JP2002190120A - フォーカス移動装置およびフォーカス移動方法 - Google Patents

フォーカス移動装置およびフォーカス移動方法

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JP2002190120A
JP2002190120A JP2000386680A JP2000386680A JP2002190120A JP 2002190120 A JP2002190120 A JP 2002190120A JP 2000386680 A JP2000386680 A JP 2000386680A JP 2000386680 A JP2000386680 A JP 2000386680A JP 2002190120 A JP2002190120 A JP 2002190120A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 多層の光ディスクを再生する際、現在フォー
カシングしている層から層間ジャンプ動作をし、ジャン
プした先の層における短時間で確実なフォーカシングを
実現する。 【解決手段】 フォーカスジャンプ中にフォーカスアク
チュエータに印加される信号をディスク面振れ補間信号
と、層間距離移動のための層間移動信号との和によって
与える。層間移動信号は、アクチュエータ弾性項無効化
信号と加減速パルス信号との和によって与えられ、加減
速パルスの印加タイミングはフォーカスエラー振幅に基
づいて決定する。さらに加減速パルスの力積の総和を零
とするとともに、アクチュエータ弾性項を加減速パルス
がアクチュエータ弾性項を無視した場合のアクチュエー
タ位置信号にバネ係数を掛けた状態量で与える。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、複数の記録層が
積層されてなる、例えばDVDに係わるものであり、よ
り詳しくは所定の記録層に光スポットを集光制御するフ
ォーカス移動装置および方法に係わる。
【0002】
【従来の技術】DVD等の多層の記録層を有する光ディ
スクにおいて、任意の記録層を再生するための構成につ
いて、多くの出願がなされている。たとえば特開平10
−124883号公報等には、現在フォーカス制御がか
かっている記録層から任意の記録層にジャンプ(以下フ
ォーカスジャンプという)する方法が記載されている。
【0003】図20に、そのブロック図を示す。図20
に示すものは一言で言えば、一般的なフォーカス制御ル
ープにフォーカスジャンプに必要な機能ブロックを付加
した構成である。
【0004】フォーカスジャンプ中には位相補償ブロッ
ク8の後段に設けたフォーカスジャンプ選択スイッチ9
によって、フォーカス制御ループを切り、フォーカス制
御信号の代わりに、現在層(その時点で集光スポットが
形成されている層)から目標層(フォーカスジャンプ先
の層)に光スポット合焦位置を移動させるフォーカスア
クチュエータの加減速信号を印加している。
【0005】この加減速信号は、フォーカスアクチュエ
ータに現在層から脱出するための加速パルスと目標層の
合焦可能な位置にするための減速パルスから構成されて
いる。
【0006】図21は、特開平10−124883号公
報に記載されたフォーカスジャンプ装置を示したブロッ
ク図であり、図において100は光源である半導体LD
を含む発光光学系、1は例えばDVD2層(以下DVD
−DLと略称する)ディスク、2は対物レンズ、3は対
物レンズ2に剛体接続され磁気回路中に設置されたフォ
ーカスアクチュエータ駆動コイル、4はハーフミラー、
5は光電変換素子、6はフォーカスエラー検出ブロッ
ク、8は位相補償ブロック、9は切替スイッチ、10は
ドライバアンプ、11はローパスフィルタブロック(以
下LPFブロックと略称する)、13は加算ブロック、
14は加減速パルス発生ブロックである。
【0007】ディスク1、対物レンズ2(集光レン
ズ)、フォーカスアクチュエータ駆動コイル3(単に駆
動コイル3と称する場合もある)、ハーフミラー4、光
電変換素子5、フォーカスエラー検出ブロック6、位相
補償ブロック8およびドライバアンプ10は、一般的な
フォーカス制御ループの構成であり、フォーカスジャン
プを実現するために前記公報に記載の従来装置では、切
替スイッチ9、LPFブロック11、加算ブロック13
および加減速パルス発生ブロック14を付加した構成を
採用している。
【0008】以下に、一般的なフォーカス制御について
簡単な説明を行う。ディスク1の記録層(情報記録層)
に記録された情報を再生するためには、発光光学系10
0から出射されたレーザ光を対物レンズ2によってディ
スク1の記録層に常に集光させなくてはならない。これ
を実現するためには、対物レンズ2をディスク1に対し
て所定の相対位置に位置制御する必要がある。すなわ
ち、上記のようなDVD−DLにおいては、その記録層
が高反射率膜(例えばアルミ膜)と半透明の反射膜(例
えば金膜)との2つの膜(2層)により構成されてお
り、それらの層のそれぞれに焦点を形成するよう集光ス
ポットが位置制御される。
【0009】ディスク1は反りを有しており、その許容
される反りの許容量は例えば±300μm以下に設定さ
れる。このような反りを有するディスク1が回転するの
に伴って、上記ディスク1の反りによってディスク1の
盤面(または記録層)は回転軸と垂直な仮想的な回転平
面に対して上下動する(以下、面振れと称す)ので、対
物レンズ2の追従制御が必須となる。
【0010】この場合における制御対象は対物レンズ2
であり、追従目標はディスク1の記録層、制御種類はデ
ィスク1との相対位置制御(以下、単に位置制御と称す
る場合もある)となる。
【0011】対物レンズ2の位置制御は、対物レンズ2
とディスク1との相対位置誤差信号(2者間の焦点距離
からのずれに対応する信号)に基づく信号を対物レンズ
駆動手段にフィードバックすることにより実現され、こ
れまでに良く知られている、ごく一般的なフォーカシン
グ装置(例えば、非点収差法を採用したフォーカシング
装置)を用いることができる。
【0012】対物レンズ2を最適位置(ディスク1の記
録層上に集光スポットを形成可能な位置)に駆動(移
動)するのに必要な構成である対物レンズ駆動手段は、
主に以下に説明するものを含む。
【0013】例えば、ディスク1との相対位置(対物レ
ンズ2の焦点距離とディスク1および対物レンズ2の間
の距離)を検出するための構成としては、図20中のハ
ーフミラー4、光電変換素子5を含み、発光光学系10
0から出射された光ビーム(レーザ光)がディスク1に
入射され、当該ディスク1からの反射光をハーフミラー
4が光電変換素子5の方向に導く。
【0014】光電変換素子5においては、これに内蔵さ
れる位置検出用の光検知器(例えば、2分割光検知器)
からの出力から、相対位置に対応する電気出力(単に相
対位置と称する場合もある)を得る。この光電変換素子
5には、いわゆる非点収差法として良く知られているフ
ォーカス誤差信号を検出する方法において多用される4
分割検知器等が用いられる。
【0015】また、この相対位置と所定の相対位置との
誤差信号(この誤差信号は光電変換素子5から出力され
る信号と所定の値の電気信号との差)によって得ること
ができる。
【0016】対物レンズ駆動手段には、Focus E
rror Signal:FESと称す)を生成する手
段としてのフォーカスエラー検出ブロック6と、該フォ
ーカスエラー検出ブロック6より出力される出力の位相
を補償することでフォーカス制御ループを安定化させる
位相補償手段としての位相補償ブロック8と、制御対象
である対物レンズ2の位置(フォーカス位置)を変化さ
せる駆動手段としての駆動コイル3が含まれる。
【0017】なお、位相補償ブロック8は、一般的には
1KHz付近の帯域の位相を進ませる位相進みフィルタに
よって構成される。
【0018】駆動コイル3は対物レンズ2に剛体接続さ
れ、上記駆動コイル3に駆動電流を通電することにより
対物レンズ2をディスク1の面(記録層の延在する面)
に対して垂直方向に移動する機能を有する。
【0019】対物レンズの駆動制御は、位相補償ブロッ
ク8からの出力であるフォーカス制御信号に基づいて上
記駆動電流を制御することにより行われ、以上に述べた
構成による動作により上記レーザ光がディスク1の記録
層へ集光する制御系が実現される。
【0020】次に従来の装置におけるフォーカスジャン
プ(フォーカス制御方向に対物レンズ2の位置をジャン
プする)の方法について説明する。
【0021】フォーカスジャンプ時に駆動コイル3に印
加される信号は、LPFブロック11からの出力である
面振れ補間信号と加減速パルス発生ブロック14からの
出力信号との和によって与えられ、これら2つの信号の
加算は、加算ブロック13において行われる。
【0022】この場合、選択スイッチ9によって、フォ
ーカス制御が行われる場合には位相補償ブロック8の出
力であるフォーカス制御信号が選択され、フォーカスジ
ャンプを行う場合には加算ブロック13より出力される
フォーカスジャンプ信号を選択する。これにより、フォ
ーカス制御状態とフォーカスジャンプ状態との状態遷移
(状態切替)を制御している。
【0023】LPFブロック11は、カットオフ周波数
がディスク回転周波数より高く設定されており、フォー
カス制御信号のディスク面振れ成分のみを抜き取る機能
を有する。
【0024】さらに、加減速パルス発生ブロック14
は、例えば、装置全体の制御を司るシステムコントロー
ラ等の上位ブロックから出力されるフォーカスジャンプ
指令に基づいて加速用の矩形波である加速パルスと、減
速用の矩形波である減速パルスを発生し、フォーカスジ
ャンプ中のFESのゼロクロスタイミングにより加速パ
ルスから減速パルスへの切り替えを行う。
【0025】また、減速パルス終了のタイミングは、F
ESが合焦時(FESがゼロクロスする時点)であり、
同時に切り替えスイッチ9がフォーカス制御に切り替わ
り、フォーカス引き込み動作が完了した段階で与えら
れ、これにより一連のフォーカスジャンプ動作は終了す
る。
【0026】
【発明が解決しようとする課題】安定で確実なフォーカ
スジャンプを実現するための必要条件は、フォーカスジ
ャンプ動作直後のフォーカス制御ループの引き込みが正
常に行われるか否かで定めることができる。
【0027】フォーカス制御ループが安定に引き込むた
めの条件は、フォーカス引き込み動作時の目標位置にあ
る記録層(目標層)から検出されるFESが零付近であ
ることと、ディスク1と対物レンズ2との相対速度が零
に近いことである。
【0028】これら2つの条件を整理すれば、 条件1.ジャンプ動作後のFESが零である。 条件2.ジャンプ動作後の対物レンズ2とディスク1と
の相対速度(以下、ジャンプ後相対速度と称する)が零
である。 ということであり、このようにジャンプ動作を設定可能
であれば、安定で確実なフォーカスジャンプが実現する
ことになる。
【0029】図22はフォーカスジャンプを実現するた
めの、克服すべき課題の要点をまとめたものである。図
22の内容を列挙して説明すると以下となる。
【0030】フォーカスジャンプ中は位置検出信号が
欠落するので、オープンループ制御となる。 理由:FES検出範囲(例えば、10μm未満)が層間
距離(例えば、40μm程度)に対して狭く、フォーカ
スジャンプ中はフォーカスエラー不感帯(フォーカスエ
ラーを検知できない範囲。上記の例では、約20μmほ
ど)が存在する。従って、フォーカスジャンプにより対
物レンズ2が不感帯にある時はオープンループ制御とな
る。
【0031】追従目標であるディスクは面振れを有す
るが、そのような状態にあってもフォーカスサーボをか
ける必要がある。 理由:フォーカスジャンプの最中でも、ディスク1の面
振れによりディスク1と対物レンズ2との相対位置なら
びに相対速度は変化するので、ディスク1の面振れを考
慮せずにジャンプすると、条件1および条件2を満足す
ることが難しい(現実的には、条件2の方を満足するこ
とがより困難である)。
【0032】例えば上記特開平10−124883号公
報に記載の従来のフォーカスジャンプ装置・方法におい
ては、上記に示したような不感帯が無いピックアップ
に限定されるものであり、不感帯を有するような一般的
なピックアップに上記公報に記載されたものをそのまま
適用することは困難である。
【0033】さらに、同公報に示された従来のもので
は、上記の面振れに対する対策はされているが、フォ
ーカスジャンプの最中に得られるFESは非線形であ
り、このようなFESの非線形成分はLPFブロック1
1に外乱として入力されることとなるため、面振れ補間
信号に影響を与えてしまう問題点があった。
【0034】さらに、同公報に示された従来のもので
は、加減速パルス発生ブロック14の出力である加減速
パルスが、FES位置のみ(すなわち、ここでは、FE
Sのゼロクロスタイミング)に注目して設定されている
ため、条件2の対物レンズ2とディスク1との相対速度
を零とすることを保証できない。
【0035】従って、フォーカスジャンプ後におけるフ
ォーカス引込の際、対物レンズ2がオーバシュート等を
引き起こし、それにより信号読出し時間が長くなり、最
悪の場合、フォーカス引込に失敗するといった問題点が
あった。
【0036】この発明は以上のような問題点を解決する
ためになされたもので、面振れが大きいディスクにおい
ても、また再生速度が高速であっても、さらにフォーカ
スアクチュエータの機械的弾性係数が大きい場合におい
ても、安定なフォーカスジャンプ方法を得ることを目的
とする。
【0037】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに本発明は、以下に示す手段によって構成される。
【0038】本発明に係るフォーカス移動装置は、複数
の記録層を有するディスクのいずれかの記録層上に光源
からの出射光を集光して集光スポットを形成する集光レ
ンズを前記複数の記録層の配列される方向に移動するア
クチュエータと、該アクチュエータを駆動して前記集光
レンズの位置を移動させることにより前記集光スポット
の位置を前記記録層の内の一の記録層の位置より他の記
録層の位置に変位させるに際し、前記集光スポットの位
置を前記一の記録層の位置より移動させるための駆動信
号に基づく力積および前記集光スポットの位置を前記他
の記録層上に停止させるための駆動信号に基づく力積の
総和が略零となるように前記各駆動信号を出力するアク
チュエータ駆動手段とを備えることを特徴とする。
【0039】また、アクチュエータ駆動手段から出力さ
れる、集光スポットの位置を一の記録層の位置より移動
させるための駆動信号および他の記録層上に停止させる
ための駆動信号は、振幅値の絶対値が等しく、極性が逆
であって、印加時間が等しいことを特徴とする。
【0040】また、集光レンズの移動直前における焦点
制御信号をホールドした補間信号および層間移動信号の
和を集光スポットの位置を一の記録層の位置より移動さ
せるための駆動信号とすることを特徴とする。
【0041】また、層間移動信号は、一の記録層の位置
と他の記録層との間の距離に対応する加減速パルスまた
は該加減速パルスとアクチュエータ弾性項無効化信号と
の和によって与えられることを特徴とする。
【0042】また、加減速パルスの印加後に補正加減速
パルスを印加することを特徴とする。
【0043】また、アクチュエータ弾性項無効化信号
は、集光レンズの移動位置を模擬した信号であることを
特徴とする。
【0044】本発明に係るフォーカス移動方法は、複数
の記録層を有するディスクのいずれかの記録層上に、光
源からの出射光を集光して集光スポットを形成する集光
レンズを該集光レンズを移動させるためのアクチュエー
タを駆動して前記複数の記録層の配列される方向に移動
させ、これにより前記集光スポットの位置を前記記録層
の内の一の記録層の位置より他の記録層の位置に変位さ
せるに際し、前記集光スポットの位置を前記一の記録層
の位置より移動させるための駆動信号に基づく力積およ
び前記集光スポットの位置を前記他の記録層上に停止さ
せるための駆動信号に基づく力積の総和が略零となるよ
うに前記各駆動信号を与えることを含むことを特徴とす
る。
【0045】また、アクチュエータを駆動する際の、集
光スポットの位置を一の記録層の位置より移動させるた
めの駆動信号および他の記録層上に停止させるための駆
動信号は、振幅値の絶対値が等しく、極性が逆であっ
て、印加時間が等しいことを特徴とする。
【0046】また、集光レンズの移動直前における焦点
制御信号をホールドした補間信号および層間移動信号の
和を集光スポットの位置を前記一の記録層の位置より移
動させるための駆動信号とすることを特徴とする。
【0047】また、層間移動信号は、一の記録層の位置
と他の記録層との間の距離に対応する加減速パルスまた
は該加減速パルスとアクチュエータ弾性項無効化信号と
の和によって与えられることを特徴とする。
【0048】また、加減速パルスの印加後に補正加減速
パルスを印加することを特徴とする。
【0049】また、アクチュエータ弾性項無効化信号
は、集光レンズの移動位置を模擬した信号であることを
特徴とする。
【0050】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態に関する基本
的な説明 フォーカスジャンプは、現在フォーカス制御がかかって
いる現在の記録層(現在層と称する場合もある)から、
目標とする記録層(目標層と称する場合もある)に対物
レンズの焦点位置をジャンプ(記録層間に亙って焦点位
置を変更)して、目標層に瞬時あるいは非常に短期間の
内にフォーカス制御をかける機能が要求される。ここで
はDVD−DLについて説明するが、DVD−DLのよ
うなディスクは先の説明にもあるように、複数の記録層
を有するディスク(DVD−DLの場合は2つの記録層
を有する)であり、その内のいずれかの記録層上に、例
えば半導体レーザ等の光源から出射された出射光を集光
レンズ(対物レンズ)により集光して集光スポットを形
成する。DVD−DLでは高反射膜と半透明の反射膜と
が層状に形成されており、フォーカス制御は、いわば、
この複数の記録層の配列されている方向にアクチュエー
タ等を用いて集光レンズを移動することにより達成され
る。
【0051】この機能をフォーカス制御の観点から見れ
ば、フォーカスジャンプ中はフォーカス制御ループを
(完全に)切り(開ループ)、フォーカスジャンプ終了
後、いきなりフォーカス制御ループを閉じる(閉ルー
プ)という特殊な動作(モード)であるとも言える。
【0052】すなわち、フォーカスジャンプ中は、FE
S信号が欠落してしまい、フォーカスジャンプ終了後に
おける安定したフォーカス引込を保証するためには、フ
ォーカスジャンプの期間中においても、ディスクの面振
れに対して追従動作を行うようにFES信号に代わる面
振れ補間信号が必要である。
【0053】従って、フォーカスジャンプの際に駆動コ
イル3に通電されるフォーカスジャンプ信号としては、
フォーカスジャンプ期間中のディスクの面振れに対して
追従・補間することができるようにディスクの面振れ補
間信号と、焦点位置が現在層(上記複数の記録層の内の
一の記録層)から目標層(上記複数の記録層の内の一の
記録層に対して他の記録層)までの層間距離を移動し、
その停止の際の速度が零となるような加減速パルスとの
和に基づいて与えれば良い。以下、そのようなフォーカ
スジャンプ信号に求められる面振れ補間信号と加減速パ
ルスについて詳しく述べる。
【0054】1.面振れ補間信号 フォーカスジャンプ中にFES信号によらず面振れに追
従する機能を与える面振れ補間信号について、理論的に
記述してみよう。
【0055】ディスクの面振れ(ここにおける追従目
標)は、従来の装置についても述べたように、反りをも
ったディスクが回転することによって生じるので周期的
に現れ、これを関数として扱う場合、周期関数によって
表現できる。ここでは説明を簡単にするため、ディスク
の面振れを次式の正弦波によって与えるものとする。
【0056】
【数1】
【0057】ここでtは時間(sec)、X(t)は時
刻tにおける面振れ(m)、Aは面振れ振幅(m)、B
は面振れの角速度(rad/sec)を表す。制御対象
である駆動コイル3を含むフォーカスアクチュエータの
機械的動特性を2次系と仮定し、さらにフォーカスジャ
ンプ中のX(t)を2階微分した関数(すなわち駆動コ
イル3の印加信号と等価)のホールド期間をΔ(se
c)と定義する。
【0058】なお、この場合のホールドとは、フォーカ
スアクチュエータの駆動電圧を保持することを意味し、
例えば、フォーカスドライブ信号のLPF出力(ローパ
スフィルタ出力)を保持することを言う。
【0059】また、ホールド期間とはホールドの状態が
継続される期間、ホールド値とは、例えば、ある時点に
ホールドされるフォーカスドライブ信号のLPF出力の
大きさを言う。
【0060】時刻tにおけるホールド値と、ホールド期
間Δ後の時刻t+Δにおける真値との差(誤差)を、各
時間で算出した結果により定められる関数をホールド誤
差関数(位置誤差の大きさを表わし長さの次元を有す
る。以下、単に誤差関数と称する場合もある)として定
義する。
【0061】面振れX(t)を時間で2階微分した関
数、すなわち駆動コイル3の印加信号(例えば、フォー
カスドライブ信号のLPF出力)のホールドの形態の例
としては、ホールド時に当該信号の値を保持する零次ホ
ールドと、ホールド時の当該信号の値と傾きとを併せて
保持する1次ホールドがある。
【0062】ここでは、零次ホールドの場合のホールド
誤差関数をE0、1次ホールドの場合のホールド誤差関
数をE1とすると、それぞれ次式で表すことができる。
【0063】
【数2】
【0064】
【数3】
【0065】なお、ホールド誤差関数E0およびE1と
して表わされた、上記式1および2の導出は以下の通り
である。
【0066】<式2の導出>
【0067】
【数4】
【0068】<式3の導出>
【0069】
【数5】
【0070】上記式2および式3を参照すると分かるよ
うに、誤差関数は、面振れ振幅A、面振れ角速度Bおよ
びホールド期間Δをパラメータとした時間関数によって
表わされる。従って、ホールド誤差(ホールド値と、ホ
ールド期間Δ後の真値との差)について論議するには、
システムの使用条件によって上記パラメータがどのよう
な値である場合にホールド誤差がどのくらいになるかと
いった具体的な数値抜きでは無意味であることが分か
る。
【0071】例えば、再生ディスクをDVD−DL、再
生速度を4倍速CLV再生の最内周、ジャンプ期間(こ
のジャンプ期間において、ホールド動作が行われ、当該
ホールド動作によりアクチュエータの駆動電圧が保持さ
れることから、「ホールド期間」と称する場合もある)
を1msec、ディスク面振れ振幅Aを例えば300μ
m(半波振幅)と設定した場合のディスク面振れX
(t)とホールド誤差関数E0およびE1との関係を図
1に示す。
【0072】図1中、波形Aは面振れX(t)であり、
振幅は1/10スケールで表示している。また、波形B
はE0、波形CはE1である。上記の条件の場合、図1
を参照すると分かるように、面振れ300μmに対する
ホールド誤差の最大値は、零次ホールドで約13μm、
1次ホールドで約2μmとなる。
【0073】前述のように誤差関数(ホールド誤差関
数)は、面振れ振幅A、面振れ角速度B、ホールド期間
Δをパラメータとした時間関数で定義されるので、図1
に解析結果を示したような条件に対して、ホールド期間
Δならびに面振れの角速度Bを小さく変化させたときの
結果を図2および図3に示す。
【0074】図2(a)は、図1と同条件の解析結果
(すなわち図1と同内容のもの)、図2(b)はホール
ド期間Δを1msecから0.8msecに小さく設定
した解析結果である。
【0075】この図2(a)と(b)とを対比すると、
ホールド期間Δを小さくすれば、ホールド誤差関数E
O、E1ともに各ホールド誤差関数の振幅が小さくなっ
ている。このことから、ホールド期間を短くすることに
よってホールド誤差を小さくすることが可能であること
が分かる。
【0076】図3(a)は、図1と同条件の解析結果
(すなわち図1と同内容のもの)、図3(b)は再生速
度を4倍速から3倍速に減少させた場合の解析結果であ
る。
【0077】この図3(a)と(b)とを対比すると、
面振れの角速度Bを小さくすれば、ホールド誤差関数E
O、E1ともに各ホールド誤差関数の振幅が小さくなっ
ている。このことから、再生速度を遅くすることによっ
てホールド誤差を小さくすることが可能であることが分
かる。
【0078】上記から、ホールド誤差は、面振れ振幅A
が一定であっても、ホールド期間や再生速度によって値
を大きく変え、再生速度が速いほど、また、ホールド期
間が長いほどホールド誤差が大きくなる特性を有する。
【0079】より定性的に論議するため、DVD−DL
の面振れ振幅Aを300μm(半波振幅)、再生速度を
4倍速(CLV:最内周)としたときの、ホールド期間
Δをパラメータとしたときのホールド誤差関数の振幅に
おける最大値(図4では最大位置誤差と表示している。
ただし、半波振幅。以降、最大位置誤差と称する場合も
ある。)を解析した結果を図4に示す。
【0080】図4中、実線が零次ホールドの最大位置誤
差、点線が1次ホールドの最大位置誤差、破線がFES
検出限界である。FESは検出ダイナミックレンジが物
理的に限られており、例えばDVD用途の一般的なピッ
クアップでは10μm以下となっているので、ここでは
FES検出限界を10μmとしている。
【0081】このような条件の場合、ホールドによる最
大位置誤差がFES検出限界を超えると、ホールド後の
フォーカス引込の際にFES検出が不可能となりフォー
カス引込に失敗するため、最大位置誤差がFES検出限
界を越えることは避けなくてはならない。
【0082】図4を参照すると理解できるように、ホー
ルドによる最大位置誤差は、ホールド期間(図4中、ジ
ャンプ期間と表示)が長いほど大きくなり、その量は1
次ホールドが零次ホールドより小さい。
【0083】図5に可変パラメータをホールド期間だけ
でなく、再生速度を1〜4倍まで変化させた場合の、零
次ホールドにおける最大位置誤差の解析結果を示す。図
5を参照して、最大位置誤差をFES検出限界未満にす
るための以下の関係が導き出される。
【0084】・再生速度が2倍を超えると、ジャンプ期
間を1.8msec未満にする必要がある。 ・再生速度が速くなればなるほどジャンプ期間を短くす
る必要がある。
【0085】図6に可変パラメータをホールド期間だけ
でなく、再生速度を1〜4倍まで変化させた場合の、1
次ホールドにおける最大位置誤差の解析結果を示す。図
6を参照して、最大位置誤差をFES検出限界未満にす
るための以下の関係が導き出される。
【0086】・再生速度が3倍を超えても、ジャンプ期
間を2msec未満にする必要がない。 ・再生速度が4倍になっても、ジャンプ期間を1mse
c以下に設定すれば問題ない。
【0087】上述の関係から、フォーカスジャンプ期間
における面振れ対策(面振れの影響を抑えつつフォーカ
スジャンプを確実に行う)として、駆動コイル3の駆動
信号をホールドすることで実現することができる。
【0088】ホールドの種類は、プレイヤ用途のように
再生速度が遅い場合(例えば、DVDの再生に必要とさ
れる速度のおおよそ1倍以下の再生速度)には零次ホー
ルドで充分であり、コンピュータ用のROM用途のよう
に再生速度が速い場合(例えば、DVDの再生に必要と
される速度のおおよそ1倍より大きい再生速度)は1次
ホールドを用いれば良いことが分かる。
【0089】2.層間移動信号 層間移動信号は、光源から出射するレーザ光を複数の記
録層(情報記録層)を有するディスクの各記録層に集光
レンズを介して集光された焦点位置を、フォーカスアク
チュエータを駆動することにより、当該アクチュエータ
に結合する集光レンズを複数の記録層の配列される方向
に移動して、結果として、個々の記録層上に集光スポッ
トを移動させるための信号である。
【0090】層間移動信号は、加減速パルスとアクチュ
エータ弾性項無効化信号との和で与えられる(すなわ
ち、図7に示された加算ブロック19からの出力が相当
する)。この層間移動信号は、ここでは、加減速パルス
(図7に示された加減速パルス発生ブロック14からの
出力)、アクチュエータ弾性項無効化信号(図7に示さ
れたアクチュエータ弾性項無効化信号発生ブロック20
からの出力)の順で説明を行う。
【0091】 2-1.加減速パルス制御対象である駆動コイル3を含
むフォーカスアクチュエータの機械的動特性は、バネ支
持されているため本来拘束系の2次系であるが、説明を
簡単にするためバネ支持のない慣性系の2次系と仮定し
て説明する。対物レンズ2の位置をx(t)とすれば、
対物レンズ2の速度は位置の1階時間微分、加速度は位
置の2階時間微分で表され、以下の式4、5となる。
【0092】
【数6】
【0093】
【数7】
【0094】駆動コイル3は、印加信号(印加電流)を
アクチュエータ駆動力(加速度)に変換する機能があ
る。アクチュエータ駆動力と印加電流との間には比例関
係があるから、印加信号について考察することはアクチ
ュエータ駆動力(すなわち、加速度の次元)について考
察することと等価である。
【0095】図8に駆動コイル3(これは、駆動コイル
3によって移動される対物レンズ2の移動を考えても同
じである)の印加信号(対物レンズ2に与えられる加速
度を考えても同じである)に対する速度、位置の関係を
示す。
【0096】図8中、(A)は加速度、(B)は速度、
(C)は位置を示す。印加信号の加速パルスを図8
(A)のように矩形波で与えると速度は1次関数とな
り、位置は2次関数となる。
【0097】そして、加速パルスと減速パルスとを極性
が逆で力積(物理的な力積とは力fと力fが物体に与え
られる時間tとの積によって定義されるが、本願におい
ては広義の意味で、フォーカシング装置における力fは
対物レンズ(集光レンズ)に生じる加速度αに比例する
ことから加速度αと該加速度αが対物レンズに与えられ
る時間tとの積、あるいは加速度αが駆動コイルに与え
られる電流iに比例することから電流iと該電流iが駆
動コイルに与えられる時間tとの積をも含めて力積と定
義する)を等しくなるように与えれば、減速パルス印加
後の速度が零となることを保証できる。
【0098】その理由を以下に説明する。駆動コイル3
の初速度を零とする。このとき、矩形波の加速パルスを
印加したときの挙動は以下となる。加速度の大きさを
A、加速度の与えられる期間(加速期間あるいは加速時
間とも称す)をBとすると、速度は加速度の大きさAを
その傾きとする1次関数となり、加速期間Bを経過した
後の速度はABとなる。
【0099】すなわち、この場合、速度は加速度の大き
さAと加速期間Bとの積(力積)で表される。加速パル
ス印加後の加速度の大きさAが零である期間は速度AB
が保持される。
【0100】この速度ABを零とする減速パルスの条件
は、加速パルスによって与えられる加速度と逆の方向の
加速度を生じるように、この説明の場合では、その極性
が加速パルスとは逆(例えば、正極に対して負極)で、
減速パルスによって与えられる力積を等しくすれば、減
速パルスを印加した後の速度は零となることが分かる。
【0101】この場合、フォーカスアクチュエータはフ
ォーカス方向前後に常に移動しているため、その初動に
おける、例えば静止摩擦については殆ど生じず、強いて
言えば動摩擦について考慮する必要があるが、その大き
さは加速パルスによって与えられる力の大きさに比べて
極めて小さいので、加速パルスと減速パルスの力積の総
和が略零となるように、加速パルスの力積を実質的に打
消すように減速パルスの力積を与えればよい。
【0102】以上の説明によって、アクチュエータが慣
性系の場合は加減速パルス印加後のアクチュエータ速度
は零となるが、実際のアクチュエータはバネ支持された
拘束系であるため、バネ剛性が強いアクチュエータの場
合は無視できない量になるため、これを補正する対策が
必要となる。
【0103】2−2.アクチュエータ弾性項無効化信号
図9(A)にバネ支持されたアクチュエータ(図9中の
m)のモデル図(拘束系アクチュエータのモデル図)、
同じく(B)にバネ性を無視することによって理想化さ
れた慣性系アクチュエータ(図9中のm)のモデル図
(慣性系アクチュエータのモデル図)を示す。同図中の
kは、バネの強さを表す弾性係数(バネ係数)であり、
fはアクチュエータmの機構部あるいは駆動コイル3に
より発生する力を受けて移動する部分に作用する力であ
る。
【0104】図10のは、図9(A)に示したバネ支
持されたアクチュエータのブロック図である。アクチュ
エータ機構部に力fが作用すると、位置xが変動し、バ
ネによって位置変動量に比例した(比例係数k。ここに
おけるkは正。)反力がアクチュエータ機構部にフィー
ドバックされる。このバネによる影響をキャンセルする
ために、図10のに示すようにH(s)で表される力
を加えることを仮定する。ここで、H(s)は以下の式
6により表わされる。
【0105】
【数8】
【0106】このH(s)は、アクチュエータがバネ支
持されていない場合に上記加減速パルスが印加された時
の位置変動にアクチュエータのバネ係数(弾性率)を乗
算した量を模擬した出力として定義できる。
【0107】H(s)はアクチュエータ弾性項を無効化
(相殺あるいはキャンセル)する電磁気力(無効化電磁
気力H(s)と称する)であり、これを発生させるため
の指令信号はアクチュエータの弾性項を無効化するため
の信号(アクチュエータ弾性項無効化信号と称す)とし
て与えられる。
【0108】無効化電磁気力H(s)が印加されると、
バネ係数による影響がキャンセルされるため、図10の
に示すようにバネ係数ブロックkを無視することがで
きる。この無効化電磁気力H(s)を印加することによ
って図9(A)に示した拘束系アクチュエータを図9
(B)に示すバネ支持のない慣性系アクチュエータのよ
うに動作させることが可能となる。
【0109】アクチュエータ弾性項無効化信号は、バネ
支持されていない場合におけるアクチュエータに加減速
パルスが印加された場合の位置変動に比例した信号であ
るから、アクチュエータ位置を観測する必要があるが、
アクチュエータの絶対位置を測定する位置センサがない
ため、演算によって決定すればよい。
【0110】例えば、図11(B)に示すような加減速
パルスをアクチュエータに印加した場合のアクチュエー
タ位置変動は、厳密に言えば図8(C)に示すように、
加減速パルスの印加時は2次関数的に増加、加減速パル
スの大きさが零である期間(零期間)は1次関数的に増
加する特性をしているが、これを図11(C)に示すよ
うに単なる1次関数として模擬しても誤差は殆んど生じ
ず、簡便に信号が得られる。
【0111】このようなアクチュエータ弾性項無効化信
号を加減速パルスに加算してアクチュエータを駆動する
と、アクチュエータ弾性項が無効化され、本来拘束系で
あるアクチュエータを慣性系のように扱えるため、図1
1(A)に示すように加減速パルスの印加後の速度を略
零に保証でき、結果として安定なフォーカスジャンプの
条件2を満足することができる。
【0112】フォーカス制御ループの位相補償ブロック
前段に設けられたフォーカス制御ループスイッチ、前記
位相補償ブロック後段に設けられたフォーカスジャンプ
選択スイッチ、フォーカス制御信号のノイズ成分除去機
能を有するノイズ除去用ローパスフィルタブロック、フ
ォーカスジャンプ直前の上記ローパスフィルタ出力をホ
ールドする手段、対物レンズを層間距離分移動させる層
間移動信号を構成するアクチュエータ弾性項無効化信号
発生手段と加減速パルス発生手段を有し、さらに加減速
パルスを生成する加減速パルス発生手段は、フォーカス
エラー信号に基づいて生成したフォーカスアクチュエー
タを加速あるいは減速する矩形波を出力し、出力モード
として加速パルス、零期間、減速パルスの3つを持ち,
フォーカスジャンプ期間の加減速パルスの力積総和が零
となる特徴を有している。
【0113】さらにアクチュエータ弾性項無効化信号発
生手段は、アクチュエータがバネ支持されていない場合
に上記加減速パルスが印加された時の位置変動にアクチ
ュエータのバネ係数(弾性率)を乗算した量を模擬し出
力する。上記構成によって、安定なフォーカスジャンプ
が実現する。
【0114】上記の解析結果および説明を基に、様々な
場合に対応した実施の形態を以下に説明する。
【0115】実施の形態1.本実施の形態は、プレイヤ
用途におけるFESの正極性と負極性の波形特性が等し
い場合における適用例を述べる。
【0116】図7に本実施の形態のブロック図を示す。
図7において、7は位相補償ブロック8の前段に設けら
れたフォーカス制御ループスイッチ、12はホールドブ
ロック、14は加減速パルス発生ブロック、19は加減
速パルス発生ブロック14の後段に設けられた加算ブロ
ック、20はアクチュエータ弾性項無効化信号発生ブロ
ックである。
【0117】図7中、他の構成要素は従来例で説明した
ブロックと同様であるから、その説明を省略し、フォー
カス制御ループスイッチ7、ホールドブロック12、加
減速パルス発生ブロック14ならびに加算ブロック1
9、アクチュエータ弾性項無効化信号発生ブロック20
についてそれらの動作について概要の説明を行う。
【0118】図20に示した従来の装置では、フォーカ
スジャンプ中のFESを位相補償ブロック8に入力し、
さらに位相補償ブロック8出力をLPF11に入力し、
LPF11出力を面振れ補正信号としていた。
【0119】ところが、フォーカスジャンプ中のFES
は非線型であり、また実際的な面から、ピックアップの
光学系によってはFESの不感帯が発生する場合が多
い。例えば、フォーカスエラー信号特性カーブである、
いわゆるSカーブの上下振幅が非対称であったり、不要
な瘤があったりすると、これが制御信号の検出系におけ
る外乱となってLPF11の出力結果が乱される(例え
ば、設計値以外のタイミングずれを引き起こす)結果と
なる。
【0120】図7に示す本実施の形態はこれを解消する
ために、フォーカスジャンプ期間中は加減速パルス発生
ブロック14に位相補償ブロック8の前段に設けられた
フォーカス制御ループスイッチ7を切り、フォーカスジ
ャンプ中の非線型なFESが後段の面振れ補正信号生成
段11および12に伝達しない構成とした。
【0121】さらに、ジャンプ期間中の面振れ補正信号
を、ホールドブロック12により生成するようにしたの
で、上記の解析で示したように面振れによる誤差を小さ
く抑えることが可能な構成とした。
【0122】なお、ホールドブロック12は、特に限定
は無いが、ここでは構成が簡単な零次ホールドとする。
この場合、先に述べたような解析から、再生速度が遅い
アプリケーション、たとえばDVDプレイヤ等に適用さ
れることになる。
【0123】また、さらにアクチュエータ弾性項無効化
信号発生ブロック20ならびに加算ブロック19を加
え、アクチュエータの機械特性(可動部のバネ支持弾性
率)によらず擬似的に慣性系アクチュエータと同等の動
特性に補正することが可能な構成とした。
【0124】フォーカスジャンプにおいて、上記フォー
カス制御ループスイッチ7ならびにホールドブロック1
2を制御信号であるホールドブロック12を制御する信
号、スイッチ7およびフォーカススイッチ9を制御する
信号を出力するのは、加減速パルス発生ブロック14に
おいて行う。
【0125】加減速パルス発生ブロック14は、例えば
システムコントローラ等の上位制御部からフォーカスジ
ャンプ指令を受けると、FESに基いて加減速パルス切
替えタイミングを作成する。
【0126】加減速パルスは、出力モードとして加速パ
ルスが与えられるモード、零期間モード(加速パルスあ
るいは減速パルスが与えられないモード)、減速パルス
が与えられるモードの3つのモードを有する。
【0127】加速パルスおよび減速パルスの各パルスは
矩形波で与えられ、パルスの与え方で言うならば、加速
パルス、零期間(パルスが与えられない)、減速パルス
の順に状態遷移する。
【0128】さらに、先に説明したように、加速パルス
と減速パルスは極性が反対で力積を等しく設定する(図
8参照)。以下に加減速パルスの切替えタイミングの生
成について説明する。
【0129】図12は、アクチュエータがバネ支持の無
い慣性系と仮定した場合において、加減速パルス切替え
タイミングを固定値にした場合に生じる不具合を示した
ものである。
【0130】図12中(A)は印加パルスとしての加減
速パルスが与えられる様子を示したものであり、電流感
度が平均値のフォーカスアクチュエータを層間距離40
μm移動させる設定となっている。
【0131】図12中(B)はフォーカスアクチュエー
タ位置を示す。図12(B)の実線はフォーカスアクチ
ュエータの電流感度平均値でのアクチュエータ位置を示
すものである。
【0132】実際のフォーカスアクチュエータの電流感
度は、多少のばらつきが必ずあり、一般的には平均値に
対して±3dB程度である。この場合、図12(A)の
加減速パルスによって駆動される際のアクチュエータ位
置のばらつきは、図12(B)の点線で示す範囲とな
る。
【0133】この電流感度ばらつきによる位置変動はお
およそ±16μmとなり、FESの検出限界である±1
0μmより大きくなるため、ジャンプ後のフォーカス引
き込みに失敗する恐れがある。
【0134】本実施の形態では、この問題を解消するた
め、ジャンプ動作中のFESに基づいて加減速パルスの
状態遷移タイミングを決定する構成とした。図13にア
クチュエータが慣性系アクチュエータと仮定した場合に
おける、本発明の加減速パルスの状態遷移タイミングを
示す。
【0135】図13(A)はフォーカスアクチュエータ
位置、(B)はFES、(C)は加減速パルスを示す。
図13(B)に示すように、FESの零点(ゼロクロス
点)からヒステリシスを持たせた値を加速パルス終端閾
値、同様に加速パルス終端閾値とは逆極性のヒステリシ
スを持たせた値を減速パルス始端閾値とする。
【0136】加速パルスは、例えば上位制御部から出力
されるジャンプ指令後に直ちに印加されるが、その終端
タイミング(加速パルスの印加が終了される時点)はF
ESが上記加速パルス終端閾値以下になった時点とす
る。
【0137】加速パルスの印加が終わると、加速パルス
および減速パルスのいずれもが与えられない零出力の状
態である零期間となり、さらにFESが減速パルス始端
閾値以下になれば、減速パルスを印加開始し、当該減速
パルスの終端タイミング(減速パルスの印加が終了され
る時点)は加速パルスと力積の絶対値が等しくなるタイ
ミングに設定する。
【0138】このようにすれば、アクチュエータの電流
感度によらず、加速パルスによって現在層(その時点で
焦点が形成されている層。これに対して焦点を別な層に
形成する、いわゆるジャンプする先の層を目的層と称す
る。)からの脱出が保証され、さらに減速パルスの印加
タイミングが目的層近傍となることが保証される。
【0139】このように構成することで、図13(A)
に示すようにアクチュエータ電流感度がばらついても、
所定の目標位置に位置誤差なく焦点位置が移動(ジャン
プ)し、さらに移動後の速度を零にすることが可能とな
る。
【0140】以上は、アクチュエータが慣性系アクチュ
エータであると仮定した場合において成り立つが、実際
のアクチュエータはバネ支持された拘束系アクチュエー
タである。
【0141】例えば、アクチュエータのバネ剛性(弾性
率)が小さい場合においては、上記の構成で充分実用化
に耐えるが、バネ剛性が大きいアクチュエータにおいて
は、このバネ剛性を考慮に入れたジャンプ動作(フォー
カスジャンプ)を実現する必要があり、上記に述べた加
減速パルス以外の補正を行う必要が生じる。
【0142】本実施の形態では、この問題を解消するた
め、アクチュエータ弾性項無効化信号発生ブロック20
と、これを加減速パルスに加算する加算手段19を設置
した。
【0143】アクチュエータ弾性項無効化信号発生ブロ
ック20は、バネ支持されていない慣性系アクチュエー
タに加減速パルスが印加された場合のアクチュエータ位
置変動にアクチュエータバネの弾性係数を乗じた信号を
模擬したものであり、本実施の形態の場合、図13
(A)に弾性係数kを乗じたものとなる。
【0144】図11にアクチュエータ弾性項無効化信号
を説明する図を示す。図11(B)は加減速パルス、
(A)は慣性系アクチュエータのときのアクチュエータ
位置(推定値)であり、(C)は(A)に弾性係数kを
掛けた信号の模擬信号である。
【0145】図11(C)の模擬信号は、その傾きが弾
性係数kと比例した一次関数で表され、結果として、減
速パルス終端における力はkW(Wは層間距離=40μ
m)となる。
【0146】厳密に言えば、図11(C)は2次関数と
して記述することが望ましいが、1次関数として定義し
ても誤差はほとんど無いため、実用上問題無い。この図
11(C)に示した模擬信号を図11(B)に示すよう
な加減速パルスに加算ブロック19において加算するこ
とによって、バネによって拘束された拘束系アクチュエ
ータはバネによって拘束されない慣性系アクチュエータ
と同様の動特性となる。
【0147】ここでFESの正極性と負極性の波形特性
が等しいと仮定する。この場合は、加速パルス終端閾値
および減速パルス始端閾値の絶対値を等しく設定し、か
つ、加速パルスと減速パルスのパルスの高さ(振幅)の
絶対値を等しく設定すれば(但し、極性は逆)、移動後
の位置誤差をも零にすることが可能となる。
【0148】上記条件の下では、前述したフォーカスジ
ャンプが安定に実現する2つの条件を満たしているた
め、確実なフォーカスジャンプを実現できる。
【0149】実施の形態2.実施の形態1では、FES
の正極性と負極性の波形特性が等しい場合に有効なフォ
ーカスジャンプ装置・方法について述べたが、実施の形
態2では、FES検出特性がアンバランスな場合につい
ても対応できるフォーカスジャンプ装置・方法について
述べる。
【0150】図14に等速でフォーカスサーチ(対物レ
ンズ2をディスクの配列方向に等速で移動させて焦点位
置を検出する動作)を行った場合のFESを示す。図1
4に示すものは、FESの正極性と負極性との各検出特
性がアンバランスになっている。
【0151】このようにFESの検出特性がアンバラン
スな場合、以下のような問題が発生する。
【0152】すなわち、実施の形態1に説明した方法で
は、減速パルスの始端タイミングを図14中のaもしく
はbの領域内にある波形に基き作成するので、減速パル
スの開始タイミングがFES検出特性のアンバランスに
よる影響を受けてしまう。
【0153】従って、このような場合には、減速パルス
の印加後における、速度が零となることは保証される
が、FESが零となることは保証できなくなる。
【0154】これを解決するため、本実施の形態におい
ては、上記減速パルスを印加した後に発生するFESア
ンバランスに起因する残留FESを補正するため、実施
の形態1に述べた加減速パルス印加の後、さらに補正パ
ルスを印加してFESを零とした上でフォーカス引込を
行うように構成した。
【0155】本実施の形態2のブロック図を図15に示
す。15は加減速パルス印加結果判定ブロックである。
他の構成は前記実施の形態1において既に説明を行った
構成・動作と同様なので説明を省略する。
【0156】加減速パルス印加結果判定ブロック15
は、入力としてFES、ならびに加減速パルス発生ブロ
ック14からの減速パルスの印加が終了したことを示す
印加終了タイミングをもらう。
【0157】加減速パルス印加結果判定ブロック15
は、加減速パルス発生ブロック14に対して、加減速パ
ルスの印加の後に発生する補正加減速パルス生成指令を
発生させる。
【0158】加減速パルス印加結果判定ブロック15な
らびに加減速パルス発生ブロック14の動作を図16、
図17を用いて説明する。
【0159】図16は、アクチュエータの弾性項が無視
できる場合における本実施の形態の動作を説明する図で
ある。
【0160】図16中(A)は、フォーカスアクチュエ
ータ位置、(B)はFES、(C)は加減速パルスであ
り、それぞれフォーカスジャンプ中の時間変化を示す。
【0161】図16(B)から判るように、図16に示
すものはFESの負極側の出力特性が大きい事例であ
る。フォーカスジャンプ指令を上位制御部から受ける
と、加減速パルス発生ブロック14は、加速パルスを発
生させる。
【0162】加速パルスの終端は、FESが加速パルス
の終端タイミング生成閾値を横切る時点とする。この場
合、併せて加速パルス印加時間T0を計測しておく(加
速パルスが印加される都度計測する)。
【0163】減速パルス始端タイミング生成閾値を横切
るまで、加減速パルスは零期間とする。続いて、FES
が減速パルス始端タイミング生成閾値を横切る時点から
T0の期間、減速パルスを印加する。
【0164】なお、このとき、減速パルスの振幅は加速
パルスの振幅と等しく設定する(印加する極性は逆極
性)。次に減速パルス印加終了時のFESを観測して、
その観測された値を残留FESとする(図中、該当値F
ES=X0)。
【0165】続いて、観測された残留FESが1/2
(すなわち、FESの値がX0/2)になるまで、残留
FESが減少する方向に補正加速パルスを印加する。こ
のとき、補正加速パルスの印加時間T1を計測しておく
(補正加速パルスが印加される都度計測する)。
【0166】補正加速パルス印加直後、補正加速パルス
と逆方向の補正加速パルスと等しい振幅の補正減速パル
スをT1の期間印加する(補正加速パルス、補正減速パ
ルスを総称して補正加減速パルスと称す)。
【0167】上記のように構成すれば、加減速パルスな
らびに補正加減速パルスの力積の総和は零となるため、
フォーカスジャンプ終了時におけるアクチュエータの速
度が零となることが保証され、また、FESについても
略零が保証される。これにより、フォーカスジャンプを
安定に実現する2つの条件を満たすため、確実なフォー
カスジャンプが実現する。
【0168】以上の説明は、アクチュエータの弾性項が
無視できる程度に小さい例(慣性系アクチュエータの場
合)について述べたが、アクチュエータの弾性項が大き
く無視できない場合(拘束系アクチュエータの場合)に
おいては、図15のアクチュエータ弾性項無効化信号発
生ブロック20ならびに加算ブロック19を用いてアク
チュエータの弾性項を無効化することによって、拘束系
アクチュエータであっても慣性系アクチュエータと同様
の取り扱いができる。
【0169】この場合のアクチュエータ弾性項無効化信
号の挙動を図18に示す。本例は加速パルスおよび補正
加速パルスの両極性が等しい場合である。この場合、加
速パルスおよび減速パルスを印加している期間(補正加
減速パルス印加期間と称す)において、実施の形態1と
同様にアクチュエータ弾性項無効化信号は時間とともに
比例して増加する。
【0170】さらに、補正加減速パルス印加期間中にお
いてもアクチュエータ弾性項無効化信号は連続性を失わ
ず、かつその増加率を保ったまま増加する(図18
(C)参照)。
【0171】このようにアクチュエータ弾性項無効化信
号を設定すれば、アクチュエータ弾性項無効化信号は図
18(A)のアクチュエータ位置(信号)を模擬する結
果となるため、アクチュエータの弾性項は無効化され、
補正化減速パルスを印加した後のアクチュエータ速度を
略零に設定することが可能となる。
【0172】従って、上記のように構成すれば、アクチ
ュエータの弾性項が大きい場合(拘束系アクチュエー
タ)においても、アクチュエータ弾性項は無効化され、
加減速パルスならびに補正加減速パルスの力積の総和は
零となるため、アクチュエータの速度が零となることが
保証され、また、FESについても略零が保証される。
これにより、フォーカスジャンプを安定に実現する2つ
の条件を満たすため、確実なフォーカスジャンプが実現
する。
【0173】図17は同じくアクチュエータ弾性項が無
視できる場合において、図16とFESアンバランス特
性が逆、すなわち正極性が負極性より相対的に大きい事
例の動作を説明する図である。図16の説明と全く同様
の動作で、図16と同様に、速度零、FESも略零が保
証され、安定なフォーカスジャンプが実現できる。
【0174】アクチュエータの弾性項が大きい場合にお
いては、図19(C)に示すアクチュエータ弾性項無効
化信号を印加すればよい。図19(B)に示す例は、加
速パルスと補正加速パルスの極性とが逆極性の場合であ
る。
【0175】この場合、加減速パルス印加期間において
は、実施の形態1と同様にアクチュエータ弾性項無効化
信号は時間とともに比例して増加し、さらに補正加減速
パルス印加期間中において前記無効化信号は連続性を失
わず、かつその増加率を逆極性にする(図19(C)参
照)。
【0176】このようにアクチュエータ弾性項無効化信
号を設定すれば、アクチュエータ弾性項無効化信号は図
19(A)のアクチュエータ位置信号を模擬する結果と
なるため、アクチュエータの弾性項は無効化され、補正
化減速パルスを印加した後のアクチュエータ速度を略零
に設定することが可能となる。
【0177】従って、上記のように構成すれば、アクチ
ュエータ弾性項が大きい場合(拘束系アクチュエータ)
においても、アクチュエータ弾性項は無効化され、加減
速パルスならびに補正加減速パルスの力積の総和は零と
なるため、アクチュエータの速度が零となることが保証
される。
【0178】また、FESについても略零となることが
保証される。従って、フォーカスジャンプを安定に実現
する2つの条件を満たすため、確実なフォーカスジャン
プを実現することができる。なお、上記各実施の形態の
説明においては、2つの記録層を有するDVD−DLに
おいて説明したが、記録層をさらに有する(例えば半透
明の記録層を2層以上有する場合)多層のディスクを用
いても、同様に採用することが可能であり、必ずしも2
層の記録層を有するディスクに適用されるものに限定さ
れない。
【0179】
【発明の効果】この発明は、以上説明したように構成さ
れているので、以下に示すような効果を奏する。
【0180】本発明に係るフォーカス移動装置は、複数
の記録層を有するディスクのいずれかの記録層上に光源
からの出射光を集光して集光スポットを形成する集光レ
ンズを前記複数の記録層の配列される方向に移動するア
クチュエータと、該アクチュエータを駆動して前記集光
レンズの位置を移動させることにより前記集光スポット
の位置を前記記録層の内の一の記録層の位置より他の記
録層の位置に変位させるに際し、前記集光スポットの位
置を前記一の記録層の位置より移動させるための駆動信
号に基づく力積および前記集光スポットの位置を前記他
の記録層上に停止させるための駆動信号に基づく力積の
総和が略零となるように前記各駆動信号を出力するアク
チュエータ駆動手段とを備えることを特徴とするので、
移動後のフォーカスエラー信号を零とすることができる
とともに移動後の集光レンズと他の記録層との間の相対
速度を零とすることができ、安定で確実なフォーカス移
動を実現できる。
【0181】また、アクチュエータ駆動手段から出力さ
れる、集光スポットの位置を一の記録層の位置より移動
させるための駆動信号および他の記録層上に停止させる
ための駆動信号は、振幅値の絶対値が等しく、極性が逆
であって、印加時間が等しいことを特徴とするので、一
の記録層の位置より移動させるための駆動信号に基づく
力積および他の記録層上に停止させるための駆動信号に
基づく力積の総和を容易に略零とすることができ、移動
後のフォーカスの安定性を確実に実現できる。
【0182】また、集光レンズの移動直前における焦点
制御信号をホールドした補間信号および層間移動信号の
和を集光スポットの位置を一の記録層の位置より移動さ
せるための駆動信号とすることを特徴とするので、フォ
ーカスの移動に際し面振れの影響を排除することがで
き、安定で確実なフォーカス移動を実現できる。
【0183】また、層間移動信号は、一の記録層の位置
と他の記録層との間の距離に対応する加減速パルスまた
は該加減速パルスとアクチュエータ弾性項無効化信号と
の和によって与えられることを特徴とするので、層間移
動信号をより単純な形で与えることができる。
【0184】また、加減速パルスの印加後に補正加減速
パルスを印加することを特徴とするので、フォーカスエ
ラー信号特性が非対称である場合にも安定で確実なフォ
ーカス移動を実現できる。
【0185】また、アクチュエータ弾性項無効化信号
は、集光レンズの移動位置を模擬した信号であることを
特徴とするので、より安定でより確実なフォーカス移動
を実現できる。
【0186】本発明に係るフォーカス移動方法は、複数
の記録層を有するディスクのいずれかの記録層上に、光
源からの出射光を集光して集光スポットを形成する集光
レンズを該集光レンズを移動させるためのアクチュエー
タを駆動して前記複数の記録層の配列される方向に移動
させ、これにより前記集光スポットの位置を前記記録層
の内の一の記録層の位置より他の記録層の位置に変位さ
せるに際し、前記集光スポットの位置を前記一の記録層
の位置より移動させるための駆動信号に基づく力積およ
び前記集光スポットの位置を前記他の記録層上に停止さ
せるための駆動信号に基づく力積の総和が略零となるよ
うに前記各駆動信号を与えることを含むことを特徴とす
るので、移動後のフォーカスエラー信号を零とすること
ができるとともに移動後の集光レンズと他の記録層との
間の相対速度を零とすることができ、安定で確実なフォ
ーカス移動を実現できる。
【0187】また、アクチュエータを駆動する際の、集
光スポットの位置を一の記録層の位置より移動させるた
めの駆動信号および他の記録層上に停止させるための駆
動信号は、振幅値の絶対値が等しく、極性が逆であっ
て、印加時間が等しいことを特徴とするので、一の記録
層の位置より移動させるための駆動信号に基づく力積お
よび他の記録層上に停止させるための駆動信号に基づく
力積の総和を容易に略零とすることができ、移動後のフ
ォーカスの安定性を確実に実現できる。
【0188】また、集光レンズの移動直前における焦点
制御信号をホールドした補間信号および層間移動信号の
和を集光スポットの位置を前記一の記録層の位置より移
動させるための駆動信号とすることを特徴とするので、
フォーカスの移動に際し面振れの影響を排除することが
でき、安定で確実なフォーカス移動を実現できる。
【0189】また、層間移動信号は、一の記録層の位置
と他の記録層との間の距離に対応する加減速パルスまた
は該加減速パルスとアクチュエータ弾性項無効化信号と
の和によって与えられることを特徴とするので、層間移
動信号をより単純な形で与えることができる。
【0190】また、加減速パルスの印加後に補正加減速
パルスを印加することを特徴とするので、フォーカスエ
ラー信号特性が非対称である場合にも安定で確実なフォ
ーカス移動を実現できる。
【0191】また、アクチュエータ弾性項無効化信号
は、集光レンズの移動位置を模擬した信号であることを
特徴とするので、より安定でより確実なフォーカス移動
を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 面振れを有するディスクに対し、フォーカス
制御信号をホールドした時に生じる位置誤差を説明する
ための説明図である。
【図2】 面振れを有するディスクに対し、フォーカス
制御信号をホールドした時に生じる位置誤差を説明する
ための説明図である。
【図3】 面振れを有するディスクに対し、フォーカス
制御信号をホールドした時に生じる位置誤差を説明する
ための説明図である。
【図4】 零次ホールド時の、ジャンプ期間対最大位置
誤差を説明するための説明図である。
【図5】 ホールド種類による、ジャンプ期間対最大位
置誤差の比較を説明するための説明図である。
【図6】 1次ホールド時の、ジャンプ期間対最大位置
誤差を説明するための説明図である。
【図7】 実施の形態1におけるフォーカスジャンプ装
置を示すブロック図である。
【図8】 フォーカスアクチュエータの印加パルスに対
する動作を説明するための説明図である。
【図9】 アクチュエータの機械特性を説明するための
説明図である。
【図10】 アクチュエータ弾性項無効化信号の原理を
説明するための説明図である。
【図11】 フォーカスジャンプ時のアクチュエータ弾
性項無効化信号を説明するための説明図である。
【図12】 固定加減速パルス印加時の、アクチュエー
タ感度ばらつきによる位置誤差を説明するための説明図
である。
【図13】 加減速パルス印加タイミングをFES振幅
基準に設定した場合のアクチュエータの動作を説明する
ための説明図である。
【図14】 FES検出特性がアンバランスな事例を説
明するための説明図である。
【図15】 実施の形態2におけるフォーカスジャンプ
装置を示すブロック図である。
【図16】 実施の形態2の動作を説明するための説明
図である。
【図17】 実施の形態2の動作を説明するための説明
図である。
【図18】 実施の形態2におけるアクチュエータ弾性
項無効化信号を説明するための説明図である。
【図19】 実施の形態2におけるアクチュエータ弾性
項無効化信号を説明するための説明図である。
【図20】 従来のフォーカスジャンプ装置を示すブロ
ック図である。
【図21】 従来のフォーカスジャンプ装置を示すブロ
ック図である。
【図22】 フォーカスジャンプの主要な技術課題を説
明するための説明図である。
【符号の説明】
3 フォーカスアクチュエータ駆動コイル、7 フォー
カス制御ループスイッチ、8 位相補償ブロック、9
切替えスイッチ、11 ローパスフィルタブロック、1
2 ホールドブロック、13 加算ブロック、14 加
減速パルス発生ブロック、15 加減速パルス印加結果
判定ブロック、19 加算ブロック、20 アクチュエ
ータ弾性項無効化信号発生ブロック。

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 複数の記録層を有するディスクのいずれ
    かの記録層上に光源からの出射光を集光して集光スポッ
    トを形成する集光レンズを前記複数の記録層の配列され
    る方向に移動するアクチュエータと、 該アクチュエータを駆動して前記集光レンズの位置を移
    動させることにより前記集光スポットの位置を前記記録
    層の内の一の記録層の位置より他の記録層の位置に変位
    させるに際し、前記集光スポットの位置を前記一の記録
    層の位置より移動させるための駆動信号に基づく力積お
    よび前記集光スポットの位置を前記他の記録層上に停止
    させるための駆動信号に基づく力積の総和が略零となる
    ように前記各駆動信号を出力するアクチュエータ駆動手
    段とを備えることを特徴とするフォーカス移動装置。
  2. 【請求項2】 アクチュエータ駆動手段から出力され
    る、集光スポットの位置を一の記録層の位置より移動さ
    せるための駆動信号および他の記録層上に停止させるた
    めの駆動信号は、振幅値の絶対値が等しく、極性が逆で
    あって、印加時間が等しいことを特徴とする請求項1に
    記載のフォーカス移動装置。
  3. 【請求項3】 集光レンズの移動直前における焦点制御
    信号をホールドした補間信号および層間移動信号の和を
    集光スポットの位置を一の記録層の位置より移動させる
    ための駆動信号とすることを特徴とする請求項1または
    2に記載のフォーカス移動装置。
  4. 【請求項4】 層間移動信号は、一の記録層の位置と他
    の記録層との間の距離に対応する加減速パルスまたは該
    加減速パルスとアクチュエータ弾性項無効化信号との和
    によって与えられることを特徴とする請求項3に記載の
    フォーカス移動装置。
  5. 【請求項5】 加減速パルスの印加後に補正加減速パル
    スを印加することを特徴とする請求項4に記載のフォー
    カス移動装置。
  6. 【請求項6】 アクチュエータ弾性項無効化信号は、集
    光レンズの移動位置を模擬した信号であることを特徴と
    する請求項4または5に記載のフォーカス移動装置。
  7. 【請求項7】 複数の記録層を有するディスクのいずれ
    かの記録層上に、光源からの出射光を集光して集光スポ
    ットを形成する集光レンズを該集光レンズを移動させる
    ためのアクチュエータを駆動して前記複数の記録層の配
    列される方向に移動させ、これにより前記集光スポット
    の位置を前記記録層の内の一の記録層の位置より他の記
    録層の位置に変位させるに際し、 前記集光スポットの位置を前記一の記録層の位置より移
    動させるための駆動信号に基づく力積および前記集光ス
    ポットの位置を前記他の記録層上に停止させるための駆
    動信号に基づく力積の総和が略零となるように前記各駆
    動信号を与えることを含むことを特徴とするフォーカス
    移動方法。
  8. 【請求項8】 アクチュエータを駆動する際の、集光ス
    ポットの位置を一の記録層の位置より移動させるための
    駆動信号および他の記録層上に停止させるための駆動信
    号は、振幅値の絶対値が等しく、極性が逆であって、印
    加時間が等しいことを特徴とする請求項7に記載のフォ
    ーカス移動方法。
  9. 【請求項9】 集光レンズの移動直前における焦点制御
    信号をホールドした補間信号および層間移動信号の和を
    集光スポットの位置を前記一の記録層の位置より移動さ
    せるための駆動信号とすることを特徴とする請求項7ま
    たは8に記載のフォーカス移動方法。
  10. 【請求項10】 層間移動信号は、一の記録層の位置と
    他の記録層との間の距離に対応する加減速パルスまたは
    該加減速パルスとアクチュエータ弾性項無効化信号との
    和によって与えられることを特徴とする請求項9に記載
    のフォーカス移動方法。
  11. 【請求項11】 加減速パルスの印加後に補正加減速パ
    ルスを印加することを特徴とする請求項10に記載のフ
    ォーカス移動方法。
  12. 【請求項12】 アクチュエータ弾性項無効化信号は、
    集光レンズの移動位置を模擬した信号であることを特徴
    とする請求項10または11に記載のフォーカス移動方
    法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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US7672200B2 (en) 2004-03-11 2010-03-02 Samsung Electronics Co., Ltd. Method of inter-layer search in a disk drive

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