JP2002203814A - 成膜方法及び装置 - Google Patents

成膜方法及び装置

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JP2002203814A
JP2002203814A JP2000389239A JP2000389239A JP2002203814A JP 2002203814 A JP2002203814 A JP 2002203814A JP 2000389239 A JP2000389239 A JP 2000389239A JP 2000389239 A JP2000389239 A JP 2000389239A JP 2002203814 A JP2002203814 A JP 2002203814A
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JP2000389239A
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Kazuo Inaba
和雄 稲葉
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Applied Materials Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 PVD法によって形成したTi薄膜上に生じ
る微小隆起を十分に消滅でき、これによりデバイス特性
への影響を防止できる成膜方法及び装置を提供する。 【解決手段】 成膜システム1は、半導体ウェハW上に
PVD法によりTi薄膜を成膜し且つそのTi薄膜を加
熱処理するためのチャンバ10と、加熱処理されたTi
薄膜上に、順次バリア層及び金属配線層を形成するため
のチャンバ20,30を備えるものである。本発明の成
膜方法においては、半導体ウェハWをチャンバ10のサ
セプタ15上に載置してTi薄膜を形成した後、そのウ
ェハをヒーター2により所定温度で所定時間加熱する。
これにより、Ti薄膜上に生じ得る微小隆起を十分に消
滅させることができ、Ti薄膜の平坦化及び均質化が図
られる。その結果、Ti薄膜上に形成された金属配線層
に屈曲等が生じることを防止できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、成膜方法及び装置
に関し、詳しくは、基体上に成膜したチタン薄膜等のチ
タン原子を含む膜を改質できる成膜方法及び装置に関す
る。
【0002】
【従来の技術】従来より、メモリ素子、論理素子等の半
導体装置を製造する際の配線形成方法としては、半導体
ウェハ等の基体上に設けられた各素子間の導電経路とな
るトレンチ、コンタクトホール、スルーホール、ヴィア
ホール、等の凹部に、例えばアルミニウム(Al)等の
金属材料を成膜する方法が広く用いられている。一般
に、金属材料としてAlを用いる場合には、配線として
のAl層の下地膜として、窒化チタン(TiN)等から
成るバリア膜、及び、そのバリア膜の成膜時の濡れ性を
改善するためのチタン(Ti)膜等が形成される。この
ような下地膜としてのTi膜の形成方法としては、物理
気相堆積(PVD)法が広く用いられている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、本発明者
は、上記PVD法で形成したTi薄膜の性状について詳
細に検討したところ、Ti薄膜上に微小な隆起が出現す
る場合があることを見出した。図10は、PVD法によ
ってTi薄膜を形成したSiウェハ表面のSEM写真の
一例を示す。このウェハは、Applied Materials 社製P
VDチャンバ(製品名;DURA Coherent、8インチDuraso
urce、Coherentタイプ、Co-Tiターゲット)を用い、8
インチ径のシリコン(Si)ベアウェハ上に、チャンバ
内圧5mTorr(Ar)、成膜温度150℃、及び成
膜時間120秒でTi薄膜(厚さ:約0.1μm(10
00Å))を成膜したものである。また、図11は、そ
のウェハ表面上に認められた微小隆起の一つを更に拡大
して示すSEM写真の一例である。
【0004】このときの微小隆起の形状は、幅が数百n
m〜約1μm程度、高さが概ね数nm〜数十nmである
ことが確認された。また、本発明者は、チャンバ、ター
ゲットの形状等を種々変えて更に成膜試験を行い、得ら
れたSiウェハ上のTi薄膜について観察を行った結
果、チャンバ等の種類によらず、図11に示すのと同様
の形状を成す微小隆起が生じることが判明した。
【0005】さらに、図12(A)〜(C)及び図13
(A)〜(C)は、上記のPVDチャンバを用い、成膜
温度をそれぞれ50、100、150、200、30
0、500℃(チャンバ内圧1mTorr)としてTi
薄膜を成膜したときのウェハ表面を示す顕微鏡暗視野写
真である。図中、白点状に示されるものが微小隆起であ
り、このケースでは、成膜温度が200℃以上のとき
(図13(A)〜(C)参照)に微小隆起が有意に発生
することが確認された。また、このような微小隆起が生
じたTi薄膜の膜特性を試験したところ、特に不都合な
点は認められなかった。
【0006】これらの知見に基づいて判断すれば、PV
D法によって形成したTi薄膜における微小隆起は、プ
ロセス装置やチャンバ、或いは成膜条件等の影響が多少
はあるものの、通常の殆どの成膜装置及び条件において
発生していると推定される。ただし、上述の如く、膜特
性上は特に問題がないため、Ti薄膜上に金属配線が形
成されて成る半導体素子等のデバイス特性には、現状、
悪影響を与えるものではないと考えられる。また、Ti
薄膜形成後の何らかの工程において、微小隆起が消滅す
る現象が引き起こされ、これによりデバイス特性上の問
題が生じていない可能性も想到される。
【0007】しかし、近年、半導体装置の微細化や多層
化は益々加速されており、このような状況下では、将来
的に、上記Ti薄膜における微小隆起がデバイス特性に
影響を及ぼすおそれも考えられる。このような微小隆起
によって引き起こされるであろう具体的な問題点の詳細
については、未だ不明であるが、例えば、以下に示すよ
うな事象が考えられる。
【0008】すなわち、Ti薄膜上に形成された配線
が、微小隆起の上方部においてその形状に沿って多少屈
曲叉は彎曲し、この状態で後工程において微小隆起が消
滅するとその部位がへこんで配線層と下層との界面部に
空隙(隙間)が生じるおそれがある。こうなると、その
空隙内に不純物等が集積し、その結果、エレクトロマイ
グレーションが引き起こされるおそれがある。なお、現
状ではこのような現象は顕在化していない。
【0009】そこで、本発明はこのような事情に鑑みて
なされたものであり、PVD法によって形成したTi薄
膜上に生じる微小隆起を十分に消滅でき、これにより、
将来的に引き起こされる可能性のあるデバイス特性への
影響を未然に防止できる成膜方法及び装置を提供するこ
とを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本発明者は、種々の改良プロセスを発案し、それら
の効用に関して鋭意研究評価を実施した結果、Ti薄膜
形成後のウェハを熱処理するといった簡便で操作性に優
れる処理工程が、微小隆起を消滅させるのに極めて有効
であることを見出し、本発明に到達した。
【0011】すなわち、本発明による成膜方法は、
(1)基体上に物理気相堆積(PVD)法によりチタン
(Ti)原子を含む膜を形成する第1の膜形成工程と、
(2)そのチタン原子を含む膜を所定温度で加熱する熱
処理工程と、(3)加熱処理された膜上に金属から成る
膜を形成する第2の膜形成工程とを備えることを特徴と
する。
【0012】このような構成を有する成膜方法では、第
1の膜形成工程において、通常のPVD法により基体上
にTi薄膜といったTi原子を含む膜(以下、「Ti薄
膜等」という)が形成され、この基体が熱処理工程で加
熱処理される。この処理により、Ti薄膜等に生じた微
小隆起が有意に軽減され、温度等の条件を適宜調整する
ことにより、微小隆起を略完全に消滅させ得ることが確
認された。このような微小隆起の組成、結晶構造、内部
形状等の詳細は未解明であり、その消滅メカニズムも明
らかになっていないが、加熱処理により、言わば焼きな
まし(アニーリンング)と同様の効果が奏され、これに
より結晶構造等の性状に何らかの変化が生じることが一
因と考えられる。
【0013】この場合、‘完全焼きなまし’のような再
結晶化が生じているか否かも不明ではあるが、例えば、
微小隆起部の転移密度が増減することにより、隆起部と
それ以外の平坦部の回復状態が同等になるといった応力
(ストレス)緩和がなされ、或いは、適度な熱拡散によ
り微小隆起周辺との均質化が図られるのではないかと推
定される。ただし、作用機序はこれらに限定されるもの
ではない。
【0014】そして、このように微小隆起を実質的に消
滅させた後に、第2の膜形成工程において、金属配線層
となる金属膜が形成される。このとき、熱処理工程と第
2の膜形成工程と間に、例えばTiN膜の成膜といった
他の工程を実施してももちろんよい。いずれにしても、
上述したような微小隆起に起因して生じるおそれがある
金属配線の屈曲等を十分に抑制できる。
【0015】また、従来は、Al等の金属膜を形成させ
た後、Al原子の局所移動による配線断線(エレクトロ
マイグレーション)を防止すべく加熱処理を実施するこ
とが一般に行われている。もし、このAl原子の局所移
動が、上記の微小隆起に起因しているとすれば、本発明
の実施により、従来の金属膜成膜後の加熱処理を省略叉
は軽減し得ると考えられる。
【0016】また、熱処理工程においては、Ti原子を
含む膜を、好ましくは300〜500℃、より好ましく
は350〜450℃の範囲内の温度で加熱すると有用で
ある。この温度が300℃未満であってもTi薄膜上の
微小隆起の改善が見られるものの、その効果を必ずしも
十分に得難い傾向にある。その一方でこの温度が500
℃を超えると、成膜したTi薄膜等がその下層の物質と
反応してそれらの共晶が生じるおそれがある。こうなる
と、Ti薄膜上に形成した金属配線層の導電特性に悪影
響を及ぼすおそれがある。具体的には、トレンチ部にお
ける下地のSi、多層構造のヴィアホール部等における
下地のAl等とTiとの反応が挙げられ、特に、Alの
場合には、そのダメージ、例えばストレスマイグレーシ
ョンが有意となるおそれがある。
【0017】さらに、熱処理工程においては、チタン原
子を含む膜を、好ましくは5〜150秒間、より好まし
くは30〜150秒間、特に好ましくは60〜150秒
の範囲内の時間加熱すると一層好適である。この加熱時
間が5秒未満であると、加熱温度が低い場合(300℃
近傍叉はそれ以下の温度)に、微小隆起の消滅効果が十
分に得られない傾向ある。これに対し、加熱時間が15
0秒を超えると、加熱温度が高い場合(500℃近傍叉
はそれ以上)に、上述した下地物質との反応や金属配線
へのダメージが顕著となる傾向にあり、また、スループ
ットが不都合な程に低下してしまう。なお、本発明にお
ける上記の加熱時間は、チタン原子を含む膜を有する基
体が前述の所定温度となってからの加熱時間、換言すれ
ば実質的な加熱時間を示す。
【0018】また、本発明による成膜装置は、本発明の
成膜方法を有効に実施するための装置であり、(1)基
体が収容され、この基体上に物理気相堆積法によりTi
原子を含む膜が形成される第1のチャンバと、(2)こ
のチャンバに設けられており、Ti原子を含む膜が形成
された基体を加熱処理する熱処理部と、(3)加熱処理
された基体が収容され、この基体上に金属から成る膜が
形成される第2のチャンバとを備えるものである。
【0019】さらに、(4)熱処理部に接続されてお
り、Ti原子を含む膜が形成された基体の温度が300
〜500℃の範囲内の温度となるように、該熱処理部の
出力を調節する第1の制御部を更に備えると好適であ
る。またさらに、(5)熱処理部に接続されており、T
i原子を含む膜が形成された基体が5〜150秒間加熱
されるように、熱処理部の出力時間叉は作動時間を調節
する第2の制御部を更に備えることが望ましい。
【0020】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態について
詳細に説明する。なお、同一の要素には同一の符号を付
し、重複する説明を省略する。また、上下左右等の位置
関係は、特に断らない限り、図面に示す位置関係に基づ
くものとする。また、図面の寸法比率は、図示の比率に
限られるものではない。
【0021】図1は、本発明による成膜装置の好適な一
実施形態を模式的に示す構成図(一部断面図)である。
成膜システム1(成膜装置)は、基体としての半導体ウ
ェハW上にPVD法によりTi薄膜が成膜されるチャン
バ10(第1のチャンバ)と、このチャンバ10の後段
に、それぞれ搬送系21,31を介して順次接続された
チャンバ20及びチャンバ30(第2のチャンバ)とを
備えるものである。これらのチャンバ20,30は、半
導体ウェハW上にそれぞれPVD法によりTiN膜及び
Al膜を成膜するためのものである。
【0022】また、チャンバ10は、筐体11の上端部
に、マグネット12に固定されたターゲット13がイン
シュレータ14を介して結合されたものであり、内部に
半導体ウェハWを支持するサセプタ15が配置されてい
る。また、サセプタ15に対向するターゲット13は、
接地された直流電源Dに接続されている。
【0023】さらに、サセプタ15の周囲には、半導体
ウェハWを固定するためのクランプ16が設置されてお
り、その周囲には更にシールド17が設けられている。
このシールド17は、高周波電源R及び直流電源Dの接
地電位と同電位に接地されている。これらのターゲット
13、サセプタ15、シールド17等によりチャンバ1
0内部に反応室10aが画成されている
【0024】また、サセプタ15にはヒーター2(熱処
理部)が内臓されており、これにより、サセプタ15上
に載置された半導体ウェハWが加熱されるようになって
いる。このヒーター2は図示しない電源に接続されてい
る。さらに、サセプタ15の内部には、半導体ウェハW
の温度を測定する複数の温度センサ3が設けられてい
る。なお、図示の便宜上、一つの温度センサ3のみ図示
した。
【0025】またさらに、成膜システム1は、CPU4
1と、これに接続された出力インターフェイス42及び
入力インターフェイス43を有する制御部4を備えてお
り、ヒーター2が出力インターフェイス42を介して、
且つ、温度センサ3が入力インターフェイス43を介し
て制御部4のCPU41に接続されている。この制御部
4は、ヒーター2の出力(熱出力)及び出力時間叉は作
動時間を調節するものである。すなわち、制御部4は、
本発明における第1の制御部及び第2の制御部を兼ねる
ものである。また、温度センサ3からの温度出力値に基
づくフィードバック制御も可能であり、この場合には、
温度センサ3も第1の制御部及び第2の制御部の構成要
素となる。
【0026】さらにまた、チャンバ10には、配管51
を介してプロセスガス供給系5が接続されており、配管
61を介して真空ポンプ(図示せず)等を有する排気系
6が接続されている。この排気系6によりチャンバ10
内が減圧されて、反応室10a内が所定の減圧雰囲気と
され、プロセスガス供給系5からアルゴン(Ar)ガス
等のプロセスガスがチャンバ10内に供給される。
【0027】このように構成された成膜システム1を用
いた本発明による成膜方法の一例について、図1及び図
2を参照して以下に説明する。図2(A)〜(E)は、
本発明による成膜方法の好適な一実施形態によって基体
としての半導体ウェハWa上にAl等の金属配線層を形
成している状態を示す工程図である。この半導体ウェハ
Waは、基層100上に、トレンチやホール等の凹部H
が形成された単層叉は多層のSiO2等から成る絶縁層
101が設けられたものである。基層100としては、
ケイ素(Si)から成る層、叉は、多層配線の場合には
Al等の金属膜から成る層、等が挙げられる。
【0028】まず、図2(A)に示す半導体ウェハWa
を、チャンバ10内のサセプタ15上の所定位置に載置
し、クランプ16を用いて固定する。なお、半導体ウェ
ハWaは、予め脱ガスがされ、且つ、オリエーションフ
ラットの調整が行われ、更に表面に形成された自然酸化
膜等の不要な膜が取り除かれたものである。次いで、こ
の状態で、チャンバ10内を排気し所定の圧力とした
後、プロセスガス供給系5から例えばArガスをチャン
バ10内に供給する。
【0029】さらに、ヒーター2を運転して半導体ウェ
ハWaを所定の温度に加熱する。このとき、制御部4か
らの制御信号により、半導体ウェハWaの温度が所望の
温度(設定値)となるように調節する。また、ターゲッ
ト12(ここでは、少なくともサセプタ15に対向する
部分がTiから成るものを用いる)に所定の直流電圧を
印加して例えば正の所定電位とし、反応室10a内にプ
ラズマを形成させる。これと共に、サセプタにバイアス
用の高周波電力を印加する。これにより、Tiが半導体
ウェハWa上にスパッタされ、凹部Hを含む表面にTi
膜から成るTi層102が形成された半導体ウェハWb
を得る(図2(B)参照;第1の膜形成工程)。
【0030】この工程におけるTi層102の成膜条件
としては、例えば以下の条件が挙げられる。 〈第1の膜形成工程(PVD−Tiプロセス)における
Ti成膜条件〉 ・チャンバ内圧力:0.13〜1.3Pa(1〜10mTor
r) ・成膜温度:20〜400℃ ・プロセスガス:Ar、流量5〜100ml/分(sccm) ・Ti層厚:300〜1500Å
【0031】次に、ターゲット13への電圧印加及びサ
セプタ15への高周波電力の印加を停止する。その後、
制御部4からヒーター2へ出力制御信号及び出力時間叉
は作動時間の制御信号を出力し、半導体ウェハWbを所
定の温度に所定時間加熱する(熱処理工程)。前述の如
く、PVD−Tiプロセスである第1の膜形成工程で成
膜したTi層102上には微小隆起が生じる傾向にある
が、この熱処理工程を施すことにより、そのような微小
隆起が十分に軽減され、実質的に消滅する。こうして、
Ti層102の平坦化及び均質化を達成でき、言わばT
i層102が改質されて成る改質Ti層102aが成膜
された半導体ウェハWc(図2(C)参照)を得ること
ができる。
【0032】このような微小隆起の消滅現象における詳
細な作用機構は未だ解明されていないが、アニーリンン
グ効果によって、Ti層102の結晶構造等の性状に何
らかの変化が生じたことが要因の一つと考えられる。推
定するに、局所的なTi層102の再結晶化等による相
転移のような劇的な性状変化の有無は不明であるが、例
えば、微小隆起部の転移密度が変化し、これにより、隆
起部とそれ以外の平坦部の回復状態が同等になるように
ストレスが解放されたり、或いは、適度な熱拡散により
Ti層102内の全体的な均質化が図られるといった現
象が関与しているのではないかと考えられる。ただし、
作用はこれらに限定されない。
【0033】このときの処理条件としては、好ましくは
以下の条件が挙げられる。 〈熱処理工程における処理条件〉 ・チャンバ内圧力:0.013〜13.3Pa(0.1〜
100mTorr) ・成膜温度:300〜500℃、更に好ましくは350
〜450℃ ・成膜時間:5〜150秒、更に好ましくは30〜15
0秒、特に好ましくは60〜150秒 ・プロセスガス:Ar、流量5〜100ml/分(sccm)
【0034】ここで、この温度が300℃未満である
と、Ti層102上の微小隆起を十分に消滅させ難い場
合がある。一方、この温度が500℃を超えると、Ti
層102が基層100を構成する物質と反応してそれら
との共晶が生じるおそれがある。こうなると、Ti層1
02上に形成される金属配線層104(後述)が所望の
導電特性を発現し難くなるおそれがある。特に、基層1
00が多層配線におけるAl層の場合には、そのダメー
ジ、例えばストレスマイグレーションが引き起こされる
ことがある。
【0035】また、半導体ウェハWbの加熱時間が5秒
未満であると、加熱温度が低い場合(300℃近傍叉は
それ以下)に、Ti層102の微小隆起の消滅効果が十
分に得られない傾向ある。これに対し、加熱時間が15
0秒を超えると、加熱温度が高い場合(500℃近傍叉
はそれ以上)に、基層100との反応や後述する金属配
線層104へのダメージが顕著となる傾向にある。
【0036】次いで、加熱処理を停止した後、搬送系2
1を経由して半導体ウェハWcをチャンバ20内のサセ
プタ(図示せず)に移載する。そして、半導体ウェハW
c上に通常用いられる条件でPVD法によってTiN膜
から成るバリア層103を形成し、半導体ウェハWd
(図2(D)参照)を得る。
【0037】所定時間、バリア層103の成膜を実施し
た後、搬送系31を経由して半導体ウェハWdをチャン
バ30内のサセプタ(図示せず)に移載する。そして、
半導体ウェハWc上に通常用いられる条件でPVD法に
よってAl膜から成る金属配線層104を形成し、半導
体ウェハWe(図2(E)参照)を得る(第2の膜形成
工程)。
【0038】このように構成された成膜システム1及び
それを用いた本発明の成膜方法によれば、Ti層102
上に生じた微小隆起が加熱処理によるアニーリング効果
によって十分に軽減されて実質的に消滅し、凹凸がない
均質化された改質Ti層102a上にバリア層103及
び金属配線層104を順次形成せしめるので、金属配線
層が微小隆起の凹凸形状に沿って屈曲してしまうことを
十分に防止できる。
【0039】先に述べたように、従来の成膜方法では、
微小隆起が残留した状態で金属配線が形成され、その後
の処理プロセスにおいて何らかの作用によって微小隆起
が消滅してしまうことが考えられ、この場合には、金属
配線層と下層との界面部に空隙が発生する可能性があっ
た。これに対し、本発明によれば、微小隆起を十分に消
滅させことができるので、金属配線層104と、その下
層であるバリア層103、改質Ti層102a、基層1
00との間に空隙が生じることを抑制できる。よって、
不純物がそのような空隙内に集積することがなくなり、
したがって、エレクトロマイグレーションの発生を十分
に抑止できる。
【0040】また、Al等の金属配線層で認めれらる構
成原子の局所移動に起因するエレクトロマイグレーショ
ンが、このような空隙の発生に多少なりとも由来するも
のであれば、従来、Al等の金属配線層を形成させた後
に実施されるアニーリング処理プロセスそのものを省略
できる可能性がある。こうすれば、改質Ti層102
a、バリア層103、金属配線層104への熱負荷を軽
減できる。さらに、本発明の熱処理工程はTi層102
形成後に成膜と同じチャンバ10内で簡便に行えるの
で、半導体デバイスの製造工程を簡略化し得る利点もあ
る。
【0041】また、金属配線層に屈曲が残った状態叉は
空隙が生じて屈曲形状が残存した状態で、金属配線層の
エッチングを行うような場合には、エッチ残滓が発生す
るおそれも懸念されるが、これに対し、本発明によれ
ば、金属配線層104の屈曲を十分に抑止できるので、
このようなエッチ残滓の発生を十分に防止できる。或い
は、金属配線層を、例えば化学的機械研磨等によって研
磨するような場合にも、研磨の均一性を改善できる可能
性がある。
【0042】さらに、Ti層102が形成された半導体
ウェハWbの加熱温度を、好ましくは300〜500
℃、より好ましくは350〜450℃とするので、微小
隆起をより一層良好に消滅させることができる。よっ
て、エレクトロマイグレーションを更に防止できる。ま
た、これとともに、TiとSiやAl等の下層の構成物
質との反応を十分に抑制できる。したがって、ストレス
マイグレーション等の発生といった金属配線層104へ
のダメージを防止し、ひいては金属配線層104の導電
特性の悪化を防ぐことができる。。
【0043】またさらに、半導体ウェハWbの加熱時間
を、好ましくは5〜150秒、より好ましくは30〜1
50秒、特に好ましくは60〜150秒の範囲内の時間
とするので、これによっても、Ti層102上の微小隆
起の消滅効果を十分に高めることができるとともに、基
層100との反応や金属配線層104へのダメージを更
に抑えることができる。また、スループットの低下を抑
え、生産性を良好に維持できる。
【0044】なお、上述した実施形態において、チャン
バ10,20,30を結ぶ搬送系21,31としては、
成膜された半導体ウェハWc,Wdが大気開放されない
ように所定の真空度を発現できるものであればよく、半
導体ウェハWc、Wdの移載機構(装置)も特に限定さ
れない。また、各チャンバ10,20,30が連通する
ように設置される共通のメインフレーム、例えばApplie
d Material 社製のCenturaやEndura(共に登録商標)等
を用いてもよい。さらに、チャンバ10内の反応室10
a内にコヒーレントプレート(Coherent Plate)を配置
してもよい。
【0045】またさらに、チャンバ30としては、CV
D法によってAlのシード層を形成した後、PVD法に
よるAlの埋め込みを行うCVD/PVDメタルインテ
グレーションチャンバ等を用いてもよい。さらにまた、
金属配線層104として、Al合金膜を形成させてもよ
い。この場合のスパッタターゲットとしては、例えば、
Alを90%以上、好ましくは95%以上含み、残部と
して、Al以外の金属、例えばCu(銅)、ケイ素(S
i)等、及び、不可避不純物を含有する合金が例示され
る。
【0046】
【実施例】以下、本発明に係る具体的な実施例について
説明するが、本発明はこれらに限定されるものではな
い。
【0047】〈実施例1〉図1に示すチャンバ10とし
てApplied Materials 社製PVDチャンバ(製品名;DU
RA Coherent)に8インチDurasource (Co-Tiターゲッ
ト)を装荷したのものを準備し、このチャンバ10内に
8インチ径のシリコン(Si)ベアウェハを載置して、
Ti薄膜を成膜した。このときのTi薄膜の成膜条件を
以下に示す。
【0048】[Ti薄膜の成膜条件] ・ターゲット形状:12.9インチφ×0.46インチ ・フィルターサイズ:0.5インチhex A=1.25 ・出力(DC電源出力):8kW ・チャンバ内圧:1mTorr ・プロセスガス:Arガス、流量20ml/分 ・成膜温度:200℃ ・成膜時間:120秒 ・Ti薄膜厚さ:1000Å ・デガス条件:350℃、30秒
【0049】次に、このTi薄膜が形成されたSiウェ
ハを同一チャンバ10内で、処理温度(Siウェハの温
度)300℃、加熱時間150秒、チャンバ内圧1mT
orr(Arガスフロー有り)の条件で加熱処理した。
次いで、このように加熱処理したSiウェハに対し、チ
ャンバ20としてのPVD−TiNチャンバ内及びチャ
ンバ30としてのPVD−Alチャンバ内で順次成膜を
行い、バリア層及び金属層を形成した。
【0050】〈実施例2〉Ti薄膜成膜時のArガス流
量を15ml/分とし、その後の加熱処理における温度
を400℃としたこと以外は、実施例1と同様にして、
Siウェハ上にTi薄膜、バリア層、及び金属層を順次
形成した。
【0051】〈実施例3〉Ti薄膜成膜後のデガスを実
施しなかったこと以外は、実施例2と同様にして、Si
ウェハ上にTi薄膜、バリア層、及び金属層を順次形成
した。
【0052】〈表面観察試験〉実施例1〜3において、
Ti薄膜成膜後及び加熱処理後のSiウェハの表面観察
を光学式顕微鏡により実施した。図3は、実施例1にお
けるTi薄膜成膜後のSiウェハ表面の略中心部を示す
顕微鏡暗視野写真である。図中、白点状に示されるもの
が微小隆起であり、これより、その存在が確認された。
また、図4及び5は、実施例1における加熱処理後のS
iウェハ表面(それぞれウェハの略中心部及びエッジ
部)を示す顕微鏡暗視野写真である。ウェハのエッジ部
では微小隆起が残存しているものの(図5参照)、中心
部では微小隆起が略完全に消滅したことが確認された
(図4参照)。
【0053】また、図6及び図7は、それぞれ実施例2
におけるTi薄膜成膜後及び加熱処理後のSiウェハ表
面の略中心部を示す顕微鏡暗視野写真である。実施例2
においても、Ti薄膜上に複数の微小隆起が確認され、
加熱処理によりそれらが略完全に消滅することが確認さ
れた。さらに、図8及び図9は、それぞれ実施例3にお
けるTi薄膜成膜後及び加熱処理後のSiウェハ表面の
略中心部を示す顕微鏡暗視野写真である。実施例3にお
いても、Ti薄膜成膜後に複数の微小隆起が確認された
が、加熱処理によりそれらが略完全に消滅することが判
明した。
【0054】なお、図示を省略するが、実施例2及び3
では、Siウェハのエッジ部においても、中心部と同様
に、Tiの微小隆起が加熱処理により略完全に消滅して
いた。これらより、熱処理工程における400℃近傍の
温度条件の更なる優位性が確認された。
【0055】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の成膜方法
及び装置によれば、PVD法によってTi薄膜等のTi
原子を含む膜を形成し、その膜を加熱処理することによ
り、膜上に出現する微小隆起を十分に消滅させることが
できる。そして、このように処理して均質化した膜上に
金属から成る膜(金属配線層)を形成するので、微小隆
起に由来する金属配線層の屈曲等、ひいては金属配線層
とその下層との界面部に生じるおそれがある空隙の発生
を十分に防止できる。したがって、将来的に引き起こさ
れる可能性のあるデバイス特性への影響、例えば更なる
微細化に伴って発生する可能性があるエレクトロマイグ
レーション等を未然に防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による成膜装置の好適な一実施形態を模
式的に示す構成図(一部断面図)である。
【図2】図2(A)〜(E)は、本発明による成膜方法
の好適な一実施形態によって基体としての半導体ウェハ
上にAl配線層を形成している状態を示す工程図であ
る。
【図3】実施例1におけるTi薄膜成膜後のSiウェハ
表面の略中心部を示す顕微鏡暗視野写真である。
【図4】実施例1における加熱処理後のSiウェハ表面
の略中心部を示す顕微鏡暗視野写真である。
【図5】実施例1における加熱処理後のSiウェハ表面
のエッジ部を示す顕微鏡暗視野写真である。
【図6】実施例2におけるTi薄膜成膜後のSiウェハ
表面の略中心部を示す顕微鏡暗視野写真である。
【図7】実施例2における加熱処理後のSiウェハ表面
の略中心部を示す顕微鏡暗視野写真である。
【図8】実施例3におけるTi薄膜成膜後のSiウェハ
表面の略中心部を示す顕微鏡暗視野写真である。
【図9】実施例3における加熱処理後のSiウェハ表面
の略中心部を示す顕微鏡暗視野写真である。
【図10】PVD法によってTi薄膜を形成したSiウ
ェハ表面のSEM写真である。
【図11】PVD法によってTi薄膜を形成したSiウ
ェハ表面上に認められた微小隆起の一つを拡大して示す
SEM写真である。
【図12】図12(A)〜(C)は、成膜温度をそれぞ
れ50、100、150℃(チャンバ内圧1mTor
r)としてTi薄膜を成膜したときのウェハ表面を示す
顕微鏡暗視野写真である。
【図13】図13(A)〜(C)は、成膜温度をそれぞ
れ200、300、500℃(チャンバ内圧1mTor
r)としてTi薄膜を成膜したときのウェハ表面を示す
顕微鏡暗視野写真である。
【符号の説明】
1…成膜システム(成膜装置)、2…ヒーター(熱処理
部)、4…制御部(第1の制御部、第2の制御部)、1
0…チャンバ(第1のチャンバ)、30…チャンバ(第
2のチャンバ)、102…Ti層(Ti原子を含む
膜)、102a…改質Ti層(加熱処理された膜)、1
04…金属配線層(金属から成る膜)、W,Wa…半導
体ウェハ(基体)。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) H01L 21/3205 H01L 21/88 R (72)発明者 稲葉 和雄 千葉県成田市新泉14−3野毛平工業団地内 アプライド マテリアルズ ジャパン 株式会社内 Fターム(参考) 4K029 AA06 AA24 BA03 BA17 BA60 BB02 BD01 CA05 GA01 4M104 AA01 BB14 CC01 DD37 DD43 DD79 FF16 FF22 HH01 HH02 5F033 HH09 HH18 HH33 JJ09 JJ18 JJ33 KK01 KK08 MM08 NN06 NN07 PP06 PP15 QQ73 QQ85 QQ98 WW00 WW03 XX05 XX06 XX33

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基体上に物理気相堆積法によりチタン原
    子を含む膜を形成する第1の膜形成工程と、 前記チタン原子を含む膜を所定温度で加熱する熱処理工
    程と、 前記加熱処理された膜上に金属から成る膜を形成する第
    2の膜形成工程と、を備えることを特徴とする成膜方
    法。
  2. 【請求項2】 前記熱処理工程においては、前記所定温
    度として300〜500℃の範囲内の温度で前記チタン
    原子を含む膜を加熱する、ことを特徴とする請求項1記
    載の成膜方法。
  3. 【請求項3】 前記熱処理工程においては、前記チタン
    原子を含む膜を5〜150秒の範囲内の時間加熱する、
    ことを特徴とする請求項1叉は2に記載の成膜方法。
  4. 【請求項4】 基体が収容され、該基体上に物理気相堆
    積法によりチタン原子を含む膜が形成される第1のチャ
    ンバと、 前記チャンバに設けられており、前記チタン原子を含む
    膜が形成された基体を所定温度で加熱する熱処理部と、 前記加熱処理された基体が収容され、該基体上に金属か
    ら成る膜が形成される第2のチャンバと、を備えること
    を特徴とする成膜装置。
  5. 【請求項5】 前記熱処理部に接続されており、前記所
    定温度が300〜500℃の範囲内の温度となるように
    該熱処理部の出力を調節する第1の制御部を更に備え
    る、ことを特徴とする請求項4記載の成膜装置。
  6. 【請求項6】 前記熱処理部に接続されており、前記チ
    タン原子を含む膜が形成された基体が5〜150秒の範
    囲内の時間加熱されるように、該熱処理部の出力時間叉
    は作動時間を調節する第2の制御部を更に備える、こと
    を特徴とする請求項4叉は5に記載の成膜装置。
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WO2004079724A1 (ja) * 2003-03-05 2004-09-16 Fujitsu Limited 多層構造膜およびその製造方法
JPWO2004079724A1 (ja) * 2003-03-05 2006-06-08 富士通株式会社 多層構造膜およびその製造方法

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