JP2002211917A - 骨格内に有機基を有するゼオライト - Google Patents

骨格内に有機基を有するゼオライト

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JP2002211917A
JP2002211917A JP2001352851A JP2001352851A JP2002211917A JP 2002211917 A JP2002211917 A JP 2002211917A JP 2001352851 A JP2001352851 A JP 2001352851A JP 2001352851 A JP2001352851 A JP 2001352851A JP 2002211917 A JP2002211917 A JP 2002211917A
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Takashi Tatsumi
敬 辰巳
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Mitsubishi Chemical Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ゼオライト細孔内の親、疎水性を変化させる
ことにより吸着性能、触媒性能を変化させ、これまでに
得られなかった性能を有する新規なゼオライトを提供す
る。 【解決手段】 骨格内に下記式(I)の構造単位を少な
くとも一つ有するゼオライト。 【化1】

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、触媒または吸着剤
等として有用な、骨格内に有機基を含有するゼオライト
(結晶性ケイ酸塩)に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ゼオライト(結晶性ケイ酸塩)は天然に
産出するゼオライト鉱物の他に、数多くの合成ゼオライ
トが知られている。これまでに工業的に吸着剤や触媒と
して使用されてきたものには、A、X、Y、L、モルデ
ナイト、フェリエライト、ZSM−5、ゼオライトβな
どが知られている。また、チタノシリケートなどのメタ
ロシリケートも多数合成されている。
【0003】また、WO99/10277Aには、ゼオ
ライトの細孔内に官能基を有した有機基を結合させたゼ
オライトが報告されている。これは、これまでに無い、
ゼオライトの持つ形状選択性と修飾された官能基による
反応性を合わせ持った新しいタイプの材料である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、近年で
は100以上の構造の異なるゼオライトが知られている
のにも関わらず、これらのゼオライトが必ずしも、吸着
剤、触媒または工業用の材料として広く使用されている
とは言えない。その理由としては、これらのゼオライト
の骨格構造や組成を任意に変える事ができないため、吸
着特性、触媒特性の最適化に限界があるためであると考
えられる。また、上述したWO99/10277Aのゼ
オライトでは、細孔内を有機基で修飾するため、細孔内
の基質の拡散等に問題が生じる場合がある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記課題に
つき鋭意検討した結果、従来の発想と異なり、ゼオライ
トの骨格内に有機基を導入した全く新しいゼオライトを
合成する事により、その細孔部分を有効に利用し、かつ
有機基の導入による親、疎水性変化等により吸着性能、
触媒性能を変化させ、これまで得られなかった性能を示
すことを見出し、本発明を完成した。
【0006】即ち、本発明の要旨は、骨格内に下記式
(I)の構造単位を少なくとも一つ有するゼオライト、
に存する。
【0007】
【化3】 (式(I)中、Xは 炭素数1から10の置換又は非置
換の二価の基を表す。)
【0008】
【発明の実施の形態】本発明の有機基を骨格内に有する
ゼオライトは、骨格内に下記式(I)の構造単位を少な
くとも一つ有する結晶性ケイ酸塩である。
【0009】
【化4】
【0010】上記式(I)中、Xは炭素数1から10の
置換又は非置換基の二価の基である。具体的には、Xは
置換あるいは非置換の炭素数1から4のアルキレン、炭
素数2から4のアルケニレン、炭素数3から4のアルカ
ジエニレン等の脂肪族基、炭素数3から6のシクロアル
キレン等の脂環式基、フェニレン等の芳香族基である。
置換基としては、炭素数1から4のアルキル、炭素数2
から4のアルケニル、炭素数2から4のアルキニル、シ
クロアルキル、シクロアルケニル、アリール、ヘテロア
リールから選ばれる基である。好ましいXとしては、脂
肪族基であり、中でも、非置換のメチレン、エチレン、
ビニレンが好ましく、さらに好ましくはメチレンであ
る。
【0011】本発明のゼオライトの構造としては、特に
制約はなく、IZA(International Zeolite Associat
ion)が公表しているすべての骨格構造タイプが含まれ
る。好ましくは、IZAの勧告に従った骨格構造タイプ
で表すと、AFI、* BEA、EMT、FAU、GM
E、LTL、MOR、MTW、OFF、VET、EU
O、FER、MEL、MFI、CHA、LEV、LTA
などであり、さらに好ましくは、*BEA、FAU、M
OR、MEL、MFI、LTAである。
【0012】本発明の有機基含有ゼオライトは、公知の
水熱合成法により合成する事ができる。すなわち、水、
シリカ源、必要に応じて、骨格を形成する珪素、酸素以
外の無機元素であるヘテロ原子源、必要に応じて、アル
カリ金属及び/またはアルカリ土類金属、所望により添
加されるテンプレートを混合して水性混合物を調製す
る。水性混合物のpHは通常8から14程度に調製す
る。また、この水性混合物にHF水を加えてpHを中性
付近にして水熱合成を行っても良い。
【0013】本発明のゼオライトの合成に用いるシリカ
原料としては、下記式(II)で表される有機珪素化合物
を必ず含む。
【0014】
【化5】
【0015】この有機珪素化合物(II)において、Xは、
上記式(I)で表されるXと同じ基を表し、炭素数1か
ら10の置換又は非置換基の二価の基である。R1から
6は、合成時に加水分解が可能な基であり、具体的に
は、炭素数1から5のアルコキシ、アリロキシ、ハロゲ
ンである。好ましくは、R1からR6が全て同一の基であ
り、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、クロ
ライドから選ばれる基である。さらに好ましくはメトキ
シ又はエトキシである。
【0016】シリカ原料としては、上記(II)で表され
る有機珪素化合物が必ず1種含まれていなければならな
いが、それ以外に、通常の骨格に有機基を含まないゼオ
ライトを合成する場合に用いるすべてのシリカ原料を併
用しても良い。そのようなシリカ原料は、例えば、微粉
シリカ、シリカゾル、シリカゲル、二酸化珪素、水ガラ
ス等のシリケートやテトラエトキシオルソシリケートや
テトラメトキシオルソシリケートなどの珪素のアルコキ
シド、珪素のハロゲン化物などがあげられる。また、F
AUやMFIなどのゼオライトをシリカ原料として利用
してもかまわない。
【0017】上記式(II)の有機珪素化合物と、その他
の珪素化合物のモル比は通常100:0から1:99で
あり、好ましくは、100:0から5:95、さらに好
ましくは100:0から10:90である。ゼオライト
の骨格を形成する無機元素として珪素、酸素以外に、ヘ
テロ原子として、アルミニウム、ガリウム、インジウ
ム、ホウ素,スズ、鉄、チタン、亜鉛、マンガン、クロ
ム、コバルト、バナジウム及びジルコニウムを更に含ん
でいてもよい。これらのヘテロ原子源としては、硝酸
塩、硫酸塩、塩化物などの無機酸塩、酢酸塩などの有機
酸塩、水酸化物、酸化物、アルコキシドなどが用いられ
る。またヘテロ原子がアルミニウムの場合はアルミン酸
ソーダも用いられる。
【0018】アルカリ金属、アルカリ土類金属源として
は、水酸化物、炭酸水素塩、炭酸塩などが用いられる。
テンプレートを用いる場合はゼオライトの構造により適
宜選択するが、通常、第4級アルキルアンモニウム塩、
モノアルキルアミン類、ジアルキルアミン類、トリアル
キルアミン類、ジアミン類、アルコールアミン類、アル
コール類、エーテル類、アミド類、アルキル尿素類、ア
ルキルチオ尿素類、シアノアルカン類などが用いられ
る。本発明の骨格内に有機基を含有するゼオライトを触
媒等に用いる場合は、通常テンプレートを除いたものが
使用されるため、テンプレートを使用しないでゼオライ
トを合成するか、又は、テンプレートを使用してもそれ
が合成されるゼオライト内に含まれないテンプレート、
あるいは含まれても比較的穏和な条件でゼオライトから
除けるテンプレートを使用するのが望ましい。溶媒抽出
のような比較的穏和な条件で取り除けるテンプレートと
しては、炭素数10以下のテンプレート、あるいは第4
級アルキルアンモニウムのF塩が挙げられる。
【0019】水熱合成に供する水性混合物の組成は、ゼ
オライトの構造により異なるが、ヘテロ原子を含む場合
は、モル比でシリカ源/ヘテロ原子源は通常0.8から1
0000、好ましくは0.9から8000、さらに好ま
しくは1から5000である。またシリカ源に対する水
のモル比もゼオライト構造により異なるが、通常1から
200、好ましくは2から150、さらに好ましくは3
から120である。アルカリ金属および/またはアルカ
リ土類金属を用いる場合は、シリカ源に対するアルカリ
金属および/またはアルカリ土類金属のモル比は通常
0.0001から20、好ましくは0.001から1
0、さらに好ましくは0.01から8である。テンプレ
ートを用いる場合は、シリカ源に対するテンプレートの
モル比は通常0.01から20、好ましくは0.02か
ら10、さらに好ましくは0.05から6である。
【0020】このようにして調製された水性混合物に、
シリカ原料やヘテロ原子原料由来の有機物、例えば、ア
ルコール類が含まれていてもかまわないし、必要に応じ
て留去や蒸留により、それらを水性混合物から取り除い
ても良い。この水性混合物を80℃から260℃、好ま
しくは90℃から220℃に加熱して、水熱合成により
ゼオライトを生成させる。水熱合成は無攪拌及び/また
は攪拌下に行い、圧力は自生圧、またはそれ以上の圧が
用いられる。水熱合成に要する時間は通常1時間以上、
好ましくは5時間から30日である。
【0021】水熱合成したゼオライトは水洗して共雑物
を除き、テンプレートがゼオライト内に残っている場合
は、触媒等に用いる場合は、通常テンプレートを除去す
る必要がある。この場合、通常のゼオライトと違って、
骨格内に有機基を含有するゼオライトであるため、高温
での空気気流下の焼成は骨格内有機基が変質するおそれ
があるため好ましくない。従って、焼成する場合は、骨
格内の有機基が変質しない条件を選ぶ必要がある。例え
ば、窒素等の不活性ガスと酸素の混合気流下、500℃
以下、好ましくは400℃以下の低温で行う必要があ
る。より好ましい方法は、溶媒による抽出である。溶媒
としては、テンプレートにより異なるが、エタノール等
のアルコール類、ジエチルエーテル等のエーテル類、塩
化メチレン等のハロゲン化炭化水素類、酢酸等の有機
酸、ピリジン等のアミン類、水、HCl等の無機酸水溶
液類等から選ばれる。もちろんこれらを組み合わせても
良い。また、この溶媒による抽出と上記の穏和な焼成を
組み合わせても良い。
【0022】触媒等の用途に応じて、常法により所望の
イオン交換型に転換する事も可能である。触媒として利
用する場合、プロトン型への転換が多く行われるが、用
途に応じて、ナトリウム、カリウム、リチウム等のアル
カリ金属、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム
等のアルカリ土類金属、ランタン、セリウム等の希土類
金属、鉄、コバルト、ニッケル、ルテニウム、パラジウ
ム、白金、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、クロ
ム、モリブデン、タングステン、トリウム、亜鉛等の周
期表第4族から12族までの元素に交換しても良い。も
ちろんこれらが共存していても良い。
【0023】本発明の骨格内に有機基を含有するゼオラ
イトはテンプレートを含まない状態で、全体に対する炭
素の含有量は0.1重量%から20重量%、好ましくは
0.2重量%から10.0重量%、さらに好ましくは
0.5重量%から9.5重量%である。骨格内に有機基
が含まれていることは、種々の分析手法により確認でき
る。例えば、IR、ラマン分析により、式(I)のXに
あたる基の吸収を観測する事ができる。また、MAS−
NMR分析により、Si−C結合、X基の観測が可能で
ある。また有機基を骨格内に含有する事により、通常の
Si−O−Si結合のみの場合に比べて、Si−X−S
i結合は大きな結合距離を持つためにユニットセルサイ
ズが大きくなり、それによりXRDのピーク位置が低角
側に変化する。これらの分析結果から骨格内の有機基の
含有を確認することができる。
【0024】本発明の骨格内に有機基を含有するゼオラ
イトは、通常の骨格内に有機基を含有しないゼオライト
と異なる吸着性能を有していると考えられる。ゼオライ
トの構造、ヘテロ原子の割合等と組み合わせる事によ
り、幅広い範囲の親、疎水性を制御できる。また、骨格
内に有機基を含有することにより、ゼオライト細孔内空
間も微細な制御が可能となり、特定の物質に対する吸着
性能を有したり、選択的な反応を進行させる事が可能と
なる。この特徴を利用して、吸着剤、分離材、触媒、機
能材料としてこれまでにない性能を示す事ができる。例
えば触媒としては、高温での反応は適さないが、250
℃以下、好ましくは200℃以下の反応において適用可
能である。その例としては、水素化反応、酸化反応、脱
水素反応、アルキル化反応、アシル化反応、異性化反
応、芳香族化反応、重合反応、水和反応、液相酸化反
応、転位反応等があげられ、中でもアルキル化、アシル
化、異性化、水和、液相酸化、水素化、転位反応への適
用が好ましい。吸着剤、分離剤としては、水中に含まれ
る微量有機物の吸着除去や、疎水性や大きさが異なる物
質の分離などに使用される。また、機能材料としては、
湿度制御材料、脱臭剤、鮮度保持剤、排水処理剤、抗菌
材料、センサー、蛍光材料、非線形光学材料、量子効果
材料等のホスト物質等に使用される。
【0025】次に本発明を実施例により、さらに詳しく
説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるもので
はない。 [実施例1]アルミン酸ナトリウム0.3g、NaOH
1.2gを水105gに溶解させた。これにビス(トリ
エトキシリル)メタン(以下、BTESM)17gを加
え、室温で1時間攪拌を続けた。その後、BTESMの
加水分解で生じたエタノールを水浴により加熱して取り
除いた。このようにしてできた母ゲルの組成は、27.6BT
ESM : Al2O3 : 9.33Na2O : 3210H2Oとなった。この母ゲ
ルをオートクレーブに仕込み、静置下190℃、7日間加
熱した。
【0026】生成物のXRDパターン(CuKα線によ
る)を示す図1によると、MFI構造に特有のピークが
見られた。このサンプルの窒素吸着測定の結果を図2に
示すが、これより、この物質はミクロ孔を持つ事がわか
った。CHN分析から、C含有量は2.96%であっ
た。図3にIRスペクトルの結果を示すが、2980cm
-1付近のメチル基に起因するピークとともに、2920
cm-1付近にメチレン基に帰属されるピークも観測され、
Si-CH2-Si結合が保存され、骨格内に存在する事が示さ
れた。また、図4に29Si-MAS NMR(59.70MHz)
の結果を示すが、−60ppm付近にSi−C結合の存
在を示すT3ピークが確認でき、−115ppm付近にQ
4ピーク、―105ppm付近にQ3ピークが観測され
る事から、BTESMのSi−C結合の一部が開裂し、
それにより生成した、有機基を持たないSi種もゼオラ
イト形成に寄与している事がわかる。更に、図5にSE
M像を示すが、MFI構造を持つゼオライトに見られる
coffin型の結晶形が見られた。
【0027】[実施例2]トリエチルメチルアンモニウ
ムブロミド(以下、TEMABr)4.9g、NaOH
1gを水45gに溶解させた。これにBTESM17g
を加え、室温で1時間攪拌を続けた。その後、BTES
Mの加水分解で生じたエタノールを水浴により加熱して
取り除いた。このようにしてできた母ゲルの組成は、BT
ESM:0.5TEMABr:0.5NaOH:50H2Oとなった。この母ゲルを
オートクレーブに仕込み、静置下140℃、20日間加
熱した。
【0028】生成物のXRDパターンを示す図6による
と、MFI構造に特有のピークが見られた。このサンプ
ルの窒素吸着測定の結果を図7に示すが、これより、こ
の物質はミクロ孔を持つ事がわかり、ゼオライト細孔内
に有機テンプレート(TEMA+)を含んでいないこと
がわかる。また13C-CP/MAS NMR(75.57MHz)の
結果もテンプレートに起因するピークは見られなかっ
た。CHN分析から、C含有量は1.93%であった。ま
た、図8に29Si-MAS NMR(59.70MHz)の結果を
示すが、−60ppm付近にSi−C結合の存在を示す
T3ピークが確認でき、−115ppm付近にQ4ピー
ク、―105ppm付近にQ3ピークが観測される事か
ら、BTESMのSi−C結合の一部が開裂し、それに
より生成した、有機基を持たないSi種もゼオライト形
成に寄与している事がわかる。更に、図9及び図10に
SEM像を示すが、MFI構造を持つゼオライトに見ら
れるcoffin型の結晶形が見られた。
【0029】[参考例1]20wt%テトラプロピルア
ンモニウムヒドロキシド水溶液47.2g(以下TPA
OHaq)を攪拌しながらケイ酸エチル(以下TEO
S)20.8gに加え、室温で1時間攪拌を続けた。そ
の後、TEOSの加水分解で生じたエタノールを水浴に
より加熱して取り除いた。このようにしてできた母ゲル
の組成は、2TEOS : 0.93TPAOH : 42H2Oとなった。この
母ゲルをオートクレーブに仕込み、攪拌しながら170
℃、20日間加熱した。生成物のXRDパターンを図1
1(Silicalite-1[下])に示すが、MFI構造に特有の
ピークが見られた。
【0030】[実施例3]20wt%テトラプロピルア
ンモニウムヒドロキシド水溶液47.2g(以下TPA
OHaq)を攪拌しながらBTESM17gに加え、室
温で1時間攪拌を続けた。その後、BTESMの加水分
解で生じたエタノールを水浴により加熱して取り除い
た。このようにしてできた母ゲルの組成は、BTESM : 0.
93TPAOH : 42H2Oとなった。この母ゲルをオートクレー
ブに仕込み、攪拌しながら170℃、20日間加熱し
た。生成物のXRDパターンを示す図11(organicall
y latticed zeolite[上])によると、MFI構造に特有
のピークが見られた。このピークは骨格内に有機基を持
たない参考例1で合成した通常のシリカライト1(図1
1(Silicalite-1[下]))に比べて、低角側にシフトし
ている。これは、シロキサン結合より大きな結合距離を
持つSi-CH2-Si結合が骨格内に存在するためにユニット
セルサイズが大きくなったためと考えられる。
【0031】また、図12に29Si-MAS NMR(59.70
MHz)の結果を示すが、−60ppm付近にSi−C
結合の存在を示すT3ピークが確認でき、−112ppm
付近にQ4ピーク、―102ppm付近にQ3ピークが
観測される事から、BTESMのSi−C結合の一部が
開裂し、それにより生成した、有機基を持たないSi種
もゼオライト形成に寄与している事がわかる。更に、13
C-CP/MAS NMR(75.57MHz)の結果を図13に示
すが、ここでもSi−C結合を持つCに帰属されるピー
クが0ppm付近に確認できた。
【0032】[実施例4]アルミン酸ナトリウム8.5
g、NaOH9gを水120gに溶解させた。これにビ
スBTESM17gを加え、室温で1時間攪拌を続け
た。その後、BTESMの加水分解で生じたエタノール
を水浴により加熱して取り除いた。このようにしてでき
た母ゲルの組成は、0.963BTESM : Al2O3 : 3.165Na2O :
128H2Oとなった。この母ゲルをオートクレーブに仕込
み、静置下100℃、14日間加熱した。生成物のXRD
パターンを示す図14によると、LTA構造に起因するX
RDパターンが得られた。また、図15に骨格に有機基
を含まない市販のLTAゼオライトとの比較のXRDを
示す。ここでも実施例3と同様に、ピーク位置に低角側
へのシフトが見られSi-CH2-Si結合が骨格内に存在する
事を示している。また、図16に29Si-MAS NMR(59.
70MHz)の結果を示すが、ここでも−50ppm付
近にSi−C結合の存在を示すT3ピークが確認できた。
【0033】また、DD/MAS 13C-NMR(75.57 MHz)をパ
ルスディレイ300秒で測定したところ、CH2基のピー
クとCH3基のピークとの重ね合わせになっていることが
わかった。CH2基のピークとCH3基のピークとをカーブフ
ィッティングによって分離したところ、Si-CH2-Si結合
が全体のCの約60%含まれていることがわかった。な
お、カーブフィティングを行うために、CH2基をTorchia
法(スピン格子緩和時間測定法のひとつ)を用いて測定
し、CH3基をDipolar Dephasing法を用いて測定した。
【0034】[実施例5]アルミン酸ナトリウム4.8
g、NaOH5gを水68gに溶解させた。これにBT
ESM1.9gとTEOS9.2gを混合したものを加
え、室温で12時間攪拌を続けた。その後、BTESM
の加水分解で生じたエタノールを水浴により加熱して取
り除いた。このようにしてできた母ゲルの組成は、0.19
BTESM : 1.54TEOS : Al2O3 : 3.165Na2O : 128H2Oとな
った。この母ゲルをオートクレーブに仕込み、静置下1
00℃、3日間加熱した。生成物のXRDパターンを示す
図17によると、LTA構造に起因するXRDパターンが
得られた。また、13C-CP/MAS NMR(75.57MHz)
の結果を図18に示すが、ここでもSi−C結合を持つ
Cに帰属されるピークが0ppm付近に確認できた。
【0035】[実施例6]35wt%テトラエチルアン
モニウムヒドロキシド水溶液(以下TEAOHaq)21g、
アルミン酸ナトリウム0.82g、NaOH0.24g
およびKOH0.20gを水8gに溶解させた。これに
BTESM3.4g、TEOS16.64gを加え、室
温で2時間攪拌した。その後、BTESM、TEOSの
加水分解で生じたエタノールを水浴により70℃に加熱
して取り除き、Siに換算して5mol%に相当する量のベ
ータ型ゼオライト(SiO2/Al2O3=25)を種結晶として加
えた。このようにして得られた母ゲルの組成は、20Si :
Al2O3 : 1.6Na2O : 0.36K2O: 5.0(TEA) 2O : 240H2Oと
なった。この母ゲルをオートクレーブに仕込み、静置下
100℃、48日間加熱した。生成物のXRDパターンを
示す図21によると、BEA構造に起因するXRDパター
ンが得られた。また、29Si MAS NMR(59.70MH
z)の結果を図22に示すが、−60ppm付近にSi
−C結合を持つCに帰属されるT3ピークが確認され、全
Si結合中のSi−C結合の割合であるT/(Q+T)
は6.6%であった。 [実施例7]ベータ型ゼオライト(SiO2/Al2O3=25)を
種結晶として加えなかった以外は実施例6と同一の条件
で実施したところ、ゼオライトは生成しなかった。
【0036】[実施例8]35wt%TEAOHaq21g、
アルミン酸ナトリウム0.33g、NaOH0.004
g、KOH0.005g、NaCl0.069gおよび
KCl0.19gを水13.4gに溶解させた。これに
BTESM3.4g、TEOS16.64gを加え、室
温で3時間攪拌した。その後、BTESM、TEOSの
加水分解で生じたエタノールを水浴により70℃に加熱
して取り除いた。このようにして得られた母ゲルの組成
は、50Si : Al2O3 : 1.3Na2O : 0.69K2O : 12.5(TEA) 2
O :750H2O : 1.9HClとなった。この母ゲルをオートクレ
ーブに仕込み、静置下130℃、6日間加熱した。生成
物のXRDパターンを示す図23によると、BEA構造に
起因するXRDパターンが得られた。また、29Si MAS N
MR(59.70MHz)の結果を図24に示すが、−6
0ppm付近にSi−C結合を持つCに帰属されるT3
ークが確認され、全Si結合中のSi−C結合の割合で
あるT/(Q+T)は約2%であった。
【0037】[実施例9]BTESM3.4g、TEO
S16.64gに35wt%TEAOHaq22.7gを加え
室温で8時間攪拌した後、BTESM、TEOSの加水
分解で生じたエタノールを水浴により70℃に加熱して
取り除き、12.5%フッ化水素水8.6gを加えた。
このようにして得られた母ゲルの組成は、1.85Si : TEA
OH : HF :20H2Oとなった。この母ゲルをオートクレー
ブに仕込み、攪拌下140℃、8日間加熱した。生成物
のXRDパターンを示す図25によると、BEA構造に起
因するXRDパターンが得られた。また、29Si MAS NMR
(59.70MHz)の結果を図26に示すが、−60
ppm付近にSi−C結合を持つCに帰属されるT3ピー
クが確認され、全Si結合中のSi−C結合の割合であ
るT/(Q+T)は約10%であった。該生成物を70
℃の1M塩酸エタノール溶液で18時間処理し、TEAOH
を抽出した。同じ条件で抽出を3回行った後、該生成物
の元素分析を行ったところ、C:1.54%、H:0.
37%、N:0.08%となり、テンプレートであるTE
AOHが該抽出処理によりほぼ抽出できたと判断される。
【0038】[実施例10]35wt%TEAOHaq15.
4gにNaOH0.29gを溶解させた。これにBTE
SMを3.4g、TEOS16.64g加えて30分攪
拌した後、硫酸アルミニウムを2.3g加えて溶解させ
た。室温で2時間攪拌した後水浴により80℃に加熱し
て、BTESM、TEOSの加水分解で生じたエタノー
ルと、水を取り除き、乾燥ゲルを得た。ここにSiに換算
して3.3mol%に相当する量のベータ型ゼオライト(SiO2
/Al2O3=25)を種結晶として加えた。このようにして得
られた母ゲルの組成は、30Si : Al2O3 : 1.1Na2O : 11.
0TEAOHとなった。この母ゲルを水蒸気存在下、静置下1
70℃、4日間加熱した。生成物のXRDパターンを示
す図27によると、BEA構造に起因するXRDパターン
が得られた。また、29Si MAS NMR(59.70MHz)
の結果を図28に示すが、−60ppm付近にSi−C
結合を持つCに帰属されるT3ピークが確認され、全Si
結合中のSi−C結合の割合であるT/(Q+T)は約
6%であった。
【0039】
【発明の効果】本発明による、骨格内に特定の構造単位
で示される有機基を含む新規なゼオライトを用いること
により、吸着剤、分離材、触媒、機能材料としてこれま
でにない新たな性能を提供することが可能となり、工業
的な利用価値が高いものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1で得られた生成物のXRDパ
ターンを示す図である。
【図2】本発明の実施例1で得られた生成物の窒素吸収
測定結果を示す図である。
【図3】本発明の実施例1で得られた生成物のIRスペ
クトルを示す図である。
【図4】本発明の実施例1で得られた生成物の29Si-
MAS NMRスペクトルを示す図である。
【図5】本発明の実施例1で得られた生成物のSEM像
を示す図である。
【図6】本発明の実施例2で得られた生成物のXRDパ
ターンを示す図である。
【図7】本発明の実施例2で得られた生成物の窒素吸収
測定結果を示す図である。
【図8】本発明の実施例2で得られた生成物の29Si-
MAS NMRスペクトルを示す図である。
【図9】本発明の実施例2で得られた生成物のSEM像
を示す図である。
【図10】本発明の実施例2で得られた生成物を別の視
野で測定した場合のSEM像を示す図である。
【図11】本発明の実施例3及び参考例1で得られた生
成物のXRDパターンを示す図である。
【図12】本発明の実施例3で得られた生成物の29Si
-MAS NMRスペクトルを示す図である。
【図13】本発明の実施例3で得られた生成物の13C-
CP/MAS NMRスペクトルを示す図である。
【図14】本発明の実施例4で得られた生成物のXRD
パターンを示す図である。
【図15】市販のLTAゼオライトのXRDパターンを
示す図である。
【図16】本発明の実施例4で得られた生成物の29Si
-MAS NMRスペクトルを示す図である。
【図17】本発明の実施例5で得られた生成物のXRD
パターンを示す図である。
【図18】本発明の実施例5で得られた生成物の13C-
CP/MAS NMRスペクトルを示す図である。
【図19】本発明の実施例6で得られた生成物のXRD
パターンを示す図である。
【図20】本発明の実施例6で得られた生成物の29Si-M
AS NMRスペクトルを示す図である。
【図21】本発明の実施例8で得られた生成物のXRD
パターンを示す図である。
【図22】本発明の実施例8で得られた生成物の29Si-M
AS NMRスペクトルを示す図である。
【図23】本発明の実施例9で得られた生成物のXRD
パターンを示す図である。
【図24】本発明の実施例9で得られた生成物の29Si-M
AS NMRスペクトルを示す図である。
【図25】本発明の実施例10で得られた生成物のXR
Dパターンを示す図である。
【図26】本発明の実施例10で得られた生成物の29Si
-MAS NMRスペクトルを示す図である。

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 骨格内に下記式(I)の構造単位を少な
    くとも一つ有するゼオライト。 【化1】 (式(I)中、Xは 炭素数1から10の置換又は非置
    換の二価の基を表す。)
  2. 【請求項2】 式(I)中のXが、アルキレン、アルケ
    ニレン、アルカジエニレンから選ばれる脂肪族基である
    請求項1に記載のゼオライト。
  3. 【請求項3】 式(I)中のXが、メチレン基である請
    求項1又は2に記載のゼオライト。
  4. 【請求項4】 ゼオライトの骨格構造がMFIである請
    求項1〜3のいずれかに記載のゼオライト。
  5. 【請求項5】 ゼオライトの骨格構造がLTAである請
    求項1〜3のいずれかに記載のゼオライト。
  6. 【請求項6】 ゼオライトの骨格構造がMORである請
    求項1〜3のいずれかに記載のゼオライト。
  7. 【請求項7】 水及び下記式(II)で表される有機珪素化
    合物を水熱合成反応させることにより請求項1〜6のい
    ずれかに記載のゼオライトを製造する方法。 【化2】 (式(II)中、R1 〜R6 は、アルコキシ、アリロキシ
    及びハロゲンから選ばれる基である。)
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