JP2002214494A - Ｓｚスロット型光ケーブル製造用の溝位相検出装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 位相検出目板の抵抗でＳＺ溝付きロッドに捻
れが生じることを防止する。 【解決手段】 ＳＺ溝付きロッド２の溝１の位相を直接
検出する溝位相検出部１５としての位相検出目板３とは
別に、この位相検出目板３から溝の反転ピッチＰの奇数
倍だけ離れた位置に擬似位相検出目板３’を設ける。位
相検出目板３と擬似位相検出目板３’とは同じ構造であ
り、いずれもＳＺ溝付きロッド２の溝１に嵌入する突起
を持つリング状をなすが、位相検出目板３はエンコーダ
の回転部となっている。前記２つの目板３、３’は、互
いに反転ピッチＰの奇数倍だけ離れているので、ＳＺ溝
付きロッド２の溝１に対して抵抗となる方向が反対とな
り、ＳＺ溝付きロッド２が両目板３、３’から受ける抵
抗は相殺（Ｆ_１−Ｆ_２＝０）され、ＳＺ溝付きロッド２
を捻る力は発生しない。ＳＺ溝付きロッド２に捻れが生
じないので、光ファイバ心線をＳＺ溝付きロッド２の溝
１にスムーズに収納することができる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明に属する技術分野】この発明は、ＳＺスロット型
光ケーブルを製造する工程で、ＳＺ溝付きロッドの溝の
位相を検出する溝位相検出装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】ＳＺスロット型光ケーブルは、図５に示
すように、向きが交互に反転する螺旋状の溝（スロッ
ト）１を有するＳＺ溝付きロッド２の前記溝１に光ファ
イバ心線を収容した構造であるが、このＳＺスロット型
光ケーブルを製造する工程で、光ファイバ心線をＳＺ溝
付きロッド２の溝１に収納するために、ＳＺ溝付きロッ
ド２の溝１の位相（回転角度）を正しく検出する必要が
ある。

【０００３】従来は、ＳＺ溝付きロッド２の溝１の位相
を検出するために、図６に示すように、溝１に嵌入する
突起３ａを内面に設けたリング状の位相検出目板３を用
い、この位相検出目板３を回転部とするエンコーダ４に
より、溝１の位相を検出していた。すなわち、ＳＺ溝付
きロッド２の走行に伴って、位相検出目板３の位置での
ＳＺ螺旋状の溝１の位相（回転角度）が変化するが、こ
の溝１に突起３ａが嵌入している位相検出目板３が溝１
の位相に追随して回転し、この回転をエンコーダ４で検
出して、溝１の位相を検出する。位相検出目板３とエン
コーダ４とは溝位相検出装置５を構成する。そして、こ
のエンコーダ４からの溝位相情報に基づいて交互に反転
する回転分線板（図示せず）が光ファイバ心線の入線方
向を制御し、光ファイバ心線を溝１内に正しく収納す
る。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】上記通り、ＳＺ溝付き
ロッド２の溝１に嵌入する突起３ａを持つ位相検出目板
３は、溝１の位相に追随して回転するが、溝１の撚り方
向が反転する時には、その慣性がＳＺ溝付きロッド２に
対する抵抗となる。したがって、溝１の撚り方向が反転
するたびに、位相検出目板３の突起３ａが抵抗となって
ＳＺ溝付きロッド２を捻る力が発生し、ＳＺ溝付きロッ
ド２が捻れて位相検出目板３の回転角度が減少すなわち
エンコーダ４の回転角度が減少し、このエンコーダ４か
らの溝位相情報に基づく回転目板の交互反転動作が適切
でなくなり、光ファイバ心線のＳＺ溝付きロッド２の溝
１への収納を困難にしていた。このような位相検出目板
の抵抗でＳＺ溝付きロッドに捻れが生じる問題は、製造
速度を上げるほど顕著になり、製造速度を上昇させる上
での阻害要因となっていた。

【０００５】本発明は上記従来の欠点を解消するために
なされたもので、位相検出目板の抵抗でＳＺ溝付きロッ
ドに捻れが生じることのない溝位相検出装置を提供する
ことを目的とする。

【０００６】

【課題を解決するための手段】上記課題を解決する本発
明は、ＳＺスロット型光ケーブルを製造する工程で、Ｓ
Ｚ溝付きロッドの溝の位相を検出する溝位相検出装置で
あって、前記溝に嵌入する突起を介して溝の位相変位に
追随回転する位相検出目板を有する溝位相検出部と、前
記位相検出目板から溝の反転ピッチの奇数倍だけ離れた
位置に設けられた、同じく溝に嵌入する突起を介して溝
の位相変位に追随回転する擬似位相検出目板とを備えた
ことを特徴とする。

【０００７】

【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図１
〜図４を参照して説明する。図１は本発明の一実施形態
の溝位相検出装置１１をＳＺ溝付きロッド２に装着した
状態の側面図、図２（イ）は図１のＢ−Ｂ断面図、図２
（ロ）は図１のＣ−Ｃ断面図、図３は上記溝位相検出装
置１１の作用を説明する図である。これらの図におい
て、１５は溝位相検出部である。この溝位相検出部１５
自体は図５〜図７に示した従来の溝位相検出装置５その
ものと同じであり、溝１に嵌入する突起３ａを内面に設
けたリング状の位相検出目板３と、この位相検出目板３
を回転部とするエンコーダ（ロータリエンコーダ）４と
からなる構成である。本発明では、前記溝位相検出部１
５の位相検出目板３から溝１の反転ピッチＰの奇数倍
（（２Ｎ−１）倍：但しＮは正の整数）だけ離れた位置
（図示例では反転ピッチＰの１倍）に、同じく溝１に嵌
入する突起３’ａを内面に設けたリング状の擬似位相検
出目板３’を設けている。なお、この擬似位相検出目板
３’もは、エンコーダ４の回転部としての位相検出目板
３と同じ慣性モーメントを持たせる。

【０００８】上記の溝位相検出装置１１において、溝位
相検出部１５では、従来の溝位相検出装置５と同じ動作
で溝１の位相を検出する。すなわち、ＳＺ溝付きロッド
２の走行に伴って、位相検出目板３の位置でのＳＺ螺旋
状の溝１の位相（回転角度）が変化するが、この溝１に
突起３ａが嵌入している位相検出目板３が溝１の位相に
追随して回転し、この回転をエンコーダ４で検出して、
溝１の位相を検出する。

【０００９】一方、いずれも突起３ａ、３’ａが溝１に
嵌入している擬似位相検出目板３’と位相検出目板３と
は、溝１の反転ピッチＰだけ互いに離れた位置にあるの
で、図２（イ）、（ロ）あるいは図３に示すように、そ
れぞれの突起３ａ、３’ａが溝１内のそれぞれ反対面に
接触し、ＳＺ溝付きロッド２に対して逆向きの力Ｆ_１、
Ｆ_２の抵抗を与える。したがって、ＳＺ溝付きロッド２
が両目板３、３’から受ける抵抗は相殺（Ｆ_１−Ｆ_２＝
０）され、ＳＺ溝付きロッド２を捻る捻り力は発生しな
い。したがって、ＳＺ溝付きロッド２は捻れることなく
走行し、位相検出目板３の回転角度が溝１の位相を正し
く反映し、エンコーダ４の検出回転量が溝１の位相を正
しく検出する。したがって、エンコーダ４からの溝位相
情報に基づいて交互に反転する回転分線板（図示せず）
が光ファイバ心線の入線方向を正しく制御し、光ファイ
バ心線を溝１内に正しく収納する。これにより、安定し
たＳＺスロット型光ケーブルの製造が可能となる。

【００１０】さらに、上述のようにＳＺ溝付きロッド２
に捻れが生じないという効果は、上記の通り２つの目板
３、３’の抵抗が相殺されることに基づくものなので、
この効果は製造速度に依存することなく有効であり、従
来と比べて製造速度を高めることができる。図４に本発
明の溝位相検出装置１１と従来の溝位相検出装置５とを
比較した実験結果を示す。横軸は製造速度（従来の製造
速度を１とした比率）、縦軸は実際の反転角度（例えば
２７５°程度）に対してエンコーダ４が検出する反転角
度を示す。図示の実験結果の通り、従来装置では製造速
度を上げると、エンコーダ４が検出する反転角度が減少
する（ＳＺ溝付きロッド２に捻れが生じる）が、本発明
の溝位相検出装置１１では、従来の５倍の製造速度でも
エンコーダ４が検出する反転角度の減少は生じない（Ｓ
Ｚ溝付きロッド２の捻れは生じない）。

【００１１】実施形態では擬似位相検出目板３’の位相
検出目板３からの離間距離を溝１の反転ピッチＰの１倍
としたが、奇数倍であれば、両目板３、３’がＳＺ溝付
きロッド２の溝１に対して同じ大きさで逆向きの抵抗を
与えるので、３倍以上の奇数倍としてもよい。また、実
施形態では、位相検出目板３と擬似位相検出目板３’と
を互い独立した構成としたが、両目板３、３’を連結部
材で一体結合してもよい。

【００１２】

【発明の効果】本発明によれば、溝の位相を検出する溝
位相検出部の位相検出目板とは別に、この位相検出目板
から溝の反転ピッチの奇数倍だけ離れた位置に、位相検
出目板と同様な擬似位相検出目板を設けたので、位相検
出目板の抵抗で捻り力が発生することを防止でき、ＳＺ
溝付きロッドに捻れが生じることを防止できる。これに
より光ファイバ心線をＳＺ溝付きロッドの溝に正しく収
納することができ、ＳＺスロット型光ケーブルを安定し
て製造することが可能となった。

【００１３】また、本発明のおいてＳＺ溝付きロッドに
捻れが生じないという効果は、溝に嵌入する突起を持つ
２つの目板の抵抗が相殺されることに基づくものなの
で、この効果は製造速度に依存することなく有効であ
り、したがって、従来と比べて製造速度を高めることが
可能となる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施形態の溝位相検出装置をＳＺ溝
付きロッドに装着した状態の側面図である。

【図２】（イ）は図１のＢ−Ｂ断面図、（ロ）は図１の
Ｃ−Ｃ断面図である。

【図３】本発明の溝位相検出装置の作用を説明する図で
ある。

【図４】本発明の溝位相検出装置の効果を従来の溝位相
検出装置と比較した実験の結果を説明する図である。

【図５】従来の溝位相検出装置をＳＺ溝付きロッドに装
着した状態の側面図である。

【図６】図５のＡ−Ａ断面図である。

【図７】従来の溝位相検出装置によりＳＺ溝付きロッド
に捻り力が作用する状態を説明する図である。

【符号の説明】

１ 溝（ＳＺ溝） ２ ＳＺ溝付きロッド ３ 位相検出目板 ３ａ 突起 ３’ 擬似位相検出目板 ４ エンコーダ １１ 溝位相検出装置 １５ 溝位相検出部

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 宮本 末広 千葉県佐倉市六崎1440番地 株式会社フジ クラ佐倉事業所内 Ｆターム(参考） 2H001 BB10 MM02 MM04

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 ＳＺスロット型光ケーブルを製造する工
   程で、ＳＺ溝付きロッドの溝の位相を検出する溝位相検
   出装置であって、 前記溝に嵌入する突起を介して溝の位相変位に追随回転
   する位相検出目板を有する溝位相検出部と、前記位相検
   出目板から溝の反転ピッチの奇数倍だけ離れた位置に設
   けられた、同じく溝に嵌入する突起を介して溝の位相変
   位に追随回転する擬似位相検出目板とを備えたことを特
   徴とするＳＺスロット型光ケーブル製造用の溝位相検出
   装置。