JP2002209600A - 胃ガンを診断および処置する方法 - Google Patents

胃ガンを診断および処置する方法

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JP2002209600A
JP2002209600A JP2000393846A JP2000393846A JP2002209600A JP 2002209600 A JP2002209600 A JP 2002209600A JP 2000393846 A JP2000393846 A JP 2000393846A JP 2000393846 A JP2000393846 A JP 2000393846A JP 2002209600 A JP2002209600 A JP 2002209600A
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チャン−ジェン フアン
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チュー−ウン ウ
Chin-Wen Chi
チン−ウェン チ
Juu-Yuan Chen
ジュー−ユアン チェン
Rin-Yan Chan
リン−ヤン チャン
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 胃ガンを有効かつ簡便に診断および/または
処置する方法を提供すること。 【解決手段】 被験体が、胃ガンの危険性にあるか否か
を決定する方法であって、該方法は以下の工程:被験体
からの生物学的サンプルにおけるGISPのレベルを決
定する工程;および該測定されたレベルと、GISP発
現の閾値レベルとを比較する工程を包含し、ここで、該
閾値レベルよりも上の、該生物学的サンプルにおけるG
ISP発現のレベルが、該被験体が胃ガンの危険性にあ
ることを示す、方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、胃ガンの診断およ
び処置のための方法に関する。
【0002】
【従来の技術】胃ガンは、世界において二番目に最も一
般的なガンであり、そして日本、韓国朝鮮のような極東
諸国およびインドにおいて非常に蔓延している。胃ガン
はまた、台湾において第四位のガン関連の死因である。
およそ40%の患者のみが、胃ガンのための治癒的であ
る可能性のある手術を受け入れ、そして胃ガン患者の5
年生存率は貧弱である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、胃ガンの診
断および処置のための方法を提供することを目的とす
る。
【0004】
【発明を解決するための手段】(発明の要旨)本発明
は、被験体における胃腸分泌タンパク質(GISP)発
現のレベルが胃ガンの危険性と相関するという発見に基
づく。従って、GISP発現を使用して、被験体に胃ガ
ンの危険性があるか、またはその被験体が胃ガンである
か否かを推測し得る。
【0005】従って、本発明は、被験体に胃ガンの危険
性があるか否かを決定する方法を特徴とする。この方法
は、被験体からの生物学的サンプルにおけるGISP発
現のレベルを決定する工程;およびこの決定されたレベ
ルと、GISP発現の閾値レベルとを比較する工程を包
含する。この閾値レベルよりも上の、この被験体におけ
るGISP発現のレベルは、胃ガンの危険性を示す。
【0006】本発明の方法を実施する場合、GISP発
現のレベルは、その生物学的サンプルにおけるGISP
タンパク質の量によって決定され得る。そして、閾値レ
ベルは、罹患していない被験体(すなわち、健常な被験
体)において決定されたGISPタンパク質の量であり
得る。罹患していない被験体は、充分な期間の間(例え
ば、少なくとも6ヵ月、9ヶ月、12ヵ月、18ヶ月、
24ヶ月、30ヶ月、36ヶ月またはそれより多い月
数)胃ガンを有しておらず、かつ、胃ガンを発生してい
ない被験体である。GISPタンパク質の量は、任意の
適切なアッセイ(例えば、抗GISP抗体を用いること
によって、例えば、酵素連結免疫吸着アッセイ(ELI
SA)、放射免疫アッセイ(RIA)、ウェスタンブロ
ットまたは免疫組織化学方法において)を用いることに
よって決定され得る。あるいは、GISP発現のレベル
は、生物学的サンプル中のGISP mRNAの量によ
って決定され得る。そして、閾値レベルは、罹患してい
ない被験体(例えば、充分な期間の間(例えば、少なく
とも6ヵ月、9ヶ月、12ヵ月、18ヶ月、24ヶ月、
30ヶ月、36ヶ月またはそれより多い月数)胃ガンを
有しておらず、かつ、胃ガンを発生していない被験体)
において決定された、GISP mRNAの量であり得
る。GISP cDNAのヌクレオチド配列が公知であ
る(例えば、米国特許第5,837,841号を参照の
こと)ことから、GISP mRNAの量は、任意の適
切なアッセイ(例えば、ノーザンブロッティング、RT
−PCR、またはバイオチップ)を用いて容易に決定さ
れ得る。本発明の方法における使用のために適切な生物
学的サンプルとしては、胃の腫瘍由来の固形組織サンプ
ル、排泄物、ならびに消化液および血液のような流体が
挙げられる。
【0007】GISP発現の閾値レベルは、例えば、胃
ガンを有する被験体におけるGISP発現を、被験体の
60%以上(例えば、少なくとも約60%、70%、7
5%、80%、85%、90%または95%)が充分な
期間の間(例えば、少なくとも6ヵ月、9ヶ月、12ヵ
月、18ヶ月、24ヶ月、30ヶ月、36ヶ月またはそ
れより多い月数)、胃ガンを発生していない被験体に対
して比較することによって決定され得る。危険性のある
群に入らないかまたは内包されるかについての発現の閾
値レベルは、胃ガンを発生していない被験体の所定のレ
ベルを達成するように設定され得る。好ましくは、胃ガ
ンの危険性にある被験体は、閾値レベルよりも少なくと
も約10%、20%、または40%大きいGISP発現
レベルを有する。
【0008】本発明の方法は、被験体が胃ガンを発生す
る危険性を予測する手段および胃ガンを有する被験体を
同定する手段を提供する。従って、本発明は、その被験
体およびその被験体の健康管理の提供者に予後的情報を
提供して、より充分な情報に基づく医療上の決定が行わ
れることを確実にする。
【0009】別の局面において、本発明は、胃ガンを処
置するための化合物の有効性を決定する方法を特徴とす
る。この方法は、胃ガン細胞と、化合物とを接触させる
工程、およびその化合物との接触の前と後とで、その胃
ガン細胞によるGISP発現のレベルを比較する工程を
包含する。その化合物と接触させた後のGISP発現の
レベルの減少は、この化合物が胃ガンを処置するに有効
であることを示す。胃ガンを処置する化合物の有効性
は、インビトロまたはインビボで評価され得る。
【0010】本発明の方法がインビトロで実施される場
合、胃ガン細胞は、胃ガン細胞株に由来し得る。適切な
胃ガン細胞株の例としては、AGS細胞株、KATO
III細胞株、SNU−16細胞株、RF−48細胞
株、NCI−N87細胞株、NUGC細胞株、およびA
Z−521細胞株が挙げられる。あるいは、この胃ガン
細胞は、胃ガンを有する動物において存在し得る。例え
ば、この化合物は、胃ガンを有する動物に投与され得、
そして投与後のGISP発現のレベルを、投与前の動物
におけるGISP発現レベルと比較し得る。この動物に
おけるGISP発現レベルは、インビボまたはインビト
ロで決定され得る。例えば、GISPレベルは、インビ
トロで、その動物からの生物学的サンプル(例えば、腫
瘍からの固形組織サンプル、排泄物、血液または消化
液)を、その化合物の投与前および投与後の両方で入手
することによって、検出され得る。動物におけるGIS
P発現レベルを決定する他の方法が本明細書において記
載される。ヒトの胃ガン腫組織を正常位に移植した胃ガ
ンの種々の動物モデル(例えば、SCIDマウス)が使
用され得る。
【0011】その化合物が、胃ガンを処置する能力は、
胃ガンを有する動物にその化合物を投与する工程、およ
び腫瘍の大きさ、成長または転移の可能性に対するその
化合物の効果を決定する工程によって、インビボで確認
され得る。
【0012】詳細には、本発明は以下を提供する。
【0013】一つの局面において、本発明は被験体に胃
ガンの危険性があるか否かを決定する方法を提供する。
この方法は以下の工程:被験体からの生物学的サンプル
におけるGISP発現のレベルを決定する工程;および
該レベルと、GISP発現の閾値レベルとを比較する工
程であって、該閾値レベルよりも上の、該生物学的サン
プルにおけるGISP発現のレベルが、該被験体に胃ガ
ンの危険性があることを示す、工程を包含する。
【0014】一つの実施態様において、GISPの発現
はGISP mRNAのレベルを決定することによって
評価され得る。
【0015】別の実施態様において、上記GISP m
RNAのレベルは、上記mRNAにハイブリダイズする
核酸プローブを用いて決定され得る。
【0016】別の実施態様において、上記GISP m
RNAのレベルが、PCRを用いて決定される。
【0017】他の実施態様において、上記GISP発現
のレベルは、GISPタンパク質のレベルを決定するこ
とによって評価され得る。
【0018】他の実施態様において、上記GISPタン
パク質発現のレベルは、上記タンパク質に結合する抗体
を用いて決定され得る。
【0019】別の局面において、本発明は、胃ガンを処
置するための化合物の有効性を決定する方法を提供す
る。この方法は、以下の工程:胃細胞と化合物とを接触
させる工程;および上記接触させる工程の前と後とで、
上記胃ガン細胞により発現されるGISPのレベルを比
較する工程であって、ここで、GISP発現のレベルの
減少は、上記化合物が胃ガンを処置するに有効であるこ
とを示す、工程を包含する。
【0020】一つの実施態様において、上記胃細胞は、
胃ガン細胞株に由来し得る別の実施態様において、上記
胃細胞は、胃腫瘍を有する動物内に存在し得る。
【0021】別の実施態様において、本発明の方法は、
さらに、投与の後の上記動物における上記胃腫瘍の大き
さと、上記投与前の上記胃腫瘍大きさとを比較する工程
を包含し得る。
【0022】別の実施態様において、上記GISP発現
のレベルは、GISP mRNAのレベルを決定するこ
とによって評価され得る。
【0023】別の実施態様において、上記GISP m
RNAのレベルは、上記mRNAにハイブリダイズする
核酸プローブを用いて決定され得る。
【0024】別の実施態様において、上記GISP m
RNAのレベルは、PCRを用いて決定され得る。
【0025】他の実施態様において、上記GISP発現
のレベルは、GISPタンパク質のレベルを決定するこ
とによって評価され得る。
【0026】他の実施態様において、上記GISPタン
パク質のレベルは、上記タンパク質に結合する抗体を用
いて決定され得る。
【0027】他の局面において、本発明は、胃ガンを有
する被験体を処置する方法を提供する。この方法は以下
の工程:GISPインヒビターを、胃ガンを処置するに
充分な量で、上記被験体に投与する工程、を包含する。
【0028】本発明の他の特徴または利点は、以下の詳
細な説明から、および上記特許請求の範囲からもまた明
白である。
【0029】
【発明の実施の形態】(発明の詳細な説明)本発明は、
胃ガンを発症する危険性の決定因子としてGISP発現
を用いた予知医療および胃ガンの決定因子としてGIS
Pを使用する診断医療に関する。本発明の範囲内にある
と意図されるのは、患者の状態および予後を評価するた
めに、薬理遺伝学プロトコル(例えば、バイオチップを
用いる)の一部として、GISP発現分析を実行するこ
とである。
【0030】細胞におけるGISP遺伝子に対応するm
RNAのレベルは、インサイチュまたはインビトロの形
式で決定され得る。
【0031】GISP mRNAのプローブは、ハイブ
リダイゼーションアッセイまたは増幅アッセイにおいて
使用され得る。これらのアッセイとしては、以下が挙げ
られるがそれらに限定されない:サザン分析、ノーザン
分析、ポリメラーゼ連鎖反応分析、およびプローブアレ
イ。mRNAレベルの検出のための1つの診断方法は、
そのmRNAを、検出される遺伝子によってコードされ
るmRNAにハイブリダイズし得る核酸分子(プロー
ブ)と接触させる工程を包含する。この核酸プローブ
は、例えば、全長GISP核酸またはその一部(例え
ば、少なくとも7、10、15、30、50、100、
250または500ヌクレオチド長のオリゴヌクレオチ
ド)であり得、そしてGISP mRNA、cDNAま
たはその一部に対して、ストリンジェントな条件下で特
異的にハイブリダイズするに充分であり得る。本明細書
において使用される用語「ストリンジェントな条件下で
ハイブリダイズする」とは、ハイブリダイゼーションお
よび洗浄についての条件を記載する。ストリンジェント
な条件は、当業者に公知であり、そしてCurrent
Protocols in Molecular Bi
ology、JohnWiley & Sons、N.
Y.(1989)、6.3.1.−6.3.6.に見出
され得る。このプローブは、検出可能な試薬で標識され
て、そのプローブの同定を容易にし得る。有用な試薬と
しては以下が挙げられるがそれらに限定されない:放射
能、蛍光色素または検出可能な産物を触媒し得る酵素。
【0032】1つの形式において、例えば、単離された
mRNAをアガロースゲルに泳動し、そしてそのmRN
Aを、そのゲルからメンブレン(例えば、ニトロセルロ
ース)に転写することによって、mRNA(またはcD
NA)は、表面に固定され、そしてプローブと接触され
る。別の形式において、そのプローブは、例えば、二次
元遺伝子チップアレイにおいて、表面に固定され、そし
てそのmRNA(またはcDNA)は、そのプローブに
接触される。当業者は、公知のmRNA検出方法を、G
ISP遺伝子によってコードされるmRNAのレベルを
検出するにおける使用について適応させ得る。
【0033】GISP核酸によってコードされるサンプ
ルにおけるmRNAのレベルは、核酸増幅(例えば、R
T−PCR(米国特許第4,683,202号)、リガ
ーゼ連鎖反応(Barany,Proc.Natl.A
cad.Sci.USA 88:189−193、19
91)、自己維持型(self−sustained)
配列複製(Guatelliら、Proc.Natl.
Acad.Sci.USA 87:1874−187
8,1990)、転写増幅系(Kwohら、Proc.
Natl.Acad.Sci.USA 86:1173
−1177、1989)、Qβレプリカーゼ(Liza
rdiら、Bio/Technology6:119
7,1988)、ローリングサークル複製(米国特許第
5,854,033号)、または他の任意の核酸増幅方
法)に続いて、増幅された分子の検出を当該分野で公知
の技術を用いて行うことによって評価され得る。本明細
書において使用される「増幅プライマー」とは、遺伝子
の5’側領域または3’側領域(それぞれ、プラス鎖お
よびマイナス鎖またはその逆)にアニールし得、そして
その間に短い領域を含み得る核酸分子の対であると定義
される。一般に、増幅プライマーは、約10〜約30ヌ
クレオチド長であり、そして約50〜約200ヌクレオ
チド長の領域に隣接する。適切な条件下および適切な試
薬を用いて、そのようなプライマーは、そのプライマー
に隣接するヌクレオチド配列を含む核酸分子の増幅を可
能にする。
【0034】インサイチュ方法について、細胞または組
織のサンプルを調製/処理し得、そして支持体(代表的
には、ガラススライド)に固定し得、次いで、分析され
るGISP遺伝子をコードするmRNAとハイブリダイ
ズし得るプローブと接触され得る。
【0035】別の実施態様において、この方法は、さら
に、GISP mRNAまたはcDNAを検出し得る化
合物もしくは因子とコントロールサンプルとを接触させ
る工程、およびそのコントロールサンプルにおけるGI
SP mRNAもしくはcDNAの存在と、その試験サ
ンプルにおけるGISP mRNAもしくはcDNAの
存在とを比較する工程を包含する。
【0036】種々の方法を使用して、GISP遺伝子に
よってコードされるタンパク質のレベルを決定し得る。
一般に、これらの方法は、そのタンパク質に選択的に結
合する因子(例えば、抗体)を、サンプルと接触させ
て、そのサンプル内のタンパク質のレベルを評価する工
程を包含する。1つの実施態様において、この抗体は検
出可能な標識を有する。抗体は、ポリクローナルまたは
モノクローナルであり得る。インタクトな抗体またはそ
のフラグメント(例えば、FabまたはF(a
b’)2)が使用され得る。プローブまたは抗体に関し
て、用語「標識された」とは、そのプローブまたは抗体
に対して検出可能な物質を連結(すなわち、物理的に連
結)することによってそのプローブまたは抗体を直接標
識すること、ならびに、検出可能な物質との反応性によ
って、そのプローブまたは抗体を間接的に標識すること
を包含することが意図される。
【0037】この検出方法を使用して、インビトロおよ
びインビボで、生物学的サンプルにおけるGISPタン
パク質を検出し得る。GISPタンパク質の検出のため
のインビトロ技術としては、以下が挙げられる:酵素結
合免疫吸着アッセイ(ELISA),免疫沈降法、免疫
蛍光法、酵素免疫アッセイ(EIA)、放射免疫アッセ
イ(RIA)およびウェスタンブロット分析。GISP
タンパク質の検出のためのインビボ技術としては以下が
挙げられる:被験体への標識されたGISP抗体の導
入。例えば、この抗体は、被験体におけるその存在およ
び位置が標準的な造影技術によって検出可能である放射
性マーカーを用いて標識され得る。
【0038】別の実施態様において、この方法は、さら
に、そのコントロールサンプルと、GISPタンパク質
を検出し得る化合物もしくは因子とを接触させる工程、
およびそのコントロールサンプルにおけるGISPタン
パク質の存在と、その試験サンプルにおけるGISPタ
ンパク質の存在とを比較する工程を包含する。
【0039】本発明は、さらに、胃ガンを処置するため
の化合物(すなわち、候補または試験化合物)の有効性
を決定するための方法(本明細書において「スクリーニ
ングアッセイ」ともいう)を提供する。試験され得る候
補化合物の例としては、タンパク質、ペプチド、ペプチ
ド模倣物、ペプトイド、核酸、低分子または他の薬物
(これらは、GISP発現に対して阻害効果を有する)
が挙げられる。
【0040】GISP発現のインヒビターは、公知の方
法により同定され得る。例えば、胃ガン細胞は、候補化
合物と接触され得、そしてGISPのmRNAまたはタ
ンパク質の発現は、その候補化合物の非存在下で、GI
SPのmRNAまたはタンパク質の発現レベルと比較し
て評価され得る。GISPのmRNAまたはタンパク質
の発現が、その候補化合物の非存在下よりも、その候補
化合物の存在下で、より少ない(統計的に有意に少な
い)場合、その候補化合物は、胃ガンの処置において有
効であり得る、GISPのmRNAまたはタンパク質の
発現のインヒビターと同定される。GISPのmRNA
またはタンパク質の発現のレベルは、GISPのmRN
Aまたはタンパク質を検出するために本明細書中に記載
される方法によって決定され得る。
【0041】GISPのインヒビターは、上記のアッセ
イを用いて同定され得る。そして、そのGISPインヒ
ビターが胃ガンを処置する能力は、例えば、胃ガンにつ
いての動物モデルのような動物においてインビボで確認
され得る。例えば、胃の腫瘍の大きさ、成長および/ま
たは転移の可能性に対するその化合物の効果が評価され
得る。胃ガンについての動物モデルは、例えば、ヒトの
胃ガン腫組織を移植したSCIDマウスであり得る。
【0042】本発明はまた、胃ガンを有する被験体を処
置する方法を特徴とする。この方法は、胃ガンを有する
被験体に胃ガンを処置するに十分な量でGISPインヒ
ビターを投与する工程を包含する。このGISPインヒ
ビターは、本明細書において記載されるスクリーニング
方法によって同定される任意の化合物であり得る。GI
SP発現に対する阻害効果についてスクリーニングされ
得る候補化合物の例としては、タンパク質、ペプチド、
ペプチド模倣物、ペプトイド、核酸、抗体、および低分
子が挙げられる。このような化合物は、薬学的組成物に
取り込まれ得る。そのような組成物は、代表的に、核
酸、タンパク質、抗体または低分子および薬学的に受容
可能なキャリアを含む。薬学的に受容可能なキャリアと
しては、溶媒、分散媒、コーティング、抗細菌剤、抗真
菌剤、等張剤、および吸収遅延剤など(これらは、薬学
的投与の経路に適合性である)が挙げられる。
【0043】
【実施例】(実施例I:GISP遺伝子配列の同定)B
LASTサーバープログラム(バージョン20.4)
を、NationalCenter for Biol
ogical Information(NCBI)、
National Institute of Hea
lth、USAから入手し、そしてSGI origi
n 200サーバーにローカルに確立した。デフォルト
のBLASTパラメータを分析に用いた(e=10、v
=50、b=50およびw=0)。ヒトおよびマウスの
dbESTデータベースを入手し、そして遺伝子同定に
使用した。ヒトのリソスタチン(lithostath
ine)およびPAPタンパク質の配列を、検索問合せ
として用いてヒトdbESTデータベースに対するtb
lastn検索を行い、そして有意なEST配列を、M
acVectorプログラムを用いてアセンブルした。
配列の整列および系統樹分析をCLUSTAL Xおよ
びPHYLIPのコンピュータプログラムを、Powe
rMac G3システム上で用いて行った。
【0044】(実施例II:RT−PCRによるヒトG
ISP遺伝子の分子クローニング)データベースの調査
によるGISP遺伝子の同定の後、PCRプライマー対
を、アセンブルしたヌクレオチド配列から設計した。c
DNAを、ヒト胃ガン細胞株から、Linら、J.Bi
omed.Sci.5:101−110,1998およ
びLinら、Clin.Cancer res.5:1
745−1751,1999に記載されるように調製し
た。簡潔には、逆転写を、2μgの総mRNA、オリゴ
(dT)15およびMMLV逆転写酵素(Promega
(Madison,WI)から入手した)を用いて行っ
た。RT産物の質を、アガロースゲル電気泳動およびG
APDH特異的プライマーを用いたPCR反応により検
査した。PCRプライマーを用いて、gap両域を増幅
した。このPCR反応を、Perkin Elmer
2400 PCRサーモサイクラーおよびTakara
Taqポリメラーゼ(日本、滋賀県)を用いて、94℃
で5分間、94℃を15秒間、58℃を30秒間、およ
び70℃を2分間を35サイクル行い、そして最後の伸
長期を72℃で10分間行った。最後のPCR産物を、
1%アガロースゲル電気泳動を用いて分析した。増幅さ
れたフラグメントを、そのゲルから溶出し、そしてpC
R2.1T/Aクローニングベクター(Invitro
gen(Carlsbad,CA)由来)中にサブクロ
ーニングした。クローニング手順の後、いくつかのクロ
ーンを、ランダムに選択し、精製し、そしてそれらの配
列を、ABI 377自動配列決定機によって決定し
た。
【0045】ヒトのGISP遺伝子の同定後、マウスE
ST配列を、その定向進化遺伝子について検索した。3
つの別個のクローンが同定された。これらのクローン
を、IMAGEコンソーシアムから得、そしてそれらの
配列を、ABI 377自動配列決定機により決定し
た。
【0046】(実施例III:RNA抽出)胃ガン組織
およびその正常胃粘膜組織を、胃切除を受けた患者から
得た。インフォームドコンセントを、全ての患者から得
た。検体を切除後液体窒素中で直ぐに凍結させた。総R
NAを胃ガンおよび正常粘膜組織から、直接グアニジン
イソチオシアネート溶解および塩化セシウム勾配分離方
法(Linら、Clin.Cancer res.5:
1745−1751,1999に記載される)によって
抽出した。RT−PCR実験を上記のように実施した。
【0047】(実施例IV:組織分布分析)組織発現お
よび組織分布の分析のために、複数の組織mRNAブロ
ット(MTN I−III)およびRNAヒトマスター
ブロットを、Clontech(Palo Alto、
CA)から得た。配列を確認したGISPクローンから
32P標識したフラグメントを、供給業者が推奨するハ
イブリダイゼーションプロトコルに従って、ハイブリダ
イゼーション反応について使用した。
【0048】GISPは、ヒトの膵臓、小腸、胃、およ
び結腸の組織において高度に発現する。さらに、GIS
Pは、ヒト胃ガン細胞株AGSにおいて過剰発現してい
た。図2を参照のこと。RT−PCR手順によるいくつ
かのヒト胃ガン組織の実験の後、正常胃上皮におけるよ
りも高いレベルのGISP発現が、ヒト胃ガン組織にお
いて見出された。図3を参照のこと。
【0049】さらなる説明がなくても、当業者は、上記
の開示および実施例に基づいて、本発明をその完全な範
囲にまで利用し得ると考えられる。上記実施例は、当業
者が本発明を実施し得る方法の単なる例示として考えら
れるべきであり、そしていかなる様式においてもその開
示の残りの部分を制限するものと考えられるべきではな
い。本開示において引用された全ての刊行物は、本明細
書において参考として援用される。
【0050】(発明の要旨)本発明は、被験体からの生
物学的サンプルにおけるGISP発現のレベルを決定す
ること;およびこのレベルをGISP発現の閾値レベル
と比較することによって、被験体に胃ガンの危険性があ
るか否かを決定する方法を特徴とする。その生物学的サ
ンプルにおけるGISP発現のレベルがその閾値レベル
より上であることは、その被験体に胃ガンの危険性があ
ることを示す。本発明はまた、胃ガンを処置するための
化合物の有効性を決定する方法および胃ガンを有する被
験体を処置する方法を特徴とする。
【0051】
【発明の効果】本発明によって、胃ガンを有効にかつ簡
便に診断および処置する方法およびそれを実現するため
の組成物、キットなどが提供され、胃ガンを従来に比し
て簡便にかつ効率よく診断および処置することが達成さ
れた。
【図面の簡単な説明】
【図1A】図1A〜Cは、ヒトGISPのアミノ酸配列
および核酸配列を示す。
【図1B】図1A〜Cは、ヒトGISPのアミノ酸配列
および核酸配列を示す。
【図1C】図1A〜Cは、ヒトGISPのアミノ酸配列
および核酸配列を示す。
【図2】図2は、種々の胃ガン細胞株におけるGISP
遺伝子発現のノーザンブロットを提供する。
【図3】図3は、5つの異なる対のヒト胃ガン組織(T
1〜T5)およびそれらに適合する隣接する正常粘膜組
織(N1〜N5)におけるヒトGISPのRT−PCR
発現を実証する。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G01N 33/53 G01N 33/566 33/566 (C12Q 1/68 A //(C12Q 1/68 C12R 1:91) C12R 1:91) C12N 15/00 ZNAA (71)出願人 500586738 128, Sec.2, Academia Road, Nan−Kang, Ta ipei, 115 Taiwan, R. O.C. (72)発明者 フアン チャン−ジェン 台湾台北 115, ナンカン, イェン− ジュ イェン ロード, セクション 2, ナンバー128 (72)発明者 ウ チュー−ウン 台湾台北, シー−パイ ロード, セク ション 2, ナンバー201 (72)発明者 チ チン−ウェン 台湾台北, シー−パイ ロード, セク ション 2, ナンバー201 (72)発明者 チェン ジュー−ユアン 台湾台北 115, ナンカン, イェン− ジュ イェン ロード, セクション 2, ナンバー128 (72)発明者 チャン リン−ヤン 台湾台北 115, ナンカン, イェン− ジュ イェン ロード, セクション 2, ナンバー128 Fターム(参考) 4B024 AA12 BA80 CA04 CA12 HA14 HA15 4B063 QA01 QA19 QQ03 QQ43 QQ53 QR08 QR33 QR36 QR42 QR56 QR77 QS25 QS34 QX02 4C084 AA14 AA17 NA14 ZA661 ZB261

Claims (16)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 被験体に胃ガンの危険性があるか否かを
    決定する方法であって、該方法は以下の工程:被験体か
    らの生物学的サンプルにおけるGISP発現のレベルを
    決定する工程;および該レベルと、GISP発現の閾値
    レベルとを比較する工程であって、該閾値レベルよりも
    上の、該生物学的サンプルにおけるGISP発現のレベ
    ルが、該被験体に胃ガンの危険性があることを示す、工
    程を包含する、方法。
  2. 【請求項2】 GISPの発現がGISP mRNAの
    レベルを決定することによって評価される、請求項1に
    記載の方法。
  3. 【請求項3】 前記GISP mRNAのレベルが、該
    mRNAにハイブリダイズする核酸プローブを用いて決
    定される、請求項2に記載の方法。
  4. 【請求項4】 前記GISP mRNAのレベルが、P
    CRを用いて決定される、請求項2に記載の方法。
  5. 【請求項5】 前記GISP発現のレベルが、GISP
    タンパク質のレベルを決定することによって評価され
    る、請求項1に記載の方法。
  6. 【請求項6】 前記GISPタンパク質発現のレベル
    が、該タンパク質に結合する抗体を用いて決定される、
    請求項5に記載の方法。
  7. 【請求項7】 胃ガンを処置するための化合物の有効性
    を決定する方法であって、該方法は、以下の工程:胃細
    胞と化合物とを接触させる工程;および該接触させる工
    程の前と後とで、該胃ガン細胞により発現されるGIS
    Pのレベルを比較する工程であって、ここで、GISP
    発現のレベルの減少は、該化合物が胃ガンを処置するに
    有効であることを示す、工程を包含する、方法。
  8. 【請求項8】 前記胃細胞が、胃ガン細胞株に由来す
    る、請求項7に記載の方法。
  9. 【請求項9】 前記胃細胞が、胃腫瘍を有する動物内に
    存在する、請求項7に記載の方法。
  10. 【請求項10】 さらに、投与の後の前記動物における
    前記胃腫瘍の大きさと、該投与前の該胃腫瘍大きさとを
    比較する工程、を包含する、請求項9に記載の方法。
  11. 【請求項11】 前記GISP発現のレベルが、GIS
    P mRNAのレベルを決定することによって評価され
    る、請求項7に記載の方法。
  12. 【請求項12】 前記GISP mRNAのレベルが該
    mRNAにハイブリダイズする核酸プローブを用いて決
    定される、請求項11に記載の方法。
  13. 【請求項13】 前記GISP mRNAのレベルがP
    CRを用いて決定される、請求項11に記載の方法。
  14. 【請求項14】 前記GISP発現のレベルが、GIS
    Pタンパク質のレベルを決定することによって評価され
    る、請求項7に記載の方法。
  15. 【請求項15】 前記GISPタンパク質のレベルが、
    該タンパク質に結合する抗体を用いて決定される、請求
    項14に記載の方法。
  16. 【請求項16】 胃ガンを有する被験体を処置する方法
    であって、該方法は以下の工程:GISPインヒビター
    を、胃ガンを処置するに充分な量で、該被験体に投与す
    る工程、を包含する、方法。
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