JP2002206991A - 自動車部品の試験装置 - Google Patents

自動車部品の試験装置

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JP2002206991A JP2001003376A JP2001003376A JP2002206991A JP 2002206991 A JP2002206991 A JP 2002206991A JP 2001003376 A JP2001003376 A JP 2001003376A JP 2001003376 A JP2001003376 A JP 2001003376A JP 2002206991 A JP2002206991 A JP 2002206991A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 自動車部品の試験装置においては、機械的共
振点が低いためダイナモメータDYからエンジン側への
高応答なトルク波形をの伝達ができず、また、エンジン
の挙動をDY側に伝達することが出来ない。 【解決手段】 GUIを利用したシミュレーションツー
ルにより、シミュレーションモデルを作成する。モデル
はエンジンを含む4慣性系のばねモデルとサスペンショ
ンおよびタイヤばねによる上下振動モデルにより構成
し、周波数の共振点を略100Hz程度に設定してこの
共振抑制手段を設けたものである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ダイナモメータに
よる自動車部品の試験装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ダイナモメータを使用して、エンジンや
トランスミッションおよびデファレンシャルギア等の自
動車部品を試験する装置においては、エンジン駆動とダ
イナモ吸収システムとの組み合わせによりなるエンジン
ベンチ、ダイナモ駆動、ダイナモ吸収システムよりなる
パワートレーンベンチ等がある。図8は、エンジンベン
チを示したもので、エンジンE/Gとトランスミッショ
ンT/Mを組み合わせ(ATあるいはMT、またMTの
場合はクラッチ付)、シャフトを介してダイナモメータ
DYと接続して構成している。エンジンE/G側には、
スロットルアクチェータACTによりスロットル開度を
制御する。一方、ダイナモメータDY側には、回転検出
器PP、トルク検出器(ロードセル)LCを設け、これ
ら各検出器の検出信号をもとに速度、トルクの制御が実
施される。
【0003】図9は、エンジンE/G側にトルクメータ
TMを取付けてトランスミッションを省いた場合を示し
たものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】このように構成された
試験装置により、エンジンの耐久試験や燃費、排ガス計
測等の性能試験およびECU(Electronic Control Uni
t)適合の試験が行われる。また、路上と同様の運転を
実施するために走行抵抗による運転を実施しているが、
実車との条件があわないため、法規モード運転等の過渡
的な燃費、排ガス計測、車両のドライバビリティ評価は
シャシーダイナモメータ試験や実車走行等で評価してい
る。したがって、従来の試験装置においては、 (1)エンジンや車両関連部品の過渡性能試験は完成車
両を使用しないと実施できない。 (2)ダイナモメータDYとエンジンE/G間は回転シ
ャフトを介して接続されているが、この装置における機
械の共振点が低いため、ダイナモメータDYからエンジ
ンE/G側への高応答なトルク波形を伝達することがで
きず、また、エンジン側の高応答な挙動をダイナモメー
タ側に伝達することができない。 (3)従来のエンジン制御では性能が低く、実車をドラ
イバが運転する時と同様な燃費、排ガスデータを再現す
ることができない。 (4)過渡状態再現のためにはダイナモメータの高応答
化が必要であるが、コントローラとダイナモメータの制
御盤間との信号の授受時間の遅れが大きいことにより、
応答性が向上できない。
【0005】本発明の目的とするところは、これら
(1)〜(4)の問題を解決したこの種試験装置を提供
することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明の第1は、被試験
体にトルクメータおよび回転シャフトを介してダイナモ
メータを連結し、被試験体はサーボドライバならびに電
子制御部よりの出力によって制御され、ダイナモメータ
はインバータの出力によって制御される試験装置におい
て、車両諸元や走行抵抗などを設定し、設定された所要
項目を計測制御部に送出するシステム監視部と、このシ
ステム監視部とは伝送路を介して接続され、慣性系のば
ねモデルとサスペンションおよびタイヤばねによる上下
振動モデルを含むシミュレーションモデルが設定される
モデル作成部と、このモデル作成部によって作成された
モデルおよび前記計測制御部より出力されたアクセル信
号やクラッチ信号を導入して演算し、前記インバータと
電子制御部に制御信号を出力する車両モデルの実行コン
トローラとを備えたものである。
【0007】本発明の第2は、前記システム監視部,モ
デル作成部でのパラメータ変更、モデル構造はGUIを
利用して実行するよう構成したことを特徴とした請求項
1記載の自動車部品の試験装置。
【0008】本発明の第3は、前記電子制御部は、エン
ジンコントロール,トランスミッションコントロールお
よびダイアグノーシス入出力部を有し、エンジンコント
ロールはエンジン側の水温信号,スロットルポジション
信号,電気式燃料噴射信号を入力し、トランスミッショ
ンコントロールは、トランスミッションモデルに対する
信号の入出力を実行するよう構成したものである。
【0009】本発明の第4は、前記実行コントローラ
は、トルク伝達系の振動系動特性をモデル化したモデル
部と共振振動を抑制するための制振制御部を有すること
を特徴としたものである。
【0010】本発明の第5は、試験装置の共振周波数の
共振点を100Hz近傍に設定し、実行コントローラの
制振制御部における共振抑制制御をこの設定共振点周波
数としたものである。
【0011】本発明の第6は、前記サーボドライバは、
実際の運転モードに関する学習機能を有し、車速指令が
入力されたときに該指令に対応するストローク開度修正
値を出力する開度修正部と、エンジン特性を事前に記憶
し車速指令と前記開度修正部よりの修正値に基づいて必
要開度予測値を出力するエンジン特性メモリ部と、前記
被試験体の回転速度を検出して車速指令との偏差値をも
とめて開度補正値とするエンジン車速制御部と、前記必
要開度予測値と開度補正値とを加算し、この加算信号と
車速指令を導入してリミッタ値を設定し開度指令を開度
制御部に出力するスピードリミッタ部とを備えたもので
ある。
【0012】本発明の第7は、前記実行コントローラと
インバータにシリアル通信手段を設け、実行コントロー
ラとインバータ間の信号の授受はシリアル通信手段にて
行うことを特徴としたものである。
【0013】
【発明の実施の形態】図1は、本発明の実施形態を示す
試験装置のブロック構成図である。1はエンジン、2は
ダイナモメータで、エンジン1とはこのダイナモメータ
2で発生するトルクがエンジンに伝達できるよう回転シ
ャフトを介して連結されている。3はトルクメータで、
ダイナモメータよりエンジンに伝達されたトルクを検出
して車両モデルの実行コントローラ10に出力する。実
行コントローラ10では、ダイナモメータ2を制御する
ための電流指令値が生成され、その指令値はインバータ
20に印加される。インバータ20には、図示省略され
ているが、速度設定器によって速度信号が設定され、回
転検出器PP1によって検出されたダイナモメータ2の
回転数信号は、この速度信号にフィードバックされ、イ
ンバータ20はこれら各信号をもとにダイナモメータ2
を制御する。
【0014】4はスロットルアクチェータで、このアク
チェータ4によりスロットル開度が制御されてエンジン
の燃料室に供給される吸入空気量が調節され、また、そ
のスロットル開度が検出されてサーボドライバ40にフ
ィードバックされる。30はエンジンを制御するための
電子制御部(ECU)で、車両モデルの実行コントロー
ラ10よりの制御指令が入力される。50は計測制御部
で、この計測制御部はコンピュータなどよりなって、車
両モデルの実行コントローラ10に対してはトランスミ
ッション(T/M)位置、アクセル、クラッチ、および
ブレーキ信号を出力する。また、この計測制御部50
は、シーケンサ60との信号の授受を行うと共に、エン
ジン冷却水温調節部5には水温の調節信号を、エンジン
オイル温度調節部6に対してはオイル温度の調節信号
を、更には燃料温度調節部7に対しては燃料温度の調節
信号を出力している。
【0015】70は操作ユニットで、アクセル、クラッ
チ位置等を外部より操作するためのユニットである。
80はシステム監視部であるコンピュータで、計測・監
視、自動運転スケジューラ、車両諸元(T/Mパラメー
タ)設定、走行抵抗設定、エンジンマップ収集・設定、
データ処理等の仕事をする。90はモデル作成部で、伝
送路9を通して送られた車両諸元や走行抵抗パラメータ
を導入し、各定数などをもとに車両モデルを作成するも
ので、コンピュータよりなっている。
【0016】図1のブロック図を用いることによって、
前述した(1)〜(4)の課題を解決するものである。
以下具体的に説明する。
【0017】
【実施の形態1】図1で示すように、試験対象部品がエ
ンジンの場合には、ベンチ上にエンジンを載置し、この
エンジン1とダイナモメータ2とはトルクメータ3およ
び回転シャフトを介して直結されるが、その際、シミュ
レーションを正確に実行するためにトルクメータ3はエ
ンジン1の出力部にて直接計測できるように配置され
る。また、回転数に関してもエンジン出力部のトルクメ
ータと同位置に回転検出器PP2が配設されている。こ
のように、システムの構成要素は、エンジン(フライホ
イールFWを含む)とトルクメータと回転シャフトシャ
フトおよびダイナモメータよりなっているが、エンジン
以降のトルクメータ、回転シャフト、ダイナモメータは
できるだけ低慣性化される。そのためには、ダイナモメ
ータ2の回転子の径を極力小さくした、例えば、特願2
000−269738号のようなものを使用し、かつ、
IMからPMモータに変更して効率向上を図り、その冷
却も空冷より水冷に変更することによって慣性値(kg
m2)は従来の約1.3から約0.1に改善された。ま
た、回転シャフトを、従来の鉄鋼製よりグラスファイバ
ーとすることによって慣性値は約0.5から約0.02
となり、更に、トルクメータをカップリング形とするこ
とにより、約0,65から約0,3となった。したがっ
て、三者の合計慣性値は、約0,42kgm2(従来は
約2.45kgm2)であった。また、ダイナモメータ
2の制御性を高応答化させることにより、制御遅れ時の
エンジン等の試験対象物品に大きなショックを与えず
に、実車に近い精度の良いシミュレーションが可能とな
った。
【0018】図2は、シミュレーションを行うために試
験対象物品であるエンジンを除くコンポーネントをモデ
ル化したものであり、同図(a)は、トランスミッショ
ンMT(手動)の場合、(b)図はトランスミッション
AT(自動)の場合を示したもので、各図における破線
で示した部分が図1のモデル部11に相当する。シミュ
レーションモデル(モデル部11)は、4慣性系のばね
モデルとサスペンションおよびタイヤばねによる上下振
動(車体ばね上ー車体ばね下振動)により構成される。
図2で示す構成要素の係数等の各値は、図1で示すモデ
ル作成部90よりモデルパラメータとして入力され、伝
送路を介して車両モデルの実行コントローラ10に送ら
れてシミュレーションが実行される。ここで特徴的なこ
とは、従来モデル構成は固定であったものが、本発明で
はシステム監視部80をも含めて、GUI(Graphical
User Interface)を利用したシミュレーションツールに
よりシミュレーション構成を変更出来るようになってい
る。したがって、モデル作成部90やシステム監視部8
0によって、パラメータの変更だけでなく、モデル構造
そのものも変更できるため、あらゆる車両のシミュレー
ションが可能となる。GUI上で作成されたモデルは、
コントローラにて実行できる形で実行コントローラ10
にダウンロードされるが、このコントローラ10から電
子制御部30に対して指令が送出される。
【0019】図3は、シミュレーションのための電子制
御部30における信号取り合い状態を示したものであ
る。車両シミュレーションを実施するためには、電子制
御部30とエンジン1間、および実行コントローラ10
間において信号を取り合う必要が生ずるが、そのため
に、この電子制御部30は、エンジンコントロール3
1、トランスミッションコントロール32およびダイア
グノーシス入出力部33等を有している。エンジンコン
トロール31は、エンジン1側より、電気式燃料噴射部
(FEI制御)、スロットルポジションセンサおよび水
温センサよりの各信号を入力してトランスミッションコ
ントロール32との信号の授受を行い、また、このトラ
ンスミッションコントロール32は、実行コントローラ
10においてモデル化されたトランスミッション本体の
モデル13に対してシフトソレノイドNO.1,NO.2、リニ
アソレノイドNO.1,NO.2、ロックアップソレノイドの指
令を出力し、トランスミッション本体のモデル13から
は、トランスミッション(T/M)入力回路センサ、油
温センサ、スピードセンサおよびニュートラルセンサ信
号がそれぞれ入力される。また、この他、トランスミッ
ションコントロール32には、オーバドライブスイッ
チ、ストップランプイスッチ、車速センサよりの信号が
それぞれ実行コントローラ10より入力され、オーバー
ドライブインジケータに対するモデル信号が出力され
る。各コントロール31,32の信号は、ダイアグノー
シス入出力部33を介してダイアグノーシスコネクタと
の信号の授受が行われて、エンジンの異常関係信号のシ
ミュレーションが行われる。以上のように構成すること
によって、エンジンの過渡性性能試験が完成車両を使用
しなくとも実施できるものである。
【0020】
【実施の形態2】この実施の形態は、前記課題における
(2)の問題を解決し、ダイナモメータ2側からエンジ
ン1側へ高応答なトルク波形を伝達せんとするものであ
る。
【0021】図4は制振制御部12を示したもので、同
図の(a)はトルク伝達系の振動系動特性をモデル化し
たものであり、(b)はモデル化した部位における振動
抑制のための伝達関数の構成ブロック図で、エンジンと
ダイナモメータ間を連結した回転シャフトのモデル部分
であり、各記号の意味は次の通りである。Teはエンジ
ントルク、ωdはエンジン回転速度、Jeはエンジンの
慣性モーメント、Deはエンジンの粘性摩擦係数、Kc
は軸のバネ係数、Kdは軸の粘性摩擦係数、Tpは軸ト
ルク、Jdはダイナモメータの慣性モーメント、Ddは
ダイナモメータの粘性摩擦係数、Tdはダイナモメータ
のトルク、ωdはダイナモメータの回転速度である。な
お、制振制御部12の制振信号は、インバータ20に対
する電流指令として出力される。
【0022】従来のエンジンベンチ等においては、トラ
ンスミッションやクラッチ等を利用してダイナモメータ
とカップリングしているためにシステムの機械共振点が
低いものとなっている。また、エンジンベンチにおいて
は、アイドリング回転から約8000rpmくらいまで
が運転回転数範囲となっているが、この範囲内に共振点
があると、その共振によってシステムの機械破損を招く
虞れを有しているため、アイドリング回転数よりも低い
回転数に共振点を設定している(8000rpm以上の
回転数に設定することは、慣性値や減衰定数値から困難
なため)。
【0023】一方、自動車の駆動系の振動およびシャシ
振動等は、一般に100Hz以下(50Hz程度)の振
動周波数となる。このことから、上記のようにアイドリ
ング以下に共振点を設定した場合、アイドリング回転数
では約10〜20Hz程度となってしまうが、本発明で
はシステムの共振点を制御に影響しない例えば100H
z近傍に設定し、この共振点を制振制御部12およびイ
ンバータを介してロバスト制御することによって共振を
抑制し100Hz以上までフラットで安定した軸トルク
制御が可能となった。なお、この共振点の設定範囲は、
自動車の駆動系の振動周波数が下限の範囲となり、電流
指令値における基づいて制御を行うインバータの電流制
御部(ACR)の制御周波数が上限となる。したがっ
て、インバータの性能によって、例えば共振点100H
z近傍又はそれ以上の周波数が定まる。また、図4
(b)のはモデル部における振動抑制のための伝達関数
のブロック図は、外乱の抑圧性能、システムパラメータ
変動に対するロバスト性を考慮した構成となっている。
【0024】図5は、図4(a)に基づくトルク伝達系
を1次の捩り振動系としてモデル化したゲイン特性を示
したボード線図で、(a)は抑制制御をしない場合のダ
イナモメータトルクから軸トルクまでの開ループゲイン
で、機械系共振点635rad/sec(101Hz)
に設定したときには、ゲイン(G)は24dBあった。
これに対し、図4(b)のブロックによって共振抑制制
御を実施した場合の軸トルク指令値から軸トルクまでの
閉ループゲインは、図5(b)で示すように共振点63
5rad/secにおけるゲインGは−3,9dBとな
り、この図で明らかなように共振点が抑制されて100
Hz以上まで伝達特性を損なうことなく運転が可能とな
る。
【0025】
【実施の形態3】この実施の形態は、ドライバが実車を
運転すると同様な燃費、排ガスデータを再現しようとす
るものである。
【0026】図6は、サーボドライバ40の構成を示し
たもので、41はモード運転車速指令部で、この指令部
41よりの車速指令は、エンジン車速制御部42、エン
ジン特性メモリー部43、開度修正部44およびスピー
ドリミッタ部45に出力される。エンジン車速制御部4
2は、入力された車速指令とエンジン回転数/車速変換
部47よりフィードバックされた車速検出信号をもとに
演算し、その偏差信号を開度補正値として出力する。開
度修正部44は、実際に運転するモードに関して事前に
学習運転可能な機能を有しており、例えばシーマック演
算器などよりなって、入力値に対して出力値を学習値、
出力目標値を教師値として両者が等しくなるようテーブ
ル値が調整されるようになっている。この開度修正部4
4からは、車速指令に対応した開度修正値がエンジン特
性メモリー部43に出力される。メモリー部43には、
エンジントルクー開度の特性値が記憶されており、車速
指令と開度修正値とをもとにその記憶特性値より必要開
度予測値を選択し、加算部48に出力する。加算部48
は、エンジン車速制御部42からの開度補正値と必要開
度予測値とを同極性にて加算し、スピードリミッタ部4
5に出力する。スピードリミッタ部45は、車速指令と
加算部からの加算信号をもとに開度ストロークのリミッ
タ値を設定し、開度指令値としてアクチュエータの開度
制御部46に出力され、この制御部46よりスロットル
アクチュエータ4に電流指令値として出力されてスロッ
トル開度が制御される。したがって、エンジン1はこの
開度に応じて回転数が制御されるが、その回転数は、回
転検出器PP2によって検出され、エンジン回転数/車
速変換器47を介してエンジン車速制御部42にフィー
ドバックされる。
【0027】従来におけるエンジン制御は、指令となる
車速への追従性能を追求していたことによって開度のレ
スポンスは非常に速いが、試験目的である燃費計測や排
ガス計測が、人による運転時よりも悪くなる傾向にあっ
た。その要因としては、a.開度ストロークスピードが
必要以上に速かったこと。b.人と同じように運転モー
ドを先読みし、次の動作を準備できないこと。c.人と
同じようにエンジンの癖を知ってモード運転することが
出来ない。ことが考えられる。
【0028】本発明では、上記aについてはスピードリ
ミッタ部45を設け、このリミッタ部において開度スト
ロークの微分値に関してリミッタを設けることによって
対応したものである。また、b項については、開度補正
部44を設け、この補正部において実際に運転するモー
ドに関して事前に学習運転できるように構成し、更に
は、c項については、メモリー部43においてエンジン
特性を事前に収録し、開度指令に応じてこの特性を選
択、利用するようにしたものである。
【0029】このように構成することによって、前述し
た課題項目の(3)の問題点が解決できるものである。
【0030】
【実施の形態4】この実施の形態は、過渡状態再現のた
めにダイナモメータの高応答化を図ったものである。一
般に、この種試験装置は図1で示せば、実行コントロー
ラ10とインバータ20とは離れた位置に設置されてお
り、コントローラからインバータの制御盤へはアナログ
信号にて指令を出力しているため、ノイズ対策等を考慮
して約10ms程度のフィルタが必要であった。前述の
ように、100Hzでの共振抑制制御を実施するために
は、約2msの制御応答性が必要となる。そのために
は、インバータ20におけるトルク指令演算に500μ
sec、制振制御部12における共振抑制値演算に10
0μsec、軸トルク検出に1ms、その他余裕度を考
慮すると、実行コントローラ10とインバータ20間の
信号の取り合いの遅れ時間は100μsec以下である
ことが必要である。
【0031】図7は、この要求を満たすための構成図を
示したものである。同図で示すように、実行コントロー
ラ10とインバータ20にシリアル通信手段14,21
を設ける。このシリアル通信手段14,21は、例えば
16チャンネル多重伝送用LSIが用いられ、両者間の
信号の取り合いは、20MHzのクロック時で約40μs
ec程度で実施され、高速化が図られる。
【0032】
【発明の効果】以上のとおり、本発明によれば、システ
ム監視部,モデル作成部によって作成されるエンジンや
車両関連部品のモデルをもとに試験を実行するようにし
たものであるから、エンジンや車両関連部品の試験が実
際に他の部品と組み合わせることなく単体で車両として
の試験が可能となる。しかも、GUIを利用することに
よってモデル構造そのものの変更が可能となることによ
り、あらゆる車両のシミュレーションが容易に実行でき
るものである。また、エンジンが試験部品となった場合
には、トランスミッション等は実機を持って来なくと
も、AT,MTや無断変速機等種々の変速機とのシミュ
レーションによる組み合わせ試験が出来るように、個々
の部品間の組み合わせが可能となるものである。また、
試験装置の共振周波数の共振点を高い位置に設定てきる
ことにより、自動車にて発生する振動の再現性がエンジ
ンベンチ上にて可能となるものである。エンジン単体で
車両の実路走行試験ができ、しかもエンジンベンチ上で
実路と同様なドライバビリティの試験が出来ると共に、
ドライバーと同様な燃費・排ガス値を示すエンジン制御
が可能となる等の効果を奏するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態を示す試験装置の概略構成
図。
【図2】本発明のシミュレーションモデルを示したもの
で、(a)はトランスミッション手動の場合、(b)は
トランスミッション自動の場合。
【図3】本発明の電子制御部における信号取り合いを示
す概略構成図。
【図4】本発明の実行コントローラを示したもので、
(a)は回転シャフトのモデル態様図、(b)はモデル
化部分における振動抑制のための伝達関数ブロック図。
【図5】トルク伝達系を1次の捩り振動系としてモデル
化したゲイン特性図で、(a)は制振制御をしない場
合、(b)は制振制御を行った場合。
【図6】本発明のサーボドライバの構成図。
【図7】本発明の実行コントローラとインバータ間の信
号伝送のための構成図。
【図8】従来の自動車部品の試験装置を示す概略図。
【図9】従来の自動車部品の試験装置を示す概略図。
【符号の説明】
1…エンジン 2…ダイナモメータ 3…トルクメータ 4…スロットルアクチュエータ 10…実行コントローラ 11…モデル部 12…制振制御部 20…インバータ 30…電子制御部 40…サーボドライバ 50…計測制御部 60…シーケンサ 70…操作ユニット 80…システム監視部 90…モデル作成部

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 被試験体にトルクメータおよび回転シャ
    フトを介してダイナモメータを連結し、被試験体はサー
    ボドライバならびに電子制御部よりの出力によって制御
    され、ダイナモメータはインバータの出力によって制御
    される試験装置において、車両諸元や走行抵抗などを設
    定し、設定された所要項目を計測制御部に送出するシス
    テム監視部と、このシステム監視部とは伝送路を介して
    接続され、慣性系のばねモデルとサスペンションおよび
    タイヤばねによる上下振動モデルを含むシミュレーショ
    ンモデルが設定されるモデル作成部と、このモデル作成
    部によって作成されたモデルおよび前記計測制御部より
    出力されたアクセル信号やクラッチ信号を導入して演算
    し、前記インバータと電子制御部に制御信号を出力する
    車両モデルの実行コントローラとを備えたことを特徴と
    した自動車部品の試験装置。
  2. 【請求項2】 前記システム監視部,モデル作成部での
    パラメータ変更、モデル構造はGUIを利用して実行す
    るよう構成したことを特徴とした請求項1記載の自動車
    部品の試験装置。
  3. 【請求項3】 前記電子制御部は、エンジンコントロー
    ル,トランスミッションコントロールおよびダイアグノ
    ーシス入出力部を有し、エンジンコントロールはエンジ
    ン側の水温信号,スロットルポジション信号,電気式燃
    料噴射信号を入力し、トランスミッションコントロール
    は、トランスミッションモデルに対する信号の入出力を
    実行するよう構成したことを特徴とした請求項1又は2
    記載の自動車部品の試験装置。
  4. 【請求項4】 前記実行コントローラは、トルク伝達系
    の振動系動特性をモデル化したモデル部と共振振動を抑
    制するための制振制御部を有することを特徴とした請求
    項1乃至3記載の自動車部品の試験装置。
  5. 【請求項5】 試験装置の共振周波数の共振点を100
    Hz近傍に設定し、実行コントローラの制振制御部にお
    ける共振抑制制御をこの設定共振点周波数としたことを
    特徴とした請求項4記載の自動車部品の試験装置。
  6. 【請求項6】 前記サーボドライバは、実際の運転モー
    ドに関する学習機能を有し、車速指令が入力されたとき
    に該指令に対応するストローク開度修正値を出力する開
    度修正部と、エンジン特性を事前に記憶し車速指令と前
    記開度修正部よりの修正値に基づいて必要開度予測値を
    出力するエンジン特性メモリ部と、前記被試験体の回転
    速度を検出して車速指令との偏差値をもとめて開度補正
    値とするエンジン車速制御部と、前記必要開度予測値と
    開度補正値とを加算し、この加算信号と車速指令を導入
    してリミッタ値を設定し開度指令を開度制御部に出力す
    るスピードリミッタ部とを備えたことを特徴とした請求
    項1乃至5記載の自動車部品の試験装置。
  7. 【請求項7】 前記実行コントローラとインバータにシ
    リアル通信手段を設け、実行コントローラとインバータ
    間の信号の授受はシリアル通信手段にて行うことを特徴
    とした請求項1乃至6記載の自動車部品の試験装置。
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