JP2002211929A - Bi系強誘電体薄膜の形成方法 - Google Patents

Bi系強誘電体薄膜の形成方法

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JP2002211929A
JP2002211929A JP2000404985A JP2000404985A JP2002211929A JP 2002211929 A JP2002211929 A JP 2002211929A JP 2000404985 A JP2000404985 A JP 2000404985A JP 2000404985 A JP2000404985 A JP 2000404985A JP 2002211929 A JP2002211929 A JP 2002211929A
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thin film
forming
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ferroelectric thin
based ferroelectric
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JP2000404985A
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English (en)
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Yoshihiro Sawada
佳宏 澤田
Tomoya Kumagai
智弥 熊谷
Hideya Kobari
英也 小針
Ayako Kusaka
綾子 日下
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Tokyo Ohka Kogyo Co Ltd
Original Assignee
Tokyo Ohka Kogyo Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 塗布工程後の塗布膜表面に、表面荒れや白濁
などの現象を起こさず、耐電圧が高く、電気特性が基板
面内において均一な強誘電体薄膜を形成するができるB
i系強誘電体薄膜の形成方法を提供する。 【解決手段】 相対湿度30〜50%の雰囲気下でBi
系強誘電体薄膜形成用塗布液を基板上に塗布し、次いで
焼成を行う、Bi系強誘電体薄膜の形成方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はBi系強誘電体薄膜
の形成方法に関する。本発明は特に、不揮発性の強誘電
体メモリ等に利用される。
【0002】
【従来の技術】近年、(Bi2+(Am−1
3m+12−〔ただし、Aは1、2、3価のイオ
ン(例えば、Bi、Pb、Ba、Sr、Ca、Na、
K、および希土類元素)およびこれらのイオンの組み合
わせを示し;Bは4、5、6価のイオン(例えば、T
i、Nb、Ta、W、Mo、Fe、Co、Cr等の金属
元素)およびこれらのイオンの組み合わせを示し;m=
1〜5の整数である〕の一般式で表される層状構造を有
するBi系強誘電体(BLSF)薄膜は、P−Eヒステ
リシスの抗電界が小さく、分極反転に伴う膜の疲労性が
少ないなどの特性を有することから、半導体メモリ用お
よびセンサ用の材料として脚光を浴びており(竹中正
「ビスマス層状構造強誘電体と粒子配向」;(社)応用
物理学会 応用電子物性分科会研究報告、1994年1
1月22日、pp.1−8;「セラミックス」Vol.
30、No.6、pp.499−503(199
5))、中でもSrBiTa系、すなわち(B
2+(SrTa2−のBLSF薄膜
(SBT薄膜)は、これらの特性をよく示す材料として
注目されている。
【0003】Bi系強誘電体薄膜の形成方法としては、
スパッタ法、CVD法、塗布型被膜形成法等が挙げられ
るが、薄膜を構成する金属酸化物成分が多いことから、
スパッタ法やCVD法による薄膜形成法は、高価な装置
を必要としてコストがかかること、所望の誘電体膜組成
制御とその管理が難しいことなどの理由により、特に大
口径の基板への適用には困難とされている。これに対し
塗布型被膜形成法は、高価な装置を必要とせず、成膜コ
ストが比較的安価で、しかも所望の誘電体膜組成制御や
その管理も容易なため有望視されている。
【0004】この塗布型被膜形成法に使用されるBi系
強誘電体薄膜形成用材料としては、2−エチルヘキサン
酸などの中鎖炭化水素基を有するカルボン酸と当該薄膜
の構成金属元素との塩や、エタノール、メトキシエタノ
ール、エトキシプロパノールなどのアルコールと当該薄
膜の構成金属元素とからなる金属アルコキシド化合物等
の有機金属化合物を、有機溶媒に溶解してなる有機系の
塗布液が知られている。
【0005】中でも、金属アルコキシド化合物を含有す
る塗布液は、金属アルコキシド化合物の複合化処理や加
水分解処理により、塗布液中の金属組成比を安定化させ
ることができ、薄膜形成時に昇華性の高い金属(Biな
ど)が焼失して薄膜中の金属組成比が変化する現象を抑
制することができるとして注目されている(特開平10
−258252号、特開平10−259007号公報、
等)。
【0006】かかる塗布型被膜形成法によるBi系強誘
電体薄膜の形成方法は、一般に、Bi系強誘電体薄膜形
成用塗布液を基板上に塗布する塗布工程、乾燥して乾燥
被膜を形成する乾燥工程、被膜中の有機成分を分解除去
する焼成(仮焼成)工程、被膜中にBi系強誘電体結晶
を形成する結晶化のための加熱処理(結晶化処理。本焼
成)工程からなる。
【0007】従来、塗布・乾燥工程後の塗布膜表面に、
表面荒れや白濁などの現象が現れることがあり、これを
そのまま焼成処理、結晶化処理を行ってBi系強誘電体
薄膜を形成した場合、耐電圧が低く、電気特性が基板面
内において不均一な強誘電体薄膜になるという不具合が
あった。
【0008】また、実際の製造ラインにおいては、塗布
工程後、焼成工程開始までの待機時間(時間間隔)は、
基板ごとに差があり、特に複数枚の基板を一括焼成処理
するバッチ式の焼成方法では、最初に塗布膜が形成され
た基板と最後に塗布膜が形成された基板とでは、前者の
ほうが待機時間が長くなる。
【0009】このようなバッチ式の焼成処理において、
基板ごとに焼成後の膜質にバラツキを生じる場合がある
が、これは塗布後、焼成までの待機時間の差が大きく関
係しているものと考えられる。
【0010】特開2000−103693号公報では、
塗布型の強誘電体薄膜の形成方法として、金属有機化合
物の有機溶媒溶液を、相対湿度が1〜25%の雰囲気下
で基板上に塗布し、次いで熱処理することにより、急激
な加水分解や結露を抑制し、薄膜の剥離やクラック、デ
ィンプル状の欠陥のない均一な強誘電体薄膜を形成する
技術が開示されている。しかしながら該公報では、金属
有機化合物として、Li、Nb、Ta、Ba、Ti、S
r、La、Pb、La、Zr等の金属を含む強誘電体薄
膜形成について具体的に示されているのみで、Biを含
むBi系強誘電体薄膜の形成についての言及はない。実
際、該公報において、その効果の具体的な確認がされて
いるのは、PLZT(Pb、La、ZrおよびTiを含
有する金属酸化物)薄膜、LiNbO薄膜、LiTa
薄膜形成についてであり、Bi系強誘電体薄膜での
効果の確認はない。また同公報では、PLZT系強誘電
体膜の形成において、相対湿度30〜46%の条件下で
塗布処理を行った場合、膜質にディンプル状の欠陥が生
じたことが示されている。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、Bi
系強誘電体薄膜を形成するにあたって、塗布工程後の塗
布膜表面に、表面荒れや白濁などの現象を起こさず、耐
電圧が高く、電気特性が基板面内において均一な強誘電
体薄膜を形成することにある。
【0012】本発明の他の目的は、バッチ法での焼成の
ように、塗布後、焼成開始までの待機時間が各基板によ
って異なる場合でも、基板ごとに膜特性のバラツキのな
い強誘電体薄膜を形成することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に本発明は、相対湿度30〜50%の雰囲気下でBi系
強誘電体薄膜形成用塗布液を基板上に塗布し、次いで焼
成を行う、Bi系強誘電体薄膜の形成方法を提供する。
【0014】上記方法において、焼成を300〜800
℃の温度範囲で行うのが好ましい。また焼成を、酸素を
含有する露点が−15℃以下の乾燥ガスを流入させた雰
囲気下で行うのが好ましい。
【0015】上記方法において、塗布後、焼成までの待
機時間(時間間隔)が300秒以内であるのが好まし
い。また該待機時間中、塗布膜の形成された基板を相対
湿度50%以下の雰囲気下で保持するのが好ましい。ま
た該待機時間中、塗布膜の形成された基板を0〜40℃
の雰囲気下で保持するのが好ましい。また該待機時間
中、塗布膜の形成された基板を不活性ガスの雰囲気下で
保持するのが好ましい。また該待機時間中、塗布膜の形
成された基板に対して、加熱処理を一切行わないのが好
ましい。
【0016】上記方法において、塗布から焼成までの
工程を、塗布膜が所望の膜厚になるまで繰り返した後、
塗布膜の結晶化のための加熱処理(結晶化処理)を行う
か、あるいは、塗布から焼成までの工程の後、塗布膜
の結晶化のための加熱処理(結晶化処理)を行い、次い
で、当該塗布から結晶化処理までの工程を、塗布膜が所
望の膜厚になるまで繰り返し行うのが好ましい。
【0017】また上記方法において、Bi系強誘電体薄
膜形成用塗布液は、Biアルコキシド、A金属アルコキ
シド(ただし、AはBi、Pb、Ba、Sr、Ca、N
a、K、および希土類金属元素の中から選ばれる少なく
とも1種の金属元素を表す)、およびB金属アルコキシ
ド(ただし、BはTi、Nb、Ta、W、Mo、Fe、
Co、およびCrの中から選ばれる少なくとも1種の金
属元素を表す)を極性有機溶媒に混合してなるものが好
ましい。
【0018】上記において、上記Biアルコキシド、A
金属アルコキシド、およびB金属アルコキシドのうち、
少なくとも2種の金属アルコキシドが複合金属アルコキ
シドを形成するものが好ましい。
【0019】また、上記Bi系強誘電体薄膜形成用塗布
液が、下記一般式(I)
【0020】 (Bi2+(Am−13m+12− (I)
【0021】(式中、AはBi、Pb、Ba、Sr、C
a、Na、K、および希土類金属元素の中から選ばれる
少なくとも1種の金属元素を表し;BはTi、Nb、T
a、W、Mo、Fe、Co、およびCrの中から選ばれ
る少なくとも1種の金属元素を表し;mは1〜5の整数
を表す)で表されるBi層状化合物を含有する薄膜を形
成するための塗布液であるのが好ましい。
【0022】さらに上記Bi系強誘電体薄膜形成用塗布
液が、下記一般式(II)
【0023】 Sr1−xBi2+y(Ta2−z、Nb)O9+α (II)
【0024】(x、y、αは、それぞれ独立に0以上1
未満の数を表し、zは0以上2未満の数を表す)で表さ
れるBi層状化合物を含有する薄膜を形成するための塗
布液であるのが好ましい。
【0025】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳述する。
【0026】本発明に用いられる塗布型のBi系強誘電
体薄膜形成用塗布液としては、特に制限はなく、MOD
型塗布液、ゾル・ゲル型塗布液など、Bi系強誘電体薄
膜形成用塗布液として知られている材料を用いることが
できる。
【0027】本発明では、中でもBiアルコキシド、A
金属アルコキシド(ただし、AはBi、Pb、Ba、S
r、Ca、Na、K、および希土類金属元素の中から選
ばれる少なくとも1種の金属元素を表す)、およびB金
属アルコキシド(ただし、BはTi、Nb、Ta、W、
Mo、Fe、Co、およびCrの中から選ばれる少なく
とも1種の金属元素を表す)を極性有機溶媒に混合して
なるBi系強誘電体薄膜形成用塗布液が、膜の平坦性や
膜密度、結晶粒径の均一性に優れる点で特に好ましく用
いられる。
【0028】該金属アルコキシド化合物は、その金属元
素にアルコキシル基以外の複数の異なる基が結合してい
てもよく、例えばカルボキシル基等が結合していてもよ
い。
【0029】本発明では特に、上記A金属アルコキシ
ド、B金属アルコキシド、Biアルコキシドのうち、少
なくとも2種の異種金属アルコキシドが複合金属アルコ
キシドを形成しているのが好ましい。このように2種以
上の異種金属アルコキシドを複合化することにより、単
独の金属元素の析出(偏析)、焼失を抑制することがで
き、もってリーク電流の発生をより効果的に抑制するこ
とができる。
【0030】上記Bi系強誘電体薄膜形成用塗布液に含
有される金属アルコキシドの態様は、具体的には以下の
(a)〜(e)が例示される。 (a)A−Bi複合金属アルコキシド、およびB金属ア
ルコキシド。 (b)Bi−B複合金属アルコキシド、およびA金属ア
ルコキシド。 (c)A−B複合金属アルコキシド、およびBi金属ア
ルコキシド。 (d)A−Bi−B複合金属アルコキシド。 (e)A金属アルコキシド、B金属アルコキシド、およ
びBiアルコキシド。
【0031】本発明でいう複合金属アルコキシドは、例
えば異種金属アルコキシドどうしを溶媒中で20〜10
0℃程度の温度条件下で、1〜15時間程度反応させる
ことにより得られる。このようにして得られた複合金属
アルコキシドは、「ゾル・ゲル法によるガラス・セラミ
ックスの製造技術とその応用」(応用技術出版(株)、
1989年6月4日発行)のpp.46〜47に定義さ
れているものであると考えられ、具体的には、ABi
(OR(OR、BBi(OR(OR
、AB(OR(OR、ABBi(O
(OR(OR、(ここで、A、B
は上記で定義したとおりであり;kはA金属元素の原子
価であり;nはB金属元素の原子価であり;R
、Rはそれぞれ独立に炭素原子数1〜6のアルキ
ル基を表す)で表されるものであると考えられる。中で
も、昇華性が高いといわれるBiを複合化したABi
(OR(OR、BBi(OR(OR
、ABBi(OR(OR(OR
、すなわち、上記例示した態様のうち(a)、
(b)、および(d)のものを用いるのが好ましい。
【0032】なお、上記金属アルコキシド、複合金属ア
ルコキシドを形成するアルコールとしては、下記一般式
(III)
【0033】ROH (III)
【0034】(式中、Rは炭素原子数1〜6の飽和ま
たは不飽和の炭化水素基を表す)が好ましく用いられ
る。これらアルコール類としては、具体的には、メタノ
ール、エタノール、プロパノール、ブタノール、アミル
アルコール、シクロヘキサノール等が例示される。
【0035】また、上記のアルコール以外のアルコール
類としては、Rがさらに炭素原子数1〜6のアルコキ
シル基で置換されたものが挙げられ、具体的には、メト
キシメタノール、メトキシエタノール、エトキシメタノ
ール、エトキシエタノール、メトキシプロパノール、エ
トキシプロパノール等が例示される。
【0036】本発明では、上記Bi系強誘電体薄膜形成
用塗布液が、上記複合金属アルコキシドと、無水カルボ
ン酸類、ジカルボン酸モノエステル類、β−ジケトン
類、およびグリコール類の中から選ばれる少なくとも1
種の化合物(安定化剤)とを反応させて得られる生成物
を含有するものが好ましく用いられる。
【0037】また、上記Bi系強誘電体薄膜形成用塗布
液が、水、または水と触媒を用いて加水分解・部分重縮
合処理されたゾル−ゲル液であるものが好ましく用いら
れる。
【0038】さらに、上記安定化剤との反応と、上記加
水分解・部分縮重合処理の両者を併用してもよい。
【0039】すなわち本発明では、(1)上記塗布液
(前駆体溶液)を、水、または水と触媒を用いて加水分
解・部分重縮合処理することによってゾル−ゲル液とす
る、(2)上記塗布液を、水、または水と触媒を用いて
加水分解・部分重縮合処理してゾル−ゲル液とした後、
安定化剤を加えて液中の複合金属アルコキシドと反応さ
せる、(3)上記複合金属アルコキシドを、安定化剤と
反応させる、(4)上記塗布液中の複合金属アルコキシ
ドを安定化剤と反応させた後、水、または水と触媒を用
いて加水分解・部分重縮合処理してゾル−ゲル液とす
る、等の態様が好ましい例として挙げられる。
【0040】上記安定化剤は、塗布液の保存安定性を向
上させるためのものであり、特に加水分解後の塗布液の
増粘、ゲル化を抑制するものである。
【0041】上記安定化剤において、無水カルボン酸類
としては、下記一般式(IV)
【0042】R(CO)O (IV)
【0043】(式中、Rは2価の炭素原子数1〜6の
飽和または不飽和の炭化水素基を表す)で表される無水
カルボン酸の中から選ばれる少なくとも1種が好適に用
いられる。
【0044】このような無水カルボン酸類としては、具
体的には、例えば無水マレイン酸、無水シトラコン酸、
無水イタコン酸、無水コハク酸、無水メチルコハク酸、
無水グルタル酸、無水α−メチルグルタル酸、無水α,
α−ジメチルグルタル酸、無水トリメチルコハク酸等を
挙げることができる。
【0045】また、ジカルボン酸モノエステル類として
は、下記一般式(V)
【0046】ROCORCOOH (V)
【0047】(式中、Rは炭素原子数1〜6の飽和ま
たは不飽和の炭化水素基を表し;Rは2価の炭素原子
数1〜6の飽和または不飽和の炭化水素基を表す)で表
されるジカルボン酸モノエステル類の中から選ばれる少
なくとも1種が好ましく用いられる。
【0048】このようなジカルボン酸モノエステル類と
しては、具体的には、例えば2塩基酸のカルボン酸とア
ルコールとを反応させてハーフエステル化したものを用
いることができ、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グル
タル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スペリン酸、アゼリ
ン酸、セバシン酸、マレイン酸、シトラコン酸、イタコ
ン酸、メチルコハク酸、α−メチルグルタル酸、α,α
−ジメチルグルタル酸、トリメチルグルタル酸等の2塩
基酸のカルボン酸の少なくとも1種と、メチルアルコー
ル、エチルアルコール、プロピルアルコール、ブチルア
ルコール、アミルアルコール、ヘキシルアルコール、エ
チレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリ
コールモノメチルエーテル等の少なくとも1種とを公知
の方法によりエステル化反応させて合成することができ
る。
【0049】β−ジケトン類としては、下記一般式(V
I)
【0050】 RCOCR10HCOR11 (VI)
【0051】(式中、Rは炭素原子数1〜6の飽和ま
たは不飽和の炭化水素基を表し;R10はHまたはCH
を表し;R11は炭素原子数1〜6のアルキル基また
はアルコキシル基を表す)で表されるβ−ケトエステル
を含むβ−ジケトンの中から選ばれる少なくとも1種が
好適に用いられる。
【0052】本発明で用いられるβ−ジケトン類として
は、具体的には、例えばアセチルアセトン、3−メチル
−2、4−ペンタンジオン、ベンゾイルアセトン等を挙
げることができる。またβ−ケトエステルとしては、例
えばアセト酢酸エチル、マロン酸ジエチル等を挙げるこ
とができる。これ以外の錯体形成剤も適用可能ではある
が、焼成後、金属ハロゲン化物を形成するヘキサフルオ
ロアセチルアセトンなどの錯体形成剤は、昇華性または
揮発性の高い金属錯体を形成するため、本発明の塗布液
への使用は不適当である。
【0053】グリコール類としては、下記一般式(VI
I)
【0054】HOR12OH (VII)
【0055】(式中、R12は2価の炭素原子数1〜6
の飽和または不飽和の炭化水素基を表す)で表されるグ
リコールの中から選ばれる少なくとも1種が好適に用い
られる。
【0056】本発明で用いられるグリコール類として
は、具体的には、1,2−エタンジオール、1,3−プ
ロパンジオール、1,2−プロパンジオール、2,3−
ブタンジオール、ジエチレングリコール、1,5−ペン
タンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジ
オール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、1,
4−シクロヘキサンジオール、ジプロピレングリコー
ル、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、
2,5−ジメチル−2,5−ヘキサンジオール、2−エ
チル−1,3−ヘキサンジオール、テトラエチレングリ
コール等を例示的に挙げることができる。
【0057】以上の安定化剤は、いずれも炭素原子数が
1〜6の短鎖のものであることが、金属化合物の極性、
塗布後の無機性を高める点で好ましい。
【0058】なお、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草
酸、2−エチルヘキサン酸、トリメチル酢酸等のモノカ
ルボン酸類も、所望により安定化剤として用いることが
できる。
【0059】また、上記Bi系強誘電体形成用塗布液を
加水分解・部分重縮合させる場合において、加水分解・
部分重縮合反応は、塗布液中に水、または水と触媒を添
加し、20〜50℃で数時間〜数日間撹拌して行われ
る。触媒としては、金属アルコキシドの加水分解反応用
として公知のもの、例えば塩酸、硫酸、硝酸等の無機
酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸等の有機酸などの酸触媒
や、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア、
モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、テトラメ
チルアンモニウムヒドロキシド等の無機・有機アルカリ
触媒などを挙げることができるが、本発明では、被膜特
性の点から酸触媒を用いることが特に好ましい。
【0060】上述のように複合金属アルコキシドを安定
化剤と反応させてカルボキシル化、β−ジケトン化、キ
レート化等の処理をすることにより、極性を有し、しか
も安定性に優れた生成物(有機金属化合物)を得ること
ができ、加水分解性が向上するとともに、実用的な極性
溶媒の適用が可能となる。その結果、塗布液中でゾル−
ゲル法による縮合重合反応を十分に進行させることがで
き、Bi−O−Bi、Bi−O−Ta、Bi−O−S
r、Ta−O−Bi−O−Sr等の無機結合(メタロキ
サン結合)の生成により、さらにBi等の特定の金属元
素の析出(偏析)量、焼失量を低減することができると
ともに、塗布液全体の無機化を高めることができる。
【0061】上記Bi系強誘電体薄膜形成用塗布液の極
性有機溶媒としては、飽和脂肪族系溶媒、芳香族系溶
媒、アルコール系溶媒、グリコール系溶媒、エーテル系
溶媒、ケトン系溶媒、エステル系溶媒等を挙げることが
できる。中でも、酸素原子を分子中に有するアルコール
系溶媒、グリコール系溶媒、エーテル系溶媒、ケトン系
溶媒、エステル系溶媒等は、加水分解型のゾル−ゲル液
を調製する場合に好適に用いられる。
【0062】アルコール系溶媒としては、メタノール、
エタノール、プロパノール、ブタノール、アミルアルコ
ール、シクロヘキサノール、メチルシクロヘキサノール
等が例示される。
【0063】グリコール系溶媒としては、エチレングリ
コールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノア
セテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、
ジエチレングリコールモノアセテート、プロピレングリ
コールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノ
エチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテ
ル、プロピレングリコールジプロピルエーテル、プロピ
レングリコールモノアセテート、ジプロピレングリコー
ルモノエチルエーテル、3−メトキシ−1−ブタノー
ル、3−メトキシ−3−メチルブタノール、3,3’−
ジメチルブタノール等が例示される。
【0064】エーテル系溶媒としては、メチラール、ジ
エチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジブチルエーテ
ル、ジアミルエーテル、ジエチルアセタール、ジヘキシ
ルエーテル、トリオキサン、ジオキサン等が例示され
る。
【0065】ケトン系溶媒としては、アセトン、メチル
エチルケトン、メチルプロピルケトン、メチルイソブチ
ルケトン、メチルアミルケトン、メチルシクロヘキシル
ケトン、ジエチルケトン、エチルブチルケトン、トリメ
チルノナノン、アセトニトリルアセトン、ジメチルオキ
シド、ホロン、シクロヘキサノン、ダイアセトンアルコ
ール等が例示される。
【0066】エステル系溶媒としては、ギ酸エチル、酢
酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸シクロヘキシ
ル、プロピオン酸メチル、酪酸エチル、オキシイソ酪酸
エチル、アセト酢酸エチル、乳酸エチル、メトキシブチ
ルアセテートシュウ酸ジエチル、マロン酸ジエチル、ク
エン酸トリエチル、クエン酸トリブチル等が例示され
る。
【0067】これら溶媒は、単独若しくは2種以上を混
合した形で用いることができる。
【0068】このようなBi系強誘電体薄膜形成用塗布
液は、好ましくは、下記一般式(I)
【0069】 (Bi2+(Am−13m+12− (I)
【0070】(式中、AはBi、Pb、Ba、Sr、C
a、Na、K、および希土類金属元素の中から選ばれる
少なくとも1種の金属元素を表し;BはTi、Nb、T
a、W、Mo、Fe、Co、およびCrの中から選ばれ
る少なくとも1種の金属元素を表し;mは1〜5の整数
を表す)で表されるBi層状化合物を含む強誘電体薄膜
の形成に用いられる。
【0071】特には下記一般式(II)
【0072】 Sr1−xBi2+y(Ta2−z、Nb)O9+α (II)
【0073】(x,y、αは、それぞれ独立に0以上1
未満の数を表し;zは0以上2未満の数を表す)で表さ
れるBi層状化合物を含む強誘電体薄膜の形成に用いら
れるのが好ましい。
【0074】本発明では、かかるBi系強誘電体薄膜形
成用塗布液を、相対湿度30〜50%、好ましくは35
〜45%の雰囲気下で基板上に塗布する。塗布時の相対
湿度を上記範囲に保持することにより、塗布工程後の塗
布膜表面に、表面荒れや白濁などの現象を防止すること
ができる。塗布時の相対湿度が30%未満では、膜の表
面平坦性が悪く、また均一な粒状の薄膜が得られにく
く、電気特性が基板面内において均一なものとなりにく
い。一方、50%を超えると、塗布工程後の塗布膜表面
に、表面荒れや白濁などの現象を起こす点で好ましくな
い。
【0075】なお、塗布時の雰囲気は、大気中、酸素
中、不活性ガス(窒素等)中などの条件下で行うことが
できる。また、塗布時の温度条件は特に限定されない
が、作業性や制御性の点で、0〜40℃、特には20〜
30℃程度が好ましい。
【0076】なお用いる基板としては、特に限定される
ものでなく、例えば、シリコン等の半導体基板、ガラス
基板等を挙げることができる。
【0077】さらには、例えば強誘電体メモリの電極材
料が形成された基板でもよく、例えばシリコンウェーハ
等の基板上部を酸化してSi酸化膜等を形成して、その
上に電極材料が形成された基板や、絶縁層、下層配線、
層間絶縁層等を形成した基板上に電極材料が形成された
基板でもよい。電極材料を設ける場合、該電極材料はス
パッタリング、蒸着等の公知の方法により形成すること
ができ、またその膜厚も特に限定されるものではない。
電極材料としては、導電性を示す材料であればよく、特
に制限されるものでなく、例えばPt、Ir、Ru、R
e、Os等の金属、およびその金属酸化物である導電性
金属酸化物等を用いることができる。
【0078】塗布工程後、加熱処理を伴う乾燥工程を行
ってもよいが、乾燥工程を行うことにより、リーク電流
増加や耐電圧の低下によるショートが生じる場合があ
り、また塗布膜の経時劣化を生じさせる場合があるた
め、本発明では好ましくは行わないほうがよく、行う場
合でも、40℃を超える加熱処理(乾燥処理)は避けた
ほうが好ましい。
【0079】続いて、焼成(仮焼成)を行う。焼成によ
り塗布膜中の有機成分が焼成除去され、金属酸化膜が形
成される。
【0080】当該焼成工程は、酸素を含有する雰囲気中
において、300〜800℃、特には600〜700℃
の温度範囲で行うことが好ましい。600℃以上とする
のが耐電圧の確保(維持)とリーク電流特性の面内均一
性がより向上するので好ましいが、800℃を超えると
実際のデバイス製造時に他の素子への熱的劣化を与える
可能性があるため、700℃以下での加熱処理が好まし
い。
【0081】また、焼成中は、乾燥空気(dry ai
r)、あるいは乾燥酸素(dryO)などの、酸素を
含有する乾燥ガスを流入させた雰囲気下で行うことが耐
電圧の確保(維持)の点で好ましい。
【0082】乾燥空気、乾燥酸素の流入は、コンプレッ
サーを利用した除湿装置や、一般に市販されている露点
が−15℃以下、好ましくは−50℃以下、特に好まし
くは−70℃以下の乾燥空気ガスボンベ、乾燥酸素ガス
ボンベが利用可能である。
【0083】焼成工程での加熱手段としては特に制限は
ないが、例えば、RTA(=Rapid Therma
l Annealing)法やRTP(=Rapid
Thermal Processing)法と呼ばれる
急速加熱処理法、ファーネス(炉焼き)法、ホットプレ
ートベーク法などが利用でき、加熱時間は、適宜選択可
能である。
【0084】焼成工程は、塗布工程後、できるだけ速や
かに行うことが耐電圧の確保(維持)の点で好ましく、
相対湿度が50%を超える雰囲気下では、塗布工程後3
00秒以内、特には60秒以内で行うことが望ましい。
【0085】また、塗布工程後、焼成工程への移行まで
の間の時間(待機時間)は、塗布膜の形成された基板
を、相対湿度50%以下、特には45%以下の雰囲気下
に保持し続けることが、待機時間の長短による膜特性の
バラツキの少ない強誘電体薄膜を形成することができる
点で好ましい。なお、相対湿度が50%以下、特には4
5%以下の雰囲気下では、膜質の劣化現象が抑制される
ため、待機時間は5時間以内、特には3時間以内で行う
ことができる。
【0086】また、塗布工程後、焼成工程までの待機時
間は、塗布膜の形成された基板を、0〜40℃、特には
20〜30℃の雰囲気下で保持し続けることが、耐電圧
の確保(維持)の点で好ましい。
【0087】また、塗布工程から焼成工程までの待機時
間は、塗布膜の形成された基板を、窒素やヘリウムなど
の不活性ガスの雰囲気下に保持し続けることが、耐電圧
の確保(維持)の点で好ましい。
【0088】本発明では、上記塗布から焼成までの工程
を、所望の膜厚になるまで数回繰り返して所望の膜厚と
した後に、塗布膜の結晶化のための加熱処理(結晶化処
理。本焼成)を行ってBi系強誘電体薄膜を形成するこ
とができる。良好な電気特性を得るために必要な膜厚は
80〜300nm程度であり、その膜厚に達するまで、
塗布から焼成までの操作を繰り返し行う。
【0089】あるいは、塗布から焼成までの工程の後、
結晶化処理を行い、次いで、当該塗布から結晶化処理ま
での工程を、所望の膜厚になるまで数回繰り返して所望
の膜厚とすることによってもBi系強誘電体薄膜を形成
することができる。
【0090】結晶化処理(本焼成)工程は、大気中、酸
素雰囲気中、あるいは、不活性ガス雰囲気中において、
650〜800℃、特には675〜750℃の温度範囲
で行うことが好ましい。650℃未満では結晶化度低下
によるヒステリシス曲線の分極量の減少がみられる点で
好ましくなく、一方、800℃を超えると実際のデバイ
ス製造時に他の素子への熱的劣化を与える可能性がある
ため好ましくない。
【0091】結晶化処理工程での加熱手段としては、特
に制限はないが、例えば、RTA法やRTP法と呼ばれ
る急速加熱処理法、ファーネス(炉焼き)法、ホットプ
レートベーク法などが利用でき、加熱時間は、適宜選択
可能である。
【0092】なお、本発明方法を適用してBi系強誘電
体薄膜強誘電体素子を製造する場合、通常、基板に下部
電極を形成し、その上に上述のようにしてBi系強誘電
体薄膜を形成し、続いて、該薄膜上に上部電極を設け
る。上部電極としては、下部電極用材料として挙げた金
属、金属酸化物等を用いることができ、これら材料をス
パッタ法、蒸着法等の公知の方法により強誘電体薄膜上
に形成し、強誘電体素子を作製する。この時、上部電極
としては、下部電極と異なる材料を用いてもよく、例え
ば、下部電極にIrを用い、上部電極にRuを用いても
よい。
【0093】上部電極を設けた後、加熱処理(リカバリ
ーアニール)を行うのが好ましい。リカバリーアニール
は、上部電極形成時にBi系強誘電体薄膜に与えたダメ
ージを回復させるため、また上部電極とBi系強誘電体
薄膜との界面を安定化させ、素子の特性を向上させるた
めに行う加熱処理である。またこの加熱処理により、結
晶粒子の成長や、Bi系強誘電体薄膜と上部電極との界
面が安定化するなどして、Bi系強誘電体素子の電気特
性が向上する。
【0094】この加熱処理を行わないと、ヒステリシス
曲線の形状が著しく劣ったものとなり、十分な強誘電体
特性を示し得ない。リカバリーアニール後の強誘電体素
子は、形状が改善したヒステリシス曲線となり、強誘電
体としての特性を示すことができる。
【0095】リカバリーアニールの手段としては、上記
したように、Bi系強誘電体薄膜のダメージを回復する
に十分な温度、時間であれば特に方法は問うものでな
く、RTA法、ファーネス法、ホットプレート法等、従
来からの加熱手段を用いることができる。
【0096】本発明では、上記ダメージ回復の点から、
リカバリーアニールを、ファーネスやホットプレート法
により600〜800℃程度の温度で5〜60分間程度
行うのが好ましい。
【0097】なお、リカバリーアニールを、RTA法に
より10℃/s以上の昇温速度で400〜800℃まで
昇温する処理を行ってもよいし、さらにその温度範囲で
30分間以内の加熱処理、特にはその温度範囲で10〜
300秒間程度の加熱処理を行ってもよい。
【0098】リカバリーアニール後、RTA処理を行う
のが好ましい。この場合、昇温速度は10℃/s以上が
好ましく、より好ましくは30〜250℃/s、特には
50〜200℃/sである。
【0099】このRTA処理において、加熱温度が高い
ほどヒステリシス曲線の角形比の向上がみられ、素子特
性向上の点から、本発明では少なくとも400℃、好ま
しくは500〜800℃、特には650〜800℃の温
度での加熱処理が好ましい。他方、製造プロセスの点か
らは、近年の高集積化に従い許容される温度が下がって
きており、低温であるほど有利である。素子特性向上と
製造プロセスの両者の観点から、許容される温度と加熱
時間との中において高温のほうが好ましい。
【0100】また、昇温後の加熱時間としては、0時間
でもよいが、昇温後の温度範囲において、30分間以内
程度の加熱処理を行うのが好ましく、特には10〜30
0秒間程度行うことが好ましい。
【0101】加熱雰囲気は、特に制限はなく、大気中、
窒素ガスなどの不活性ガス雰囲気、酸素分圧雰囲気、酸
素雰囲気など、各種雰囲気下で行うことができる。
【0102】このように、上部電極形成後、リカバリー
アニールを行い、その後に昇温速度10℃/s以上のR
TAを行うという2段階加熱処理により、高い分極値
(Pr値)を維持したまま、素子の飽和特性が向上し、
角形比の良いヒステリシス曲線を有し、ヒステリシス特
性の改善したBi系強誘電体素子を効率よく製造するこ
とができる。
【0103】なお、上記の2段階加熱処理を行った後、
さらにホットプレート法、ファーネス法、RTA法等に
よる加熱手段を所望により複数回行ってもよい。
【0104】
【実施例】以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説
明するが、本発明はこれら実施例によりなんら限定され
るものでない。
【0105】(Bi系強誘電体薄膜形成用塗布液の調
製)Bi(OCとTa(OCをプ
ロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)に
溶解し、これにSr(OCOCHのMC溶
液を滴下して、モル比でSr:Bi:Ta=0.9:
2.1:2.0となるように調整した。
【0106】滴下終了後、80℃まで温度を上げ、5時
間還流を行ったところ溶液は透明から黒褐色へと変化し
た。その後加熱を止め、液温(25℃)になるまで放置
した。
【0107】24時間室温で放置した後、溶媒を減圧留
去し、濃縮し、濃度20重量%の溶液とした。次いでS
0.9Bi2.1Ta2.01モルに対して3倍モル
のアセト酢酸エチルのPGME溶液を滴下して80℃の
加熱下で、2時間還流を行った。
【0108】室温(25℃)になるまで放置したとこ
ろ、濃度15重量%の溶液が得られた。次いでSr
0.9Bi2.1Ta2.0モルに対して等モルのプロ
ピレングリコールのPGME溶液を加え、25℃で1時
間攪拌し、濃縮し、濃度12重量%の溶液とした。次い
でSr0.9Bi2.1Ta2.01モルに対して2倍
モルのHOのPGME溶液を滴下し、25℃で2時間
攪拌を行った。次いで得られた塗布液を濃縮して、濃度
6.5重量%のBi系強誘電体薄膜形成用塗布液を調製
した。
【0109】[実施例1](塗布工程における相対湿度
35%での評価) 温度23℃、相対湿度35%〔「デジタル温湿度計CT
H−170」((株)カスタム製)を使用〕の大気雰囲
気に保たれたスピンコーティング装置(「TR834
2」;東京応化工業(株)製)内において、Pt膜が形
成された直径6インチのSi基板上にBi系強誘電体薄
膜形成用塗布液を静止滴下し、次いで500rpmで
0.5秒間、2000rpmで4秒間回転塗布して塗布
膜を形成した。
【0110】当該塗布膜が形成された基板を、相対湿度
30%、温度23℃、窒素雰囲気に保たれたデシケータ
ー内に5時間保持した。
【0111】次いで、露点−70℃の乾燥空気ガス
(「純空気B」;日本酸素(株)製)を流入させた焼成
装置内において、650℃に保持されたホットプレート
上で5分間の1次焼成を行い、さらに、700℃に保持
されたファーネス内で乾燥酸素ガス(「純酸素B」;日
本酸素(株)製)を流入させながら、30分間の2次焼
成を行った。
【0112】上記塗布から2次焼成までを5回繰り返し
た後、750℃に設定されたファーネス内で乾燥酸素ガ
スを流入させながら、60分間の加熱処理(結晶化処
理。本焼成)を行い、Bi系強誘電体薄膜1を形成し
た。
【0113】得られたBi系強誘電体薄膜1に白濁はな
く、表面状態を走査型電子顕微鏡写真(SEM写真)に
より観察したところ、表面の荒れは確認されなかった。
【0114】[実施例2](塗布工程における相対湿度
40%での評価) 塗布時の相対湿度を35%から40%に代えた以外は実
施例1と同様にして、Bi系強誘電体薄膜2を形成し
た。
【0115】得られたBi系強誘電体薄膜2に白濁はな
く、表面状態をSEM写真により観察したところ、表面
の荒れは確認されなかった。
【0116】[実施例3](塗布工程における相対湿度
45%での評価) 塗布時の相対湿度を35%から45%に代えた以外は実
施例1と同様にして、Bi系強誘電体薄膜3を形成し
た。
【0117】得られたBi系強誘電体薄膜3に白濁はな
く、表面状態をSEM写真により観察したところ、表面
の荒れは確認されなかった。
【0118】[比較例1](塗布工程における相対湿度
25%での評価) 塗布時の相対湿度を35%から25%に代えた以外は実
施例1と同様にして、Bi系強誘電体薄膜4を形成し
た。
【0119】得られたBi系強誘電体薄膜4に白濁はな
かったが、表面状態をSEM写真により観察したとこ
ろ、表面の荒れが確認され、ところどころに粒状の異な
る結晶粒子がみられた。
【0120】[比較例2](塗布工程における相対湿度
55%での評価) 塗布時の相対湿度を35%から55%に代えた以外は実
施例1と同様にして、Bi系強誘電体薄膜5を形成し
た。
【0121】得られたBi系強誘電体薄膜5は白濁して
おり、表面状態をSEM写真により観察したところ、表
面の荒れが確認された。
【0122】[実施例4](塗布後、焼成までの待機時
間を変化させた場合の評価) 実施例2において、待機時間中の相対湿度を30%から
50%に代え、かつ塗布から焼成(仮焼成)までの待機
時間を下記表1に示すように変化させて、待機時間と膜
特性の関係を調べた。試験方法、評価方法は以下のよう
にして行った。結果を表1に示す。
【0123】〈耐電圧〉Pt膜(下部電極)が形成され
た基板上に形成した各Bi系強誘電体薄膜上に、Pt膜
(上部電極)を設け、上記下部電極と上部電極との間に
0〜±20Vを印加した時にショートを生じた電圧を耐
電圧(V)として示した。なお、耐電圧の値は、基板面
内の任意の3点において計測した平均値で示した。
【0124】〈リーク電流特性〉上記の耐電圧評価時に
おける+3V印加時のリーク電流特性を調べた。なお、
リーク電流特性は基板面内の任意の3点において計測し
た平均値で示した。
【0125】〈面内均一性特性〉基板面内の任意の3点
において、上記リーク電流特性を計測し、その3点にお
いて、ほぼ同じリーク電流特性を示し、値にバラツキが
ほとんどなかったものを○、ややバラツキがあったもの
を△として表した。
【0126】
【表1】
【0127】表1の結果から明らかなように、待機時間
中の湿度50%の雰囲気においては、待機時間が300
秒以内、特には60秒以内において、上記諸特性に優れ
ていることがわかった。
【0128】[実施例5](塗布後から焼成までの待機
時間中の湿度変化評価) 実施例2において、塗布から焼成(仮焼成)までの待機
時間中の湿度管理を下記表2に示すように変化させて、
待機時間中の湿度と膜特性の関係を調べた。試験方法、
評価方法は実施例4での方法と同様の方法で行った。結
果を表2に示す。
【0129】
【表2】
【0130】表2の結果から明らかなように、待機時間
中の湿度が低いほど上記諸特性に優れて好ましいことが
わかった。
【0131】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明により、塗
布工程後の塗布膜表面に、表面荒れや白濁などの現象を
起こさず、耐電圧が高く、電気特性が基板面内において
均一な強誘電体薄膜を形成することができるBi系強誘
電体薄膜の形成方法が提供される。本発明により、バッ
チ法での焼成のように、塗布後、焼成開始までの待機時
間が各基板によって異なる場合でも、基板ごとに膜特性
のバラツキのない強誘電体薄膜の形成が可能となる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 小針 英也 神奈川県川崎市中原区中丸子150番地 東 京応化工業株式会社内 (72)発明者 日下 綾子 神奈川県川崎市中原区中丸子150番地 東 京応化工業株式会社内 Fターム(参考) 4G048 AA05 AB01 AB05 AC02 AD02 AE05 AE08 5F058 BA04 BA11 BC03 BF46 BH04 BH07 BJ02 5F083 FR01 JA17 PR23 PR34

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 相対湿度30〜50%の雰囲気下でBi
    系強誘電体薄膜形成用塗布液を基板上に塗布し、次いで
    焼成を行う、Bi系強誘電体薄膜の形成方法。
  2. 【請求項2】 上記焼成を300〜800℃の温度範囲
    で行う、請求項1記載のBi系強誘電体薄膜の形成方
    法。
  3. 【請求項3】 上記焼成を、酸素を含有する露点が−1
    5℃以下の乾燥ガスを流入させた雰囲気下で行う、請求
    項1または2記載のBi系強誘電体薄膜の形成方法。
  4. 【請求項4】 上記塗布後、焼成までの待機時間(時間
    間隔)が300秒以内である、請求項1〜3のいずれか
    1項に記載のBi系強誘電体薄膜の形成方法。
  5. 【請求項5】 上記塗布後、焼成までの待機時間中、塗
    布膜の形成された基板を相対湿度50%以下の雰囲気下
    で保持する、請求項1〜4のいずれか1項に記載のBi
    系強誘電体薄膜の形成方法。
  6. 【請求項6】 上記塗布後、焼成までの待機時間中、塗
    布膜の形成された基板を0〜40℃の雰囲気下で保持す
    る、請求項1〜5のいずれか1項に記載のBi系強誘電
    体薄膜の形成方法。
  7. 【請求項7】 上記塗布後、焼成までの待機時間中、塗
    布膜の形成された基板を不活性ガスの雰囲気下で保持す
    る、請求項1〜6のいずれか1項に記載のBi系強誘電
    体薄膜の形成方法。
  8. 【請求項8】 上記塗布後、焼成までの待機時間中、塗
    布膜の形成された基板に対して、加熱処理を一切行わな
    い、請求項1〜7のいずれか1項に記載のBi系強誘電
    体薄膜の形成方法。
  9. 【請求項9】 上記塗布から焼成までの工程を、塗布膜
    が所望の膜厚になるまで繰り返した後、塗布膜の結晶化
    のための加熱処理(結晶化処理)を行う、請求項1〜8
    のいずれか1項に記載のBi系強誘電体薄膜の形成方
    法。
  10. 【請求項10】 上記塗布から焼成までの工程の後、塗
    布膜の結晶化のための加熱処理(結晶化処理)を行い、
    次いで、当該塗布から加熱処理(結晶化処理)までの工
    程を、塗布膜が所望の膜厚になるまで繰り返し行う、請
    求項1〜8のいずれか1項に記載のBi系強誘電体薄膜
    の形成方法。
  11. 【請求項11】 上記Bi系強誘電体薄膜形成用塗布液
    が、Biアルコキシド、A金属アルコキシド(ただし、
    AはBi、Pb、Ba、Sr、Ca、Na、K、および
    希土類金属元素の中から選ばれる少なくとも1種の金属
    元素を表す)、およびB金属アルコキシド(ただし、B
    はTi、Nb、Ta、W、Mo、Fe、Co、およびC
    rの中から選ばれる少なくとも1種の金属元素を表す)
    を極性有機溶媒に混合してなる、請求項1〜10のいず
    れか1項に記載のBi系強誘電体薄膜の形成方法。
  12. 【請求項12】 上記Biアルコキシド、A金属アルコ
    キシド、およびB金属アルコキシドのうち、少なくとも
    2種の金属アルコキシドが複合金属アルコキシドを形成
    する、請求項11記載のBi系強誘電体薄膜の形成方
    法。
  13. 【請求項13】 上記Bi系強誘電体薄膜形成用塗布液
    が、下記一般式(I) (Bi2+(Am−13m+12− (I) (式中、AはBi、Pb、Ba、Sr、Ca、Na、
    K、および希土類金属元素の中から選ばれる少なくとも
    1種の金属元素を表し;BはTi、Nb、Ta、W、M
    o、Fe、Co、およびCrの中から選ばれる少なくと
    も1種の金属元素を表し;mは1〜5の整数を表す)で
    表されるBi層状化合物を含有する薄膜を形成するため
    の塗布液である、請求項1〜12のいずれか1項に記載
    のBi系強誘電体薄膜の形成方法。
  14. 【請求項14】 上記Bi系強誘電体薄膜形成用塗布液
    が、下記一般式(II) Sr1−xBi2+y(Ta2−z、Nb)O9+α (II) (x、y、αは、それぞれ独立に0以上1未満の数を表
    し、zは0以上2未満の数を表す)で表されるBi層状
    化合物を含有する薄膜を形成するための塗布液である、
    請求項13記載のBi系強誘電体薄膜の形成方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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