JP2002207035A - 腫瘍化細胞計数方法 - Google Patents

腫瘍化細胞計数方法

Info

Publication number
JP2002207035A
JP2002207035A JP2001002881A JP2001002881A JP2002207035A JP 2002207035 A JP2002207035 A JP 2002207035A JP 2001002881 A JP2001002881 A JP 2001002881A JP 2001002881 A JP2001002881 A JP 2001002881A JP 2002207035 A JP2002207035 A JP 2002207035A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
cells
scattered light
fluorescence
cell
normal
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2001002881A
Other languages
English (en)
Inventor
Shinichiro Kokuni
振一郎 小国
Toshihiro Mizukami
利洋 水上
Tomohisa Tsuji
智悠 辻
Yukio Hamaguchi
行雄 浜口
Kazuto Tsuruta
一人 鶴田
Ken Kamihira
憲 上平
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sysmex Corp
Original Assignee
Sysmex Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sysmex Corp filed Critical Sysmex Corp
Priority to JP2001002881A priority Critical patent/JP2002207035A/ja
Publication of JP2002207035A publication Critical patent/JP2002207035A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Abstract

(57)【要約】 【課題】 比較的安価にかつ、従来の血液分析装置で検
出できない可能性の高い腫瘍細胞を検出する方法を提供
する。 【解決手段】 血液試料に含まれる赤血球の影響を除去
し、正常白血球と腫瘍化細胞を蛍光染色し、次いで得ら
れた試料をフローサイトメーターに供して、個々の細胞
の散乱光と蛍光を測定し、これらのパラメータを2軸と
して、2次元分布を得、該2次元分布から、正常リンパ
球および腫瘍化細胞を含む領域を設定し、領域内に出現
した集団の散乱光および蛍光の変動係数を算出し、得ら
れた変動係数より腫瘍細胞を検出する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明が属する技術分野】本発明は、フローサイトメト
リによる腫瘍化細胞を測定する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に末梢血中に腫瘍化細胞が出現して
いるか否かの判断は市販の自動血液分析装置から得られ
る測定データ、顕微鏡を用いた白血球分類結果をもとに
行われる。さらに細胞表面の抗原(表面マーカー)検索
や腫瘍関連遺伝子の同定が実施された後、確定診断が行
われる。
【0003】正常な検体の白血球分類は近年自動血液分
類装置で実施されるようになってきたが、腫瘍化細胞が
出現した検体の白血球分類は現在においても顕微鏡で実
施されている。これは自動血球分類装置では形態的に異
常な腫瘍化細胞が出現していても十分に検出できないた
め、細胞形態観察をせざるを得ないのが現状である。一
方、pH感受性蛍光色素とフローサイトメータを用いて細
胞内pHを測定したところ、腫瘍化単核球の細胞内pHが正
常単核球に比し有意に高値を示した例が報告されてい
る。本検討ではpH感受性蛍光色素である5-(and-6)-carb
oxy SNARF-1-AMを用いて測定されている。しかしこの細
胞内pH測定方法は目的の細胞集団より得られる2種類の
波長の励起蛍光を別々に検出し、これらの比を算出した
後、予め作成した検量線よりpHを算出するという煩雑な
作業を要する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】顕微鏡による細胞形態
観察は、一般的に確立された方法として広く実施されて
いるが、検査に要する時間が長い、人件費がかかること
や、客観性に欠けるため技師・施設間差が大きいという
課題を有する。
【0005】また、表面マーカー検索や遺伝子同定にお
いても高価な分析装置、モノクローナル抗体、試薬類が
必要であり、また煩雑な手技を必要とするためコストの
低減が難しい。
【0006】以上の課題を改良するために、最近では異
常細胞検出能を有した自動血球分類装置が市販されてい
る(例えば、XE-2100:シスメックス株式会社)これら
の装置は血球計数以外にも、網状赤血球や有核赤血球、
幼若顆粒球、あるいは異型リンパ球など、細胞形態やRN
A量が正常細胞と異なるものを検出する機能を備えてい
る。このような機能は、特に白血病の検体において異常
細胞をスクリーニングするのに役立っている。
【0007】しかしながらこれらの自動血球分類装置
は、細胞の成熟度合いや大きさ、あるいは顆粒の状態な
どを捕らえているため、正常細胞と形態が類似している
異常細胞の検出は困難である。例えば慢性リンパ性白血
病のように末梢血中に成熟した腫瘍化細胞が出現してい
る場合などは正常細胞と異常細胞を弁別することはでき
ない。本発明は、比較的安価にかつ、従来の自動血液分
類装置で検出できない可能性の高い異常な細胞を検出す
ることを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明の腫瘍化細胞計数
法は、下記の工程からなることを特徴とする。 (1)血液試料に含まれる赤血球の影響を除去し、正常
白血球と腫瘍化細胞を染色に好適な状態にする工程。 (2)正常白血球と腫瘍化細胞の間に蛍光強度の差異を
生じる少なくとも一つの色素を加え、蛍光染色する工
程。 (3)次いで得られた試料をフローサイトメーターに供
して、個々の細胞の少なくとも1つの散乱光と1つの蛍
光を測定する工程。 (4)(3)で得られた個々の細胞の1つの散乱光と1
つの蛍光を2軸として、2次元分布を得る工程。 (5)2次元分布から、正常リンパ球および腫瘍化細胞
を含む領域を設定し、領域内に出現した集団の散乱光お
よび蛍光の変動係数を算出する工程。 (6)(5)で算出された変動係数より腫瘍細胞を検出
する工程。
【0009】
【発明の実施の形態】以下に上記課題を克服するための
方法の詳細を説明する。本発明での血液試料は、末梢血
液、骨髄液、尿、アフェレーシス等で採取した試料な
ど、白血球を含む体液試料を示す。
【0010】本発明での腫瘍化細胞とは、造血細胞が生
体の調整機構より逸脱し、無制限な増殖を自律的に行う
細胞(この状態を腫瘍化と呼ぶ)を指す。このような細
胞が出現する疾患には、白血病、悪性リンパ腫、骨髄異
型性症候群などがある。
【0011】本発明ではまず、血液試料を、まず白血球
を染色に好適な条件にし、かつ、測定の際に問題となる
赤血球の影響を除去する工程を行う。この工程は多くの
場合、白血球分離あるいは赤血球溶血を指す。腫瘍化細
胞の測定は、フローサイトメーターによる白血球測定と
同様に赤血球の影響を除去する必要がある。赤血球の影
響を除去する方法としては、白血球を損傷させないで測
定時の赤血球の影響を除去できる工程であれば、どのよ
うな方法であっても構わない。一般的に実施されている
方法として、遠心比重法による白血球および単核球の分
離液を利用した方法、塩化アンモニウムを主成分とする
白血球にほとんどダメージを与えない溶血剤を使用する
方法、血液を遠心分離しbuffy coatを直接回収する方
法、第一液にpH2〜4程度の酸性低張液、第二液にpH6〜8
程度の中性に戻すという酸性低張溶血による方法などが
これに該当する。
【0012】次に白血球を正常白血球と腫瘍化細胞の間
に蛍光強度の差異を生じる色素により染色する。この染
色は色素が細胞内に封入される条件であればどのような
方法であっても構わない。使用できる色素の例として
は、以下のものが挙げられる。
【0013】
【化6】 Astrazone Orange R(東京化成工業(株))
【0014】
【化7】 5-(and-6)-carboxy SNARF-1-AM(Molecular Probes,In
c.)
【0015】
【化8】 BCECF-AM(株式会社 同仁化学研究所)
【0016】
【化9】 Calcein-AM(株式会社 同仁化学研究所)
【0017】
【化10】 FDA(株式会社 同仁化学研究所) 蛍光色素は溶血剤に溶解させ、溶血剤と同時に白血球に
作用させて(混合させても)も良いし、適当な溶媒
(水、低級アルコール、エチレングリコール、DMSO、
等)に溶解したものを、赤血球の影響を除去する工程を
経た血液試料に添加しても良い。
【0018】染色条件は通常、室温〜37℃程度で、数十
秒から数十分程度で実施する。ただし色素が細胞内に封
入される条件であれば良く、特別な条件に限定されな
い。色素の濃度は使用する色素により異なるが、一般に
0.1〜100mg/L、好ましくは1〜10mg/L 、より好ましくは
3〜5mg/L 、である。なお、この濃度は血液試料と色素
溶液を混合した状態での濃度である。
【0019】これらの染色工程を経た細胞をフローサイ
トメーターにより測定し、1つの蛍光と前方低角散乱
光、前方高角散乱光および側方散乱光から選ばれる少な
くとも1つの散乱光より2軸のサイトグラム(2次元分
布)を得る。データ解析はこのサイトグラムに対して実
施される。
【0020】本発明でいう散乱光は、一般に市販される
フローサイトメータで測定できる散乱光を指し、前方低
角散乱光(受光角度の例として、0〜5度未満)、前方高
角散乱光(受光角度の例として、5〜20度未満)、側方
散乱光(受光角度、90度付近)などを指し、好ましくは
側方散乱光が選ばれ、この散乱光は細胞の核分葉度や顆
粒の状態を反映する。蛍光は細胞成分や細胞内に取り込
まれた蛍光色素から発せられるものであり、使用する色
素によって好適な受光波長が選択される。蛍光信号は主
に細胞の部位でも特に細胞質成分、細胞器官に分布した
蛍光色素から発せられ、この結果、細胞質量や細胞質/
核の構成比(N/C比)を反映するものと考えられる。ま
たpH感受性を有した蛍光色素では前述の内容に加え、細
胞内のpH変化により増減した蛍光信号変化も反映され
る。フローサイトメータの光源は特に限定されず、色素
の励起に好適な波長の光源が選ばれる。例えば、アルゴ
ンイオンレーザ、He-Neレーザ、赤色半導体レーザなど
が使用される。
【0021】本法で得られるサイトグラムパターンの例
を図1に示す。横軸は側方散乱光、縦軸は蛍光を示す。
各血球細胞は図中に示した集団位置に出現し、顆粒球、
単球、エリア(1)、エリア(2)を定めることができる。こ
の中でエリア(1)には有核細胞の中でもリンパ球が多く
出現し、エリア(2)には後述するように、形態異常を有
した細胞、あるいは細胞内代謝に異常を認める腫瘍細胞
が出現する。
【0022】発明者らが様々な細胞を使用し、上記測定
および解析を実施した結果、健常者の白血球細胞と腫瘍
化細胞より得られる1つの蛍光強度に有意な差を見いだ
した。腫瘍化細胞は正常白血球よりも強く染色され、フ
ローサイトメータで測定した場合強い蛍光を発する。こ
れは正常細胞と腫瘍化細胞の細胞構成成分量や細胞内代
謝の差異を1つの蛍光が反映していることによるものと
推測される。この染色の差異が生じる作用機序は、腫瘍
細胞のサイズ、あるいは細胞の細胞質/核の構成比(N/C
比)を反映すると考えられ、またpH感受性を有した蛍光
色素を使用して測定を実施した場合、前述した機序に加
え、腫瘍化細胞と正常細胞の間の活性化状態やあるいは
細胞内代謝の差異が加算され、さらに強い蛍光強度とし
て検出される。
【0023】例えば、図2および図3は本法により測定
した例であり、横軸に側方散乱光強度(SSC-Height)、縦
軸に前方散乱光強度(FSC-Height)を取り2次元のサイト
グラムで表現した結果である。図2は健常人より、図3
はATL患者より得た末梢血を測定した結果である。従来
より前方散乱光強度は細胞の大きさ情報を、側方散乱光
強度は内部情報を反映することが知られており、図3に
示したATL測定例では大型の腫瘍化細胞が出現している
ことが示唆される。しかし正常細胞と腫瘍細胞間の各散
乱光強度の差異は小さく、正常細胞と腫瘍細胞の弁別は
困難である。
【0024】図4および図5は本法により測定した例で
あり、横軸に側方散乱光強度(SSC-H)、縦軸に蛍光強度
(FL1-H)を取り2次元のサイトグラムで表現した結果で
ある。測定検体は前述した例で示した検体と同検体であ
り、図4は健常人より、図5はATL患者より得た末梢血
を測定した例である。
【0025】この結果より、正常細胞と腫瘍化細胞の蛍
光強度の差異は前述した前方散乱光強度に比し、非常に
大きいことがわかった。また複数の正常人および白血病
症例を同方法にて測定したところ、腫瘍細胞集団におけ
る蛍光変動係数(以下、FL-CV%)は著しく大きく、これ
に対し健常人のFL-CV%は検体間差をほとんど認めなかっ
た。
【0026】ここで言う変動係数とは一般的に統計計算
によって算出される値を示す。本発明ではゲート内に出
現した粒子の分布を数値化するパラメータとして用いて
いる。以下に例として蛍光変動係数の計算の方法を示
す。
【0027】まず、以下の式によって不偏分散を算出す
る。
【数1】
【0028】また変動係数(CV)は、以下の式で定義さ
れる。
【数2】
【0029】このような計算はフローサイトメーター装
置に付属した解析装置により容易に得ることができるこ
とが多い。
【0030】上記の結果より、例えば複数の正常人より
得た血液試料より蛍光強度や蛍光変動係数に対し適当な
閾値を設定することにより、腫瘍細胞を検出・計数する
ことが可能である。
【0031】本発明における細胞質を染色し蛍光を検出
する方法は散乱光よりも大きな信号を得ることができる
ため、細胞の異常を検出するためには非常に好都合であ
る。上記に記載した色素は細胞質を特異的に染色してお
り、サイトグラム上では大型の腫瘍細胞やN/C比が小さ
く細胞質成分が多い腫瘍細胞が正常細胞よりも高い位置
に出現するものと考えられる。また上記に記載した色素
の内、5-(and-6)-carboxy SNARF-1-AM、BCECF-AMはpH感
受性を有しており、pH上昇に伴い蛍光強度が増大する。
このため本発明の方法で上述した色素を用いた場合、細
胞内代謝変化に伴うpH変化が蛍光信号に反映され、前述
した細胞質量を反映した蛍光信号に加算された蛍光強度
として検出される。一般的に白血病腫瘍細胞内pHは正常
人白血球細胞に比し高いため、蛍光強度から正常細胞と
腫瘍細胞の弁別において有利な結果が得られる。
【0032】
【実施例】本発明を以下の実施例によって詳しく説明す
るが、本発明には種々の変更、修飾が可能であり、従っ
て本発明の範囲は以下の実施例によって限定されるもの
ではない。
【0033】実施例1: 塩化アンモニウム溶液中にて白血球にAstrazone Orange
Rを負荷した例 健常人および表1に示す症例より得られた抗凝固剤(ED
TA-2Kもしくはヘパリン)を加えた血液試料50(μL)に、
塩化アンモニウム溶液1.5(mL), Astrazone Orange R st
ock sol.(1000ppm, in DMSO) 5(μL)を添加し、室温に
て5分間反応させた。次に1500(rpm)、2(min)遠心分離
し、上層の溶液を除去した後、1(mL)のPBSを添加浮遊さ
せ、FACSCalibur(Becton Dickinson Immunocytometry
Systems)にセットし、測定を実施した。
【0034】
【表1】
【0035】本法で得られたサイトグラムパターンを図
6〜図13に示す。このサイトグラムは1検体毎に前方
散乱光強度(FSC-H)、側方散乱光強度(SSC-H)、蛍光強度
(FL1-H)の3パラメータを用い、2つの2次元サイトグ
ラムで表現した。
【0036】図6、図7は健常人の結果を、図8、図9
および図10、図11はそれぞれATL症例(症例は異な
る)より得られた結果を示し、また、図12、図13は
CLL症例より得られた結果を示す。
【0037】次に図6、図8、図10、図12のサイト
グラムに対しゲートを定め(R1)、ゲート内に出現した粒
子集団の側方散乱光変動係数(以下、SSC-CV%)、前方散
乱光変動係数(以下FSC-CV%)を算出した。本例で定めたR
1エリアには主にリンパ球、腫瘍化細胞が出現する。
【0038】次に図7、図9、図11、図13のサイト
グラムに対しゲートを定め(R2)、ゲート内に出現した粒
子集団の側方散乱光変動係数(以下、SSC-CV%)、蛍光変
動係数(以下、FL-CV%)を算出した。本例で定めたR2エリ
アには主にリンパ球、腫瘍化細胞が出現する。
【0039】図14、図15に上記方法で算出した健常
人および各症例のSSC-CV% 、FSC-CV%、FL-CV%を用いて
解析した結果を示す。図中において、●:健常人 ○:
ATL□:CLLを示す。
【0040】上記の結果より、各白血病の腫瘍化リンパ
球細胞の出現位置は、側方散乱光強度、前方散乱光強
度、蛍光強度それぞれのパラメータにおいて健常人リン
パ球に比し高い値を示し、特に蛍光強度がこの傾向を特
に反映していることが分かった。本実施例で使用した色
素(Astrazone orange R)は細胞質を特異的に染色してい
るため、サイトグラム上では大型の腫瘍細胞やN/C比が
小さく細胞質成分が多い腫瘍細胞が正常細胞よりも高い
位置に出現するものと考えられる。また腫瘍細胞の各パ
ラメータの変動係数は大きく、特にFL-CV%が著しく高い
ことが分かった。これに対し健常人のFL-CV%は個人差を
ほとんど認めないため、適当な閾値を設定することによ
り、腫瘍細胞を検出することができる。
【0041】図16は本実施例で測定した健常人の内の
1例を示し、図17は本実施例で測定したATL症例の内
の1例を示す。次に図16、図17に正常リンパ球の出
現領域および腫瘍化細胞の出現領域にそれぞれゲートL
1, L2を設けた。この領域内の粒子を算出することによ
り正常リンパ球および腫瘍化細胞を計数することができ
た。 実施例2: 単核球分離サンプルにSNARF-1AMを負荷した例 健常人および表2に示す症例より得られた抗凝固剤(ヘ
パリン)を加えた血液試料それぞれに、約20(mL)に等量
のPBSを加え、よく混和した。
【0042】
【表2】
【0043】次に、リンパ球分離液の上に細胞懸濁液を
スポイトで重層し、1800(rpm)、4(℃)、20(min)遠心分
離した。上層の血漿を除去し、リンパ層を採取し別の容
器に移し替えた後、これに過剰量のPBSを添加し遠心洗
浄した(1300(rpm)、4(℃)、20(min)、2回実施。)こ
のリンパ球をPBSに浮遊させ、細胞濃度が1×106(/mL)と
なるよう希釈操作した。次いでこの細胞懸濁液900(μL)
に対し、SNARF-1AM(1000(ppm) in DMSO)を5(μL)添加
し、溶液をよく混和し、37(℃)、15(min)でインキュベ
ーションした。PBSで2回洗浄し、1(mL)の細胞懸濁液を
得た。SNARF-1AMを負荷した細胞懸濁液をFACSCalibur
(Becton Dickinson Immunocytometry Systems)にセッ
トし、測定を実施した。
【0044】本法で得られたサイトグラムパターンを図
18〜図21に示す。このサイトグラムは1検体毎に前
方散乱光強度(FSC-H)、側方散乱光強度(SSC-H)、蛍光強
度(FL3-H)の3パラメータを用い、2つの2次元サイト
グラムで表現した。
【0045】図18、図19は健常人の結果を、図2
0、図21はATL症例の結果を示す。次に図19、図2
1のサイトグラムに対しゲートを定め(R1)、ゲート内に
出現した粒子集団の側方散乱光変動係数(以下、SSC-CV
%)、蛍光変動係数(以下、FL-CV%)を算出した。本例で定
めたR2エリアには主にリンパ球、腫瘍化細胞が出現す
る。
【0046】次に図18、図20のサイトグラムに対し
ゲートを定め(R2)、ゲート内に出現した粒子集団の側方
散乱光変動係数(以下、SSC-CV%)、前方散乱光変動係数
(以下FSC-CV%)を算出した。本例で定めたR1エリアには
主にリンパ球、腫瘍化細胞が出現する。
【0047】図22、図23に上記方法で算出した健常
人および各症例のSSC-CV% 、FSC-CV%、FL-CV%を用いて
解析した結果を示す。図中において、●:健常人 ○:
ATLを示す。
【0048】上記の結果より、ATLにおける腫瘍化リン
パ球細胞の出現位置は、側方散乱光強度、前方散乱光強
度、蛍光強度それぞれのパラメータにおいて健常人リン
パ球に比し高い値を示し、特に蛍光強度がこの傾向を特
に反映していることが分かった。本実施例で使用した色
素(5-(and-6)-carboxy SNARF-1AM)は細胞質を特異的に
染色しているため、サイトグラム上では大型の腫瘍細胞
やN/C比が小さく細胞質成分が多い腫瘍細胞が正常細胞
よりも高い位置に出現するものと考えられる。またpH感
受性を有する5-(and-6)-carboxy SNARF-1AMは、細胞内
のpHが高くなれば、蛍光強度(FL3-H)が大きくなる。こ
のため蛍光強度は細胞内代謝によっても変化し、特に腫
瘍化細胞では細胞内pHが正常細胞に比し高いと考えら
れ、本実施例では正常細胞と腫瘍細胞の差がより明確に
なったものと考えられる。また腫瘍細胞の各パラメータ
の変動係数は大きく、特にFL-CV%が著しく高いことが分
かった。これに対し健常人のFL-CV%は個人差をほとんど
認めないため、適当な閾値を設定することにより、腫瘍
細胞を検出することができる。
【0049】
【発明の効果】本発明によれば、従来は検出が困難であ
った腫瘍細胞を検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の方法で得られるサイトグラムパターン
の模式図である。
【図2】本発明の方法で得られる健常人の末梢血のサイ
トグラムである。
【図3】本発明の方法で得られるATL患者の末梢血のサ
イトグラムである。
【図4】本発明の方法で得られる健常人の末梢血のサイ
トグラムである。
【図5】本発明の方法で得られるATL患者の末梢血のサ
イトグラムである。
【図6】実施例1で得られる健常人の末梢血のサイトグ
ラムである。
【図7】実施例1で得られる健常人の末梢血のサイトグ
ラムである。
【図8】実施例1で得られるATL症例のサイトグラムで
ある。
【図9】実施例1で得られるATL症例のサイトグラムで
ある。
【図10】実施例1で得られるATL症例のサイトグラム
である。
【図11】実施例1で得られるATL症例のサイトグラム
である。
【図12】実施例1で得られるCLL症例のサイトグラム
である。
【図13】実施例1で得られるCLL症例のサイトグラム
である。
【図14】実施例1で得られたデータを解析した結果で
ある。
【図15】実施例1で得られたデータを解析した結果で
ある。
【図16】正常リンパ球と腫瘍化細胞を計数するために
設けたゲート(L1,L2)の例である。
【図17】正常リンパ球と腫瘍化細胞を計数するために
設けたゲート(L1,L2)の例である。
【図18】実施例2で得られる健常人の末梢血のサイト
グラムである。
【図19】実施例2で得られる健常人の末梢血のサイト
グラムである。
【図20】実施例2で得られるATL症例のサイトグラム
である。
【図21】実施例2で得られるATL症例のサイトグラム
である。
【図22】実施例2で得られたデータを解析した結果で
ある。
【図23】実施例2で得られたデータを解析した結果で
ある。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 辻 智悠 神戸市中央区脇浜海岸通1丁目5番1号 シスメックス株式会社内 (72)発明者 浜口 行雄 神戸市中央区脇浜海岸通1丁目5番1号 シスメックス株式会社内 (72)発明者 鶴田 一人 長崎県長崎市坂本1丁目7−1 長崎大学 医学部附属病院 検査部内 (72)発明者 上平 憲 長崎県長崎市坂本1丁目7−1 長崎大学 医学部附属病院 検査部 臨床検査医学講 座内 Fターム(参考) 2G045 AA26 BA13 BA20 BB01 BB10 BB25 BB60 CA11 CA23 CA30 CB03 DA80 FA12 FA14 FA37 GC11 GC15 JA01 JA04 JA06 JA20 2G054 AA08 AB02 AB05 AB10 BA01 BB01 BB20 CE02 CE10 EA03 EA05 EB01 GA04 JA01 JA02 JA04 JA07 JA20

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記の工程からなることを特徴とする、
    腫瘍化細胞計数法。 (1)血液試料に含まれる赤血球の影響を除去し、正常
    白血球と腫瘍化細胞を染色に好適な状態にする工程。 (2)正常白血球と腫瘍化細胞の間に蛍光強度の差異を
    生じる少なくとも一つの色素を加え、蛍光染色する工
    程。 (3)次いで得られた試料をフローサイトメーターに供
    して、個々の細胞の少なくとも1つの散乱光と1つの蛍
    光を測定する工程。 (4)(3)で得られた個々の細胞の1つの散乱光と1
    つの蛍光を2軸として、2次元分布を得る工程。 (5)2次元分布から、正常リンパ球および腫瘍化細胞
    を含む領域を設定し、領域内に出現した集団の散乱光お
    よび蛍光の変動係数を算出する工程。 (6)(5)で算出された変動係数より腫瘍細胞を検出
    する工程。
  2. 【請求項2】 正常白血球と腫瘍化細胞の間に蛍光強度
    の差異を生じる色素が、以下の群から選ばれる請求項1
    記載の腫瘍化細胞計数方法。 【化1】 Astrazone Orange R 【化2】 5-(and-6)-carboxy SNARF-1-AM 【化3】 BCECF-AM 【化4】 Calcein-AM 【化5】 FDA
JP2001002881A 2001-01-10 2001-01-10 腫瘍化細胞計数方法 Pending JP2002207035A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001002881A JP2002207035A (ja) 2001-01-10 2001-01-10 腫瘍化細胞計数方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001002881A JP2002207035A (ja) 2001-01-10 2001-01-10 腫瘍化細胞計数方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2002207035A true JP2002207035A (ja) 2002-07-26

Family

ID=18871314

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2001002881A Pending JP2002207035A (ja) 2001-01-10 2001-01-10 腫瘍化細胞計数方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2002207035A (ja)

Cited By (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005024557A (ja) * 2003-07-03 2005-01-27 Sysmex Corp 巨核球の検出方法
JP2005106484A (ja) * 2003-09-26 2005-04-21 Sysmex Corp Bリンパ球の分類方法
JP2010038711A (ja) * 2008-08-05 2010-02-18 Ihi Corp 粒状体計測方法
JP2016106224A (ja) * 2011-04-28 2016-06-16 シスメックス株式会社 血液分析装置、血液分析方法、及びコンピュータプログラム
CN105891090A (zh) * 2007-02-01 2016-08-24 希森美康株式会社 血细胞分析仪、体液分析方法及其控制系统
EP3260842A1 (en) * 2007-02-01 2017-12-27 Sysmex Corporation Hematological analyzer and method for analyzing body fluid
US10161849B2 (en) 2015-09-11 2018-12-25 Sysmex Corporation Cell analyzer and cell analyzing method
JP2021503608A (ja) * 2017-09-21 2021-02-12 ビーアイティー グループ フランスBit Group France 落射蛍光測定用の光学フローサイトメータ
JP2021516335A (ja) * 2018-03-07 2021-07-01 ダイアグノスティカ スターゴ 生体細胞を含む生体試料の分析方法及びその分析方法を実施する分析装置

Cited By (15)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP4580702B2 (ja) * 2003-07-03 2010-11-17 シスメックス株式会社 巨核球の検出方法
JP2005024557A (ja) * 2003-07-03 2005-01-27 Sysmex Corp 巨核球の検出方法
JP2005106484A (ja) * 2003-09-26 2005-04-21 Sysmex Corp Bリンパ球の分類方法
EP3260842A1 (en) * 2007-02-01 2017-12-27 Sysmex Corporation Hematological analyzer and method for analyzing body fluid
CN105891090A (zh) * 2007-02-01 2016-08-24 希森美康株式会社 血细胞分析仪、体液分析方法及其控制系统
US10168320B2 (en) 2007-02-01 2019-01-01 Sysmex Corporation Hematological analyzer, method for analyzing body fluid and computer program product
CN105891090B (zh) * 2007-02-01 2020-01-17 希森美康株式会社 血细胞分析仪、体液分析方法及其控制系统
JP2010038711A (ja) * 2008-08-05 2010-02-18 Ihi Corp 粒状体計測方法
JP2016106224A (ja) * 2011-04-28 2016-06-16 シスメックス株式会社 血液分析装置、血液分析方法、及びコンピュータプログラム
US10161849B2 (en) 2015-09-11 2018-12-25 Sysmex Corporation Cell analyzer and cell analyzing method
JP2021503608A (ja) * 2017-09-21 2021-02-12 ビーアイティー グループ フランスBit Group France 落射蛍光測定用の光学フローサイトメータ
JP7429643B2 (ja) 2017-09-21 2024-02-08 ビーアイティー グループ フランス 落射蛍光測定用の光学フローサイトメータ
JP2021516335A (ja) * 2018-03-07 2021-07-01 ダイアグノスティカ スターゴ 生体細胞を含む生体試料の分析方法及びその分析方法を実施する分析装置
JP7319986B2 (ja) 2018-03-07 2023-08-02 ダイアグノスティカ スターゴ 生体細胞を含む生体試料の分析方法及びその分析方法を実施する分析装置
US11953421B2 (en) 2018-03-07 2024-04-09 Diagnostica Stago Method for analyzing a biological sample containing biological cells, and analysis apparatus for implementing the analysis method

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4359389B2 (ja) 白血球百分率及び網状赤血球計数の決定
Chabot-Richards et al. White blood cell counts
JP3886271B2 (ja) 赤芽球の分類計数用試薬及び分類計数方法
JP3783808B2 (ja) 白血球分類計数用試薬
JP3887500B2 (ja) 全血中の異常な有核細胞の検出、同定、計数及び確認方法
WO2016106688A1 (zh) 一种有核红细胞报警方法、装置及流式细胞分析仪
US6900023B1 (en) Method for classifying and counting leukocytes
JPH0534251A (ja) 白血球分類計数用試料調製方法
JPH07101218B2 (ja) 絶対カウントのための一段試験
JP5583629B2 (ja) 白血球の分類計数方法、白血球分類試薬キット及び白血球分類試薬
US20130101996A1 (en) Detection method and apparatus of activated neutrophils
CN111527406A (zh) 一种用于流式细胞仪分析的淋巴细胞样品的制备方法
CN110579595B (zh) 一种等张溶血素及其制备方法、处理生物样本方法和检测白细胞膜抗原方法
JP3345135B2 (ja) 血液分析方法
JP4567082B2 (ja) 赤芽球の分類計数方法
JP2002207035A (ja) 腫瘍化細胞計数方法
CN109387409A (zh) 血液分析装置、血液分析方法和程序
JPH0599919A (ja) 白血球分析方法
CN114450589A (zh) 分析血液样本中红细胞方法及血液分析系统
JP4279900B2 (ja) 細胞生存率、有核赤血球、および白血球分類の同時分析方法
JP4484375B2 (ja) 異常細胞検出方法
EP0259833B1 (en) Reagent and method for classifying leukocytes by flow cytometry
JP4338206B2 (ja) 赤芽球の分類計数方法
Sugiyama et al. Performance evaluation of Celltac G: a new automated hematology analyzer
JP4107441B2 (ja) 赤芽球の分類計数用試薬