JP2002206142A - 快削性低熱膨張鋳物用合金 - Google Patents

快削性低熱膨張鋳物用合金

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JP2002206142A
JP2002206142A JP2000402556A JP2000402556A JP2002206142A JP 2002206142 A JP2002206142 A JP 2002206142A JP 2000402556 A JP2000402556 A JP 2000402556A JP 2000402556 A JP2000402556 A JP 2000402556A JP 2002206142 A JP2002206142 A JP 2002206142A
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low thermal
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Takanori Kagawa
恭徳 香川
Tomohiro Tsuchiyama
友博 土山
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  • Refinement Of Pig-Iron, Manufacture Of Cast Iron, And Steel Manufacture Other Than In Revolving Furnaces (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 優れた被削性を有すると共に、熱膨張係数が
小さくて寸法精度の高い鋳物を与える快削性低熱膨張鋳
物用合金を提供すること。 【解決手段】 質量%で、C:0.1%以下、Ni:3
0〜34%、Co:4〜6%を含む鉄基合金からなり、
Mn:0.1〜1.0%とS:0.02〜0.15%を
含有すると共に、(Mn/54.94)>(S/32.06)を満
たし、あるいは、MnSが体積分率で0.007〜0.
2%含まれると共に、固溶Sが実質的に存在しない被削
性に優れた低熱膨張鋳物用合金を開示する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は快削性低熱膨張鋳物
用合金に関し、詳細には、被削性、殊に切屑分断性に優
れると共に熱膨張率が小さくて寸法変化が少なく、しか
も線膨張安定性にも優れており、精密構造鋳物部品など
の用途に適した快削性低熱膨張鋳物用合金に関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】現在、被削性と低熱膨張が要求される用
途に用いられる実用合金として公知のインバーやスーパ
ーインバー合金を用いた鋳造品においては、溶湯を凝固
させる際に素材中に球状黒鉛を生成させ、これにより快
削性を与える方法が一般的に採用されている。そのため
この種の合金では、適量の球状黒鉛を生成させることの
必要上、合金中に多量のCを含有させなければならな
い。ところがC量を多量含有させると、マトリックス内
に固溶するC量の増大によって熱膨張係数が高まり、低
熱膨張合金としての要求特性を満たし得なくなるので、
熱膨張係数を下げるため高価なCoを多量含有させなけ
ればならない。
【0003】しかも、球状黒鉛を含む合金で1.0×1
-6/℃以下といったレベルの低線膨張係数を確保する
には、該合金を一旦600〜950℃程度の温度に加熱
し、マトリックス内に過飽和に固溶しているCを微細黒
鉛として析出させマトリックス中の固溶C濃度を低下さ
せるために急冷しなければならない。ところが、一般に
部品部位によって大きな肉厚差を有する大型鋳物を上記
の如く高温に曝して更に急冷することは、鋳物を鋳造す
る際の変形を助長して寸法精度を低下させるので好まし
くない。加えて、Coを多量添加するとマルテンサイト
変態開始点(Ms点)が上昇して室温近傍となるため、
寒冷地での輸送に際しマルテンサイト変態が進行してイ
ンバー効果を発現できなくなるので、使用可能な温度環
境が制限され汎用性を欠くものとなる。
【0004】この様に、球状黒鉛を生成させて快削性を
高める従来の鋳物用合金では、C添加量の増大による線
膨張係数の増大や寸法精度の低下が避けられず、快削性
と低膨張係数の2つの要求特性を同時に満たすことは容
易でない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記の様な事
情に着目してなされたものであって、その目的は、優れ
た被削性を有すると共に、熱膨張係数が小さくて寸法精
度の高い鋳物を与える快削性低熱膨張鋳物用合金を提供
することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決すること
のできた本発明に係る快削性低熱膨張鋳物用合金とは、
質量%で、C:0.1%以下、Ni:30〜34%、C
o:4〜6%を含む鉄基合金からなり、Mn:0.1〜
1.0%とS:0.02〜0.15%を含有すると共
に、(Mn/54.94)>(S/32.06)を満たす鉄基合金
し、あるいはMnSが体積分率で0.07〜0.2%含
まれると共に固溶Sが実質的に存在しない鉄基合金から
なるところに要旨を有している。
【0007】上記本発明の快削性低熱膨張鋳物用合金に
おいては、Sをやや多めの0.04〜0.15%の範囲
で含有させると、鋳造後の熱処理(SR処理)による寸
法変化量を大幅に少なくできるので好ましい。また、該
合金中に他の元素としてSi:0.3〜1.0%を含有
させると、鋳造時の湯流れ性が向上し、湯流れ不良によ
る鋳造欠陥をより効果的に抑えることができるので、複
雑形状の大型鋳物製造用として好ましく、更に他の元素
として、Mg,Ca,Zrよりなる群から選択される少
なくとも1種の元素を総量で0.03%以下含有させる
と、鋳造時の熱間脆化を抑制することができ、特に薄肉
大型の鋳物を鋳造する際の熱間割れをより効果的に抑え
ることができるので好ましい。
【0008】そして本発明の上記合金は、特に、中空部
を有する薄肉で複雑な形状の大型鋳物を製造するための
原料として使用することにより、その特徴がより効果的
に発揮される。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明者らは前述した様な従来技
術の下で、被削性の向上に球状黒鉛の析出を利用する従
来の快削性低熱膨張鋳物用合金に指摘される問題、殊
に、球状黒鉛を生成するためのC量の増大とそれに伴う
マトリックス中のC固溶量の増大による熱膨張係数の増
大や寸法精度の低下などを解消し、熱膨張係数が低くて
且つ被削性に優れた鋳物用合金の開発を期して鋭意研究
を進めてきた。その結果、NiやCoを含む従来の低熱
膨張性鋳造用合金における、上記熱膨張係数や寸法精度
の阻害要因となるC量を低減する一方、球状黒鉛に代わ
る被削性改善成分として少量のMnとSを積極的に含有
させて適量のMnSを存在させれば、被削性と低熱膨張
という2つの要求特性を同時に満たす鋳物用合金が得ら
れることを知り、上記本発明に想到したものである。
【0010】以下、本発明において鋳物用合金の化学成
分などを規定した理由を具体的に説明していく。
【0011】C:0.1%以下 本発明では、追って詳述する如く被削性の向上に球状黒
鉛に代えてMnSを利用するもので、球状黒鉛の析出は
必要としない。換言すると本発明では、C量を極力少な
く抑えることによって固溶炭素に起因する線膨張係数の
増大を防止すると共に、基本組成以上にCo量を増加す
ることを回避し、更には固溶炭素の析出に要する高温加
熱と急冷といった熱処理を不要とするもので、こうした
特徴を活かす上でC量は0.1%以下、より好ましくは
0.05%以下に抑えることを必須とする。ちなみに、
C量が0.1%を超えると、マトリックス中への固溶炭
素量の増大による線膨張係数の増大が軽視できなくな
り、Co量を基本組成以上に増大しなければならなくな
って本発明の目的にそぐわなくなる。
【0012】Ni:30〜34%およびCo:4〜6% Niは、インバーやスーパーインバーとして開発された
低熱膨張鋳物用合金の熱膨張係数αに最も影響を与える
元素であって、熱膨張係数αで1.0×10-6/℃以下
といったレベルの低熱膨張特性を確保するには、Ni含
量を30〜34%の範囲、より好ましくは31〜33%
の範囲に設定することが重要であり、この範囲未満でも
又この範囲を超えても、熱膨張率αは著しく増大してく
る。またCo含量は、上記Ni含量30〜34%との組
合わせにおいて低熱膨張率を確保するため4〜6%の範
囲に設定しなければならず、4%未満もしくは6%超で
は適正Ni含量の範囲内においても満足のいく低熱膨張
率を確保できなくなる。Coのより好ましい含有量は
4.5〜5.5%である。
【0013】Mn:0.1〜1.0%およびS:0.0
2〜0.15% 従来のインバーやスーパーインバーにおいて、Mnは偏
析を生じ易く、しかも熱膨張係数を増大させ、またSは
偏析して脆化を起こす有害元素として、何れもその含有
は嫌われており、極力少なく抑えることが望ましいとさ
れている。これに対し本発明では、MnとSを積極的に
含有させ、マトリックス中に生成するMnSを球状黒鉛
に代わる被削性改善成分として有効に活用するもので、
こうしたMnSによる被削性改善効果を有効に発揮させ
るには、Mnを0.1〜1.0%含有させると共にSを
0.02〜0.15%含有させることが必要となる。ち
なみにMn含量が0.1%未満もしくはS含量が0.0
2%未満では、MnSの生成量が不十分で満足のいく被
削性を得ることができない。一方、Mn含量が1.0%
を超えると、線膨張係数が増大傾向を示す様になり、ま
たS含量が0.15%を超えると熱間で脆化し易くな
り、鋳造時に鋳物が高温割れを起こす原因になる。
【0014】この際、鉄基合金中に含有させるMnは、
S含量に対し当量比で等量以上、即ち質量比で「(Mn
/54.94)>(S/32.06)」を満たす様に両元素含有量
を制御すべきであり、即ち、Sの実質的に全てをMnS
として固定することにより固溶S量を極力少なく、好ま
しくは実質的にゼロとすることが望ましい。ちなみに、
SがMnと結合することなくマトリックス中に固溶状態
で存在すると、熱間での脆化が著しなり、鋳造時に熱間
割れを起こす原因になるからである。尚、Sに対してM
n含量をかなり多めに設定しても固溶Sを完全にゼロに
することは困難であり、ごく少量の固溶Sの存在は回避
し難い。従って、本発明で「固溶Sが実質的に存在しな
い」とは、熱間割れに実質的な悪影響を及ぼさない限り
ごく微量の固溶Sの存在は許容されることを意味する。
【0015】本発明では、上記の様に被削性改善成分と
して適量のMnとSを積極的に含有させるところに特徴
を有しているが、これらの元素を含有させることによる
被削性改善効果を有効に発揮させるための基準として、
当該合金中に含まれるMnSの体積分率で規定すること
も極めて有効となる。即ち本発明者らが確認したところ
では、MnとSの結合によって生成するMnS量が体積
分率で0.07〜0.2%、より好ましくは0.1〜
0.2%の範囲となる様に制御すれば、線膨張係数の増
大や熱間脆化を起こすことなく被削性を効果的に高め得
ることが確認された。但しこの場合も、Mnと結合せず
未反応状態でマトリックス中に固溶するSは熱間での脆
化が顕著となるので、添加するMn量は添加Sに対して
等量以上とし、固溶Sが実質的に残存しない様にするこ
とが望ましい。
【0016】なお上記元素のうち特にSは、後記実施例
でも明かにする如く鋳造後のSR処理(応力除去焼鈍)
時における線膨張を抑えて寸法精度を高める上で有効に
作用し、こうした作用は、S含量を0.04%以上とす
ることによって有効に発揮されることを確認している。
こうしたSR処理時の寸法安定化作用はMnSの生成に
よってもたらされるものと考えられるが、実験によって
確認したところでは、該寸法安定化効果はS含有量と有
意な関連を有しており、S含量が0.04%未満では殆
ど有効に発揮されないのに対し、Sを0.04%以上含
有させると、これと等量比以上のMnを含有させること
によって確実に発揮されることが確認された。従って、
本発明に係る鋳造用合金を鋳造後にSR処理して使用す
る用途に適用する場合は、S含量を0.04%以上、よ
り好ましくは0.06%以上に増量することが望まし
い。この場合も、S含有量の上限は上記と同じ理由で
1.0%以下に抑えるべきである。
【0017】本発明に係る快削性低熱膨張鋳物用合金の
必須構成元素は上記の通りであり、残部成分は実質的に
Feと不可避不純物であるが、必要によっては、鋳物用
合金として更なる付加的特性を与えるため、下記の元素
を適量含有させることも有効である。
【0018】Si:0.3〜1.0% Siは、鋳造用合金として鋳造時の湯流れ性を高める上
で有効に作用する元素で、特に薄肉且つ複雑で大型の鋳
物製品を鋳造する際の湯流れ不良による鋳造欠陥を確実
になくすのに有益な元素であり、湯流れ性改善作用を有
効に発揮させるには、Si含量を0.3%以上、より好
ましくは0.5%以上含有させることが望ましい。しか
し、Si含量が多過ぎると線膨張係数が増大し満足な寸
法精度が得られ難くなるので、多くとも1.0%以下、
より好ましくは0.8%以下に抑えるべきである。なお
鋳物の寸法・形状によっては、例えば比較的厚肉で単純
な形状の鋳物を製造する際には、Siを添加せずとも湯
流れ不良が特に問題になることはないので、Siの添加
は必須とされない。
【0019】Zr,Mg,Caよりなる群から選択され
る少なくとも1種の元素:総量で0.03%以下 Zrは、鋳造時の熱間脆性を高める上で有効に作用する
元素であり、その効果は極少量、例えば0.002%程
度以上の添加で有効に発揮され、特に薄肉大型の鋳型を
鋳造する際に起こりがちな熱間割れを抑制する作用を有
している。しかし、それらの作用は約0.03%で飽和
し、それ以上含有させると却って線膨張係数を増大させ
る原因になるので、0.03%以下、より好ましくは
0.01%以下に抑えるべきである。またMgやCa
も、上記Zrと同様の作用を発揮する点で同効元素であ
り、これらの元素を添加する際の好適添加量は、それら
元素の総添加量で決めればよい。
【0020】本発明においては、上記元素以外にも必要
に応じて析出強化作用を有するAl,Nb,V,Ti,
Taなどを、鋳物に求められる要求特性に応じて適量含
有させることも有効である。
【0021】また該合金中に不可避的に含まれている元
素のうち、Pは微量でも鋳造時の湯流れ性向上に有効に
作用するが、多過ぎると熱間脆性を劣化させて鋳造時に
高温割れを起こす原因になるので、0.5%以下、より
好ましくは0.1%以下に抑えるべきである。
【0022】またP以外に混入し得る不可避不純物とし
てCr,Mo,Cuなどが挙げられるが、これらは何れ
も線膨張係数を高める原因になるので、何れもできるだ
け少なく抑えることが望ましい。
【0023】本発明に係る鋳造用合金の溶製法には格別
特殊な技術が要求されず、常法に従って前記成分組成を
満たす様に配合原料を調整し、高周波溶解炉や電気炉な
ど任意の溶解炉を用いて加熱溶融すればよいが、特に基
金属となる鉄については、その中に含まれるCやMn、
S等の量を正確に把握しておき、全溶製原料としての
C,Mn,Sの各含有量が前述した好適範囲に納まる様
にコントロールすることが必要となる。鉄原料中に不可
避的に含まれていることの多いSiやPについても同様
である。そしてこれら鉄源中に含まれている上記元素量
を踏まえて、これに適量のNiやCoを添加すると共
に、必要に応じてMnやSなどを追加し前述した組成範
囲となる様に成分調整すればよい。
【0024】また、該鋳造合金を用いて鋳物を製造する
際の鋳造条件も特に限定されないが、好ましくは合金の
液相線温度+20℃以上の鋳込み温度で砂型を用いて鋳
造されるが、本発明の鋳造用合金は前述の如く低熱膨張
性で寸法変化量が少なく熱間脆性の優れたものであるか
ら、比較的薄肉で複雑な形状構造を有する大型鋳物であ
っても、鋳造時の冷却凝固過程で熱間割れなどを起こす
ことがなく、また適量のSiを含有させたものは湯流れ
性も良好であるから、鋳込み不良による鋳造欠陥を起こ
すこともない。
【0025】得られる鋳物は、常法に従って鋳型から脱
型した後、バリ取りや寸法調整のための切削加工や研磨
加工の後、タップやドリルを用いた研削や穿孔、フライ
ス加工などにより最終製品形状に加工されるが、この合
金は被削性が良好で切屑処理性に優れたものであるか
ら、それらの加工を容易且つ精度良く行なうことができ
る。特に本発明の合金は切屑処理性に優れているので、
自動穿孔加工装置などを用いて連続加工を行なった場合
でも、被加工部に切屑が溜まって連続加工を阻害したり
加工精度を損なうといった問題を生じることもなく、ロ
ボットなどを用いた全自動加工にも容易に適用できる。
【0026】本発明の鋳造用合金は上記の様な特性を有
しているので、例えば半導体製造装置用部品や精密機械
加工用部品などの如く、中空部を有する薄肉で複雑形状
の大型鋳物であって、鋳造後に穿孔加工や切削加工、フ
ライス加工の如き仕上げ処理の施される鋳造製品の素材
として有効に活用できる。
【0027】
【実施例】次に実験例を挙げて本発明をより具体的に説
明するが、本発明はもとより下記実験例によって制限を
受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲
で適当に変更を加えて実施することも可能であり、それ
らはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。
【0028】実験例 高周波溶解炉を用いて、Arガス雰囲気下で表1に示す
化学成分の鋳物用合金を溶製し、夫々について下記の方
法で湯流れ性を評価した。また各合金溶湯を使用し、最
小板厚8mmの矩形筒状構造体からなる鋳物の鋳造実験
を行なった。得られた各鋳物について、下記の方法でM
nSの体積分率および線膨張係数を測定すると共に、厚
さ10mmの部位を直径4mmのドリルを用いて貫通孔
穿孔加工を行なった時の被削性を評価した。なお被削性
は、切り粉の毟れ具合で下記の基準で定性的に評価し
た。結果を表1,2に示す。
【0029】[湯流れ性]各供試合金500kgを約1
600℃に加熱溶融し、これを厚さ8mm×幅100m
m×長さ1000mmの横向きに配置した鋳型内へ大気
圧下で上方から充填したときの充填状態により、下記の
基準で評価する。 ○:鋳型内に完全充填、 ×:鋳型角部に未充填部残存
あり。
【0030】[MnSの体積分率]JIS K 055
5に規定される清浄度評価による点算法に順じて測定
し、面積分率がほぼ体積分率に相当することを利用して
体積分率を求める。
【0031】[線膨張係数]セイコーインスツルメンツ
社製の線膨張係数測定装置「TMA6100」使用し、
JIS K7197に準拠して、直径4mm×長さ10
mmの試験片を使用し、窒素ガス流量:100ml/m
in、圧縮加重:5gfの条件で室温(23℃)〜100
℃までの間を5℃/minの昇温速度で、試験片の長さ
10mm方向に発生する伸び量を測定し、室温から10
0℃までの平均線膨張率から算出する。
【0032】[被削性]厚さ8mmの平板状試験片の表
面から板の垂直方向に直径4mmのドリルを用いて98
0回転/min、刃先送り速度0.05mm/回転の条
件で連続10個の貫通孔を穿ち、その切り粉を採取す
る。そして、該切り粉に認められる毟れ具合と切り粉の
長さで被削性を評価する。毟れ具合が少なく切り粉の長
さの短いものほど被削性良好と判断する。
【0033】
【表1】
【0034】
【表2】
【0035】また、上記で得たNo.1と3の合金を用
いて得た鋳物について、下記の方法で鋳造ままの寸法変
化量と、SR処理(315℃×3hr)後の線膨張係数
を比較したところ、図1に示す結果を得た。
【0036】図1からも明らかな様に、S含有量が0.
019%の合金No.1では、鋳造ままの鋳物に対して
その後にSR処理を施したときの熱膨張係数が著しく大
きくなっている。これに対し、S含有量が0.104%
である合金No.3では、鋳造ままの状態とSR処理後
の状態で熱膨張係数は殆ど変わっていない。この実験例
からも明らかな様に、鋳造後にSR処理が施される用途
に適用する場合は、合金中に0.04%程度以上のSを
含有させることにより、安定した熱膨張係数を確保する
ことが望ましい。
【0037】
【発明の効果】本発明は以上の様に構成されており、球
状黒鉛の生成により被削性を高める従来タイプの快削性
低熱膨張鋳物合金に対し、球状黒鉛に代わる被削性改善
成分としてMnSを利用した低炭素量の合金組成とする
ことにより、優れた被削性と低熱膨張率を兼備すると共
に寸法安定性に優れ、特に薄物大型鋳物の製造に適した
快削性低熱膨張鋳物用合金を提供し得ることになった。
【図面の簡単な説明】
【図1】実験で用いた供試合金を用いて得た鋳物の、鋳
造ままの熱膨張係数とSR処理後の熱膨張係数を対比し
て示すグラフである。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 質量%で、C:0.1%以下、Ni:3
    0〜34%、Co:4〜6%を含む鉄基合金からなり、
    Mn:0.1〜1.0%とS:0.02〜0.15%を
    含有すると共に、(Mn/54.94)>(S/32.06)を満
    たすことを特徴とする快削性低熱膨張鋳物用合金。
  2. 【請求項2】 鉄基合金が、S:0.04〜0.15%
    を含むものである請求項1に記載の快削性低熱膨張鋳物
    用合金。
  3. 【請求項3】 質量%で、C:0.1%以下、Ni:3
    0〜34%、Co:4〜6%を含む鉄基合金からなり、
    MnSが体積分率で0.07〜0.2%含まれると共
    に、固溶Sが実質的に存在しないことを特徴とする快削
    性低熱膨張鋳物用合金。
  4. 【請求項4】 更に他の元素としてSi:0.3〜1.
    0%を含むものである請求項1〜3のいずれかに記載の
    快削性低熱膨張鋳物用合金。
  5. 【請求項5】 中空部を有する薄物大型鋳物の鋳造に使
    用されるものである請求項1〜4のいずれかに記載の快
    削性低熱膨張鋳物用合金。
JP2000402556A 2000-12-28 2000-12-28 快削性低熱膨張鋳物用合金 Withdrawn JP2002206142A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR20160131997A (ko) 2014-03-10 2016-11-16 니폰추조 가부시키가이샤 저열팽창 주조 합금 및 그 제조 방법

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KR20160131997A (ko) 2014-03-10 2016-11-16 니폰추조 가부시키가이샤 저열팽창 주조 합금 및 그 제조 방법

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