JP2002220380A - アミドチアゾール誘導体エステル化合物の製造方法 - Google Patents

アミドチアゾール誘導体エステル化合物の製造方法

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JP2002220380A
JP2002220380A JP2001017849A JP2001017849A JP2002220380A JP 2002220380 A JP2002220380 A JP 2002220380A JP 2001017849 A JP2001017849 A JP 2001017849A JP 2001017849 A JP2001017849 A JP 2001017849A JP 2002220380 A JP2002220380 A JP 2002220380A
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carbon atoms
reaction
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Yoshihiro Hirota
吉洋 廣田
Tomonori Matsunaga
智徳 松永
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Tokuyama Corp
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Tokuyama Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 セファロスポリン系抗生物質の中間体として
有用なアミドチアゾール誘導体エステル化合物を簡便に
高純度で得る製造方法を提供する。 【解決手段】 縮合剤を用いてtert−ブトキシカル
ボニル−L−アラニン等のN−保護アミノ酸化合物と2
−(2−アミノチアゾール−4−イル)−2−(Z)−
メトキシイミノ酢酸エチル等のアミノチアゾール誘導体
エステル化合物とを縮合させて、2−(2−tert−
ブトキシカルボニル−L−アラニルアミノチアゾール−
4−イル)−2−(Z)−メトキシイミノ酢酸エチル等
のアミドチアゾール誘導体エステル化合物を製造する方
法において、縮合剤としてo−トルオイルクロライド等
のカルボン酸ハライド化合物をN−メチルモルフォリン
等の三級アミン化合物と組み合わせて使用する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、N−保護アミノ酸
化合物とアミノチアゾール誘導体エステル化合物とから
アミドチアゾール誘導体エステル化合物を製造する方法
に関する。
【0002】
【従来の技術】アミノチアゾール誘導体は、医薬品製造
の中間体として有用な化合物であり、セファロスポリン
系等の抗生物質の側鎖として用いられる重要な化合物で
ある。例えば、7−アミノセファロスポラン酸等のβ−
ラクタム系化合物にアミド化反応によってアミノチアゾ
ール誘導体が結合することによって抗生物質の基本骨格
が作られている。
【0003】セファロスポリン系抗生物質は、一般的に
幅広い抗菌スペクトルを有し、副作用も少ないことか
ら、注目を集めている抗生物質である。しかしながら、
アミノチアゾール誘導体とβ−ラクタム系化合物から合
成されたセファロスポリン誘導体は一般的に消化管吸収
性が悪いという問題点があった。そこで、アミノチアゾ
ール誘導体のアミノ基をペプチダーゼのような生体内酵
素等で容易に切断されるアミノ酸の様な化合物で保護し
て得られる中間体とβ−ラクタム系化合物と反応させる
ことにより、消化管吸収性の高いセファロスポリン誘導
体(プロドラッグタイプセファロスポリン誘導体ともい
う。)を得る技術が開発されている。
【0004】この様なプロドラッグタイプセファロスポ
リン誘導体としては、下記式(IV)
【0005】
【化4】
【0006】(式中、R7は、1−アルカノイルオキシ
アルキル基又は1−アルコキシカルボニルオキシアルキ
ル基である。)で示されるプロドラッグタイプセファロ
スポリン誘導体が知られており、その消化管吸収性の良
さから該誘導体の需要は益々高まってきている。
【0007】このため、上記プロドラッグタイプセファ
ロスポリン誘導体の重要中間体である下記式(III)
【0008】
【化5】
【0009】{式中、R1はアミノ基の保護基であり、R
2は水素原子、炭素数1〜6の飽和炭化水素基、又は炭
素数2〜10の不飽和炭化水素基であり、R3は炭素数
1〜7のアルキル基、又は炭素数7〜11のアラルキル
基であり、Yは下記式 =N−R4、または =CH−R5 (式中、R4は炭素数1〜7のアルキルオキシ基、又は
炭素数7〜19のアラルキルオキシ基であり、R5は水
素原子、炭素数1〜7のアルキル基、炭素数7〜19の
アラルキル基、炭素数1〜7のアルキルオキシ基、又は
炭素数7〜19のアラルキルオキシ基である。)で示さ
れる2価の基、又は単結合で炭素原子と結合する2つの
水素原子である。}で示されるアミドチアゾール誘導体
エステル化合物を高純度で収率良く製造することが重要
となっている。なお、該アミドチアゾール誘導体エステ
ル化合物については、その用途との関係から、光学純度
の高いものが望まれている。
【0010】このアミドチアゾール誘導体エステル化合
物の合成方法としては、N−保護アミノ酸化合物を、
縮合剤としてのジシクロヘキシルカルボジイミドの存在
下にN−ヒドロキシコハク酸イミドと反応させてコハク
酸イミド体を合成した後、さらにアミノチアゾール誘導
体エステル化合物と反応させてアミドチアゾール誘導体
エステル化合物を単離収率112.4%(文献記載の値
に基づく計算値。収率が100%を越えていることか
ら、このとき単離されたものは不純物を含んでいるもの
と思われる。)で合成する方法(特開昭58−1804
91号公報)、及びN−保護アミノ酸化合物とアミノ
チアゾール誘導体エステル化合物とを4−ジメチルアミ
ノピリジンの存在下に、縮合剤として水溶性カルボジイ
ミドである1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロ
ピル)カルボジイミド塩酸塩と反応させて、アミドチア
ゾール誘導体エステル化合物を単離収率67.5%で合
成する方法(特開平3−204883号公報)が知られ
ている。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記特
開昭58−180491号公報に記載されている方法で
は、N−tert−ブトキシカルボニル−L−アラニン
とN−ヒドロキシコハク酸イミドとからジシクロヘキシ
ルカルボジイミドを用いてコハク酸イミド体を合成させ
たときに難溶性ウレア体が副生するため、これを濾過し
てから2−(2−アミノチアゾール−4−イル)−2−
メトキシイミノ酢酸メチルエステルと反応させる必要が
あり、工程が煩雑であるという問題がある。また、単離
収率が112.4%(文献記載の値に基づく計算値)
と、収率が100%を越えていることから、この時単離
された物は不純物を含んでいるものと思われ、さらに定
量的に進行する次工程後の単離収率が69.3%である
ことから、真の縮合収率は、70%程度の低い値であっ
たと予測される。
【0012】また、上記特開平3−204883号公報
に記載されている方法では、目的物であるアミドチアゾ
ール誘導体エステル化合物の単離収率は約67.5%と
低く、反応途中で除去する必要はないものの、最終的に
は除去しなければならない副生物として、水溶性ウレア
体が副生するという問題があった。
【0013】このように、前記(III)式で示されるア
ミドチアゾール誘導体エステル化合物、特に光学純度の
高い該アミドチアゾール誘導体エステル化合物を高純度
且つ高収率で製造する方法は知られておらず、このよう
な方法の開発が望まれている。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、かかる実
状に鑑み、先ず上記従来方法の反応機構について検討を
行った。その結果、ジシクロヘキシルカルボジイミドや
1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボ
ジイミド塩酸塩等のカルボジイミド系縮合剤を用いた場
合には、反応経路の一つとしてN−保護アミノ酸化合物
の酸無水物を経由する反応経路があり、該酸無水物とア
ミノチアゾール誘導体エステル化合物との反応が極めて
遅いため収率が低くなっていることをつきとめた。
【0015】そして、該知見に基づき、上記のような反
応性の低い酸無水物を経由せずに反応を進行させる縮合
剤について種々検討を行なったところ、三級アミン化合
物の存在下、縮合剤としてカルボン酸ハライド化合物を
用いることにより、除去困難なウレア体等を副生するこ
となく、高い収率で目的物が得られることを見出し、本
発明を完成するに至った。
【0016】即ち、本発明は、下記一般式(I)
【0017】
【化6】
【0018】(式中、R1はアミノ基の保護基であり、
2は水素原子、炭素数1〜6の飽和炭化水素基、又は
炭素数2〜10の不飽和炭化水素基である。)で示され
るN−保護アミノ酸化合物と、下記一般式(II)
【0019】
【化7】
【0020】{式中、R3は炭素数1〜7のアルキル基、
又は炭素数7〜11のアラルキル基であり、Yは下記式 =N−R4、または =CH−R5 (式中、R4は炭素数1〜7のアルキルオキシ基、又は
炭素数7〜19のアラルキルオキシ基であり、R5は水
素原子、炭素数1〜7のアルキル基、炭素数7〜19の
アラルキル基、炭素数1〜7のアルキルオキシ基、又は
炭素数7〜19のアラルキルオキシ基である。)で示さ
れる2価の基、又は単結合で炭素原子と結合する2つの
水素原子である。}で示されるアミノチアゾール誘導体
エステル化合物とを縮合剤を用いて縮合させて、下記一
般式(III)
【0021】
【化8】
【0022】{式中、R1及びR2は、それぞれ前記一般
式(I)におけるR1及びR2と同義であり、R3及びY
は、それぞれ前記一般式(II)におけるR3及びYと同
義である。}で示されるアミドチアゾール誘導体エステ
ル化合物を製造する方法において、縮合剤としてカルボ
ン酸ハライド化合物を三級アミン化合物と組合わせて使
用することを特徴とする前記アミドチアゾール誘導体エ
ステル化合物の製造方法である。
【0023】なお、カルボン酸ハライド化合物が縮合剤
として使用できることは知られているが、本発明のよう
なアミノチアゾール誘導体エステル化合物を用いた縮合
反応に使用した例は知られていない。これは、カルボン
酸ハライド化合物を縮合剤として使用した場合には、副
生するハロゲン化水素によってアミノチアゾール誘導体
エステル化合物が異性化してしまうためと考えられる。
【0024】本発明は、カルボン酸ハライド化合物を三
級アミン化合物と組み合わせて使用することにより、ア
ミノチアゾール誘導体エステル化合物の異性化を抑制す
ると同時に、反応性の低いN−保護アミノ酸無水物の生
成を抑制し、従来の方法では実現できなかったような高
い収率で目的のアミドチアゾール誘導体エステル化合物
を製造するものである。
【0025】
【発明の実施の形態】本発明の製造方法は、前記一般式
(I)で示されるN−保護アミノ酸化合物(以下、単に
「原料N−保護アミノ酸」ともいう。)と前記一般式
(II)で示されるアミノチアゾール誘導体エステル化合
物(以下、単に「原料アミノチアゾール誘導体エステ
ル」ともいう。)とを縮合させて、前記一般式(III)
で示されるアミドチアゾール誘導体エステル化合物を製
造する際に、縮合剤としてカルボン酸ハライド化合物を
三級アミン化合物と組み合わせて使用することを最大の
特徴とする。
【0026】本発明において縮合剤とは、縮合反応を促
進する作用を有する化合物をいい、該化合物自体が反応
試剤と反応して活性な中間体を形成する化合物は勿論、
直接反応試剤とは反応しなくても何らかの作用により結
果として縮合反応を有効に進行せしめる化合物をいう。
【0027】本発明で使用するカルボン酸ハライド化合
物はカルボキシル基を有する有機化合物の酸ハライド化
合物であれば特に限定されず公知のカルボン酸ハライド
化合物が使用できる。
【0028】本発明において好適に使用できるカルボン
酸ハライド化合物を具体的に例示すれば、アセチルフロ
ライド、アセチルクロライド、アセチルブロマイド、沃
化アセチル、プロピオン酸フロライド、プロピオン酸ク
ロライド、プロピオン酸ブロマイド、沃化プロピオニ
ル、ピバロイルフロライド、ピバロイルクロライド、ピ
バロイルブロマイド、沃化ピバロイル、イソバレロイル
フロライド、イソバレロイルクロライド、沃化イソバレ
ロイル等の飽和カルボン酸ハライド化合物;アクリル酸
フロライド、アクリル酸クロライド、アクリル酸ブロマ
イド、沃化アクリロイル、メタクリル酸フロライド、メ
タクリル酸クロライド、メタクリル酸ブロマイド、沃化
メタクリロイル等の不飽和カルボン酸ハライド化合物;
ベンゾイルフロライド、ベンゾイルクロライド、ベンゾ
イルブロマイド、沃化ベンゾイル、トルオイルフロライ
ド、トルオイルクロライド、トルオイルブロマイド、沃
化トルオイル、ナフトイルフロライド、ナフトイルクロ
ライド、ナフトイルブロマイド等の芳香族カルボン酸ハ
ライド化合物等を挙げることが出来る。
【0029】これらの中でも特に、縮合転化率の高さお
よび取り扱いの容易さからプロピオン酸フロライド、プ
ロピオン酸クロライド、プロピオン酸ブロマイド、ピバ
ロイルフロライド、ピバロイルクロライド、ピバロイル
ブロマイド等の飽和カルボン酸ハライド化合物;ベンゾ
イルフロライド、ベンゾイルクロライド、ベンゾイルブ
ロマイド、トルオイルフロライド、トルオイルクロライ
ド、トルオイルブロマイド、ナフトイルフロライド、ナ
フトイルクロライド、ナフトイルブロマイド等の芳香族
カルボン酸ハライド化合物等が好適に用いることができ
る。さらに、副生物の少なさから、ピバロイルクロライ
ド等の飽和カルボン酸ハライド化合物;トルオイルクロ
ライド、ナフトイルクロライド等の芳香族カルボン酸ハ
ライド化合物等が特に好適に用いることができる。
【0030】なお、これらのカルボン酸ハライド化合物
は、試薬及び工業原料として入手したものをそのまま、
或いは必要に応じて再結晶、蒸留等の精製を行った後に
使用することが出来る。入手できないカルボン酸ハライ
ド化合物は次のようにして合成することが出来る。即
ち、カルボン酸弗化物はカルボン酸と弗化シアヌルを反
応させることで合成でき、カルボン酸塩化物はカルボン
酸と塩化チオニルを反応させることで合成でき、カルボ
ン酸臭化物はカルボン酸とジブロモトリフェニルホスホ
ランを反応させることで合成でき、カルボン酸沃化物は
カルボン酸塩化物と沃化ナトリウムを反応させることで
容易に合成が可能である。また、合成したカルボン酸ハ
ライド化合物は合成したものをそのまま、或いは必要に
応じて再結晶、蒸留等の精製を行った後に使用すること
が出来る。
【0031】これらカルボン酸ハライド化合物の使用量
は特に制限されるものではないが、少なすぎると未反応
原料が残留し、多すぎると原料アミノチアゾール誘導体
エステルとカルボン酸ハライド化合物が直接反応した副
生物が増加するため、原料N−保護アミノ酸1モルに対
して、0.5〜5モルの範囲で用いるのが好適である。
さらには、高純度の目的物を得ることを考えると、原料
N−保護アミノ酸1モルに対して、0.8〜3モルの範
囲で用いることが特に好適である。
【0032】本発明において、上記カルボン酸ハライド
化合物と併用される三級アミン化合物としては、ハロゲ
ン化水素を捕捉する作用を有するものであれば特に限定
されず、公知の三級アミン化合物が使用できる。なお、
この時一級もしくは二級アミンを使用すれば、原料N−
保護アミノ酸と一級もしくは二級アミン化合物と反応し
た副生物が生成するため、使用できるアミンは三級アミ
ン化合物に限定される。本発明で使用できる三級アミン
化合物を具体的に例示すると、トリメチルアミン、トリ
エチルアミン、トリ−n−プロピルアミン、トリ−n−
ブチルアミン、ジイソプロピルメチルアミン、ジイソプ
ロピルエチルアミン等の脂肪族三級アミン化合物;N−
メチルピロリジン、N−メチルピペリジン、N−エチル
ピペリジン、N−メチルモルフォリン、N−エチルモル
フォリン等の環状三級アミン化合物;ピリジン、N,N
−ジメチルアミノピリジン、N−メチルピロール等の環
状不飽和炭化水素三級アミン化合物;N,N,−N’,
N’−テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N’,
N’−テトラエチルエチレンジアミン、N,N,N’,
N’−テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N’,
N’−テトラメチル−1,3−プロピレンジアミン、
N,N,N’,N’−テトラメチル−1,3−ブタンジ
アミンN,N,N’,N’−テトラメチル−1,4−ブ
タンジアミン等の脂肪族三級ジアミン化合物等を挙げる
ことができる。
【0033】これらの中でも特に、縮合転化率の高さか
ら、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−
プロピルアミン、トリ−n−ブチルアミン、ジイソプロ
ピルメチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン等の脂
肪族三級アミン化合物;又はN−メチルピロリジン、N
−メチルピペリジン、N−エチルピペリジン、N−メチ
ルモルフォリン、N−エチルモルフォリン等の環状三級
アミン化合物が好適に用いられる。なお、これらの三級
アミン化合物はすべて試薬及び工業原料として入手可能
であり、入手したものをそのまま、或いは必要に応じて
再結晶、蒸留等の精製を行った後に使用することが出来
る。
【0034】上記三級アミン化合物の使用量は特に制限
されるものではないが、少なすぎると縮合反応が進まな
いばかりか、ハロゲン化水素捕捉能が低下し原料アミノ
チアゾール誘導体エステルが異性化してしまい、光学純
度の高い目的物を高収率で得ることができない。また、
多すぎるとカルボン酸ハライド化合物を分解し縮合転化
率が低下するため、用いるカルボン酸ハライド化合物1
モルに対して、0.5〜5.0モルの範囲で用いるのが
好適である。さらには、未反応原料や分解副生成物等の
不純物を低減し高純度の目的物を得るという観点から、
用いるカルボン酸ハライド化合物1モルに対して、0.
7〜1.3モルの範囲で用いることが特に好ましい。
【0035】本発明の製造方法において、縮合剤として
前記カルボン酸ハライド化合物を三級アミン化合物と組
合わせて使用する以外は、従来のN−保護アミドチアゾ
ールエステル誘導体化合物を製造する方法と特に変わる
ところはなく、原料となるN−保護アミノ酸化合物およ
びアミノチアゾールエステル誘導体としては、従来法で
使用されているものが制限なく使用できる。
【0036】即ち、N−保護アミノ酸化合物としては前
記一般式(I)で示される原料N−保護アミノ酸を使用
することができる。なお、前記一般式(I)中のR
1は、アミノ基の保護基である。該R1は、アミノ基を保
護する作用を有する有機残基であれば特に制限されるも
のではなく、このような作用を有する基を具体的に例示
すれば、ホルミル基、アセチル基、クロロアセチル基、
アセトアセチル基等のアシル型保護基;イソプロポキシ
カルボニル基、tert−ブトキシカルボニル基等のア
ルコキシカルボニル基;ベンジルオキシカルボニル基、
9−フルオレニルメトキシカルボニル基等のアラルキル
オキシカルボニル基;ベンジル基、トリフェニルメチル
基等のアラルキル基等を挙げることができる。
【0037】これらの中でも特に、縮合反応時のラセミ
化抑制効果の点から、イソプロポキシカルボニル基、t
ert−ブトキシカルボニル基等のアルコキシカルボニ
ル基;又はベンジルオキシカルボニル基、9−フルオレ
ニルメトキシカルボニル基等のアラルキルオキシカルボ
ニル基を用いるのが好適である。さらに脱保護の容易さ
からtert−ブトキシカルボニル基を用いるのが最も
好適である。
【0038】また、前記一般式(I)中のR2は、水素
原子、炭素数1〜6の飽和炭化水素基、又は炭素数2〜
10の不飽和炭化水素基である。炭素数1〜6の飽和炭
化水素基は、直鎖状でも分岐を有していてもよい。該飽
和炭化水素基としては炭素数1〜6のアルキル基が好適
であり、このようなアルキル基を具体的に例示すれば、
メチル基、エチル基、イソプロピル基、2−メチルプロ
ピル基、1−メチルプロピル基等が例示される。
【0039】また、炭素数2〜10の不飽和炭化水素基
としては、ベンジル基、フェネチル基、1−フェニルエ
チル基、フェニル基、ナフチル基等が例示される。
【0040】これらの中でもR2としては、最終的にプ
ロドラッグタイプセファロスポリン誘導体にした場合の
吸収性及び生体内分解特性が良いことからメチル基であ
るのが特に好適である。
【0041】本発明において使用できる原料N−保護ア
ミノ酸を具体的に例示すれば、N−アセチルグリシン、
N−アセチルアラニン、N−アセチルバリン、N−アセ
チルロイシン、N−アセチルフェニルグリシン、N−ア
セチルフェニルアラニン等のアシルアミノ酸化合物;t
ert−ブトキシカルボニルグリシン、tert−ブト
キシカルボニルアラニン、tert−ブトキシカルボニ
ルバリン、tert−ブトキシカルボニルロイシン、t
ert−ブトキシカルボニルフェニルグリシン、ter
t−ブトキシカルボニルフェニルアラニン等のアルコキ
シカルボニルアミノ酸化合物;N−ベンジルオキシカル
ボニルグリシン、N−ベンジルオキシカルボニルアラニ
ン、N−ベンジルオキシカルボニルバリン、N−ベンジ
ルオキシカルボニルロイシン、N−ベンジルオキシカル
ボニルフェニルアラニン、N−(9−フルオレニルメト
キシカルボニル)グリシン、N−(9−フルオレニルメ
トキシカルボニル)アラニン、N−(9−フルオレニル
メトキシカルボニル)バリン、N−(9−フルオレニル
メトキシカルボニル)ロイシン、N−(9−フルオレニ
ルメトキシカルボニル)フェニルアラニン等のアラルキ
ルオキシカルボニルアミノ酸化合物;N−ベンジルグリ
シン、N−ベンジルアラニン、N−ベンジルバリン、N
−ベンジルロイシン、N−ベンジルフェニルグリシン、
N−ベンジルフェニルアラニン、N−トリフェニルメチ
ルグリシン、N−トリフェニルメチルアラニン、N−ト
リフェニルメチルバリン、N−トリフェニルメチルロイ
シン、N−トリフェニルメチルアラニン、N−トリフェ
ニルメチルフェニルグリシン、N−トリフェニルメチル
フェニルアラニン等のアラルキルアミノ酸化合物等を挙
げることができる。
【0042】これらの中でも特に、縮合反応時のラセミ
化抑制能の高さから、tert−ブトキシカルボニルア
ラニン、tert−ブトキシカルボニルバリン、ter
t−ブトキシカルボニルロイシン、tert−ブトキシ
カルボニルフェニルグリシン、tert−ブトキシカル
ボニルフェニルアラニン等のアルコキシカルボニルアミ
ノ酸化合物;又はN−ベンジルオキシカルボニルアラニ
ン、N−ベンジルオキシカルボニルバリン、N−ベンジ
ルオキシカルボニルロイシン、N−ベンジルオキシカル
ボニルフェニルグリシン、N−ベンジルオキシカルボニ
ルフェニルアラニン、N−(9−フルオレニルメトキシ
カルボニル)グリシン、N−(9−フルオレニルメトキ
シカルボニル)アラニン、N−(9−フルオレニルメト
キシカルボニル)バリン、N−(9−フルオレニルメト
キシカルボニル)ロイシン、N−(9−フルオレニルメ
トキシカルボニル)フェニルアラニン等のアラルキルオ
キシカルボニルアミノ酸化合物を用いるのが好適であ
る。さらに、保護・脱保護反応の容易さから、tert
−ブトキシカルボニルアラニン、tert−ブトキシカ
ルボニルバリン、tert−ブトキシカルボニルロイシ
ン、tert−ブトキシカルボニルフェニルグリシン、
tert−ブトキシカルボニルフェニルアラニン等のt
ert−ブトキシカルボニルアミノ酸化合物用いるのが
特に好適である。
【0043】これらの原料N−保護アミノ酸は、試薬あ
るいは工業原料としても入手可能であるが、入手できな
い場合は、合成することができる。即ち、対応するアミ
ノ酸に、塩基存在下、保護剤を反応させることで容易に
合成できる。
【0044】これらの原料N−保護アミノ酸の中には、
不斉炭素を持つ物もある。本発明においてはL体、D体
いずれのN−保護アミノ酸化合物も使用可能であるが、
最終生成物の薬理活性の点からL体が好適に用いられ
る。
【0045】本発明で使用するもう一つの原料化合物で
あるアミノチアゾール誘導体エステル化合物としては、
前記一般式(II)で示される原料アミノ体を使用する事
ができる。なお、前記一般式(II)中のR3は、炭素数
1〜7のアルキル基、又は炭素数7〜11のアラルキル
基である。炭素数1〜7のアルキル基は直鎖状でも分岐
を有していてもよく、これらアルキル基としては、メチ
ル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n
−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基等
が挙げられる。また、炭素数7〜11のアラルキル基と
しては、ベンジル基、ナフチルメチル基等が挙げられ
る。これらの中でも、R3としては、後の加水分解に関
わる操作が容易であることからメチル基又はエチル基で
あるのが特に好適である。
【0046】また、前記一般式(II)中のYは、下記式 =N−R4、又は =CHR5 で示される2価の基、又は単結合でYが結合する炭素原
子と結合する2つの水素原子である。
【0047】なお、上記式中のR4は、炭素数1〜7の
アルキルオキシ基、又は炭素数7〜19のアラルキルオ
キシ基である。炭素数1〜7のアルキルオキシ基は直鎖
状でも分岐を有していてもよく、具体的には、メトキシ
基、エトキシ基、プロピルオキシ基、イソプロピルオキ
シ基、n−ブチルオキシ基、sec−ブチルオキシ基、
tert−ブチルオキシ基等が例示される。また、炭素
数7〜19のアラルキルオキシ基としてはベンジルオキ
シ基、トリフェニルメチルオキシ基等が例示される。
【0048】また、上記式中のR5は水素原子、炭素数
1〜7のアルキル基、炭素数7〜19のアラルキル基、
炭素数1〜7のアルキルオキシ基、又は炭素数7〜19
のアラルキルオキシ基である。炭素数1〜7のアルキル
基としてはR3におけるものと同じものが挙げられる。
炭素数7〜19のアラルキル基としては、ベンジル基、
トリフェニルメチル基等が例示される。また、炭素数1
〜7のアルキルオキシ基及び炭素数7〜19のアラルキ
ルオキシ基としては、それぞれR4におけるものと同じ
ものが挙げられる。
【0049】また、Yが単結合で炭素原子と結合する2
つの水素原子である場合には、前記一般式(II)におけ
る−C(=Y)−で示される基は、−CH2−基とな
る。
【0050】本発明において使用できる原料アミノチア
ゾール誘導体エステルを具体的に例示すると、2−(2
−アミノチアゾール−4−イル)−酢酸メチル、2−
(2−アミノチアゾール−4−イル)酢酸エチル、2−
(2−アミノチアゾール−4−イル)−2−メトキシイ
ミノ酢酸メチル、2−(2−アミノチアゾール−4−イ
ル)−2−メトキシイミノ酢酸エチル、2−(2−アミ
ノチアゾール−4−イル)−2−メトキシイミノ酢酸t
ert−ブチル、2−(2−アミノチアゾール−4−イ
ル)−2−メトキシイミノ酢酸ベンジル、2−(2−ア
ミノチアゾール−4−イル)−2−エトキシイミノ酢酸
メチル、2−(2−アミノチアゾール−4−イル)−2
−エトキシイミノ酢酸エチル、2−(2−アミノチアゾ
ール−4−イル)−2−エトキシイミノ酢酸ベンジル、
2−(2−アミノチアゾール−4−イル)−2−ベンジ
ルオキシイミノ酢酸エチル、2−(2−アミノチアゾー
ル−4−イル)−2−トリフェニルオキシイミノ酢酸エ
チル、2−(2−アミノチアゾール−4−イル)−2−
トリフェニルオキシイミノ酢酸ベンジル、2−(2−ア
ミノチアゾール−4−イル)−2−プロペン酸エチル、
2−(2−アミノチアゾール−4−イル)−2−ブテン
酸エチル、2−(2−アミノチアゾール−4−イル)−
2−ペンテン酸エチル等を挙げることができる。
【0051】これらの中でも、プロドラッグタイプセフ
ァロスポリン誘導体の効果の高さから、2−(2−アミ
ノチアゾール−4−イル)−2−メトキシイミノ酢酸メ
チルエステル、2−(2−アミノチアゾール−4−イ
ル)−2−メトキシイミノ酢酸エチルエステル等が特に
好適に用いられる。
【0052】これらの原料アミノチアゾール誘導体エス
テルは、試薬あるいは工業原料として入手可能である
が、入手できない場合は、次のようにして合成すること
ができる。即ち、アルコキシイミノ酢酸化合物類は、対
応する2−(2−アミノチアゾール−4−イル)−2−
ヒドロキシイミノ酢酸のエステル化合物とアルキルハラ
イド又はアラルキルハライドとを反応させることにより
合成でき、アルケン酸化合物類は、対応する4−クロロ
アセト酢酸のエステル化合物に対応するアルデヒドを反
応させ4−クロロ−2−アルキリデンアセト酢酸エステ
ル化合物を得た後、チオ尿素と反応させることにより容
易に合成できる。
【0053】また、原料アミノチアゾール誘導体エステ
ルには、E体、Z体の異性体が存在する場合があり、本
発明においては、E体、Z体いずれも使用可能である
が、最終生成物の薬理活性の点からZ体が好適に用いら
れる。
【0054】上記原料アミノチアゾール誘導体エステル
の使用量は、特に制限されるものではないが、少なすぎ
ると未反応の原料N−保護アミノ酸が残留し、多すぎる
と原料アミノチアゾール誘導体エステルが未反応で残留
するため、原料N−保護アミノ酸1モルに対して0.5
〜5モルの範囲で用いるのが好適である。さらには、高
純度のアミドチアゾール誘導体エステル化合物が得られ
るという観点から原料N−保護アミノ酸1モルに対して
0.8〜2モルの範囲で用いるのが特に好適である。
【0055】本発明の製造方法においては、反応条件を
制御しやすく均一に短時間で反応を行なうために、反応
に際して溶媒を使用するのが好適である。本発明で使用
できる溶媒を具体的に例示すると、n−ペンタン、n−
ヘキサン、n−ヘプタン、シクロペンタン、シクロヘキ
サン等の飽和炭化水素類;ベンゼン、トルエン、キシレ
ン等の不飽和炭化水素類、塩化メチレン、クロロホル
ム、四塩化炭素等のハロゲン化炭化水素類;ジエチルエ
ーテル、ジイソプロピルエーテル、tert−ブチルメ
チルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサ
ン等のエーテル類;酢酸エチル、酢酸メチル、酢酸n−
プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸n−ブチル、酢酸t
ert−ブチル等のエステル類;アセトン、メチルエチ
ルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類;炭酸
ジメチル、炭酸ジエチル等のカーボネート類;アセトニ
トリル、プロピオニトリル等のニトリル類、N,N−ジ
メチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等
のアミド類;ジメチルスルフォキシド等のスルフォキシ
ド類;tert−ブチルアルコール等のアルコール類等
を挙げることができる。
【0056】これらの溶媒の中でも、縮合収率の高さか
ら、ハロゲン化炭化水素類、エーテル類、エステル類、
ケトン類、又はカーボネート類が好適に用いられる。さ
らには、反応中にラセミ化が起こるのを防止するという
観点から、ジエチルエーテル、ジイソプロイルエーテ
ル、クロロホルム、酢酸エチル、テトラヒドロフラン等
の比誘電率が20以下の溶媒を用いるのが特に好適であ
る。
【0057】これら溶媒の使用量は特に制限されるもの
ではないが、反応制御の容易さ及び経済性等の観点か
ら、原料N−保護アミノ酸100重量部に対し、50〜
10000重量部、特に100〜1000重量部の範囲
で用いるのが好適である。
【0058】本発明の製造方法における操作手順は、縮
合剤としてのカルボン酸ハライド化合物を三級アミン化
合物と組合わせて使用するものであれば特に限定され
ず、各反応試剤の添加方法についても全成分を同時に添
加してもよいし、時間をずらして各成分を別々に添加し
てもよい。ただし、本発明における反応は発熱反応であ
り、反応系の除熱能力を大きく超えた場合は反応系が高
温となり、原料N−保護アミノ酸、カルボン酸ハライド
化合物等の原料や反応中間体が分解したり副反応が起こ
り易くなるため、反応系の除熱能力を考慮して、反応温
度を適切な範囲内に調節できるように、添加順序や添加
速度を制御するのが好適である。
【0059】例えば、反応スケールが小規模な場合に
は、先ず、原料N−保護アミノ酸及び三級アミン化合
物、さらに必要に応じて溶媒を混合し、得られた混合物
に高活性化合物であるカルボン酸ハライド化合物を、反
応温度を調節しながら添加してカルボン酸ハライド化合
物と原料N−保護アミノ酸化合物との反応生成物(すな
わち反応中間体)を生成させ、その後原料アミノチアゾ
ール誘導体エステルを加えて縮合反応させることにより
反応温度が高くなりすぎるのを防止することができる。
【0060】しかし、この方法は、小スケールの反応に
おいてはきわめて有効な方法であるが、大量スケールの
反応においては、カルボン酸ハライド化合物の添加に長
時間を要し、先に添加したカルボン酸ハライド化合物と
原料N−保護アミノ酸化合物との反応生成物(すなわち
反応中間体)が、残余の三級アミン化合物によって分解
されて、縮合収率が低下することがある。
【0061】このため、工業的規模等の大スケールでの
反応では、先ず原料N−保護アミノ酸及びカルボン酸ハ
ライド化合物、並びに必要に応じて溶媒を混合し、次い
で得られた混合物に三級アミン化合物を添加して反応中
間体を生成させ、その後、原料アミノチアゾール誘導体
エステルを添加して縮合させる方法が好適である。該方
法によれば、上記のような問題も起こらないため、高い
収率で目的物を得ることができる。
【0062】当該方法において、原料N−保護アミノ酸
及びカルボン酸ハライド化合物、並びに必要に応じて溶
媒を混合する方法は、特に限定されず、反応系の凝固点
〜100℃で、両者(又は三者)を適宜混合すればよ
い。また、三級アミン化合物の添加条件は、反応温度が
反応系の凝固点〜50℃に維持できるように、用いる各
化合物の種類や量に応じて適宜決定すればよい。このと
き時反応温度を均一にするために攪拌を行なうのが好適
である。このような温度で攪拌を続けることにより通常
0.1〜40時間程度で反応中間体が生成する。
【0063】次に、原料アミノチアゾール誘導体エステ
ルを添加して縮合反応を行なうときの反応温度として
は、通常は反応系の凝固点以上200℃以下で行えばよ
いが、目的物の収率と反応速度のバランスの観点から、
−30℃〜80℃以下で行うのが、特に−30〜−10
℃で反応を行なった後0〜80℃に昇温して更に反応を
行なうのが好適である。この時反応温度を均一にするた
めに攪拌を行なうのが好適である。
【0064】また、上記方法における縮合反応の反応時
間は、反応温度、溶媒の種類等に応じて適宜決定すれば
よいが、通常、0.1〜40時間もあれば十分である。
【0065】上記方法における各反応は、何れも常圧
下、加圧下、又は減圧下で実施できる。更に、これら反
応は、大気開放下で実施可能であるが、大気中の水分に
よって分解反応が進行するのを防止するため、塩化カル
シウム等の乾燥管を備え付けた装置内、或いは窒素、ヘ
リウム、アルゴン等の不活性気体雰囲気下で実施するこ
とが好ましい。
【0066】この様にして反応を行なうことにより、使
用した原料N−保護アミノ酸及び原料アミノチアゾール
誘導体エステルの構造に応じた構造を有するアミドチア
ゾール誘導体エステル、即ち、前記一般式(III)で示
されるアミドチアゾール誘導体エステルが得られる。
【0067】得られたアミドチアゾール誘導体エステル
は、必要に応じて分離、精製して単離することができ
る。例えば、反応溶媒として水と相溶しない有機溶媒を
用いた場合には、反応終了後反応液を酸水溶液、水等で
洗浄した後、溶媒を乾燥し、再結晶或いはカラムクロマ
トグラフィ等によって分離精製することによって行うこ
とができる。
【0068】また、得られた反応液を混合物のまま、或
いは適当な処理をした後、単離することなく、これを出
発原料として各種用途に応じた反応に用いてもよい。
【0069】
【実施例】以下、実施例を掲げて本発明を更に具体的に
説明するが、本発明はこれら実施例に制限されるもので
はない。
【0070】実施例1 攪拌翼、温度計、窒素吹き込み口、滴下漏斗を取り付け
た反応容器に、N−tert−ブトキシカルボニル−L
−アラニン9.46g(0.05モル、100%e
e)、塩化メチレン50mlを入れて反応系内を窒素置
換した後に−20℃まで冷却した。この溶液にトリエチ
ルアミン5.06g(0.05モル)を加えた後、o−
トルオイルクロライド7.73g(0.05モル)を、
滴下漏斗を用いて20分かけて滴下した。このスラリー
を−20℃で2時間反応させた後、2−(2−アミノチ
アゾール−4−イル)−2−(Z)−メトキシイミノ酢
酸エチル11.46g(0.05モル)を添加した。−
20℃で1時間反応させた後、20分で20℃まで昇温
し、同温度で23時間反応した。この反応液を高速液体
クロマトグラフィ(以後HPLCと略す。)で分析した
ところ、2−(2−N−tert−ブトキシカルボニル
−L−アラニルアミノチアゾール−4−イル)−2−
(Z)−メトキシイミノ酢酸エチル(以後BAAEと略
す。)の収率は84.7%であった。副生物である2−
(2−o−トルオイルアミノチアゾール−4−イル)−
2−(Z)−メトキシイミノ酢酸エステル(以後、この
ような副生物をOT体と略す。)が0.8%生成してい
た。また光学分離カラムを用いて分析を行ったところ、
目的物の光学純度は99%eeであった。この時用いた
N−tert−ブトキシカルボニル−L−アラニンが異
性化したD体は検出されなかった。
【0071】実施例2〜10 カルボン酸ハライド化合物として表1に示す化合物を用
いた以外、実施例1と同様に操作した。結果を表1に示
す。なお、表中の付加体とはカルボン酸ハライドと2−
(2−アミノチアゾール−4−イル)−2−(Z)−メ
トキシイミノ酢酸エチルとの反応物を表す。
【0072】
【表1】
【0073】実施例11〜15 三級アミン化合物として表2に示す化合物を用いた以
外、実施例1と同様に操作した。結果を表1に示す。な
お、表中のOT体とは副生物である2−(2−o−トル
オイルアミノチアゾール−4−イル)−2−(Z)−メ
トキシイミノ酢酸エステルを示す。
【0074】
【表2】
【0075】実施例16〜21 N−保護アミノ酸化合物として表3に示す物(何れも1
00%ee)を用いた以外、実施例1と同様に操作し
た。結果を表3に示す。
【0076】
【表3】
【0077】実施例22〜27 アミノチアゾール誘導体エステル化合物として表4に示
す化合物を用いた以外、実施例1と同様に操作した。結
果を表4に示す。なお、表中のOT体とはo−トルオイ
ルクロライドとアミノチアゾ−ル誘導体エステル化合物
との反応物を示す。
【0078】
【表4】
【0079】実施例28 攪拌翼、温度計、窒素吹き込み口、滴下漏斗を取り付け
た反応容器に、N−tert−ブトキシカルボニル−L
−アラニン9.46g(0.05モル、100%e
e)、塩化メチレン50mlを入れて反応系内を窒素置
換した後に−20℃まで冷却した。この溶液にo−トル
オイルクロライド7.73g(0.05モル)を加えた
後、トリエチルアミン5.06g(0.05モル)を、
滴下漏斗を用いて20分かけて滴下した。このスラリー
を−20℃で2時間反応させた後、2−(2−アミノチ
アゾール−4−イル)−2−(Z)−メトキシイミノ酢
酸エチル11.46g(0.05モル)を添加した。−
20℃で1時間反応させた後、20分で20℃まで昇温
し、同温度で23時間反応した。この反応液をHPLC
で分析したところ、BAAEの収率は85.3%であっ
た。副生物である2−(2−o−トルオイルアミノチア
ゾール−4−イル)−2−(Z)−メトキシイミノ酢酸
エステル(OT体)が0.4%生成していた。また光学
分離カラムを用いて分析を行ったところ、目的物の光学
純度は99%eeであった。この時用いたN−tert
−ブトキシカルボニル−L−アラニンが異性化したD体
は検出されなかった。
【0080】実施例29〜31 反応溶媒として、表5に示す化合物を用いた以外、実施
例1と同様に操作した。結果を表5に示す。
【0081】
【表5】
【0082】比較例1 攪拌翼、温度計、窒素吹き込み口、滴下漏斗を取り付け
た反応容器に、N−tert−ブトキシカルボニル−L
−アラニン9.46g(0.05モル、100%e
e)、塩化メチレン50mlを入れて溶解させた後に5
℃まで冷却した。この溶液に2−(2−アミノチアゾー
ル−4−イル)−2−(Z)−メトキシイミノ酢酸エチ
ル11.46g(0.05モル)、N,N’−ジメチル
アミノピリジン0.61g(0.005モル)を加え均
一に攪拌させた後、ジシクロヘキシルカルボジイミドを
添加した。5℃で0.5時間反応させた後、20分で2
0℃まで昇温し、同温度で23時間反応した。この反応
液をHPLCで分析したところ、BAAEの収率は6
7.0%であった。副生物のN−tert−ブトキシカ
ルボニル−L−アラニン無水物が32.5%生成してい
た。
【0083】比較例2 100mlナス型フラスコに、N−tert−ブトキシ
カルボニル−L−アラニン無水物3.60g(0.01
モル)を加え、塩化メチレン20mlに溶解させた。こ
の溶液に2−(2−アミノチアゾール−4−イル)−2
−(Z)−メトキシイミノ酢酸エチル2.29g(0.
01モル)、N,N’−ジメチルアミノピリジン0.1
2g(0.001モル)を加え、25℃で4日間反応さ
せた。この反応液をHPLCで分析したところ、BAA
Eの収率は4.3%に過ぎず、N−保護アミノ酸化合物
の酸無水物とアミノチアゾ−ル誘導体エステル化合物と
の反応性が低いことが確認された。
【0084】比較例1および2の結果より、カルボジイ
ミド系縮合剤を用いた場合、反応経路の一つとしてN−
保護アミノ酸化合物の酸無水物を経由する反応経路があ
り、該酸無水物とアミノチアゾール誘導体エステル化合
物との反応が極めて遅いため収率が低くなっていること
が分かる。
【0085】比較例3 攪拌翼、温度計、窒素吹き込み口、滴下漏斗を取り付け
た反応容器に、N−tert−ブトキシカルボニル−L
−アラニン9.46g(0.05モル、100%e
e)、塩化メチレン50mlを入れて反応系内を窒素置
換した後に−20℃まで冷却した。この溶液にピロリジ
ン3.56g(0.05モル)を加えた後、o−トルオ
イルクロライド7.73g(0.05モル)を、滴下漏
斗を用いて20分かけて滴下した。このスラリーを−2
0℃で2時間反応させた後、2−(2−アミノチアゾー
ル−4−イル)−2−(Z)−メトキシイミノ酢酸エチ
ル11.46g(0.05モル)を添加した。−20℃
で1時間反応させた後、20分で20℃まで昇温し、同
温度で23時間反応した。この反応液をHPLCで分析
したところ、2−(2−N−tert−ブトキシカルボ
ニル−L−アラニルアミノチアゾール−4−イル)−2
−(Z)−メトキシイミノ酢酸エチル(BAAE)の収
率は12.3%に留まり、N−tert−ブトキシカル
ボニル−ピロリジンが69.8%検出された。
【0086】比較例3に示されるように、カルボン酸ハ
ライド化合物を用いた場合でも、三級アミン化合物に換
えて一級または二級アミン化合物を使用すると、原料ア
ミノ酸と一級または二級アミン化合物が反応した副生物
が副生し、収率が低下する。
【0087】比較例4 攪拌翼、温度計、窒素吹き込み口、滴下漏斗を取り付け
た反応容器に、N−tert−ブトキシカルボニル−L
−アラニン9.46g(0.05モル、100%e
e)、塩化メチレン50mlを入れて反応系内を窒素置
換した後に−20℃まで冷却した。これに、o−トルオ
イルクロライド7.73g(0.05モル)を滴下漏斗
を用いて20分かけて滴下した。このスラリーを−20
℃で2時間反応させた後、2−(2−アミノチアゾール
−4−イル)−2−(Z)−メトキシイミノ酢酸エチル
11.46g(0.05モル)を添加した。−20℃で
1時間反応させた後、20分で20℃まで昇温し、同温
度で23時間反応した。この反応液をHPLCで分析し
たところ、2−(2−N−tert−ブトキシカルボニ
ル−L−アラニルアミノチアゾール−4−イル)−2−
(Z)−メトキシイミノ酢酸エチル(BAAE)の収率
は57.4%に留まり、BAAEからN−tert−ブ
トキシカルボニル基が脱離した、2−(L−アラニルア
ミノチアゾール−4−イル)−2−(Z)−メトキシイ
ミノ酢酸エチルが2.3%、原料アミノチアゾール誘導
体エステルが異性化した、2−(2−N−tert−ブ
トキシカルボニル−L−アラニルアミノチアゾール−4
−イル)−2−(E)−メトキシイミノ酢酸エチルが
0.6%検出された。
【0088】比較例4に示されるように、三級アミン化
合物と組み合わせて使用しない場合には、収率が低くな
っている。さらに、原料アミノチアゾール誘導体エステ
ルが異性化してしまい、光学純度の高い目的物を高収率
で得ることができないばかりでなく、未反応原料の再利
用も困難となる。
【0089】
【発明の効果】本発明の製造方法によれば、原料N−保
護アミノ酸及び原料アミノチアゾール誘導体エステルか
ら、プロドラッグタプイセファロスポリン誘導体の重要
中間体であるアミドチアゾール誘導体エステル化合物を
高収率で得ることができる。また、本発明においては得
られるアミドチアゾール誘導体エステル化合物は原料と
して用いた原料アミノチアゾール誘導体エステルの高い
光学純度を保つことが可能であり、光学異性体の種類に
よって薬効が大きく異なる医薬中間体の製造方法として
優れた製法であると言える。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記一般式(I) 【化1】 (式中、R1はアミノ基の保護基であり、R2は水素原
    子、炭素数1〜6の飽和炭化水素基、又は2〜10の不
    飽和炭化水素基である。)で示されるN−保護アミノ酸
    化合物と、下記一般式(II) 【化2】 {式中、R3は炭素数1〜7のアルキル基、又は炭素数7
    〜11のアラルキル基であり、Yは下記式 =N−R4、または =CH−R5 (式中、R4は炭素数1〜7のアルキルオキシ基、又は
    炭素数7〜19のアラルキルオキシ基であり、R5は水
    素原子、炭素数1〜7のアルキル基、炭素数7〜19の
    アラルキル基、炭素数1〜7のアルキルオキシ基、又は
    炭素数7〜19のアラルキルオキシ基である。)で示さ
    れる2価の基、又は単結合で炭素原子と結合する2つの
    水素原子である。}で示されるアミノチアゾール誘導体
    エステル化合物とを縮合剤を用いて縮合させて、下記一
    般式(III) 【化3】 {式中、R1及びR2は、それぞれ前記一般式(I)にお
    けるR1及びR2と同義であり、R3及びYは、それぞれ
    前記一般式(II)におけるR3及びYと同義である。}
    で示されるアミドチアゾール誘導体エステル化合物を製
    造する方法において、縮合剤としてカルボン酸ハライド
    化合物を三級アミン化合物と組合わせて使用することを
    特徴とする前記アミドチアゾール誘導体エステル化合物
    の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記一般式(I)および(III)における
    1がtert−ブトキシカルボニル基である請求項1
    記載のアミドチアゾール誘導体エステル化合物の製造方
    法。
  3. 【請求項3】 前記一般式(I)で示されるN−保護ア
    ミノ酸化合物の光学純度が95%ee以上であり、前記
    一般式(III)で示されるアミドアミドチアゾール誘導
    体エステル化合物の光学純度が95%ee以上である請
    求項1又は請求項2記載のアミドチアゾール誘導体エス
    テル化合物の製造方法。
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