JP2002180949A - イオン電流検出装置を備えた内燃機関の点火装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】ON電圧を防止すると共に、放電終了時の放電エ
ネルギーを速やかに除去し、各サイクル毎の放電期間を
確実にマスクすることにより、イオン電流の検出精度を
向上させることを目的とする。 【解決手段】１次側にイグナイタを備え、２次側に点火
プラグを配置する点火装置において、前記２次側にイオ
ン電流を検出するイオン電流検出装置が備えられ、当該
イオン電流検出装置がイオン電流検知部と、電流−電圧
変換回路と、放電期間マスク回路とから構成され、当該
イオン電流検出装置からの出力がエンジン制御部６に入
力されることを特徴としたイオン電流検出装置を備えた
内燃機関の点火装置。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】内燃機関の燃焼行程時に点火
プラグの電極間に発生するイオン電流を検出する手段を
備えた内燃機関の点火装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来の内燃機関用点火装置のイオン電流
検出装置の低圧側接続装置と高圧側接続装置の一例を図
３に基づいて説明する。

【０００３】図３の低圧側接続装置において、昇圧トラ
ンスから構成される点火コイル１の１次側にはパワート
ランジスタ２１からなり１次電流を遮断するイグナイタ
２と、前記点火コイル１の２次側の一方の端子６２には
点火プラグ３が、他方の端子６１には後述のイオン電流
検出装置４を介してエンジン制御部６が接続されてい
る。当該端子６１はイオン電流入力端子を兼ねている。
前記のイオン電流検出装置４は充放電コンデンサ４３、
定圧ダイオード４４、ダイオード４５、４６、４２、抵
抗４１、４８、オペアンプ４９、コンデンサ４７で構成
さている。なお、上記の構成部品である点火コイル１の
２次の出力は−放電となっている。

【０００４】次に上述した図３に示す従来の点火装置及
びイオン電流検出装置４の動作について図３の各点から
得られる信号波形を図４に示し説明する。図４におい
て、パルス波形ａはイグナイタ２の信号部Ｓからの入力
波形を、２次電圧ｂは点火コイル１の２次側に接続され
ているのプラグ３に印可される電圧を、イオン出力ｃは
イオン電流検出装置４からの出力波形をそれぞれ示して
いる。

【０００５】周知の通りイグナイタ２の信号部分に図４
に示すパルス波形ａが供給され、このパルスの立ち下が
り時に点火コイル１の２次側に高圧が発生（図４の２次
電圧ｂ）し、その高圧によって点火プラグ３に点火が生
じ、内燃機関の各気筒内の混合気に点火されることによ
り燃焼が行なわれる。この燃焼において各気筒内の燃焼
ガス中にはイオン電流（図４のイオン出力ｃ）が流れ
る。

【０００６】この燃焼時に、イオン電流入力の端子６１
から点火コイル１の２次側から供給される起電力により
充放電コンデンサ４３に充電された電圧を、当該端子６
１を介して印加することで、気筒内に流れるイオン電流
はイオン電流検出装置４によって検知され、この検知結
果をエンジン制御部６に入力している。

【０００７】ここで一般的な点火コイル装置には、ON点
火防止のためのON点火防止ダイオードが取り取りつけら
れる。周知の通り、ON点火とはイグナイタ信号ON時の電
流の立ち上がり時に点火コイル１の１次電流の変化によ
り起電力が生じて、２次出力に出力電圧が生じて早期着
火してしまう現象である。ここで、上述した図３に示す
ような低圧側接続装置では、点火コイル１の２次側と点
火プラグ３との間にON点火防止ダイオードを配置するこ
とになるが、当該ON点火防止ダイオードを取りつけると
イオン電流の放電経路が無くなりイオン電流が検出でき
ないものとなってしまう。そこで、ON電圧防止抵抗４１
を備えてによりON点火の抑制を行なっている。この対策
として図５に示すような点火装置が提案されている。

【０００８】図５の高圧側接続の点火装置において、図
３に示した低圧側接続装置と同様に、昇圧トランスから
構成される点火コイル１の１次側には、パワートランジ
スタ２１からなる１次電流を遮断するイグナイタ２と、
点火コイル１の２次側の出力には点火プラグ３が接続さ
れている。図３のイオン電流検出装置４と同様に充放電
コンデンサ４３、定圧ダイオード４４、ダイオード４
５、４６、５１、５４、５５、抵抗４２、４８、オペア
ンプ４９、コンデンサ４７で構成さている。ここでダイ
オード５４はON点火防止ダイオードとなっている。前記
図３の低圧側接続の点火コイル装置との違いは点火コイ
ル１の２次出力側にON点火防止のON点火防止ダイオード
５4が接続され、充放電コンデンサ４３の充電を１次コ
イルのエネルギによって充電を行ない、点火コイル１の
２次側を介さないで出力に直接印加を行いイオン電流を
検出するものとなっている。なおこのイオン電流は図３
の低圧側接続の点火装置と同様にエンジン制御部６に入
力されている。

【０００９】このイオン電流をエンジン制御部６で処理
を行うときに、放電ノイズによる誤検出を防止するた
め、放電期間のイオン電流をマスクする必要がある。そ
の方法としてエンジン制御部６で点火から設定した時間
または角度間のイオン波形を無視している。

【００１０】

【発明が解決しようとする課題】上述した図３のイオン
電流検出装置４の低圧側接続の点火装置では、点火コイ
ル１の１次電流の立ち上がりの早い点火コイル１を組み
合わせると、ON点火を防止するためにON点火防止抵抗４
１を数ＭΩといった高い抵抗値にしなければならない。
しかし、イオン電流は微小な電流であり、ON点火防止抵
抗４１によりイオン電流が妨げられ検出精度が低下する
問題がある。また、点火コイル１の放電終了時に発生す
る残留エネルギーがON点火防止抵抗４１により妨げら
る。よって放電終了時の残留エネルギーがなくなるまで
イオン電流の検出することができずイオン検出精度が低
下する。

【００１１】また、高圧側接続装置では、ON点火を防止
することはできるが、従来の低圧側接続装置と同様に、
放電終了時の２次側の残留エネルギーがなくなるまでイ
オン電流を検出することができない。

【００１２】また、エンジン制御部６で処理を行うとき
に、放電ノイズによる誤検出を防止するため、放電期間
のイオン電流をマスクする必要がある。その手段として
エンジン制御部６で点火から設定した時間または角度間
のイオン波形を無視している。この期間は放電期間を統
計的に解析しその期間を決定する必要があるが、放電期
間は各サイクル毎にばらつきが大きく、イオン電流を検
出する期間が少なくなり検出精度が低下する原因となっ
ている。

【００１３】本発明では低圧側接続装置を用いてON点火
電圧を防止すると共に、放電終了時の放電エネルギーを
速やかに除去し、各サイクル毎の放電期間を確実にマス
クすることにより、イオン電流の検出精度を向上させる
ことを目的とする。

【００１４】

【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本発明においては次のような構成とする。すなわ
ち、請求項１においては、１次側にイグナイタを備え、
２次側に点火プラグを配置する点火装置において、前記
２次側にイオン電流を検出するイオン電流検出装置が備
えられ、当該イオン電流検出装置がイオン電流検知部
と、電流−電圧変換回路と、放電期間マスク回路とから
構成され、当該イオン電流検出装置からの出力がエンジ
ン制御部６に入力されることを特徴としたイオン電流検
出装置を備えた内燃機関の点火装置とする。

【００１５】請求項２においては、イオン電流検知部
に、イオン電流を流す充放電コンデンサと、当該充放電
コンデンサの充電電圧を任意設定できる定圧ダイオード
と、ON点火防止ダイオードと、前記充放電コンデンサか
らの電流の放電の抑制を行う放電電流抑制抵抗と、充放
電コンデンサとグランド間の充電経路用とイオン電流経
路用とを並列接続したダイオードと、前記１次側と接続
がなされるダイオードとから構成されたことを特徴とす
る請求項１に記載のイオン電流検出装置を備えた内燃機
関の点火装置とする。

【００１６】請求項３においては、放電期間マスク回路
がコンパレータと、当該コンパレータの出力により駆動
するスイッチング素子と、前記コンパレータの基準電位
を作る電源とから構成され、基準値以下のイオン電流を
マスクすることを特徴とする請求項１に記載のイオン電
流検出装置を備えた内燃機関の点火装置とする。

【００１７】

【作用】この発明においては、低圧側接続の点火装置を
用いて点火コイル１のON電圧を防止し、放電終了時の残
留エネルギーを速やかに除去し、また各サイクル毎の放
電期間を確実にマスクすることにより、イオン電流の検
出精度を向上することができる。

【００１８】

【実施例】本発明の実施例を図１に示し説明する。図１
において、昇圧トランスから構成される点火コイル１の
１次側には、１次電流を切断するイグナイタ２と後述の
イオン電流検出装置４が接続されている。当該イグナイ
タ２は点火信号Ｓを受けてスイッチング動作を行うスイ
ッチング部２１から構成されている。また当該点火コイ
ル１の２次側の一方の端子６２には点火プラグ３が、他
方の端子６１にはイオン電流検出装置４が２次コイルの
低圧側になるようにそれぞれ接続され、イオン電流検出
装置４の出力はエンジン制御部６に接続されている。こ
こで点火コイル１の２次出力は＋方向となっている。

【００１９】前記イオン電流検出装置４は、イオン電流
検知部８と電流−電圧変換回路５０、放電期間マスク回
路７とから構成されている。前記イオン電流検知部８
は、イオン電流を流す充放電コンデンサ４３と、当該充
放電コンデンサ４３の充電電圧を任意設定できる定圧ダ
イオード４４、ON点火防止ダイオード５４、点火コイル
１の点火時の充放電コンデンサ４３からの電流の放電の
抑制を行う放電電流抑制抵抗５３、充放電コンデンサ４
３とグランド間の充電経路用とイオン電流経路用とを並
列接続したダイオード４５、４６と、前記１次側と接続
がなされるダイオード５１と抵抗５２とから構成されて
いる。

【００２０】前記電流−電圧変換回路５０は、イオン電
流の検知結果が出力される低圧ダイオード４４とダイオ
ード４６との接続部にコンパレータ４９の反転入力部が
接続され、この否反転入力部がアースに、この出力が放
電期間マスク回路７にそれぞれ接続され、前記反転入力
部と出力との間には、並列接続の抵抗４８とコンデンサ
４７が配置されている。

【００２１】また、放電期間マスク回路７は、前記コン
パレータ４９の出力部に接続されるコンパレータ６４と
スイッチング素子６５から構成され、具体的には、電流
−電圧変換回路５０からの出力がコンパレータ６４の反
転入力部に接続され、この否反転入力部が抵抗６１を介
して直接アースに接続されると共に、直列接続の抵抗６
０と電源６３とを介してアースに接続されている。ま
た、当該コンパレータ６４の出力はスイッチング素子６
５のベースに接続され、このコレクタはアースに、エミ
ッタは前記エンジン制御部６に接続されている。また前
記コンパレータ４９の出力は抵抗６２を介して直接エン
ジン制御部６に接続されている。ここで、前記スイッチ
ング素子６５はコンパレータ６４の出力により駆動し、
当該コンパレータ６４は基準電位を作成している電源６
３と電流−電圧変換回路５０との状態に応じて動作を決
定している。

【００２２】次に上述した点火装置の動作について図２
の波形図を基に説明する。イグナイタ２のベースに信号
波形とするパルス波形ａが供給され、前記パルス波形が
立ち下がった時に点火コイル１の２次側に高圧が発生
（２次電圧ｂ波形）し、この高圧によって点火プラグ３
が点火し、内燃機関の各気筒内の混合気が燃焼する。こ
のとき燃焼ガスにイオンが含まれており、このイオンは
イオン電流検出装置４より検出（イオン出力ｃ波形）さ
れる。すなわち、イオンを含む燃焼ガスに、点火コイル
１の１次から供給される逆起電力により、あらかじめ充
放電コンデンサ４３に充電された電圧を加することで流
れるイオン電流を電流−電圧変換回路５０で電圧に変換
を行ないエンジン制御部６へ入力している。

【００２３】ここで点火プラグ３が点火し、放電してい
る間、点火コイル３の１次の逆起電力で充放電コンデン
サ４３に蓄えらた電荷が少なくなり、燃焼領域で十分な
電圧を印加することができず、イオン電流を検出するこ
とができない。ここで充放電コンデンサ４３の放電電流
抑制抵抗５３を追加することにより、点火プラグ３の放
電時の充放電コンデンサ４３からの放電電流を抑制する
ことができる。

【００２４】放電電流出抑制抵抗５３は低圧側接続装置
のON点火防止抵抗４１に比べはるかに小さい値数ＫΩで
ある。また、放電エネルギーは充放電コンデンサ４３に
より除去することができる。

【００２５】また、放電期間マスク回路７は、放電電流
抑制抵抗５３の値を、放電時に流れる電流を燃焼時に流
れるイオン電流より大きな値となるように調節を行い、
コンパレータ６４にて放電期間を検出し、トランジスタ
６５にてイオン電流のマスクを行う。その結果各サイク
ル毎の放電期間を確実にマスクすることができ、イオン
電流の検出精度を向上することができる。なお、この放
電期間マスク回路７の場所は限定されるものではなく、
また処理方法はソフトで放電期間のマスクを行ってもよ
い。

【００２６】

【発明の効果】本発明は詳述したように、イオン電流検
出装置４において低圧側接続の点火装置を用いて、ON点
火を抑制し、放電終了時の残留エネルギーを速やかに除
去し、また各サイクル毎の放電期間を確実にマスクする
ことにより、イオン電流の検出精度を向上することがで
きる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の実施例とする点火装置の回路図を示す

【図２】図１の各点における動作波形を示す

【図３】従来の点火装置の低圧側接続の点火装置を示す

【図４】図３の各点における動作波形を示す

【図５】従来の点火装置の高圧側接続の点火装置を示す

【符号の説明】

図において同一符号は同一、又は相当部分を示す。 １ 点火コイル ２ イグナイタ ２１ パワートランジスタ ３ 点火プラグ ４ イオン電流検出装置 ４１ ON点火防止抵抗 ４３ 充放電コンデンサ ４４ 低圧ダイオード ５０ 電流−電圧変換回路 ５３ 放電電流抑制抵抗 ５４ ON点火防止ダイオード ６ エンジン制御部 ６１，６２ 端子 ７ 放電期間マスク回路 ８ イオン電流検知部

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 １次側にイグナイタを備え、２次側に点
   火プラグを配置する点火装置において、前記２次側にイ
   オン電流を検出するイオン電流検出装置が備えられ、当
   該イオン電流検出装置がイオン電流検知部と、電流−電
   圧変換回路と、放電期間マスク回路とから構成され、当
   該イオン電流検出装置からの出力がエンジン制御部６に
   入力されることを特徴としたイオン電流検出装置を備え
   た内燃機関の点火装置。
2. 【請求項２】 イオン電流検知部に、イオン電流を流す
   充放電コンデンサと、当該充放電コンデンサの充電電圧
   を任意設定できる定圧ダイオードと、ON点火防止ダイオ
   ードと、前記充放電コンデンサからの電流の放電の抑制
   を行う放電電流抑制抵抗と、充放電コンデンサとグラン
   ド間の充電経路用とイオン電流経路用とを並列接続した
   ダイオードと、前記１次側と接続がなされるダイオード
   とから構成されたことを特徴とする請求項１に記載のイ
   オン電流検出装置を備えた内燃機関の点火装置。
3. 【請求項３】 放電期間マスク回路がコンパレータと、
   当該コンパレータの出力により駆動するスイッチング素
   子と、前記コンパレータの基準電位を作る電源とから構
   成され、基準値以下のイオン電流をマスクすることを特
   徴とする請求項１に記載のイオン電流検出装置を備えた
   内燃機関の点火装置。