JP2001081083A - N−炭化水素オキシカルボニルアラニルアミノチアゾール酢酸エステル誘導体の製造方法 - Google Patents

N−炭化水素オキシカルボニルアラニルアミノチアゾール酢酸エステル誘導体の製造方法

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JP2001081083A
JP2001081083A JP25978699A JP25978699A JP2001081083A JP 2001081083 A JP2001081083 A JP 2001081083A JP 25978699 A JP25978699 A JP 25978699A JP 25978699 A JP25978699 A JP 25978699A JP 2001081083 A JP2001081083 A JP 2001081083A
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acid
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JP25978699A
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Yoshihiro Hirota
吉洋 廣田
Tomonori Matsunaga
智徳 松永
Fumiaki Iwasaki
史哲 岩崎
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Tokuyama Corp
Original Assignee
Tokuyama Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 抗生物質の一つとして注目されているセファ
ロスポリン誘導体の中間体として有用な、N−炭化水素
オキシカルボニルアラニルアミノチアゾール酢酸エステ
ル誘導体及びその加水分解物であるN−炭化水素オキシ
カルボニルアラニルアミノチアゾール酢酸誘導体を効率
よく製造する方法を提供する。 【解決手段】 N−tert−ブトキシカルボニルアラ
ニンのようなN−炭化水素オキシカルボニルアラニン
と、2−(2−アミノチアゾール−4−イル)−2−
(Z)−メトキシイミノ酢酸エチルエステルのようなア
ミノチアゾール酢酸エステル誘導体とを縮合剤として
N,N’−カルボニルジイミダゾールを用いて縮合させ
てN−炭化水素オキシカルボニルアラニルアミノチアゾ
ール酢酸エステル誘導体を得る。また、N−炭化水素オ
キシカルボニルアラニルアミノチアゾール酢酸エステル
誘導体を単離することなく、この反応で得られた反応液
に塩基を添加し加水分解後中和してN−炭化水素オキシ
カルボニルアラニルアミノチアゾール酢酸誘導体を製造
する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、N−炭化水素オキ
シカルボニルアラニンとアミノチアゾール酢酸エステル
誘導体とを原料としてN−炭化水素オキシカルボニルア
ラニルアミノチアゾール酢酸エステル誘導体を製造する
方法、及び該製造方法により得られるN−炭化水素オキ
シカルボニルアラニルアミノチアゾール酢酸エステル誘
導体を原料としてN−炭化水素オキシカルボニルアラニ
ルアミノチアゾール酢酸誘導体を製造する方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】2−(2−アミノチアゾール−4−イ
ル)−2−メトキシイミノ酢酸(以下ATHMOAと略
記する。)は、医薬品製造の中間体として有用な化合物
であり、例えばセファロスポリン系抗生物質の側鎖とし
て用いられている重要な化合物である。該ATHMOA
は、β−ラクタム系化合物、例えば7−アミノセファロ
スポラン酸誘導体等とアミド化反応によって結合され、
抗生物質の基本骨格を形成する。
【0003】セファロスポリン系抗生物質は一般的に、
幅広い抗菌スペクトルと副作用の少なさから、抗生物質
として注目を集めている医薬品である。しかしながら、
ATHMOAとβ−ラクタム系化合物から合成されたセ
ファロスポリン誘導体は、一般的に水溶性が低く消化管
吸収性が悪いため、経口投与剤あるいは、尿路感染症へ
の応用は困難であった。
【0004】そこで、セファロスポリン誘導体を経口投
与剤あるいは、尿路感染症へ応用するために、ATHM
OAのアミノ基を腸管での生体内への吸収後にペプチタ
ーゼのような生体内酵素等で容易に切断されるアラニン
のような化合物で保護し、得られる中間体とβ−ラクタ
ム系化合物と反応させて得たセファロスポリン誘導体
(改良セファロスポリン誘導体ともいう。)が開発され
ている。
【0005】この様な改良セファロスポリン誘導体とし
ては、下記式(V)
【0006】
【化5】
【0007】(式中、R3は、1−アルカノイルオキシ
アルキル基または1−アルコキシカルボニルオキシアル
キル基である。)で示される改良セファロスポリン誘導
体が挙げられ、その消化管吸収性の良さからその重要性
は益々高まってきている。上記式(V)で示されるセフ
ァロスポリン誘導体を製造する方法としては、次のよう
な2つの方法が知られている。
【0008】その1つは、下記式(VI)
【0009】
【化6】
【0010】で示される、N−tert−ブトキシカル
ボニルアラニルアミノチアゾール酢酸誘導体と下記式
(VII)
【0011】
【化7】
【0012】(式中、R3は、1−アルカノイルオキシ
アルキル基または1−アルコキシカルボニルオキシアル
キル基である。)で示される7−アミノセファロスポラ
ン酸誘導体を、オキシ塩化リンとピリジンの存在下で縮
合反応を行った後、保護基であるN−tert−ブトキ
シカルボニル基の脱保護を行い、該セファロスポリン誘
導体を得る方法(特開昭58−180491号公報、特
開平3−204883号公報)である。
【0013】そして他の1つは、N−tert−ブトキ
シカルボニルアラニンと下記式(VIII)
【0014】
【化8】
【0015】(式中、R3は、1−アルカノイルオキシ
アルキル基または1−アルコキシカルボニルオキシアル
キル基である。)で示される化合物とを縮合剤の存在下
で縮合させた後に、保護基であるN−tert−ブトキ
シカルボニル基を脱保護させる方法(特開平3−204
883号公報)である。
【0016】上記2つの方法における反応収率は、前者
が54.5%であるのに対して後者はわずかに37.1
%にすぎないため、前記式(V)で示されるセファロス
ポリン誘導体を工業的に製造する方法としては前者の方
法が優れているといえる。
【0017】しかしながら、前者の方法においても反応
収率は高いとは言えない。このため、該方法を用いた場
合の基礎原料からのトータル収率を高くするためには、
その原料(一次中間体)として使用する前記式(VI)で
示される化合物を効率よく得ることが重要である。
【0018】すなわち、前記一般式(VI)で示される化
合物を含めて一次中間体として使用できる下記式(IV)
【0019】
【化9】
【0020】(式中、R1は炭素数1〜6のアルキル
基、炭素数6〜8のアリル基、又はベンジル基であ
る。)で示されるN−炭化水素オキシカルボニルアラニ
ルアミノチアゾール酢酸誘導体を高収率で製造すること
が極めて重要である。
【0021】ところで、一次中間体としての上記式(I
V)で示されるN−炭化水素オキシカルボニルアラニル
アミノチアゾール酢酸誘導体の製造方法に関しては、前
出の特開昭58−180491号公報および特開平3−
204883号公報に、具体的に記載されている。
【0022】すなわち、特開昭58−180491号公
報には、まず(i)N−炭化水素オキシカルボニルアラニ
ンを縮合剤としてのジシクロヘキシルカルボジイミドの
存在下にN−ヒドロキシコハク酸イミドを反応させてコ
ハク酸イミド体を合成した後(i-a)、アミノチアゾー
ル酢酸エステル誘導体を反応させてN−炭化水素オキシ
カルボニルアラニルアミノチアゾール酢酸エステル誘導
体を単離収率112.4%(文献記載の値に基づく計算
値、収率が100%を越えていることから、このとき単
離されたものは不純物を含んでいるものと思われる。)
で合成し(i-b)、次いで(ii)単離されたN−炭化水素
オキシカルボニルアラニルアミノチアゾール酢酸エステ
ル誘導体に塩基を加えて加水分解を行った後、酸で中和
を行い、該N−炭化水素オキシカルボニルアラニルアミ
ノチアゾール酢酸誘導体とし、更にこれを酢酸エチルで
抽出した後結晶化させて単離収率69.3%{ステップ
(i)とステップ(ii)のトータル収率として}で得たこと
が記載されている(以下、この方法を従来法1ともい
う。)。
【0023】また、特開平3−204883号公報に
は、まず(i)N−炭化水素オキシカルボニルアラニンと
アミノチアゾール酢酸エステル誘導体を4−ジメチルア
ミノピリジンの存在下、縮合剤として水溶性カルボジイ
ミドである1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロ
ピル)カルボジイミド塩酸塩と反応させて、N−炭化水
素オキシカルボニルアラニルアミノチアゾール酢酸エス
テル誘導体を単離収率67.5%で合成した後に、次い
で(ii)単離したN−炭化水素オキシカルボニルアラニル
アミノチアゾール酢酸エステル誘導体に塩基を加えて加
水分解を行った後、酸で中和を行いN−炭化水素オキシ
カルボニルアラニルアミノチアゾール酢酸誘導体とし、
これを酢酸エチルで抽出して、単離収率61.2%{ス
テップ(i)とステップ(ii)のトータル収率として}で得
たことが記載されている(以下、この方法を従来法2と
もいう。)。
【0024】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記い
ずれの方法も目的物(一次中間体)であるN−炭化水素
オキシカルボニルアラニンアミノチアゾール酢酸エステ
ル誘導体の単離収率は約60〜70%と低く、最終目的
物である前記式(VI)で示されるセファロスポリン誘導
体を得るために要する以降の工程における反応収率があ
まり高くないことを考えると、その単離収率を更に高め
る必要がある。
【0025】なお、上記二つの方法において後段の反応
{ステップ(ii)}は、ほぼ定量的に進行することから、
ステップ(i)の生成物(一次中間体の中間体:以下、二
次中間体ともいう。)であるN−炭化水素オキシカルボ
ニルアラニルアミノチアゾール酢酸エステル誘導体の収
率を向上させる必要がある。
【0026】本発明は、高収率で二次中間体であるN−
炭化水素オキシカルボニルアラニルアミノチアゾール酢
酸エステル誘導体を製造する方法、ひいては一次中間体
であるN−炭化水素オキシカルボニルアラニルアミノチ
アゾール酢酸誘導体を高収率で製造する方法を提供する
ことにある。
【0027】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、上記課題
を解決するために、まず、前記従来法1では(恐らくエ
ステル体の反応性を高めるためと思われるが)、ステッ
プ(i)においてN−炭化水素オキシカルボニルアラニン
とアミノチアゾール酢酸エステルとを直接反応させてお
らず、このことが収率を低くしているのではないかと考
え、N−炭化水素オキシカルボニルアラニンとアミノチ
アゾール酢酸エステル共存下にジシクロヘキシルカルボ
ジイミドを作用させてみた。しかしながら、その縮合収
率は向上せず、67.0%であった(後述の比較例1参
照)。また、従来法2についても追試を行ったところそ
の縮合収率は64.9%(後述の比較例2参照)とな
り、ほぼ文献どおりの結果であることを確認した。
【0028】そこで、縮合反応の収率が低い原因を突き
止めるために、副生成物およびその反応性等について検
討を行ったところ、何れの場合にもその主副生成物はN
−炭化水素オキシカルボニルアラニンの酸無水物である
こと、及び該酸無水物とアミノチアゾール酢酸エステル
誘導体との反応は極めて遅いことが明らかとなった(後
述の比較例1〜2及び参考例1参照)。
【0029】これらの事実から、本発明者等は、従来法
で収率が低いのは、アミノチアゾール酢酸エステル誘導
体のアミノ基の縮合反応性が一般的なアミノ酸誘導体ど
うしの縮合反応におけるアミノ基の反応性に比べて低い
ため、カルボキシル基とアミノ基の脱水反応と同時にカ
ルボキシル基同士の脱水反応が起こってしまうことが原
因であるのではないかと考えた。そして、N−炭化水素
オキシカルボニルアラニンのカルボキシル基をより活性
化してアミノ基に対する縮合反応を優先的に起こさせる
ような縮合剤を使用すれば目的物の反応収率を高くする
ことができるのではないかと考え、このような作用を有
する縮合剤を見出すべく、多くの縮合剤を用いて反応を
行った。
【0030】その結果、縮合剤としてN,N′−カルボ
ニルジイミダゾールを用いた場合には、特異的に高い反
応転化率が得られることを見出し、本発明を完成するに
至った。
【0031】すなわち、第1の本発明は、下記一般式
(I)
【0032】
【化10】
【0033】(式中、R1は、炭素数1〜6のアルキル
基、炭素数6〜8のアリル基、又はベンジル基であ
る。)で示されるN−炭化水素オキシカルボニルアラニ
ンと下記一般式(II)
【0034】
【化11】
【0035】(式中、R2は、炭素数1〜6のアルキル
基、フェニル基、又はベンジル基である。)で示される
アミノチアゾール酢酸エステル誘導体とを縮合剤を用い
て反応させて下記一般式(III)
【0036】
【化12】
【0037】(式中、R1は炭素数1〜6のアルキル
基、炭素数6〜8のアリル基、又はベンジル基であり、
2は、炭素数1〜6のアルキル基、フェニル基、又は
ベンジル基である。)で示されるN−炭化水素オキシカ
ルボニルアラニルアミノチアゾール酢酸エステル誘導体
を製造する方法において、縮合剤としてN,N′−カル
ボニルジイミダゾールを用いることを特徴とするN−炭
化水素オキシカルボニルアラニルアミノチアゾール酢酸
エステル誘導体の製造方法である。
【0038】上記の本発明は、二次中間体として有用な
N−炭化水素オキシカルボニルアラニルアミノチアゾー
ル酢酸エステル誘導体を製造するための方法であるが、
該製造方法において、前記一般式(II)で示されるアミ
ノチアゾール酢酸エステル誘導体の存在下に、前記一般
式(I)で示されるN−炭化水素オキシカルボニルアラ
ニンとN,N′−カルボニルジイミダゾールとを接触さ
せた場合には、製造工程が簡略化され、反応時間も短縮
されるというメリットがある。
【0039】なお、上記本発明の製造方法で使用する
N,N′−カルボニルジイミダゾールが縮合剤として使
用できることは既知であるが、前記一般式(I)で示さ
れるN−炭化水素オキシカルボニルアラニンと前記一般
式(II)で示されるアミノチアゾール酢酸エステル誘導
体との縮合反応という特定の反応系において、縮合剤と
してN,N′−カルボニルジイミダゾールを用いた例は
知られておらず、該反応系において縮合剤としてN,
N′−カルボニルジイミダゾールを選択することによっ
て反応収率が著しく向上するという顕著な効果が得られ
ることは、本発明者らによって初めて見出されたもので
ある。
【0040】例えば、従来法1及び従来法2を開示して
いる前記2つの公報には、一般的なN−炭化水素オキシ
カルボニルアミノ酸とアミノチアゾール酢酸エステル誘
導体との縮合反応反応において使用し得る縮合剤の1つ
としてN,N′−カルボニルジイミダゾールが他の多く
の縮合剤と並列的に示されてはいるが、従来法1及び2
で実際に使用されている縮合剤はN,N′−カルボニル
ジイミダゾール以外のものであり、そのときの収率に問
題があることは、前記したとおりである。
【0041】また、第2の本発明は、上記本発明のN−
炭化水素オキシカルボニルアラニルアミノチアゾール酢
酸エステル誘導体の製造方法により得られたN−炭化水
素オキシカルボニルアラニルアミノチアゾール酢酸エス
テル誘導体を含有する反応液に塩基を添加し、該反応液
中のN−炭化水素オキシカルボニルアラニルアミノチア
ゾール酢酸エステル誘導体を加水分解した後に中和する
ことを特徴とする下記一般式(IV)
【0042】
【化13】
【0043】(式中、R1は炭素数1〜6のアルキル
基、炭素数6〜8のアリル基、又はベンジル基であ
る。)で示されるN−炭化水素オキシカルボニルアラニ
ルアミノチアゾール酢酸誘導体の製造方法である。
【0044】前記第1の発明の製造方法によれば、N−
炭化水素オキシカルボニルアラニルアミノチアゾール酢
酸エステル誘導体が高選択率で得られるため、N−炭化
水素オキシカルボニルアラニルアミノチアゾール酢酸エ
ステル誘導体を特に単離することなく、反応液をそのま
ま次の工程に用いても精製により除去が困難な副生物を
生成することがない。上記第2の本発明はこの様な知見
に基づくもので、該発明の製造方法は、N−炭化水素オ
キシカルボニルアラニルアミノチアゾール酢酸エステル
誘導体の単離工程が省略でき、収率の低下が防止できる
という特徴を有する。
【0045】
【発明の実施の形態】第1の本発明では、前記一般式
(I)で示されるN−炭化水素オキシカルボニルアラニ
ン(以下、単に化合物Iともいう。)と前記一般式(I
I)で示されるアミノチアゾール酢酸エステル誘導体
(以下、単に化合物IIともいう。)とを縮合剤を用いて
縮合反応させ、前記一般式(III)で示されるN−炭化
水素オキシカルボニルアラニルアミノチアゾール酢酸エ
ステル誘導体(以下、単に化合物IIIともいう。)を製
造する。
【0046】本発明において使用するN−炭化水素オキ
シカルボニルアラニンは、前記一般式(I)で示され
る。該式中のR1は炭素数1〜6のアルキル基、炭素数
6〜8のアリル基、又はベンジル基である。
【0047】炭素数1〜6のアルキル基としては、メチ
ル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n
−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、te
rt−アミル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基等を
挙げることができ、炭素数6〜8のアリル基としてはフ
ェニル基、トリル基、キシル基等を挙げることができ
る。これらのうち、工業的入手の容易さおよび保護基を
脱離させるときの容易さ(脱保護の容易さ)からメチル
基、エチル基、tert−ブチル基、tert−アミル
基、フェニル基、ベンジル基が好適に採用される。本発
明で好適に使用できる化合物Iを具体的に例示すると、
N−メトキシカルボニルアラニン、N−エトキシカルボ
ニルアラニン、N−プロピルオキシカルボニルアラニ
ン、N−イソプロピルオキシカルボニルアラニン、N−
ブチルオキシカルボニルアラニン、N−イソブチルオキ
シカルボニルアラニン、N−tert−ブトキシカルボ
ニルアラニン、N−tert−アミルオキシカルボニル
アラニン、N−n−ペンチルオキシカルボニルアラニ
ン、N−n−ヘキシルオキシカルボニルアラニン、N−
フェニルオキシカルボニルアラニン、N−トリルオキシ
カルボニルアラニン、N−キシルオキシカルボニルアラ
ニン、N−ベンジルオキシカルボニルアラニン等を挙げ
ることが出来る。
【0048】これらの中でも、工業的入手の容易さおよ
び脱保護の容易さからN−メトキシカルボニルアラニ
ン、N−エトキシカルボニルアラニン、N−tert−
ブトキシカルボニルアラニン、N−tert−アミルオ
キシカルボニルアラニン、N−フェニルオキシカルボニ
ルアラニン、N−ベンジルオキシカルボニルアラニンが
特に好適に使用できる。
【0049】なお、アラニンには、L体とD体の2種の
光学異性体が存在するが、どちらか1方のみでもまた、
2種の光学異性体を含むラセミ混合物であっても良い
が、前記一般式(I)で示される化合物が組込まれる医
薬品の薬効等を考慮すると、L体を用いることが好まし
い。
【0050】これらの化合物は、通常試薬及び工業原料
として入手可能であるが、入手困難である場合には、ア
ラニンを有機溶媒中、メチルモルホリン、トリエチルア
ミン等の3級アミンを添加した後、フェニルオキシカル
ボニルクロライド、ベンジルオキシカルボニルクロライ
ド、ジ−tert−ブチルジカーボネート、ジ−ter
t−ブトキシカルボニルフルオライド、ジアリルオキシ
カルボニルジカーボネート、メトキシカルボニルクロラ
イド等を反応させた後、中和、晶析によって製造するこ
とができる。本発明で使用するアミノチアゾール酢酸エ
ステル誘導体は、前記一般式(II)で示される。該式中
のR2は炭素数1〜6のアルキル基、フェニル基、又は
ベンジル基である。
【0051】炭素数1〜6のアルキル基としてはメチル
基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−
ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチ
ル基、ヘキシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル
基等を挙げることができる。これらのうち、特に加水分
解の容易さから、メチル基、エチル基、イソプロピル
基、tert−ブチル基等のアルキル基、還元の容易さ
からベンジル基等が好適に採用される。本発明で好適に
使用できる化合物IIを具体的に例示すると、2−(2−
アミノチアゾール−4−イル)−2−メトキシイミノ酢
酸メチルエステル、2−(2−アミノチアゾール−4−
イル)−2−メトキシイミノ酢酸エチルエステル、2−
(2−アミノチアゾール−4−イル)−2−メトキシイ
ミノ酢酸n−プロピルエステル、2−(2−アミノチア
ゾール−4−イル)−2−メトキシイミノ酢酸イソプロ
ピルエステル、2−(2−アミノチアゾール−4−イ
ル)−2−メトキシイミノ酢酸n−ブチルエステル、2
−(2−アミノチアゾール−4−イル)−2−メトキシ
イミノ酢酸イソブチルエステル、2−(2−アミノチア
ゾール−4−イル)−2−メトキシイミノ酢酸tert
−ブチルエステル、2−(2−アミノチアゾール−4−
イル)−2−メトキシイミノ酢酸ペンチルエステル、2
−(2−アミノチアゾール−4−イル)−2−メトキシ
イミノ酢酸ヘキシルエステル、2−(2−アミノチアゾ
ール−4−イル)−2−メトキシイミノ酢酸シクロペン
チルエステル、2−(2−アミノチアゾール−4−イ
ル)−2−メトキシイミノ酢酸シクロヘキシルエステ
ル、2−(2−アミノチアゾール−4−イル)−2−メ
トキシイミノ酢酸ベンジルエステル、2−(2−アミノ
チアゾール−4−イル)−2−メトキシイミノ酢酸ジフ
ェニルメチルエステル等を挙げることが出来る。
【0052】これらの中でも、加水分解の容易さから、
2−(2−アミノチアゾール−4−イル)−2−メトキ
シイミノ酢酸メチルエステル、2−(2−アミノチアゾ
ール−4−イル)−2−メトキシイミノ酢酸エチルエス
テル、2−(2−アミノチアゾール−4−イル)−2−
メトキシイミノ酢酸イソプロピルエステル、2−(2−
アミノチアゾール−4−イル)−2−メトキシイミノ酢
酸tert−ブチルエステル、還元の容易さから2−
(2−アミノチアゾール−4−イル)−2−メトキシイ
ミノ酢酸ベンジルエステルが特に好適に使用できる。
【0053】これらのアミノチアゾール酢酸エステル誘
導体はいずれも工業原料あるいは試薬として入手可能な
化合物であるが、入手困難な場合には、対応する4−ク
ロロアセト酢酸エステルをメトキシイミノ化した後、チ
オ尿素と反応させることによって合成することができ
る。
【0054】なお、前記化合物IIについて、メトキシイ
ミノ基に関して理論的にシン(Z)及びアンチ(E)の
両異性体が存在し得るが、本発明においては両者とも同
様に用いることが出来る。ただし、化合物IIが組込まれ
る医薬品の薬効等を考慮すると、シン(Z)体を用いる
ことが好ましい。
【0055】前記化合物Iと化合物IIとを縮合して得ら
れる、第1の本発明の目的物であるN−炭化水素オキシ
カルボニルアラニルアミノチアゾール酢酸エステル誘導
体は、前記一般式(III)で示される。該N−炭化水素
オキシカルボニルアラニルアミノチアゾール酢酸エステ
ル誘導体(化合物III)の構造は、用いる前記2種の原
料の構造によって一義的に決定される。したがって、前
記一般式中のR1およびR2は、それぞれ前記一般式
(I)におけるR1および前記一般式(II)におけるR2
と同義である。
【0056】第1の本発明においては、化合物Iと化合
物IIとを縮合させるに際し、縮合剤としてN,N'−カ
ルボニルジイミダゾールを用いることが重要である。縮
合剤としてN,N'−カルボニルジイミダゾールを用い
ることにより従来では実現できなかったような高い転化
率と高い選択性をもって(すなわち高い収率で)化合物
IIIを得ることが出来る。
【0057】つぎに第1の本発明の製造方法における反
応条件について説明する。
【0058】化合物Iと化合物IIとの反応は、等量反応
である。このため、化合物IIの使用量は、原理的には1
モルの化合物Iに対して約1モルである。しかしなが
ら、反応速度、原料の過剰使用の防止、精製の容易さの
観点から1モルの化合物Iに対する化合物IIの使用量は
0.8〜3モルの範囲、特に0.8〜1.5モルの範囲
で用いるのが好適である。
【0059】また、縮合剤としてのN,N'−カルボニ
ルジイミダゾールの使用量は、1モルの化合物Iに対し
て約1モル以上であれば特に制限はないが、反応速度、
経済性、副生するイミダゾールの除去に要する酸の量等
を勘案すると、1モルの化合物Iに対して0.9〜5モ
ル、特に1〜3モルの範囲で用いるのが好適である。
【0060】反応は溶媒を用いて行うのが好適であり、
溶媒としては反応に不活性なものであれば、公知の有機
溶媒が何等制限無く使用できる。好適に使用できる溶媒
を具体的に例示すると、四塩化炭素、ジクロロメタン、
トリクロロエチレン、クロロホルム等のハロゲン化脂肪
族炭化水素類、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香
族炭化水素類、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエー
テル、tert−ブチルメチルエーテル、テトラヒドロ
フラン、1,4−ジオキサン等のエーテル類、アセト
ン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等の
ケトン類、酢酸エチル、酢酸tert−ブチル、酢酸n
−ブチル、酢酸n−プロピル等のエステル類、炭酸ジメ
チル、炭酸ジエチル等のカーボネート類、アセトニトリ
ル、プロピオニトリル等のニトリル類、N,N−ジメチ
ルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のア
ミド類、ジメチルスルフォキシド等のスルフォキシド
類、トリエチルアミン、N,N,N',N'−テトラメチ
ルエチレンジアミン、ピリジン等のアミン類、tert
−ブチルアルコール、tert−アミルアルコール等の
アルコール類等を挙げることが出来る。
【0061】これらの有機溶媒の中でも特に高い収率が
期待できる、ジクロロメタン等のハロゲン化脂肪族炭化
水素類、トルエン等の芳香族炭化水素類、テトラヒドロ
フラン、1,4−ジオキサン等のエーテル類、酢酸エチ
ル等のエステル類、、炭酸ジメチル等のカーボネート
類、アセトニトリル等のニトリル類、N,N−ジメチル
ホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミ
ド類が特に好適に採用される。これらの溶媒は単独で使
用しても、2種類以上を混合して使用しても一向に差し
支えない。
【0062】本発明における反応は、脱水反応であるた
め、本発明で使用される有機溶媒中の水は可能な限り少
ないことが好ましい。そのため、本発明に使用する有機
溶媒は使用前に蒸留等によって脱水するか、あらかじめ
脱水操作を施された溶媒を入手して用いることが好まし
い。
【0063】本発明に使用する溶媒の量は特に制限され
ないが、あまり少ないと攪拌に影響を及ぼし、あまり多
いと1バッチ当たりの生産効率が下がるため、一般的に
100重量部の化合物Iに対して20〜10000重量
部、好ましくは50〜1000重量部の範囲で使用する
のがよい。
【0064】反応に際して、化合物I、化合物II、及び
N,N'−カルボニルジイミダゾールの反応系への添加
順序は特に限定されず、3成分を同時に添加してもよい
し、時間をずらして各成分を別々に添加してもよい。た
だし、別々に添加する場合には、反応時間短縮の観点か
ら、間隔を短くするか、或いは予め化合物Iと縮合剤と
をほぼ同時に添加して反応中間体を一旦形成させた後、
化合物IIを添加するのが好適である。なお、後者の場合
においては、中間体を単離する必要はなく、適当な時間
を見計らって化合物IIを添加すればよい。また、別の系
で化合物Iと縮合剤を別途反応させ、その反応溶液と化
合物IIとを添加することもできる。添加方法としては、
最初に化合物IIを添加し、時間をおかずに化合物Iと
N,N'−カルボニルジイミダゾールと添加して化合物I
Iの存在下に両者を接触させた場合には中間体を形成さ
せる工程が省略でき、反応時間も短縮されるので得に好
適である。
【0065】本発明における反応温度は、特に制限され
ないが、あまり温度が低いと反応時間が長くなり、逆に
温度が高いと反応中間体であるN−炭化水素オキシカル
ボニルアラニルイミダゾリジドの分解、副反応を引き起
こすため、通常−30℃〜200℃、好ましくは0℃〜
100℃の範囲で行うのが好適である。
【0066】本発明における反応時間は、反応温度及び
溶媒の種類に応じて適宜決定すればよいが、通常0.1
〜40時間、好ましくは1〜24時間もあれば充分であ
る。
【0067】本発明における反応は常圧、加圧、減圧の
何れでも実施できる。更に、本発明における反応は大気
開放下で実施可能であるが、反応に用いるN,N'−カ
ルボニルジイミダゾールが、水と容易に反応するため、
乾燥管を備え付けた装置内で、或いは窒素、ヘリウム、
アルゴン等の不活性気体雰囲気下で実施することが好ま
しい。
【0068】このようにして得られた化合物IIIは、必
要に応じて分離・精製され、単離することができる。分
離・精製は、例えば、反応溶媒として水と相溶しない有
機溶媒を用いた場合には、反応終了後、反応液を酸性水
溶液、水で洗浄した後、溶媒を乾燥し、再結晶或いはシ
リカゲルカラムクロマトグラフィーによって分離精製す
ることにより行うことができる。また、反応溶媒として
水と相溶する有機溶媒を用いた場合には、反応終了後、
水と相溶しない有機溶媒に交換した後、上記と同様の処
理をすることにより、精製することができる。
【0069】このとき酸性水溶液で洗浄する際に用いる
酸としては、公知の酸が何等制限なく使用できるが、一
般的に容易に入手できることから、塩酸、硫酸、硝酸、
リン酸等の鉱酸、硫酸水素カリウム、硫酸水素ナトリウ
ム、リン酸水素カリウム、リン酸水素ナトリウム等のリ
ン酸のアルカリ金属水素塩、酢酸、蟻酸、蓚酸、クエン
酸等の有機酸を使用するのが好適である。使用する酸の
量は、生成するイミダゾールの量に応じて適宜決定すれ
ば良い。
【0070】また、この様にして得られた化合物IIIを
前記した改良セファロスポリン誘導体の二次中間体とし
て、すなわち一次中間体である前記(IV)で示されるN
−炭化水素オキシカルボニルアラニルアミノチアゾール
酢酸誘導体(以下、単に化合物IVともいう。)の原料と
して使用する場合には、特に単離する必要なく、第1の
本発明の製造方法で得られた反応液に塩基を添加し、加
水分解反応を行い、中和すればよい。
【0071】このような方法(すなわち、第2の本発
明)によって、化合物IVを効率よく製造することができ
る。以下、第2の本発明について説明する。
【0072】第2の本発明で使用する、第1の本発明の
製造方法により得られた化合物IIIを含有する反応液と
は、第1の本発明の製造方法における縮合反応終了後に
得られる反応液(原反応液ともいう。)そのもの、該反
応液を酸性水溶液で洗浄した反応液(酸洗反応液ともい
う。)、又は前記何れかの反応液について溶媒置換を行
った反応液(溶媒置換反応液ともいう。)を意味する。
【0073】第2の本発明においては、上記のいずれの
反応液を使用してもよいが、原反応液を使用する場合に
は、縮合反応時に副生するイミダゾールが混入する可能
性があるため、精製の容易さの観点からは、イミダゾー
ルを酸性水溶液で洗浄することによって除去した酸洗反
応液を用いるのが好適である。また、原反応液又は酸洗
反応液の溶媒が塩基に対して不安定なものである場合に
は、該有機溶媒を可能な限り留去した後、水、あるいは
塩基に安定な有機溶媒に置換した溶媒置換反応液を用い
るのが好適である。溶媒置換をしない場合には、塩基の
使用量が増える上に、分解した有機溶媒を除去する必要
が生じる。したがって、縮合反応において塩基に対して
不安定な溶媒を用いた場合には酸洗浄および溶媒置換を
した反応液を用いるのが最も好適である。
【0074】なお、塩基に対して安定な有機溶媒として
は、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、トリメチルペンタ
ン等の脂肪族炭化水素類、四塩化炭素、ジクロロメタ
ン、トリクロロエチレン等のハロゲン化脂肪族炭化水素
類、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素
類、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、te
rt−ブチルメチルエーテル、テトラヒドロフラン、
1,4−ジオキサン等のエーテル類、アセトン、メチル
エチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、
アセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル類、メ
タノール、エタノール、n−プロピルアルコール、イソ
プロピルアルコール、n−ブチルアルコール、イソブチ
ルアルコール、tert−ブチルアルコール等のアルコ
ール類、ジメチルスルフォキシド等のスルフォキシド
類、トリエチルアミン、N,N,N',N'−テトラメチ
ルエチレンジアミン、ピリジン等のアミン類等が挙げら
れる。
【0075】これらの中でも水と相溶性のある、テトラ
ヒドロフラン、1,4−ジオキサン等のエーテル類、ア
セトン、メチルエチルケトンのケトン類、アセトニトリ
ル等のニトリル類、メタノール、エタノール、n−プロ
ピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチル
アルコール、イソブチルアルコール、tert−ブチル
アルコール等のアルコール類が特に好適に採用される。
これらの溶媒は単独で使用しても、2種類以上を混合し
ても一向に差し支えない。
【0076】また、使用する有機溶媒の量は特に制限さ
れないが、あまり少ないと攪拌に影響を及ぼし、あまり
多いと1バッチ当たりの生産効率が下がるため、一般的
に100重量部の化合物IIIに対して20〜10000
重量部、好ましくは50〜1000重量部の範囲とする
のが好適である。
【0077】第2の本発明で使用する塩基としては、公
知の塩基が何ら制限なく使用できる。好適に使用できる
塩基を具体的に例示すると、水酸化リチウム、水酸化ナ
トリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物
類;炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等の
アルカリ金属炭酸塩類;水酸化カルシウム、水酸化マグ
ネシウム等のアルカリ土類金属水酸化物類;炭酸カルシ
ウム、炭酸マグネシウム等のアルカリ土類金属炭酸塩
類;炭酸水素リチウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素
カリウム等のアルカリ金属重炭酸塩類等を挙げることが
できる。これらの中でも工業的に入手が容易で、短時間
で加水分解が進行する、水酸化ナトリウム、水酸化カリ
ウム等が特に好適に使用できる。
【0078】塩基の使用量は、少なすぎると反応時間が
長くなり、多すぎると中和に使用する酸を大量に用いな
ければならないばかりか、アラニンの不斉炭素のラセミ
化を引き起こすので、1モルの化合物IIIに対して1〜
10モル、好ましくは、1〜5モルの範囲で用いるのが
良い。
【0079】加水分解のために加える水の量は特に制限
されないが、あまり少ないと攪拌に影響を及ぼし、あま
り多いと1バッチ当たりの生産効率が下がるため、一般
的に100重量部の化合物IIIに対して20〜1000
0重量部、特に50〜1000重量部であるのが好適で
ある。
【0080】また、上記加水分解反応における反応温度
は特に制限されないが、あまり温度が低いと反応時間が
長くなり、あまり温度が高いと、化合物VIのラセミ化や
異性化が起こるため、通常−10℃〜100℃、好まし
くは0℃〜80℃の範囲で行うのが好適である。
【0081】上記加水分解の反応時間は、反応温度及び
溶媒の種類に応じて適宜決定すればよいが、通常0.1
〜60時間、好ましくは1〜24時間もあれば充分であ
る。
【0082】上記加水分解反応は、常圧、加圧、減圧の
何れでも実施できる。
【0083】このような加水分解により化合物IVは塩の
形で得られる。該塩は、酸によって中和することによ
り、簡単に化合物IVの形に変換することができる。この
時に用いる酸としては、塩酸、硝酸、硫酸、リン酸等の
鉱酸類、硫酸水素カリウム、硫酸水素ナトリウム、リン
酸水素カリウム、リン酸水素ナトリウム等のリン酸のア
ルカリ金属水素塩、酢酸、蟻酸、蓚酸、クエン酸等の有
機酸を挙げることができる。これらの酸の中でも、反応
後の処理の容易さ、工業的な入手の容易さから、塩酸、
硫酸等が好適に用いられる。
【0084】上記中和反応で使用する酸の量は、反応系
中に存在する塩基を中和し得る量であれば良いが、多す
ぎると、N−炭化水素オキシカルボニルアラニルアミノ
チアゾール酢酸誘導体の分解、異性化を起こすため、中
和終了後の反応液のpHが0.1〜6、好ましくは1〜
4となるような量を加えるのが良い。
【0085】この中和反応に用いる溶媒としては、加水
分解反応の溶媒をそのまま用いても良いし、加水分解反
応の溶媒から有機溶媒を可能な限り除去した状態でも一
向に差し支えない。
【0086】上記中和反応を行う温度としては、何等制
限されるものではないが、あまり温度が低すぎると、溶
液が凝固してしまい、高すぎると、N−炭化水素オキシ
カルボニルアラニルアミノチアゾール酢酸誘導体の分
解、異性化を起こすため、通常溶液の凝固点〜100
℃、好ましくは凝固点〜50℃の範囲で行うのが好適で
ある。
【0087】このようにして得られた、化合物IVは、通
常の分離精製工程を経て単離することができる。好適に
採用できる分離精製方法としては、自然濾過、加圧濾
過、減圧濾過、遠心濾過等の濾過方法、デカンテーショ
ン、遠心分離等の固液分離法、有機溶媒を用いた抽出、
濃縮法等を挙げることができる。これらの方法により十
分な純度の化合物IVを得ることができるが、更に純度を
向上させるためにシリカゲルカラムクロマトグラフィ
ー、再結晶、再沈澱等の方法に精製するのが好適であ
る。
【0088】
【実施例】以下、実施例を掲げて本発明を説明するが、
本発明はこれらの実施例に制限されるものではない。
【0089】実施例1 攪拌器、塩化カルシウムを充填した乾燥管を備え付けた
500mlの四つ口フラスコに化合物IとしてのN−t
ert−ブトキシカルボニルアラニン47.3g(0.
25モル)、および溶媒としての酢酸エチル250ml
を加えて0℃に冷却した。冷却後、縮合剤であるN,
N′−カルボニルジイミダゾール40.5g(0.25
モル)を内温が5℃以下となるように10分かけてゆっ
くり加えた。縮合剤の添加終了後、系内の温度を4℃に
保って時間攪拌した後、化合物IIとして2−(2−アミ
ノチアゾール−4−イル)−2−(Z)−メトキシイミ
ノ酢酸エチルエステル57.3g(0.25モル)を加
えた。その後、系内の温度を4℃に保って1時間攪拌し
た後、昇温し、反応温度25℃で22時間反応させた。
【0090】反応終了後、反応液を2N−塩酸水溶液で
2回洗浄した後、さらに2N−水酸化ナトリウム水溶液
で洗浄した。
【0091】洗浄後、有機相を分離し、該有機相の溶媒
を減圧留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロ
マトグラフィーで分離精製して、目的物(化合物III)
である2−(2−tert−ブトキシカルボニル−
(L)−アラニルアミノチアゾール−4−イル)−2−
(Z)−メトキシイミノ酢酸エチルエステル90.6g
(0.23モル、収率90.5%)を得た。
【0092】実施例2〜7 実施例1において、反応スケールを5分の1にし、表1
に示した溶媒を使用したこと以外は実施例1と同様に操
作した。その結果を表1に示す。
【0093】
【表1】
【0094】実施例8〜10 実施例1において、反応スケールを5分の1にし、化合
物Iとして表2に示した化合物を使用したこと以外は実
施例1と同様に操作した。その結果を表2に示す。
【0095】
【表2】
【0096】実施例11〜12 実施例1において、反応スケールを5分の1にし、化合
物IIとして表3に示した化合物を使用したこと以外は実
施例1と同様に操作した。その結果を表3に示す。
【0097】
【表3】
【0098】実施例13〜14 実施例1において、反応スケールを5分の1とし、反応
温度を表4に示す温度に変える他は実施例1と同様に操
作した。その結果を表4に示す。
【0099】
【表4】
【0100】実施例15 攪拌器、塩化カルシウムを充填した乾燥管を備え付けた
500mlの四つ口フラスコに、化合物IとしてのN−
tert−ブトキシカルボニルアラニン47.3g
(0.25モル)、化合物IIとしての2−(2−アミノ
チアゾール−4−イル)−2−(Z)−メトキシイミノ
酢酸エチルエステル57.3g(0.25モル)、及び
溶媒としての酢酸エチル250mlを加えて0℃に冷却
した。冷却後、縮合剤であるN,N'−カルボニルジイ
ミダゾール40.5g(0.25モル)を系内の温度が
5℃以下となるように10分かけてゆっくり加えた。添
加終了後、4℃で1時間攪拌した後、昇温し反応温度2
5℃で22時間反応させた。
【0101】反応終了後、反応液を2N−塩酸水溶液で
2回洗浄し、さらに2N−水酸化ナトリウム水溶液で洗
浄した。
【0102】洗浄後、有機相を分離し、該有機相の溶媒
を減圧留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロ
マトグラフィーで分離精製して、目的物(化合物III)
である2−(2−tert−ブトキシカルボニル−
(L)−アラニルアミノチアゾール−4−イル)−2−
(Z)−メトキシイミノ酢酸エチルエステル90.4g
(0.22モル、収率90.3%)を得た。
【0103】比較例1 攪拌器、塩化カルシウムを充填した乾燥管を備え付けた
50mlの四つ口フラスコに、化合物IとしてのN−t
ert−ブトキシカルボニルアラニン185mg(1.
0ミリモル)、化合物IIとしての2−(2−アミノチア
ゾール−4−イル)−2−(Z)−メトキシイミノ酢酸
エチルエステル252mg(1.0ミリモル)、及び溶
媒としてのジクロロメタン5mlを加えて、0℃に冷却
した。冷却後、縮合剤としてジシクロヘキシルカルボジ
イミド227mg(1.0ミリモル)及び4−ジメチル
アミノピリジン12mg(0.1ミリモル)を加えた。
縮合剤添加終了後、系内の温度を4℃に保ち1時間攪拌
した後、昇温して反応温度25℃で24時間反応させ
た。
【0104】反応終了後、実施例1と同様にして洗浄を
行い生成物の分離精製を行ったところ、生成物(化合物
III)である2−(2−tert−ブトキシカルボニル
−(L)−アラニルアミノチアゾール−4−イル)−2
−(Z)−メトキシイミノ酢酸エチルエステルの収量は
268.3mg(0.67ミリモル、収率67.0%)
であった。なお、この時の主な不純物はN−tert−
ブトキシカルボニル−(L)−アラニン無水物(収率換
算32.5%)であった。
【0105】比較例2 比較例1において、縮合剤として1−エチル−3−(3
−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩21
1mg(1.0ミリモル)及び4−ジメチルアミノピリ
ジン12mg(0.1ミリモル)を用いる他は比較例1
と同様にして反応を行い、更に比較例1と同様にして洗
浄及び目的物の分離精製を行った。その結果、目的物
(化合物III)である2−(2−tert−ブトキシカ
ルボニル−(L)−アラニルアミノチアゾール−4−イ
ル)−2−(Z)−メトキシイミノ酢酸エチルエステル
が収量259.1mg(0.65ミリモル、収率64.
9%)で得られた。また、この時の主不純物は、N−t
ert−ブトキシカルボニル−(L)−アラニン無水物
であった(収率換算31.9%)。
【0106】前記比較例1及び2は、それぞれ前記従来
法1で反応試剤を同時添加した例及び2に対応するもの
である。これら方法における目的物(化合物III)の収
率は64.9〜67.0%であるのに対し、同一の反応
温度において第1の本発明の方法を採用した実施例1〜
12における目的物の収率は84.9〜88.5%と、
約20%向上していることが分かる。
【0107】参考例1 攪拌器、塩化カルシウムを充填した乾燥管を備え付けた
10mlの四つ口フラスコに比較例1で不純物として得
られたN−tert−ブトキシカルボニルアラニン無水
物40mg(0.1ミリモル)を加え、さらに化合物II
としての2−(2−アミノチアゾール−4−イル)−2
−(Z)−メトキシイミノ酢酸エチルエステル25.2
mg(0.1ミリモル)、及び溶媒としてのテトラヒド
ロフラン2ml、トリエチルアミン10.1mg(0.
1ミリモル)を順次加えて、25℃で100時間反応さ
せた。
【0108】反応を高速液体クロマトグラフィー(HP
LC)で追跡したところ、100時間後で2−(2−t
ert−ブトキシカルボニル−(L)−アラニルアミノ
チアゾール−4−イル)−2−(Z)−メトキシイミノ
酢酸エチルエステルは4.3%しか生成していなかっ
た。
【0109】実施例16 実施例15と同様にして反応および反応液の洗浄を行っ
た。洗浄終了後、有機相を分離し、釜残が113.2g
になるまで酢酸エチルを減圧留去した。その後、メタノ
ール67.2gを加えたてから3N−水酸化ナトリウム
水溶液125ml(水酸化ナトリウム0.375モル)
を系内の温度が25℃以下となるように15分かけてゆ
っくり加えた。添加水酸化ナトリウム水溶液添加終了
後、反応温度25℃で5時間反応させた。
【0110】反応終了後、釜残が187.2gになるま
で溶媒を減圧留去し、水130mlを加えて、系内の温
度が7℃になるまで冷却した。冷却した反応液に、2N
−塩酸水溶液260mlを1時間かけてゆっくり添加
し、添加終了後、反応液を5℃以下で2時間攪拌して中
和を行った。中和操作終了後に得られた固体を遠心濾過
器で固液分離し、分離した固体を水200mlで洗浄
し、乾燥させて化合物IVに相当する2−(2−tert
−ブトキシカルボニル−(L)−アラニルアミノチアゾ
ール−4−イル)−2−(Z)−メトキシイミノ酢酸8
1.1g(0.22モル、収率87.0%、化合物I基
準)を得た。
【0111】
【発明の効果】本発明によれば、抗生物質の一つとして
注目されているセファロスポリン誘導体の中間体として
有用な化合物IIIおよび化合物IVを高収率で得ることが
出来る。化合物IIIや化合物IVの製造に用いる原料試薬
は一般に高価であり、これら化合物の製造収率を高くす
ることのコスト面での意義は非常に大きい。
【0112】また、第2の本発明の製造方法を採用する
場合には、二次中間体である化合物IIIの精製工程を省
略することが可能であり、プロセスの簡略化を通じて製
造効率を大幅に向上することが出来る。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記一般式(I) 【化1】 (式中、R1は、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数6
    〜8のアリル基、又はベンジル基である。)で示される
    N−炭化水素オキシカルボニルアラニンと下記一般式
    (II) 【化2】 (式中、R2は、炭素数1〜6のアルキル基、フェニル
    基、又はベンジル基である。)で示されるアミノチアゾ
    ール酢酸エステル誘導体とを縮合剤を用いて反応させて
    下記一般式(III) 【化3】 (式中、R1は炭素数1〜6のアルキル基、炭素数6〜
    8のアリル基、又はベンジル基であり、R2は、炭素数
    1〜6のアルキル基、フェニル基、又はベンジル基であ
    る。)で示されるN−炭化水素オキシカルボニルアラニ
    ルアミノチアゾール酢酸エステル誘導体を製造する方法
    において、縮合剤としてN,N′−カルボニルジイミダ
    ゾールを用いることを特徴とするN−炭化水素オキシカ
    ルボニルアラニルアミノチアゾール酢酸エステル誘導体
    の製造方法。
  2. 【請求項2】 一般式(II)で示されるアミノチアゾー
    ル酢酸エステル誘導体の存在下に、一般式(I)で示さ
    れるN−炭化水素オキシカルボニルアラニンとN,N′
    −カルボニルジイミダゾールとを接触させることを特徴
    とする請求項1記載のN−炭化水素オキシカルボニルア
    ラニルアミノチアゾール酢酸エステル誘導体の製造方
    法。
  3. 【請求項3】 請求項1又は請求項2に記載された方法
    により得られたN−炭化水素オキシカルボニルアラニル
    アミノチアゾール酢酸エステル誘導体を含有する反応液
    に塩基を添加し、該反応液中のN−炭化水素オキシカル
    ボニルアラニルアミノチアゾール酢酸エステル誘導体を
    加水分解した後に中和することを特徴とする下記一般式
    (IV) 【化4】 (式中、R1は炭素数1〜6のアルキル基、炭素数6〜
    8のアリル基、又はベンジル基である。)で示されるN
    −炭化水素オキシカルボニルアラニルアミノチアゾール
    酢酸誘導体の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN105017284A (zh) * 2015-06-08 2015-11-04 浙江永宁药业股份有限公司 头孢唑肟丙匹酯的制备方法及其中间体和中间体的制备方法

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