
ることが判る。本発明に係るプロセスによれば、図3に
示したように、結晶のトップを除き、何れの箇所におい
ても、FPDは100以下に納まっている。
【0022】 従来の引き上げ法では、図4(a)〜
(e)に示したように、B/Lが0〜250mm(図4
(a))、250〜500mm(図4(b))、500
〜750mm(図4(c))、750〜1000mm
(図4(d))、および1000〜1250mm(図4
(e))と長くなるに従って、結晶軸方向に劣化してい
るのが認められる。特に、B/Lが1000〜1250
mmである結晶後半では、0.20μm以上のLPDが
20個以下にほとんどならないことが容易に確認でき
る。一方、本発明に係る結晶の成長方法によれば、サイ
ド・ヒーターへ供給する電力を徐々に低下させると共
に、原料を融液状態に保持するのに不足する熱量をボト
ム・ヒーターで補うことにより、図5(a)〜(e)に
示したように、B/Lが0〜250mm(図5
(a))、250〜500mm(図5(b))、500
〜750mm(図5(c))、750〜1000mm
(図5(d))、および1000〜1250mm(図5
(e))と長くなっても、径の小さなLPDの発生の増
加が結晶のトップ近傍では僅かに認められるものの、全
体としては、発生頻度においても改善が認められ、特
に、0.20μm以上のLPDが20個以上になるもの
は、僅かに1%以下の発生が認められるに過ぎず、ボト
ム・ヒーターを使用し、サイド・ヒーター・パワーを所
望の通り制御することでLPDを劇的に改善できること
が確認できた。
【0023】
【発明の効果】 シリコン単結晶に与える熱履歴に大き
く影響するサイド・ヒーターへ供給する電力を特定の水
準またはそれ以下に保持しつつ、融液の温度を一定に保
つのに不足する熱はボトム・ヒーターへ電力を供給し
て、必要とする熱量を補うことにより、引き上げ時にお
ける熱履歴を引き上げ開始時から引き上げ終了時まで大
きく変化させることなくシリコン単結晶を成長させるこ
とにより、結晶直胴部の少なくとも75%の部分におけ
るFPDが100個/cm2以下、好ましくは85%の
部分におけるFPDが100個/cm2以下で、また、
結晶直胴部における直径0.20μm以上のLPDが2
0個/ウェーハまたはそれ以下、更に好ましくは15個
/ウェーハまたはそれ以下で、更にまた、結晶直胴部に
おける9MV/cm以上の酸化膜耐圧が少なくとも70
%、好ましくは、少なくとも80%の確率で得られると
いった優れたバランスの取れた特性を有するシリコン単
結晶が得られることが判る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る成長方法と従来の成長方法にお
けるサイド・ヒーターとボトム・ヒーターとへの電力の
供給量のプロファイルを示すチャートである。
【図2】 酸化膜耐圧についての測定結果を示すグラフ
である。
【図3】 FPDについての測定結果を示すグラフであ
る。
【図4】 従来の方法におけるB/Lの長さで示した結
晶直胴部の位置とLPDについての測定結果を示すグラ
フで、(a)は0〜250mm、(b)は250〜50
0mm、(c)は500〜750mm、(d)は750
〜1000mm、および(e)は1000〜1250m
mの範囲からそれぞれ切り出された各ウェーハ上に存在
する0.20μm以上のLPD個数を測定し、得られた
検出個数毎のウェーハ数を示すヒストグラムである。
【図5】 本発明に係る方法におけるB/Lの長さで示
した結晶直胴部の位置とLPDについての測定結果を示
すグラフで、(a)は0〜250mm、(b)は250
〜500mm、(c)は500〜750mm、(d)は
750〜1000mm、および(e)は1000〜12
50mmの範囲からそれぞれ切り出された各ウェーハ上
に存在する0.20μm以上のLPD個数を測定し、得
られた検出個数毎のウェーハ数を示すヒストグラムであ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4G077 AA02 AB01 BA04 CF10 EG18 EG20 EH09 HA12 PE21 PF17 5F053 AA12 AA21 BB04 DD01 FF04 GG01 HH04 RR03

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 種部を融液に浸漬して絞り部、コーン
    部、直胴部及びエンド・コーン部を有するCZ(チョク
    ラルスキー)法によるシリコン単結晶引き上げに際し
    て、結晶引き上げ速度と結晶固化点から1325℃まで
    の軸方向の冷却速度を制御することにより、直胴部の空
    孔濃度を制御できる構成を有する引き上げ機を使用し、
    シリコン単結晶の直胴部及びエンド・コーン部の育成時
    において、サイド・ヒーターとボトム・ヒーターを併用
    し、所望とする時間経過後、サイド・ヒーターに供給す
    る電力を所望の水準に保持するか、あるいは、徐々に低
    下させると共に、ボトム・ヒーターに供給する電力を融
    液の減少に対応した坩堝の位置の上昇に合わせて増加さ
    せることによりポリシリコンよりなる原料を融液状態に
    引き上げ操作終了時まで保持することを特徴とするシリ
    コン単結晶の成長方法。
  2. 【請求項2】 ボトム・ヒーターへの電力供給を、結晶
    直胴部の20%〜60%、好ましくは30〜40%を引
    き上げた時点で開始することを特徴とする請求項1に記
    載のシリコン単結晶の成長方法。
  3. 【請求項3】 エンド・コーン部の引き上げ操作が終了
    するまで、ボトム・ヒーターに供給する電力を0.01
    〜0.50kw/minの割合で増加させることを特徴
    とする請求項1または2に記載のシリコン単結晶の成長
    方法。
  4. 【請求項4】 結晶直胴部での1050℃〜1100℃
    の温度域における冷却速度が1℃/min以下、好まし
    くは0.5℃/min以下になる温度域を有することを
    特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のシリコ
    ン単結晶の成長方法。
  5. 【請求項5】 結晶直胴部からエンド・コーン部の引き
    上げ操作が終了するまでの間、サイド・ヒーターに13
    0kwまたはそれ以下の電力を供給すると共に、ボトム
    ・ヒーターに0kwから45kwの間の電力を、融液の
    減少に対応した坩堝の位置の上昇に合わせて、供給する
    ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の
    シリコン単結晶の成長方法。
  6. 【請求項6】 結晶直胴部が1050℃〜1100℃の
    温度領域を15〜50分、好ましくは25〜40分の間
    に実質的に通過することを特徴とする請求項1〜5のい
    ずれか1項に記載のシリコン単結晶の成長方法。
  7. 【請求項7】 結晶直胴部の少なくとも75%の部分に
    おけるFPDが100個/cm2以下、好ましくは85
    %の部分におけるFPDが100個/cm2以下である
    請求項1〜6のいずれか1項に記載のシリコン単結晶の
    成長方法により成長させたことを特徴とするシリコン単
    結晶。
  8. 【請求項8】 結晶直胴部における直径0.20μm以
    上のLPDが20個/ウェーハまたはそれ以下、好まし
    くは15個/ウェーハまたはそれ以下である請求項1〜
    6のいずれか1項に記載のシリコン単結晶の成長方法に
    より成長させたことを特徴とするシリコン単結晶。
  9. 【請求項9】 結晶直胴部における9MV/cm以上の
    酸化膜耐圧が少なくとも70%、好ましくは、少なくと
    も80%の確率で得られる請求項1〜6のいずれか1項
    に記載のシリコン単結晶の成長方法により成長させたこ
    とを特徴とするシリコン単結晶。
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