JP2002030078A - アミドチアゾール誘導体の製造方法 - Google Patents

アミドチアゾール誘導体の製造方法

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JP2002030078A
JP2002030078A JP2000213114A JP2000213114A JP2002030078A JP 2002030078 A JP2002030078 A JP 2002030078A JP 2000213114 A JP2000213114 A JP 2000213114A JP 2000213114 A JP2000213114 A JP 2000213114A JP 2002030078 A JP2002030078 A JP 2002030078A
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Tomonori Matsunaga
智徳 松永
Yoshihiro Hirota
吉洋 廣田
Fumiaki Iwasaki
史哲 岩崎
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Tokuyama Corp
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Tokuyama Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 セファロスポリン系抗生物質の中間体として
有用なアミドチアゾール誘導体エステル化合物を簡便に
高純度で得る製造方法を提供する。 【解決手段】 縮合剤を用いてtert−ブトキシカル
ボニル−L−アラニン等のN−保護アミノ酸化合物と2
−(2−アミノチアゾール−4−イル)−2−(Z)−
メトキシイミノ酢酸エチル等のアミノチアゾール誘導体
エステル化合物とを縮合させて、2−(2−tert−
ブトキシカルボニル−L−アラニルアミノチアゾール−
4−イル)−2−(Z)−メトキシイミノ酢酸エチル等
のアミドチアゾール誘導体エステル化合物を製造する方
法において、縮合剤としてイソブチルクロロフォーメー
ト等のハロゲノフォーメート化合物及びN−メチルモル
フォリン等の三級アミン化合物を使用する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、N−保護アミノ酸
化合物とアミノチアゾール誘導体エステル化合物とから
アミドチアゾール誘導体エステル化合物を製造する方法
に関する。
【0002】
【従来の技術】アミノチアゾール誘導体は、医薬品製造
の中間体として有用な化合物であり、セフェム系、セフ
ァロスポリン系等の抗生物質の側鎖として用いられる重
要な化合物である。例えば、7−アミノセファロスポラ
ン酸等のβ−ラクタム系化合物にアミド化反応によって
アミノチアゾール誘導体が結合することによって抗生物
質の基本骨格が作られている。
【0003】セファロスポリン系抗生物質は、一般的に
幅広い抗菌スペクトルを有し、副作用も少ないことか
ら、注目を集めている抗生物質である。しかしながら、
アミノチアゾール誘導体とβ−ラクタム系化合物から合
成されたセファロスポリン誘導体は一般的に消化管吸収
性が悪いという問題点があった。そこで、アミノチアゾ
ール誘導体のアミノ基を、消化管での生体内への吸収後
にペプチダーゼのような生体内酵素等で容易に切断され
るアミノ酸の様な化合物で保護し、得られる中間体とβ
−ラクタム系化合物と反応させることにより、消化管吸
収性の高いセファロスポリン誘導体(プロドラッグタイ
プセファロスポリン誘導体ともいう。)を得る技術が開
発されている。
【0004】この様なプロドラッグタイプセファロスポ
リン誘導体としては、下記式(V)
【0005】
【化6】
【0006】(式中、R7は、1−アルカノイルオキシ
アルキル基、又は1−アルコキシカルボニルオキシアル
キル基である。)で示されるプロドラッグタイプセファ
ロスポリン誘導体が知られており、その消化管吸収性の
良さから該誘導体の需要は益々高まってきている。
【0007】このため、上記プロドラッグタイプセファ
ロスポリン誘導体の重要中間体である下記式(III)
【0008】
【化7】
【0009】{式中、R1はアミノ基の保護基であり、R
2は水素原子、炭素数1〜6の飽和炭化水素基、又は炭
素数2〜8の不飽和炭化水素基であり、R3は炭素数1
〜7のアルキル基、又は炭素数7〜11のアラルキル基
であり、Yは下記式
【0010】
【化8】
【0011】(式中、R4は炭素数1〜7のアルキルオ
キシ基、又は炭素数7〜19のアラルキルオキシ基であ
り、R5は水素原子又は炭素数1〜7のアルキル基、炭
素数7〜19のアラルキル基、炭素数1〜7のアルキル
オキシ基、又は炭素数7〜19のアラルキルオキシ基で
ある。)で示される2価の基、又は単結合で炭素原子と
結合する2つの水素原子である。}で示されるアミドチ
アゾール誘導体エステル化合物を高純度で収率良く製造
することが重要となっている。なお、該アミドチアゾー
ル誘導体エステル化合物については、その用途との関係
から、光学純度の高いものが望まれている。
【0012】このアミドチアゾール誘導体エステル化合
物の合成方法としては、N−保護アミノ酸化合物を、
縮合剤としてのジシクロヘキシルカルボジイミドの存在
下にN−ヒドロキシコハク酸イミドと反応させてコハク
酸イミド体を合成した後、さらにアミノチアゾール誘導
体エステル化合物と反応させてアミドチアゾール誘導体
エステル化合物を単離収率112.4%(文献記載の値
に基づく計算値。収率が100%を越えていることか
ら、このとき単離されたものは不純物を含んでいるもの
と思われる。)で合成する方法(特開昭58−1804
91号公報)、及びN−保護アミノ酸化合物とアミノ
チアゾール誘導体エステル化合物とを4−ジメチルアミ
ノピリジンの存在下に、縮合剤として水溶性カルボジイ
ミドである1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロ
ピル)カルボジイミド塩酸塩と反応させて、アミドチア
ゾール誘導体エステル化合物を単離収率67.5%で合
成する方法(特開平3−204883号公報)が知られ
ている。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記特
開昭58−180491号公報に記載されている方法で
は、N−tert−ブトキシカルボニル−L−アラニン
とN−ヒドロキシコハク酸イミドとからジシクロヘキシ
ルカルボジイミドを用いてコハク酸イミド体を合成させ
たときに難溶性ウレア体が副生するため、これを濾過し
てから2−(2−アミノチアゾール−4−イル)−2−
メトキシイミノ酢酸メチルエステルと反応させる必要が
あり、工程が煩雑であるという問題がある。また、単離
収率が112.4%(文献記載の値に基づく計算値)
と、収率が100%を越えていることから、この時単離
された物は不純物を含んでいるものと思われ、さらに定
量的に進行する次工程後の単離収率が69.3%である
ことから、真の縮合収率は、70%程度の低い値であっ
たと予測される。
【0014】また、上記特開平3−204883号公報
に記載されている方法では、目的物であるアミドチアゾ
ール誘導体エステル化合物の単離収率は約67.5%と
低く、反応途中で除去する必要はないものの、最終的に
は除去しなければならない副生物として、水溶性ウレア
体が副生するという問題があった。
【0015】このように、前記(III)式で示されるア
ミドチアゾール誘導体エステル化合物、特に光学純度の
高い該アミドチアゾール誘導体エステル化合物を高純度
且つ高収率で製造する方法は知られておらず、このよう
な方法の開発が望まれている。
【0016】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、かかる実
状に鑑み、先ず上記従来方法の反応機構について討を行
った。その結果、ジシクロヘキシルカルボジイミドや1
−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジ
イミド塩酸塩等のカルボジイミド系縮合剤を用いた場合
には、反応経路の一つとしてN−保護アミノ酸化合物の
酸無水物を経由する反応経路があり、該酸無水物とアミ
ノチアゾール誘導体エステル化合物との反応が極めて遅
いため収率が低くなっていることをつきとめた。
【0017】そして、該知見に基づき、上記のような反
応性の低い酸無水物を経由せずに反応を進行させる縮合
剤について種々検討を行なったところ、縮合剤としての
ハロゲノフォーメート化合物を三級アミン化合物と組合
わせて用いることにより、除去困難なウレア体等を副生
することなく、高い収率で目的物が得られることを見出
し、本発明を完成するに至った。
【0018】即ち、本発明は、縮合剤を用いて下記一般
式(I)
【0019】
【化9】
【0020】(式中、R1はアミノ基の保護基であり、
2は水素原子、炭素数1〜6の飽和炭化水素基、又は
炭素数2〜8の不飽和炭化水素基である。)で示される
N−保護アミノ酸化合物と下記一般式(II)
【0021】
【化10】
【0022】{式中、R3は炭素数1〜7のアルキル
基、又は炭素数7〜11のアラルキル基であり、Yは下
記式
【0023】
【化11】
【0024】(式中、R4は炭素数1〜7のアルキルオキ
シ基、又は炭素数7〜19のアラルキルオキシ基であ
り、R5は水素原子、炭素数1〜7のアルキル基、炭素
数7〜19のアラルキル基、炭素数1〜7のアルキルオ
キシ基、又は炭素数7〜19のアラルキルオキシ基であ
る。)で示される2価の基、又は単結合で炭素原子と結
合する2つの水素原子である。}で示されるアミノチア
ゾール誘導体エステル化合物とを縮合させて、下記一般
式(III)
【0025】
【化12】
【0026】{式中、R1及びR2は前記一般式(I)に
おけるR2及びR3と同義であり、R3及びYは前記一般
式(II)におけるR3及びYと同義である。}で示され
るアミドチアゾール誘導体エステル化合物を製造する方
法において、縮合剤として下記一般式(IV)
【0027】
【化13】
【0028】(式中、R6はアルキル基、アラルキル
基、又はアリール基であり、Xはハロゲン原子であ
る。)で示されるハロゲノフォーメート化合物、及び三
級アミン化合物を使用することを特徴とする前記アミド
チアゾール誘導体エステル化合物の製造方法である。
【0029】なお、ハロゲノフォーメート化合物が縮合
剤として使用できることは知られているが、本発明のよ
うなアミノチアゾール誘導体エステル化合物を用いた縮
合反応に使用した例は知られていない。これは、ハロゲ
ノフォーメート化合物を縮合剤として使用した場合に
は、副生するハロゲン化水素によってアミノチアゾール
誘導体エステル化合物の異性化してしまうためと考えら
れる。
【0030】本発明は、ハロゲノフォーメート化合物を
三級アミン化合物と組み合わせて使用ることにより、ア
ミノチアゾール誘導体エステル化合物の異性化を抑制す
ると同時に、反応性の低いN−保護アミノ酸無水物や除
去困難なウレア体等の生成を抑制し、従来の方法では実
現できなかったような高い収率で目的のアミドチアゾー
ル誘導体エステル化合物を製造するものである。
【0031】
【発明実施の形態】本発明の製造方法は、前記一般式
(I)で示されるN−保護アミノ酸化合物(以下、単に
「原料N−保護アミノ酸」ともいう。)と前記一般式
(II)で示されるアミノチアゾール誘導体エステル化合
物(以下、単に「原料アミノチアゾール誘導体エステ
ル」ともいう。)とを縮合させて、前記一般式(III)
で示されるアミドチアゾール誘導体エステル化合物を製
造する際に、縮合剤として前記一般式(IV)で示される
ハロゲノフォーメート化合物を三級アミン化合物と組合
わせて使用することを最大の特徴とする。このことによ
り原料アミノチアゾール誘導体エステルの高い光学純度
を保ったまま高収率で目的物を得ることができ、しかも
副生物の除去も容易となる(副生物はハロゲン化水素、
炭酸ガス、アルキルアルコール等であり、通常の生成手
段で容易に除去できるものばかりである。)。
【0032】縮合剤として上記ハロゲノフォーメート化
合物以外の化合物を用いた場合には、除去が困難な化合
物が副生し、目的物の収率も低いものとなってしまう。
また、上記ハロゲノフォーメート化合物を用いた場合で
も、三級アミン化合物と組合わせて使用しない場合に
は、上記原料アミノチアゾール誘導体エステルが異性化
してしまい、光学純度の高い目的物を高収率で得ること
ができない。
【0033】なお、本発明において縮合剤とは、縮合反
応を促進する作用を有する化合物をいい、該化合物自体
が反応試剤と反応して活性な中間体を形成する化合物は
勿論、直接反応試剤とは反応しなくても何らかの作用に
より結果として縮合反応を有効に進行せしめる化合物を
いう。
【0034】本発明で使用するハロゲノフォーメート化
合物は前記一般式(IV)で示さる構造を有する。前記一
般式(IV)におけるR6は、アルキル基、アラルキル基
またはアリール基であり、好適なこれら基を具体的に例
示すると、アルキル基としては、メチル基、エチル基、
n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソ
ブチル基、tert−ブチル基等の炭素数1〜4のアル
キル基を;アラルキルとしては、ベンジル基、4−ニト
ロベンジル基、9−フルオレニルメチル基等の炭素数7
〜14のアラルキル基を;アリール基としてはフェニル
基、ナフチル基等の炭素数6〜10のアリール基を挙げ
ることができる。
【0035】好適に使用できるハロゲノフォーメート化
合物を具体的に例示すれば、メチルクロロフォーメー
ト、エチルクロロフォーメート、n−プロピルクロロフ
ォーメート、イソプロピルクロロフォーメート、イソブ
チルクロロフォーメート等脂肪族クロロフォーメート
類;エチルブロモフォーメート、n−プロピルブロモフ
ォーメート等の脂肪族ブロモフォーメート類;フェニル
クロロフォーメート、ベンジルクロロフォーメート等の
芳香族クロロフォーメート類等を挙げることができる。
【0036】これらの中でも特に、縮合転化率の高さか
らメチルクロロフォーメート、エチルクロロフォーメー
ト、プロピルクロロフォーメート、イソプロピルクロロ
フォーメート、イソブチルクロロフォーメート等脂肪族
クロロフォーメート類が好適に用いることができる。さ
らには、エチルクロロフォーメート、イソプロピルクロ
ロフォーメート、イソブチルクロロフォーメートが不純
物の少なさから特に好適に用いられる。これらのハロゲ
ノフォーメート化合物は全て試薬または工業原料として
入手可能である。
【0037】これらハロゲノフォーメート化合物の使用
量は特に制限されるものではないが、少なすぎると未反
応原料が残留し、多すぎると原料アミノチアゾール誘導
体エステルとハロゲノフォーメート化合物が直接反応し
た副生物が増加するため、原料N−保護アミノ酸1モル
に対して、0.5〜5モルの範囲で用いるのが好適であ
る。さらには、高純度の目的物を得ることを考えると、
原料N−保護アミノ酸1モルに対して、0.8〜3モル
の範囲で用いることが特に好適である。
【0038】本発明において、上記ハロゲノフォーメー
ト化合物と併用される三級アミン化合物としては、ハロ
ゲン化水素を補足する作用を有するものであれば特に限
定されず、公知の三級アミン化合物が使用できる。本発
明で使用できる三級アミン化合物を具体的に例示する
と、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−
プロピルアミン、トリ−n−ブチルアミン、ジイソプロ
ピルメチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン等の脂
肪族三級アミン化合物;N−メチルピロリジン、N−メ
チルピペリジン、N−エチルピペリジン、N−メチルモ
ルフォリン、N−エチルモルフォリン等の環状三級アミ
ン化合物;ピリジン、N,N−ジメチルアミノピリジ
ン、N−メチルピロール等の環状不飽和炭化水素三級ア
ミン化合物;N,N,−N’、N’−テトラメチルエチ
レンジアミン、N,N,N’、N’−テトラエチルエチ
レンジアミン、N,N,N’、N’−テトラメチルエチ
レンジアミン、N,N,N’、N’−テトラメチル−
1,3−プロピレンジアミン、N,N,N’、N’−テ
トラメチル−1,3−ブタンジアミンN,N,N’、
N’−テトラメチル−1,4−ブタンジアミン等の脂肪
族三級ジアミン化合物等を挙げることができる。
【0039】これらの中でも特に、縮合転化率の高さか
ら、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−
プロピルアミン、トリ−n−ブチルアミン、ジイソプロ
ピルメチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン等の脂
肪族三級アミン化合物;又はN−メチルピロリジン、N
−メチルピペリジン、N−エチルピペリジン、N−メチ
ルモルフォリン、N−エチルモルフォリン等の環状三級
アミン化合物が好適に用いられる。なお、これらの三級
アミン化合物はすべて試薬及び工業原料として入手可能
である。
【0040】上記三級アミン化合物の使用量は特に制限
されるものではないが、少なすぎると縮合反応が進ま
ず、多すぎるとハロゲノフォーメート化合物を分解し縮
合転化率が低下するため、用いるハロゲノフォーメート
化合物1モルに対して、0.5〜5.0モルの範囲で用
いるのが好適である。さらには、未反応原料や分解副生
成物等の不純物を低減し高純度の目的物を得るという観
点から、用いるハロゲノフォーメート化合物1モルに対
して、0.7〜1.3モルの範囲で用いることが特に好
ましい。
【0041】本発明の製造方法において、縮合剤として
前記ハロゲノフォーメート化合物を三級アミン化合物と
組合わせて使用する以外は、従来のN−保護アミドチア
ゾールエステル誘導体化合物を製造する方法と特に変わ
るところはなく、原料となるN−保護アミノ酸化合物お
よびアミノチアゾールエステル誘導体としては、従来法
で使用されているものが制限なく使用できる。
【0042】即ち、N−保護アミノ酸化合物としては前
記一般式(I)で示される原料N−保護アミノ酸を使用
することができる。なお、前記一般式(I)中のR
1は、アミノ基の保護基である。該R1は、アミノ基を保
護する作用を有する有機残基であれば特に制限されるも
のではなく、このような作用を有する基を具体に例示す
れば、ホルミル基、アセチル基、クロロアセチル基、ア
セトアセチル基等のアシル型保護基;イソプロポキシカ
ルボニル基、tert−ブトキシカルボニル基等のアル
コキシカルボニル基;ベンジルオキシカルボニル基等の
アラルキルオキシカルボニル基;ベンジル基、トリフェ
ニルメチル基等のアラルキル基等を挙げることができ
る。
【0043】これらの中でも特に、縮合反応時のラセミ
化抑制効果の点から、イソプロポキシカルボニル基、t
ert−ブトキシカルボニル基等のアルコキシカルボニ
ル基;又はベンジルオキシカルボニル基等のアラルキル
オキシカルボニル基を用いるのが好適である。さらに脱
保護の容易さからtert−ブトキシカルボニル基を用
いるのが最も好適である。
【0044】また、前記一般式(I)中のR2は、水素
原子、炭素数1〜6の飽和炭化水素基、又は炭素数2〜
8の不飽和炭化水素基である。こ炭素数1〜6の飽和炭
化水素基としては、メチル基、エチル基、イソプロピル
基、2−メチルプロピル基、1−メチルプロピル基等が
例示される。また、炭素数2〜8の不飽和炭化水素基と
しては、2−メチレンシクロプロピル基、ベンジル基、
フェニル基等が例示される。これらの中でもメチル基
は、最終的にプロドラッグタイプセファロスポリン誘導
体にした場合の吸収性及び生体内分解特性が良いことか
ら特に好適に用いられる。
【0045】本発明において使用できる原料N−保護ア
ミノ酸を具体的に例示すれば、N−アセチルグリシン、
N−アセチルアラニン、N−アセチルバリン、N−アセ
チルロイシン、N−アセチルフェニルグリシン、N−ア
セチルフェニルアラニン等のアシルアミノ酸化合物;t
ert−ブトキシカルボニルグリシン、tert−ブト
キシカルボニルアラニン、tert−ブトキシカルボニ
ルバリン、tert−ブトキシカルボニルロイシン、t
ert−ブトキシカルボニルフェニルグリシン、ter
t−ブトキシカルボニルフェニルアラニン等のアルコキ
シカルボニルアミノ酸化合物;N−ベンジルオキシカル
ボニルグリシン、N−ベンジルオキシカルボニルアラニ
ン、N−ベンジルオキシカルボニルバリン、N−ベンジ
ルオキシカルボニルロイシン、N−ベンジルオキシカル
ボニルフェニルアラニン等のアラルキルオキシカルボニ
ルアミノ酸化合物;N−ベンジルグリシン、N−ベンジ
ルアラニン、N−ベンジルバリン、N−ベンジルロイシ
ン、N−ベンジルフェニルグリシン、N−ベンジルフェ
ニルアラニン、N−トリフェニルメチルグリシン、N−
トリフェニルメチルアラニン、N−トリフェニルメチル
バリン、N−トリフェニルメチルロイシン、N−トリフ
ェニルメチルアラニン、N−トリフェニルメチルフェニ
ルグリシン、N−トリフェニルメチルフェニルアラニン
等のアラルキルアミノ酸化合物等を挙げることができ
る。
【0046】これらの中でも特に、縮合反応時のラセミ
化抑制能の高さから、tert−ブトキシカルボニルア
ラニン、tert−ブトキシカルボニルバリン、ter
t−ブトキシカルボニルロイシン、tert−ブトキシ
カルボニルフェニルグリシン、tert−ブトキシカル
ボニルフェニルアラニン等のアルコキシカルボニルアミ
ノ酸化合物;又はN−ベンジルオキシカルボニルアラニ
ン、N−ベンジルオキシカルボニルバリン、N−ベンジ
ルオキシカルボニルロイシン、N−ベンジルオキシカル
ボニルフェニルグリシン、N−ベンジルオキシカルボニ
ルフェニルアラニン等のアラルキルオキシカルボニルア
ミノ酸化合物を用いるのが好適である。さらに、保護・
脱保護反応の容易さから、tert−ブトキシカルボニ
ルアラニン、tert−ブトキシカルボニルバリン、t
ert−ブトキシカルボニルロイシン、tert−ブト
キシカルボニルフェニルグリシン、tert−ブトキシ
カルボニルフェニルアラニン等のtert−ブトキシカ
ルボニルアミノ酸化合物用いるのが特に好適である。
【0047】これらの原料N−保護アミノ酸は、試薬あ
るいは工業原料としても入手可能であるが、入手できな
い場合は、合成することができる。即ち、対応するアミ
ノ酸に、塩基存在下、保護剤を反応させることで容易に
合成できる。
【0048】これらの原料N−保護アミノ酸の中には、
不斉炭素を持つ物もある。本発明においてはL体、D体
いずれのN−保護アミノ酸化合物も使用可能であるが、
最終生成物の薬理活性の点からL体が好適に用いられ
る。
【0049】本発明で使用するもう一つの原料化合物で
あるアミノチアゾール誘導体エステル化合物としては、
前記一般式(II)で示される原料アミノ体を使用する事
ができる。なお、前記一般式(II)中のR3は、炭素数
1〜7のアルキル基、または炭素数7〜11のアラルキ
ル基である。これら基を具体的に例示すると、炭素数1
〜7のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−
プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−
ブチル基、tert−ブチル基等が挙げられ、炭素数7
〜11のアラルキル基としては、ベンジル基、ナフチル
メチル基等が挙げられる。これらの中でも、メチル基、
エチル基は、後の加水分解に関わる操作が容易であるこ
とから特に好適に用いられる。
【0050】また、前記一般式(II)中のYは、下記式 =N−R4、又は=CHR5 で示される2価の基、又は単結合でYが結合する炭素原
子と結合する2つの水素原子である。
【0051】なお、上記式中のR4は、炭素数1〜7の
アルキルオキシ基、又は炭素数7〜19のアラルキルオ
キシ基である。炭素数1〜7のアルキルオキシ基として
は、メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、イソ
プロピルオキシ基、n−ブチルオキシ基、sec−ブチ
ルオキシ基、tert−ブチルオキシ基等が例示され、
炭素数7〜19のアラルキルオキシ基としてはベンジル
オキシ基、トリフェニルメチルオキシ基等が例示され
る。
【0052】また、上記式中のR5は水素原子、炭素数
1〜7のアルキル基、炭素数7〜19のアラルキル基、
炭素数1〜7のアルキルオキシ基、又は炭素数7〜19
のアラルキルオキシ基である。炭素数1〜7のアルキル
基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イ
ソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert
−ブチル基等が例示され;炭素数7〜19のアラルキル
基としては、ベンジル基、トリフェニルメチル基等が例
示され;炭素数1〜7のアルキルオキシ基としては、メ
トキシ基、エトキシ基、n−プロピルオキシ基、イソプ
ロピルオキシ基、n−ブチルオキシ基、イソブチルオキ
シ基、tert−ブチルオキシ基等が例示され;炭素数
7〜19のアラルキルオキシ基としては、ベンジルオキ
シ基、トリフェニルメチルオキシ基等が例示される。
【0053】また、Yが単結合で炭素原子と結合する2
つの水素原子である場合には、前記一般式(II)におけ
る−C(=Y)−で示される基は、−CH2−基とな
る。
【0054】本発明において使用できる原料アミノチア
ゾール誘導体エステルを具体的に例示すると、2−(2
−アミノチアゾール−4−イル)−酢酸メチル、2−
(2−アミノチアゾール−4−イル)酢酸エチル、2−
(2−アミノチアゾール−4−イル)−2−メトキシイ
ミノ酢酸メチル、2−(2−アミノチアゾール−4−イ
ル)−2−メトキシイミノ酢酸エチル、2−(2−アミ
ノチアゾール−4−イル)−2−メトキシイミノ酢酸t
ert−ブチル、2−(2−アミノチアゾール−4−イ
ル)−2−メトキシイミノ酢酸ベンジル、2−(2−ア
ミノチアゾール−4−イル)−2−エトキシイミノ酢酸
メチル、2−(2−アミノチアゾール−4−イル)−2
−エトキシイミノ酢酸エチル、2−(2−アミノチアゾ
ール−4−イル)−2−エトキシイミノ酢酸ベンジル、
2−(2−アミノチアゾール−4−イル)−2−ベンジ
ルオキシイミノ酢酸エチル、2−(2−アミノチアゾー
ル−4−イル)−2−トリフェニルオキシイミノ酢酸エ
チル、2−(2−アミノチアゾール−4−イル)−2−
トリフェニルオキシイミノ酢酸ベンジル、2−(2−ア
ミノチアゾール−4−イル)−2−プロペン酸エチル、
2−(2−アミノチアゾール−4−イル)−2−ブテン
酸エチル、2−(2−アミノチアゾール−4−イル)−
2−ペンテン酸エチル等を挙げることができる。
【0055】これらの中でも、プロドラッグタイプセフ
ァロスポリン誘導体の効果の高さから、2−(2−アミ
ノチアゾール−4−イル)−2−メトキシイミノ酢酸メ
チルエステル、2−(2−アミノチアゾール−4−イ
ル)−2−メトキシイミノ酢酸エチルエステル等が特に
好適に用いられる。
【0056】これらの原料アミノチアゾール誘導体エス
テルは、試薬あるいは工業原料として入手可能である
が、入手できない場合は、次のようにして合成すること
ができる。即ち、アルコキシイミノ酢酸化合物類は、対
応する2−(2−アミノチアゾール−4−イル)−2−
ヒドロキシイミノ酢酸のエステル化合物とアルキルハラ
イド又はアラルキルハライドとを反応させることにより
合成でき、アルケン酸化合物類は、対応する4−クロロ
アセト酢酸のエステル化合物に対応するアルデヒドを反
応させ4−クロロ−2−アルキリデンアセト酢酸エステ
ル化合物を得た後、チオ尿素と反応させることにより容
易に合成できる。
【0057】また、原料アミノチアゾール誘導体エステ
ルには、E体、Z体の異性体が存在する場合があり、本
発明においては、E体、Z体いずれも使用可能である
が、最終生成物の薬理活性の点からL体が好適に用いら
れる。
【0058】上記原料アミノチアゾール誘導体エステル
の使用量は、特に制限されるものではないが、少なすぎ
ると未反応の原料N−保護アミノ酸が残留し、多すぎる
と原料アミノチアゾール誘導体エステルが未反応で残留
するため、原料N−保護アミノ酸1モルに対して0.5
〜5モルの範囲で用いるのが好適である。さらには、高
純度のアミドチアゾール誘導体エステル化合物が得られ
るという観点から原料N−保護アミノ酸1モルに対して
0.8〜2モルの範囲で用いるのが特に好適である。
【0059】本発明の製造方法においては、反応条件を
制御しやすく均一に短時間で反応を行なうために、反応
に際して溶媒を使用するのが好適である。本発明で使用
できる溶媒を具体的に例示すると、n−ペンタン、n−
ヘキサン、n−ヘプタン、シクロペンタン、シクロヘキ
サン等の飽和炭化水素類;ベンゼン、トルエン、キシレ
ン等の不飽和炭化水素類、塩化メチレン、クロロホル
ム、四塩化炭素等のハロゲン化炭化水素類;ジエチルエ
ーテル、ジイソプロピルエーテル、tert−ブチルメ
チルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサ
ン等のエーテル類;酢酸エチル、酢酸メチル、酢酸n−
プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸n−ブチル、酢酸t
ert−ブチル等のエステル類;アセトン、メチルエチ
ルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類;炭酸
ジメチル、炭酸ジエチル等のカーボネート類;アセトニ
トリル、プロピオニトリル等のニトリル類、N,N−ジ
メチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等
のアミド類;ジメチルスルフォキシド等のスルフォキシ
ド類;tert−ブチルアルコール等のアルコール類等
を挙げることができる。
【0060】これらの溶媒の中でも、縮合収率の高さか
ら、ハロゲン化炭化水素類、エーテル類、エステル類、
ケトン類、又はカーボネート類が好適に用いられる。さ
らには、反応中にラセミ化が起こるのを防止するという
観点から、ジエチルエーテル、ジイソプロイルエーテ
ル、クロロホルム、酢酸エチル、テトラヒドロフラン等
の比誘電率が20以下の溶媒を用いるのが特に好適であ
る。
【0061】これら溶媒の使用量は特に制限されるもの
ではないが、反応制御の容易さ及び経済性等の観点か
ら、原料N−保護アミノ酸100重量部に対し、50〜
10000重量部、特に100〜1000重量部の範囲
で用いるのが好適である。
【0062】本発明の製造方法における操作手順は特に
限定されず、各反応試剤の添加方法についても全成分を
同時に添加してもよいし、時間をずらして各成分を別々
に添加してもよい。ただし、本発明における反応は発熱
反応であり、反応系の除熱能力を大きく超えた場合は反
応系が高温となり、原料N−保護アミノ酸、ハロゲノフ
ォーメート化合物等の原料や反応中間体が分解したり副
反応が起こり易くなるため、反応系の除熱能力を考慮し
て、反応温度を適切な範囲内に調節できるように、添加
順序や添加速度を制御するのが好適である。
【0063】例えば、反応スケールが小規模な場合に
は、先ず、原料N−保護アミノ酸及び三級アミン化合
物、さらに必要に応じて溶媒を混合し、得られた混合物
に高活性化合物であるハロゲノフォーメート化合物を反
応温度を調節しながら時間をかけて添加してハロゲノフ
ォーメート化合物と原料N−保護アミノ酸化合物との反
応生成物(すなわち反応中間体)を生成させ、その後原
料アミノチアゾール誘導体エステルを加えて縮合反応さ
せることにより反応温度が高くなりすぎるのを防止する
ことができる。
【0064】しかし、この方法は、小スケールの反応に
おいてはきわめて有効な方法であるが、大量スケールの
反応においては、ハロゲノフォーメート化合物の添加に
長時間を要し、先に添加したハロゲノフォーメート化合
物と原料N−保護アミノ酸化合物との反応生成物(即ち
反応中間体)が、残余の三級アミン化合物によって分解
されて、縮合収率が低下することがある。
【0065】このため、工業的規模等の大スケールでの
反応では、先ず原料N−保護アミノ酸及びハロゲノフォ
ーメート化合物、並びに必要に応じて溶媒を混合し、次
いで得られた混合物に三級アミン化合物を添加して反応
中間体を生成させ、その後、原料アミノチアゾール誘導
体エステルを添加して縮合させる方法が好適である。該
方法によれば、上記のような問題も起こらないため、高
い収率で目的物を得ることができる。
【0066】上記方法において、原料N−保護アミノ酸
及びハロゲノフォーメート化合物、並びに必要に応じて
溶媒を混合する方法は、特に限定されず、反応系の凝固
点〜100℃で、両者(又は三者)を適宜混合すればよ
い。また、三級アミン化合物の添加条件は、反応温度が
反応系の凝固点〜50℃に維持できるように、用いる各
化合物の種類や量に応じて適宜決定すればよい。このと
き時反応温度を均一にするために攪拌を行なうのが好適
である。このような温度で攪拌を続けることにより通常
0.1〜40時間程度で反応中間体が生成する。
【0067】また、原料アミノチアゾール誘導体エステ
ルを添加して縮合反応を行なうときの反応温度として
は、通常は反応系の凝固点以上200℃以下で行えばよ
いが、目的物の収率と反応速度のバランスの観点から、
−30℃〜80℃以下で行うのが、特に−30〜−10
℃で反応を行なった後0〜80℃に昇温して更に反応を
行なうのが好適である。この時反応温度を均一にするた
めに攪拌を行なうのが好適である。
【0068】また、上記方法における縮合反応の反応時
間は、反応温度、溶媒の種類等に応じて適宜決定すれば
良いが、通常、0.1〜40時間もあれば十分である。
【0069】上記方法における各反応は、何れも常圧
下、加圧下、又は減圧下で実施できる。更に、これら反
応は、大気開放下で実施可能であるが、大気中の水分に
よって分解反応が進行するのを防止するため、塩化カル
シウム等の乾燥管を備え付けた装置内、或いは窒素、ヘ
リウム、アルゴン等の不活性気体雰囲気下で実施するこ
とが好ましい。
【0070】この様にして反応を行なうことにより、使
用した原料N−保護アミノ酸及び原料アミノチアゾール
誘導体エステルの構造に応じた構造を有するアミドチア
ゾール誘導体エステル、即ち、前記一般式(III)で示
されるアミドチアゾール誘導体エステルが得られる。
【0071】得られたアミドチアゾール誘導体エステル
は、必要に応じて分離、精製して単離することができ
る。例えば、反応溶媒として水と相溶しない有機溶媒を
用いた場合には、反応終了後反応液を酸水溶液、水等で
洗浄した後、溶媒を乾燥し、再結晶或いはカラムクロマ
トグラフィ等によって分離精製することによって行うこ
とができる。
【0072】また、得られた反応液を混合物のまま、或
いは適当な処理をした後、単離することなく、これを出
発原料として各種用途に応じた反応に用いてもよい。
【0073】
【実施例】以下、実施例を掲げて本発明を更に具体的に
説明するが、本発明はこれら実施例に制限されるもので
はない。
【0074】実施例1 攪拌翼、温度計、窒素吹き込み口、滴下漏斗を取り付け
た反応容器に、tert−ブトキシカルボニル−L−ア
ラニン9.46g(0.05モル、100%ee)、酢
酸エチル100mlを入れて反応系内を窒素置換した後
に−20℃まで冷却した。この溶液にイソブチルクロロ
フォーメート6.83g(0.05モル)を加えた後、
N−メチルモルフォリン5.06g(0.05モル)を
滴下漏斗を用いて20分かけて滴下した。このスラリー
を−20℃で2時間反応させた後、2−(2−アミノチ
アゾール−4−イル)−2−(Z)−メトキシイミノ酢
酸エチル11.46g(0.05モル)を添加した。−
20℃で1時間反応させた後、5分で30℃まで昇温
し、同温度で20時間反応した。この反応液を高速液体
クロマトグラフィ(以後HPLCと略す。)で分析した
ところ、2−(2−tert−ブトキシカルボニル−L
−アラニルアミノチアゾール−4−イル)−2−(Z)
−メトキシイミノ酢酸エチル(以後BAAEと略す。)
の収率は90.0%であった。副生物である2−(2−
イソブトキシカルボニルアミノチアゾール−4−イル)
−2−(Z)−メトキシイミノ酢酸エステル(以後、i
Boc体と略す。)が0.6%生成していた。また光学
分離カラムを用いて分析を行ったところ、目的物の光学
純度は99%eeであった。この時用いたtert−ブ
トキシカルボニル−L−アラニン中のD体は検出されな
かった。
【0075】実施例2〜6 3級アミン化合物として表1に示す化合物(何れも10
0%ee)を用いた以外、実施例1と同様に操作した。
結果を表1に示す。
【0076】
【表1】
【0077】実施例7〜10 ハロゲノフォーメート化合物として表2に示す物を用い
た以外、実施例1と同様に操作した。結果を表2に示
す。
【0078】
【表2】
【0079】実施例11〜15 N−保護アミノ酸化合物として表3に示す物(何れも1
00%ee)を用いた以外、実施例1と同様に操作し
た。結果を表3に示す。
【0080】
【表3】
【0081】実施例16〜21 アミノチアゾール誘導体エステル化合物として表4に示
す化合物を用いた以外、実施例1と同様に操作した。結
果を表5及び6に示す。
【0082】
【表4】
【0083】
【表5】
【0084】
【表6】
【0085】実施例22 攪拌翼、温度計、窒素吹き込み口、滴下漏斗を取り付け
た反応容器に、tert−ブトキシカルボニル−L−ア
ラニン9.46g(0.05モル、100%ee)、酢
酸エチル100mlを入れて反応系内を窒素置換した後
に−20℃まで冷却した。この溶液にN−メチルモルフ
ォリン5.06g(0.05モル)を加えた後、イソブ
チルクロロフォーメート6.83g(0.05モル)を
滴下漏斗を用いて20分かけて滴下した。このスラリー
を−20℃で2時間反応させた後、2−(2−アミノチ
アゾール−4−イル)−2−(Z)−メトキシイミノ酢
酸エチルエステル11.46g(0.05モル)を添加
した。−20℃で1時間反応させた後、5分で30℃ま
で昇温し、同温度で20時間反応した。この反応液をH
PLCで分析したところBAAEの収率は83.1%で
あった。副生物であるiBoc体が0.4%生成してい
た。目的物の光学純度は99%eeであった。
【0086】実施例23 イソブチルクロロフォーメート6.83g(0.05モ
ル)を滴下漏斗を用いて1.5時間かけて滴下した以
外、実施例22と同様に操作したところ、BAAEの収
率は78.6%であった。副生物であるiBoc体が
1.2%生成していた。目的物の光学純度は99%ee
であった。
【0087】実施例24〜26 反応溶媒として、表7に示す化合物を用いた以外、実施
例1と同様に操作した。結果を表7に示す。
【0088】
【表7】
【0089】
【発明の効果】本発明の製造方法によれば、原料N−保
護アミノ酸及び原料アミノチアゾール誘導体エステルか
ら、プロドラッグタプイセファロスポリン誘導体の重要
中間体であるアミドチアゾール誘導体エステル化合物を
高収率で得ることができる。しかも、光学純度の高い原
料N−保護アミノ酸を用いた場合には、反応中にラセミ
化を起こすこと無く高い光学純度の目的物を得ることが
できる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C07M 7:00 C07D 277/38 Fターム(参考) 4C033 AD15 AD18 4G069 AA06 BD12A BD12B BE14A BE14B BE33A BE33B CB25 CB75 DA02 4H006 AC81 4H039 CA71 CD10 CD30 CE10

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 縮合剤を用いて下記一般式(I) 【化1】 (式中、R1はアミノ基の保護基であり、R2は水素原
    子、炭素数1〜6の飽和炭化水素基、又は炭素数2〜8
    の不飽和炭化水素基である。)で示されるN−保護アミ
    ノ酸化合物と下記一般式(II) 【化2】 {式中、R3は炭素数1〜7のアルキル基、又は炭素数
    7〜11のアラルキル基であり、Yは下記式 【化3】 (式中、R4は炭素数1〜7のアルキルオキシ基、又は炭
    素数7〜19のアラルキルオキシ基であり、R5は水素
    原子、炭素数1〜7のアルキル基、炭素数7〜19のア
    ラルキル基、炭素数1〜7のアルキルオキシ基、又は炭
    素数7〜19のアラルキルオキシ基である。)で示され
    る2価の基、又は単結合で炭素原子と結合する2つの水
    素原子である。}で示されるアミノチアゾール誘導体エ
    ステル化合物とを縮合させて、下記一般式(III) 【化4】 {式中、R1及びR2は前記一般式(I)におけるR2
    びR3と同義であり、R3及びYは前記一般式(II)にお
    けるR3及びYと同義である。} で示されるアミドチアゾール誘導体エステル化合物を製
    造する方法において、縮合剤として下記一般式(IV) 【化5】 (式中、R6はアルキル基、アラルキル基、又はアリー
    ル基であり、Xはハロゲン原子である。)で示されるハ
    ロゲノフォーメート化合物、及び三級アミン化合物を使
    用することを特徴とする前記アミドチアゾール誘導体エ
    ステル化合物の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記一般式(I)におけるR1がter
    t−ブトキシカルボニル基である請求項1記載のアミド
    チアゾール誘導体エステル化合物の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記一般式(I)で示されるN−保護ア
    ミノ酸化合物の光学純度が95%ee以上であり、前記
    一般式(III)で示されるアミドアミドチアゾール誘導
    体エステル化合物の光学純度が95%ee以上である請
    求項1又は請求項2記載のアミドチアゾール誘導体エス
    テル化合物の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記一般式(I)で示されるN−保護ア
    ミノ酸化合物とハロゲノフォーメート化合物とを混合
    し、得られた混合物に三級アミン化合物を添加し、次い
    で前記一般式(II)で示されるアミノチアゾール誘導体
    エステル化合物を添加して反応させることを特徴とする
    前記請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のアミドチ
    アゾール誘導体エステル化合物の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN105017284A (zh) * 2015-06-08 2015-11-04 浙江永宁药业股份有限公司 头孢唑肟丙匹酯的制备方法及其中间体和中间体的制备方法
CN111072592A (zh) * 2019-12-20 2020-04-28 河北合佳医药科技集团股份有限公司 一种氨噻肟酸二聚体的高纯度选择性制备和纯化方法

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