JP2002195355A - 動力伝達用チェーン - Google Patents

動力伝達用チェーン

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JP2002195355A JP2000397931A JP2000397931A JP2002195355A JP 2002195355 A JP2002195355 A JP 2002195355A JP 2000397931 A JP2000397931 A JP 2000397931A JP 2000397931 A JP2000397931 A JP 2000397931A JP 2002195355 A JP2002195355 A JP 2002195355A
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Naozumi Tada
直純 多田
Yukio Yoshida
吉田  幸生
Rihei Yoshikawa
利平 吉川
Seiji Ike
清司 池
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Nihon Karoraizu Kogyo KK
BorgWarner Morse TEC Japan KK
Original Assignee
Nihon Karoraizu Kogyo KK
BorgWarner Automotive KK
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高面圧下においても耐摩耗性を向上させる。 【解決手段】 サイレントチェーンにおいて、リンクプ
レート2のピン穴22にシェービング加工を施す。ま
た、連結ピン3の母材となる鋼の最表部に、バナジウム
炭化物を主成分としかつ少量のクロム炭化物を含む炭化
物層を形成するとともに、当該炭化物層と母材との間の
境界領域に、バナジウム炭化物の含有率が急激に減少し
かつクロム炭化物の含有率が急激に増加している境界層
を形成する。この場合には、ピン穴のシェービング加工
により、ピン穴と連結ピンとの片当たりを防止できる。
また、母材最表部に形成される炭化物層がバナジウム炭
化物を主成分としているので、炭化物層の表層から剥離
が起こるのを防止できる。炭化物層と母材との間の境界
層がクロムを比較的多く含んでいるので、炭化物層と母
材との結合性が向上しており、炭化物層が母材から剥離
するのを防止できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、耐摩耗性を向上さ
せた動力伝達用チェーンに関する。
【0002】
【従来の技術およびその課題】一般に、サイレントチェ
ーンは、一対のピン穴および歯部をそれぞれ有する多数
のリンクプレートを厚み方向および長手方向に積層する
とともに、ピン穴内に挿入した連結ピンで各リンクプレ
ートを枢支可能に連結することにより構成されている。
【0003】このようなサイレントチェーンにおいて
は、チェーンの運転中にリンクがピンの回りを回転摺動
することによってピンが摩耗する。そこで、従来よりピ
ンの耐摩耗性を向上させるための種々の方法が提案され
ている。
【0004】たとえば、特開昭56−41370号公報
に示すものでは、ピン素材にクロマイジング処理を施す
ことにより、ピン素材の表面にクロム炭化物からなる硬
化層を形成している。
【0005】また、特開平10−169723号公報に
示すものでは、ピン素材の表面にクロム、チタニウム、
バナジウム、ニオビウムのうちの少なくとも一つの炭化
物からなる硬化層を形成している。
【0006】本件出願に係る発明者らは、クロム炭化物
(CrC)層が形成されたピン(以下、クロマイジング
ピンという)と、ピン素材の表面にバナジウム炭化物
(VC)層が形成されたピン(以下、VCピンという)
について、それぞれ耐摩耗試験を繰り返し行った結果、
各ピンの耐摩耗性について以下のことが検証された。
【0007】クロマイジングピンの場合、高面圧が繰り
返し作用する使用状態下では、クロム炭化物層の表面に
剥離が起こり、剥離の進行とともにピンの摩耗も進行す
る。また、VCピンの場合には、高面圧の作用下で、バ
ナジウム炭化物層と母材(ピン素材)との間の境界面で
剥離が起こり、すなわち、硬化層であるバナジウム炭化
物層全体が一度に剥離し、その結果、摩耗が急激に進行
する。これらのことから、クロム炭化物は、母材との密
着性(結合性)は良いが、面圧強度は低く、一方、バナ
ジウム炭化物は、それ自体の表面からは剥離が起こりに
くいため面圧強度は高いが、母材との密着性は低いとい
うことが検証された。
【0008】その一方、リンクプレートは、一般に、ポ
ンチにより打抜き加工されるが、その典型的な加工工程
を図11に示す。リンクプレートの打抜きの際には、ま
ず、図11(a)に示すように、帯状のブランク材Bに
ポンチで穴開け加工することによりピン穴Paを形成
し、次に、同図(b)に示すように、他のポンチを用い
てリンクプレートLの輪郭を打ち抜くようにしている。
【0009】このようにして打抜き加工された従来のリ
ンクプレートLのピン穴Paの内壁面は、図12に示す
ように、せん断面の長さhaがリンクプレートLの板厚
tの30%程度しかなく、穴内壁面の大部分の領域には
破断面hbが形成されているのが実情である。
【0010】したがって、このようなリンクプレートを
組み合わせてなるサイレントチェーンの運転時には、ピ
ンがピン穴内壁面に片当たりして偏摩耗やピッチングが
生じることになる。
【0011】本発明は、このような従来の実情および上
記炭化物層で被覆されたピンの摩耗試験の検証結果に基
づいてなされたもので、高面圧下において耐摩耗性を向
上させることができる動力伝達用チェーンを提供するこ
とを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】請求項1の発明は、一対
のピン穴および歯部をそれぞれ有する多数のリンクプレ
ートを厚み方向および長手方向に積層するとともに前記
ピン穴内に挿入した連結ピンで枢支可能に連結してなる
動力伝達用チェーンにおいて、前記リンクプレートの前
記ピン穴にシェービング加工が施されている。さらに、
前記連結ピンの母材となる鋼の最表部に、バナジウム炭
化物を主成分としかつ少量のクロム炭化物を含む炭化物
層が形成されるとともに、前記炭化物層と前記母材との
間の境界領域に、バナジウム炭化物の含有率が急激に減
少しかつクロム炭化物の含有率が急激に増加している境
界層が形成されている。
【0013】なお、ここでいう「シェービング加工」と
は、ブランク材をポンチで打ち抜いて形成した打抜き部
分よりもわずかに大きいシェービング金型を用いて、ブ
ランク材の打抜き面を切削することにより、ポンチによ
る打抜き時に打抜き面に生じた粗面やだれを削り取り、
打抜き面の表面粗さを向上させる加工法をいう。
【0014】請求項2の発明に係る動力伝達用チェーン
は、請求項1の発明と同様に、前記リンクプレートの前
記ピン穴にシェービング加工が施されている。さらに、
前記連結ピンの母材となる鋼の最表部に、バナジウム炭
化物、チタニウム炭化物、ニオビウム炭化物およびタン
グステン炭化物のうちのいずれか一つ以上の炭化物を主
成分としかつ少量のクロム炭化物を含む炭化物層が形成
されるとともに、前記炭化物層と前記母材との間の境界
領域に、バナジウム炭化物、チタニウム炭化物、ニオビ
ウム炭化物およびタングステン炭化物のうちのいずれか
一つ以上の炭化物の含有率が急激に減少しかつクロム炭
化物の含有率が急激に増加している境界層が形成されて
いる。
【0015】請求項3の発明に係る動力伝達用チェーン
は、請求項1または2において、前記連結ピンの前記炭
化物層の厚みが10μm以上であることを特徴としてい
る。
【0016】請求項4の発明に係る動力伝達用チェーン
は、請求項1または2において、前記連結ピンの前記境
界層の厚みが10μm以下であることを特徴としてい
る。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施態様を添付
図面に基づいて説明する。図1は本発明の一実施態様に
よるサイレントチェーンの平面概略図、図2はその正面
概略図、図3はリンクプレートのプレス加工工程を説明
するための工程図、図4はリンクプレートのピン穴の断
面拡大図、図5は連結ピンの組成を示すグラフ、図6は
その一部拡大図、図7,図8は比較例としてそれぞれ従
来のクロマイジングピンおよびVCピンの組成を示すグ
ラフ、図9はピンの摩耗試験方法を説明するための図、
図10は本発明によるサイレントチェーンの摩耗試験結
果を従来のサイレントチェーンと比較して示すグラフで
ある。なお、図5ないし図8においては、波長分散型X
線マイクロアナライザによるX線線分析法により元素分
析された結果が示されている。
【0018】図1および図2に示すように、サイレント
チェーン1は、各々一対の歯部21およびピン穴22を
有する多数のリンクプレート2を厚み方向および長手方
向に積層するとともに、各ピン穴22内に挿入した連結
ピン3で各リンクプレート2を枢支可能に連結すること
により構成されている。リンクプレート2の最外側に
は、ガイドリンク4が配置されており、ガイドリンク4
のピン穴41内には、連結ピン3の端部が固定されてい
る。なお、ここでは、ガイドリンクとして、その背面側
にクロッチ部42が形成されたいわゆる低剛性ガイドを
例にとっている。
【0019】次に、リンクプレート2の打抜き加工工程
について図3を用いて説明する。同図に示すように、ブ
ランク材Bを矢印方向に搬送して順次加工位置に移動さ
せつつ、まず、第1の工程(a)において、斜線部分s
を打ち抜くことにより、リンクプレートの一対のピン穴
を形成することになる穴22′を開ける。なお、図中の
斜線部分は、抜きかす(スクラップ)となる部分を示し
ている。
【0020】第1の工程(a)に続く第2の工程(b)
では、シェービング金型を用いて穴22′にシェービン
グ加工を行う。これにより、穴22′の内周面が切削加
工されて、穴22′よりも内径がわずかに大きいピン穴
22が形成される。なお、ここでいう「シェービング加
工」とは、ブランク材をポンチで打ち抜いて形成した打
抜き部分よりもわずかに大きいシェービング金型を用い
て、ブランク材の打抜き面を切削することにより、ポン
チによる打抜き時に打抜き面に生じた粗面やだれを削り
取り、打抜き面の表面粗さを向上させる加工法をいう。
【0021】シェービング加工後、リンクプレートの外
形が打ち抜かれることにより、リンクプレートがブラン
ク材Bから取り出される。
【0022】このようにしてシェービング加工されたリ
ンクプレート2のピン穴22の内壁面には、図4に示す
ように、リンクプレートLの板厚tのほぼ全体にわたっ
てせん断面haが形成されており、これにより、ピン穴
の平面度が向上している。
【0023】次に、連結ピン3の硬化処理について説明
する。まず、第1の工程において、連結ピン3の母材と
なる、たとえば軸受鋼や機械構造用炭素鋼に対して、8
00〜900℃の温度下でクロム浸透処理を行うことに
より、数μm程度の厚みのクロム炭化物層を母材表面に
形成させる。
【0024】その後、第2の工程において、900〜1
000℃の温度下でクロムおよびバナジウム浸透処理を
行うことにより、母材の最表面に、すなわち第1の工程
で形成されたクロム炭化物層の上に、バナジウム炭化物
およびクロム炭化物の混合層を形成させる。この混合層
の形成時には、第1の工程で形成されたクロム炭化物層
の内部に徐々にバナジウム炭化物層が浸透していくこと
になる。また、このクロムおよびバナジウム浸透処理
は、第1の工程におけるクロム浸透処理よりも長時間に
わたって実行される。これにより、クロムよりもバナジ
ウムを多く含みかつクロム炭化物層よりも厚い炭化物層
が母材表面に形成される。
【0025】このような硬化処理がなされた連結ピン3
の組成について図5および図6を用いて説明する。図5
に示すように、連結ピン3の母材となる鋼の最表部に
は、前記第2の工程で形成された、バナジウム炭化物
(V8 7)を主成分としかつ少量のクロム炭化物(Cr
n m ) を含む炭化物層が形成されている。また、この
場合のバナジウム原子とクロム原子との比率は、概略
8.5:1.5になっている。
【0026】図6に明確に示されるように、この炭化物
層と母材との間の境界領域には、バナジウム炭化物の含
有率が急激に減少しかつクロム炭化物の含有率が急激に
増加している境界層が形成されている。境界層がこのよ
うにクロム炭化物を比較的多量に含むクロムリッチ層と
なっているのは、第2の工程でのクロムおよびバナジウ
ム浸透処理に先立って、第1の工程でクロムの浸透処理
が行われているからである。そして、これら炭化物層お
よび境界層により、母材表面に被覆層(硬化層)が形成
されている。
【0027】一方、従来より使用されてきたクロマイジ
ングピンおよびVCピンの組成をそれぞれ図7および図
8に示す。なお、図8のVCピンにおいては、バナジウ
ムの浸透処理とともにクロムの浸透処理も併せて行われ
たものが示されている。これらの図に示すように、従来
のクロマイジングピンおよびVCピンのいずれにおいて
も、炭化物層と母材との境界領域においては、クロム炭
化物およびバナジウム炭化物の各含有率がいずれも急激
に減少している。
【0028】これに対して、本実施態様では、バナジウ
ム炭化物を主成分とする炭化物層と母材との間の境界層
は、バナジウム炭化物の含有率が急激に減少しているも
ののクロム炭化物の含有率は逆に急激に増加しているク
ロムリッチ層となっている。
【0029】次に、本実施態様による連結ピンの単体の
摩耗試験結果を図8のVCピンと比較したものを表1に
示す。
【表1】
【0030】ここで用いた摩耗試験方法は、図9に示す
とおりであって、試験片としてのピンPを治具Jに固定
した状態で、所定の回転数で回転するディスクDを所定
の加圧力FでピンPに押圧することにより、硬化層の剥
離の有無を調べた。このような摩耗試験の結果、表1に
示すように、本実施態様によるピンは、70kg/mm
2 および100kg/mm 2の高面圧下においても硬化
層の剥離が生じていないが、従来のVCピンの場合に
は、70kg/mm2 において剥離が生じた。このこと
により、本実施態様によるピンが耐摩耗性に非常に優れ
ていることが立証された。このような両者の差異は、以
下のような点に起因していると考えられる。
【0031】すなわち、本実施態様においては(i)面
圧強度の高いバナジウム炭化物を主成分とする炭化物層
が母材の最表部に形成されることにより、高面圧下でも
炭化物層の表面剥離が生じにくくなっており、これによ
り、ピンの耐摩耗性が向上している。さらに(ii)母材
およびバナジウム炭化物との結合性(密着性)が高いク
ロム炭化物を比較的多く含むクロムリッチ層が炭化物層
と母材との間の境界層に形成されることにより、高面圧
下でも炭化物層が母材から剥離しにくくなっており、こ
れにより、ピンの耐摩耗性が向上している。
【0032】これに対して、図8のVCピンの場合には
(i)面圧強度の高いバナジウム炭化物層が母材の最表
部に形成されているものの、母材との密着性が高いクロ
ム炭化物層の含有率がバナジウム炭化物層と母材との間
の境界領域で急激に減少していることにより、高面圧下
でバナジウム炭化物層が母材から剥離しやすい傾向にあ
り、その結果、ピンの耐摩耗性が減少している。
【0033】また、本実施態様においては、炭化物層は
10μm程度またはそれ以上の厚みがあるのが好まし
く、境界層の厚みは10μm以下すなわち数μm程度で
あるのが好ましい。これは、高面圧下でも炭化物層の下
層の境界層が圧壊を起こさないようにするためには、炭
化物層の厚みが10μm以上必要だからであり、また炭
化物層が母材から剥離しないためには、境界層の厚みと
して数μmもあれば十分だからである。
【0034】次に、上述のリンクプレート2および連結
ピン3を組み合わせてなるサイレントチェーン1につい
て、摩耗試験結果を行った結果を図10に示す。この摩
耗試験においては、歯数25枚のドライブスプロケット
および歯数50枚のドリブンスプロケットに試験用チェ
ーンを巻き掛け、該試験用チェーンに130(kgf) の張
力を作用させるとともに、100(℃)の潤滑油を毎分
1000(cc)ずつ供給した状態で、ドライブスプロケ
ットを2500(rpm)で回転させて、運転時間10
時間後、50時間後、100時間後のチェーン摩耗伸び
をそれぞれ測定した。
【0035】なお、図10中には、本実施態様によるチ
ェーンについて、最大の伸びを生じたチェーンと最小の
伸びを生じたチェーンのそれぞれについて、摩耗伸びを
プロットしたものが示されている。また、比較のため
に、炭化物層が形成されていない従来のサイレントチェ
ーンについて同様の摩耗試験を行った結果も併せて示さ
れている。
【0036】図10から明らかなように、本実施態様に
よるチェーンの場合、100時間後の摩耗伸びは0.1
5〜0.28(%)の範囲にあり、これに対し、従来の
チェーンの場合、100時間後の摩耗伸びは1.00
(%)であった。このように、本実施態様によるチェー
ンでは、従来のチェーンと比較して摩耗伸びが著しく減
少しており、チェーンの耐摩耗性が向上している。これ
は、上述のように、連結ピンの硬化処理によりピン単体
の耐摩耗性が向上していることに加えて、リンクプレー
トのピン穴のシェービング加工によってピン穴の平面度
が向上していることにより、ピン穴と連結ピンとの片当
たりがなくなって、ピン穴の摩耗が低減したことによる
と推測される。
【0037】〔他の実施態様〕前記実施態様では、ピン
の母材となる鋼の最表部に、バナジウム炭化物およびク
ロム炭化物の混合層を形成した例を示したが、本発明の
適用はこれには限定されない。バナジウム炭化物のかわ
りに、チタニウム炭化物、ニオビウム炭化物またはタン
グステン炭化物のうちのいずれか一つを用いるようにし
てもよい。また、バナジウム炭化物のかわりに、バナジ
ウム炭化物、チタニウム炭化物、ニオビウム炭化物およ
びタングステン炭化物のうちのいずれか二つ以上の炭化
物を用いるようにしてもよい。
【0038】なお、前記実施態様では、本発明がサイレ
ントチェーンに適用された例を示したが、本発明は、ロ
ーラチェーンにも同様に適用することが可能である。
【0039】
【発明の効果】以上説明したように、本発明に係る動力
伝達用チェーンによれば、リンクプレートのピン穴にシ
ェービング加工を施すとともに、連結ピンの母材となる
鋼の最表部に、バナジウム炭化物を主成分としかつ少量
のクロム炭化物を含む炭化物層を形成し、炭化物層と母
材との間の境界領域に、バナジウム炭化物の含有率が急
激に減少しかつクロム炭化物の含有率が急激に増加して
いる境界層を形成するようにしたので、高面圧下でも耐
摩耗性を向上できる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施態様によるサイレントチェーン
の平面概略図である。
【図2】サイレントチェーン(図1)の正面概略図であ
る。
【図3】リンクプレートの打抜き加工工程を説明するた
めの工程図である。
【図4】リンクプレートのピン穴の断面拡大図である。
【図5】連結ピンの組成を示すグラフである。
【図6】図5の一部拡大図である。
【図7】従来のクロマイジングピンの組成を示すグラフ
である。
【図8】従来のVCピンの組成を示すグラフである。
【図9】ピンの摩耗試験方法を説明するための図であ
る。
【図10】サイレントチェーンの摩耗試験結果を示すグ
ラフである。
【図11】従来のリンクプレートの打抜き加工工程を説
明するための工程図である。
【図12】従来のリンクプレートのピン穴の断面拡大図
である。
【符号の説明】
1: サイレントチェーン 2: リンクプレート 3: ピン 21: 歯部 22: ピン穴 ha: せん断面
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 吉田 幸生 三重県名張市八幡字口入野1300番50 ボー グ・ワーナー・オートモーティブ株式会社 内 (72)発明者 吉川 利平 滋賀県甲賀郡甲西町大池町8番地 日本カ ロライズ工業株式会社内 (72)発明者 池 清司 滋賀県甲賀郡甲西町大池町8番地 日本カ ロライズ工業株式会社内 Fターム(参考) 3C050 FA02 4K044 AA02 AB05 BA02 BA18 BB03 BC01 CA12

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一対のピン穴および歯部をそれぞれ有す
    る多数のリンクプレートを厚み方向および長手方向に積
    層するとともに前記ピン穴内に挿入した連結ピンで枢支
    可能に連結してなる動力伝達用チェーンにおいて、 前記リンクプレートの前記ピン穴にはシェービング加工
    が施されており、前記連結ピンの母材となる鋼の最表部
    には、バナジウム炭化物を主成分としかつ少量のクロム
    炭化物を含む炭化物層が形成されるとともに、前記炭化
    物層と前記母材との間の境界領域において、バナジウム
    炭化物の含有率が急激に減少しかつクロム炭化物の含有
    率が急激に増加している境界層が形成されている、こと
    を特徴とする動力伝達用チェーン。
  2. 【請求項2】 一対のピン穴および歯部をそれぞれ有す
    る多数のリンクプレートを厚み方向および長手方向に積
    層するとともに前記ピン穴内に挿入した連結ピンで枢支
    可能に連結してなる動力伝達用チェーンにおいて、 前記リンクプレートの前記ピン穴にはシェービング加工
    が施されており、前記連結ピンの母材となる鋼の最表部
    には、バナジウム炭化物、チタニウム炭化物、ニオビウ
    ム炭化物およびタングステン炭化物のうちのいずれか一
    つ以上の炭化物を主成分としかつ少量のクロム炭化物を
    含む炭化物層が形成されるとともに、前記炭化物層と前
    記母材との間の境界領域には、バナジウム炭化物、チタ
    ニウム炭化物、ニオビウム炭化物およびタングステン炭
    化物のうちのいずれか一つ以上の炭化物の含有率が急激
    に減少しかつクロム炭化物の含有率が急激に増加してい
    る境界層が形成されている、ことを特徴とする動力伝達
    用チェーン。
  3. 【請求項3】 請求項1または2において、 前記連結ピンの前記炭化物層の厚みが10μm以上であ
    る、ことを特徴とする動力伝達用チェーン。
  4. 【請求項4】 請求項1または2において、 前記連結ピンの前記境界層の厚みが10μm以下であ
    る、ことを特徴とする動力伝達用チェーン。
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