JP2002181057A - 鉄道車両用軸受装置 - Google Patents

鉄道車両用軸受装置

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JP2002181057A
JP2002181057A JP2000383932A JP2000383932A JP2002181057A JP 2002181057 A JP2002181057 A JP 2002181057A JP 2000383932 A JP2000383932 A JP 2000383932A JP 2000383932 A JP2000383932 A JP 2000383932A JP 2002181057 A JP2002181057 A JP 2002181057A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 鉄道車両用軸受装置内において、該軸受装置
内に区画されている空間の圧力差によって生じる、オイ
ルシールのリップの腹当たりを防止できる鉄道車両用軸
受装置を提供する。 【解決手段】 本発明の鉄道車両用軸受装置は、鉄道車
両用軸受装置10内にリップ14,133と油切り12
1とによって区画された密閉空間Aを形成し、リップ1
4に逆止弁14aを設けている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、鉄道車両等の車軸
に用いられる軸受装置に関し、詳しくはリップと油切り
との腹当たりを防止するのに有効なオイルシールを備え
た鉄道車両用軸受装置に関する。
【0002】
【従来の技術】図10に従来の鉄道車両用軸受装置(以
下軸受装置)100の構成を示す。図10に示す軸受装
置100は、鉄道車両に用いられる軸受の一例である複
列円錐ころ軸受(以下軸受)110と、軸受110に装
着された車軸120とを有している。軸受110は、一
体型の外輪111と各列に個別に分割された内輪112
と内輪間座113とを備え、内輪112と外輪111と
の間には、軸受110の周方向に配置され、保持器11
4に保持された複数のころ115が配置されている。軸
受110の軸方向両端面には、それぞれ主軸120と一
体となって回転し、内輪112と当接する筒状の油切り
121が配置されている。
【0003】油切り121の軸受100寄りの外周側に
は、異なる内径の円筒部材を連結し、段を有する筒状の
シールケース122が配置されている。シールケース1
22の軸受110側の一端部は外輪111に嵌合固定さ
れ、他端部は油切り121の外周面付近に配置されてい
る。また、シールケース122の内周側には、環状のオ
イルシール130が取り付けられ、軸受装置100の内
部に、ごみ、水分、異物等が外部から侵入するのを防ぐ
とともに、軸受装置100内のグリース等の潤滑剤が外
部に漏出するのを防いでいる。
【0004】図11に、図10に示したオイルシール1
30付近の拡大断面図を示す。オイルシール130は、
環状で、複数の金属部材を組み合わせてなる、内周側に
開口した略断面コ字状の外周部131と、外周部131
の内周側端部に接着された樹脂からなるシール部材13
2とから構成されている。オイルシール130は、その
外周部131の外周側がシールケース122の内周側に
固着され、オイルシール130の内周側に位置するシー
ル部材132が油切り121の外周面に摺接すること
で、軸受内部を外部から密閉している。ここで、シール
部材132は、軸受110寄りの内側リップ133と、
内側リップ133から間隔を隔てて配置されている外側
リップ134とを有している。内側リップ133及び外
側リップ134は、オイルシール130の全周にわたっ
て配置されている。軸受装置100が作動している際に
は、これらのリップ133,134が、油切り121の
外周面と摺動している。なお、内側リップ133には、
内側リップ133を油切り121の外周面側へ付勢する
ためのガータスプリング135が取り付けられている。
内側リップ133と外側リップ134と油切り121の
外周面とで構成される空間は、単独で密閉された密閉空
間Aとなっている。また、このとき内側リップ133の
軸受110側の空間を空間B、外側リップ134より外
側で外気に触れている空間を空間Cとする。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上述した軸受装置10
0においては、図示しない鉄道車両の運転に伴ない、軸
受装置100の主軸120、油切り121、リップ13
3,134、グリースG等の温度が上昇することがあ
る。特に空間A内にグリースGが充填されている場合に
おいては、温度の上昇とともに、グリースGの体積が膨
張したり、その粘度が下がって流動し易くなることがあ
る。こうしたグリースGは、図11中二点鎖線で示すよ
うに、主に外側リップ134と油切り121の外周面と
の摺接部分から、空間C内へと漏出してしまう場合があ
る。内側リップ133と油切り121の外周面との摺接
部分においては、ガータスプリング135によってリッ
プ133が油切り121の外周面側に付勢されているの
で、グリースGが漏出することが少ない。
【0006】また、図示しない鉄道車両の運転が停止す
る等して主軸120、油切り121、リップ133,1
34、グリースG等の温度が降下すると、膨張していた
グリースGの体積も収縮する。すると、図12に示すよ
うに、空間Aは、空間Cにグリースが一部流出したこと
から、空間B内の圧力P1や空間Cの外気の圧力P2に
よって、その容積が小さくなるように押圧される。この
とき、内側リップ133及び外側リップ134は、空間
B及び空間Cからの圧力P1,P2により、空間Aの内
方へ押圧される。その結果、本来、油切り121の外周
面と摺接する部位ではない、リップ133,134の腹
の部分(図中クロスハッチングで示す部分)が油切り1
21の外周面と摺接することになる。リップ133,1
34の腹の部分と油切り121の外周面とが擦れてしま
うと、異常な発熱を引き起こすほか、リップ133,1
34との摩擦抵抗を増加させ、リップ133,134の
劣化が促進されることによるオイルシール130の密閉
性能の低下が生じてしまう。
【0007】本発明は、このような状況に鑑みてなされ
たものであり、鉄道車両用軸受装置内において、該軸受
装置内に区画されている空間の圧力差によって生じる、
オイルシールのリップの腹当たりを防止できる鉄道車両
用軸受装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明の前記目的は、内
輪の両端に当接する油切りと、該油切りの外周面と摺接
するリップを有し、外輪の両端部に固定されるオイルシ
ール手段とを備えた鉄道車両用軸受装置において、該鉄
道車両用軸受装置内に前記リップと前記油切りとによっ
て区画された密閉空間を形成し、前記リップに逆止弁を
設けたことを特徴とする鉄道車両用軸受装置によって達
成することができる。
【0009】鉄道車両用軸受装置とは、主に鉄道車両等
に用いられ、軸受及びその軸受の軸方向両端に油切りを
備え、前記軸受内に充填されている潤滑剤が漏出しない
ように、軸受に固定されているオイルシール手段を備え
ている軸受装置をいう。また、オイルシール手段とは、
鉄道車両用軸受装置内に設けられ、該装置内の潤滑剤が
外部に漏出することを防止し、複数のリップを有し、該
リップによって該装置内に複数の区画された空間を形成
する部材をいう。逆止弁としては、気体に対して、その
一方向のみの通過を許容または阻止するものであるが、
その形状は限定されない。また、本発明においては、複
数の逆止弁が、気体の互いに異なる方向の通過を許容ま
たは阻止するように配置されていてもよい。
【0010】この場合、密閉空間の内部には、潤滑剤が
充填されていることが好ましい。逆止弁は、1kPaの
差圧で作動することが好ましい。作動する差圧が1kP
aより大きいと、逆止弁が作動する前にリップの腹当た
りが発生してしまう。
【0011】以上のような構成の鉄道車両用軸受装置に
おいては、密閉空間の内圧と隣接する他の空間の内圧と
の間に差圧が生じている際に、逆止弁が作動することに
よって、密閉空間の内圧と他の空間の内圧とを等しく
し、密閉空間と他の空間との差圧によって生じるリップ
の変形を阻止することで、リップと油切りの外周面との
腹当たりを防止する。
【0012】また、この場合、密閉空間を形成するリッ
プから所定距離離れた箇所の密閉空間内に、オイルシー
ル手段と一体のリップを設けてもよい。こうすること
で、密閉空間内に形成された、オイルシールと一体のリ
ップが密閉空間内でラビリンスシールとして作用し、万
が一異物が外側リップ側から侵入したとしても、内側リ
ップ側へ容易に移動するのを防止する。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、図面に基づいて本発明の実
施形態を説明する。なお、以下に説明する実施形態にお
いて、すでに説明した部材等と同様の構成・作用を有す
る部材等については、図中に同一符号又は相当符号を付
すことにより説明を簡略化あるいは省略する。
【0014】図1に本発明の第1実施形態である鉄道車
両用軸受装置(以下軸受装置)10のオイルシール13
付近の要部断面図を示す。軸受装置10の図示しない他
の構成については、図10に示す軸受装置100と同様
の構成である。図1に示すオイルシール13において、
外周部131の内周側端部に固着されたシール部材11
の外側リップ14には、外気に触れている空間Cとグリ
ースGが充填されている密閉空間Aとを連通する楕円形
状の開口12と逆止弁14aが設けられている。逆止弁
14aは、開口12を覆うように内側リップ14の密閉
空間A側に一つ取り付けられている。ここで、グリース
Gとしては、例えば、リチウム系グリース等のグリース
や潤滑剤含有ポリマー部材等を適宜選択できる。
【0015】図2に逆止弁14aの拡大断面図を示す。
図2(A)には逆止弁14aの非作動状態を示し、図2
(B)には逆止弁14aの作動状態を示している。図2
(A)に示すように、逆止弁14aは、外側リップ14
と一体に成形されたゴム部材で構成され、外側リップ1
4の中央部分(リップ先端と外側リップ14との根元の
間の部分)に設けられ、開口12を覆うように略楕円形
状のドーム状の屋根になっている。このとき、シール部
材11と逆止弁14aとを形成するゴム材料としては、
ニトリルゴム、アクリルゴム、フッ素ゴム等を例示でき
る。逆止弁14aのドームには、開口12の楕円形状の
長軸方向と同じ方向に切り込みが入れられており、ドー
ムを二つに分割している。逆止弁14aの非作動状態で
は、ドームの切り込み部分は互いに密着しており開口1
2は、閉じた状態となっている。
【0016】上述したように、図示しない鉄道車両が運
転されると、軸受装置10内のグリース、特に密閉空間
A内のグリースGの温度が上昇する。すると、グリース
Gが膨張し、外側リップ14と油切り121の外周面と
の摺接部分を介してグリースGの一部が漏出する。さら
に、図示しない鉄道車両の運転が停止すると、グリース
Gの温度が降下し、その体積が減少し膨張前の状態に戻
る。すると、密閉空間Aの内部圧力は、他の空間B,C
の圧力に比べ低くなっており、密閉空間Aと他の空間
B,Cとの間には、差圧が生じる。
【0017】このとき、図2(B)に示すように逆止弁
14aが作動し、逆止弁14aは、ドームに設けられた
切り込みを介して開口する。こうすることで、図中矢印
Dに示すように、空間Cからの外気が密閉空間Aへと流
入し、密閉空間Aから漏出したグリースと略同量の体積
分の外気を密閉空間A内へ収容する。こうして、密閉空
間Aと他の空間B,Cとの間の差圧が解消され、リップ
14,133が密閉空間Aの内方へと押圧されることが
ない。したがって、リップ14,133の先端から中腹
部までが、油切り121の外周面と摺接する腹当たり現
象が生じない。このとき、逆止弁14aは1kPa程度
の差圧で作動することが望ましい。また、逆止弁14a
が作動して外気が密閉空間Aに流入し、他の空間B,C
との圧力値が等しくなるまでの時間は一瞬であるので、
空間Cに水分が存在しているとしても密閉空間A内には
ほとんど入り込まない。
【0018】図3に本発明の第2実施形態である軸受装
置20のシールケース122及びオイルシール21の断
面図を示す。図3に示す環状のシール部材21には、上
述した第1実施形態と同様な構成の逆止弁24aが外側
リップ24の周方向に等間隔で6つ配置されている。図
4に、外側リップ24の図3におけるIV矢視平面図の
一部を示す。本実施形態のこのような構成によれば、上
述した第1実施形態と同様の効果が得られるだけでな
く、複数の逆止弁24aの内の一つにグリースが付着す
ることで、その逆止弁24aが開口しにくくなり充分に
作動しない状態になっても、残りの逆止弁24aが作動
するため、密閉空間Aと他の空間B,Cとに差圧が生じ
ている状態は解消される。すなわち逆止弁24aを複数
個設けることでその効果をより確実なものとすることが
できる。このとき、外側リップ24上に設置されている
逆止弁24aは、図4に示すように外側リップ24上の
同一の位相位置に配置される必要はなく、異なる位相位
置に配置されてもよい。また、逆支弁24aの数も限定
されない。その他の構成、作用については、上述した第
1実施形態と同様である。
【0019】図5に本発明の第3実施形態である軸受装
置30の要部断面図を示す。図5には、軸受装置30内
に設置されるオイルシールのシール部材31を示す。そ
の他の構成は、上述した第1実施形態と同様である。図
5に示すシール部材31においては、内側リップ35と
外側リップ34との間にシール部材31の全周にわたっ
て中間リップ36が設けられている。環状の中間リップ
36の内径は油切り121の外径寸法より大きく作られ
ており、中間リップ36と油切り121の外周面との間
には、クリアランスが設けられている。そのため、中間
リップ36は油切り121の外周面との間にラビリンス
を形成することになる。また、外側リップ34の中央部
分には、空間Cから密閉空間A側に向いた逆止弁34a
が設けられている。この逆止弁34aは、空間Cから密
閉空間A内のみへの気体の通過を許容している。逆止弁
34aは上述した第1実施形態と同様の構成である。
【0020】本実施形態のこのような構成によれば、中
間リップ36が、ラビリンスシールとして機能すること
により、空間C側から、外側リップ34と油切り121
との摺接部分を通して、異物や水分が密閉空間A内に侵
入した際にも、内側リップ35の方へ移動しにくくな
り、異物や水分が内側リップ35と油切り121との摺
接部分を介して空間B内へと移動することを防止でき
る。ここで、中間リップ36はラビリンスを形成するだ
けであるので、密閉空間Aの内圧は、中間リップ36に
よって分断されることなく均一である。したがって、グ
リースの流出が生じても逆止弁34aが第1実施形態と
同様に機能して空間Cの圧力と密閉空間Aの圧力との間
の差圧を等しくする。その他の構成、作用については、
上述した第1実施形態と同様である。
【0021】図6に、本発明の第4実施形態である軸受
装置40のシール部材41の断面図を示す。図6に示す
シール部材41においては、外側リップ44に第1実施
形態と同様に空間Cから密閉空間Aへ向かう逆止弁44
aが設けられるとともに、密閉空間Aから空間Cへ向か
う逆止弁44bが逆止弁44aに隣接して設けられてい
る。逆止弁44aの構成は、上述した第1実施形態の逆
止弁14aと同様の構成である。
【0022】上述したように、図示しない鉄道車両の運
転によって軸受装置40のシール部材41や油切り12
1の温度が上昇すると、それに伴って密閉空間A内のグ
リースGが熱膨張する。このとき、密閉空間A内にグリ
ースGとともに空気Eも封入されていると、密閉空間A
内の空気Eの圧力も上昇する。本実施形態のこのような
構成によれば、密閉空間A内の圧力が上昇した際に、逆
止弁44bが作動して、開口12bを通過して密閉空間
A内の空気Eが流出する。そのため一瞬にして密閉空間
Aと空間Cとの差圧が解消される。一方、グリースGや
空気Eの温度が降下して、密閉空間Aの圧力が空間Cの
圧力より小さくなった場合は、上述した第1実施形態の
ときと同様に外気が逆止弁44aより密閉空間A内へ流
入して密閉空間Aと空間Cとの圧力差を解消する。した
がって、本実施形態は、密閉空間AがグリースG及び空
気Eで満たされている場合において有利である。
【0023】このとき、逆止弁44bの動作は一瞬であ
るので、逆止弁44aを通過して密閉空間A内部のグリ
ースが流出することはほとんどない。図6には、逆止弁
44a,44bが同じ位相上に設けられている例が示さ
れているが、2個の逆止弁44a,44bの相互的な配
置は自由である。例えば、密閉空間Aから空間Cへ気体
の通過を許容するように設計されている逆止弁44b
が、油切り121側に設けられ、空間Cから密閉空間A
内へ気体の通過を許容するように設計されている逆止弁
44aが逆止弁44bよりも油切り121から離れた位
置に設けられていたが、逆止弁44aと逆止弁44bと
が逆の位置に設けられていてもよい。また、逆止弁44
a,44bを各々複数個を配して、上述した第2実施形
態のようにグリースによる目詰まり等を回避するように
してもよい。その他の構成、作用については、上述した
第1実施形態と同様である。
【0024】図7に本発明の第5実施形態である軸受装
置50のシール部材51の要部断面図を示す。図7に示
すシール部材51においては、内側リップ55の中央部
分に逆止弁55aが設けられている。逆止弁55aの構
成は、上述した第1実施形態の逆止弁14aと同様の構
成である。逆止弁55aは、軸受側の空間Bから密閉空
間A内へ気体の通過を許容するように設計されている。
上述したように、図示しない鉄道車両の運転等により、
シール部材51や油切り121の温度が上昇し、密閉空
間A内のグリースが熱膨張し、その流動性が高くなるこ
とで、グリースが外側リップ55と油切り121の外周
面との摺接部分から流出する場合がある。その後、グリ
ースGの温度が降下して密閉空間A内の体積が不足する
と密閉空間A内の圧力が他の空間の圧力より低下する。
【0025】本実施形態のこのような構成によれば、こ
のとき、逆止弁55aが作動し、軸受側の空間Bから空
気が流入する。その結果、軸受側の空間B内の圧力と密
閉空間A内の圧力は等しくなり、密閉空間A内の圧力の
低下に起因するリップ54,55の腹当たりを防止でき
る。なお、本実施形態においては、密閉空間Aの内圧と
空間Cの内圧とを等しくしてはいないが、密閉空間A内
の体積は、軸受側の空間Bの体積に比して格段に小さい
ため軸受側の空間Bの内圧と密閉空間Aの内圧とが等し
くなった状態では、空間Cの外気圧との大きな圧力差が
生じない。
【0026】また、本実施形態においては、外気と触れ
ている空間Cから外気が流入することがないので、外気
の水分等が密閉空間A内に多量に流入することはない。
さらに上述した第2実施形態のように、逆止弁が複数設
けられている方が更に信頼性が向上する。
【0027】図8に本発明の第6実施形態である軸受装
置60のシール部材61の要部断面図を示す。図8に示
すシール部材61には、逆止弁64a,65aが内側リ
ップ65と外側リップ64とに各々設けられている。逆
止弁64a,65aの構成は、上述した第1実施形態の
逆止弁14aと同様の構成である。外側リップ64に設
けられた逆止弁64aは、密閉空間A内から外気側の空
間Cへ向かうように設置されている。また、内側リップ
65に設けられた逆止弁65aは、軸受側の空間B内か
ら密閉空間A内に向かうように設置されている。
【0028】本実施形態のこのような構成によれば、軸
受装置60内の温度上昇に起因して密閉空間A内の圧力
が上昇すると、逆止弁64aを通して密閉空間A内の空
気が空間Cへ流出する。すると、密閉空間Aの内圧と空
間Cの内圧とは等しくなる。次に、密閉空間A内のグリ
ースの温度が降下することによって、密閉空間内の圧力
が降下すると逆止弁65aを介して、軸受側の空間Bか
ら密閉空間A内へ空気が流入する。こうして、密閉空間
A内の圧力が変化して空間Cの外気圧に対して高くある
いは低くなっても密閉区間Aの内圧は外気圧と同等かそ
れに近い値となりリップ64,65の腹当たりは発生し
ない。
【0029】また、外側リップ64上の逆止弁64aが
密閉空間A内への流入の向きには設置されていないの
で、水分の浸入等が逆止弁64aを介して生じにくく、
より信頼性が高くなる。また、上述した第2実施形態の
ように、グリースによる目詰まりを考慮して各リップ上
の逆止弁は複数設置されてもよい。なお、その他の構
成、作用については、上述した第1実施形態と同様であ
る。
【0030】図9に本発明の第7実施形態である軸受装
置70のシール部材71の要部断面図を示す。図9に示
すシール部材71においては、外側リップ74と内側リ
ップ75には、それぞれ他の空間B,Cから密閉空間A
内への通過を許容する逆止弁74a,75aと、密閉空
間Aから他の空間B,Cへの通過を許容する逆止弁74
b,75bが一つずつ設けられている。逆止弁74a,
74b,75a,75bの構成は、上述した第1実施形
態の逆止弁14aと同様の構成である。軸受側の空間B
と密閉空間Aと外気側の空間Cの3つの空間は、それぞ
れ異なった圧力値を持っていることも考えられる。上述
した全ての実施形態においては、密閉空間Aの内圧の相
対的な低下を防ぐか、あるいは緩和してリップの腹当た
りを防止するものである。
【0031】本実施形態のこのような構成によれば、こ
れらの3つの空間A,B,Cの内圧を互いに等しくする
ことによって、差圧によって生じる腹当たりやグリース
の流出を防止できる。すなわち、各リップ74,75に
互いに異なる向きに作動する逆止弁を設けていること
で、3つの空間A,B,Cにいかなる圧力差が生じて
も、それを解消するように対応する逆止弁が作動して3
つの空間は常に等しい圧力値となる。差圧が生じた際、
瞬時に逆止弁が機能し3つの空間を等圧とする。等圧状
態が実現したときには逆止弁は閉じられるので、異物等
が逆止弁を通過して侵入することがない。作動も一瞬で
あるので、その間に水分等が侵入することもない。本実
施形態では、3つの空間がどのような圧力状態にあって
も直ちに3つの空間の内部圧力を等しくし、差圧がある
ことによって生じる腹当たり、グリースの流出等を完全
に防止できる。その他の構成、作用については、上述し
た第1実施形態と同様である。
【0032】このとき、逆止弁は、各リップ上に互いに
異なる向きに作動する逆止弁が一組存在すれば十分だ
が、グリースによる目詰まりを考慮して各リップに複数
組の逆止弁を設置してもよい。
【0033】なお、本発明は上述した実施形態に限定さ
れるものではなく、適宜な変形、改良等が可能である。
上述した本実施形態においては、それぞれの実施形態を
組み合わせてもよい。例えば、本発明の第4実施形態
に、本発明の第3実施形態の中間リップを組み合わせて
もよい。また、逆止弁としては、楕円形状の開口を覆う
ように平面視において略楕円のドーム形状を採用してい
たが、これに限定されない。例えば、ひし形の開口を覆
うように四角錘の形状で、この四角錘の峰に切り込みが
入った構成の逆支弁等を例示できる。
【0034】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の鉄道車両
用軸受装置によれば、軸受装置の温度降下に伴なって、
密閉空間の内圧が低下したとき、リップ上に設けた逆止
弁が作動して、密封空間内に空気を流入させることで外
気圧との差圧を解消あるいは緩和する。そのため、密閉
空間の内圧低下に起因するリップの腹当たりが防止され
る鉄道車両用軸受装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態である軸受装置10の要
部断面図である。
【図2】図1に示した軸受装置10のリップ14に設け
られた逆止弁14aの要部拡大断面図である。
【図3】本発明の第2実施形態である軸受装置20に備
えられるシールケース122及びオイルシール13を示
す断面図である。
【図4】図3に示したオイルシール13の外側リップ2
4の平面図である。
【図5】本発明の第3実施形態である軸受装置30のシ
ール部材を示す要部拡大断面図である。
【図6】本発明の第4実施形態である軸受装置40のシ
ール部材を示す要部拡大断面図である。
【図7】本発明の第5実施形態である軸受装置50のシ
ール部材を示す要部拡大断面図である。
【図8】本発明の第6実施形態である軸受装置60のシ
ール部材を示す要部拡大断面図である。
【図9】本発明の第7実施形態である軸受装置70のシ
ール部材を示す要部拡大断面図である。
【図10】従来の鉄道車両用軸受装置100を示す断面
図である。
【図11】図10に示した鉄道車両用軸受装置100の
オイルシール130付近を示す要部断面図である。
【図12】図11に示したオイルシール130のリップ
133,134の、差圧による腹当たり現象を示す要部
断面図である。
【符号の説明】
10 鉄道車両用軸受装置(軸受装置) 11 シール部材 12 開口 13 オイルシール(オイルシール手段) 14 外側リップ 14a 逆止弁 121 油切り 122 シールカバー 131 外周部 133 内側リップ 135 ガータスプリング A 密閉空間 B 軸受側の空間 C 外気側の空間 G グリース

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 内輪の両端に当接する油切りと、該油切
    りの外周面と摺接するリップを有し、外輪の両端部に固
    定されるオイルシール手段とを備えた鉄道車両用軸受装
    置において、 該鉄道車両用軸受装置内に前記リップと前記油切りとに
    よって区画された密閉空間を形成し、前記リップに逆止
    弁を設けたことを特徴とする鉄道車両用軸受装置。
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