JP2002187059A - 研磨布のドレッシング方法、半導体ウェーハの研磨方法及び研磨装置 - Google Patents

研磨布のドレッシング方法、半導体ウェーハの研磨方法及び研磨装置

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 研磨布のドレッシング方法、半導体ウェーハ
の研磨方法及び研磨装置において、研磨布のコンディシ
ョンを長期にわたって最適に維持し、安定した高平坦度
研磨プロセスを得ること。 【解決手段】 半導体ウェーハの少なくとも表面側に接
触する研磨面に研磨布6を有した定盤2と半導体ウェー
ハとを相対的に移動させると共に研磨布に研磨液を供給
して半導体ウェーハを研磨する半導体ウェーハ研磨装置
の研磨布をドレッシングする方法であって、前記研磨布
の表面形状を求める工程と、前記研磨布の表面形状を修
正するドレッシング工程とを備え、該ドレッシング工程
は、前記研磨布の表面形状に基づいて研磨布表面の位置
に応じて修正する量を変える。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、研磨布により半導
体ウェーハの少なくとも表面を研磨する半導体ウェーハ
の研磨方法及び研磨装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】シリコンウェーハ等の半導体ウェーハを
平坦化する技術として、表面又は裏面の被加工面を研磨
する技術が用いられている。この研磨を行う装置の基本
構造は、例えば両面研磨の場合、キャリアプレートに装
着されたウェーハの被加工面と、定盤の研磨面に敷設さ
れた研磨布とを平行に配置し、これらの面同士を接触さ
せて互いに摺動させる機構を備えたものが一般的であ
る。
【0003】ウェーハの被加工面の研磨は、上記摺動中
において、被加工面と研磨布との間に微粒子シリカ等の
砥粒を含む研磨液を添加し、研磨液及び研磨布とウェー
ハの被加工面との機械的化学的研磨(メカノケミカルポ
リッシング)の作用により、ウェーハの被加工面が高平
坦化される。このような研磨装置としては、複数のウェ
ーハの表面だけを研磨する片面研磨装置、ウェーハの表
裏面を同時に研磨する両面研磨装置及び大径なウェーハ
を一枚ずつ研磨する枚葉式研磨装置等が通常用いられて
いる。
【0004】ところで、上記のようなウェーハの研磨で
は、被加工面と研磨布との間に機械的化学的な作用によ
って生じる加工屑と反応生成物とが形成され、これらが
研磨の進行と共に増加して次第に研磨布表層及び内層に
滞留していくようになる。また、研磨液中の砥粒も、研
磨が進むにつれて細粒化していき、研磨布表面の微視的
凹凸に付着するようになる。一般に、これらの現象は研
磨布の目詰まりと称されるが、これをそのまま放置する
と、研磨性能の低下をはじめとして、ウェーハがテーパ
状に研磨されるなど、所望の平坦度を得ることができな
くなったり等の不都合がある。
【0005】そこで、従来、上記の研磨布面に付着した
反応生成物等を削除する作業、すなわちドレッシング作
業を行っている。例えば、特開平11−114805号
公報には、研磨装置に研磨布に向けて高圧水を噴射する
高圧水供給機構を設けて研磨布のドレッシングを行う技
術が提案されている。また、特許第2622069号公
報には、上記と同様に純水等の高圧流体によって研磨布
から反応生成物を除去する手段と共に、使用済み上記流
体及び反応生成物を排出するためのブラシ手段を併用し
たドレッシング装置が提案されている。
【0006】さらに、特開平7−299731号公報に
は、ウェーハの交換作業時に、ダイヤモンド砥石を電着
したドレッシングパッドを研磨布面に圧接し、研磨布面
を回転させることにより、研磨布全体を研磨するドレッ
シング装置が提案されている。また、このドレッシング
パッドを備えたドレッシング装置にさらに加えて、ウェ
ーハを保持するヘッド周囲から研磨剤を高圧に噴射する
ノズルを設け、研磨作業時においてもドレッシング作業
を行う装置が、特開平7−299738号公報に記載さ
れている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来の研磨技術及びドレッシング技術には、以下のような
課題が残されている。すなわち、ウェーハの研磨時にお
いて、定盤に取り付けられた研磨布は、ウェーハに圧接
されて塑性変形を起こすが、研磨を繰り返すうちに研磨
布の形状が経時的変化を起こし、その表面形状のプロフ
ァイルが変化する。例えば、揺動式研磨装置、すなわち
回転する上下の上定盤と下定盤との間に配置したウェー
ハキャリアを、自転しない円運動をさせ、ウェーハキャ
リアに保持されたシリコンウェーハを旋回移動させる研
磨装置では、常にウェーハが圧接する領域が凹む傾向が
あり、その領域ではウェーハに対する面圧が低くなって
研磨レートがその領域の周辺よりも低下する。このた
め、研磨されたウェーハの形状が中央部が周辺部より厚
い中凸形状となってしまい、高精度な平坦度を得ること
ができない場合があった。このように、上記従来のドレ
ッシング技術では、単に研磨布の目詰まり防止や全体の
目立てを行うことができるが、上記のような研磨布形状
の経時的変化に対応することができず、研磨に伴う研磨
布の品質ばらつきが大きくなり、経時的な安定性を維持
することができなかった。なお、この対策として、製作
プロセス起因の品質ばらつきが小さく、経時的な形状変
化の小さな「硬質」の研磨布(例えば、発泡ウレタンパ
ッド)等が検討されているが、一般的に研磨レートが小
さくなる等の不都合があった。
【0008】本発明は、前述の課題に鑑みてなされたも
ので、研磨布のコンディションを長期にわたって最適に
維持し、安定した高平坦度研磨プロセスを得ることがで
きる半導体ウェーハの研磨方法及び研磨装置を提供する
ことを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、前記課題を解
決するために以下の構成を採用した。すなわち、本発明
の研磨布のドレッシング方法は、半導体ウェーハの少な
くとも表面側に接触する研磨面に研磨布を有した定盤と
半導体ウェーハとを相対的に移動させると共に研磨布に
研磨液を供給して半導体ウェーハを研磨する半導体ウェ
ーハ研磨装置の研磨布をドレッシングする方法であっ
て、前記研磨布の表面形状を求める工程と、前記研磨布
の表面形状を修正するドレッシング工程とを備え、該ド
レッシング工程は、前記研磨布の表面形状に基づいて研
磨布表面の位置に応じて前記修正する量を変えることを
特徴とする。
【0010】また、本発明の半導体ウェーハの研磨装置
は、半導体ウェーハの少なくとも表面側に接触する研磨
面に研磨布を有した定盤と半導体ウェーハとを相対的に
移動させると共に研磨布に研磨液を供給して半導体ウェ
ーハを研磨する半導体ウェーハの研磨装置であって、前
記研磨布の表面形状を修正するドレッシング機構を備
え、該ドレッシング機構は、予め求めた前記研磨布の表
面形状に基づいて研磨布表面の位置に応じて前記修正す
る量を変える制御部を備えていることを特徴とする。
【0011】これらの研磨布のドレッシング方法及び半
導体ウェーハの研磨装置では、予め求めた研磨布の表面
形状に基づいて研磨布表面の位置に応じて修正する量
(すなわちドレッサー等により削る量又は押しつぶす量
の少なくとも一方)を変えるので、研磨布表面の凹凸に
基づいてウェーハに係る圧力の偏りを是正するように研
磨布の形状を整えることができる。これにより、研磨布
の表面形状のプロファイルを適切に修正できると共に、
目詰まりを防止し、さらに目立てを行うことができ、研
磨布の最適なコンディションを長期にわたり維持するこ
とができる。
【0012】また、本発明の研磨布のドレッシング方法
は、前記研磨布の表面形状を求める工程において、前記
ドレッシング工程前に前記研磨布により研磨された半導
体ウェーハの形状を測定し、該形状に基づいて研磨布の
表面形状を求める技術が採用される。そして、本発明の
半導体ウェーハの研磨装置は、前記制御部において、予
め前記研磨布により研磨された半導体ウェーハの形状に
基づいて研磨布の表面形状を求める技術が採用される。
【0013】すなわち、これらの研磨布のドレッシング
方法及び半導体ウェーハの研磨装置では、ドレッシング
前に研磨布により研磨された半導体ウェーハの形状を実
測することにより、半導体ウェーハの形状変化に対応し
た研磨布の表面形状の変化を推定し、この結果に基づい
て各位置の修正する量を決定する。これにより、実際に
研磨された半導体ウェーハの形状変化に応じた研磨布の
適切な部分を修正することができると共に、研磨布の表
面形状を直接測定する必要がなくなる。また、研磨装置
として、研磨布の表面形状を測定する装置等の設備が不
要になる。
【0014】また、本発明の研磨布のドレッシング方法
は、前記研磨布の表面形状を求める工程において、研磨
布の表面形状の経時変化を前記研磨の回数に対応させて
予め実測して記録しておき、該記録に基づいて前記ドレ
ッシング工程前にそれまでの研磨の回数に応じて研磨布
の表面形状を求める技術が採用される。そして、本発明
の半導体ウェーハの研磨装置は、前記制御部が、研磨布
の表面形状の経時変化を前記研磨の回数に対応させて予
め実測して記録しておき、該記録に基づいて前記修正を
行う前にそれまでの研磨の回数に応じて研磨布の表面形
状を求める技術が採用される。
【0015】すなわち、これらの研磨布のドレッシング
方法及び半導体ウェーハの研磨装置では、研磨布の表面
形状の経時変化を研磨の回数に対応させて予め実測して
記録しておき、該記録に基づいて修正前にそれまでの研
磨の回数に応じて研磨布の表面形状を求めることによ
り、研磨履歴から容易に研磨布の表面形状が推定でき、
ドレッシング直前に実際に表面形状の計測を行う必要が
無く、定期的又は不定期的に適切なドレッシングが可能
になる。
【0016】また、本発明の半導体ウェーハの研磨装置
は、前記ドレッシング機構が、ダイヤモンド砥粒が電着
されたドレッサーを備えていることが好ましい。すなわ
ち、この半導体ウェーハの研磨装置では、ダイヤモンド
砥粒が電着されたドレッサーを備えているので、研磨布
表面を正確に所定量だけ部分的に削ると共に押しつぶ
し、目詰まりを防ぎ、目立てを確実に行うことができ
る。
【0017】また、本発明の半導体ウェーハの研磨装置
は、前記半導体ウェーハを表裏面側から挟む前記研磨面
を有した一対の前記定盤が配設されている技術が採用さ
れる。すなわち、この半導体ウェーハの研磨装置では、
半導体ウェーハを表裏面側から挟む研磨面を有した一対
の定盤が配設されているので、ウェーハが表裏面両方か
ら研磨布で挟まれる研磨方式であり、片面のみに研磨面
を有する片面研磨方式に比べて研磨布の形状変化が大き
く、より顕著に本発明の研磨布ドレッシング効果を発揮
することができる。
【0018】本発明の半導体ウェーハの研磨方法は、半
導体ウェーハの少なくとも表面側に接触する研磨面に研
磨布を有した定盤と半導体ウェーハとを相対的に移動さ
せると共に研磨布に研磨液を供給して半導体ウェーハを
研磨する半導体ウェーハの研磨方法であって、前記研磨
を、前記研磨布の表面形状を上記本発明の研磨布のドレ
ッシング方法により修正した状態で行うことを特徴とす
る。この半導体ウェーハの研磨方法では、前記研磨を、
前記研磨布の表面形状を上記本発明の研磨布のドレッシ
ング方法により修正した状態で行うので、コンディショ
ンが最適に維持された研磨布で研磨でき、ウェーハを安
定して高平坦度に研磨することができる。
【0019】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係る研磨布のドレ
ッシング方法、半導体ウェーハの研磨方法及び研磨装置
の一実施形態を、図1から図12を参照しながら説明す
る。
【0020】図1から図3は、本実施形態のシリコンウ
ェーハの研磨装置であって、回転する上下の上定盤1と
下定盤2との間に配置したウェーハキャリア3を、自転
しない円運動をさせ、保持されたシリコンウェーハWを
旋回移動させるものであり、シリコンウェーハWの表裏
面を同時に研磨する揺動キャリア型両面研磨装置であ
る。
【0021】すなわち、この研磨装置は、同じ軸心で逆
方向に回転する上下に配された上定盤1及び下定盤2
と、上定盤1と下定盤2の間に配置され複数のシリコン
ウェーハWを保持する平板状のウェーハキャリア3と、
上定盤1及び下定盤2を回転させる定盤駆動機構4と、
ウェーハキャリア3を旋回移動させるキャリア駆動機構
5とを備えている。
【0022】上定盤1及び下定盤2は、それぞれの表面
に研磨布6が接着され、これらの研磨布6が研磨面を構
成する。なお、研磨布6としては、表面が平坦である不
織布又はウレタン等が用いられる。上定盤1には、複数
の供給孔1aが設けられ(図3中には代表的に供給孔1
aひとつを記載している)、各供給孔1aは研磨面へ研
磨液を供給する研磨液供給機構7に接続されている。
【0023】ウェーハキャリア3は、上定盤1及び下定
盤2よりも径が大きく、例えばガラスエポキシ板で形成
され、シリコンウェーハWを遊嵌状態に保持するための
保持孔3aが複数形成されている。また、ウェーハキャ
リア3は、シリコンウェーハWの厚さよりも所定量だけ
若干薄く設定されている。なお、保持孔3a内に保持さ
れたシリコンウェーハWは、保持孔3a内で自転可能で
ある。
【0024】定盤駆動機構4は、上定盤1及び下定盤2
に接続されこれらを回転させるモータ等の駆動源10、
11を備えている。キャリア駆動機構5は、ウェーハキ
ャリア3をその表裏面と平行な面内で自転しない円運動
をさせ、保持孔3a内で保持されて上定盤1と下定盤2
とによって挟持されたシリコンウェーハWを旋回移動さ
せるものである。すなわち、キャリア駆動機構5は、ウ
ェーハキャリア3の外周部に取り付けられた円環状のキ
ャリアホルダ12と、キャリアホルダ12に回転可能に
連結された4つの偏心部材13と、これらの偏心部材1
3に接続されこれらを同期して円運動させる偏心部材同
期機構14とを備えている。
【0025】偏心部材13は、円柱形状であり、下面に
は回転軸部13aが突出して設けられ、上面には偏心軸
部13bが回転軸部13aの回転軸から偏心した位置に
突出して設けられている。また、偏心部材13は、回転
軸部13aを装置の基体14に設けられた支持孔14a
に回転可能に貫通させて支持されている。キャリアホル
ダ12には、互いに等間隔に円周上に離間した4つの貫
通孔12aが設けられ、これらの貫通孔12aにそれぞ
れ偏心軸部13bが回転可能に挿入されている。
【0026】偏心部材同期機構14は、各偏心部材13
の回転軸部13aに巻回されたタイミングチェーン15
と、一つの偏心部材13の回転軸部13aにモータ側ギ
ア16で接続された駆動用モータ17とを備えている。
すなわち、駆動用モータ17の出力軸に設けられたモー
タ側ギア16が、回転軸部13a下端に設けられた軸部
側ギア18に噛み合っており、駆動用モータ17を駆動
すると、モータ側ギア16及び軸部側ギア18を介して
一つの偏心部材13が回転すると共に、タイミングチェ
ーン15を介して他の偏心部材13が同時に同期して回
転するようになっている。
【0027】この際、各偏心部材13は、回転軸部13
aを中心に回転するが、偏心軸部13bは回転軸部13
aの回転軸を中心に旋回する。すなわち、偏心軸部13
bで支持されているキャリアホルダ12及びウェーハキ
ャリア3は、偏心軸部13bの旋回により自転しない円
運動を行うことになる。したがって、ウェーハキャリア
3に保持されたシリコンウェーハWも旋回移動すること
になる。また、上記ウェーハキャリア3は、シリコンウ
ェーハW周辺が上定盤1及び下定盤2から外方に一時的
に出る動き、いわゆるオーバーハングするようになって
いる。
【0028】また、この研磨装置は、予め求めた研磨布
6の表面形状に基づいて研磨布6表面を部分的に削ると
共に押しつぶして表面形状を修正するドレッシング機構
20を備えている。該ドレッシング機構20は、図1、
図4及び図5に示すように、上定盤1及び下定盤2の中
心に向かって半径方向に前後進可能なアーム部21と、
該アーム部21を基端部で支持する支持部22と、制御
部Cの制御によりアーム部21を前後進させるアーム駆
動機構24とを備えている。上記アーム部21には、そ
の先端部の上下にダイヤモンド砥粒が電着された円板状
のドレッサー23がそれぞれ取り付けられている。な
お、実際にシリコンウェーハWを研磨する際には、この
アーム部21は研磨布6上から待避できるようになって
いる。
【0029】上記ドレッシング機構20の制御部Cは、
図6及び図7に示すように、予め研磨布6により研磨さ
れたシリコンウェーハWの形状を測定したデータを入力
かつ記憶可能になっている。そして、制御部Cは、上記
シリコンウェーハWの形状データに基づいて研磨布6の
表面形状を推定して算出すると共に、この研磨布6の表
面形状に基づいて研磨布6表面の位置に応じて修正する
量(すなわち、削ると共に押しつぶす量)を決定する機
能を有している。
【0030】次に、本実施形態による研磨布のドレッシ
ング方法及びシリコンウェーハの研磨方法について、説
明する。
【0031】〔研磨布形状推定工程〕まず、研磨布6の
ドレッシングを行う前に、上記研磨布6により研磨され
たシリコンウェーハWの形状を測定し、該形状のデータ
をドレッシング機構20の制御部Cに入力して記憶させ
る。この際、制御部CによりウェーハWの形状データに
基づいて研磨布6の表面形状を求める。すなわち、制御
部Cに予めウェーハの形状変化と研磨布6表面の各位置
における形状変化との相関データを予め記憶させてお
き、この相関データから研磨布6表面のプロファイルを
自動的に推定する。
【0032】例えば、直径200mmのウェーハWを研
磨する際、図8に示すように、半径方向100mm(片
側50mm)の揺動運動を行うとすると、その揺動範囲
により、研磨布6とウェーハWとが接触する範囲が決定
される。なお、図中において、符号W0は、ウェーハW
が揺動範囲の中心位置に配された状態であり、W1及び
W2は、ウェーハWが揺動範囲のうち最も内周側及び外
周側にそれぞれ移動した状態を示している。また、ウェ
ーハWは、揺動時に定盤から所定の量OHだけ外方にオ
ーバーハングするようになっている。そして、研磨布6
により研磨したウェーハWについて、その形状を測定し
た結果、図6及び図7に示すように、中凸形状になった
とき、研磨布6の表面形状(断面形状)が経時的に変形
し、図9に示すようなプロファイルになっていることが
推定される。
【0033】すなわち、研磨後のウェーハWの形状が中
凸形状になるのは、ウェーハWの周辺部と中央部との研
磨レートの差によるものであり、図9において、研磨布
6の沈み込みが小さい領域Aでは、ウェーハW周辺部へ
の面圧が大きくなって周辺部での研磨レートが大きくな
るの対し、常にウェーハWが存在して研磨布6の沈み込
みが大きい領域Bでは、ウェーハW中央部への仕事量が
少なく、中央部での研磨レートが少ないためである。こ
のような相関関係から得られたデータにより、ウェーハ
Wの形状に基づいて研磨布6の表面形状のプロファイル
が推定される。
【0034】〔ドレッシング工程〕さらに、制御部Cに
より、求めた研磨布6の表面形状に基づいて、高平坦度
な研磨特性が得られるように研磨布6表面の位置に応じ
てドレッサー23で削る量を設定する。例えば、上記の
場合では、図10に示すような研磨布6の表面形状プロ
ファイルになるように、主に領域A及びその内側近傍に
ついて他の領域よりも削る量を大きく設定する。そし
て、制御部Cにより、図5に示すように、上定盤1及び
下定盤2との間にアーム部21を入れてドレッサー23
を上定盤1及び下定盤2で挟んだ状態とし、さらに上定
盤1及び下定盤2を定盤駆動機構4により回転させる。
【0035】このとき、制御部Cは、上記設定した研磨
布6の表面位置に応じた修正量(削ると共に押しつぶす
量)となるように、アーム駆動機構24を制御してアー
ム部21を進退させ、研磨布6をドレッシングして形状
を整える。例えば、上記の場合、領域A及びその内側近
傍において他の領域に比べて長い時間ドレッサー23が
研磨布6をドレッシングするように制御する。
【0036】次に、上記ドレッシングによって、図10
に示すように、表面形状が最適に修正された研磨布6に
より、シリコンウェーハWの研磨を行う。なお、この
際、ドレッシングにおいて上定盤1と下定盤2との間に
配されていたアーム部21を、後進させてこれらから待
避させておく。
【0037】〔研磨工程〕シリコンウェーハWをウェー
ハキャリア3の保持孔3aにセットし、このウェーハキ
ャリア3を研磨装置に取り付け、表裏面の研磨を行う。
すなわち、定盤駆動機構4により上定盤1及び下定盤2
を回転させると共に、キャリア駆動機構5によりウェー
ハキャリア3を自転しない円運動させる。そして、同時
に研磨液供給機構7により、研磨液を研磨面に供給す
る。
【0038】この際、揺動範囲及び揺動範囲近傍の研磨
布6が、上記ドレッシング工程において、最適な状態に
ドレッシングされているので、ウェーハW全体にわたっ
て面圧が均一になると共に研磨レートの維持と均一化が
でき、図11及び図12に示すように、高平坦度な加工
形状を得ることができる。
【0039】なお、本発明の技術範囲は上記実施の形態
に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない
範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【0040】例えば、上記実施形態では、研磨布の形状
プロファイルを実際に研磨したシリコンウェーハWの形
状から推定して求めたが、他の方法、例えば実際に研磨
布6の形状プロファイルを測定して求めても構わない。
すなわち、パッドプロファイラー等の表面形状測定器を
用いて研磨布の凹凸形状を実測してもよく、この場合、
より正確に研磨布の位置に応じた修正量を設定すること
ができる。
【0041】また、研磨布の表面形状を求めるために、
研磨布の表面形状の経時変化を研磨の回数に対応させて
予め実測して制御部に記録しておき、該記録に基づいて
ドレッシングによる修正前にそれまでの研磨の回数に応
じて研磨布の表面形状を制御部において求めても構わな
い。この場合、研磨履歴から容易に研磨布の表面形状が
推定でき、ドレッシング直前に実際に表面形状の計測を
行う必要が無く、定期的又は不定期的に適切なドレッシ
ングが可能になる。
【0042】また、上記実施形態では、両面研磨技術に
本発明を適用したが、他の例として、ウェーハWの表面
側のみを研磨する片面研磨に適用しても構わない。ま
た、上記実施形態では、定盤の半径方向に進退可能なア
ーム部を制御して任意の位置でドレッシングしている
が、他の手段によりドレッシング位置を制御しても構わ
ない。
【0043】例えば、上記実施形態の他の例として、図
13及び図14に示すように、下定盤31のみを用いて
ウェーハの表面を研磨する片面研磨装置を用いてもよ
く、この場合、この研磨装置のドレッシング機構30
は、アーム部21の先端部下部のみに研磨布6に当接す
るドレッサー23が取り付けられる。また、ドレッシン
グ機構30は、アーム部21を基端部を回転中心にして
水平方向に回転及び揺動可能にする機能を採用し、アー
ム部21を揺動させて研磨布6上の任意な位置でドレッ
シングを可能にしてもよい。
【0044】他の片面研磨技術として、上記両面研磨装
置と同様の装置を用いて、研磨工程前の自然放置中又は
洗浄中に生じたウェーハの表裏面の薄膜のうち表面側の
薄膜のみを除去し、この後に、ウェーハの材料に対する
研磨速度が前記薄膜に対する研磨速度よりも高い研磨液
(例えば、砥粒濃度が0重量%以上1重量%以下のアル
カリ性溶液)を供給してウェーハの表面側を選択的に化
学的研磨する研磨方法に適用しても構わない。
【0045】また、研磨布構成以外が上記実施形態の両
面研磨装置と同様の装置を用いると共に、ウェーハの材
料に対する研磨速度が研磨前の自然放置中又は洗浄中に
生じた半導体ウェーハ表面の薄膜に対する研磨速度より
も高い研磨液を供給し、ウェーハの表面に接する研磨面
を、ウェーハの裏面に接する研磨面よりも研磨速度が高
い構造又は材質の研磨布(例えば、砥粒を含む固定砥粒
研磨布)で構成した装置、すなわち表面側を選択的に研
磨する片面研磨装置に適用しても構わない。なお、上記
2つの片面研磨技術は、特に研磨布の経時的形状変化が
大きく、本発明によるドレッシング効果を顕著に奏する
ことができる。
【0046】また、上記実施形態では、揺動キャリアタ
イプの研磨装置に適用したが、他の方式の研磨装置に適
用しても構わない。例えば、研磨面を有する上下の定盤
間に複数のウェーハを保持したウェーハキャリアを複数
配置し、これらウェーハキャリアの中央にサンギアを配
して各ウェーハキャリアを自転させる、いわゆるサンギ
ア型両面研磨装置に適用してもよい。
【0047】また、上記実施形態のドレッシング機構
に、研磨布6に向けて高圧水を吹き付けて洗浄を行う噴
射ノズルや研磨布に当接させるブラシ部材等を設けても
構わない。さらに、上記実施形態では、半導体ウェーハ
としてシリコンウェーハに適用したが、他の半導体ウェ
ーハ、例えば、化合物半導体のウェーハ(ガリウム・ヒ
素のウェーハ等)の研磨技術に適用してもよい。
【0048】
【発明の効果】本発明によれば、以下の効果を奏する。
本発明の研磨布のドレッシング方法及び半導体ウェーハ
の研磨装置によれば、予め求めた研磨布の表面形状に基
づいて研磨布表面の位置に応じて修正する量を変えるの
で、研磨布の表面形状のプロファイルを適切に修正して
形状を整えることができると共に、目詰まりを防止し、
さらに目立てを行うことができ、研磨布の最適なコンデ
ィションを長期にわたり維持することができる。また、
シンプルな装置構成で実現できると共に、自動化が容易
で処理時間も短縮することができる。さらに、研磨装置
の定盤形状は装置毎に種々あるが、各装置に対応した条
件で研磨布のコンディショニングが可能になる。また、
本発明の半導体ウェーハの研磨方法によれば、研磨布の
表面形状を上記本発明の研磨布のドレッシング方法によ
り修正した状態で行うので、コンディションが最適に維
持された研磨布で研磨でき、ウェーハを安定して高平坦
度に研磨することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る一実施形態における研磨装置を
示す要部の断面図である。
【図2】 本発明に係る一実施形態における研磨装置の
定盤とウェーハキャリアとの位置関係を示す平面図であ
る。
【図3】 本発明に係る一実施形態における研磨装置を
示す模式的な拡大断面図である。
【図4】 本発明に係る一実施形態における下定盤上の
ドレッシング機構及びその動きを模式的に示す平面図で
ある。
【図5】 本発明に係る一実施形態における下定盤上の
ドレッシング機構及びその動きを模式的に示す正面図で
ある。
【図6】 本発明に係る一実施形態において、ドレッシ
ング前に研磨されたウェーハの加工形状を3次元的に示
す図である。
【図7】 本発明に係る一実施形態において、ドレッシ
ング前に研磨されたウェーハの加工形状を直径方向の断
面で示すグラフである。
【図8】 本発明に係る一実施形態において、ウェーハ
の揺動範囲を模式的に示す断面図である。
【図9】 本発明に係る一実施形態において、ドレッシ
ング前の研磨布の形状プロファイルを示す拡大断面図で
ある。
【図10】 本発明に係る一実施形態において、ドレッ
シング後の研磨布の形状プロファイルを示す拡大断面図
である。
【図11】 本発明に係る一実施形態において、ドレッ
シング後に研磨されたウェーハの加工形状を3次元的に
示す図である。
【図12】 本発明に係る一実施形態において、ドレッ
シング後に研磨されたウェーハの加工形状を直径方向の
断面で示すグラフである。
【図13】 本発明に係る一実施形態の他の例における
下定盤上のドレッシング機構及びその動きを模式的に示
す平面図である。
【図14】 本発明に係る一実施形態の他の例における
下定盤上のドレッシング機構及びその動きを模式的に示
す正面図である。
【符号の説明】
1 上定盤 2、31 下定盤 3 ウェーハキャリア 5 キャリア駆動機構 6 研磨布 7 研磨液供給機構 20、30 ドレッシング機構 23 ドレッサー C 制御部 W シリコンウェーハ(半導体ウェーハ)

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 半導体ウェーハの少なくとも表面側に接
    触する研磨面に研磨布を有した定盤と半導体ウェーハと
    を相対的に移動させると共に研磨布に研磨液を供給して
    半導体ウェーハを研磨する半導体ウェーハ研磨装置の研
    磨布をドレッシングする方法であって、 前記研磨布の表面形状を求める工程と、 前記研磨布の表面形状を修正するドレッシング工程とを
    備え、 該ドレッシング工程は、前記研磨布の表面形状に基づい
    て研磨布表面の位置に応じて修正する量を変えることを
    特徴とする研磨布のドレッシング方法。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の研磨布のドレッシング
    方法において、 前記研磨布の表面形状を求める工程は、前記ドレッシン
    グ工程前に前記研磨布により研磨された半導体ウェーハ
    の形状を測定し、該形状に基づいて研磨布の表面形状を
    求めることを特徴とする研磨布のドレッシング方法。
  3. 【請求項3】 請求項1に記載の研磨布のドレッシング
    方法において、 前記研磨布の表面形状を求める工程は、研磨布の表面形
    状の経時変化を前記研磨の回数に対応させて予め実測し
    て記録しておき、該記録に基づいて前記ドレッシング工
    程前にそれまでの研磨の回数に応じて研磨布の表面形状
    を求めることを特徴とする研磨布のドレッシング方法。
  4. 【請求項4】 半導体ウェーハの少なくとも表面側に接
    触する研磨面に研磨布を有した定盤と半導体ウェーハと
    を相対的に移動させると共に研磨布に研磨液を供給して
    半導体ウェーハを研磨する半導体ウェーハの研磨方法で
    あって、 前記研磨を、前記研磨布の表面形状を請求項1から3の
    いずれかに記載の研磨布のドレッシング方法により修正
    した状態で行うことを特徴とする半導体ウェーハの研磨
    方法。
  5. 【請求項5】 半導体ウェーハの少なくとも表面側に接
    触する研磨面に研磨布を有した定盤と半導体ウェーハと
    を相対的に移動させると共に研磨布に研磨液を供給して
    半導体ウェーハを研磨する半導体ウェーハの研磨装置で
    あって、 前記研磨布の表面形状を修正するドレッシング機構を備
    え、 該ドレッシング機構は、予め求めた前記研磨布の表面形
    状に基づいて研磨布表面の位置に応じて前記修正する量
    を変える制御部を備えていることを特徴とする半導体ウ
    ェーハの研磨装置。
  6. 【請求項6】 請求項5に記載の半導体ウェーハの研磨
    装置において、 前記制御部は、予め前記研磨布により研磨された半導体
    ウェーハの形状に基づいて研磨布の表面形状を求めるこ
    とを特徴とする半導体ウェーハの研磨装置。
  7. 【請求項7】 請求項5に記載の半導体ウェーハの研磨
    装置において、 前記制御部は、研磨布の表面形状の経時変化を前記研磨
    の回数に対応させて予め実測して記録しておき、該記録
    に基づいて前記修正を行う前にそれまでの研磨の回数に
    応じて研磨布の表面形状を求めることを特徴とする半導
    体ウェーハの研磨装置。
  8. 【請求項8】 請求項5から7のいずれかに記載の半導
    体ウェーハの研磨装置において、 前記ドレッシング機構は、ダイヤモンド砥粒が電着され
    たドレッサーを備えていることを特徴とする半導体ウェ
    ーハの研磨装置。
  9. 【請求項9】 請求項5から8のいずれかに記載の半導
    体ウェーハの研磨装置において、 前記半導体ウェーハを表裏面側から挟む前記研磨面を有
    した一対の前記定盤が配設されていることを特徴とする
    半導体ウェーハの研磨装置。
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