JP2002213464A - 真空ポンプにおける軸封構造 - Google Patents

真空ポンプにおける軸封構造

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JP2002213464A
JP2002213464A JP2001015351A JP2001015351A JP2002213464A JP 2002213464 A JP2002213464 A JP 2002213464A JP 2001015351 A JP2001015351 A JP 2001015351A JP 2001015351 A JP2001015351 A JP 2001015351A JP 2002213464 A JP2002213464 A JP 2002213464A
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oil
chamber
vacuum pump
lip
back pressure
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JP2001015351A
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Shinya Yamamoto
真也 山本
Nobuaki Hoshino
伸明 星野
Osamu Uchiyama
理 内山
Masahiro Kawaguchi
真広 川口
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Toyota Industries Corp
Original Assignee
Toyota Industries Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】真空ポンプにおいて良好なシール性能を確保し
つつリップシールの長寿命化を達成できる軸封構造を提
供する。 【解決手段】ラジアルベアリング37,38とロータ2
7,32との間における回転軸19,20の周面にはリ
ップシール45,46が配置されている。ポンプ室43
とリップシール45,46との間には背圧室53,54
がリップシール45,46のゴム製のリップリング5
1,52に対するように形成されている。背圧室53,
54は、通気通路55,56、油存在室471,481
及びリング間隙371,381を介してギヤ収容室33
1に連通している。通気通路55,56の途中には焼結
フィルタ60が介在されている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、回転軸の回転に基
づいてポンプ室内のガス移送体を動かし、前記ガス移送
体の動作によってガスを移送して吸引作用をもたらす真
空ポンプにおける軸封構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】特開平7−317912号公報及び特開
平7−317913号公報に開示される回転軸シール
は、主シールエレメントと副シールエレメントとからな
る。主シールエレメントは流体収納室側に配置されてお
り、副シールエレメントは空気側に配置されている。主
シールエレメントは、所定圧力の流体収納室から空気側
への流体洩れを防止する。副シールエレメントは、大気
圧以下から大気圧以上にわたる範囲で変動する空気側の
圧力の変動が主シールエレメントに影響を与えないよう
に働く。
【0003】主シールエレメントと副シールエレメント
との間には空隙部が設けてある。空気側が大気圧よりも
低圧の状態にあって空隙部の空気が空気側に洩れ、空隙
部が空気側の圧力と同じ圧力になるとすると、流体収納
室と空隙部との間の圧力バランスが崩れ、主シールエレ
メントが変形してしまう。しかし、空隙部は大気に開放
してあるため、空隙部は常に大気圧相当の圧力に維持さ
れる。従って、空隙部の圧力が空気側の圧力と同じにな
ってしまうことはなく、主シールエレメントの変形が回
避される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】回転軸の回転に基づい
てポンプ室内のガス移送体を動かし、前記ガス移送体の
動作によってガスを移送して吸引作用をもたらす真空ポ
ンプは、例えば特開平2−157490号公報、特開平
6−101674号公報に開示される。このような真空
ポンプの場合には、前記空気側はポンプ室内となり、前
記流体収納室は歯車を収容するハウジング内となる。こ
のような真空ポンプによって取り扱われる排ガスが例え
ばパーフルオロカーボン(PFC)等のように大気放出
を行えないガスの場合には、真空ポンプから吐出される
排ガスは排ガス処理装置に送られる。特開平7−317
912号公報あるいは特開平7−317913号公報の
装置では、このような排ガスが副シールエレメントと回
転軸との間から空隙部側へ洩れた場合、この洩れガスは
大気へ放出されてしまう。
【0005】本発明は、真空ポンプにおいて良好なシー
ル性能を確保しつつリップシールの長寿命化を達成で
き、しかも排ガスの外部への洩れのない軸封構造を提供
することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】そのために本発明は、回
転軸の回転に基づいてポンプ室内のガス移送体を動か
し、前記ガス移送体の動作によってガスを移送して吸引
作用をもたらす真空ポンプを対象とし、請求項1の発明
では、油存在領域と前記ポンプ室との間の前記回転軸の
周面に摺接するように配置された軸シール用のリップリ
ングと、前記リップリングと前記ポンプ室との間で前記
リップリングに対するように設けられた背圧室と、前記
油存在領域と前記背圧室とを連通する通気通路と、前記
通気通路を経由した前記油存在領域側から前記背圧室側
への油侵入を阻止し、かつ前記油存在領域と前記背圧室
との間の前記通気通路を経由した通気を許容する油通過
阻止手段とを備えた軸封構造を構成した。
【0007】軸シール用のリップリングは、油存在領域
側の圧力をシールする。背圧室は、通気通路の存在によ
って油存在領域の圧力と同じ圧力となる。従って、前記
リップリングは油存在領域の圧力のみを考慮した緊迫力
で済む。油通過阻止手段は、通気通路を経由した油存在
領域側から背圧室側への油侵入を阻止し、油存在領域の
油がポンプ室へ洩れることはない。ポンプ室内の排ガス
が回転軸の周面に沿って背圧室側へ洩れた場合にも、こ
の洩れガスが真空ポンプの本体の外部の大気へ流出する
ことはない。
【0008】請求項2の発明では、請求項1において、
前記通気通路は、上方に向かう上向き部を有し、前記上
向き部は前記油存在領域に開口する入口を有し、前記油
通過阻止手段は前記上向き部に設けた。
【0009】上向き部に入り込んだ潤滑油は、油通過阻
止手段の通過阻止作用によって背圧室への侵入を阻止さ
れる。油通過阻止手段によって通過を阻止された潤滑油
は、自重によって油存在領域側へ還流する。
【0010】請求項3の発明では、請求項1及び請求項
2のいずれか1項において、前記油通過阻止手段は焼結
フィルタとした。金属粒子、セラミック粒子等を焼結し
た焼結フィルタは、油通過阻止手段として最適である。
【0011】請求項4の発明では、請求項1乃至請求項
3のいずれか1項において、前記リップリングはゴム製
とした。ゴム製のリップリングは油で潤滑されるため、
ゴム製のリップリングの早期摩耗が防止される。
【0012】請求項5に発明では、請求項1乃至請求項
4のいずれか1項において、軸シール用の副リップリン
グが前記リップリングと並ぶように設けられており、前
記背圧室は前記リップリングと前記副リップシールとの
間に形成した。
【0013】油存在領域側に配置されたリップリング
は、油存在領域側の圧力をシールする。ポンプ室側に配
置された副リップリングは、負圧から正圧にわたって変
動するポンプ室の圧力をシールする。背圧室は、油存在
領域の圧力と同じ圧力であり、油存在領域側のリップリ
ングは油存在領域の圧力のみを考慮した緊迫力で済む。
万一、ポンプ室内の排ガスが副リップリングと回転軸と
の間から背圧室側へ洩れた場合にも、この洩れガスが真
空ポンプの本体の外部の大気へ流出することはない。
【0014】請求項6の発明では、請求項1乃至請求項
5のいずれか1項において、前記油存在領域は、前記回
転軸を回転可能に支持するための軸受けを収容する領域
とした。
【0015】軸受けを潤滑する油が油存在領域側のリッ
プリングを潤滑する。請求項7の発明では、請求項1乃
至請求項6のいずれか1項において、前記真空ポンプ
は、複数の前記回転軸を平行に配置すると共に、前記各
回転軸上にロータを配置し、隣合う回転軸上のロータを
互いに噛み合わせ、互いに噛み合った状態の複数のロー
タを1組として収容する複数のポンプ室、又は単一のポ
ンプ室を備えたルーツポンプとした。
【0016】このような真空ポンプは、本発明の適用対
象として好適である。請求項8の発明では、請求項7に
おいて、複数の前記回転軸は、歯車機構を用いて同期し
て回転され、前記油存在領域は、前記歯車機構を収容す
る領域とした。
【0017】歯車機構を潤滑する油が油存在領域側のリ
ップリングを潤滑する。
【0018】
【発明の実施の形態】以下、本発明をルーツポンプに具
体化した第1の実施の形態を図1〜図3に基づいて説明
する。
【0019】図1(a)に示すように、多段ルーツポン
プ11のロータハウジング12の前端にはフロントハウ
ジング13が接合されており、フロントハウジング13
には封鎖体36が接合されている。ロータハウジング1
2の後端にはリヤハウジング14が接合されている。ロ
ータハウジング12は、シリンダブロック15と複数の
室形成壁16とからなる。図2(b)に示すように、シ
リンダブロック15は、一対のブロック片17,18か
らなり、室形成壁16は一対の壁片161,162から
なる。図1(a)に示すように、フロントハウジング1
3と室形成壁16との間の空間、隣合う室形成壁16の
間の空間、及びリヤハウジング14と室形成壁16との
間の空間は、それぞれポンプ室39,40,41,4
2,43となっている。
【0020】フロントハウジング13とリヤハウジング
14とには一対の回転軸19,20がラジアルベアリン
グ21,37,22,38を介して回転可能に支持され
ている。両回転軸19,20は互いに平行に配置されて
いる。回転軸19,20は室形成壁16に通されてい
る。
【0021】回転軸19には複数のロータ23,24,
25,26,27が一体形成されており、回転軸20に
は同数のロータ28,29,30,31,32が一体形
成されている。ロータ23〜32は、回転軸19,20
の軸線191,201の方向に見て同形同大の形状をし
ている。ロータ23,24,25,26,27の厚みは
この順に小さくなってゆくようにしてあり、ロータ2
8,29,30,31,32の厚みはこの順に小さくな
ってゆくようにしてある。ロータ23,28は互いに噛
合した状態でポンプ室39に収容されており、ロータ2
4,29は互いに噛合した状態でポンプ室40に収容さ
れている。ロータ25,30は互いに噛合した状態でポ
ンプ室41に収容されており、ロータ26,31は互い
に噛合した状態でポンプ室42に収容されている。ロー
タ27,32は互いに噛合した状態でポンプ室43に収
容されている。
【0022】リヤハウジング14にはギヤハウジング3
3が組み付けられている。回転軸19,20は、リヤハ
ウジング14を貫通してギヤハウジング33内に突出し
ており、各回転軸19,20の突出端部には歯車34,
35が互いに噛合した状態で止着されている。ギヤハウ
ジング33には電動モータMが組み付けられている。電
動モータMの駆動力は、軸継ぎ手44を介して回転軸1
9に伝えられ、回転軸19は、電動モータMによって図
2(a),(b),(c)の矢印R1の方向に回転され
る。回転軸19の回転は歯車34,35を介して回転軸
20に伝えられ、回転軸20は図2(a),(b),
(c)の矢印R2で示すように回転軸19とは逆方向に
回転する。即ち、回転軸19,20は、歯車34,35
を用いて同期して回転される。
【0023】図2(b)に示すように、室形成壁16内
には通路163が形成されている。室形成壁16には通
路163の入口164及び出口165が形成されてい
る。隣合うポンプ室39,40,41,42,43は、
通路163を介して連通している。
【0024】図2(a)に示すように、ブロック片18
には導入口181がポンプ室39に連通するように形成
されている。図2(c)に示すように、ブロック片17
には排出口171がポンプ室43に連通するように形成
されている。導入口181からポンプ室39に導入され
たガスは、ロータ23,28の回転によって室形成壁1
6の入口164から通路163を経由して出口165か
ら隣のポンプ室40へ移送される。以下、同様にガス
は、ポンプ室の容積が小さくなってゆく順、即ちポンプ
室40,41,42,43の順に移送される。ポンプ室
43へ移送されたガスは、排出口171から外部へ排出
される。ロータ23〜32は、ガスを移送するガス移送
体である。
【0025】図1(b)及び図3に示すように、ラジア
ルベアリング37,38とロータ27,32との間にお
ける回転軸19,20の周囲にはシール収容室47,4
8が形成されている。シール収容室47,48にはリッ
プシール45,46が収容されている。リップシール4
5,46は、リング形状の保持金具49,50と、保持
金具49,50の一部を被覆するように保持金具49,
50に保持されたゴム製のリップリング51,52とを
備える。シール収容室47に収容されたリップシール4
5のゴム製のリップリング51の内周側が回転軸19の
周面192に接触する。シール収容室48に収容された
リップシール46のゴム製のリップリング52の内周側
が回転軸20の周面202に接触する。
【0026】リップシール45は、シール収容室47を
ポンプ室43側の背圧室53と、ラジアルベアリング3
7側の油存在室471とに区画する。リップシール46
は、シール収容室48をポンプ室43側の背圧室54
と、ラジアルベアリング38側の油存在室481とに区
画する。背圧室53は、ゴム製のリップリング51とポ
ンプ室43との間でゴム製のリップリング51に対する
ように形成されている。背圧室54は、ゴム製のリップ
リング52とポンプ室43との間でゴム製のリップリン
グ52に対するように形成されている。油存在室47
1,481は、ラジアルベアリング37,38のリング
間隙371,381及びラジアルベアリング37,38
の収容室141,142〔図1(a)に図示〕を介して
ギヤ収容室331に連通している。
【0027】図3に示すように、ギヤハウジング33内
のギヤ収容室331には潤滑油Yが貯留されており、こ
の潤滑油Yが歯車34,35を潤滑する。歯車機構を構
成する歯車34,35を収容するギヤハウジング33の
ギヤ収容室331は、多段ルーツポンプ11の本体の外
部に連通しないように密封された油存在領域である。ギ
ヤ収容室331に連通するラジアルベアリング37,3
8の収容室141,142も油存在領域である。ギヤ収
容室331内の貯留油は、歯車34,35の回転動作に
よってかき上げられる。歯車34,35の回転動作によ
ってかき上げられた潤滑油Yは、軸受けであるラジアル
ベアリング37,38を潤滑する。ラジアルベアリング
37,38のリング間隙371,381から油存在室4
71,481へ入り込んだ潤滑油Yは、リップシール4
5,46のゴム製のリップリング51,52を潤滑す
る。
【0028】リップシール45によって区画された背圧
室53及び油存在室471は、回転軸19を包囲する環
状の室である。リップシール46によって区画された背
圧室54及び油存在室481は、回転軸20を包囲する
環状の室である。背圧室53及び油存在室471の上方
には通気通路55が形成されており、背圧室54及び油
存在室481の上方には通気通路56が形成されてい
る。
【0029】通気通路55は、油存在室471の上部に
第1の開口551を有し、背圧室53の上部に第2の開
口552を有する。通気通路56は、油存在室481の
上部に第1の開口561を有し、背圧室54の上部に第
2の開口562を有する。開口551は通気通路55の
入口となり、開口561は通気通路56の入口となる。
第1の開口551の一部は、ラジアルベアリング37の
外輪の角部と重なっており、第1の開口561の一部
は、ラジアルベアリング38の外輪の角部と重なってい
る。通気通路55,56は、開口551,561から上
方へ向かう上向き部57と、ギヤハウジング33側から
ロータハウジング12側へ水平に向かう水平部58と、
下方に向かって背圧室53,54に至る垂直部59とか
らなる。通気通路55は、油存在室471と背圧室53
とを繋ぎ、通気通路56は、油存在室481と背圧室5
4とを繋ぐ。
【0030】上向き部57は、第1の開口551,56
1に連なる小径部571と、小径部571に段差572
を介して連なる大径部573とからなる。水平部58の
径及び垂直部59の径は、小径部571の径と同じにし
てある。段差572上には焼結フィルタ60が大径部5
73に密に嵌合するように載置されている。焼結フィル
タ60は、銅、ステンレス鋼等の金属粒子を焼結して作
られている。焼結フィルタ60は、油存在領域であるギ
ヤ収容室331と背圧室53,54との間の通気通路5
5,56を経由した通気を許容する。
【0031】第1の実施の形態では以下の効果が得られ
る。 (1-1)リップシール45,46のゴム製のリップリン
グ51,52は、回転軸19,20の周面192,20
2に沿った油存在室471,481から背圧室53,5
4への油洩れを阻止する。ギヤ収容室331の圧力は、
ロータ23〜32の動作によって圧力変動を来さない大
気圧相当の圧力領域である。通気通路55,56、油存
在室471,481及びリング間隙371,381を介
してギヤ収容室331に連通している背圧室53,54
は、ギヤ収容室331の圧力と同じ大気圧相当の圧力領
域である。そのため、ギヤ収容室331と背圧室53,
54との圧力差が殆どなくなる。ギヤ収容室331と背
圧室53,54との圧力差が小さいほど、ゴム製のリッ
プリング51,52の寿命が延びる。又、回転軸19,
20の周面に対するゴム製のリップリング51,52の
緊迫力は、ギヤ収容室331の大気圧相当の圧力のみを
考慮した低い緊迫力で済み、ゴム製のリップリング5
1,52における面圧は低くて済む。しかも、ゴム製の
リップリング51,52は、潤滑油Yで潤滑される。そ
の結果、ゴム製のリップリング51,52の早期摩耗が
防止され、リップシール45,46の寿命が長くなる。
【0032】(1-2)ギヤ収容室331内の圧力が背圧
室53,54内の圧力よりも高くなるような状況、例え
ばギヤ収容室331内の温度が背圧室53,54内の温
度よりも高くなる場合、ギヤ収容室331内のガスが通
気通路55,56を介して背圧室53,54へ流れる。
このとき、前記ガスと共に流動する潤滑油Yが開口55
1,561から上向き部57に入り込む。上向き部57
に入り込んだ潤滑油Yは、焼結フィルタ60の捕捉作用
によって焼結フィルタ60でトラップされる。焼結フィ
ルタ60でトラップされた潤滑油Yは、その自重によっ
て油存在領域の一部となる油存在室471,481に落
下して還流する。従って、油存在室471,481内の
潤滑油Yが背圧室53,54へ侵入することはなく、潤
滑油Yが通気通路55,56を経由してポンプ室43へ
洩れることはない。
【0033】(1-3)焼結フィルタ60でトラップされ
た潤滑油Yは、その自重によって油存在室471,48
1に落下し、潤滑油Yが焼結フィルタ60を通過するこ
とはない。上向き部57に焼結フィルタ60を設けた構
成は、潤滑油Yが焼結フィルタ60を通過することを阻
止する上で最適である。即ち、通気通路55,56の開
口551,561から上方に向かう上向き部57は、油
通過阻止手段である焼結フィルタ60の設置箇所として
最適である。
【0034】(1-4)金属粒子あるいはセラミック粒子
を焼結した焼結フィルタ60は、潤滑油Yを吸収、吸着
しないため、焼結フィルタ60でトラップされた潤滑油
Yが焼結フィルタ60に捕捉されたままとなることはな
い。従って、焼結フィルタ60における通気性が潤滑油
Yによって無効にされることはない。潤滑油Yを吸収、
吸着しない焼結フィルタ60は、油通過を阻止し、かつ
通気を許容する油通過阻止手段として最適である。
【0035】(1-5)ポンプ室43内の排ガスが回転軸
19,20の周面192,202に沿って背圧室53,
54側へ洩れた場合にも、この洩れガスは多段ルーツポ
ンプ11の本体の外部に連通しないように密封されたギ
ヤ収容室331内にとどまる。従って、ポンプ室43か
ら背圧室53,54側へ洩れた排ガスが多段ルーツポン
プ11の本体の外部の大気領域へ流出することはない。
【0036】(1-6)ギヤ収容室331内では潤滑油Y
が歯車34,35の回転によるかき上げ作用によって飛
び散っているが、油存在室471,481内での潤滑油
Yの飛び散りは少ない。通気通路55,56の開口55
1,561は、油存在室471,481の上部にあるた
め、油存在室471,481内の潤滑油Yは通気通路5
5,56内へ入り込み難い。即ち、通気通路55,56
は、背圧室53,54への油侵入を抑制する構造となっ
ている。
【0037】(1-7)通気通路55,56における通過
断面積は、通気性及び開口551,561からの油侵入
抑制を考慮して適宜設定される。通気通路55,56に
おける通過断面積は、適度な通気性を確保できる範囲で
可及的に小さいほどよいが、そのために上向き部57の
径を小さくすることは、通路形成加工の上で望ましくな
い。第1の開口551,561の一部は、ラジアルベア
リング37,38の外輪の角部に重なっており、開口5
51,561における通過断面積は、通気通路55,5
6の他の箇所の通過断面積よりも小さくなっている。即
ち、通気通路55,56における実質的な通過断面積
は、ラジアルベアリング37,38の外輪の角部と重な
る開口551,561の通過断面積となる。従って、通
路形成加工の容易性のために小径部571の径を大きく
した場合にも、ラジアルベアリング37,38の外輪の
角部と開口551,561とを重ならせることによって
通気通路55,56における実質的な通過断面積を小さ
くすることができる。
【0038】(1-8)ドライポンプ型のルーツポンプ1
1では、ポンプ室39〜43内での潤滑油Yの使用は行
われない。ポンプ室39〜43内に潤滑油Yを存在させ
たくないルーツポンプ11は、本発明の適用対象として
好適である。
【0039】次に、図4及び図5の第2の実施の形態を
説明する。第1の実施の形態と同じ構成部には同じ符号
が付してある。図4に示すように、シール収容室47に
はリップシール45,61が収容されており、シール収
容室48にはリップシール46,62が収容されてい
る。リップシール61,62は、一対のリング形状の保
持金具63,64と、一対の保持金具63,64に挟持
されたフッ素樹脂製のリップリング65,66とを備え
る。副リップリングであるフッ素樹脂製のリップリング
65,66は、例えばポリテトラフルオロエチレン製で
ある。シール収容室47に収容されたフッ素樹脂製のリ
ップリング65は、回転軸19の周面192に接触し、
シール収容室48に収容されたフッ素樹脂製のリップリ
ング66は、回転軸20の周面202に接触する。
【0040】背圧室53は、リップシール45とリップ
シール61との間に区画形成されており、背圧室54
は、リップシール46とリップシール62との間に区画
形成されている。
【0041】図4及び図5に示すように、リヤハウジン
グ14のギヤ収容室331側の端面には環状溝67が回
転軸19,20及びラジアルベアリング37,38を包
囲するように凹設されている。環状溝67は、リヤハウ
ジング14の軽量化をもたらす。回転軸19,20の軸
線191,201の方向に見た場合、環状溝67は、リ
ップシール45,46,61,62を包囲する。
【0042】回転軸19,20の上方には通気通路6
8,69が形成されている。通気通路68は、回転軸1
9,20よりも上側、かつラジアルベアリング37の直
上の環状溝67の外周側壁面671に第1の開口681
を有し、背圧室53の上部に第2の開口682を有す
る。通気通路69は、回転軸19,20よりも上側、か
つラジアルベアリング38の直上の環状溝67の上側壁
面671に第1の開口691を有し、背圧室54の上部
に第2の開口692を有する。通気通路68,69は、
開口681,691から上方へ向かう傾斜部70と、ギ
ヤハウジング33側からロータハウジング12側へ水平
に向かう水平部71と、下方に向かって背圧室53,5
4に至る垂直部72とからなる。通気通路68は、環状
溝67と背圧室53とを繋ぎ、通気通路69は、環状溝
67と背圧室54とを繋ぐ。
【0043】上向き部となる傾斜部70の入口(即ち、
第1の開口681,691)には焼結フィルタ60が嵌
合固定されている。第2の実施の形態では以下の効果が
得られる。
【0044】(2-1)焼結フィルタ60は、第1の実施
の形態の場合と同じ効果を発揮する。 (2-2)多段ルーツポンプ11の運転開始前には、ポン
プ室39〜43内の圧力は大気圧相当であり、運転開始
直後にはポンプ室39〜43内の圧力は、圧縮によって
大気圧よりも高くなる。ガス排気が進むと、ポンプ室3
9〜43内の圧力は負圧状態に移行する。ポンプ室43
側に配置されたフッ素樹脂製のリップリング65,66
は、負圧から正圧にわたって変動するポンプ室43の圧
力をシールする。従って、通気通路68,69を介して
ギヤ収容室331に連通している背圧室53,54は、
ギヤ収容室331の圧力と同じ大気圧相当の圧力領域と
なる。そのため、回転軸19,20の周面192,20
2に対するゴム製のリップリング51,52の緊迫力
は、ギヤ収容室331の大気圧相当の圧力のみを考慮し
た低い緊迫力で済み、ゴム製のリップリング51,52
における面圧は低くて済む。又、ゴム製のリップリング
51,52は、ギヤ収容室331内の潤滑油Yで潤滑さ
れる。その結果、ゴム製のリップリング51,52の早
期摩耗が防止され、リップシール45,46の寿命が長
くなる。
【0045】(2-3)通気通路68,69の開口68
1,691は、ラジアルベアリング37,38の直上の
外周側壁面671にある。開口681,691は、リヤ
ハウジング14の端面から内部に入り込み、かつ下方に
面を向ける外周側壁面671上にある。従って、歯車3
4,35の回転によってかき上げられた潤滑油Yが開口
681,691に入り込むのは難しい。即ち、通気通路
68,69は、ギヤ収容室331から背圧室53,54
への油侵入を抑制する構造となっている。
【0046】(2-4)フッ素樹脂は耐摩耗性に優れてお
り、フッ素樹脂製のリップリング65,66は油潤滑を
必要としない。潤滑油Yを存在させたくない無潤滑領域
のポンプ室43側にフッ素樹脂製のリップリング65,
66を配置した構成は、油潤滑を必要としないフッ素樹
脂製のリップリング65,66の使い方として適切であ
る。
【0047】次に、図6の第3の実施の形態を説明す
る。第1の実施の形態と同じ構成部には同じ符号が付し
てある。回転軸19に摺接するリップシール73は、リ
ングケース74と、リングケース74の内周側に配置さ
れた一対のリング形状の保持金具75,76と、リング
ケース74を被覆するようにリングケース74に保持さ
れたゴム製のリップリング77と、保持金具75,76
間に保持されたフッ素樹脂製のリップリング78とから
なる。ゴム製のリップリング77はギヤ収容室(図示
略)側にあり、副リップリングであるフッ素樹脂製のリ
ップリング78はポンプ室43側にある。
【0048】保持金具76の内周側には背圧室79が設
けられている。リップシール73の外周側には環状の通
気通路80がリップシール73を包囲するように形成さ
れている。リップシール73には通気通路81が形成さ
れている。通気通路81は通気通路55に連通してい
る。通気通路55,80,81は、ギヤ収容室331と
背圧室79とを連通する。
【0049】回転軸20側にもリップシール73と同様
のリップシール82が配置されており、通気通路55,
80,81と同様の通気通路56,80,81が設けら
れている。
【0050】この実施の形態においても第2の実施の形
態と同じ効果が得られる。本発明では以下のような実施
の形態も可能である。 (1)第2の実施の形態において、リップリング51,
52及びリップシール61,62を共に樹脂製とするこ
と。 (2)第2の実施の形態において、リップリング51,
52及びリップシール61,62を共にゴム製とするこ
と。 (3)油通過阻止手段として繊維製のフィルタを用いる
こと。 (4)通気通路の水平部に油通過阻止手段を設けるこ
と。 (5)ルーツポンプ以外の真空ポンプに本発明を適用す
ること。
【0051】前記した実施の形態から把握できる請求項
記載以外の発明について以下に記載する。 〔1〕請求項8において、前記歯車機構を構成する歯車
と前記リップリングとの間に前記軸受けを設け、前記軸
受けと前記リップリングとの間に前記油存在領域の一部
となる油存在室を設け、前記上向き部の入口を前記油存
在室に開口するように設けた真空ポンプにおける軸封構
造。
【0052】
【発明の効果】以上詳述したように本発明では、リップ
リングに対する背圧室と油存在領域とを通気通路で連通
し、前記通気通路を経由した前記油存在領域側から前記
背圧室側への油侵入を阻止し、かつ前記油存在領域と前
記背圧室との間の前記通気通路を経由した通気を許容す
る油通過阻止手段を設けたので、真空ポンプにおいて良
好なシール性能を確保しつつリップシールの長寿命化を
達成でき、しかも排ガスの外部への洩れを防止し得ると
いう優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施の形態を示し、(a)は多段ルーツ
ポンプ11全体の平断面図。(b)は要部拡大平断面
図。
【図2】(a)は図1のA−A線断面図。(b)は図1
のB−B線断面図。(c)は図1のC−C線断面図。
【図3】要部拡大側断面図。
【図4】第2の実施の形態を示す要部拡大側断面図。
【図5】図4のD−D線断面図。
【図6】第3の実施の形態を示す要部拡大側断面図。
【符号の説明】
11…真空ポンプである多段ルーツポンプ。19,20
…回転軸。192,202…周面。23,24,25,
26,27,28,29,30,31,32…ガス移送
体となるロータ。331…油存在領域となるギヤ収容
室。34,35…歯車機構を構成する歯車。37,38
…軸受けとなるラジアルベアリング。43…ポンプ室。
471,481…油存在領域となる油存在室。51,5
2…ゴム製のリップリング。53,54…背圧室。5
5,56,68,69,80,81…通気通路。57…
上向き部。60…油通過阻止手段となる焼結フィルタ。
70…上向き部となる傾斜部。551,561…入口と
なる開口。65,66,78…副リップリングとなるフ
ッ素樹脂製のリップリング。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 内山 理 愛知県刈谷市豊田町2丁目1番地 株式会 社豊田自動織機製作所内 (72)発明者 川口 真広 愛知県刈谷市豊田町2丁目1番地 株式会 社豊田自動織機製作所内 Fターム(参考) 3H029 AA06 AA09 AA18 AB06 BB16 BB35 BB44 CC20 CC22 CC38 CC43 3J016 AA02 BB03 CA07

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】回転軸の回転に基づいてポンプ室内のガス
    移送体を動かし、前記ガス移送体の動作によってガスを
    移送して吸引作用をもたらす真空ポンプにおいて、 油存在領域と前記ポンプ室との間の前記回転軸の周面に
    摺接するように配置された軸シール用のリップリング
    と、 前記リップリングと前記ポンプ室との間で前記リップリ
    ングに対するように設けられた背圧室と、 前記油存在領域と前記背圧室とを連通する通気通路と、 前記通気通路を経由した前記油存在領域側から前記背圧
    室側への油侵入を阻止し、かつ前記油存在領域と前記背
    圧室との間の前記通気通路を経由した通気を許容する油
    通過阻止手段とを備えた真空ポンプにおける軸封構造。
  2. 【請求項2】前記通気通路は、上方に向かう上向き部を
    有し、前記上向き部は前記油存在領域に開口する入口を
    有し、前記油通過阻止手段は前記上向き部に設けられて
    いる請求項1に記載の真空ポンプにおける軸封構造。
  3. 【請求項3】前記油通過阻止手段は焼結フィルタである
    請求項1及び請求項2のいずれか1項に記載の真空ポン
    プにおける軸封構造。
  4. 【請求項4】前記リップリングはゴム製である請求項1
    乃至請求項3のいずれか1項に記載の真空ポンプにおけ
    る軸封構造。
  5. 【請求項5】軸シール用の副リップリングが前記リップ
    リングと並ぶように設けられており、前記背圧室は前記
    リップリングと前記副リップシールとの間に形成されて
    いる請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の真空
    ポンプにおける軸封構造。
  6. 【請求項6】前記油存在領域は、前記回転軸を回転可能
    に支持するための軸受けを収容する領域である請求項1
    乃至請求項5のいずれか1項に記載の真空ポンプにおけ
    る軸封構造。
  7. 【請求項7】前記真空ポンプは、複数の前記回転軸を平
    行に配置すると共に、前記各回転軸上にロータを配置
    し、隣合う回転軸上のロータを互いに噛み合わせ、互い
    に噛み合った状態の複数のロータを1組として収容する
    複数のポンプ室、又は単一のポンプ室を備えたルーツポ
    ンプである請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載
    の真空ポンプにおける軸封構造。
  8. 【請求項8】複数の前記回転軸は、歯車機構を用いて同
    期して回転され、前記油存在領域は、前記歯車機構を収
    容する領域である請求項7に記載の真空ポンプにおける
    軸封構造。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2017076803A1 (de) * 2015-11-03 2017-05-11 Leybold Gmbh Trockenvakuumpumpe

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2017076803A1 (de) * 2015-11-03 2017-05-11 Leybold Gmbh Trockenvakuumpumpe
US10851783B2 (en) 2015-11-03 2020-12-01 Leybold Gmbh Dry vacuum pump with pressurized bearing and seal

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