JP2002191397A - 生体関連物質の検出方法、チップ装置および装置 - Google Patents
生体関連物質の検出方法、チップ装置および装置Info
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Abstract
物質を捕捉するためのプローブを高密度に固定化して検
出感度を向上すると共に、非特異的に吸着した物質の除
去操作を容易にすること。 【解決手段】一種以上のプローブが内部に固定化された
三次元マトリックス内で試料を電気泳動させ、前記特定
の生体関連物質を対応する前記プローブに捕捉させると
共に、前記プローブに対応しない物質を前記三次元マト
リックス外に排出させ、前記プローブに捕捉された特定
の生体関連物質を検出する。
Description
出方法、並びにこの方法に用いる検出用チップ装置およ
び検出装置に関する。
が注目を集めている(Beattie et al.1993, Fodor et a
l. 1991, Khrapko et al. 1989, Southern et al. 199
4)。このDNAアレイは、数cm角の硝子基板またはシリコ
ン基板1の表面に、配列が異なる101〜105種類のDNAプロ
ーブ2を固定化したチップかならっており(図9A)、
近年の遺伝子解析技術の発展に極めて大きく寄与してい
る。その原理の概略は次の通りである。
ーブ2と蛍光色素もしくは放射線同位元素(RI)等で標識
した試料遺伝子3とを反応させことにより、DNAプローブ
2の塩基配列に対して相補的な配列を有する試料遺伝子3
を、DNAプローブに結合させる。これにより、試料遺伝
子3がアレイ上のDNAプローブ2に対して相補的な配列を
有するときには、アレイ上の特定部位で前記標識に由来
する信号が得られる。従って、固定化しておいたDNAプ
ローブ2の配列と位置が予め分っていれば、試料遺伝子3
中に存在する塩基配列を簡単に調べることができる。ま
た、DNAアレイを用いれば、1回の試験を行うだけで塩
基配列に関する多くの情報が得られることから、単なる
遺伝子検出技術に止まらず、シーケンシング技術として
も大いに期待されている(Pease et al. 1994, Parinov
et al. 1996)。
に関しては、(1)アレイ上でDNAプローブのDNA鎖を単位
ヌクレオチド毎に逐次延長する方法(米国特許第5,889,
165号)、(2)予め合成しておいたDNAプローブをアレイ
上に固定化する方法(米国特許第5,807,522号)の2種類
が報告されている。前者の方法はフォトリソグラフィー
技術を利用して、1/2インチ角のアレイ内に、配列の異
なるDNA プローブを100Åの間隔で20×20μm毎に固定化
できるので、約4×105種類のプローブからなるアレイを
作製できる(Chee et al. 1996)。フォトリソグラフィー
技術は、現在0.1μm程度のパターニングも可能になりつ
つあることから、今後更にプローブの集積化が進む可能
性がある。また、後者の方法は、予め多種類のプローブ
を用意する必要があること、プローブの集積度が前者の
方法より低い(120μmの間隔で60×60μm毎)等の問題は
あるものの、ゲルの表面にプローブを固定化すること
で、(1)の方法よりも固定化プローブ2の量を増やすこ
とができるので、標的遺伝子3との反応効率の点では優
れている(Guschin et al. 1997)。
に核酸プローブを配置した構造になっているため、固定
化できるプローブ量に限界があり、十分な感度が得られ
ていなかった。そこで、プローブの固定化量を増大する
ために、図9Bに示すように、多孔質シリコン基体4に
三次元的にプローブ5を固定化する方法も報告されてい
る(Beattie et al., 1995)。しかし、多孔質シリコン
は光の透過性が低く、従来多用されている蛍光色素を用
いた検出系との組み合わせが困難であるという問題があ
った。
核酸鎖を洗浄除去する操作が必要となるが、洗浄液を繰
り返し交換する必要があり、その際に液組成および温度
条件を変える必要がある等、操作が煩雑である問題があ
った。
感度および操作性を改善するために幾つかのアプローチ
が試みられているが、有効な解決策が見つかっていない
のが現状である。更に、今後はタンパク質、糖、薬物な
ど、核酸鎖以外の生体関連物質の検出にもアレイ化技術
が用いられようとしており、この場合には更に高感度で
操作性の良い技術が求められる。
決するためになされたものであり、特定の生体関連物質
を検出する際に、生体関連物質を捕捉するためのプロー
ブを高密度に固定化して検出感度を向上すると共に、非
特異的に吸着した物質の除去操作を容易にすることを可
能にする方法および装置を提供すること目的とする。
関連物質を検出する方法は、特定の生体関連物質を特異
的に捕捉するための一種以上のプローブが内部に固定化
された多孔質体内で生体関連物質を含む試料を電気泳動
させ、試料中に前記特定の生体関連物質が含まれている
場合は試料中の前記特定の生体関連物質を対応する前記
プローブに捕捉させると共に、前記プローブに対応しな
い物質を前記多孔質体外に排出する工程と、前記プロー
ブに捕捉された特定の生体関連物質を検出する工程とを
具備したことを特徴とするものである。
検出するチップ装置は、特定の生体関連物質を検出する
ためのチップ装置において、特定の生体関連物質を捕捉
するための一種以上のプローブが内部に固定された多孔
質体と、該多孔質体を挟持する位置に設置した電極とを
具備したことを特徴とするものである。
図1を用いて説明する。生体関連物質、例えば核酸、ペ
プチド鎖、タンパク質、薬物、毒物、環境ホルモンなど
を含む試料中の生体関連物質9,10は、エネルギー線を
発生する物質、例えば蛍光や放射線を発生する蛍光色素
あるいは放射性同位元素(RI)などで標識したものを用
いることが望ましい。
ものを用い、後工程で供給される試料物質に電圧を印加
して生体関連物質9,10を電気泳動させる都合上、電解
質溶液中に浸漬されていることが望ましい。
ようにして一対の電極12,13が設置され、さらに前記電
極12,13は電源11に接続されている。それにより、量電
極間に電位が印加されるようになっている。
いては、先ず、前述のごとく標識が付与された生体関連
物質9,10を含む試料を、プローブ8を固定化させた多
孔質体7に対して供給し、さらに電極12,13間に電圧を
印加することにより、試料中の生体関連物質9,10に対
して電界をかける。それにより、生体関連物質9,10は
特定の電極に向かって電気泳動する。例えば、DNAはマ
イナス電極に向かって移動する。多孔質体7は電極12,1
3の間に配置されているため、このときに生体関連物質
9,10が多孔質7の内部を通過する。その際、多孔質体7
の内部を通過する生体関連物質9,10が多孔質体7に固定
化されたプローブに対応する生体関連物質9であれば、
その生体関連物質9はプローブ8に捕捉され、プローブに
対応しない生体関連物質10であれば多孔質体7の外に排
出される。
た生体関連物質9の存在を、その標識の有無を蛍光検出
装置または放射線検出装置などのエネルギー線検出装置
などで検出することにより検知する。
質に予め標識を付与したものを用い、プローブに捕捉さ
れた生体関連物質の有無を、その標識の有無を検知する
ことにより、多孔質体7内のプローブに捕捉された生体
関連物質の存在を検知しているが、この方法に限定され
るものではない。例えば、未標識の生体関連物質を泳動
させ、多孔質体に捕捉させた後、上記生体関連物質と反
応する第二のプローブを作用させることによっても検出
可能である。この場合、煩雑な標識処理が不要になるメ
リットがある。具体的な例として、核酸鎖の場合は、第
二のプローブとして挿入剤や標識核酸鎖を用いることが
できる。また、タンパク質の場合は、第二のプローブと
して標識抗体などを用いることもできる。
連物質には、DNA、RNA、PNA等の核酸、ペプチ
ド鎖、タンパク質、薬物、毒物、環境ホルモン等が含ま
れる。生体関連物質を捕捉するプローブには、対応する
生体関連物質に対して特異的な結合性を有するDNA、
RNA、PNA等の核酸物質、抗体、レセプタータンパ
ク質、酵素等が含まれる。これらのプローブは、多孔質
体内に固定化して使用される。
料中の標識が発生するエネルギー線に対する透過性を有
する透明体であることが望ましく、具体的にはアルギン
酸、アガロース等の天然高分子、またはアクリルアミ
ド、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール等
の合成高分子、シリカなどの多孔質セラミックスが上げ
られる。特に、ゲル構造の天然高分子および合成高分子
は、プローブの固定化密度を高めることができるので非
常に効果的である。なお、本発明における「多孔質体」
は次の条件を満たすのが望ましい:数10〜数100オン
グストロームの細孔を有する;試料と相互作用しな
い;機械的強度がある;均一である。
質を多孔質体内に固定化する方法は、特に限定されない
が、プローブ物質が反応の際に脱離しないように、プロ
ーブを多孔質に強固に結合させる方法が望ましい。例え
ば、N-(6-マレイミドカプロイルオキシ)スクシンイミ
ド、N-スクシンイミジル-6-マレイミドヘキサノン(EMC
S)、およびN-スクシンイミジル-3-(2-ピリジルジチオ)
プロピオネート(SPDP)などの架橋剤の使用、ビオチン
-アビジン結合、更には金-チオール結合等を利用して固
定化することができる。本発明の方法に用いられるプロ
ーブが固定化された多孔質体に電極を固定化し、検出用
チップ装置として扱うと、取扱いが容易である。
る電極材料は特に限定されるものではない。例えば、
金、金の合金、銀、プラチナ、水銀、ニッケル、パラジ
ウム、シリコン、ゲルマニウム、ガリウム、タングステ
ン等の金属単体及びそれらの合金、あるいはグラファイ
ト、グラシーカーボン等の炭素等、またはこれらの酸化
物、化合物を用いることができる。更に、酸化珪素等の
半導体化合物や、CCD、FET、CMOSなど各種半導体デバイ
スを用いることも可能である。
電極膜を形成し、基板と電極とを一体化した基板電極を
用いることができる。その場合、この電極膜は、メッ
キ、印刷、スパッタ、蒸着などで作製することができ
る。蒸着を行う場合は、抵抗加熱法、高周波加熱法、電
子ビーム加熱法により電極膜を形成することができる。
また、スパッタリングを行う場合は、直流2極スパッタ
リング、バイアススパッタリング、非対称交流スパッタ
リング、ゲッタスパッタリング、高周波スパッタリング
等により電極膜を形成することが可能である。更に、ポ
リピロール、ポリアニリンなどの電解重合膜や導電性高
分子も用いることが可能である。
板の材料は特に限定されるものではない。例えば、ガラ
ス、石英ガラス、アルミナ、サファイア、フォルステラ
イト、炭化珪素、酸化珪素、窒化珪素などの無機絶縁材
料を使用できる。また、ポリエチレン、エチレン、ポリ
プロピレン、ポリイソブチレン、ポリエチレンテレフタ
レート、不飽和ポリエステル、含フッ素樹脂、ポリ塩化
ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ酢酸ビニル、ポリビ
ニルアルコール、ポリビニルアセタール、アクリル樹
脂、ポリアクリロニトリル、ポリスチレン、アセタール
樹脂、ポリカーボネート、ポリアミド、フェノール樹
脂、ユリア樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、スチレ
ン・アクリロニトリル共重合体、アクリロニトリルブタ
ジエンスチレン共重合体、シリコーン樹脂、ポリフェニ
レンオキサイド、ポリスルホン等の有機材料を用いるこ
とができる。
電極表面を絶縁層領域で分離し、分離された夫々の電極
領域に、夫々異なったプローブを固定化した多孔質体を
配置するのが好ましい(実施例5、図5参照)。その
際、電極表面を分離するために用いられる絶縁材料は特
に限定されるものではないが、フォトポリマー、フォト
レジスト材料であることが好ましい。レジスト材料とし
ては、光露光用フォトレジスト、遠紫外用フォトレジス
ト、X線用フォトレジスト、電子線用フォトレジストが
用いられる。光露光用フォトレジストとしては、主原料
が環化ゴム、ポリ桂皮酸、ノボラック樹脂であるものが
挙げられる。遠紫外用フォトレジストには、環化ゴム、
フェノール樹脂、ポリメチルイソプロペニルケトン(PM
IPK),ポリメチルメタクリレート(PMMA)等が用いら
れる。また、X線用レジストには、COP、メタルアク
リレートほか、薄膜ハンドブック(オーム社)に記載の
物質を用いることができる。更に、電子線用レジストに
は、PMMA等上記文献に記載の物質を用いることが可
能である。
上1mm以下であることが望ましい。フォトレジストで電
極を被覆し、リソグラフィーを行うことで、面積を一定
にすることが可能になる。これにより、多孔質体に固定
化されたプローブ量がそれぞれの電極間で均一になり、
再現性に優れた測定が可能になる。従来、レジスト材料
は最終的には除去するのが一般的であるが、本発明では
レジスト材料は除去することなく電極の一部として用い
ることも可能である。この場合は、用いるレジスト材料
に耐水性の高い物質を使用する必要がある。電極上に形
成する絶縁層はフォトレジスト材料以外に、例えば、S
i、Ti、Al、Zn、Pb、Cd、W、Mo、Cr、
Ta、Ni等の酸化物、窒化物、炭化物、その他合金を
用いることも可能である。これらの材料をスパッタ、蒸
着あるいはCVD等を用いて薄膜を形成した後、フォト
リソグラフィーで電極露出部のパターニングを行い、面
積を一定に制御する。
に幾つかの電極領域を構成し、その夫々に異なったプロ
ーブを固定化した多孔質体を配置することで、一度に数
種類の標的に対して検査を行うことができる。また、1
つの素子上に幾つかの電極部を構成し、同じプローブを
固定化した多孔質体を配置することで、一度に数検体の
検査を行うことも可能である。この場合、フォトリソグ
ラフィーを利用して、予め基板上に複数の電極をパター
ニングしておく。その際、隣同士の電極が接触しないよ
うに、絶縁膜で仕切りを付けるのが有効である。仕切り
の高さは0.1μ〜100μ程度が望ましい。
限定されるものではない。例えば、マトリックス材料と
して選択した高分子材料のゾル溶液中にプローブ物質を
混合し、マイクロピペット、インクジェット、スピンコ
ーター等の方法を用いることにより、この混合ゾル溶液
を電極の表面に滴下してゲル化させればよい。その後、
既述した方法によりプローブをマトリックスに固定化さ
せることができる。
方法の一例を、ヒト癌遺伝子rasの検出結果を用いて説
明する。先ず、c-ki-ras/61の野性株検出用プローブ
(W-Gln)の末端にアミノ基を施した合成DNAを作製す
る。一方、3%になるように溶解したグリオキサールア
ガロースを45℃に保温しておき、これに前記合成DNAを1
μg/mLになるように添加する。これにより、合成DNAの
アミノ基とアガロースのアルデヒド基が反応して、合成
DNAはアガロース分子に結合される。このアガロース溶
液をゲル化させて、厚さ約5mm(1cm角)のゲル板を作製
し、最後にグリシン緩衝液を用いて過剰のアルデヒド基
をキャップした。
ース膜を介して二枚の金属電極(1cm角、ガラス基板上
に蒸着)で挟み込み、電解質溶液中に浸漬した。次に、
電極とゲル板との間に、rasを含む蛍光色素で標識した
核酸試料溶液10μLを添加した後、試料を入れた側の電
極にマイナス電位、反対側の電極にプラス電位が印加さ
れるようにして、電源から100Vの電圧を1分間印加し
た。次に、電源をオフし、5分間放置した後、再度100V
の電圧を5分間印加した。これにより、プローブと相補
的な核酸鎖はゲル内にトラップされ、その他の非相補的
な核酸鎖はゲル外に排出されるので、ゲル内の蛍光強度
を測定することにより、特異的な核酸鎖の検出が可能で
ある。このときの検出感度は、約103コピー/mLであっ
た。
ローブが結合して平面上のみならず厚さ方向にもプロー
ブが存在し、プローブ密度が高くなるため、高感度で生
体関連物質を検出することができる。また、電気泳動を
利用している結果、非特異的反応を示さない生体関連物
質の洗浄操作が不要になり、操作性を格段に向上させる
ことができる。
の分子量分画に用いられており、核酸プローブ固定化担
体として用いる場合にも、ゲルの表面にプローブを固定
化する例は報告されている(米国特許第5,605,662
号)。しかし、本発明のようにゲルの内部にプローブを
固定化し、ゲル内で生体関連物質の検出反応を行う方法
は全く新規な発想に基づくものである。
マトリックス>ゲル状の多孔質体を使用するときは、電
気泳動特性の異なる複数のプローブ物質を含む溶液を多
孔質体中に導入し、多孔質体を挟持するように配置され
た電極間に電圧を印加して電気泳動させることにより、
マトリックス中の異なる位置に異なる複数のプローブ物
質を配置することができる(実施例7、図7参照)。
一層づつ順次積層することにより、各層に異なるプロー
ブを固定化した多層の多孔質体を調製することができる
(実施例6、図6参照)。各多孔質体層は50〜数百ナノ
メータの範囲で任意に調製可能である。その場合、プロ
ーブを含む隣接多孔質体層の間に、プローブを含まない
仕切り多孔質体層を介在させることにより、精度良く検
出を行うことが可能になる。また、このような多層多孔
質体のバルクから、小さいチップを切り出すことによ
り、同品質の多孔質体を効率よく作製することができ、
製造コストを著しく低減することができる。
した上記のような多孔質体を用いれば、一つのマトリッ
クスを用いて複数種類の生体関連物質を一度に検出する
ことが可能である。
式図である。図示のように、核酸鎖プローブ8を高密度
に固定化したアクリルアミドからなる多孔質体7を電極1
2、13の間に配置し、これを電解質溶液中に浸漬した。
電極12と多孔質体7の間に蛍光色素で標識したサンプル
9、10(DNA)を滴下し、電極12と13の間に電源11から電
圧を印加すると、サンプルは電極12から13の方向に向か
って多孔質体内を泳動する。その際、プローブ8と相補
的な配列が存在していれば、サンプル9は多孔質体7内
のプローブ8にトラップされる。一方、相補的な配列を
持たないサンプル10は、そのまま多孔質体7の外に泳動
して排出される。最後に、多孔質体7内の蛍光強度を蛍
光検出装置で測定することにより、プローブ8に捕捉さ
れた特定の塩基配列を有するDNAの検出を行う。
れた物質の洗浄操作が不要で、しかも高感度の検出が可
能となる。
ガロースゲル多孔質体の作製 図2は、核酸プローブを固定化したアガロースゲルの作
製方法を模式的に示した図である。先ず、プローブとし
て、アミノ基を結合させた合成オリゴヌクレオチドを用
意する。一方、3%のグリオキサール官能アガロース溶
液を45℃に保温しておき、この中に、先に準備しておい
たアミノ基を結合させたプローブを1μg/mLの濃度で添
加する。このアガロース溶液を25℃以下に冷却してゲル
化させる。次に、0.2モル/Lのシアノボロヒドリドナト
リウム/0.3モル/Lのホウ酸ナトリウム(pH9)の中に室
温で1時間浸漬する。これにより、プローブのアミノ基
とアガロースのアルデヒド官能基との間にペプチド結合
が形成され、プローブはアガロース分子に結合される。
最後に、得られたゲルを0.1モル/Lのグリシン緩衝液(p
H9)の中に室温で1時間浸漬して、残留するアルデヒド
基をキャップした。
ーブを固定化したアガロースの三次元多孔質体が得られ
る。
クリルアミドゲルの作製 図3は、プローブとして用いる抗体を固定化した、アク
リルアミドゲルの作製方法を模式的に示した図である。
先ず、10mLの29:1アクリルアミド/ビスアクリルアミ
ドの溶液に、6mLの10×TBE緩衝液および44mLのイオン交
換水を加える。次に、34μLのテトラメチルエチレンジ
アミンおよび250μLの10%過硫酸アンモニウムを加えて
ゲル化させる。ゲル化した後、10mmol/LのEMCS溶液(pH
7)に浸漬して、アクリルアミドをマレイミド基で修飾
する。次に、予め10mmol/LのSPDPとの反応でチオール基
を導入しておいた抗体を、電気泳動によりゲル内に導入
する。この抗体のチオール基はアクリルアミドのマレイ
ミドと反応してチオエステル結合を形成するので、抗体
はこのチオエステル結合を介してアクリルアミドに結合
される。最後に、ゲルを0.1mol/L-システイン溶液中に
室温で1時間浸漬することにより、過剰のマレイミド基
をキャップする。
次元多孔質体は、内部に固定化された抗体に特異的に結
合する抗原物質の検出に使用することができる。
す模式図である。図示のように、1cm角のガラス基板20
上にITO薄膜21を蒸着した上部基板電極と、1cm角のガラ
ス基板22上にチタンおよび金を順次蒸着して金属薄膜23
を形成した下部基板電極とを作製した。これら二つの電
極の間には、核酸鎖プローブ25〜29を固定化したアクリ
ルアミドゲル(10×10×5mm)24を配置する。
し、上部基板電極に形成したサンプル注入口30から蛍光
色素で標識したサンプルを滴下し、上部基板電極と下部
基板電極との間に電源31から電圧を印加して、サンプル
をゲル24内で電気泳動させる。その際に、プローブ25〜
29の配列に対して相補的な配列を持った核酸鎖がサンプ
ル中に含まれていれば、この核酸鎖はゲル内の対応する
プローブに捕捉される。一方、プローブの配列に対して
相補的でないサンプルは、そのままゲルの外へ排出され
る。最後に、ゲル内の蛍光強度を測定することにより、
特定の塩基配列を持ったDNAの濃度を検出することがで
きる。
構造を示した模式図である。図5(A)は下部電極基板
を示す平面図であり、1cm角のガラス基板35上に、100μ
角の金電極37が30×30個パターンニングされている。各
電極の間は幅50μの絶縁膜36で仕切られており、各電極
37からは背面からリード線が取り出されている。図5
(B)に示すように、下部電極基板の夫々の電極37に
は、夫々に配列の異なる30merのオリゴヌクレオチドを
結合したアガロース溶液をマイクロピペットで滴下しゲ
ル化させることにより、固定化されたプローブの配列が
異なる三次元多孔質体38〜42が夫々配置されている。
(B)に示すように、ガラス基板32に金属電極34を蒸着
した上部基板電極を上記の下部基板電極に対向させて配
置し、これら対向する電極の間に電解質を満たした。次
いで、上部基板電極に設けたサンプル導入口33から、蛍
光物質で標識した試料核酸を導入した。パターン化され
た下部基板電極37側に+100Vの電圧を1分間印加した後、
電源をオフにして5分間放置した。続いて、パターン電
極37側に-100Vの電圧を1分間印加し、非相補的な核酸を
ゲルの外へと排出した。最後に、ゲル内の蛍光強度を測
定し、特定の遺伝子を検出することができた。その際の
検出下限は103コピー/mLであった。また、試料の導入
から検出に要した時間は10分以内であった。
用チップを示す模式図である。この実施例では、核酸プ
ローブを固定化したアガロース56が、スピンコーターを
用いて多層構造で形成されている。即ち、4種類の核酸
プローブ(A,B,C,D)を結合したアガロース溶液
およびプローブを含まないアガロース溶液を、電極上で
順次スピンコートすることにより、異なる核酸プローブ
(A,B,C,D)が固定化された夫々10μmのアガロ
ースゲル層と、これらの層の間に挿入されたプローブを
含まないアガロース層とを交互に積層した。この多層構
造のアガロース56を、基板52の表面に金属薄膜53を蒸着
した上部基板電極と、基板54の表面に金属薄膜55を蒸着
した下部基板電極との間に挟持した。またこの実施例で
は、多サンプルの並列処理が可能なように、上部基板電
極に複数のサンプル注入口57を設けてある。
のサンプルの夫々について、複数の種類の核酸鎖を同時
に検出することが可能である。
様に、多サンプルの並列処理が可能で、且つ夫々のサン
プルについて複数種類の核酸鎖を検出することが可能で
ある。しかし、この実施例では、多孔質体がスピンコー
トで形成された多層構造ではない。その代わりに、複数
種類のプローブ混合物をアクリルアミドゲル62の多孔質
体中で電気泳動させて分離した後、固定化反応を行うこ
とによって、図示のようにゲルマトリックス62の異なる
深さ位置に、異なるプローブ63を固定化したものであ
る。
は、先ず、基板58の表面に金属薄膜59を蒸着した上部基
板電極と、基板60の表面に金属薄膜61を蒸着した下部基
板電極との間に、アクリルアミドゲル62を挟持する。続
いて、上部基板電極に設けたサンプル注入口65から、複
数種類の核酸プローブを含む混合液を注入し、電極59、
61の間での電気泳動により夫々の核酸プローブを展開さ
せて分離した後、固定化反応を行わせればよい。これを
使用する方法については、実施例6の検出用チップと同
様である。
酸鎖検出システムの一例を示す模式図である。このシス
テムは、検出用チップ49と、該検出用チップに電圧を印
加するための電源51と、検出用チップチップ49からの蛍
光信号を検出するための蛍光検出器47とを備えている。
また、チップ49の下部には、反応温度を制御するための
ペルチェ素子50が設置されている。更に、全ての反応は
コントローラ48で制御されるようになっている。このよ
うな構成の検出システムを用いれば、好適な核酸検出を
行うことができる。
多孔質体内にプローブ物質を固定化して生体関連物質の
検出を行うから、多孔質体中のプローブ密度が高くなる
ため、高感度で生体関連物質を検出することができる。
また、電気泳動を利用している結果、非特異的反応の洗
浄操作が不用になり、操作性を格段に向上させることが
できる。
固定化した多孔質体を用いれば、一つの多孔質体を用い
て複数種類の生体関連物質を一度に検出することも可能
である。
的に示す説明図である。
核酸鎖プローブを固定化する方法を示す説明図である。
内に抗体プローブを固定化する方法を示す説明図であ
る。
の実施例を示す図である。
ップの第二の実施例を示す図である。
の実施例を示す図である。
の実施例を示す図である。
た核酸鎖検出システムの一例を示す図である。
装置を示す図である。
…多孔質シリコン基体4、5…プローブ、7…多孔質体、8
…プローブ、9,10…生体関連物質、11…電源、12,13
…電極、20…ガラス基板、21…ITO薄膜、22…ガラス基
板22、23…金属薄膜23、24…アクリルアミドゲル、25〜
29…核酸鎖プローブ、30…サンプル注入口、31…電源、
32…ガラス基板、33…サンプル導入口、34…金属電極、
35…ガラス基板、36…絶縁膜、37…金電極、38〜42…多
孔質体、47…蛍光検出器、48…コントローラ、49…検出
用チップ、50…ペルチェ素子、51…電源、52…基板、53
…金属薄膜、54…基板、55…金属薄膜、58…基板、59…
金属薄膜、60…基板、61…金属薄膜、62…アクリルアミ
ドゲル、65…サンプル注入口、
Claims (10)
- 【請求項1】 特定の生体関連物質を特異的に捕捉する
ための一種以上のプローブが内部に固定化された多孔質
体内で生体関連物質を含む試料を電気泳動させ、試料中
に前記特定の生体関連物質が含まれている場合は試料中
の前記特定の生体関連物質を対応する前記プローブに捕
捉させると共に、前記プローブに対応しない物質を前記
多孔質体外に排出する工程と、前記プローブに捕捉され
た特定の生体関連物質を検出する工程とを具備したこと
を特徴とする生体関連物質の検出方法。 - 【請求項2】 前記試料中の生体関連物質には予め標識
が付与されており、前記プローブに捕捉された特定の生
体関連物質を検出する工程は、前記プローブに捕捉され
た特定の生体関連物質に付与された標識を検知すること
により行われることを特徴とする請求項1に記載の生体
関連物質の検出方法。 - 【請求項3】 前記標識はエネルギー線を発生する物質
であり、前記多孔質体が前記標識の発生するエネルギー
線に対する透明性を有することを特徴とする請求項2に
記載の生体関連物質の検出方法。 - 【請求項4】 前記多孔質体が天然高分子、合成高分子
および多孔質セラミックからなる群から選択される材料
で構成される、請求項1〜3の何れか1項に記載の生体
関連物質の検出方法。 - 【請求項5】 特定の生体関連物質を検出するためのチ
ップ装置において、特定の生体関連物質を捕捉するため
の一種以上のプローブが内部に固定された多孔質体と、
該多孔質体を挟持する位置に設置した電極とを具備した
ことを特徴とするチップ装置。 - 【請求項6】 前記多孔質体内には、異なる複数のプロ
ーブが、前記多孔質体の深さ方向に相互に分離されて固
定化されている請求項5に記載のチップ装置。 - 【請求項7】 前記多孔質体は、異なるプローブが固定
化された二以上の多孔質層を含む多層構造からなる、請
求項6に記載のチップ装置。 - 【請求項8】 前記異なるプローブが固定化された隣接
する多孔質層の間に、プローブが固定化されていない多
孔質層が介在している請求項7に記載のチップ装置。 - 【請求項9】 前記電極の一方は絶縁層で区画された複
数の電極表面領域を有し、これら夫々の電極表面領域上
には異なったプローブを固定化した多孔質体を配置し、
その上に共通の対向電極を設けた請求項5に記載のチッ
プ装置。 - 【請求項10】 特定の生体関連物質を検出するための
装置において、請求項4〜7の何れか1項に記載のチッ
プ装置と、該チップ装置の電極に電圧を印加するための
電源と、前記チップ装置のマトリックス内に捕捉された
生体関連物質を検出するための検出器とを具備する生体
関連物質検出装置。
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-
2000
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