JP2002225284A - プリンタヘッドの製造方法及びプリンタヘッド - Google Patents

プリンタヘッドの製造方法及びプリンタヘッド

Info

Publication number
JP2002225284A
JP2002225284A JP2001030745A JP2001030745A JP2002225284A JP 2002225284 A JP2002225284 A JP 2002225284A JP 2001030745 A JP2001030745 A JP 2001030745A JP 2001030745 A JP2001030745 A JP 2001030745A JP 2002225284 A JP2002225284 A JP 2002225284A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
layer
sacrificial layer
flow path
printer head
ink flow
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2001030745A
Other languages
English (en)
Inventor
Eiki Hirano
栄樹 平野
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sony Corp
Original Assignee
Sony Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sony Corp filed Critical Sony Corp
Priority to JP2001030745A priority Critical patent/JP2002225284A/ja
Publication of JP2002225284A publication Critical patent/JP2002225284A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Particle Formation And Scattering Control In Inkjet Printers (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は、プリンタヘッドの製造方法及びプ
リンタヘッドに関し、例えばサーマル方式によるインク
ジェットプリンタに適用して、従来に比してインク流路
のばらつき、貴重な材料の消費を少なくすることがで
き、かつ簡易に作成することができるようにする。 【解決手段】 本発明は、材料の反応により犠牲層15
の膜厚を増大させた後、この犠牲層14を除去してイン
ク流路の空隙を形成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、プリンタヘッドの
製造方法及びプリンタヘッドに関し、例えばサーマル方
式によるインクジェットプリンタに適用することができ
る。本発明は、材料の反応により犠牲層の膜厚を増大さ
せた後、この犠牲層を除去してインク流路の空隙を形成
することにより、従来に比してインク流路のばらつき、
貴重な材料の消費を少なくすることができ、かつ簡易に
作成することができるようにする。
【0002】
【従来の技術】従来、インクジェットプリンタのプリン
タヘッドは、発熱素子によるアクチュエータを半導体基
板上に形成し、この半導体基板上に、インクを飛び出さ
せるノズルを有してなるインク液室、このインク液室に
インクを導くインク流路が作成されるようになされてい
る。
【0003】プリンタヘッドは、比較的古くからの作成
方法であるインク液室等の隔壁を感光性の樹脂等で作成
した後、ノズルを有する金属板材等を配置してインク液
室等を作成したのでは、ノズルの位置決め精度を充分に
確保できないことにより、また隔壁と金属板材との密着
強度を充分に確保できないことにより、近年、いわゆる
オンチップノズル製法によりインク液室を作成する方法
が採用されるようになされている。因みに、インクを飛
び出させる角度を揃えるために、ノズルの位置決め精度
は、インク液室に対して1〔μm〕以下であることが要
求される。
【0004】ここで図6及び図7は、このオンチップノ
ズル製法によるインク液室作成方法の説明のために、イ
ンク液室の部分を部分的に示すプリンタヘッドの平面図
(図6(A1)〜図7(E1))と、ヒーターを含むよ
うにA−Aにより切り取って示す断面図(図6(A2)
〜図7(E2))である。プリンタヘッド1は、半導体
基板2上に、ヒーター3、ヒーター3の保護層4、ヒー
ター3を駆動する駆動回路等が作成され(図6(A1)
及び(A2))、オンチップノズル製法では、スピンコ
ートによりレジストが所定膜厚により塗布され後、パタ
ーンニングにより、インク液室、インク流路の形状によ
り犠牲層5が作成される(図6(B1)及び(B
2))。
【0005】続いてプリンタヘッド1は、例えば感光性
エポキシ樹脂の塗布により、全体が覆われて被覆層6が
作成され(図6(C1)及び(C2))、露光、現像の
処理によりこの被覆層6にノズル7が作成される(図6
(D1)及び(D2))。オンチップノズル製法では、
これによりインク液室、インク流路に犠牲層5を詰め込
んだ状態でノズル7まで作成され、その後、有機溶媒の
浸漬により犠牲層5を溶出させてインク液室、インク流
路が作成されるようになされている(図6(E1)及び
(E2))。なおプリンタヘッドは、このようにしてイ
ンク液室等が作成されると、異方性エッチング、超音波
ドリルによる加工等により、半導体基板2にインク供給
用の貫通孔が作成される。
【0006】このオンチップノズル製法では、半導体プ
ロセスによりノズル7を作成できることにより、充分な
位置決め精度によりノズルを作成することができる。ま
た全体が被覆層6により覆われて、隔壁とノズル7側の
平坦な部位とが一体化されていることにより、金属板材
を配置した場合のような密着強度に関する欠点も有効に
回避することができる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】ところでこのような構
造に係るプリンタヘッドにおいては、インク流路の先端
の部位がインク液室として機能するように設定され、イ
ンク流路においては、高さが10〜数10〔μm〕であ
ることが求められる。このため従来のオンチップノズル
製法においては、インク流路の高さに対応する厚さ10
〜数10〔μm〕の膜厚により犠牲層5を作成すること
が必要であった。
【0008】しかしながら半導体基板2上に、このよう
な膜厚によりレジストを塗布する場合、レジストの粘度
を下げ、かつ回転速度を下げてスピンコートすることが
必要になり、この場合、均一な膜厚により犠牲層5を作
成できない欠点がある。これにより従来のオンチップノ
ズル製法によるプリンタヘッドにおいては、インク流路
の高さにばらつきを避け得ない問題があった。なおこの
ようにインク流路の高さにばらつきが発生すると、ノズ
ル7より飛び出すインク液滴の液量がばらつくようにな
る。
【0009】また、従来のオンチップノズル製法による
プリンタヘッドにおいては、貴重な材料であるレジスト
を犠牲層5に大量に使用しなければならない問題もあ
る。
【0010】また、犠牲層5の除去に、多大な時間を要
し、その分、プリンタヘッドの製造に時間を要する問題
もある。
【0011】本発明は以上の点を考慮してなされたもの
で、従来に比してインク流路のばらつき、貴重な材料の
消費を少なくすることができ、かつ簡易に作成すること
ができるプリンタの製造方法及びプリンタヘッドを提案
しようとするものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】かかる課題を解決するた
め請求項1の発明においては、プリンタヘッドの製造方
法に適用して、基板上に、インク流路の高さより薄い膜
厚によりインク流路のパターン形状で犠牲層を作成する
犠牲層作成の工程と、この犠牲層の材料を反応させて犠
牲層の膜厚を増大させる犠牲層の反応工程と、犠牲層を
除去して、犠牲層が存在した部位に、インク流路の空隙
を形成する犠牲層の除去工程とを有するようにする。
【0013】また請求項6の発明においては、プリンタ
ヘッドに適用して、このプリンタヘッドの製造工程が、
基板上に、インク流路の高さより薄い膜厚によりインク
流路のパターン形状で犠牲層を作成する犠牲層作成の工
程と、この犠牲層の材料を反応させて犠牲層の膜厚を増
大させる犠牲層の反応工程と、犠牲層を除去して、犠牲
層が存在した部位に、インク流路の空隙を形成する犠牲
層の除去工程とを有するようにする。
【0014】請求項1の構成によれば、基板上に、イン
ク流路の高さより薄い膜厚によりインク流路のパターン
形状で犠牲層を作成する犠牲層作成の工程と、この犠牲
層の材料を反応させて犠牲層の膜厚を増大させる犠牲層
の反応工程と、犠牲層を除去して、犠牲層が存在した部
位に、インク流路の空隙を形成する犠牲層の除去工程と
を有することにより、基板上に、従来に比して小さな膜
厚により犠牲層を作成してインク流路を作成することが
でき、その分、従来に比してインク流路のばらつき、貴
重な材料の消費を少なくすることができる。またこのよ
うに膜厚が増大してなる犠牲層を除去すれば良いことに
より、従来に比して簡易に犠牲層を除去することがで
き、その分、簡易に作成することができる。
【0015】これにより請求項6の構成によれば、従来
に比してインク流路のばらつき、貴重な材料の消費を少
なくすることができ、かつ簡易に作成することができる
プリンタヘッドを得ることができる。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、適宜図面を参照しながら本
発明の実施の形態を詳述する。
【0017】(1)第1の実施の形態 (1−1)第1の実施の形態の構成 図1及び図2は、図6及び図7との対比により、本発明
の第1の実施の形態に係るプリンタヘッドの製造工程の
説明に供する平面図及び断面図である。このプリンタヘ
ッド11は、ヒーター3等が作成されてなる半導体基板
2上に、保護層4が形成された後(図1(A1)及び
(A2))、インク流路及びインク液室のパターン形状
により犠牲層15が作成される(図1(B1)及び(B
2))。
【0018】ここで犠牲層15は、インク流路及びイン
ク液室の高さより薄い膜厚であって、半導体製造工程に
より充分に均一に作成できる膜厚により作成される。ま
た犠牲層15は、所定の反応工程により体積が増大し、
かつこの体積が増大した後の状態で膜厚がインク流路及
びインク液室の高さとなる材料により形成される。
【0019】この実施の形態では、この反応工程が加熱
の工程であり、この加熱の工程により発泡して体積が増
大する材料(以下、発泡性レジストと呼ぶ)を使用して
犠牲層15を作成した。すなわちこの反応工程によりガ
スを発生する気泡用の材料と、気泡間の膜を形成する所
定の基材との混合物を犠牲層15に適用した。
【0020】具体的に、この気泡用の材料には、アゾビ
スイソブチロニトル(商品名:ビニホールAZ、分解温
度:114度 永和化成工業(株)製)を適用し、また
基材には、ポジ型のレジスト(PFR−9500G、J
SR製)を適用した。この実施の形態では、この基材4
9部に、気泡用の材料1部を添加し、充分に攪拌して完
全に溶解させ、上述した条件を満足するように発泡性レ
ジストを作製した。
【0021】プリンタヘッド11は、この発泡性レジス
トがスピンコートされた後、80度によりキュアされ、
露光、現像の処理により犠牲層15が作成される。なお
犠牲層15は、乾燥膜厚が1.2〔μm〕であった。ま
たこのとき、発泡性レジストの使用量は、6インチウエ
ハ、一枚当たり、1.1〔ml〕であった。
【0022】プリンタヘッド11は、続いてビスフェノ
ールA系の感光性エポキシ(830−S、オーテックス
(株)製)がスピンコートにより供給された後、80度
により10分間キュアすることによりこの感光性エポキ
シがゲル化され、これにより犠牲層15側に、全体を覆
うように、被覆層16が所定膜厚(15〔μm〕)によ
り形成される(図1(C1)及び(C2))。ここでこ
の被覆層16は、インク流路、インク液室、ノズルを形
成する材料層であり、この実施の形態では、キュア温度
が犠牲層15の発泡温度より低く、かつ硬化温度が発泡
温度より高い材料が選定されるようになされている。
【0023】プリンタヘッド11は、続く露光処理によ
り、ノズル7の形状が露光される(図1(C1)及び
(C2))。なおここでノズル7は、直径を22〔μ
m〕により露光した。
【0024】プリンタヘッド11は、続く反応工程にお
いて、全体が130度の温度により10分間加熱され、
これによりこの反応工程における温度上昇により始めに
犠牲層15を構成する材料が発泡し、犠牲層15の膜厚
が14〔μm〕に増大する。またこのように犠牲層15
の膜厚の増大に続いて、被覆層16の硬化が完了する
(図2(D1)及び(D2))。これによりプリンタヘ
ッド11は、多数の気泡を有する犠牲層15によりイン
ク流路、インク液室の形状が形成されて、全体が硬化し
た被覆層16により覆われた状態となる。
【0025】続いてプリンタヘッド11は、ノズル7に
詰まったエポキシ材が除去された後、半導体基板2の裏
面側がレジストによりパターンニングされ、フッ酸、酢
酸、硝酸による3元系のエッチャントを使用した化学的
異方性エッチングにより、半導体基板2の裏面側にイン
ク供給孔が形成される。
【0026】続いてプリンタヘッド11は、メタノール
を溶媒として使用した5分間の洗浄工程において、イン
ク供給孔、ノズル7を介して犠牲層15を除去し、イン
ク液室、インク流路8が形成される(図2(E1)及び
(E2))。なおこのようにして加工された状態で、ウ
エハ面内におけるインク流路の高さのばらつきは、1
〔μm〕以下であった。
【0027】プリンタヘッド11は、続いてダイシング
ソーにより、半導体基板2が各チップに分割され、この
チップが所定の部材に保持されてインク供給孔がインク
カートリッジに接続され、またワイヤボンディングによ
り半導体基板2の各パッドが所定の部位に接続されて完
成品とされる。なおこの実施の形態では、このようにし
て形成される1つのチップに256個のノズルが配置さ
れるように、プリンタヘッド11を形成した。
【0028】(1−2)第1の実施の形態の動作 以上の構成において、この実施の形態に係る製造工程で
は、従来と同様の工程によりヒーター3等を配置してな
る半導体基板2が作成され(図1(A1)及び(A
2))、インク流路、インク液室のパターン形状によ
り、またインク流路及びインク液室の高さより薄い膜厚
であって、半導体製造工程により充分に均一に作成でき
る膜厚により、この半導体基板2上に犠牲層15が形成
される(図1(B1)及び(B2))。
【0029】さらに全体を覆うようにゲル化した被覆層
16が形成され(図1(C1)及び(C2))、ノズル
7を露光の後、反応工程により犠牲層15が発泡され
る。この犠牲層15の発泡により、犠牲層15は、被覆
層16を持ち上げるように体積を増大させ、インク流路
及びインク液室の形状が形成される。またこの反応工程
により、このように犠牲層15に持ち上げられた被覆層
16が硬化する。この工程では、その後、この犠牲層1
5が取り除かれてインク流路等が作成される。
【0030】これによりプリンタヘッド11は、インク
流路の高さより薄い膜厚であって、半導体製造工程によ
り充分に均一に作成できる膜厚により形成された犠牲層
が、反応工程によりインク流路の高さまで膜厚を増大さ
せ、この犠牲層が除去されてインク流路の空隙が形成さ
れる。
【0031】これによりこのようにして作成されるイン
ク流路、インク液室においては、従来に比して格段的に
均一に作成することができる。
【0032】また犠牲層15においては、発泡して約十
倍に体積を増大させることにより、その分、プリンタヘ
ッド11においては、基材であるレジストの使用量を従
来に比して格段的に少なくすることができる。なお実際
上、発泡前の膜厚が1〔μm〕程度の場合、犠牲層15
においては、発泡性レジストの膨張率、添加物量によ
り、10〜30〔μm〕の膜厚に発泡させることができ
る。
【0033】また発泡後においては、犠牲層15の殆ど
がガスにより形成されていることにより、従来に比して
極めて短い時間により犠牲層15を除去することができ
る。
【0034】なお、この実施の形態との比較のために、
図6及び図7の手法によりプリンタヘッドを作成して実
験した。この比較用のプリンタヘッドは、この第1の実
施の形態と同一の半導体基板2上に、厚膜レジスト(B
PR−500、JSR製)をスピンコートして80度で
キュアした後、インク流路を露光現像して犠牲層5を作
成した(図6参照)。なお、犠牲層5の乾燥膜厚は、1
1〔μm〕であり、レジストの使用量は、ウエハ、一枚
当たり、9〔ml〕であった。
【0035】さらにこの実施の形態と同一の手法により
エポキシ樹脂の被覆層6、ノズル7、インク供給孔を形
成した。この比較用のプリンタヘッドでは、この実施の
形態と同一のメタノールを溶媒とした洗浄により犠牲層
5を除去する場合、45分間の時間を要した。これによ
り従来に比して犠牲層15の除去に要する時間を約1/
10にできることが判った。
【0036】またこのようにして作成した比較用のプリ
ンタヘッドにおいて、ウエハ面内におけるインク流路の
高さのばらつきは、3〔μm〕以内であり、これにより
インク流路のばらつきに関しては、この実施の形態の場
合、従来に比して1/3に低減できることが判った。
【0037】さらにこのようにして作成した比較用のプ
リンタヘッドと、この実施の形態に係るプリンタヘッド
11とを同一の条件により駆動してインク液滴の液量を
比較した。なおこの液量の比較は、ヒーター3に0.8
〔W〕の電力を1.5〔μsec〕加えた場合に、ノズ
ル7から飛び出すインク液滴の比較により実行した。比
較用のプリンタヘッドでは、11〔pl〕のインク液滴
が飛び出し、1チップ当たりのインク液量のばらつき
は、3〔pl〕であった。これに対して、この実施の形
態によるプリンタヘッド11では、12〔pl〕のイン
ク液滴が飛び出し、1チップ当たりのインク液量のばら
つきは、1〔pl〕内であった。これによりインク液室
のばらつきを少なくした分、インク液滴の液量に関して
も、ばらつきが少なくなることを確認することができ
た。
【0038】またこの実施の形態では、犠牲層15の上
に、全体を覆うように被覆層16を形成してゲル化させ
た後、犠牲層15を反応させることにより、この犠牲層
15の体積の増大を犠牲層15の膜厚の増大に結び付け
ることができ、これにより犠牲層15が体積を増大させ
る程度である発泡の程度を種々に調整して、簡易に所望
の高さによりインク流路、インク液室を形成することが
できる。
【0039】またこの犠牲層15の反応工程において、
犠牲層15の膜厚が増大させ、その後、被覆層16を硬
化させることにより、被覆層16の硬化工程を犠牲層1
5の反応工程と同一の工程により実行することができ、
その分、少ない工程数によりプリンタヘッドを作成する
ことができる。
【0040】(1−3)第1の実施の形態の効果 以上の構成によれば、材料の反応により犠牲層15の膜
厚を増大させた後、この犠牲層15を除去してインク流
路の空隙を形成することにより、従来に比してインク流
路のばらつき、貴重な材料の消費を少なくすることがで
き、かつ簡易にプリンタヘッドを作成することができ
る。
【0041】また犠牲層を薄い膜厚により作成した後、
被覆層を作成して犠牲層の膜厚を増大させ、この膜厚の
増大により犠牲層に持ち上げられてなる被覆層を硬化さ
せることにより、簡易に所望の高さによりインク流路、
インク液室を形成することができる。また、犠牲層、被
覆層の材料を選定して、犠牲層の膜厚を増大させる工程
と被覆層を硬化させる工程とを同一工程により実行する
ことができる。
【0042】すなわちこのようにして硬化の工程を犠牲
層の反応工程を一体化することにより、その分、工程数
を少なくして効率良くプリンタヘッドを作成することが
できる。
【0043】特に、犠牲層の発泡により犠牲層の膜厚を
増大させることにより、熱、光等によりガスを発生する
溶剤等を種々の比率により基材と混合させて、所望する
膜厚により犠牲層を作成して所望の厚さに膜厚を増大さ
せることができる。
【0044】(2)第2の実施の形態 図1及び図2との対比により示す図3〜図5の工程図
は、本発明の第2の実施の形態に係るプリンタヘッド2
1の作成工程を示す図である。この実施の形態において
は、被覆層26の下層に、所定の緩衝層22を事前に作
成する。なお、この図3〜図5において、図1及び図2
と同一の構成は、対応する符号を付して示し、重複した
説明は省略する。
【0045】すなわち第1の実施の形態に係る工程の場
合、犠牲層15が発泡して膜厚を増大させた後、被覆層
16が硬化することにより、被覆層16の内側壁面に、
犠牲層15の発泡による微細な凹凸が発生する。このよ
うな微細な凹凸は、インクの流れに影響を与えると考え
られ、特に、インク液滴に液量が少ない場合に、インク
液滴の液量、インク液滴が飛び出す方向等にばらつきを
与える恐れがある。これによりこの実施の形態では、被
覆層26の下層に、この種の微細な凹凸の発生を防止す
る緩衝層22を事前に作成する。
【0046】すなわちこの実施の形態に係るプリンタヘ
ッド21は、ヒーター3等を作成してなる半導体基板2
上に(図3(A1)及び(A2))、インク流路及びイ
ンク液室のパターン形状により犠牲層25が作成される
(図3(B1)及び(B2))。ここでこの犠牲層25
は、ポジ型のレジスト(PFR−9500G、JSR
製)49部に、アゾジカルボンアミド(商品名:ビニホ
ールAC3、分解温度:203度 永和化成工業(株)
製)を1部添加してなる発泡性レジストにより作成され
る。なおここで犠牲層25の作成条件は、第1の実施の
形態と同一であり、スピンコートにより発泡レジストを
塗布して80度でキュアした後、露光、現像の処理によ
り作成される。なお犠牲層25の乾燥膜厚は、1.2
〔μm〕であり、6インチウエハ、一枚当たりのレジス
ト使用量は、1.1〔ml〕であった。
【0047】続いてプリンタヘッド21は、スパッタリ
ングにより全体を覆うようにアルミニウムを膜厚500
〔nm〕成膜して緩衝層22を作成する(図3(C1)
及び(C2))。なおこの緩衝層22においては、犠牲
層25の発泡により変形しないものであれば、種々の材
料を用いて種々の膜厚により作成することができるもの
の、無機材料を適用して適度な膜厚により変形しないよ
うにすることができる。
【0048】続いてプリンタヘッド21は、感光性ポリ
イミド(CRC−8300住友ベークライト(株)製)
がスピンコートにより供給された後、120度により5
分間キュアされて被覆層26が形成される(図4(D
1)及び(D2))。
【0049】さらにプリンタヘッド21は、続いてノズ
ル形状による露光処理された後、アルカリ現像処理さ
れ、被覆層26にノズル7の形状が形成される(図4
(E1)及び(E2))。なおノズル7の部分の緩衝層
22は、このアルカリ現像の際に、溶解して除去され
る。またノズルは、直径17〔μm〕により作成した。
【0050】続いてプリンタヘッド21は、反応工程に
おいて、320度により30分間ウエハ全体が加熱さ
れ、これにより犠牲層25が発泡して犠牲層25の膜厚
がインク流路の高さにまで増大し、また被覆層26の硬
化が完了する(図5(F1)及び(F2))。なお発泡
後の犠牲層25は、膜厚が12〔μm〕であり、犠牲層
25が無い部分の被覆層26の膜厚は、13〔μm〕
(従って犠牲層25が存在する部分の膜厚は、25〔μ
m〕)であった。
【0051】プリンタヘッド21は、続いて第1の実施
の形態と同一の工程により、インク供給孔が形成された
後、またメタノールを溶媒として使用した5分間の洗浄
工程において、インク供給孔、ノズル7を介して犠牲層
15を除去し、インク液室、インク流路8が形成される
(図5(G1)及び(G2))。プリンタヘッド21
は、続いて第1の実施の形態と同様に、チップに切断さ
れた後、組み立てられる。
【0052】このようにして作成されたプリンタヘッド
21においては、ウエハ面内におけるインク流路の高さ
のばらつきを0.5〔μm〕以内とすることができ、こ
れにより上述した比較用のプリンタヘッドに比して、イ
ンク流路の高さのばらつきを1/6に低減できることが
判った。
【0053】またヒーター3に0.5〔W〕の電力を
1.5〔μsec〕加えてノズル7から飛び出すインク
液滴の液量を測定したところ、3〔pl〕のインク液滴
が飛び出し、1チップ当たりのインク液滴におけるイン
ク液量のばらつきは、0.2〔pl〕内に抑えることが
できた。
【0054】この第2の実施の形態によれば、犠牲層2
5の上層に、無機材料による緩衝層22を形成するよう
にしても、第1の実施の形態と同様の効果を得ることが
できる。またこのように緩衝層22を形成することによ
り、犠牲層25の膜厚の増大によるインク流路壁面の微
細な凹凸の発生を防止することができ、その分、インク
液滴におけるインク液量のばらつきをさらに一段と小さ
くすることができる。
【0055】またこのような緩衝層22を設けることに
より、犠牲層材料を溶かすような溶解力の高い溶媒を使
用する感光性ポリイミド等により被覆層26を作成する
場合でも、犠牲層への影響を確実に防止することがで
き、これにより種々の材料を被覆層、犠牲層に適用し
て、これらの材料を被覆層、犠牲層適用したことによる
種々の効果を得ることができる。
【0056】(3)他の実施の形態 なお上述の実施の形態においては、犠牲層の膜厚を増大
させる工程において、併せて被覆層を硬化させる場合に
ついて述べたが、本発明はこれに限らず、個別の工程に
よりこれらの処理を実行するようにしてもよい。
【0057】また上述の実施の形態においては、被覆層
を形成した後、犠牲層の膜厚を増大させる場合について
述べたが、本発明はこれに限らず、ウエハ面内方向への
犠牲層の膨張を実用上充分に少なくして、犠牲層の膜厚
を増大させることができる場合、犠牲層の膜厚を増大さ
せた後、被覆層を作成するようにしてもよい。このよう
にすれば、犠牲層、被覆層の各種の反応温度等を考慮し
なくてよいことにより、さらに一段と種々の材料を犠牲
層、被覆層に適用することができる。
【0058】また上述の実施の形態においては、所定の
ポジ型のレジスト及びアゾビスイソブチロニトルによる
発泡性レジストを使用する場合について述べたが、本発
明はこれに限らず、必要に応じて種々のポジ型のレジス
ト、アゾビスイソブチロニトルによる発泡レジストを広
く適用することができる。またポジ型のレジストに代え
てネガ型のレジストを使用する場合、アゾビスイソブチ
ロニトルに代えて種々の溶剤等を使用する場合等、要
は、所定の反応工程により、基材中で窒素ガス、炭酸ガ
ス、アンモニア、水素ガス等を発生して体積を膨張させ
る材料を広く適用することができる。なおこのような組
み合わせにおいては、レジストに対して溶解度の高い有
機発泡剤を適用することが好ましい。因みに、このよう
な発泡剤としては、アゾジカルボンアミド、アゾビスイ
ソブチロニトリル、ジニトロソペンタメチレンテトラミ
ン、パラトルエンスルフォニルヒドラジッド等を適用す
ることができる。またステアリン酸亜鉛、尿素化合物等
を添加することにより、発泡の温度を下げることができ
ることにより、必要に応じて、第3の材料を添加するよ
うにしてもよい。
【0059】また上述の実施の形態においては、加熱に
よる反応工程により犠牲層の膜厚を増大させる場合につ
いて述べたが、本発明はこれに限らず、紫外線等の照射
による反応工程により犠牲層の膜厚を増大させる場合
等、犠牲層等の材料の選定により必要に応じて種々の反
応工程を広く適用することができる。
【0060】また上述の実施の形態においては、エポキ
シ樹脂、ポリイミド樹脂により被覆層を作成する場合に
ついて述べたが、本発明はこれに限らず、ウレタン樹脂
等のように硬化により3次元架橋を形成する樹脂であれ
ば種々の材料を広く適用することができる。なお、この
場合に、感光性の樹脂を適用することにより、上述の実
施の形態と同様に、ノズル7を簡易に作成することがで
きる。
【0061】また上述の第2の実施の形態においては、
アルミニウムにより緩衝層を作成する場合について述べ
たが、本発明はこれに限らず、種々の無機材料等を緩衝
層の作成に広く適用することができる。
【0062】
【発明の効果】上述のように本発明によれば、材料の反
応により犠牲層の膜厚を増大させた後、この犠牲層を除
去してインク流路の空隙を形成することにより、従来に
比してインク流路のばらつき、貴重な材料の消費を少な
くすることができ、かつ簡易にプリンタヘッドを作成す
ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係るプリンタヘッ
ドの作成工程の説明に供する平面図及び断面図である。
【図2】図1の続きを示す平面図及び断面図である。
【図3】本発明の第2の実施の形態に係るプリンタヘッ
ドの作成工程の説明に供する平面図及び断面図である。
【図4】図3の続きを示す平面図及び断面図である。
【図5】図4の続きを示す平面図及び断面図である。
【図6】従来のプリンタヘッドの作成工程の説明に供す
る平面図及び断面図である。
【図7】図6の続きを示す平面図及び断面図である。
【符号の説明】
1、11、21……プリンタヘッド、2……半導体基
板、3……ヒーター、5、15、25……犠牲層、6、
16、26……保護層、7……ノズル、8……インク流

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】基板上に、インク流路の高さより薄い膜厚
    により前記インク流路のパターン形状で犠牲層を作成す
    る犠牲層作成の工程と、 前記犠牲層の材料を反応させて前記犠牲層の膜厚を増大
    させる犠牲層の反応工程と、 前記犠牲層を除去して、前記犠牲層が存在した部位に、
    前記インク流路の空隙を形成する犠牲層の除去工程とを
    有することを特徴とするプリンタヘッドの製造方法。
  2. 【請求項2】前記基板上に、前記犠牲層の上層側に所定
    の材料により被覆層を作成する被覆層の作成工程と、 前記犠牲層の膜厚の増大により持ち上げられた前記被覆
    層を硬化させる被覆層の硬化工程とを有することを特徴
    とする請求項1に記載のプリンタヘッドの製造方法。
  3. 【請求項3】前記硬化工程が、前記犠牲層の反応工程と
    一体の工程であることを特徴とする請求項2に記載のプ
    リンタヘッドの製造方法。
  4. 【請求項4】前記犠牲層の発泡により、前記犠牲層の膜
    厚を増大させることを特徴とする請求項2に記載のプリ
    ンタヘッドの製造方法。
  5. 【請求項5】前記被覆層を作成する前に、前記犠牲層の
    上層に、無機材料による緩衝層を形成する緩衝層の作成
    工程を有することを特徴とする請求項2に記載のプリン
    タヘッドの製造方法。
  6. 【請求項6】所定の工程により作成されたプリンタヘッ
    ドであって、 前記工程が、 基板上に、インク流路の高さより薄い膜厚により前記イ
    ンク流路のパターン形状で犠牲層を作成する犠牲層作成
    の工程と、 前記犠牲層の材料を反応させて前記犠牲層の膜厚を増大
    させる犠牲層の反応工程と、 前記犠牲層を除去して、前記犠牲層が存在した部位に、
    前記インク流路の空隙を形成する犠牲層の除去工程とを
    有することを特徴とするプリンタヘッド。
JP2001030745A 2001-02-07 2001-02-07 プリンタヘッドの製造方法及びプリンタヘッド Pending JP2002225284A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001030745A JP2002225284A (ja) 2001-02-07 2001-02-07 プリンタヘッドの製造方法及びプリンタヘッド

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001030745A JP2002225284A (ja) 2001-02-07 2001-02-07 プリンタヘッドの製造方法及びプリンタヘッド

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2002225284A true JP2002225284A (ja) 2002-08-14

Family

ID=18894920

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2001030745A Pending JP2002225284A (ja) 2001-02-07 2001-02-07 プリンタヘッドの製造方法及びプリンタヘッド

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2002225284A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2012226021A (ja) * 2011-04-16 2012-11-15 Mitsuteru Kimura 添加物入りフォトレジストとこれを用いた構造体

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2012226021A (ja) * 2011-04-16 2012-11-15 Mitsuteru Kimura 添加物入りフォトレジストとこれを用いた構造体

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2005205916A (ja) モノリシック・インクジェット・プリントヘッドの製造方法
JPH0911479A (ja) インクジェットヘッドの製造方法
JP2003145780A (ja) インクジェットプリントヘッドの製造方法
JP2005178364A (ja) インクジェット記録ヘッドの製造方法、インクジェット記録ヘッドおよびインクジェットカートリッジ
JP2005104156A (ja) インクジェットプリントヘッドの製造方法
CN102398423B (zh) 液体喷射头的制造方法
US10343406B2 (en) Liquid ejection head manufacturing method
JP2009061669A (ja) インクジェット記録ヘッド用基板の製造方法、インクジェット記録ヘッド及びその製造方法
US7323115B2 (en) Substrate processing method and ink jet recording head substrate manufacturing method
US7637013B2 (en) Method of manufacturing ink jet recording head
US6409931B1 (en) Method of producing ink jet recording head and ink jet recording head
JP2007083711A (ja) インクジェット記録ヘッドの製造方法
JP2002225284A (ja) プリンタヘッドの製造方法及びプリンタヘッド
US8623674B2 (en) Method of manufacturing liquid ejection head substrate
JP4221638B2 (ja) プリンタヘッドの製造方法及び静電アクチュエータの製造方法
JP3283979B2 (ja) 液体噴射記録ヘッドの製造方法
JP2002240307A (ja) インクジェット記録ヘッドの製造方法およびその製造方法によるインクジェット記録ヘッド
KR100701131B1 (ko) 잉크 제트 기록 헤드의 제조방법 및 제조방법에 의해제조된 잉크 제트 기록 헤드
JP3266582B2 (ja) 形状記憶合金を利用したプリンタヘッド及びその製造方法
JP6545077B2 (ja) 液体吐出ヘッドの製造方法
US10744771B2 (en) Method of manufacturing liquid ejection head and method of manufacturing structure
JP2003089207A (ja) インクジェットヘッド及びその製造方法
JP2002326363A (ja) 液体吐出ヘッドの製造方法
JP2006082331A (ja) インクジェット記録ヘッドの製造方法
JP3064439B2 (ja) インクジェットヘッドの製造方法