JP2002213574A - 待ち機構付き電動アクチュエータ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 衝撃荷重を減衰させることができる待ち機構
付電動アクチュエータを得る。 【解決手段】 電動機１と、電動機１の回転を減速して
出力軸２に伝達する歯車減速機構３と、歯車減速機構３
の中に介在されて出力軸２が拘束された際にその拘束が
解除されるまで回転力を蓄積して待つ待ち機構４とを備
えている。歯車減速機構３の１つの歯車とこの歯車の軸
を待ち機構構成用歯車５ｆと待ち機構構成用回転軸２と
する。待ち機構構成用歯車５ｆと待ち機構構成用回転軸
２とをゴム弾性体７を介して機械的に結合させて、待ち
機構４を構成する。待ち機構構成用回転軸２を拘束した
状態にしたときにゴム弾性体７の変形により回転力を蓄
積する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、出力軸が拘束され
た際にその拘束が解除されるまで回転力を蓄積して待つ
待ち機構を備えた待ち機構付電動アクチュエータに関す
るものである。

【０００２】

【従来の技術】例えば、内燃機関により駆動される走行
車両において二輪駆動と四輪駆動とを切り換える切換機
構においては、これを操作するために待ち機構付電動ア
クチュエータが用いられている。

【０００３】この種の待ち機構付電動アクチュエータ
は、特開昭６３−８７３１７号公報、特開昭６４−８５
８３９号公報、特開平７−１７９１３８号、特開平７−
１７９１３９号公報等に記載されている。

【０００４】これらの待ち機構付電動アクチュエータ
は、このアクチュエータと切替えスライダーとの間にシ
フトフォークがあり、このシフトフォークにて切替え衝
撃を緩和するため、アクチュエータ内の待ち機構はスパ
イラルスプリングを使用した構造になっていた。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、スパイ
ラルスプリングを使用した待ち機構では、切替え時の衝
撃荷重を減衰させることができないので、減速機構が衝
撃荷重で損傷される恐れがあった。

【０００６】本発明の目的は、衝撃荷重を減衰させるこ
とができる待ち機構付電動アクチュエータを提供するこ
とにある。

【０００７】本発明の他の目的は、回転運動の直線運動
への変換も容易に行える待ち機構付電動アクチュエータ
を提供することにある。

【０００８】本発明の他の目的は、二輪駆動と四輪駆動
とを切り換える切換機構の操作を行う際に衝撃荷重を減
衰させることができる待ち機構付電動アクチュエータを
提供することにある。

【０００９】

【課題を解決するための手段】本発明は、電動機と、該
電動機の回転を減速して出力軸に伝達する歯車減速機構
と、該歯車減速機構の中に介在されて出力軸が拘束され
た際にその拘束が解除されるまで回転力を蓄積して待つ
待ち機構とを備えた待ち機構付き電動アクチエータを改
良するものである。

【００１０】本発明に係る待ち機構付き電動アクチュエ
ータにおいては、歯車減速機構を構成する少なくとも１
つの歯車と少なくとも１つの歯車の軸がそれぞれ待ち機
構構成用歯車と待ち機構構成用回転軸とを構成してい
て、これら待ち機構構成用歯車と待ち機構構成用回転軸
とが相対的に回転可能に設けられている。待ち機構構成
用歯車と待ち機構構成用回転軸とがゴム弾性体を介して
機械的に結合されて、待ち機構構成用歯車と待ち機構構
成用回転軸とゴム弾性体とにより待ち機構が構成されて
いる。待ち機構構成用回転軸が拘束された状態にあると
きに、ゴム弾性体の変形により待ち機構構成用歯車と待
ち機構構成用回転軸との間に相対的な回転が蓄積される
ようになっている。ゴム弾性体は、天然ゴムで構成され
ていても、合成ゴムで構成されていても、何れでもよ
い。

【００１１】このように待ち機構をゴム弾性体を用いて
構成すると、そのゴム弾性により衝撃荷重を減衰させる
ことができて、衝撃荷重から歯車機構を保護することが
できる。

【００１２】また、本発明に係る待ち機構付き電動アク
チュエータにおいては、待ち機構構成用歯車は待ち機構
構成用回転軸を同心的に取り囲む環状部を有して該環状
部の外周に他の歯車と噛み合う歯が設けられ、環状部と
待ち機構構成用回転軸との間にゴム弾性体が配置され
て、該ゴム弾性体が待ち機構構成用歯車の環状部及び待
ち機構構成用回転軸に固定されている。

【００１３】このような構成にすると、待ち機構の組み
立てを容易に行うことができる。

【００１４】本発明においては、歯車減速機構の最終段
の歯車及び出力軸がそれぞれ待ち機構構成用歯車及び待
ち機構構成用回転軸を構成していても、歯車減速機構の
中間に配置された歯車及び該歯車の軸がそれぞれ待ち機
構構成用歯車及び待ち機構構成用回転軸を構成していて
も、何れでもよい。

【００１５】このようにして待ち機構を設ける位置が選
択できると、適宜選択できて設計の自由度が大きくな
る。また、歯車減速機構の中間に待ち機構が設けられる
と、蓄積された回転力を減速して負荷に伝えることがで
きる。

【００１６】また、本発明に係る待ち機構付き電動アク
チュエータにおいては、出力軸の先端に該出力軸の軸線
に対して偏心した偏心軸部が設けられ、該偏心軸部が出
力軸の回転を直線運動に変換して負荷に伝達する変換機
構の入力部を構成している。

【００１７】このようになっていると、出力軸の回転運
動を直線運動に容易に変換することができる。

【００１８】さらに、本発明に係る待ち機構付き電動ア
クチュエータにおいては、負荷は、内燃機関により駆動
される走行車両において二輪駆動と四輪駆動とを切り換
える切換機構である。

【００１９】このような待ち機構付き電動アクチュエー
タによれば、二輪駆動と四輪駆動とを切り換える切換機
構の操作を行う際に衝撃荷重を減衰させることができ
る。

【００２０】

【発明の実施の形態】図１乃至図３は本発明に係る待ち
機構付き電動アクチュエータの実施の形態の一例を示し
たもので、図１は本例の待ち機構付き電動アクチュエー
タの縦断面図、図２は図１の左側面図、図３は本例の待
ち機構の分解斜視図である。

【００２１】本例の待ち機構付き電動アクチュエータ
は、電動機１と、該電動機１の回転を減速して出力軸２
に伝達する歯車減速機構３と、該歯車減速機構３の中に
介在されて出力軸２が拘束された際にその拘束が解除さ
れるまで回転力を蓄積して待つ待ち機構４とを備え構成
になっている。

【００２２】歯車減速機構３は、電動機１の回転力を歯
車５ａ〜５ｆで減速する構成になっており、２分割形の
歯車ケース６内に収容されている。

【００２３】このような歯車減速機構３を構成する１つ
の歯車５ｆとこの１つの歯車５ｆの軸２がそれぞれ待ち
機構構成用歯車５ｆと待ち機構構成用回転軸２とを構成
していて、これら待ち機構構成用歯車５ｆと待ち機構構
成用回転軸２とが相対的に回転可能になっている。

【００２４】これら待ち機構構成用歯車５ｆと待ち機構
構成用回転軸２とがゴム弾性体７を介して機械的に結合
されて、待ち機構構成用歯車５ｆと待ち機構構成用回転
軸２とゴム弾性体７とにより待ち機構４が構成されてい
る。

【００２５】待ち機構構成用歯車５ｆは、待ち機構構成
用回転軸２を同心的に取り囲む環状部５ｆｒを有し、該
環状部５ｆｒの外周に他の歯車５ｅと噛み合う歯５ｆｇ
が設けられている。待ち機構構成用歯車５ｆの環状部５
ｆｒと待ち機構構成用回転軸２との間にゴム弾性体７が
配置されて、該ゴム弾性体７が待ち機構構成用歯車５ｆ
の環状部５ｆｒに対してピン８で固定されている。ま
た、該ゴム弾性体７が待ち機構構成用回転軸２に対し
て、該回転軸２にカット部２ａを設け且つゴム弾性体７
にカット部２ａで回り止めされる非円形孔９を設けて嵌
め合わせることにより固定されている。ピン８は、ゴム
弾性体７の外周寄りの周方向の複数箇所に設けた孔７ｈ
と、待ち機構構成用歯車５ｆの図示しない対応孔に通し
て、ゴム弾性体７と待ち機構構成用歯車５ｆとの固定が
行われている。

【００２６】出力軸２の先端には、該出力軸２の軸線に
対して偏心した偏心軸部１０が設けられ、該偏心軸部１
０が出力軸２の回転を直線運動に変換して負荷に伝達す
る変換機構の入力部を構成している。

【００２７】このような待ち機構付き電動アクチュエー
タでは、待ち機構構成用回転軸２が拘束された状態にあ
るときに、ゴム弾性体７の変形により待ち機構構成用歯
車５ｆと待ち機構構成用回転軸２との間に相対的な回転
が蓄積され、待ち機構構成用回転軸２の拘束が解除され
ると、ゴム弾性体７に蓄積された回転力で待ち機構構成
用回転軸２が回され、偏心軸部１０が出力軸２の回転を
直線運動に変換して負荷に伝達する。負荷が、二輪駆動
と四輪駆動とを切り換える切換機構であると、この切換
機構により二輪駆動と四輪駆動との切り換えが行われる
ことになる。

【００２８】負荷は、このような二輪駆動と四輪駆動と
の切換機構に限定されるものではなく、例えばバルブの
開閉装置等であってもよい。

【００２９】

【発明の効果】本発明に係る待ち機構付き電動アクチュ
エータにおいては、待ち機構をゴム弾性体を用いて構成
しているので、そのゴム弾性により衝撃荷重を減衰させ
ることができて、衝撃荷重から歯車機構を保護すること
ができる。

【００３０】また、本発明に係る待ち機構付き電動アク
チュエータにおいて、待ち機構構成用歯車は待ち機構構
成用回転軸を同心的に取り囲む環状部を有して該環状部
の外周に他の歯車と噛み合う歯が設けられ、環状部と待
ち機構構成用回転軸との間にゴム弾性体が配置され、該
ゴム弾性体が待ち機構構成用歯車の環状部及び待ち機構
構成用回転軸に固定されていると、待ち機構の組み立て
を容易に行うことができる。

【００３１】また、本発明において、歯車減速機構の最
終段の歯車及び出力軸がそれぞれ待ち機構構成用歯車及
び待ち機構構成用回転軸を構成していても、歯車減速機
構の中間に配置された歯車及び該歯車の軸がそれぞれ待
ち機構構成用歯車及び待ち機構構成用回転軸を構成して
いても、何れでもよいので、待ち機構を設ける位置が選
択でき、設計の自由度が大きくなる。また、歯車減速機
構の中間に待ち機構が設けられると、蓄積された回転力
を減速して負荷に伝えることができる。

【００３２】また、本発明に係る待ち機構付き電動アク
チュエータにおいて、出力軸の先端に該出力軸の軸線に
対して偏心した偏心軸部を設け、該偏心軸部が出力軸の
回転を直線運動に変換して負荷に伝達する変換機構の入
力部を構成していると、出力軸の回転運動を直線運動に
容易に変換することができる。

【００３３】さらに、本発明に係る待ち機構付き電動ア
クチュエータにおいて、負荷が、内燃機関により駆動さ
れる走行車両において二輪駆動と四輪駆動とを切り換え
る切換機構であると、二輪駆動と四輪駆動とを切り換え
る切換機構の操作を行う際に衝撃荷重を減衰させること
ができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係る待ち機構付き電動アクチュエータ
の実施の形態の一例を示した縦断面図である。

【図２】図１の左側面図である。

【図３】本例の待ち機構の分解斜視図である。

【符号の説明】

１ 電動機 ２ 出力軸 ３ 歯車減速機構 ４ 待つ待ち機構 ５ａ〜５ｆ 歯車 ５ｆｒ 環状部 ５ｆｇ 歯 ６ 歯車ケース ７ ゴム弾性体 ７ｈ 孔 ８ ピン ９ 非円形孔 １０ 偏心軸部

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 内田 柳一 静岡県沼津市大岡3744番地 国産電機株式 会社内 Ｆターム(参考） 3J030 BD00 CA10 3J066 AA22 BD05 BE10

Claims (6)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 電動機と、前記電動機の回転を減速して
   出力軸に伝達する歯車減速機構と、前記歯車減速機構の
   中に介在されて前記出力軸が拘束された際にその拘束が
   解除されるまで回転力を蓄積して待つ待ち機構とを備え
   た待ち機構付き電動アクチュエータにおいて、 前記歯車減速機構を構成する少なくとも１つの歯車と少
   なくとも１つの歯車の軸がそれぞれ待ち機構構成用歯車
   と待ち機構構成用回転軸とを構成していて、これら待ち
   機構構成用歯車と待ち機構構成用回転軸とが相対的に回
   転可能に設けられ、 前記待ち機構構成用歯車と前記待ち機構構成用回転軸と
   がゴム弾性体を介して機械的に結合されて、前記待ち機
   構構成用歯車と前記待ち機構構成用回転軸と前記ゴム弾
   性体とにより前記待ち機構が構成され、 前記待ち機構構成用回転軸が拘束された状態にあるとき
   に前記ゴム弾性体の変形により前記待ち機構構成用歯車
   と待ち機構構成用回転軸との間に相対的な回転が蓄積さ
   れるようになっている待ち機構付き電動アクチュエー
   タ。
2. 【請求項２】 前記待ち機構構成用歯車は前記待ち機構
   構成用回転軸を同心的に取り囲む環状部を有して該環状
   部の外周に他の歯車と噛み合う歯が設けられ、前記環状
   部と前記待ち機構構成用回転軸との間に前記ゴム弾性体
   が配置されて、該ゴム弾性体が前記待ち機構構成用歯車
   の環状部及び待ち機構構成用回転軸に固定されている請
   求項１に記載の待ち機構付電動アクチュエータ。
3. 【請求項３】 前記歯車減速機構の最終段の歯車及び前
   記出力軸がそれぞれ前記待ち機構構成用歯車及び待ち機
   構構成用回転軸を構成している請求項１または２に記載
   の待ち機構付き電動アクチュエータ。
4. 【請求項４】 前記歯車減速機構の中間に配置された歯
   車及び該歯車の軸がそれぞれ前記待ち機構構成用歯車及
   び待ち機構構成用回転軸を構成している請求項１または
   ２に記載の待ち機構付き電動アクチュエータ。
5. 【請求項５】 前記出力軸の先端に該出力軸の軸線に対
   して偏心した偏心軸部が設けられ、前記偏心軸部が前記
   出力軸の回転を直線運動に変換して負荷に伝達する変換
   機構の入力部を構成している請求項１または２に記載の
   待ち機構付電動アクチュエータ。
6. 【請求項６】 前記負荷は、内燃機関により駆動される
   走行車両において二輪駆動と四輪駆動とを切り換える切
   換機構である請求項５に記載の待ち機構付電動アクチュ
   エータ。