JP2002225289A - 液滴吐出用回路基板及びインクジェット記録ヘッド - Google Patents

液滴吐出用回路基板及びインクジェット記録ヘッド

Info

Publication number
JP2002225289A
JP2002225289A JP2001023413A JP2001023413A JP2002225289A JP 2002225289 A JP2002225289 A JP 2002225289A JP 2001023413 A JP2001023413 A JP 2001023413A JP 2001023413 A JP2001023413 A JP 2001023413A JP 2002225289 A JP2002225289 A JP 2002225289A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
circuit board
silicon carbide
discharging
less
droplet
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2001023413A
Other languages
English (en)
Inventor
Shoji Kosaka
祥二 高坂
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kyocera Corp
Original Assignee
Kyocera Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kyocera Corp filed Critical Kyocera Corp
Priority to JP2001023413A priority Critical patent/JP2002225289A/ja
Publication of JP2002225289A publication Critical patent/JP2002225289A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Particle Formation And Scattering Control In Inkjet Printers (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】厚いグレーズ層が不要で、信頼性に優れた長尺
形状の液滴吐出用回路基板とインクジェット記録ヘッド
を提供する。 【解決手段】液滴を吐出するための回路素子4を表面に
形成するための液滴吐出用回路基板1であって、金属不
純物量が100ppm以下、最大気孔径が2μm以下、
Si/C比が0.95〜1.05の炭化珪素結晶体から
なることを特徴とし、特に前記炭化珪素結晶体中の炭化
珪素がβ型結晶であり、かつ該炭化珪素結晶体の前記回
路素子4形成面の平均粒子径Sに対する前記回路素子4
形成面に垂直な面の平均粒子径Tの比S/Tが10以上
であることが好ましい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】 本発明は、液滴吐出用回路
基板及びインクジェット記録ヘッドに関し、特に、高密
度又は長尺な形状を有する液滴吐出用回路基板及びそれ
を用いたインクジェット記録ヘッドに関するものであ
る。
【0002】
【従来技術】インクジェット方式を用いた記録装置は、
インクジェット記録ヘッドの吐出口から記録液(イン
ク)等の液滴を吐出飛翔させ、これを被記録材に付着さ
せて記録するもので、情報処理システムの出力手段とし
て、例えば複写機、ファクシミリ、ワードプロセッサ、
パーソナルコンピュータ、ワークステーション、又はデ
ジタル機器等のプリンタとして多用されている。
【0003】インクジェット記録ヘッドは、インク液滴
を吐出させ、紙や布等に印字を行うためのものであり、
内部に液体を吐出するための回路素子が設けられてい
る。この回路素子はピエゾ素子(カイザー方式、ステム
メ方式、グールド方式)や発熱抵抗素子(バブルジェッ
ト(登録商標)方式)等が用いられる。
【0004】例えば、発熱抵抗素子の場合、熱エネルギ
ーをインクに作用させ、熱膨張による圧力を利用してイ
ンク液滴を吐出させることができる。このバブルジェッ
ト方式の記録ヘッドは、記録信号に対する応答性が良
く、吐出口の高密度化が容易であるなどの利点を有して
いる。
【0005】このバブルジェット方式のインクジェット
記録ヘッドは、インクを吐出するユニットが多数集合し
たものであって、図1にユニットの一例を示す。Siか
らなる液滴吐出用回路基板1には、異方性エッチングに
よって形成された液体供給口2が形成されている。ま
た、液滴吐出用回路基板1の表面に絶縁膜3が形成さ
れ、その上に発熱抵抗体等の回路素子4が形成されてい
る。そして、天板5が回路素子4を覆うように液滴吐出
用回路基板1上に設けられており、天板5には、液滴の
吐出する液滴吐出口6が設けられている。
【0006】インク等の液体は、液体供給口2から液体
流路7を通って回路素子4に導入され、回路素子4で発
生した気泡により発生した圧力で液滴吐出口6から噴射
される。このようなユニットは、液滴吐出用回路基板1
上に複数形成されてなり、最近は、長尺状の形状をした
インクジェット記録ヘッドが高速であるために注目され
ている。特に、被記録材の幅に略対応して吐出口および
ヒータを長尺に配列させた、フルラインタイプの記録ヘ
ッド(フルライン記録ヘッド)を用いたインクジェット
プリント装置は、高速印字が可能であり、大いに期待さ
れている。
【0007】このような、長尺状のインクジェット記録
ヘッドの液滴吐出用回路基板として、溶融ガラス層を有
するセラミックスを用いることが特許2815146号
公報に記載されている。これは、セラミックスの表面欠
陥を補うため、セラミック表面にグレーズ層と呼ばれる
溶融ガラス層が、回路素子の配置される部位以外の表面
に形成されたもので、グレーズ層による蓄熱の問題と、
セラミック上に形成された抵抗層や電極、保護層の信頼
性を高めたものである。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、特許2
815146号公報に記載された方法では、気孔を伴い
表面粗さの大きなセラミックス上に発熱抵抗体を形成す
るため、発熱抵抗体の幅や厚みが不均一になって異常発
熱をしたり、部分的に発熱抵抗体が断線したりするた
め、セラミック表面の凹凸に起因する不良の発生を完全
には除去できないという問題があった。
【0009】また、記録の精細化が進むとともに、発熱
量も多くなり、40μm以上の厚みで熱伝導率の小さな
グレーズ層を表面に伴った構造では放熱性が十分ではな
く、特に駆動周波数の高い場合、蓄熱により溶液から溶
存泡が析出し、液滴の吐出が不安定になるという問題が
あった。
【0010】したがって、本発明の目的は、厚いグレー
ズ層が不要で、信頼性に優れた長尺形状の液滴吐出用回
路基板とインクジェット記録ヘッドを提供することにあ
る。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明は、金属不純物
量、気孔径及びSi/C比を制御したSiCによって基
板を形成することにより、長尺状のであっても、インク
吐出の信頼性を改善できるという知見も基づくものであ
る。
【0012】即ち、液滴を吐出するための回路素子を表
面に形成するための液滴吐出用回路基板であって、金属
不純物量が100ppm以下、最大気孔径が2μm以
下、Si/C比が0.95〜1.05の炭化珪素結晶体
からなることを特徴とするものである。これにより、放
熱性を高め、表面の欠陥を低減することができるため、
グレーズ層が不要となり、かつ信頼性の高い液滴吐出用
回路基板を実現できる。
【0013】特に、前記炭化珪素結晶体中の炭化珪素が
β型結晶であり、かつ該炭化珪素結晶体の前記回路素子
形成面の平均粒子径Sに対する前記回路素子形成面に垂
直な面の平均粒子径Tの比S/Tが10以上であること
が好ましい。これにより、ヒータ形成面に垂直な方向に
対する放熱性がさらに向上するため、基板の熱膨張によ
るずれが減少する。
【0014】また、表面粗さRaが100nm以下であ
ることが好ましい。これにより、熱伝導率をより向上で
き、さらなる応答性の改善を行うことができる。
【0015】さらに、前記回路素子形成面に絶縁膜が設
けられていることが好ましい。これにより、絶縁性を確
保できるため、電気回路を絶縁膜状に形成することでき
る。特に、前記絶縁膜が20μm以下であることが、密
着性を向上し、放熱性を高くするという点で、好まし
い。
【0016】また、本発明のインクジェット記録ヘッド
は、上記の液滴吐出用回路基板と、液滴を吐出するため
に該液滴吐出用回路基板上に設けられた回路素子と、該
回路素子に前記液滴を供給するための液体供給口及び液
体流路と、前記回路素子を覆うように前記液滴吐出用回
路基板上に設けられた天板と、該天板に設けられた液滴
吐出口と、前記液滴吐出用回路基板を支持するベースプ
レートとを具備することを特徴とするものであり、これ
により、上記の優れた特性を有するインクジェット記録
ヘッドを製造することができる。
【0017】
【発明の実施の形態】本発明の液滴吐出用回路基板は、
インクを瞬間的に加熱して発生した気泡の膨張力によっ
てインクを噴射させるいわゆるバブルジェットタイプの
記録ヘッドに好適に用いられるものであり、金属不純物
量が100ppm以下のSiC結晶体からなることが重
要であり、特に50ppm以下、更には10ppm以
下、より好適には5ppm以下であることが好ましい。
【0018】ここで、金属不純物量とは、珪素以外の金
属のうち、含有量の多い順に5種類の金属についてその
含有量を合算し、それを金属不純物量としたものであ
る。
【0019】炭化珪素の熱伝導率は、金属不純物の固溶
によって低下するため、この金属不純物量が100pp
m以下であることが、十分な放熱性を得るために必要で
ある。100ppmを越えると、蓄熱性が高くなり、イ
ンクジェット記録ヘッドの動作が不安定になる。
【0020】また、本発明の液滴吐出用回路基板は、2
μmを越えるような大きな気孔を有していると、加工後
の表面粗さが大きくなったり、表面に大きな気孔が存在
し、該液滴吐出用回路基板表面に電気回路や発熱抵抗体
を形成したときに断線したり、動作中に発熱したりする
問題が発生する。従って、インクジェット記録ヘッドの
動作を安定化させ、且つ信頼性を高めるため、最大気孔
径は2μm以下であることが重要であり、特に1μm以
下、更には0.5μm以下であることが好ましい。な
お、最大気孔径は、走査型電子顕微鏡(SEM)観察に
て気孔の最大径を測定し、その平均値によって表され
る。
【0021】さらに、液滴吐出用回路基板を構成する炭
化珪素の炭素と珪素とをほぼ同量存在することが重要で
あり、表面加工性を向上し、容易に小さな表面粗さRa
を実現するとともに、アルカリに対する耐食性を高める
ため、モル比Si/Cが0.95〜1.05であること
が必要であり、特に0.97〜1.03、更には0.9
9〜1.01が好ましい。
【0022】さらにまた、熱伝導率が170W/mK以
上、特に200W/mK以上、更には230W/mK以
上であることが好ましい。これにより、基板の放熱特性
が優れ、大型化しても、均熱性が保つことができる。
【0023】また、本発明の液滴吐出用回路基板を構成
する炭化珪素結晶体が、β型炭化珪素結晶からなること
が好ましい。炭化珪素には、その結晶形として、β型と
呼ばれる3C型と、α型と呼ばれる2H型、4H型、6
H型、15R型、21R及び33R型等がある。この炭
化珪素の各結晶形は、結晶自体の結晶構造および積層周
期の違いにより分類されるものであるが、それらの結晶
構造的相違により結晶同士の特性に違いがあることが報
告されており、例えば、J. Am. Ceram. Soc.,70, P445
〜448(1987)によれば、3C型と、4H型や6H型間で
は結晶軸によって熱膨張率が異なると報告されている。
【0024】本発明によれば、炭化珪素は、β型(3C
型)を主体とすることが好ましい。これにより、熱膨張
率が方位によらず均一化するため、均一な特性を有する
基板を実現することができ、温度変化があっても吐出し
たインクの色ばらつきの発生を抑え、精度が向上する。
この時、β型が主体となっていれば、α型があっても差
し支えないが、α型の含有率が20%以下、特に10%
以下であることによって、均一性をより向上するととも
に、結晶型の複合化により熱膨張率差に起因する残留応
力を炭化ケイ素部材に作用させ、部材の靭性を向上させ
ることができる。
【0025】なお、α型の含有率は、d=0.266n
m、0.262nm、0.257nm、0.231n
m、0.235nm、そして0.217nmのX線回折
強度を計測し、Ruskaの方法(J.Mater.Sci.,14,20
13-2017(1979))により算出した。
【0026】そして、炭化珪素結晶体の前記回路素子形
成面の平均粒子径Sに対する前記回路素子形成面に垂直
な面の平均粒子径Tの比S/Tが10以上、特に20以
上、更には30以上であることが好ましい。このよう
に、結晶のアスペクト比を大きくすることにより、回路
素子の搭載された液滴吐出用回路基板表面(表側)から
裏側へ熱を迅速に伝達でき、放熱性を高めることができ
る。なお、炭化珪素結晶は、柱状形状であることが熱伝
導を向上する上で好ましい。
【0027】また、本発明によれば、液滴吐出用回路基
板の表面粗さRaが100nm以下、特に50nm以
下、更には30nm以下が好ましく、より好適には10
nm以下、最も好適には2nm以下である。これによ
り、液滴吐出用回路基板の表面に電気回路や抵抗発熱体
を形成しても、断線や部分的に細くなって発熱するよう
な欠陥を防止でき、より信頼性の高い液滴吐出用回路基
板を実現できる。また、表面粗さを上記の範囲にするこ
とで、表面に設ける絶縁膜の厚みを低減することがで
き、放熱性及び絶縁性に優れ、安定した吐出を行うため
の基板を提供できる。
【0028】さらに、本発明の液滴吐出用回路基板は、
少なくとも一主面に絶縁膜が設けられていることが好ま
しい。炭化珪素は体積固有抵抗が小さく、半導電性から
半絶縁性であるため、絶縁膜を表面に設けることによっ
て、その上に電気回路や発熱抵抗体等の回路素子を形成
することができる。
【0029】この絶縁膜はシリカ、アルミナ、窒化アル
ミニウム又は窒化珪素の群から選ばれる少なくとも1種
を、少なくとも上記電気回路や発熱抵抗体等の回路素子
と液滴吐出用回路基板の間に形成して用いることがで
き、特に、絶縁膜が非晶質アルミナであることが高い密
着性と高い絶縁性を得るために好ましい。
【0030】また、絶縁膜はの膜厚は、放熱性を高め、
密着性を高めるため、20μm以下、特に10μm、更
には5μm以下、より好適には3μm以下が好ましい。
このように、薄膜を使用することにより、グレーズ層の
ように蓄熱することを防止でき、安定した液滴吐出が実
現できる。
【0031】なお、絶縁膜を形成した液滴吐出用回路基
板の体積固有抵抗は1012Ωcm以上、特に1014Ωc
m以上であることがリーク電流を無くする点で望まし
い。
【0032】このような構成の液滴吐出用回路基板は、
強度、破壊靭性や剛性が高く、放熱性に優れ、かつ表面
平滑性に優れるため、記録面の解像度が高く、安定した
特性を有するという特徴があり、特に、バブルジェット
方式で、長尺のインクジェット記録ヘッドやフルライン
磁気ヘッドとして好適に用いられる。
【0033】次に、本発明の液滴吐出用回路基板の製造
方法について説明する。
【0034】本発明における炭化珪素結晶体の製造方法
には、炭素及び硼素、アルミナ又は希土類酸化物を焼結
助剤とする焼成法、シリコンを含浸する含浸法、気相合
成法等がある。この中で炭素及び硼素を焼結助剤とする
焼成法は固相焼結のため粒界にボイドが残る。また、酸
化物を焼結助剤とする焼成法はボイドを削減できるが、
炭化珪素結晶と粒界相との硬度の差によって、イオンミ
リング及び反応性イオンエッチング等のイオン照射加工
や機械加工においてインクの導入路や吐出路を形成する
場合、平滑な面が得にくい。また、シリコン含侵法で
は、炭化珪素とシリコンの硬度の違いにより、表面の精
密研磨が難しいという問題がある。
【0035】そこで、本発明によれば、化学蒸着法を用
いて液滴吐出用回路基板を作製することが重要である。
これにより、最大気孔径を2μm以下、特に1μm以
下、更には0.5μm以下にすることが可能となり、そ
の結果、表面粗さを100nm以下、特に50nm以
下、更には30nm以下、より好適には10nm以下、
最も好適には2nm以下とすることができる。さらに、
純度を高め、金属不純物の固溶を防止し、内部の欠陥を
低減することによって170W/mK以上、特に200
W/mK以上、更には230W/mK以上の熱伝導率が
達成できる。
【0036】本発明の液滴吐出用回路基板は、以下のよ
うにして製造することができる。先ず、成膜基板として
所望炭素基板を準備する。特に、液滴吐出用回路基板の
形状が略長方形であるため、角板形状であることが好ま
しい。この炭素基板は除去が容易なため好適であるが、
成膜基板としてはMo、W等の金属や金属化合物等を用
いてもかまわない。
【0037】次に、この成膜基板を化学蒸着(CVD)
装置の反応炉内に設置する。CVD装置は、CVD反応
により炭化珪素を成膜できればどのようなCVD方式で
も差し支えないが、基板を除去して1mm以上の自立体
を作製するため、特に熱CVDに代表される2.5μm
/min以上の高速で成膜できる方式が重要である。ま
た、原料の効率を考慮し、低コスト化のためコールドウ
ォール型CVD装置が好ましい。
【0038】反応ガスとして、珪素含有ガス、炭素含有
ガス及びキャリアーガスを準備する。珪素含有ガスとし
ては、SiCl4、SiH4、SiHCl3等を用いれば
よい。炭素含有ガスとしては、CH4、C22、C
24、C2H6、C38等を用いればよい。キャリアー
ガスとしては、水素、窒素、アルゴン、ヘリウム等を用
いればよい。また、珪素含有ガスが炭素をも含有してい
てもよく、例えば、CH3SiCl4、(CH32SiC
3、(CH34Si等をキャリアーガスと共に用いて
も良い。以下は、炭素及び珪素の含有ガスとしてメチル
トリクロルシラン(CH3SiCl4:以下、MTSと言
う)を、キャリアーガスとして水素(H2)を使用した
場合について説明する。
【0039】CVDは、装置内を真空ポンプにより1P
a以下に排気した後、H2を流しながらCVD温度まで
昇温する。CVD温度は配向性を制御するため、138
0℃〜1800℃、特に1400〜1700℃、さらに
1420〜1600℃、より好適には1450〜150
0℃が好ましい。次に、反応炉をCVD温度に保ち、M
TSを炉内に導入し、炉内圧力を1〜700Torr、
特に10〜300Torr、更には20〜100Tor
rが高速成膜の点で好ましい。この条件において、CV
D反応が進み、成膜基板上に炭化珪素を析出させる。
【0040】金属不純物量100ppm以下を得るため
に、原料タンク及び配管を腐食しにくい樹脂を用い、基
体やCVD内部の部材も耐腐食性の高いものを用いるこ
とが好ましい。特に、断熱材や成膜基板は高純度のもの
をもちいることが好ましい。
【0041】炭化珪素の析出速度は短時間で厚膜を形成
させるため、2.5μm/min以上の速度で成長させ
ることが重要である。また、炭化珪素膜の厚みは、ヒー
ター、または支持基板として用いる場合、少なくとも1
mm以上、特に2mm以上、更には2.5mm以上が必
要である。
【0042】また、2μmを越える気孔を形成しないた
め、十分な原料供給を行うことで、均一で緻密な炭化珪
素を形成でき、原料中のSi/C比及び成膜温度を制御
することにより、炭化珪素のSi/C比を0.95〜
1.05にすることが可能となる。
【0043】従って、上記の方法により金属不純物量が
100ppm以下、最大気孔径が2μm以下、Si/C
比が0.95〜1.05の炭化珪素結晶体を得ることが
できる。
【0044】なお、この基板をアルゴンガスなどの不活
性雰囲気中、または、真空中で熱処理し、β型結晶の一
部をα型結晶に転換させるすることができ、高強度・高
靭化を実現できる。そして、熱処理温度を1600℃以
上、特に1800℃以上、更には1900℃以上である
ことが好ましく、これによって積層欠陥をより低減し、
高強度化の効果をより発現でき、且つ熱伝導率を向上す
ることが可能である。
【0045】そして、成膜基板を機械加工、または、酸
化処理により除去した後、成膜基板との界面から少なく
とも0.1mm以上の領域の炭化珪素を研磨して除去す
ることが好ましい。これは、界面付近の炭化珪素が残部
の炭化珪素の組織と異なるためである。なお、除去領域
は、界面から特に0.2mm以上、更には0.3mm以
上であるとさらに組織の均一化の点で好ましい。これに
より、クラックの発生や割れの少ない部材を実現でき
る。
【0046】表面は、所望の表面粗さに研磨する。特
に、絶縁膜を形成する主面はその上に電気回路やヒータ
が形成されるため、断線や部分的な異常発熱がないよう
に表面粗さRaが100nm以下になるように研磨する
ことが好ましい。そして、この主面に、シリカ、アルミ
ナ、窒化アルミニウム又は窒化珪素などの絶縁物質をス
パッタ法、イオンプレーティング法、プラズマCVD法
等の気相合成法により絶縁膜を形成することができる。
【0047】このようにして作製した液滴吐出用回路基
板は、金属不純物量が100ppm以下、最大気孔径が
2μm以下、Si/C比が0.95〜1.05の炭化珪
素結晶体からなり、インクジェット記録ヘッドとして好
適な特性を有する。
【0048】また、本発明のインクジェット記録ヘッド
は、図1のように、液滴吐出用回路基板1に液体供給口
2が設けられており、かつ表面の一部に絶縁膜3が設け
られ、その上に回路素子4が形成されている。そして、
回路素子4を覆うように液滴吐出用回路基板1上に天板
5が設けられ、天板の一部に液滴吐出口6が形成されて
いる。そして、液体は液体供給口2から導入され、液体
流路7を通って回路素子4付近に達し、回路素子4で加
熱されて生成した気泡とともに液滴吐出口6から噴出さ
れる。
【0049】液体供給口2及び液滴吐出口6及び液体流
路7は、機械加工、イオンミリング、反応性イオンエッ
チング又はレーザー加工によって形成され、液体通路は
機械研削、または、イオンミリング、反応性イオンエッ
チングにより形成される。
【0050】なお、バブルジェット方式の場合、半導体
製造プロセスと同様の方法を用いて、回路素子4、回路
素子4に接続する電気回路、絶縁膜3、或いは所望によ
り、ヒータ駆動用IC回路を形成することができる。
【0051】このような構成によって、解像度及び放熱
性に優れ、且つ信頼性の高いインクジェット記録ヘッド
を実現することができる。
【0052】
【実施例】実施例1 先ず、試料No.1〜29は、成膜基板として、純度9
9.99%のカーボン角板を準備する。この成膜基板を
CVD炉の中に反応室内に配置し、反応ガスとして、M
TSとH2を使用し、表1に示した条件で成膜基板上に
約3mmの膜厚の炭化珪素を成膜する。また、試料N
o.24〜29に関しては、得られた炭化珪素を形成し
た成膜基板を表1に示す条件で熱処理を行った。
【0053】また、試料No.30及び31は、純度9
9.9%、平均結晶粒径0.7μmの炭化珪素粉末と平
均結晶粒径0.8μmの炭化硼素を混合し、フェノール
樹脂を添加して、成形体を作製し、表1の条件で焼成し
た。
【0054】次に、炭化珪素からカーボンを機械加工に
より除去し、両主面をダイヤモンド砥石及びバフにより
研磨を行った。
【0055】得られた炭化珪素は、X線回折により結晶
型の特定を行った。即ち、3C型、4H型、6H型及び
15R型の含有量はCu管球を用いた粉末X線回折によ
り、それぞれ、2θ=33.5°、2θ=34.1°、
2θ=34.8°、2θ=35.7°、2θ=38.1
°、2θ=41.4°のピーク強度比から求め、4Hと
6Hと15Rの合量をα率、3C型をβ率としてRus
kaの方法(J. Mater. Sci., 14, 2013-2017(1979))
により算出した。
【0056】熱伝導率は、直径10mm、厚み2mmの
試験片を作製し、JISR1611のレーザーフラッシ
ュ法にて、また、表面粗さは、原子間顕微鏡(AFM)
を用いて測定した。
【0057】金属不純物量は、ICP発光分光分析とG
DMA(Gas Discharge Mass Spectrometry)により求
め、不純物として比較的多く存在する不純物である鉄、
クロム、ニッケルとボロン、アルミニウムの合量を不純
物とした。
【0058】Si/C比は、JISR1616により求
めた。
【0059】S/Tは、それぞれの表面を超平滑面にな
るまで研磨仕上げし、この面をNaOH+KOH混合融
体中でエッチングし、走査電子顕微鏡(SEM)からイ
ンターセプト法による10個所の平均から、その比を算
出した。
【0060】破壊靭性は、JISR1607に基づくI
F法によって測定し、強度は、JISR1601に基づ
く4点曲げ試験により測定し、曲げ試験強度を求めた。
【0061】最大気孔径は走査型電子顕微鏡(SEM)
観察にて320μm2の領域を10ヶ所観察し、最大径
の平均値を求めた。
【0062】
【表1】
【0063】本発明の試料No.2〜7、10〜13及
び15〜29は、金属不純物量が100ppm以下、最
大気孔径2μm以下、Si/C比が0.95〜1.05
であり、190W/mK以上の高熱伝導率を有してい
た。
【0064】一方、Si/C比が本発明の範囲外の試料
No.1及び8は、熱伝導率が160W/mK以下と低
かった。
【0065】また、金属不純物量が150ppmと大き
く、本発明の範囲外の試料No.9は、熱伝導率が15
0W/mKと低かった。
【0066】さらに、最大気孔径が3μmと大きく、本
発明の範囲外の試料No.14は、140W/mKと熱
伝導率が低かった。
【0067】さらにまた、焼結法で作製し、金属不純物
が220ppm以上と多く、本発明の範囲外の試料N
o.30及び31は、熱伝導率が160W/mK以下と
低かった。
【0068】実施例2 試料No.25及び30について、表面粗さが表1のR
aになるように研磨した後、表面に非晶質アルミナ、A
lN、SiO2、Si34をスパッタ法にて作製した。
絶縁膜の上に、金を0.3μmの厚みで蒸着し、エッチ
ングにより線幅2μmの回路を作製した。それぞれ20
個の導通試験を行い、断線のある数を不良数とした。結
果を表2に示した。
【0069】
【表2】
【0070】本発明の試料No.32〜45は、不良が
発生しなかった。
【0071】一方、焼結法によって作製した試料No.
46は、不良が12個と多かった。
【0072】
【発明の効果】本発明によれば、液滴吐出用回路基板と
して炭化珪素を用いると共に、金属不純物量、最大気孔
径及びSi/C比を制御することによって、放熱性及び
表面平滑性を向上し、長尺状の液滴吐出用回路基板であ
っても、インク吐出の信頼性を改善できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のインクジェット記録ヘッドの概略断面
図である。
【符号の説明】
1・・・液滴吐出用回路基板 2・・・液体供給口 3・・・絶縁膜 4・・・回路素子 5・・・天板 6・・・液滴吐出口 7・・・液体流路

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】液滴を吐出するための回路素子を表面に形
    成するための液滴吐出用回路基板であって、金属不純物
    量が100ppm以下、最大気孔径が2μm以下、Si
    /C比が0.95〜1.05の炭化珪素結晶体からなる
    ことを特徴とする液滴吐出用回路基板。
  2. 【請求項2】前記炭化珪素結晶体中の炭化珪素がβ型結
    晶であり、かつ該炭化珪素結晶体の前記回路素子形成面
    の平均粒子径Sに対する前記回路素子形成面に垂直な面
    の平均粒子径Tの比S/Tが10以上であることを特徴
    とする請求項1記載の液滴吐出用回路基板。
  3. 【請求項3】表面粗さRaが100nm以下であること
    を特徴とする請求項1又は2記載の液滴吐出用回路基
    板。
  4. 【請求項4】前記回路素子形成面に絶縁膜が設けられて
    いることを特徴とする請求項1乃至3のうちいずれかに
    記載の液滴吐出用回路基板。
  5. 【請求項5】前記絶縁膜が20μm以下であることを特
    徴とする請求項4記載の液滴吐出用回路基板。
  6. 【請求項6】請求項1乃至5のうちいずれかに記載の液
    滴吐出用回路基板と、液滴を吐出するために該液滴吐出
    用回路基板上に設けられた回路素子と、該回路素子に前
    記液滴を供給するための液体供給口及び液体流路と、前
    記回路素子を覆うように前記液滴吐出用回路基板上に設
    けられた天板と、該天板に設けられた液滴吐出口と、前
    記液滴吐出用回路基板を支持するベースプレートとを具
    備することを特徴とするインクジェット記録ヘッド。
JP2001023413A 2001-01-31 2001-01-31 液滴吐出用回路基板及びインクジェット記録ヘッド Pending JP2002225289A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001023413A JP2002225289A (ja) 2001-01-31 2001-01-31 液滴吐出用回路基板及びインクジェット記録ヘッド

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001023413A JP2002225289A (ja) 2001-01-31 2001-01-31 液滴吐出用回路基板及びインクジェット記録ヘッド

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2002225289A true JP2002225289A (ja) 2002-08-14

Family

ID=18888706

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2001023413A Pending JP2002225289A (ja) 2001-01-31 2001-01-31 液滴吐出用回路基板及びインクジェット記録ヘッド

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2002225289A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2013237228A (ja) * 2012-05-16 2013-11-28 Canon Inc 液体吐出ヘッド

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2013237228A (ja) * 2012-05-16 2013-11-28 Canon Inc 液体吐出ヘッド
US20150136024A1 (en) * 2012-05-16 2015-05-21 Canon Kabushiki Kaisha Liquid discharge head

Similar Documents

Publication Publication Date Title
TW412823B (en) Holder for manufacturing semiconductor and manufacture thereof
US6834613B1 (en) Plasma-resistant member and plasma treatment apparatus using the same
JP3231096B2 (ja) 液体噴射記録ヘッド用基体、その製造方法および液体噴射記録ヘッドならびに液体噴射記録装置
US6950297B2 (en) Electrostatic chuck and manufacturing method therefor
US20080276865A1 (en) Electrostatic Chuck, Manufacturing method thereof and substrate treating apparatus
JP2000058631A5 (ja)
KR20070103330A (ko) 질화규소 소결체, 이의 제조방법 및 질화규소 기판
CN110248910B (zh) 复合烧结体、静电卡盘部件及静电卡盘装置
JP2002171037A (ja) セラミックス回路基板およびその製造方法
JP6693600B2 (ja) 複合焼結体、静電チャック部材および静電チャック装置
CN113874336B (zh) 复合烧结体、静电卡盘部件、静电卡盘装置及复合烧结体的制造方法
TW457560B (en) Silicon carbide and process for its production
CN1313420C (zh) 降低主要由氮化铝组成的本体的体积电阻系数的方法
CN111886213A (zh) 复合烧结体、静电卡盘部件、静电卡盘装置及复合烧结体的制造方法
JP2002225289A (ja) 液滴吐出用回路基板及びインクジェット記録ヘッド
JP2016086081A (ja) 静電チャック装置およびその製造方法
KR20200117863A (ko) 플라즈마 처리 장치용 부재, 그 부재를 구비하는 플라즈마 처리 장치, 및 소결체의 사용 방법
TW201423895A (zh) 靜電卡盤介電體層及靜電卡盤
JP4976973B2 (ja) 複合セラミックスの製造方法
US20210005480A1 (en) Multi-zone silicon nitride wafer heater assembly having corrosion protective layer, and methods of making and using the same
US20210384300A1 (en) SiC COMPOSITE SUBSTRATE AND COMPOSITE SUBSTRATE FOR SEMICONDUCTOR DEVICE
TWI762190B (zh) 陶瓷組件、其製備方法以及應用其之電漿蝕刻裝置
JP2001019557A (ja) 窒化珪素焼結体とその製造方法、及び回路基板
TWI814429B (zh) 晶圓支持體
JP2002137967A (ja) 炭化珪素部材