JP2002191388A - D−アラビトールの製造方法及びその実施に用いる新規微生物 - Google Patents

D−アラビトールの製造方法及びその実施に用いる新規微生物

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 資化可能な炭素源を原料とした微生物による
D−アラビトールの生成反応において、グリセロールや
エリスリトールなどの多価アルコール類を生産すること
が無く、高い選択性を有し、なおかつ、原料消費量に対
して高収率でD−アラビトールを製造する方法を提供す
る。 【解決手段】 カンジダ・パラプシロシスに属し、資化
可能な炭素源からD−アラビトールを選択的に生産する
能力を有する新規微生物であるカンジダ・パラプシロシ
スFERM P−18006を用いてD−アラビトール
を製造する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明が属する技術分野】
【0002】本発明は、D−アラビトールの製造方法及
びその方法を実施するために用いる新規微生物に関し、
詳細には、甘味料として有用であるだけでなく、キシロ
ースやキシリトールの原料としても有用であるD−アラ
ビトールについて、選択的且つ高収率で製造することを
可能とするカンジダ・パラプシロシス(Candida
parapsilosis)に属する新規微生物、及
びそれを実施するために用いた資化可能な炭素源からの
D−アラビトールの製造方法に関する。
【0003】
【従来の技術】
【0004】従来、微生物を用いたD−アラビトールの
生産には様々な方法が検討されていたが、何れも選択性
や収率に問題が有り、これらの要望を同時に満たすこと
は困難であった。
【0005】例えば、カンジダ(キヤンジダ)属、サッ
カロミセス属、ピヒヤ属、デバリオミセス属に属する微
生物を利用した、発酵法によるD−アラビトールの生成
は既に知られているが、D−アラビトール以外にグリセ
ロール、エリスリトールなどの多価アルコール類がかな
りの割合で同時に生成するという欠点があり、また、原
料消費量に対するD−アラビトールの生成収率において
も満足できるものではなかった。
【0006】さらに、特開昭54−145284号公報
では、カンジダ・トルロプシス(Candida to
ruropsis)に属する微生物を採用することによ
り、グリセロール、エリスリトールなどの多価アルコー
ル類を生成しない製造方法を紹介しているが、原料消費
量に対するD−アラビトールの生成収率は十分なものと
は言えなかった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】本発明が解決しようとする課題は、資化可
能な炭素源を原料とした微生物によるD−アラビトール
の生成反応において、グリセロールやエリスリトールな
どの多価アルコール類を生産することが無く、高い選択
性を有し、なおかつ、原料消費量に対するD−アラビト
ールへの生成収率が高い、D−アラビトールの製造方
法、及びD−アラビトールの生産能力を有する新規微生
物を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
【0010】本発明者らの鋭意研究の結果、カンジダ・
パラプシロシスに属し、山梨県の菓子工場の敷地内から
発見された新規微生物であるカンジダ・パラプシロシス
No.123(工業技術院生命工学工業技術研究所特許
微生物寄託センターに平成12年8月29日付けでFE
RM P−18006として寄託されている。)が、D
−アラビトールの製造において高選択性と高収率が望め
る菌体であることを見出し、本発明を完成するに至っ
た。
【0011】すなわち、本発明の課題を解決するための
手段は、次のとおりである。
【0012】第1に、カンジダ・パラプシロシスに属
し、資化可能な炭素源からD−アラビトールを選択的に
生産する能力を有する新規微生物であるカンジダ・パラ
プシロシスFERM P−18006を用いた、D−ア
ラビトールの製造方法。第2に、D−アラビトールの製
造にあたり、培地中のpHを1.0〜6.0、好ましく
は1.1〜5.0、更に好ましくは1.2〜4.0とす
ることを特徴とする、上記第1に記載のD−アラビトー
ルの製造方法。第3に、受託番号 FERM P−18
006として寄託されている、カンジダ・パラプシロシ
スに属する新規微生物。
【0013】以下、この新菌株の菌学的性質を説明す
る。
【0014】なお、以下の説明、発明の実施の形態、各
実施例、比較例において使用する培地の成分構成は、次
のとおりである。
【0015】
【表1】
【0016】カンジダ・パラプシロシスNo.123
(FERM P−18006)の菌学的性質
【0017】(1)生育状態 栄養細胞の大きさ:5.4×4.9μm(注1) 栄養細胞の形:楕円形、卵形(注1) 栄養細胞の増殖法:多極出芽(注1) 菌糸体:偽菌糸を形成した(注2) コロニーの様子:なめらか、クリーム状 D.B.B染色:呈色せず(子嚢菌と判定) 胞子の形成:形成せず(注3)
【0018】(注1)カンジダ・パラプシロシスNo.
123の保存菌体をプレート状のYM培地に1白金耳接
種し、25℃で2日間、菌体の前培養を行った。培養後
の菌体を、Malt extract液体培地に1白金
耳接種し25℃、120strokes/minで振盪
培養し、サンプリングした菌体を光学顕微鏡を用いて測
定した。 (注2)注1と同様の方法で菌体を前培養した後、Co
rn meal agarプレートに1白金耳接種し2
5℃で培養し、2日ごとに顕微鏡観察した。 (注3)注1と同様の方法で菌体を前培養した後、Fo
well’s acetateプレートとMaClar
y’s acetateプレートにそれぞれ1白金耳ず
つ接種し25℃で18日間培養し、顕微鏡で観察した。
【0019】(2)生理的性質 酸素要求性:好気的 生育温度:20〜37℃ 最適生育温度:25℃ ビタミンの要求性:Biotin free、ビタミ
ン9種(Biotin、Ca−Pantothenat
e、Folic acid、Inositol、Nia
cin、p−Aminobenzoic acid、P
rydoxine、Riboflavin、Thiam
in)freeで生育なし
【0020】(3)炭素源の発酵性 発酵性試験用培地の調製 発酵性試験用基本培地を、Durham管を逆さに入れ
た試験管に4.0ml分注し、次いで発酵性評価を行う
炭素源を溶解した10%(w/v) 炭素源溶液(ただ
し、Soluble starch 、Inulinは
5%で実施)を1.0ml、BTB溶液0.3mlを無
菌的に添加したものを調製した。なお、発酵性評価を行
う炭素源がSoluble starch、Inuli
n、Raffinoseの場合、発酵性試験用基本培地
の添加量を3.0ml、炭素源溶液の添加量を2.0m
lとして調製した。 培養 カンジダ・パラプシロシスNo.123の保存菌体をY
M液体培地に1白金耳摂取し、OD660≒1.0(分
光光度計による660nmでの濁度の測定値)となるま
で振盪培養(25℃、120strokes/mi
n.)した。振盪培養後、遠心集菌を行い、滅菌蒸留水
で2回洗浄を行った後、滅菌蒸留水でOD660≒0.
1の菌体懸濁液を調製した。この菌体懸濁液0.1ml
を上記発酵性試験用培地に接種し、25℃、静置培養を
行い、Durham管内の気体の蓄積の様子を観察し
た。炭素源の発酵性は表2に記載の基準に従って評価し
た。各種炭素源の発酵性の結果は表3に記載した。
【0021】
【表2】
【0022】
【表3】
【0023】(4)炭素源の資化性 資化性試験用培地の調製 Yeast Nitogen base(Difco社
製)水溶液(13.4g/100ml)と、10%(w
/v)炭素源水溶液を調製し、それぞれの水溶液250
μlと滅菌蒸留水4.5mlを、滅菌済みの試験管に無
菌的に分注し、これを炭素源資化性試験用培地とした。
なお、炭素源を含まない培地として、Yeast Ni
togen base水溶液(13.4g/100m
l)250μlと滅菌蒸留水4.75mlからなる培地
も調製した。 培養 カンジダ・パラプシロシスNo.123の保存菌体をG
PY液体培地に1白金耳接種し、OD660≒1.0と
なるまで振盪培養(25℃、120strokes/m
in.)した。滅菌蒸留水による遠心洗浄を2回行った
後、3〜6mlの滅菌蒸留水を用いて菌体懸濁液を調製
した。この菌体懸濁液を炭素源資化性試験用培地がOD
660≒0.01となるように接種し、振盪培養(25
℃、120strokes/min.)を行った。 評価 振盪培養中の生育の様子について、1日目、3日目、7
日目、14日目、21日目に肉眼比濁用黒線(3/4m
m幅の黒線を引いた白い紙)を用いて、肉眼比濁用黒線
の前に試験管(7ml/18×180mm)を置き、そ
の線の見え方を表4の基準で評価した。21日間の培養
終了時に菌の生育が観測されなかった培地については、
培養液のOD660の値を測定した。炭素源資化性につ
いては、菌体の生育状況と培地の濁度を総合した表5の
基準に基づいた評価で判定し、その結果を表6にまとめ
た。
【0024】
【表4】
【0025】
【表5】
【0026】
【表6】
【0027】(6)窒素源の資化性 資化性試験用培地の調製 Yeast Carbon base(Difco社
製)水溶液(23.4g/100ml)と、窒素源水溶
液を調製し、それぞれの水溶液250μlと滅菌蒸留水
4.5mlを、滅菌済みの試験管に無菌的に分注し、こ
れを窒素源資化性試験用培地とした。窒素源水溶液の濃
度は、Nitrate(硝酸カリウム)が0.78g/
50ml、Nitrite(亜硝酸ナトリウム)が0.
26g/50ml、Cadaverineが0.68g
/50ml、L−lysineが0.56g/50m
l、その他の窒素源については3.5g/50mlであ
る。なお、窒素源を含まない培地として、Yeast
Carbon base水溶液(23.4g/100m
l)250μlと滅菌蒸留水4.75mlからなる培地
を調製し、ブランクとして評価した。 培養 炭素源資化性試験と同様に行った。 評価 炭素源資化性試験と同様の評価方法を用いて資化性を判
定し、結果を表7にまとめた。
【0028】
【表7】
【0029】
【発明の実施の形態】
【0030】本発明を実施するために使用する微生物と
しては、資化可能な炭素源からD−アラビトールを選択
的かつ高収率に生産する能力を有するものであればよ
く、具体的にはカンジダ・パラプシロシスに属する、新
規微生物であるカンジダ・パラプシロシスNo.123
(工業技術院生命工学工業技術研究所特許微生物寄託セ
ンターにFERM P−18006として寄託されてい
る。)を採用でき、また、その変異株を包含する。変異
株は、親株から、たとえば紫外線、X線、γ線などの照
射、または適当な変異剤による処理などの慣行法によっ
て得ることができる。カンジダ・パラプシロシスに属す
る菌体の培養方法は、液体培地を用いて好気的条件下で
攪拌培養することにより実施されることが望ましい。
【0031】液体培地の主炭素源としてはグルコース、
フルクトース、スクロース、糖蜜または、これらの混合
物など、各種糖質の使用が可能である。なお、これら糖
質の培地中における量的割合としては、D−アラビトー
ルの生成を妨げない範囲であれば自由に選択できる。液
体培地に添加される糖類の濃度条件は、5〜40%(w
/v)、好ましくは10〜30%(w/v)、更に好ま
しくは15〜20%(w/v)である。液体培地中の炭
素源となる糖類の濃度が40%(w/v)を超えると、
浸透圧が高くなり、微生物によるアラビトールの生成能
力が低下するため好ましくない。また、液体培地に添加
される糖類の濃度が5%(w/v)を下回った場合、液
体培地中に含まれる炭素源の絶対量が少なくなり、D−
アラビトールの製造が効率的に行われなくなるため好ま
しくない。
【0032】液体培地に使用される窒素源としては、微
生物が利用可能な窒素化合物であればよく、例えば酵母
エキスなどが使用できる。また、液体培地には必要に応
じて、リン酸カリウム、硫酸アンモニウムなどの種々の
無機塩類を添加することもできる。D−アラビトールの
生成は、液体培地に菌体を直接接種するか、または別に
種培養液を調製しそれを液体培地に接種しても良い。種
培養液は、D−アラビトールの生成に用いられる培地と
同組成の液体培地に直接菌体を接種し、25℃で1〜2
日間程度培養することで得ることができる。
【0033】培養温度は微生物が発育し得る範囲内で適
宜設定されるが、通常10〜40℃、好ましくは20〜
30℃、更に好ましくは25℃前後である。培地温度が
40℃を超えたり10℃を下回ると、微生物の活性が急
激に低下し、D−アラビトールの生成量が低下するため
好ましくない。D−アラビトールの生成に用いられる培
地のpHは、1.0〜6.0、好ましくは1.1〜5.
0、更に好ましくは1.2〜4.0である。pHが7.
0を超えると、D−アラビトールの生成量が著しく低下
するため好ましくない。本発明における培養期間は、培
地の種類及び主炭素源である糖質の濃度により異なるた
め、各種条件に応じて適宜変更すべきであるが、培地中
の炭素源が最大限に消費された時点か、もしくは培養液
中のD−アラビトール生成量が最大となった時点で終了
させることが望ましく、通常3〜10日程度である。培
養の進捗度は、ガスクロマトグラフィーや高速液体クロ
マトグラフィーなどの方法を用い、培養液中のD−アラ
ビトールを定量することで、容易に測定が可能である。
また、培養の進行度、培養液調製、各種溶液の添加量な
どの目安として、それぞれの溶液の濁度(Optica
l Density:OD)を用いることも可能であ
る。濁度は分光光度計によって特定波長の散乱光を測定
することで、求めることができる。
【0034】本発明では、グリセロールやエリスリトー
ルといった副生成物を生じること無く、選択的にD−ア
ラビトールを生成することが可能であった。その結果、
使用した炭素源消費量当たりのD−アラビトール生成収
率(D−アラビトール生産量/炭素源消費量)は、30
%以上、好ましくは40%以上であり、最大で50%を
超えるものであった。
【0035】このようにして得られた培養液中のD−ア
ラビトールは、常法によって培養液中から単離、精製す
ることが可能であり、ろ過、遠心分離、イオン交換さら
には、吸着クロマトグラフィー、結晶化など公知の手段
を適宜組み合わせることで実施できる。例えば、培養液
から遠心分離によって菌体を除去し、次いで活性炭処理
により着色物質などを除き、さらにイオン交換樹脂によ
り脱イオンし、生成した培養液を濃縮乾固する。これに
熱エタノール等の有機溶媒を加えてD−アラビトールを
抽出し、抽出液をそのまま室温または冷却下に放置する
と白色のD−アラビトール結晶が晶析する。このように
して得たD−アラビトール結晶をエタノールなどの有機
溶媒を用いて再結晶を行うことにより、純粋なD−アラ
ビトール結晶を得ることができる。以下に、実施例及び
比較例を示して本発明を詳細に説明するが、本発明の範
囲は以下の例に制限されるものではない。
【0036】なお、以下の実施例、比較例で使用する液
体培地の成分組成は、次のとおりである。
【0037】
【表8】
【0038】
【実施例1】
【0039】カンジダ・パラプシロシスNo.123
(FERM P−18006)の保存菌体を、0.2N
のNaOHでpH5.5に調整した5%グルコース液体
培地(7ml/18mm×180mm試験管)に1白金
耳接種し、25℃、120strokes/minで振
盪培養を行い、液体培地の濁度が分光光度計(HITA
CHI model 101 Spectromete
r)による測定でOD660≒1.0になるまで振盪培
養を行い、前々培養液を得た。この前々培養液を、YM
液体培地の濁度がOD660≒0.01となるまで接種
させ、その中の100mlを500ml容振盪フラスコ
に分注し、48時間振盪培養し前培養液を得た。この前
培養液を滅菌済み遠沈管(500ml容ポリアロマ製)
に全量入れ、冷凍遠心機(HITACHI・20PR−
52D)を用いて遠心分離(4500rpm、20mi
n、4℃)を行い、上清を廃棄し菌体を回収した。回収
した菌体に、12M−HClでpH1.8に調整した1
5%グルコース液体培地を添加、懸濁させて、液体培地
がOD660≒100になるように調製した。菌体を添
加した上記液体培地100mlをメスシリンダーに計り
とり、500ml容振盪フラスコに分注し、これを25
℃、120strokes/minで振盪培養を行っ
た。振盪培養120時間目でこの培養液のHPLC分析
を行ったところ、培養液中のD−アラビトールの生産量
は70.74g/L(収率50.7%=D−アラビトー
ル生産量/グルコース消費量)であった。
【0040】
【実施例2】
【0041】カンジダ・パラプシロシスNo.123
(FERM P−18006)の保存菌体を、0.2N
のNaOHでpH5.5に調整した5%グルコース液体
培地(8ml/18mm×180mm試験管)に1白金
耳接種し、25℃、120strokes/minで振
盪培養を行った。振盪培養は液体培地の濁度がOD66
0≒1.0になるまで行い、これを前培養液とした。前
培養終了後、前培養液を滅菌済み綿栓付き試験管に全量
入れ、遠心機を用いて遠心分離を行い、菌体を回収し
た。その後滅菌水を加えて懸濁した後、再び遠心分離を
行い菌体を回収する操作を2回行い、菌体洗浄を行っ
た。集菌洗浄後、0.1NのNaOHでpHを4.8に
調整した15%フルクトース液体培地に対して、OD6
60≒0.01となるように洗浄済みの菌体を接種し、
滅菌済み綿栓付き500ml容振盪フラスコに100m
l分注した。この溶液を25℃、120strokes
/minで10日間振盪培養した。振盪培養240時間
目でこの培養液中に含まれるD−アラビトールは、7
6.40g/L(収率50.9%=D−アラビトール生
産量/フルクトース消費量)であった。
【0042】
【比較例】
【0043】カンジダ・オレオフィラNo.161の保
存菌体を、実施例2と同様の方法で前培養及び前培養し
た菌体の集菌洗浄を行った。集菌洗浄後、0.1NのN
aOHでpHを5.5に調整した15%グルコース液体
培地に対して、OD660≒0.01となるように洗浄
済みの菌体を接種し、25℃、120strokes/
minで10日間振盪培養した。D−アラビトール生産
量は、31.14g/L(収率20.8%=D−アラビ
トール生産量/グルコース消費量)であり、リビトール
2.45g/L(収率1.6%)も同時に生成した。ま
た、この菌体は培養時に高い発泡性を有した。
【0044】各実施例及び比較例の培養結果を、表9に
示す。
【0045】
【表9】
【0046】
【発明の効果】
【0047】本発明によれば、資化可能な炭素源を原料
とした微生物によるD−アラビトールの生成反応におい
て、グリセロールやエリスリトールなどの多価アルコー
ル類を生産することが無く、高い選択性を有し、なおか
つ、原料からD−アラビトールへの生成収率が高いD−
アラビトールの製造方法を提供できる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C12R 1:72) C12R 1:72) (72)発明者 小島 貴士 岐阜県羽島郡川島町松倉町500−1 (72)発明者 近藤 敏弘 茨城県つくば市桜町一丁目13−13アクシス 桜105 (72)発明者 尾藤 幸枝 東京都あきる野市野辺666−21 Fターム(参考) 4B064 AC05 CA06 CC07 DA10 4B065 AA73X AC14 AC20 BC02 CA07 CA41

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 カンジダ・パラプシロシスに属し、資化
    可能な炭素源からD−アラビトールを選択的に生産する
    能力を有する新規微生物であるカンジダ・パラプシロシ
    スFERM P−18006を用いた、D−アラビトー
    ルの製造方法。
  2. 【請求項2】 D−アラビトールの製造にあたり、培地
    中のpHを1.0〜6.0とすることを特徴とする、請
    求項1に記載のD−アラビトールの製造方法。
  3. 【請求項3】 受託番号 FERM P−18006と
    して寄託されている、カンジダ・パラプシロシスに属す
    る新規微生物。
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