JP2002205147A - 鋼の連続鋳造方法 - Google Patents

鋼の連続鋳造方法

Info

Publication number
JP2002205147A
JP2002205147A JP2000401972A JP2000401972A JP2002205147A JP 2002205147 A JP2002205147 A JP 2002205147A JP 2000401972 A JP2000401972 A JP 2000401972A JP 2000401972 A JP2000401972 A JP 2000401972A JP 2002205147 A JP2002205147 A JP 2002205147A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
mold
powder
slab
molten steel
viscosity
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2000401972A
Other languages
English (en)
Inventor
Mikio Suzuki
幹雄 鈴木
Makoto Suzuki
真 鈴木
Masayuki Nakada
正之 中田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
JFE Engineering Corp
Original Assignee
NKK Corp
Nippon Kokan Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by NKK Corp, Nippon Kokan Ltd filed Critical NKK Corp
Priority to JP2000401972A priority Critical patent/JP2002205147A/ja
Publication of JP2002205147A publication Critical patent/JP2002205147A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Continuous Casting (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 高粘度のモールドパウダーを、高速度化した
鋳片引き抜き速度の条件下で使用しても、モールドパウ
ダーの消費量を確保して高い鋳型内潤滑を維持する。 【解決手段】 溶鋼湯面12近傍の鋳型1の内面形状を
鋳片引き抜き方向下方に向かって広がるテーパー形状と
し、このテーパー部分よりも鋳片引き抜き方向下方の部
分は、鋳片引き抜き方向下方に向かって狭まるテーパー
形状とするか若しくはテーパーの無い形状とした鋳型を
用い、この鋳型内の溶鋼湯面上にモールドパウダー6を
添加して鋳造する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、鋼の連続鋳造方法
に関するもので、詳しくは、高粘度モールドパウダーを
使用してもモールドパウダーの消費量が確保され、高い
鋳型内潤滑を維持した鋳造が可能な連続鋳造方法に関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】連続鋳造鋳片の表層部には、鋳型内に添
加して使用されるモールドパウダー(以下、単に「パウ
ダー」とも記す)を巻き込んだノロカミと呼ばれる表面
欠陥が発生する。このパウダーの巻き込み現象は、鋳型
内における溶鋼とパウダー界面との不安定現象に基いて
発生すると考えられているが、明確なことは分かってい
ない。しかしながら、実際の操業では、使用するモール
ドパウダーの粘度が高いほど、その鋳片を圧延した後の
鋼板ではノロカミに起因する欠陥が少なくなることが分
かっている。
【0003】このことは、鋳型内におけるモールドパウ
ダーの巻き込み現象を可視化するために、モールドパウ
ダーをシリコンオイルで近似し、溶鋼を水で近似した水
モデル実験においても、図9に示すように、高粘度のシ
リコンオイルを使用した場合にはシリコンオイルの巻き
込みが減少することが可視化でき、これを裏付けてい
る。又、鋳型内溶鋼の表面流速を20cm/sec以下
に抑えると、パウダーの巻き込みが抑制されることも水
モデル実験から明らかである。尚、図9は、モールドパ
ウダーをシリコンオイルで近似した水モデル実験によ
り、モールドパウダーの巻き込み現象に及ぼす各種要因
の影響を調査した結果を示す図である。
【0004】このような知見に基づき、実際の鋳造作業
では、高粘度パウダーを用い且つ鋳型内湯面の流速及び
鋳型内湯面のレベル変動を抑えた鋳造を実施している。
溶鋼流速の制御には、直流磁界を利用した電磁ブレーキ
や交流磁界を用いた流動制御装置が使われている。即
ち、鋳片表層部のノロカミの低減にはモールドパウダー
の性状を最適化すると共に鋳型内の溶鋼流動を制御する
ことが必要であり、鋳造条件毎にその条件に合致するモ
ールドパウダーが開発され、又、電磁力を用いた鋳型内
溶鋼の流動制御並びに高精度の湯面レベル計を用いた湯
面制御が行われ、ノロカミ低減に効果をあげている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、高粘度
モールドパウダーを使用した場合には、モールドパウダ
ーの消費量、即ち、鋳型と凝固シェルとの間隙に流れ込
むモールドパウダーの量が減少し、往々にして鋳型と凝
固シェルとの潤滑不良が発生する。この潤滑不良が発生
すると、凝固シェルに作用する摩擦力が増大し、凝固シ
ェルに縦割れが発生したり、摩擦力が大きい場合には凝
固シェルが鋳型に拘束され、凝固シェルが引きちぎれ、
所謂ブレークアウトが発生する。このため高粘度パウダ
ーを使用する際には、一般に鋳片引き抜速度を下げて鋳
造を実施している。パウダー消費量は鋳片引き抜き速度
に反比例して減少するので、鋳片引き抜き速度の低速度
化によりモールドパウダーの消費量が増大し、潤滑不良
を防止できるからである。このため、高粘度モールドパ
ウダーを使用した場合には連続鋳造機の生産性は極端に
低下する。
【0006】又、鋳造直後の鋳片が有する熱エネルギー
を有効に利用するため、鋳造された高温鋳片を直接熱間
圧延するHDRプロセスや、鋳造された高温鋳片を加熱
炉に装入し、加熱した後に熱間圧延するHCRプロセス
が広く採用されているが、これらのプロセスでは、鋳片
温度を高温に維持する必要があり、鋳片引き抜き速度を
高速度化している。そのため、これらのプロセスでは安
定鋳造を目的として、消費量が多い、低粘度のモールド
パウダーを使用することが一般的であり、モールドパウ
ダーからみたノロカミ低減対策は考慮されていないのが
実状である。
【0007】本発明は上記事情に鑑みなされたもので、
その目的とするところは、高粘度のモールドパウダーを
高速度化した鋳片引き抜き速度の条件下で使用しても、
モールドパウダーの消費量が確保され、高い鋳型内潤滑
を維持した鋳造が可能な連続鋳造方法を提供することで
ある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、上記課題
を解決するために鋭意検討を行った。以下に検討結果を
説明する。
【0009】連続鋳造において、凝固シェルは一定速度
で下方に引き抜かれ、一方、鋳型は凝固シェルに沿って
上下方向に振動しており、鋳型が下方に向かって振動す
る際には、鋳型の振動速度は鋳片引き抜き速度よりも大
きく設定されている。これはネガティブストリップと呼
ばれ、凝固シェルを安定して引き抜くためには欠かせな
い条件である。しかし、鋳型が上方に振動する時には凝
固シェルと鋳型との間の摩擦により凝固シェルには引張
り力が掛かり、この時、凝固シェルに割れが発生する可
能性がある。鋳型と凝固シェルとの間の潤滑が十分であ
れば摩擦力は小さく、凝固シェルに掛かる引張り力は小
さくなり、凝固シェルの割れる危険性はない。この鋳型
内潤滑が、鋳型と凝固シェルとの間の空隙に流入したパ
ウダーフィルムの剪断力に支配されているとすれば、モ
ールドパウダーの粘度が高いほど、又、パウダーフィル
ムの厚みが薄いほど剪断力は上昇する。
【0010】鋳型と凝固シェルとの間の間隙へのモール
ドパウダーの流れ込みについては多数の研究があり、パ
ウダー流れ込み量を推算する式が多数報告されている。
その式の中には、鋳型振動条件、鋳片引き抜き速度、パ
ウダーの粘度や結晶化温度等の影響が組み込まれてい
る。通常のスラブ連続鋳造の場合、ブレークアウトが発
生しないパウダー流れ込み量は、鋳片表面1m2 当たり
0.3kg(以下「kg/m2 」と記す)以上であると
言われている。この流れ込み量から、モールドパウダー
の密度を2500kg/m3 と仮定して鋳型と凝固シェ
ルとの間のパウダーフィルム厚さを換算すると、約12
0μmとなる。従って、このパウダーフィルムの厚さが
120μm以上あれば潤滑性が確保されるといえる。
【0011】鋳片厚みが100mmである薄スラブの連
続鋳造では、ブレークアウトの発生率が通常厚みのスラ
ブ連続鋳造のそれよりも10倍以上も高いが、パウダー
流れ込み量が0.1kg/m2 以下であっても定常的な
実操業が行われており、このことから推測して、0.3
kg/m3 の流れ込み量は十分な量と考えることができ
る。従って、本発明では、鋳片引き抜き速度が2m/m
in以上の高速度域においても、高粘度パウダーの流れ
込み量の目標を0.3kg/m3 以上とした。
【0012】モールドパウダーの流れ込みにおいては、
鋳型振動の果たす役割が大きい。図1に、通常用いられ
ている鋳型でのモールドパウダーの流れ込みのメカニズ
ムを模式的に示す。図1に示す鋳型1では、鋳型1を構
成する鋳型銅板2の内面は、鋳片引き抜き方向下方に向
かって狭まるテーパーを有するか若しくはテーパーが無
いストレート状である。この鋳型1内の溶鋼4上には、
モールドパウダー6が添加され、溶鋼4側のモールドパ
ウダー6は溶融して溶融パウダー8となり、その上には
未溶融パウダー7が存在している。
【0013】図1(A)は鋳型1が鋳片引き抜き速度よ
りも速い速度で下方に移動している状態を示す図で、こ
の場合には、鋳型銅板2の内壁に付着した固着層9によ
り凝固シェル5の先端部が鋳型1の内面側に押し曲げら
れており、溶融パウダー8は、固着層9が障害となって
鋳型銅板2と凝固シェル5との間隙に流入できない状態
となっている。尚、固着層9は一旦溶融したモールドパ
ウダー6が固化したものである。図1(B)は、鋳型1
が凝固シェル5に対して上方に移動している状態を示す
図で、この場合には、固着層9は鋳型振動により凝固シ
ェル5よりも上方位置に移動し、固着層9が移動したで
きた空隙を溶融パウダー8が充填する。そして、溶融パ
ウダー8が鋳型銅板2と凝固シェル5との間隙に流入す
る。
【0014】このように、モールドパウダー6は、鋳型
1が凝固シェル5に対して上方に移動する間に流れ込ん
でいる。しかしながら、通常、鋳型1の内面は鋳片引き
抜き方向下方に向かって狭まるテーパーを有しているの
で、鋳型1が凝固シェル5に対して上方に移動した際に
は、鋳型1と凝固シェル5との間隙は狭くなり、溶融パ
ウダー8の流れ込み量が抑制される。鋳型1の内面がテ
ーパーを有していない場合でも、鋳型1と凝固シェル5
との間隙は広くなるわけではなく、同様に溶融パウダー
8の流れ込み量が抑制される。
【0015】このパウダー流れ込み機構に基づけば、鋳
型1が凝固シェル5に対して上方に移動する期間に鋳型
銅板2と凝固シェル5との間隙を拡大させれば、溶融パ
ウダー8の流れ込み量が増大することが予想できる。そ
こで、鋳型1の内面を鋳片引き抜き方向下方に向かって
広がるテーパー形状とし、鋳型内の溶鋼湯面位置を鋳片
引き抜き方向下方に向かって広がるテーパー部分の範囲
内として鋳造し、その時のパウダー消費量を調査した。
その結果、モールドパウダーの流れ込み量を増大させる
ことが可能との知見が得られた。
【0016】本発明は、この知見に基づきなされたもの
で、第1の発明による鋼の連続鋳造方法は、少なくとも
溶鋼湯面近傍の鋳型内面形状を鋳片引き抜き方向下方に
向かって広がるテーパー形状とした鋳型を用い、この鋳
型内の溶鋼湯面上にモールドパウダーを添加して鋳造す
ることを特徴とするものである。
【0017】第2の発明による鋼の連続鋳造方法は、溶
鋼湯面近傍の鋳型内面形状を鋳片引き抜き方向下方に向
かって広がるテーパー形状とし、このテーパー部分より
も鋳片引き抜き方向下方の部分は、鋳片引き抜き方向下
方に向かって狭まるテーパー形状とするか若しくはテー
パーの無い形状とした鋳型を用い、この鋳型内の溶鋼湯
面上にモールドパウダーを添加して鋳造することを特徴
とするものである。
【0018】又、第3の発明による鋼の連続鋳造方法
は、第1の発明又は第2の発明において、鋳片引き抜き
方向下方に向かって広がるテーパーの値を2〜10%と
することを特徴とし、第4の発明による鋼の連続鋳造方
法は、第1の発明ないし第3の発明の何れかにおいて、
1300℃における粘度が下記の(1)式の範囲を満足
するモールドパウダーを鋳型内の溶鋼湯面上に添加する
ことを特徴とするものである。但し、(1)式におい
て、ηは1300℃におけるモールドパウダーの粘度
(Pa・s)、Vcは鋳片引き抜き速度(m1/mi
n)である。
【0019】
【数1】
【0020】本発明では、溶鋼湯面近傍の鋳型内面形状
を鋳片引き抜き方向下方に向かって広がるテーパー形状
としているので、鋳型が凝固シェルに対して上方に移動
する際には、鋳型が上方に移動するほど鋳型と凝固シェ
ルとの間隙が拡大する。そして、この拡大した隙間に溶
融パウダーが流入するので、モールドパウダーの流れ込
み量を促進させることができる。
【0021】このメカニズムによるモールドパウダーの
流れ込み状況を図2に模式的に示す。図2に示す鋳型1
では、鋳型1を構成する鋳型銅板2の内面は、鋳片引き
抜き方向下方に向かって広がるテーパーを有している。
この鋳型1内の溶鋼4上には、モールドパウダー6が添
加され、溶鋼4側のモールドパウダー6は溶融して溶融
パウダー8となり、その上には未溶融パウダー7が存在
している。
【0022】図2(A)は鋳型1が鋳片引き抜き速度よ
りも速い速度で下方に移動している状態を示す図で、こ
の場合には、図1(A)の場合と同様に、鋳型銅板2の
内壁に付着した固着層9により凝固シェル5の先端部が
鋳型1の内面側に押し曲げられており、溶融パウダー8
は、固着層9が障害となって鋳型銅板2と凝固シェル5
との間隙に流入できない状態となっている。図2(B)
は、鋳型1が凝固シェル5に対して上方に移動している
状態を示す図で、この場合には、鋳型銅板2の内面が下
に広がるテーパーを有しているので、固着層9が移動し
たできた広い空隙に多くの溶融パウダー8が流入し、そ
して、溶融パウダー8は鋳型銅板2と凝固シェル5との
間隙に流入する。
【0023】
【発明の実施の形態】以下、図を参照して本発明の実施
の形態を説明する。図3は、本発明の実施の形態の例を
示す図で、スラブ連続鋳造機の鋳型部分を鋳片短辺側か
ら見た概要図、図4は、図3の鋳型に取り付けられる長
辺鋳型銅板を示す図で、(A)は正面図で(B)は側面
図である。
【0024】スラブ連続鋳造機の鋳型1は、相対する一
対の長辺鋳型銅板3と、この長辺鋳型銅板3に挟まれ
た、相対する一対の短辺鋳型銅板(図示せず)とを具備
している。短辺鋳型銅板は長辺鋳型銅板3内を移動して
任意の幅のスラブ鋳片を鋳造可能としている。長辺鋳型
銅板3と短辺鋳型銅板とで形成する矩形型の空間内に
は、タンディッシュ(図示せず)の底部に設置された浸
漬ノズル10が挿入されており、タンディッシュ内の溶
鋼4は浸漬ノズル10を通り、浸漬ノズル10の先端部
に設けられた吐出孔11から鋳型1内に鋳造される。鋳
型1内に鋳造された溶鋼4は、鋳型1により冷却されて
凝固シェル5を形成する。凝固シェル5は下方に連続的
に引き抜かれながらその厚みを増大し、やがて中心部ま
で凝固する。鋳型1は、連続鋳造中凝固シェル5に沿っ
て上下に振動しており、鋳型1内の溶鋼湯面12上には
モールドパウダー6が添加されている。モールドパウダ
ー6は溶鋼4から熱を受け、溶鋼4側は溶融して溶融パ
ウダー8となり、その上には未溶融パウダー7が存在し
ている。
【0025】長辺鋳型銅板3の上部側には、鋳片引き抜
き方向下方に向かって広がるテーパー(以下「逆テーパ
ー」と記す)部3aが設けられている。この逆テーパー
部3aの範囲内に溶鋼湯面12の位置を保持して鋳造を
実施する。逆テーパー部3aの鋳片引き抜き方向の長さ
(L)は、鋳型振動のストローク(振動の上下限の巾)
以上であれば理論的には十分であるが、実際の鋳造では
溶鋼湯面12の位置が鋳造中に上下に変動するので、そ
れを考慮して設置すればよい。具体的には50〜200
mmあれば十分である。尚、鋳片引き抜き方向下方に向
かって広がるテーパー形状とは、溶鋼湯面12の位置の
鋳型内面積に比べて、その下方の鋳型内面積が広くなっ
た形状を表しており、従って、長辺鋳型銅板3に挟まれ
ており、最終的に長辺鋳型銅板3の間隔を決定する短辺
鋳型銅板の形状も考慮する必要がある。
【0026】鋳型1の逆テーパー値は2〜10%とする
ことが好ましい。逆テーパー値が2%未満ではその効果
が少なく、一方、10%を越えるとオッシレーションマ
ークが深くなり、鋳片表面性状の劣化を招く虞がある。
ここで、逆テーパー値とは、鋳片引き抜き方向の長さ
(L)に対する逆テーパー部3aの深さ(d)の百分率
(100d/L)であり、相対する長辺鋳型銅板3の双
方に逆テーパー部3aが設置されている場合には、双方
の逆テーパー値の和が鋳型1の逆テーパー値となる。
【0027】又、モールドパウダー6としては、鋳片引
き抜き速度に応じて、1300℃における粘度が前述の
(1)式の範囲を満足するモールドパウダー6を用いる
ことが好ましい。(1)式の左辺から算出される粘度よ
り低い粘度のモールドパウダー6では、鋳片の横割れ発
生頻度が高くなり、一方、(1)式の右辺から算出され
る粘度よりも高い粘度のモールドパウダー6では、流れ
込み量が少なくなり、安定して0.3kg/m3 以上の
流れ込み量を確保できないからである。
【0028】図5は、逆テーパー部3aが設置された他
の長辺鋳型銅板3を示す図であり、(A)は逆テーパー
部3aが円弧状の長辺鋳型銅板3を示し、(B)は逆テ
ーパー部3aに続く部分が長辺鋳型銅板3の下端まで傾
斜した長辺鋳型銅板3を示し、(C)は逆テーパー部3
aから下部がそのまま溝状になった長辺鋳型銅板3を示
している。これらの長辺鋳型銅板3は何れも本発明で使
用することができる。図4及び図5に示す長辺鋳型銅板
3は、例えば、一旦長辺鋳型銅板3の横方向全長を切削
加工し、その後、側面側の加工部を溶射や鍍金等により
埋め戻し、仕上げ加工することにより製造することがで
きる。
【0029】このようにして鋳造することで、鋳片引き
抜き速度が2.0m/以上の高速度鋳造条件において高
粘度モールドパウダーを使用しても、モールドパウダー
の消費量が確保され、高い鋳型内潤滑を維持した鋳造が
可能となる。その結果、このような高速度鋳造条件でも
モールドパウダーの巻き込みを防止することが可能とな
り、直送圧延においても極めて表面性状に優れた鋼板の
製造が達成される。
【0030】尚、上記説明では鋳片鋳型銅板3のみに逆
テーパー部3aを設置しているが、短辺鋳型銅板にも逆
テーパー部3aを設置しても良い。又、逆テーパー部3
aが短辺鋳型銅板の範囲まで拡大しないように長辺鋳型
銅板3の中央部にのみ逆テーパー部3aを設置している
が、短辺鋳型銅板の側面を長辺鋳型銅板3の形状に沿っ
て加工する場合には、長辺鋳型銅板3の巾方向全域に逆
テーパー部3aを設置することができる。更に、本発明
はスラブ連続鋳造機に限るものではなく、ブルーム連続
鋳造機やビレット連続鋳造機にも適用可能である。
【0031】
【実施例】1300℃におけるモールドパウダーの粘度
を1.5Pa・s(高粘度域)から0.3Pa・s(低
粘度域)までの範囲に変更し、図3及び図4に示すスラ
ブ連続鋳造設備を用い、鋳片引き抜き速度を2m/mi
nとして鋳造した。この時の鋳型振動条件は、ストロー
クが6mm、振動数が140cpm、振動波形が正弦波
形とし、ブリキ向けの低炭素アルミキルド鋼の鋳造を実
施した。低炭素鋼の成分は、C:0.04mass%以下、
Si:0.01mass%以下、Mn:0.1〜0.2mass
%、P:0.008〜0.012mass%、S:0.00
8〜0.015mass%であった。長辺鋳型銅板には、逆
テーパー部を鋳片引き抜き方向に100mmの範囲で設
置した。逆テーパー部のテーパー値は、2%、5%、1
0%、20%とした。比較のために逆テーパー部が設置
されていない従来の鋳型でも鋳造した。
【0032】モールドパウダーの流れ込み量と逆テーパ
ー値との関係を図6に示す。パウダー流れ込み量は、逆
テーパー値を大きくするほど増大した。通常鋳型(直線
順テーパー)では、粘度の高いモールドパウダーを使用
した際に流れ込み量が少なくなり、鋳片表面に縦割れが
発生した。特に、流れ込み量が0.2kg/m2 以下で
縦割れの発生頻度が高かった。一方、逆テーパー値を増
加させ、パウダーの流れ込み量が多すぎる場合には、鋳
型振動に伴うオッシレーションマークが深くなった。例
えば、逆テーパー値が20%の場合には、1.5Pa・
sの高粘度パウダーを使用しても流れ込み量が0.5k
g/m2 となり、オッシレーションマークの深さが平均
で0.6mmとなり、通常の順テーパー鋳型で鋳造した
スラブ鋳片のオッシレーションマークに比べて約3倍も
深くなり、1mm以上の深さのオッシレーションマーク
部では、これを起点に横割れが発生した。
【0033】パウダーの巻き込みに起因する薄鋼板の表
面欠陥は、高粘度パウダーを使用した場合に激減した。
その結果を図7に示す。1300℃における粘度が0.
75Pa・s以上のモールドパウダーではパウダーの巻
き込みは皆無であった。
【0034】又、逆テーパー値が5%の鋳型を用い、1
300℃における粘度が0.3〜1.5Pa・sのモー
ルドパウダーを用いて、鋳片引き抜き速度を1.0〜
3.0m/minの範囲で変更した鋳造を実施し、パウ
ダー消費量及び鋳片横割れ疵発生頻度に及ぼすパウダー
粘度の影響を調査した。その結果、モールドパウダーの
流れ込み量が0.3kg/m2 以上の場合には、鋳型内
の潤滑性が確保されることが分かった。但し、流れ込み
量が0.5kg/m2 以上になると、深いオッシレーシ
ョンマークが形成され、鋳片の横割れが発生することが
分かった。この2つの限界曲線を図8に示す。潤滑性を
補償するための粘度と鋳片引き抜き速度との関係式とし
て、下記の(2)式が得られた。但し(2)式におい
て、ηは1300℃におけるモールドパウダーの粘度
(Pa・s)、Vcは鋳片引き抜き速度(m/min)
である。
【0035】
【数2】
【0036】同様に、鋳片横割れを防止するための粘度
と鋳片引き抜き速度との関係式として、下記の(3)式
が得られた。但し(3)式において、ηは1300℃に
おけるモールドパウダーの粘度(Pa・s)、Vcは鋳
片引き抜き速度(m/min)である。
【0037】
【数3】
【0038】これらの結果から、潤滑性を補償し且つ鋳
片横割れを防止するための最適範囲として、下記の
(1)式を得ることができた。
【0039】
【数4】
【0040】
【発明の効果】本発明によれば、鋳片引き抜き速度が
2.0m/以上の高速度鋳造条件において高粘度のモー
ルドパウダーを使用しても、モールドパウダーの消費量
が確保され、高い鋳型内潤滑を維持した鋳造が可能とな
る。その結果、このような高速度鋳造条件でもモールド
パウダーの巻き込みを防止することが可能となり、直送
圧延においても極めて表面性状に優れた鋼板の製造が達
成され、工業上有益な効果がもたらされる。
【図面の簡単な説明】
【図1】通常用いられている鋳型でのモールドパウダー
の流れ込みのメカニズムを模式的に示す図である。
【図2】本発明におけるモールドパウダーの流れ込みの
メカニズムを模式的に示す図である。
【図3】本発明の実施の形態の例を示す図である。
【図4】図3の鋳型に取り付けられる長辺鋳型銅板を示
す図である。
【図5】本発明で適用可能な他の長辺鋳型銅板3を示す
図である。
【図6】モールドパウダーの流れ込み量と逆テーパー値
との関係を示す図である。
【図7】モールドパウダーの巻き込みに及ぼすパウダー
粘度の影響を示す図である。
【図8】モールドパウダーの粘度の最適範囲と鋳片引き
抜き速度との関係を示す図である。
【図9】水モデル実験によりモールドパウダーの巻き込
み現象に及ぼす各種要因の影響を調査した結果を示す図
である。
【符号の説明】
1 鋳型 2 鋳型銅板 3 長辺鋳型銅板 3a 逆テーパー部 4 溶鋼 5 凝固シェル 6 モールドパウダー 7 未溶融パウダー 8 溶融パウダー 9 固着層 10 浸漬ノズル 11 吐出孔 12 溶鋼湯面
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 中田 正之 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 Fターム(参考) 4E004 AA07 JA00 MB14 NC01

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも溶鋼湯面近傍の鋳型内面形状
    を鋳片引き抜き方向下方に向かって広がるテーパー形状
    とした鋳型を用い、この鋳型内の溶鋼湯面上にモールド
    パウダーを添加して鋳造することを特徴とする鋼の連続
    鋳造方法。
  2. 【請求項2】 溶鋼湯面近傍の鋳型内面形状を鋳片引き
    抜き方向下方に向かって広がるテーパー形状とし、この
    テーパー部分よりも鋳片引き抜き方向下方の部分は、鋳
    片引き抜き方向下方に向かって狭まるテーパー形状とす
    るか若しくはテーパーの無い形状とした鋳型を用い、こ
    の鋳型内の溶鋼湯面上にモールドパウダーを添加して鋳
    造することを特徴とする鋼の連続鋳造方法。
  3. 【請求項3】 鋳片引き抜き方向下方に向かって広がる
    テーパーの値を2〜10%とすることを特徴とする請求
    項1又は請求項2に記載の鋼の連続鋳造方法。
  4. 【請求項4】 1300℃における粘度が下記の(1)
    式の範囲を満足するモールドパウダーを鋳型内の溶鋼湯
    面上に添加することを特徴とする請求項1ないし請求項
    3の何れか1つに記載の鋼の連続鋳造方法。 1/Vc<η<1.9/Vc…(1) 但し(1)式において、ηは1300℃におけるモール
    ドパウダーの粘度(Pa・s)、Vcは鋳片引き抜き速
    度(m/min)である。
JP2000401972A 2000-12-28 2000-12-28 鋼の連続鋳造方法 Pending JP2002205147A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000401972A JP2002205147A (ja) 2000-12-28 2000-12-28 鋼の連続鋳造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000401972A JP2002205147A (ja) 2000-12-28 2000-12-28 鋼の連続鋳造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2002205147A true JP2002205147A (ja) 2002-07-23

Family

ID=18866333

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2000401972A Pending JP2002205147A (ja) 2000-12-28 2000-12-28 鋼の連続鋳造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2002205147A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN108637195A (zh) * 2018-04-24 2018-10-12 舞阳钢铁有限责任公司 防止连铸坯近表层气孔缺陷的连铸工艺

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN108637195A (zh) * 2018-04-24 2018-10-12 舞阳钢铁有限责任公司 防止连铸坯近表层气孔缺陷的连铸工艺

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Suzuki et al. Development of a new mold oscillation mode for high-speed continuous casting of steel slabs
JP3993623B1 (ja) 高Al鋼の連続鋳造方法
CN110252983B (zh) 一种微合金钢近终型异形连铸坯裂纹控制方法
JP2002205147A (ja) 鋼の連続鋳造方法
JP4749997B2 (ja) 連続鋳造方法
JP2005297001A (ja) 鋼の連続鋳造方法
JP5073698B2 (ja) 溶融金属の連続鋳造方法
JP2007125575A (ja) 連続鋳造鋳片の製造方法
JP2009136908A (ja) 連続鋳造における鋳込終了後の鋳片の引抜方法
JP6701379B2 (ja) モールドフラックス及びこれを利用した鋳造方法
JPH059188B2 (ja)
JP4747954B2 (ja) 高合金鋼の連続鋳造方法
JP4527693B2 (ja) 高Al鋼スラブの連続鋳造方法
JPH04178240A (ja) ステンレス鋼の連続鋳造方法
JP2018149602A (ja) 鋼の連続鋳造方法
JP4910357B2 (ja) 鋼の連続鋳造方法
JP4011929B2 (ja) 鋼の連続鋳造方法
JP3205018B2 (ja) 表面性状の優れた連続鋳造鋳片の製造方法
JPS5838646A (ja) 中炭域鋼スラブの連続鋳造方法
JPH0243574B2 (ja)
JP3238073B2 (ja) 鋼の連続鋳造用フロントパウダー
JP2002239701A (ja) 連続鋳造方法
JPH09277001A (ja) ステンレス鋼鋳片の連続鋳造方法
JPH08187563A (ja) 電磁力を応用した連続鋳造法
JP2004106054A (ja) 連続鋳造用鋳型及び連続鋳造方法

Legal Events

Date Code Title Description
RD01 Notification of change of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7421

Effective date: 20060921