JP2002213334A - 点火プラグの取付け構造 - Google Patents

点火プラグの取付け構造

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JP2002213334A JP2001007974A JP2001007974A JP2002213334A JP 2002213334 A JP2002213334 A JP 2002213334A JP 2001007974 A JP2001007974 A JP 2001007974A JP 2001007974 A JP2001007974 A JP 2001007974A JP 2002213334 A JP2002213334 A JP 2002213334A
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    • F02FCYLINDERS, PISTONS OR CASINGS, FOR COMBUSTION ENGINES; ARRANGEMENTS OF SEALINGS IN COMBUSTION ENGINES
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  • Cylinder Crankcases Of Internal Combustion Engines (AREA)
  • Ignition Installations For Internal Combustion Engines (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 プラグホールへの雨水の浸入に関し、水抜き
孔を不要にするとともにプラグキャップ等のコストアッ
プもエンジンの大型化も招かない点火プラグの取付け構
造を提供する。 【解決手段】 プラグホール13とプラグキャップ31
との間にシール部33を設ける。プラグホール13内で
上記シール部33より下にある空間から外部(大気中)
に通じる連通穴26を設ける。その連通穴26はエンジ
ン本体の厚肉部24のうちに形成する。その連通穴26
について外部からの雨水の浸入防止策を施す。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】請求項に係る発明は、自動二
輪車用エンジンをはじめ屋外で使用されるエンジンにつ
いての点火プラグの取付け構造に関するもので、プラグ
ホールに雨水が溜まることを防止した構造に関する。
【0002】
【従来の技術】自動二輪車用のエンジンなどでは、プラ
グホール(点火プラグの取付け穴)に何らかの水抜き孔
が設けられているのが一般的である。雨の日の走行中な
どにプラグホール内に雨水が入っても、点火プラグを錆
び付かせたりしないうちにその水を外部に排出するよう
にしたものである。
【0003】図5には、そのような水抜き孔を有する自
動二輪車用エンジン1’の一部を示している。図示した
シリンダーヘッド10’では、中ほどにプラグホール1
3’があり、その底部に、外部へ向かって斜め下方に延
びた水抜き孔15’が形成されている。図中の符号1
1’は燃焼室の上面、12’は排気ポート、14’は吸
気ポート、16’は冷却水の通路である。なお、図示の
エンジン1’では、排気ポート12’および吸気ポート
14’が1気筒あたり2つずつある。自動二輪車用のエ
ンジンにおいては、排気ポートのある側が前にあって前
傾していること等から、水抜き孔は、排気ポートのある
側(つまり水を出すための傾斜を付けやすい側)に、各
2つのポートの間を通るように形成されるのが一般的で
ある。図5の例と同様にプラグホールに水抜き孔を備え
た自動二輪車用エンジンは、たとえば特開平7−259
641号公報にも記載されている。
【0004】一方、水抜き孔を廃止するとともにプラグ
ホールの上部を塞いでしまう例もある。接続端子として
点火プラグに被せられるプラグキャップとプラグホール
との間を密にシールすることにより、プラグホール内に
雨水が浸入しないようにするのである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】図5(または特開平7
−259641号公報など)のようにプラグホールの底
部に水抜き孔を形成することは、実際には簡単でない場
合が多い。それはつぎのような理由による。
【0006】イ) プラグホールの水抜きと排気ポートの
冷却とを両立させるべく排気ポートの付近に水抜き孔と
冷却水通路とを配置することが容易でない。1気筒あた
り2つあって接近し合った排気ポートの間に水抜き孔を
形成すると、その付近には冷却水通路を併せて形成する
のが難しいからである。水抜き孔を形成するには、排気
ポートや冷却水通路との間に相当のボリュームをもつ駄
肉(厚肉部)を設けておく必要があるので、排気ポート
の冷却性能を確保しにくいという課題もある。
【0007】ロ) 水抜き孔自体を機械加工等によって形
成することも容易でない。水抜き孔は細いものであるこ
とが必要かつ十分であるが、細いにもかかわらずその長
さは数センチ〜数十センチと比較的長いからである。
【0008】一方、プラグキャップとプラグホールとの
間を密に塞いでしまう場合には、雨水の浸入を防止する
のにかなりのコストがかかってしまう。エンジンでは運
転中と停止中とで相当の温度変化があるため、プラグキ
ャップとプラグホールとの間に普通のパッキンを詰めた
だけでは、プラグホール内の空気の膨張・収縮による圧
力変化に抗することができず、空気とともに水分もプラ
グホール内に吸入される場合があるからである。すなわ
ち、雨水の浸入を防止するには、特殊なパッキン類を使
用し、それをはさむプラグホールとプラグキャップの接
合面を極めて平滑に仕上げ加工する必要があり、コスト
がかさんでしまう。
【0009】また、もしプラグキャップに特殊なブリー
ザーなどを形成するとしたら、その形成のためにプラグ
キャップ自体が特殊仕様の高価なものになる。とくに、
近年増加したイグニッションコイル内蔵型のプラグキャ
ップ(「プラグホールコイル」、「ダイレクトコイ
ル」、または「スティックコイル」などと呼ばれるも
の)を使用する場合には、内部にコイル等が詰まってい
る関係で、ブリーザー等を形成するためにはプラグキャ
ップを大きくする必要が生じる。プラグキャップが大き
くなると、プラグホールが拡大し、シリンダーヘッドお
よびエンジンの全体までもが大型化せざるを得ないこと
にもなりかねない。
【0010】請求項の発明は、上記のような点を考慮し
てなしたもので、プラグホールへの雨水の浸入に関し、
水抜き孔を不要にするとともに、プラグキャップ等のコ
ストアップもエンジンの大型化も招かない点火プラグの
取付け構造を提供するものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載した点火
プラグの取付け構造は、 a) プラグホールとプラグキャップとの間にシール部を
設けるとともに、 b) プラグホール内で上記シール部より下にある空間か
ら外部(大気中)に通じる連通穴を設けることとし、 c) その連通穴はエンジン本体のうちに形成し、 d) その連通穴について外部からの雨水の浸入防止策を
施したこと−−を特徴とする。
【0012】上記のシール部とは、エンジンの温度変化
がないとき(すなわち、圧力差がたとえば0.5kg/
cm(約0.05MPa)程度以下のときにプラグホ
ール内への水の浸入を防ぐ簡易なシール手段をさし、温
度変化があった場合等にも完全なシール性能をもたらす
ものではない。また「浸入防止策」とは、連通穴の経路
や構造、外部に面する開口端の位置およびその開口端に
対するカバーの付設などのうちいずれかによって、外部
から連通穴に雨水が浸入しないようにする処置をさす。
【0013】このような点火プラグの取付け構造なら、
プラグホールの底部に水抜き孔を形成しなくとも、雨水
はつぎのように排除される。すなわち、
【0014】1) まず、運転中または停止中に雨が降っ
た場合、上記のシール部(簡易シール)によって、雨水
がプラグホール内に入るのが防止される。ただし、僅か
に浸入するものがあっても差し支えない。
【0015】2) 上記のシール部が簡易なシールである
ことから、多少の水がプラグホールの内部に浸入する可
能性がある。たとえば、上記のように雨水が注ぐとき一
部が浸入し得るほか、プラグホールの入口(上記シール
部の上)に溜まった水分の一部が、のちに、運転と停止
とによるエンジンの温度変化にともなうプラグホール内
の圧力変化によってプラグホール内に流入することも考
えられる。
【0016】3) プラグホール内に入った水分は、エン
ジンの温度が高いとき等に水蒸気に変わり、連通穴を通
って外部へ排出される。なお、この連通穴には外部から
の雨水の浸入防止策が施されているので、この穴を通じ
て逆にプラグホール内に水が入ることはない。
【0017】連通穴(蒸気抜き穴)は、上記3)のよう
に、蒸気を排出するとともにプラグホールの内外の圧力
差を解消するブリーザーとして機能する。このような穴
をエンジン本体の金属部のうちに形成していることか
ら、プラグキャップにはブリーザーを含む特殊な構成を
付加する必要がなく、大型にする理由もない。したがっ
て、プラグキャップの低コスト化が可能になり、その点
は、消耗等したプラグキャップを交換する際にも繰り返
してメリットをもたらす。また、プラグキャップを大型
にする必要がないことは、エンジンのコンパクト化が可
能になるという利点にも通じる。
【0018】請求項2に記載した点火プラグの取付け構
造は、とくに、シリンダーヘッドカバーのうちプラグホ
ールの壁面と一体の箇所に厚肉部を設け、その厚肉部の
うちに連通穴を形成したことを特徴とする。
【0019】連通穴は、プラグホール内で上記シール部
より下にある空間から外部に通じるように設けるものと
し、請求項1に記載したようにエンジン本体(金属部)
のうちに形成するのがよい。しかし、この請求項2に記
載したとおり、シリンダーヘッドカバーのうちプラグホ
ールの壁面と一体の箇所に厚肉部を設け、その厚肉部の
うちに連通穴を形成するのが一層有利である。シリンダ
ーヘッドカバーは、点火プラグが装着されるシリンダー
ヘッドの上部にあって、その上端部が外部に面している
からである。すなわち、シリンダーヘッドカバーのうち
プラグホールの壁面と一体の箇所に厚肉部を設け、その
厚肉部のうちに連通穴を形成するなら、外部に至るまで
のその穴の距離が短いもので足り、したがって加工容易
なためにエンジンの製造を迅速かつ低コストにすること
ができる。
【0020】請求項3に係る点火プラグの取付け構造
は、請求項2の構造に対してさらに、イ)連通穴のうち外
部に面する開口端を、シリンダーヘッドカバーに形成し
た上向き突出部の先端に形成する一方、ロ)エンジンの上
部に設けるカバーと一体に、下向きにのみ開口をもつ凹
部を形成し、ハ)当該凹部を上記突出部に被せる−−こと
によって上記した雨水の浸入防止策としたことを特徴と
する。上記ロ)にいうカバーとは、ラジエータやエンジン
の周囲を通って温度上昇した熱風を遮る遮へいカバーな
どをさし、エンジンの上部を覆う防熱板や単なるカバー
をも含む。また、上記ハ)のように凹部を突出部に被せる
に関しては、連通穴を通る蒸気が排出されるように、凹
部と突出部との間に隙間を設け、または蒸気の通過経路
を設けておく必要がある。
【0021】雨水の浸入防止策をこのように施しておけ
ば、連通穴に対して外部から雨水が入りにくい。連通穴
のうち外部に面する開口端が上記イ)の突出部の先端にあ
り、その突出部にはロ)の凹部がハ)のように被せられてい
るからである。連通穴のその開口端に雨水が入るために
は、下向きにのみ開口をもつロ)の凹部の周囲を回り込ん
でその内側へ進み、さらにイ)の突出部を下から上へと遡
ったうえ先端(上端)の開口端に入らねばならない。つ
まり、重力にも逆らいながら迷路を進むように進路を変
更しないと雨水が開口端に入らないため、効果的な浸入
防止策となる。
【0022】この発明の構造には、雨水の浸入防止に機
能する上記の突出部と凹部とを容易に形成して組み合わ
せることができるという利点もある。すなわち、連通穴
の開口端を有する上記イ)の突出部を形成することはシリ
ンダーヘッドカバーの鋳造等の際に容易に行うことがで
き、その突出部を覆うロ)の凹部も、前記カバーと一体に
形成することが容易である。またそのカバーは、元もと
エンジンの上部に配置され固定されるものであるから、
カバーのうち適所に設けた上記の凹部は、専用の支持手
段や固定手段を必要とすることなく、ハ)のように上記突
出部に被さる適切な位置に配置されることになる。
【0023】請求項4に記載した点火プラグの取付け構
造は、シリンダーヘッドのうちプラグホールの壁面と一
体に厚肉部を設け、その厚肉部からカムブラケットの軸
受部にかけて連通穴を形成したことを特徴とする。
【0024】連通穴は、前記のようにエンジン本体の金
属部のうちに形成するのがよいが、その一態様として、
このようにシリンダーヘッドとカムブラケットとにかけ
て形成するのも好ましい。シリンダーヘッドには必ずプ
ラグホールがあり、シリンダーヘッドの上部には多くの
場合にカムブラケットの軸受部が一体に接合されるた
め、シリンダーヘッドのうちプラグホールの壁面と一体
の部分(金属厚肉部)からカムブラケットの軸受部にか
けて連通穴を形成することは容易で、しかも連通穴が短
いもので足りることが多いからである。カムブラケット
の軸受部を通る連通穴は、さらにパイプやチューブを介
するなどしてエンジンの外部に通じさせるとよい。
【0025】請求項5に記載した点火プラグの取付け構
造は、カムブラケットにおいてプラグホールの壁面と一
体に厚肉部を設け、その厚肉部のうちに連通穴を形成し
たことを特徴とする。
【0026】連通穴をエンジン本体に形成する一態様と
して、このようにカムブラケットの厚肉部のみに形成す
るのも好ましい。カムブラケットにおいては、プラグホ
ールの壁面と一体に軸受部などの厚肉部を設けることが
容易であり、したがって、その厚肉部のみに連通穴を短
く形成することにより(またさらにパイプやチューブを
介するなどして)、その穴を外部への蒸気の逃がし穴と
することも容易なのである。
【0027】請求項6に記載した点火プラグの取付け構
造は、上記した各構造においてとくに、プラグキャップ
としてイグニッションコイルを内蔵したものを使用する
ことを特徴とする。
【0028】イグニッションコイルを内蔵したプラグキ
ャップでは、コイル等が詰まっている内部に穴を追加形
成することができないため、プラグキャップに連通穴等
を形成しようとすればプラグキャップ自体(またはその
外部に付属させる部品)の寸法を拡大する以外にない。
プラグキャップまたはその付属部品の寸法が拡大すると
プラグホールを大きくしなければならず、シリンダーヘ
ッド、ひいてはエンジンの全体を大型化せざるを得ない
ことにもなりかねない。したがって、請求項5のように
コイル内蔵型のプラグキャップを使用する場合に上記の
とおりエンジン本体の金属部に連通穴を形成すること
は、エンジンの全体寸法が大きくなるのを防止するとい
う顕著な利点をもたらすといえる。
【0029】
【発明の実施の形態】発明の実施についての一形態を図
1および図2に示す。図1は、自動二輪車用エンジン1
について点火プラグ31の取付け構造等を示す縦断面図
である。また図2は、図1のエンジン1を搭載した自動
二輪車の側面図である。
【0030】図1に示すエンジン1は多気筒直列型の4
サイクルエンジンで、1気筒あたり2つの排気弁を有す
る高速型のものである。図2のように、エンジン1は自
動二輪車の下部前方に、左右(車幅)方向に気筒を配列
して搭載される。図示の自動二輪車において、エンジン
1の前方にはラジエータ2が設けられ、上部には燃料タ
ンク3が配置されている。なお、ラジエータ2を通過す
るとともにエンジン1のそばを流れて加熱された熱風
は、ライダーの脚部等に当たるとその者を不快にし、燃
料タンク3に当たると燃料を暖めてしまって気化効率を
不安定にすることから、その熱風を適当に案内するため
のカバー(熱風カバー)4がラジエータ2の上部からエ
ンジン1の上部にかけて取り付けられている。
【0031】図1のように、エンジン1における燃焼室
11の上部には、シリンダーヘッド10からシリンダー
ヘッドカバー20にかけてプラグホール13が形成され
ている。プラグホール13は点火プラグ31等を取り付
けるための穴であって、シリンダーヘッド10の一部で
ある円筒部13aと、シリンダーヘッドカバー20の一
部である円筒部23aとの内側にある。点火プラグ31
は、先端の電極を燃焼室11内に臨ませるようにこのプ
ラグホール13内に装着される。そして点火プラグ31
の上部には、イグニッションコイル(図示せず)を内蔵
したプラグキャップ32が装着される。図中、符号12
は排気ポート、符号21はシリンダーヘッド10とシリ
ンダーヘッドカバー20との間のガスケットである。
【0032】プラグホール13の底部には、水抜き孔を
設けていない。1気筒あたり2つある排気ポート12の
間には水抜き孔ではなく冷却水通路(図示の冷却水通路
16につながっているもの)を形成することにより、排
気ポート12の周囲を効果的に冷却するためである。プ
ラグホール13内に雨水が長く溜まることがないように
するには、水抜き孔を設けることに代えて、雨水排除の
ための下記の構成を採用している。
【0033】第一に、点火プラグ31に装着するプラグ
キャップ32とプラグホール13との間に、雨水が入る
のを防ぐ簡易なシール33(シール部)を設けている。
シール33はゴム等でできた環状の弾性体であって、プ
ラグキャップ32のうち上方ほどやや拡径した円柱状部
分の側面に形成された複数の環状溝32aに嵌めてい
る。シール33を嵌めた状態でプラグキャップ32をプ
ラグホール13に挿入・固定すると、プラグホール13
のうちシリンダーヘッドカバー20中で上方ほどやや拡
径して形成された円柱形の穴とプラグキャップ32の上
記円柱状部分(環状溝32a)との間にシール33がは
さまれて、雨水の浸入防止作用をなす。ただし、完璧な
防水機能は必要ないので、このシールには最大0.5k
g/cm(約0.05MPa)の圧力差に抗する浸水
防止機能をもたせている。
【0034】雨水排除の構成として第二には、プラグホ
ール13内のうち上記のシール33より下にある空間か
ら外部(大気中)に通じるように、蒸気抜きのための連
通穴26を設けている。シリンダーヘッドカバー20の
うちプラグホール13をなす円筒部23aの外側一箇所
に金属厚肉部24と上向き突出部25とを一体に形成
(シリンダーヘッドカバー20の鋳造時に成型)し、連
通穴26は、それらの部分にドリルにて形成(鋳造後の
機械加工)している。具体的には、円筒部23aのうち
シール33と接する部分の下になる箇所から上記の厚肉
部24にかけてドリル穴26aをあける一方、上記の突
出部25から厚肉部24にかけて同様にドリル穴26b
をあけて、両者を連通させる。上向き突出部25の上端
は大気に接する箇所であるから、キリ穴26a・26b
にてなる連通穴26は、プラグホール13内の空間と外
部とをつなぐ穴となる。
【0035】雨水排除の構成の第三は、連通穴26のう
ち外部に面する開口端(すなわち上向き突出部25の上
面にあるもの)に対し、雨水が浸入しないように処置し
たことである。つまり、図2のようにエンジン1のすぐ
上に設けられる熱風カバー4のうちに、図1のとおり下
向きにのみ開口をもつ凹部5を一体に形成し、熱風カバ
ー4を車体に取り付けた状態(図2参照)で当該凹部5
が上記の突出部25に被さる(蒸気を排出できる隙間を
おいて被さる)ようにしたのである。このようにする
と、連通穴26に雨水が入るためには、熱風カバー4に
設けた凹部5の側面を内側へ回り込み、さらに突出部2
5を下から上へと遡って上端の開口端に入るという迷路
のような進路を重力にも逆らいながら水が進まねばなら
ないため、雨水の浸入を効果的に防止できる。
【0036】以上のような構成をとったために、このエ
ンジン1の点火プラグ取付け構造においては、プラグホ
ール13の底部に水抜き孔がなくとも雨水はつぎのよう
に排除される。すなわち、
【0037】1) 自動二輪車の運転中(または停止中)
に雨が降った場合、上方のシール33の作用で、雨水が
プラグホール13内に入るのが概ね防止される。
【0038】2) シール33の防水機能が完璧ではない
ので、上記のように雨が降ったときや、エンジン1の温
度変化にともなってプラグホール13内の圧力が低くな
ったとき等に、シール33上の雨水の一部がプラグホー
ル13内に浸入する可能性がある。
【0039】3) 上記2)のようにプラグホール13内に
雨水が入ることがあっても、その水は、エンジン1の温
度上昇時等に水蒸気に変わり、連通穴26を通って外部
(大気中)へ排出される。
【0040】4) 上記した凹部5と突出部25とによる
作用として、連通穴26から逆に雨水がプラグホール1
3内に入ることは防止される。
【0041】つづいて図3に、発明の実施について図1
等とは異なる形態を紹介する。図示のエンジン51で
は、シリンダーヘッド60の上部に取り付けるカムブラ
ケット70に円筒部73aを一体化し、それをシリンダ
ーヘッド60に対して密に接合することによりプラグホ
ール63を形成している。図中の符号71・72は、カ
ムブラケット70のうちカム軸用の軸受部をさしてい
る。
【0042】このエンジン51においても、プラグホー
ル63には水抜き孔を省略し、プラグホール63の上部
とプラグキャップ(図示せず)との間に簡易なシール
(図示せず)を施すとともにプラグホール内の空間(上
記シールより下の空間)から外部に向けて蒸気抜きのた
めの連通穴86を設けている。ただしこの例は、その連
通穴86を、シリンダーヘッド60の金属厚肉部からカ
ムブラケット70の軸受部72にかけて形成した点で図
1の例と相違する。シリンダーヘッド60に対しては、
上部の接合面からプラグホール63の内面にかけてドリ
ル加工をすることにより穴86aをあけ、一方のカムブ
ラケット70については、上部の突出部75から下部の
接合面へ貫通して穴86aにつながるように穴86bを
あけ、双方の穴86a・86bによって連通穴86とす
る。カムブラケット70の突出部75に設けた連通穴8
6の開口端はシリンダーヘッドカバー(図示せず)の内
側に位置するので、その突出部75に適当な管(図示せ
ず)をつなぐなどして外部に接続する。また、その管の
経路やその管の端部開口の位置、または端部開口に対す
るカバーの付設などによって、外部から連通穴86内に
雨水が浸入しないように処置しておくことも必要であ
る。
【0043】図3のカムブラケット70に代えて、図4
に示すカムブラケット90を使用することも可能であ
る。図4のカムブラケット90は、プラグホール93の
壁面(円筒部93a)から軸受部92にかけての一体的
な厚肉部のうちに、プラグホール93内の空間(図示し
ないプラグキャップとの間に設ける簡易なシール部より
も下の部分)から外部に向かう連通穴96を設けたもの
である。具体的には、プラグホール93の内周面下方か
ら上記厚肉部にかけてドリル穴96aをあける一方、カ
ムブラケット90の上部に形成した突出部95の上端か
ら厚肉部にかけて同様にドリル穴96bをあけ、両者を
連通させることによって一本の連通穴96とする。この
カムブラケット90を使用することによっても、上記し
た図3の例と同様に、プラグホールの底部に水抜き孔が
なくとも雨水を適切に排除させることができる。ただ
し、図3の例とは違ってシリンダーヘッドの側には、プ
ラグホールから通じる穴(図3中の符号86a)を形成
する必要がない。
【0044】
【発明の効果】請求項1に記載した点火プラグの取付け
構造によると、プラグホールの底部に水抜き孔を形成し
なくとも雨水が適切に排除される。これに関し、プラグ
キャップとプラグホールとの間を完全に密に塞いでしま
うのではないので、シールに要するコストを抑えること
ができる。また、連通穴をエンジン本体のうちに形成し
ていることから、プラグキャップに特殊な構成を付加す
る必要がなく、プラグキャップのコスト削減が可能にな
る。プラグキャップを大型にする必要がないのでエンジ
ンのコンパクト化も可能になる。
【0045】請求項2・4または5に記載した取付け構
造なら、とくに、連通穴が短いもので足り、加工容易と
なるために、エンジンの製造を迅速かつ低コストにもす
ることができる。
【0046】請求項3に記載した取付け構造では、連通
穴に対する雨水の浸入防止策が効果的なものとなる。雨
水の浸入防止をなす部分(突出部と凹部)を容易に形成
して組み合わせ、支持することができるという利点もあ
る。
【0047】請求項6に記載した取付け構造では、イグ
ニッションコイルを内蔵したプラグキャップを使用する
にもかかわらず、プラグホールを大きくする必要性を抑
え、ひいてはシリンダーヘッドやエンジンの全体を大型
化する事態を避けることを可能にする。
【図面の簡単な説明】
【図1】発明の実施に関する一形態を示す図で、自動二
輪車用エンジン1について点火プラグ31の取付け構造
等を示す縦断面図である
【図2】図1のエンジン1を搭載した自動二輪車の側面
図である。
【図3】発明の実施について他の形態を示す図であり、
エンジン51における点火プラグの取付け構造等を示す
縦断面図である
【図4】発明の実施についてさらに他の形態を示す図で
あり、点火プラグの取付け構造における一部をなすカム
ブラケット90を示す縦断面図である
【図5】従来の点火プラグ取付け構造を示す縦断面図で
ある。
【符号の説明】
1・51 エンジン 4 カバー 5 凹部 10・60 シリンダーヘッド 13・63・93 プラグホール 20 シリンダーヘッドカバー 25 上向き突出部 26・86・96 連通穴 31 点火プラグ 32 プラグキャップ 33 シール 70・90 カムブラケット 71・72・92 軸受部

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 プラグホールとプラグキャップとの間に
    シール部を設けるとともに、プラグホール内で上記シー
    ル部より下にある空間から外部に通じる連通穴を設ける
    こととし、 その連通穴はエンジン本体に形成し、かつ、その連通穴
    について外部からの雨水の浸入防止策を施したことを特
    徴とする点火プラグの取付け構造。
  2. 【請求項2】 シリンダーヘッドカバーのうちプラグホ
    ールの壁面と一体の箇所に厚肉部を設け、その厚肉部の
    うちに連通穴を形成したことを特徴とする請求項1に記
    載の点火プラグの取付け構造。
  3. 【請求項3】 連通穴のうち外部に面する開口端を、シ
    リンダーヘッドカバーに形成した上向き突出部の先端に
    形成する一方、エンジンの上部に設けるカバーと一体
    に、下向きにのみ開口をもつ凹部を形成し、当該凹部を
    上記突出部に被せることによって上記した雨水の浸入防
    止策としたことを特徴とする請求項2に記載の点火プラ
    グの取付け構造。
  4. 【請求項4】 シリンダーヘッドのうちプラグホールの
    壁面と一体に厚肉部を設け、その厚肉部からカムブラケ
    ットの軸受部にかけて連通穴を形成したことを特徴とす
    る請求項1に記載の点火プラグの取付け構造。
  5. 【請求項5】 カムブラケットにおいてプラグホールの
    壁面と一体に厚肉部を設け、その厚肉部のうちに連通穴
    を形成したことを特徴とする請求項1に記載の点火プラ
    グの取付け構造。
  6. 【請求項6】 プラグキャップとしてイグニッションコ
    イルを内蔵したものを使用することを特徴とする請求項
    1〜5のいずれかに記載の点火プラグの取付け構造。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN112648099A (zh) * 2019-10-11 2021-04-13 广州汽车集团股份有限公司 一种气缸盖总成及包括其的发动机

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