JP2002212832A - ポリ乳酸繊維およびその製造方法 - Google Patents

ポリ乳酸繊維およびその製造方法

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Abstract

(57)【要約】 【課題】特に布帛構造とした場合に適度に収縮が可能な
ため、しぼ立てや糸長差発現などの風合い出しが可能な
ポリ乳酸繊維を創出すること。 【解決手段】100℃における収縮応力が0.05〜
0.5cN/dtexであり、無荷重下における沸騰水
収縮率S0 と0.01cN/dtex荷重下における沸
騰水収縮率S1 が特定の関係を満足していることを特徴
とする低収縮脂肪族ポリエステル繊維。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は熱水中で適度に収縮
が可能であるポリ乳酸繊維およびその製造方法に関す
る。さらに詳しくは、布帛構造中で荷重がかかった状態
においても、繊維の収縮が可能なために、しぼ立て用繊
維や収縮差混繊糸用繊維など風合い加工を施される織編
物用繊維として特に好適なポリ乳酸繊維に関する。
【0002】
【従来の技術】ポリ乳酸繊維は自然環境中において分解
する生分解性繊維として、また発色性や触感に優れた新
規な繊維として大きな注目を集めつつあり、衣料用繊維
用途にも多く用いられるようになってきている。
【0003】衣料用繊維に用いられるポリ乳酸繊維は、
たとえば特開平7−305227号公報などに記載され
ているように、一旦紡糸した未延伸糸を延伸することに
よって得られ、この製造方法としては通常の溶融紡糸お
よび延伸方法が採用されている。通常の延伸方法、すな
わち加熱ローラーまたは熱板を用いて延伸を行い、その
後熱セットを付与した後に冷却して巻き取る延伸方法で
は、熱セットを行うローラー速度と冷却を行うローラー
速度がほぼ同一の条件が採用されており、この場合、得
られるポリ乳酸繊維の収縮応力が低く、特に100℃に
おける収縮応力がほとんど発生しないという問題があっ
た。
【0004】衣料用繊維として織編物に用いる場合、リ
ラックス精練、しぼ立てや糸長差発現など風合い出しの
ため熱水処理によって布帛構造が収縮することが必要と
なる場合があるが、前述の通常の延伸方法によって得ら
れるポリ乳酸繊維は収縮応力が不十分であるので、布帛
構造中での拘束力によりほとんど収縮することができ
ず、風合い加工が施せないという欠点があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、上記
の問題点を克服し、熱水中における収縮、特に布帛構造
としてみた場合に適度に収縮が可能なポリ乳酸繊維およ
びその製造方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】上述した本発明の課題
は、100℃における収縮応力が0.05〜0.5cN
/dtexであり、無荷重下における沸騰水収縮率S0
と0.01cN/dtex荷重下における沸騰水収縮率
1 が下記式1および式2の関係を満足していることを
特徴とするポリ乳酸繊維によって解決が可能である。
【0007】 5<S1<20 ・・・(式1) S0 ×0.7<S1 ・・・(式2) このようなポリ乳酸繊維を得るためには、未延伸糸を一
旦巻き取って延伸した後、或いは一旦巻き取ることなく
延伸した後に、加熱された回転ローラーに走行糸条を接
触させて熱セットを行うポリ乳酸繊維の製造方法におい
て、前記熱セットローラーの温度を90〜140℃と
し、かつ該熱セットローラーにて熱セットされた糸条
を、熱セットローラーよりも高速で回転する冷ローラー
にて、1.05〜2.0倍にストレッチすることを特徴
とするポリ乳酸繊維の製造方法を用いることができる。
【0008】
【発明の実施の形態】一般に布帛構造中の繊維は、隣接
の繊維によって拘束されて自由な収縮が困難な状態にお
かれる。特にリラックス精練、しぼ立て、糸長差発現な
どの風合い出し加工を施そうとする場合には、布帛構造
中において繊維が隣接の繊維の拘束にうち勝ち、適度に
収縮できることが必要となる。
【0009】この適度な収縮を可能とするためには、1
00℃における繊維の収縮応力が0.05〜0.5cN
/dtexであることが重要である。
【0010】ポリ乳酸繊維の無荷重下の収縮率は収縮処
理温度が高くなれば高くなるほど大きくなるが、一方、
収縮応力は70℃程度にピーク値をとった後、それ以上
高い温度領域では温度上昇と共に漸減してしまう。その
ため、風合い加工が行われる常圧装置でとりうる最高温
度である100℃において、収縮応力が0.05cN/
dtex以上であることが非常に重要である。100℃
における収縮応力が0.05cN/dtexに満たない
場合には、隣接の繊維の拘束力によってその繊維は十分
に収縮することができない。逆に0.5cN/dtex
を越える高い収縮応力を示す繊維は、パッケージの巻き
締まりなど製糸プロセス上の問題を生じ、品質にも問題
が懸念されるため望ましくない。より良好な収縮特性の
観点からは、100℃における繊維の収縮応力は0.0
7〜0.15cN/dtexである。
【0011】また、本発明のポリ乳酸繊維は無荷重下に
おける沸騰水収縮率S0(%)と0.01cN/dte
x荷重下における沸騰水収縮率S1 (%)が下記式1お
よび式2の関係を満足していることが重要である。
【0012】 5<S1<20 ・・・(式1) S0 ×0.7<S1 ・・・(式2) 0.01cN/dtex荷重下の沸騰水収縮率S1 は繊
維が織物や編物などの布帛構造として存在する場合の沸
騰水中における繊維の収縮率に相当する。このS1 が5
%以下の場合には、布帛構造として収縮が起こらず、し
ぼ立てや糸長差発現などの風合い出し効果が得られない
ため好ましくない。また、20%以上の場合には、過度
の収縮によって布帛硬化が生じることがあるため好まし
くない。
【0013】0.01cN/dtex荷重下の沸騰水収
縮率S1 は、無荷重下における繊維の収縮率S0 よりも
一般に小さな値となるが、本発明のポリ乳酸繊維は十分
に100℃における収縮応力の値が高いので、S1 はS
0 ×0.7よりも大きい値となる。より良好な収縮特性
の観点からはS1 はS0 ×0.8よりも大きい値である
ことが好ましい。
【0014】本発明のポリ乳酸繊維は、L−乳酸および
/またはD−乳酸を主たる繰り返し単位とするポリ乳酸
よりなるが、該ポリ乳酸のL−乳酸あるいはD−乳酸い
ずれかの比率が95モル%以上であることが好ましく採
用できる。耐熱性の観点からは、該ポリ乳酸のL−乳酸
あるいはD−乳酸の比率が98%以上であることが、よ
り好ましく採用できる。
【0015】ポリ乳酸の製造方法には、L−乳酸および
/またはD−乳酸を原料として一旦環状二量体であるラ
クチドを生成せしめ、その後開環重合を行う二段階のラ
クチド法と、L−乳酸および/またはD−乳酸を原料と
して溶媒中で直接脱水縮合を行う一段階の直接重合法が
知られている。本発明で用いるポリ乳酸はいずれの製法
によって得られたものであってもよい。
【0016】ポリ乳酸の平均重量分子量は、通常少なく
とも5万、好ましくは少なくとも10万、好ましくは1
0〜30万である。平均重量分子量が5万よりも低い場
合には繊維の強度物性が低いものしか得られないため好
ましくない。
【0017】ポリ乳酸の融点は、100℃以上、好まし
くは140℃以上、最も好ましくは160℃以上であ
る。融点が100℃に満たない場合には、単糸間の融着
の発生による延伸性不良や、染色加工時、熱セット時、
摩擦加熱時に溶融欠点が生じるなど、製品の品位が著し
く低いものとなるため、衣料用途に用いることができな
い。ここで融点とはDSC測定によって得られたファー
ストラン溶融ピークのピーク温度を意味する。
【0018】また、本発明におけるポリ乳酸は、L−乳
酸、D−乳酸の他にエステル形成能を有するその他の成
分を共重合した共重合ポリ乳酸であってもよい。共重合
可能な成分としては、グリコール酸、3−ヒドロキシ酪
酸、4−ヒドロキシ酪酸、4−ヒドロキシ吉草酸、6−
ヒドロキシカプロン酸などのヒドロキシカルボン酸類の
他、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタ
ンジオール、ネオペンチルグリコール、ポリエチレング
リコール、グリセリン、ペンタエリスリトール等の分子
内に複数の水酸基を含有する化合物類またはそれらの誘
導体、アジピン酸、セバシン酸、フマル酸など分子内に
複数のカルボン酸基を含有する化合物類またはそれらの
誘導体が挙げられる。
【0019】また、溶融粘度を低減させるため、ポリカ
プロラクトン、ポリブチレンサクシネート、ポリエチレ
ンサクシネートのような脂肪族ポリエステルポリマーを
内部可塑剤として、あるいは外部可塑剤として用いるこ
とができる。
【0020】また、耐加水分解性を向上させるため、ポ
リ乳酸のカルボキシル末端基を、カルボジイミド化合
物、エポキシ化合物、オキサゾリン化合物、オキサジン
化合物、アジリジン化合物、ジオール化合物、長鎖アル
コール化合物などの末端封鎖剤によって封鎖したポリ乳
酸であってもよい。この場合、ポリ乳酸の末端カルボキ
シル基濃度が0〜10eq/tであると、熱水処理時の
強力低下を抑制することができるので、リラックス精練
や染色加工などの風合い出しのための加工を十分に行う
ことができるようになる。
【0021】さらには、艶消し剤、消臭剤、難燃剤、糸
摩擦低減剤、抗酸化剤、着色顔料などとして無機微粒子
や有機化合物を必要に応じて添加することができる。
【0022】また、本発明におけるポリ乳酸繊維は、繊
維の強度が2cN/dtex以上であることが望まし
い。強度が2cN/dtexに満たない場合には、製編
織時の糸切れ停台が発生したり、布帛、編地の強力低下
による製品強度の低下を招くため好ましくない。より、
好ましくは3cN/dtex以上であり、最も好ましく
は4cN/dtex以上である。
【0023】本発明のポリ乳酸繊維は、未延伸糸を一旦
巻き取った後、或いは一旦巻き取ることなく延伸した後
に、加熱された回転ローラーに走行糸条を接触させて熱
セットを行うポリ乳酸繊維の製造方法において、前記熱
セットローラーの温度を90〜140℃とし、かつ該熱
セットローラーにて熱セットされた糸条を、熱セットロ
ーラーよりも高速で回転する冷ローラーにて、1.05
〜2.0倍にストレッチすることを特徴とするポリ乳酸
繊維の製造方法によって製造することができる。
【0024】熱セットローラーの温度が90℃に満たな
い場合には、得られる繊維の収縮率が高すぎることがあ
るため好ましくない。加熱された回転ローラーの温度が
高いほど繊維の収縮率S0を低くすることができるが、
140℃を超える温度では収縮率そのものの値が小さく
なりすぎて本発明の効果である布帛構造の適度な収縮が
不可能となることがあるので好ましくない。また、これ
以上の温度では繊維の融着が発生することがある。加熱
された回転ローラーの温度は、より好ましくは110〜
130℃である。
【0025】回転ローラーへの走行糸条の接触方法は、
ローラーの周の一部に繊維が接触するようにしてもよい
し、あるいは、加熱された回転ローラーとセパレートロ
ーラーを併用して、または加熱された回転ローラーとも
う一つの加熱された回転ローラーを用いて複数回周回さ
せてもよい。加熱された回転ローラーの一部または全部
が鏡面であってもよいし、あるいは鏡面より表面が粗い
梨地ローラーであってもよい。
【0026】また、熱セットローラーにて熱セットされ
た糸条は、その後熱セットローラーよりも高速で回転す
る冷ローラーにて、1.05〜2.0倍にストレッチさ
れることが重要である。冷ローラーの温度は熱セットを
行う加熱ローラーの温度よりも低い温度であればよく、
積極的に加熱を行わず室温で維持するようにしてもよ
い。冷ローラーの温度が熱セットローラーと同じかそれ
よりも高い温度である場合には、配向緩和によって収縮
応力が非常に低い繊維となってしまう。
【0027】また、ポリ乳酸繊維はポリエチレンテレフ
タレートなど一般の芳香族ポリエステル繊維と異なり、
熱セット後のストレッチ率が1.05倍に満たない場合
には、急激に配向緩和が生じて、収縮応力がほとんど発
生しない繊維となる。このことはポリ乳酸繊維に非常に
特異的な現象である。また、ストレッチ率が2.0倍よ
り大きいと、得られる繊維に残存するひずみが大きくな
りすぎて巻き締まりやパッケージフォーム異常などの工
程トラブルが生じることがあるため好ましくない。良好
な収縮特性及び工程通過性の観点からストレッチ率は好
ましくは1.1〜1.8倍であり、最も好ましくは1.
15〜1.5倍である。
【0028】図1は本発明のポリ乳酸繊維の製造方法の
一例を示す工程図である。図1において、溶融紡糸され
て一旦巻き取られた未延伸糸は、予熱ローラー1によっ
て予熱された後、加熱された回転ローラーである熱セッ
トローラー2との間の延伸ゾーンで延伸される。予熱温
度は延伸張力が高くなりすぎないよう適宜設定すること
ができる。熱セットローラー2を離れた走行糸条は、次
の冷ローラー3との間であるストレッチゾーン4におい
て1.05〜2.0倍にストレッチされる。
【0029】図2は本発明のポリ乳酸繊維の製造方法の
他の一例を示す工程図である。図2において、溶融紡糸
された走行糸条は一旦巻き取られることなく予熱ローラ
ー1によって引き取られて予熱され、加熱された回転ロ
ーラーである熱セットローラー2との間で延伸される。
熱セットローラー2を離れた走行糸条は該熱セットロー
ラーよりも高速で回転する冷ローラー4との間で1.0
5〜2.0倍にストレッチされる。この冷ローラーとし
てはワインダーのローラーベールを代用してもよい。
【0030】
【実施例】以下、実施例によって本発明をより詳細に説
明する。なお、実施例中の各特性値は次の方法で求め
た。
【0031】A.収縮応力 20cmの試料をループにして10cmとし、初荷重
0.03cN/dtex、昇温速度150℃/分の条件
で、カネボウエンジニアリング製熱応力測定機TYPE
KE−2Sを用いて室温から200℃まで昇温した熱
収縮応力曲線を得る。この熱収縮応力曲線から100℃
における収縮応力を読みとり、繊維の収縮応力(cN/
dtex)とした。
【0032】B.強度 オリエンテック社製引張試験機(テンシロンUCT−1
00型)を用いて、試料長20cm、引張速度20cm
/分の条件で引張試験を行い、破断点の応力を繊維の強
度(cN/dtex)とした。
【0033】C.無荷重下における沸騰水収縮率
(S0 ) 試料を10回巻きの綛取りにし、0.1cN/dtex
の荷重下で原長L0 を測定する。荷重を取り外して無荷
重にした後、100℃に調温された沸水バスの中で試料
の綛を15分間処理して取り出す。これを風乾した後、
0.1cN/dtexの荷重下で処理後長L1 を測定す
る。次式によって得られる値を無荷重下における沸騰水
収縮率とした。
【0034】 S0 (%)={(L0 −L1 )/L0 }×100 D.0.01cN/dtex荷重下における沸騰水収縮
率(S1) 試料を10回巻きの綛取りにし、0.1cN/dtex
の荷重下で原長L0 を測定する。荷重を取り外した後、
0.01cN/dtexとなるように荷重を取り付け、
100℃に調温された沸水バスの中で試料の綛を15分
間処理して取り出す。荷重を外してこれを風乾した後、
0.1cN/dtexの荷重下で処理後長L1 を測定す
る。次式によって得られる値を0.01cN/dtex
荷重下における沸騰水収縮率とした。
【0035】 S1 (%)={(L0 −L1 )/L0 }×100 E.布帛の収縮率 測定する繊維を用いてタテ糸密度40本/cm、ヨコ糸
密度40本/cmの平織物(タフタ)を作製する。該織
物のヨコ糸方向に10cmの線を引き、両端にマーカー
にて印を付けた後、100℃×1hrの熱水処理を行
う。風乾後、マーカー間の距離L1 (cm)を測定し
て、次式によって得られる値を布帛の収縮率とした。
【0036】 布帛収縮率(%)={(10−L1 )/10}×100 実施例1 融点が168℃、重量平均分子量12万、L体比率が9
8モル%であるポリL乳酸のチップを、105℃に設定
した真空乾燥器で12時間乾燥した。乾燥したチップを
プレッシャーメルター型紡糸機にて、メルター温度22
0℃にて溶融し、紡糸温度220℃とした溶融紡糸パッ
クへ導入して、0.23mmφ−0.30mmLの口金
孔より紡出した。この紡出糸を20℃、30m/min
のチムニー風によって冷却し、油剤を付与して収束した
後、3000m/minで引き取って未延伸糸を得た。
得られた未延伸糸の品種は122dtex−36fであ
った。
【0037】この未延伸糸を図1に示したホットローラ
ー/ホットローラー系の延伸機を用いて、予熱ローラー
1(温度90℃)で予熱し、予熱ローラー1と熱セット
ローラー2の間で延伸倍率が1.2倍となるように延伸
した。延伸された走行糸条は熱セットローラー2で温度
120℃で熱セットを行い、その後室温の冷ローラー3
との間(ストレッチゾーン)で1.2倍になるようにス
トレッチを行った。なお、延伸速度は800m/mi
n、各ローラーは周回数6回とした。得られた繊維は8
4dtex−36fであった。
【0038】表1に示す通り、繊維は機械的特性に優れ
ており、取り扱い上の問題を生じなかった。繊維の無荷
重下での収縮率S0 は15.8%であった。100℃に
おける収縮応力は0.09cN/dtexと十分高い値
であり、荷重下の収縮率S1は14.5%であって、S
0 の0.92倍と高い値であった。
【0039】この繊維を用いて作成した布帛の収縮率を
測定したところ12.2%と十分高い値であり、風合い
出し加工が可能な布帛であることが分かった。
【0040】実施例2〜6 加熱ローラー2の温度と、加熱ローラー2と冷ローラー
3の間のストレッチ率を表1に記載した値とする以外
は、実施例1と同様にして84dtex−36fの繊維
を得た。
【0041】表1に示す通り、繊維は機械的特性に優れ
ており、取り扱い上の問題を生じなかった。100℃に
おける繊維の収縮応力は0.06〜0.10cN/dt
exと十分高い値であり、荷重下の収縮率S1は7.4
〜14.2%であって、S0の0.72〜0.92倍と
高い値であった。
【0042】この繊維を用いて作成した布帛の収縮率を
測定したところ6.6〜12.5%と十分高い値であ
り、風合い出し加工が可能な布帛であることが分かっ
た。
【0043】実施例7 実施例1と同様に溶融紡糸、冷却、油剤を付与して集束
した後、図2に示すように1500m/minで回転す
る予熱ローラー1(第1ホットローラー)と4500m
/minで回転する熱セットローラー2(第2ホットロ
ーラー)の間で3.0倍に延伸した。予熱ローラー1は
90℃、熱セットローラー2は130℃とした。熱セッ
トローラー2を出た走行糸はさらに室温の冷ローラー3
にてストレッチ率が1.1倍となるように4950m/
minで引き取った後、巻き取りを行った。それぞれの
ローラーにおいては、セパレートローラーを利用してロ
ーラー周回数を6回とした。
【0044】表2に示す通り繊維は機械的特性に優れて
おり、取り扱い上の問題を生じなかった。繊維の無荷重
下での収縮率S0 は19.8%であった。100℃にお
ける収縮応力は0.07cN/dtexと十分高い値で
あり、荷重下の収縮率S1 は14.9%であって、S0
の0.75倍と高い値であった。
【0045】この繊維を用いて作成した布帛の収縮率は
14.0%と十分高い値であり、風合い出し加工が可能
な布帛であることが分かった。
【0046】実施例8 実施例7と同様に予熱ローラー1と熱セットローラー2
(温度140℃)の間で3.0倍に延伸した走行糸条を
ワインダーに付属した強制駆動式ローラーベールを用い
てストレッチ率が1.1倍となるように巻き取った。
【0047】表2に示す通り繊維は機械的特性に優れて
おり、取り扱い上の問題を生じなかった。繊維の無荷重
下での収縮率S0は15.8%であった。100℃にお
ける収縮応力は0.06cN/dtexと十分高い値で
あり、荷重下の収縮率S1は11.7%であって、S0
の0.74倍と高い値であった。
【0048】この繊維を用いて作成した布帛の収縮率は
10.5%と十分高い値であり、風合い出し加工が可能
な布帛であることが分かった。
【0049】比較例1 予熱ローラー1と熱セットローラー2の間の延伸倍率を
1.44倍とし、熱セットローラー2と冷ローラー3の
間(ストレッチゾーン)のストレッチ率を1.007倍
とする以外は実施例1と同様にして84dtex−36
fの延伸糸を得た。
【0050】表3に示すように、この延伸糸の100℃
における収縮応力は0.01cN/dtexときわめて
低い値であり、無荷重下における収縮率S0 は5.2%
と適度な値であったが、荷重下における収縮率S1
2.0%ときわめて低い値であった。そのため、布帛の
収縮率は1.2%とほとんど収縮せず、風合い出し加工
が行えない布帛であることが分かった。
【0051】比較例2 熱セットローラー2の温度を100℃とする以外は比較
例1と同様にして84dtex−36fの延伸糸を得
た。
【0052】表3に示すように、この延伸糸の100℃
における収縮応力は0.02cN/dtexときわめて
低い値であり、無荷重下における収縮率S0 は9.0%
と適度な値であったが、荷重下における収縮率S1
4.8%ときわめて低い値であった。そのため、布帛の
収縮率は2.2%とほとんど収縮せず、風合い出し加工
が行えない布帛であることが分かった。
【0053】比較例3 熱セットローラー2の温度を30℃とする以外は実施例
1と同様にして、84dtex−36fの延伸糸を得
た。
【0054】表3に示す通り、この繊維の100℃にお
ける収縮応力は0.06cN/dtexと適度な値であ
ったが、無荷重下の収縮率S0が82.5%ときわめて
大きく、荷重下における収縮率S1も60.8%と大き
すぎる値であった。そのため、布帛の収縮率は55.2
%であり、著しく収縮してきわめて粗硬な衣料用途には
用いることのできない布帛となることが分かった。
【0055】比較例4 熱セットローラー2の温度を160℃とする以外は実施
例1と同様にして延伸を試みたが、熱セットローラー上
にて融着が発生して延伸ができなかった。
【0056】比較例5 熱セットローラー2と冷ローラー3の間のストレッチ率
を2.5倍とする以外は実施例4と同様にして延伸を行
ったが、熱セットローラー上での単巻きが激しく延伸性
がきわめて不良であったため、さらなる評価を行うこと
ができなかった。
【0057】
【表1】
【0058】
【表2】
【0059】
【表3】
【0060】
【発明の効果】本発明の繊維は適度な収縮率を有し、か
つ100℃における収縮応力が高いため、布帛構造を構
成している場合にも繊維の収縮が可能である。そのた
め、精練や染色などの熱水処理によって、布帛は適度に
収縮が可能であり、しぼ立てや糸長差発現などの風合い
出し加工を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の脂肪族ポリエステル繊維の製造方法の
一例を示す工程概略図である。
【図2】本発明の脂肪族ポリエステル繊維の製造方法の
他の一例を示す工程概略図である。
【符号の説明】
1:予熱ローラー 2:熱セットローラー 3:冷ローラー 4:ストレッチゾーン
フロントページの続き Fターム(参考) 4L035 BB33 BB90 BB91 EE01 EE06 EE08 4L036 MA05 PA03 PA17 RA03 UA30

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】100℃における収縮応力が0.05〜
    0.5cN/dtexであり、無荷重下における沸騰水
    収縮率S0(%)と0.01cN/dtex荷重下にお
    ける沸騰水収縮率S1(%)が下記式1および式2の関
    係を満足していることを特徴とするポリ乳酸繊維。 5<S1<20 ・・・(式1) S0 ×0.7<S1 ・・・(式2)
  2. 【請求項2】未延伸糸を一旦巻き取って延伸した後、或
    いは一旦巻き取ることなく延伸した後、加熱された回転
    ローラーに走行糸条を接触させて熱セットを行うポリ乳
    酸繊維の製造方法において、前記熱セットローラーの温
    度を90〜140℃とし、かつ該熱セットローラーにて
    熱セットされた糸条を、熱セットローラーよりも高速で
    回転する冷ローラーにて、1.05〜2.0倍にストレ
    ッチすることを特徴とするポリ乳酸繊維の製造方法。
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