JP2002221252A - 制振ダンパー - Google Patents

制振ダンパー

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JP2002221252A
JP2002221252A JP2001018101A JP2001018101A JP2002221252A JP 2002221252 A JP2002221252 A JP 2002221252A JP 2001018101 A JP2001018101 A JP 2001018101A JP 2001018101 A JP2001018101 A JP 2001018101A JP 2002221252 A JP2002221252 A JP 2002221252A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 微小振動から大振動にいたるあらゆる振動入
力に対して、ダンパー自体が破壊することなく制振機能
を有する、コンパクトな構造の制振ダンパーを得る。 【解決手段】 軸材1が挿入され、その先端部が底部7
に連結された有底筒状の内側補剛管2と、内側補剛管2
の外周上に同心状に配置され、内側補剛管2と粘弾性体
3を介して結合された外管4とを備えた構成とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は建築物等の構造物に
使用される制振ダンパーに関するものである。
【0002】
【従来の技術】図10は、例えば特開平11−2802
94号公報に開示されている従来の粘弾性ダンパーの構
成図である。図において、伸縮用間隙110を介して第
1心材103及び第2心材104が直列配置され、第1
心材103の側面に、第1心材103を包囲して対向配
置した1組の溝形鋼106と粘弾性シート109を積層
粘着し、この溝形鋼106の端部を第2心材104に固
着している。
【0003】また、図11は、例えば特開平10−85
54号公報に開示されている従来の複合ダンパーの構成
図である。図において、各上端を上辺梁部材112にピ
ン接合された一対の斜方ブレース118は、各下端をピ
ン接合されて直列配置した弾塑性ダンパー120及び粘
性ダンパー122を介して、下辺梁部材113に結合さ
れている。
【0004】従来の制振ダンパーは上記のように、例え
ば、粘弾性ダンパーは、粘弾性体のせん断変形により振
動エネルギーを吸収することで制振効果が得られるよう
になっており、対向する剛性材料間に粘弾性体を接着介
在させた構成である。
【0005】また、複合ダンパーは、粘弾性ダンパーま
たは粘性ダンパーと、塑性変形により振動エネルギーを
吸収する弾塑性ダンパーとを、並列または直列に組合わ
せ配置することで制振効果が得られるようになってお
り、弾塑性ダンパーは通常板状または筒状の金属からな
る構成である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】建築物等の構造物にお
いては、外乱として風や小地震等の比較的小さな振動が
繰り返し入力される場合や構造物に大きな変形をもたら
す地震等の大きな振動が入力される場合等さまざまな大
きさの振動入力があるが、そのいずれに対しても制振機
能が要求される。しかしながら、従来の制振ダンパーで
は、コンパクトな構成で、かつ、上記に示すような小さ
な振動から大きな振動までのすべての振動入力に対して
大きな制振効果を得ることは困難であった。
【0007】例えば、粘弾性ダンパーまたは粘性ダンパ
ーは、対象と考える振動の大きさに応じて粘弾性体また
は粘性体の材料選択ができるため、微小振動の範囲にお
いてのみ制振機能を有する場合や、比較的大きな振動の
範囲においてのみ制振機能を有する場合などさまざまな
設計が可能であるが、制振対象とする外乱の振動範囲が
限定されるという問題点があった。微小振動に最大効果
を発揮するように設計された粘弾性ダンパーを使用した
場合、大振動に対して制振効果が得られないばかりか、
構造物の耐震設計以上の外乱入力に対しては許容せん断
ひずみ量を超え、破壊する可能性があった。
【0008】弾塑性ダンパーは、大きな振動に対しては
制振効果を発揮するが、降伏する変位より小さな振動に
対しては振動エネルギーを吸収しないため、ダンパーと
して機能しないという問題点があった。また、ダンパー
の構造によっては、圧縮の際に座屈し、それ以降、所望
の使用ができなくなる可能性があった。
【0009】複合ダンパーは、粘弾性ダンパーまたは粘
性ダンパーと弾塑性ダンパーとを直列または並列に組合
わせ配置することにより、それぞれの特徴を併せ持つこ
とができる。しかしながら、並列に配置した場合には、
外乱の振動は粘弾性ダンパーまたは粘性ダンパーと弾塑
性ダンパーのそれぞれに独立して入力されるため、微小
振動が入力された場合、弾塑性ダンパーの剛性が高いた
め、粘弾性ダンパーまたは粘性ダンパーの変位が拘束さ
れてエネルギー吸収量が低くなり、微小振動範囲におい
て制振効果がほとんど得られないという問題点があっ
た。また、直列または並列いずれの配置の場合にも、弾
塑性ダンパーの方式によっては、圧縮の際に座屈し、そ
れ以降、所望の使用ができなくなる可能性があった。さ
らに、個々の粘弾性ダンパーまたは粘性ダンパーと弾塑
性ダンパーを組合わせて使用しているため、構造的に大
きくなり、建築物等の設計上配置する位置に制限が生じ
るという問題点があった。また、大きな外乱により制振
ダンパーが損傷を受け、新品に交換する必要が生じた場
合、制振ダンパー全体の取り替えとなり、多大な費用が
発生した。
【0010】本発明は、このような問題点を解決するた
めになされたものであり、微小振動から大振動にいたる
あらゆる振動入力に対して、ダンパー自体が破壊するこ
となく制振機能を有する、コンパクトな構造の制振ダン
パーを得ることを目的とする。また、本発明の他の目的
は、大きな外乱により制振ダンパーに損傷が生じた場
合、その損傷部分のみを容易に交換できる制振ダンパー
を得ることにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明は、弾塑性ダンパ
ー部と粘弾性ダンパー部とを同心状に配置した制振ダン
パーであり、その特徴とするところは、軸材が挿入さ
れ、その先端部が底部に連結された有底筒状の内側補剛
管と、前記内側補剛管の外周上に同心状に配置され、該
内側補剛管と粘弾性体を介して結合された外管と、を備
えたことにある。
【0012】本発明に係る制振ダンパーは、構造物が外
力により振動し相対変位を生じる部位に両端の継手を緊
結し、構造物の相対変位に合わせて変形するものであ
る。この制振ダンパーの履歴曲線モデルを図2に示す。
軸材と内側補剛管とからなる弾塑性ダンパー部はバイリ
ニアとし、内側補剛管と外管と粘弾性体とからなる粘弾
性ダンパー部は速度依存としている。弾塑性ダンパー部
と粘弾性ダンパー部は力学経路的に直列に配置されるた
め、両方に作用する力は常に同じである。変位が小さい
範囲では、軸材は弾性変形の範囲で、粘弾性体のみがエ
ネルギー吸収を行う(図2(イ)参照)。変位が大きく
なると、軸材が降伏して粘弾性体と軸材の両方でエネル
ギー吸収を行う(図2(ロ)参照)。この時、弾塑性ダ
ンパー部の耐力には上限があり、粘弾性体にそれ以上の
力は作用しない。従って、本発明の制振ダンパーは、小
さな振動から大きな振動まですべての外乱入力に対して
制振効果を発揮する。しかもコンパクトな構造となる。
【0013】また、本発明の制振ダンパーは、以下のよ
うな特徴を有する。 (1)前記内側補剛管は、外周上に同心状に連結された
第2の外管を有し、該第2の外管と前記外管との相互間
を粘弾性体を介して結合してなる。 (2)前記外管は、外周上に同心状に連結された第3の
外管を有し、さらに該第3の外管と前記第2の外管との
相互間を粘弾性体を介して結合してなる。 (3)前記内側補剛管と前記外管を結合する少なくとも
一層の粘弾性体からなる結合部が前記軸材の耐力よりも
大きい耐力を持つ。 (4)前記外管もしくは最外周側の前記第3の外管と継
手部材、並びに前記軸材と前記内側補剛管の底部とをそ
れぞれ着脱自在に連結する。 (5)前記軸材が低降伏点鋼からなる。 (6)前記内側補剛管及び前記第2の外管並びに前記外
管及び前記第3の外管は、断面形状が相似形である。 (7)前記内側補剛管以外の前記外管もしくは前記第2
の外管または前記第3の外管は、周方向に複数に分割し
てなる。 (8)前記軸材は平鋼からなり、前記内側補剛管は該平
鋼が対角配置される角形断面を有する。 (9)前記軸材は十字形断面を有する。 (10)前記内側補剛管及び前記第2の外管並びに前記
外管及び前記第3の外管は、断面形状が円形である。
【0014】前記特徴のうち(1)、(2)の構成によ
れば、粘弾性ダンパー部を同心状に多重に設けることが
できるので、微小振動に対しても感度がよくなり、制振
効果が向上する。(3)の構成によれば、内側補剛管と
外管を結合する少なくとも一層の粘弾性体からなる結合
部が軸材の耐力よりも大きい耐力を持つようにすれば、
その粘弾性ダンパー部の耐力以上の大きな振動エネルギ
ーが入力された場合、弾塑性ダンパー部が軸材の塑性変
形により振動エネルギーを吸収するため、本発明の制振
ダンパー全体が負担する軸力は軸材の耐力以上には上昇
しないため、粘弾性ダンパー部の破壊を防ぐことができ
る。(4)の構成によれば、外管もしくは最外周側の第
3の外管を継手部材から取り外し、さらに軸材を内側補
剛管から取り外すことができるので、大きな外乱により
軸材または粘弾性ダンパー部が損傷を受けた場合に、こ
の制振ダンパー全体を取り替えることなく、損傷を受け
た軸材または粘弾性ダンパー部のみを取り替えればよい
ので、経済的となる。(5)の構成によれば、軸材の降
伏点が低くなるため、弾塑性ダンパー部が機能する外乱
の振動範囲を拡大することができ、エネルギー吸収能力
を大きくすることができる。
【0015】
【発明の実施の形態】実施の形態1.図1は本発明の実
施の形態1に係る制振ダンパーの構成図であり、(イ)
は縦断面図、(ロ)は(イ)のA−A断面の拡大図を示
している。図において、1は軸材、2は軸材1が挿入さ
れ、その先端部が底部に連結された有底筒状の内側補剛
管、4は内側補剛管2の外周上に同心状に配置された外
管、3は内側補剛管2の外面及び外管4の内面に接着し
て固設された粘弾性体、5は軸材1及び外管4の基端部
にそれぞれ連結された適当な継手部材で、建築物の骨組
(図示せず)にボルト結合するための複数のボルト通し
孔が設けられている。6は有底筒状の内側補剛管2の底
部を構成する部材で、軸材1の先端部を連結するための
連結部材である。なお、継手部材5は軸材1の基端部及
び外管4の基端部を固定する手段であればどのようなも
のでもよい。
【0016】軸材1は、この例では断面矩形状の平鋼か
らなっている。また、内側補剛管2は断面が角形からな
り、内側補剛管2の内側角部に軸材1が対角配置されて
いる。軸材1と内側補剛管2との間には小さな隙間が設
けられており、軸材1の側部は内側補剛管2によって軸
方向には拘束されないようになっている。外管4は断面
が内側補剛管2と同様の角形からなり、内側補剛管2の
外周上に同心状に配置される。
【0017】軸材1は先端部を内側補剛管2の底部を構
成する連結部材6に、基端部を継手部材5に連結されて
おり、主として軸材1と有底筒状の内側補剛管2から弾
塑性ダンパー部が構成されている。この弾塑性ダンパー
部に軸材1の耐力以上の引張力が作用したときには、軸
材1が軸方向に伸びることにより振動エネルギーを吸収
し、逆に、圧縮力が作用したときには、軸材1が軸方向
に縮むことにより振動エネルギーを吸収する。この時、
内側補剛管2に隙間を設けて軸材1を対角配置で挿入し
ているため、平鋼からなる軸材1が軸方向に直角の方向
(すなわち板厚方向)に撓んで座屈するのを内側補剛管
2の角部で拘束し、これにより軸材1が軸方向にだけ変
形するようにしてエネルギー吸収能力を大きくするよう
にしている。
【0018】外管4の基端部に連結された継手部材5
は、そのエンドプレート7と内側補剛管2の底部を構成
する連結部材6との間に隙間8を設けて対向配置されて
いる。さらに、粘弾性体3が内側補剛管2と外管4の間
に配置され内側補剛管2の外面及び外管4の内面に接着
固設されることによって、内側補剛管2、粘弾性体3及
び外管4から粘弾性ダンパー部が構成され、上記弾塑性
ダンパー部と同心状に配置されている。この粘弾性ダン
パー部は、比較的小さな振動が入力されたとき、内側補
剛管2と外管4の相対変位により粘弾性体3がせん断変
形することにより振動エネルギーを吸収する。
【0019】なお、上記連結部材6は、筒状の内側補剛
管2に軸材1の先端部を剛に結合するものであれば、形
状、材質、連結方法等は問われない。また、外管4は管
に限ることなく、後述するように分割体の組合わせでも
よい。
【0020】上記のように本実施の形態の制振ダンパー
は、軸材1と内側補剛管2からなる弾塑性ダンパー部
と、内側補剛管2、粘弾性体3及び外管4からなる粘弾
性ダンパー部とを同心状に配した構成であり、弾塑性ダ
ンパー部と粘弾性ダンパー部が機能的に直列配置された
複合ダンパーとなっている。すなわち、本発明の制振ダ
ンパーに入力される振動は、必ず弾塑性ダンパー部の軸
材1及び粘弾性ダンパー部の粘弾性体3を経路として伝
達される。
【0021】軸材1の耐力より小さな振動エネルギーが
入力された場合には、軸材1の弾性変形範囲であるた
め、弾塑性ダンパー部は機能せず、粘弾性ダンパー部の
みが作用して粘弾性体3のせん断変形により振動エネル
ギーを吸収する。軸材1の耐力以上の大きな振動エネル
ギーが入力された場合には、弾塑性ダンパー部も作用し
て軸材1の軸方向の塑性変形により振動エネルギーを吸
収する。軸材1を低降伏点鋼で構成すると、弾塑性ダン
パー部が機能する外乱の振動範囲が広がるとともにエネ
ルギー吸収能力が大きくなるため、さらによい。
【0022】また、粘弾性ダンパー部が軸材1の耐力よ
りも大きい耐力を持つように構成することにより、粘弾
性ダンパー部の耐力以上の大きな振動エネルギーが入力
された場合には、弾塑性ダンパー部が軸材1の塑性変形
により振動エネルギーを吸収するため、本発明の制振ダ
ンパー全体が負担する軸力は軸材1の耐力以上には上昇
せず、粘弾性ダンパー部が破壊されることはない。さら
に、内側補剛管2は軸材1の座屈を防止するよう補剛し
ているため、大きい振動入力に対して機能した以降も、
所望の使用は可能である。
【0023】また、弾塑性ダンパー部と粘弾性ダンパー
部が機能的に直列配置された複合ダンパーであるにもか
かわらず、粘弾性ダンパー部が弾塑性ダンパー部の外周
にコンパクトに配置されているため、建築物等の設計に
おいて本発明の制振ダンパー設置位置等の自由度が大き
くなり、かつ、現場での据付施工及び補修の際の交換も
容易である。
【0024】この実施の形態1については、軸材1、内
側補剛管2及び外管4について種々の態様が考えられ
る。図3〜図5はこれら他の態様の説明である。以下、
図3〜図5に基づいて他の態様を説明する。図3に示し
たものは、外管4が周方向に複数に分割された分割体か
ら構成されたもので、(イ)は一つの例、(ロ)は別の
例である。また、図4に示したものは、軸材1を平鋼か
ら断面十字形のものにしたもので、(イ)は外管4が角
形鋼管、(ロ)は外管4が分割体から構成されたもので
ある。さらに、図5に示したものは、図4における内側
補剛管2及び外管4を円形にしたもので、(イ)は外管
4が円形鋼管、(ロ)は外管4が分割体から構成された
一つの例、(ハ)は外側補剛管4が分割体から構成され
た別の例である。粘弾性体3は、粘弾性ダンパー部が負
担する外乱の振動エネルギーの範囲や大きさを考慮し、
その粘弾性特性、厚さ及び接着面積を選択できる。
【0025】実施の形態2.図6は本発明の実施の形態
2に係る制振ダンパーの構成図であり、(イ)は縦断面
図、(ロ)は(イ)のB−B断面図を示している。本実
施の形態は、実施の形態1における内側補剛管2の外周
上に第2の外管9を設けた例を示すもので、同様に弾塑
性ダンパー部と粘弾性ダンパー部が同心状に配置された
複合ダンパーである。第2の外管9は、内側補剛管2の
開口端側においてリング状の連結板10により一端が連
結されている。実施の形態1と同じ構成の外管4は第2
の外管9と内側補剛管2の間に同心状に挿入され、同様
の粘弾性体3を介して外管4、第2の外管9及び内側補
剛管2の相互間が結合される。その際、外管4の開口端
と連結板10との間には前記隙間8と同程度の隙間11
が設けられている。
【0026】この実施の形態では、外管4の内外に粘弾
性ダンパー部が二重に構成されるので、実施の形態1に
比べて、粘弾性体3の体積を増大させることができ、小
さい振動変位の範囲での粘弾性体3のせん断変形による
エネルギー吸収能力を増大させることができる。また、
この実施の形態における粘弾性ダンパー部の耐力は、内
側補剛管2と外管4を結合する少なくとも一層の粘弾性
体3からなる結合部の耐力が軸材1の耐力よりも大きい
ものであればよく、実施の形態1と同様に粘弾性ダンパ
ー部の耐力以上の大きな振動エネルギーが入力した場合
でも、本発明の制振ダンパー全体が負担する軸力は軸材
1の耐力以上には上昇しないため、粘弾性ダンパー部が
破壊されることはない。弾塑性ダンパー部は、実施の形
態1と同様の構成となっているので、その作用効果は上
記と同様である。
【0027】この実施の形態2についても、軸材1、内
側補剛管2、外管4及び第2の外管9について種々の態
様が考えられ、上に述べた各種の変形例を適用できる。
例えば、第2の外管9を図3〜図5に示すような分割体
にすることなどである。
【0028】実施の形態3.図7は本発明の実施の形態
3に係る制振ダンパーの構成図であり、(イ)は縦断面
図、(ロ)は(イ)のC−C断面図を示している。本実
施の形態は、実施の形態2の構成に加えて、外管4の外
周上に第3の外管12を設けた例を示すものである。第
3の外管12は基端部を継手部材5のエンドプレート7
に連結されている。内側補剛管2は実施の形態2と同様
に第2の外管9を有する。そして、第3の外管12が最
外側に位置するように、内側補剛管2、外管4、第2の
外管9、第3の外管12を相互に嵌合し、これらの相互
間を粘弾性体3で結合してなるものである。
【0029】この実施の形態においても、弾塑性ダンパ
ー部と複数重ね合わせた粘弾性ダンパー部が同心状に配
置された複合ダンパーである。従って、粘弾性ダンパー
部が多重に構成され、実施の形態1に比べて、粘弾性体
3の体積を3倍以上にすることができるため、小さい振
動変位の範囲での粘弾性体3のせん断変形によるエネル
ギー吸収能力を3倍以上にすることができる。実施の形
態2に比べてさらに制振効果が大きい。
【0030】弾塑性ダンパー部は、実施の形態1と同様
の構成、作用効果を有するものである。また、上記より
理解されるように、第2の外管9、第3の外管12を複
数設けることにより、更なる多重の粘弾性ダンパー部を
構成することができ、小さい振動変位の範囲でのエネル
ギー吸収能力を向上させることができる。また、この実
施の形態3における軸材1、内側補剛管2、外管4、第
2の外管9、第3の外管12についても図3〜図5のよ
うな種々の態様が考えられる。以上の内側補剛管2、外
管4、第2の外管9、第3の外管12の断面形状は、ス
ペースを小さくするためには相似形とするのが好まし
い。
【0031】なお、上述の実施例においては、軸材1と
して平鋼及び断面十字形の形状のものを例示したが、本
発明ではそれらに限定されるものではなく、他の同様な
機能を有する形状のものを用いてもよい。
【0032】実施の形態4.図8は本発明の実施の形態
4に係る制振ダンパーの構成図であり、(イ)は縦断面
図、(ロ)は(イ)のD−D断面図、(ハ)は(イ)の
E−E断面図を示している。本実施の形態は、粘弾性ダ
ンパー部及び軸材1の取り替えを可能にするものであ
る。すなわち、内側補剛管2の底部を構成する連結部材
6に軸材1を挿通する開口部13を設け、軸材1の先端
部を開口部13を通して突出させ、上下2つのL型の金
物14で軸材1の先端部をボルト15により挾着し、さ
らに各L型の金物14を連結部材6にボルト15で固定
してなるものである。また、外管4を連結する継手部材
5のエンドプレート部をボックス型に構成し、このボッ
クス部16に外管4の基端部をボルト17で固定する構
造となっている。
【0033】この実施の形態によれば、粘弾性ダンパー
部または軸材1が大きな外乱により損傷した場合、継手
部材5のボックス部16のボルト17を取り外すことに
より外管4を継手部材5から取り外し、ついで、金物1
4のボルト15を取り外すことにより、軸材1を内側補
剛管2から抜き取ることができ、またこれと逆の手順で
軸材1及び粘弾性ダンパー部を取り付けることができ
る。従って、粘弾性ダンパー部が損傷した場合には、内
側補剛管2、粘弾性体3、及び外管4からなる粘弾性ダ
ンパー部を新品と容易に交換することができ、軸材1が
損傷した場合には軸材1のみを新品と容易に交換するこ
とができる。従って、本制振ダンパー全体の交換を要す
ることなく、損傷部分の粘弾性ダンパー部または軸材1
のみを容易に交換できるので、費用の節減になる。ま
た、図示は省略するが、粘弾性ダンパー部が図7で示し
たような最外周側の第3の外管12をもつ場合、第3の
外管12と外管4の各基端を連結板10と同様なリング
状の連結板で連結し、そのうえで第3の外管12を図8
に示すような継手部材5のボックス部16と例えばボル
ト17で連結する。ボックス部16と第3の外管12と
の連結手段はネジや一般的な即脱着式のカップリング手
段などを用いてもよい。また、前記のL型の金物14は
直接内側補剛管2に溶接接合することもでき、この場合
は連結部材6が不要となる。また、軸材1が十字形断面
のものであっても4個のL型の金物を用いることによ
り、同様に着脱自在に取り付けることが可能である。
【0034】図9は本発明の建築物への適用例を示す図
で、20は本発明の制振ダンパー、30は建築物の骨組
であり、各層間の入力変位を受けるように本発明の制振
ダンパー20がブレース材として設置されている。本発
明の制振ダンパー20が設置された建築物においては、
上述したようにあらゆる範囲の外乱による振動に対して
エネルギー吸収が効果的に行われるため、居住性の向
上、耐震性の向上が得られる。また、コンパクトな構成
であるため、設置位置等の設計上の自由度が大きく、現
場での据付施工及び補修の際の交換も容易である。上記
の説明では本発明をブレース材に利用する場合について
述べたが、制振壁やブレースの一部に組み入れて利用す
ることもできる。
【0035】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
弾塑性ダンパー部と粘弾性ダンパー部とを同心状に配置
したものであるから、コンパクトな構成で、小さな振動
から大きな振動まですべての外乱入力に対して大きな制
振効果を得ることができる。また、内側補剛管、外管及
びこれらを結合する少なくとも一層の粘弾性体からなる
粘弾性ダンパー部を軸材の耐力よりも大きい耐力を持つ
構成とすることにより、粘弾性ダンパー部が破壊される
ことなく所望の制振効果を得ることができる。また、外
管もしくは最外周側の第3の外管と継手部材、並びに軸
材と内側補剛管の底部とをそれぞれ着脱自在に連結する
構成としたので、大きな外乱により損傷した場合にはこ
の制振ダンパー全体を取り替える必要はなく、損傷部分
の粘弾性ダンパー部または軸材のみを交換すればよいの
で、経済的である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1に係る制振ダンパーの構
成図で、(イ)は縦断面図、(ロ)は同図(イ)のA−
A断面の拡大図である。
【図2】この制振ダンパーの履歴曲線モデルの一例を示
す図で、(イ)は微小変形時、(ロ)は大変形時の場合
である。
【図3】実施の形態1の他の態様の説明図である。
【図4】実施の形態1の他の態様の説明図である。
【図5】実施の形態1の他の態様の説明図である。
【図6】本発明の実施の形態2に係る制振ダンパーの構
成図で、(イ)は縦断面図、(ロ)は同図(イ)のB−
B断面図である。
【図7】本発明の実施の形態3に係る制振ダンパーの構
成図で、(イ)は縦断面図、(ロ)は同図(イ)のC−
C断面図である。
【図8】本発明の実施の形態4に係る制振ダンパーの構
成図で、(イ)は縦断面図、(ロ)は同図(イ)のD−
D断面図、(ハ)は同図(イ)のE−E断面図である。
【図9】本発明における制振ダンパーの適用例を示す図
である。
【図10】従来の粘弾性ダンパーの縦断面図である。
【図11】従来の複合ダンパーの構成図である。
【符号の説明】
1 軸材 2 内側補剛管 3 粘弾性体 4 外管 5 継手部材 6 内側補剛管の底部(連結部材) 7 エンドプレート 9 第2の外管 10 連結板 12 第3の外管 13 開口部 14 金物 16 継手部材のボックス部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 伊藤 茂樹 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 Fターム(参考) 3J048 AA01 AC05 AD16 BD08 BG06 DA04 EA38

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 軸材が挿入され、その先端部が底部に連
    結された有底筒状の内側補剛管と、 前記内側補剛管の外周上に同心状に配置され、該内側補
    剛管と粘弾性体を介して結合された外管と、を備えたこ
    とを特徴とする制振ダンパー。
  2. 【請求項2】 前記内側補剛管は、外周上に同心状に連
    結された第2の外管を有し、該第2の外管と前記外管と
    の相互間を粘弾性体を介して結合してなることを特徴と
    する請求項1記載の制振ダンパー。
  3. 【請求項3】 前記外管は、外周上に同心状に連結され
    た第3の外管を有し、さらに該第3の外管と前記第2の
    外管との相互間を粘弾性体を介して結合してなることを
    特徴とする請求項2記載の制振ダンパー。
  4. 【請求項4】 前記内側補剛管と前記外管を結合する少
    なくとも一層の粘弾性体からなる結合部が前記軸材の耐
    力よりも大きい耐力を持つことを特徴とする請求項1乃
    至3のいずれかに記載の制振ダンパー。
  5. 【請求項5】 前記外管もしくは最外周側の前記第3の
    外管と継手部材、並びに前記軸材と前記内側補剛管の底
    部とをそれぞれ着脱自在に連結することを特徴とする請
    求項1乃至4のいずれかに記載の制振ダンパー。
  6. 【請求項6】 前記軸材が低降伏点鋼からなることを特
    徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の制振ダンパ
    ー。
  7. 【請求項7】 前記内側補剛管及び前記第2の外管並び
    に前記外管及び前記第3の外管は、断面形状が相似形で
    あることを特徴とする請求項2乃至6のいずれかに記載
    の制振ダンパー。
  8. 【請求項8】 前記内側補剛管以外の前記外管もしくは
    前記第2の外管または前記第3の外管は、周方向に複数
    に分割してなることを特徴とする請求項2乃至7のいず
    れかに記載の制振ダンパー。
  9. 【請求項9】 前記軸材は平鋼からなり、前記内側補剛
    管は該平鋼が対角配置される角形断面を有することを特
    徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載の制振ダンパ
    ー。
  10. 【請求項10】 前記軸材は十字形断面を有することを
    特徴とする請求項1乃至9のいずれかに記載の制振ダン
    パー。
  11. 【請求項11】 前記内側補剛管及び前記第2の外管並
    びに前記外管及び前記第3の外管は、断面形状が円形で
    あることを特徴とする請求項2乃至10のいずれかに記
    載の制振ダンパー。
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