JP2002180228A - 溶融Al−Zn系合金めっき鋼材およびその製造方法 - Google Patents

溶融Al−Zn系合金めっき鋼材およびその製造方法

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Akira Taniyama
明 谷山
Masahiro Arai
正浩 荒井
Masahiko Hori
雅彦 堀
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 厳しい成形に耐えうる優れた密着性を有する
溶融Al-Zn 系合金めっき鋼材およびその製造方法を提
供する。 【解決手段】 質量%でAl を10〜90%含有する溶融A
l-Zn 系合金めっき皮膜を備え、めっき皮膜と母材との
界面に、体心立方格子を有し、主としてFeとAl から
なる規則構造層を備える。規則構造層は面積%で10%以
上が望ましい。上記鋼材は、表面にフェライト相を有す
る母材を、Al を10〜90%含有する溶融Al-Zn めっき
浴に0.1 〜5 秒浸漬し、引き上げて付着量を調整し、v
= [Tp/(60 −t)]+ (Tp −Tm)/10 で求められるv
(℃/秒)以上の冷却速度で冷却して製造するのがよ
い。ただし、Tm:めっき浴の融点(℃)、Tp:めっき浴
の温度(℃)。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、自動車、家電製
品、建材などの材料として好適な、めっき層の密着性が
優れ、良好な加工性を示す溶融Al-Zn 系合金めっき鋼
材とその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】質量%で(以下、化学組成を表す%表示
は質量%を意味する)Al を25〜70%と、Al 量の
0.5〜5.0%のSi を含有し、残部はZn と不可避
的不純物からなるめっき層を有する溶融アルミニウム−
亜鉛(以下、単に「Al-Zn 」と記す)合金めっき鋼板
は、溶融亜鉛めっき鋼板に比べて数倍の高い耐食性があ
り、溶融アルミニウムめっき鋼板並の耐熱性や熱反射性
を備え、しかも、溶融アルミニウムめっき鋼板にはない
端面の耐食性も併せ持っている。
【0003】このような鋼板の代表例としてAl :55
%、Si :1.6%を含有するAl-Zn 系合金めっき鋼
板がある。この鋼板は、その優れた耐食性から、屋根材
や壁材などの建材製品、ガードレール、配線配管や防音
壁などの土木製品、自動車の排気系統、電気洗濯機、電
子レンジなどの家電製品などの用途に急速に普及しつつ
ある。
【0004】しかし、溶融Al-Zn 系合金めっき鋼板
は、めっき層の加工性が必ずしも十分ではなく、例えば
曲げ加工の曲率半径が小さくなるとめっき層に割れを発
生し、その部分の耐食性が低下する場合がある。めっき
層の加工性が必ずしも十分ではないのは以下の理由によ
る。
【0005】めっき層の合金組成はZn に対するAl の
過共晶合金であるため、その凝固組織は、Al に富んだ
初晶デンドライドの間にZn に富んだ相が凝固するとい
う不均質な組織になる。これが急速冷却されて生じるの
で、めっき層の組織には残留歪みが多くなり、加工性を
損なう。
【0006】また、母材との界面においては、溶融めっ
き層のAl がFe と反応してAl-Fe 合金を作る。通常
はめっき浴にSi を含有させてこの反応を抑制するが、
Siによる抑止効果は十分ではなく、Al-Fe やAl-Fe
-Si などの金属間化合物を主とする層が母材とめっき
皮膜との界面に形成される。これらの化合物は極めて脆
いため、めっき層の加工性を損なう原因となる。さら
に、めっき浴温度が凝固点に近くなると、固溶限を超え
たSi はデンドライド間で針状の硬い金属結晶Si とし
て沈殿し、めっき皮膜が変形する際の亀裂の起点とな
り、めっき皮膜の加工性を損なう。
【0007】このような問題を解決するために、特開平
9−256132号公報には、めっき層にMo 、W、N
b 、Ta 、V、Cr などの元素を含有させ、めっき後1
50〜350℃に加熱してめっき皮膜の加工性を向上さ
せた溶融Al-Zn 合金めっき鋼板とその製造方法が提案
されている。しかしながら、この方法はめっき皮膜を軟
質にすることによりめっき皮膜の加工性を向上させるも
のであり、上述したようなめっき皮膜と母材との界面で
の、極めて脆い性質を示す金属間化合物の生成を抑制す
るものではない。このため、母材に対するめっき皮膜の
密着性改善効果は十分ではない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上記
のような溶融めっき鋼材の母材に対するめっき皮膜の密
着性を改善し、厳しい成形に耐えうる優れた密着性を有
する溶融Al-Zn 系合金めっき鋼材およびその製造方法
を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは溶融Al-Z
n 系合金めっき皮膜の密着性について、高分解能透過型
電子顕微鏡を用いて、母材表面近傍の結晶学的形態との
関係を中心に、詳細な研究を重ねた。その結果、溶融A
l-Zn 系合金めっき鋼材においては、母材の表面近傍
に、体心立方(bcc) 格子を有し、主にFe とAl 原子に
よって構成される規則構造を呈する層が存在すると、そ
の上のめっき皮膜との間に優れた密着性が得られること
を知った。
【0010】この規則構造は、αFe の結晶構造である
体心立方格子の体心位置にAl 原子が置換して固溶し
た、いわゆるB2 規則格子を形成している場合が多い。
規則固溶体の規則的に配列した原子は、温度の上昇と共
にランダムに配列するようになり、規則−不規則変態を
起こすといわれている。溶融するまで規則配列を保って
いる固溶体は金属間化合物として規則固溶体とは区別さ
れている。溶融めっき鋼材において母材のめっき界面に
このような規則構造が存在することは、従来、認められ
ていなかったものである。
【0011】この規則構造(置換型規則固溶体)は、め
っき皮膜との境界面に、厚さが1μm前後の平面状か、
または島状に点在して分布している(以下、これらを合
わせて単に「規則構造層」とも記す)。このような規則
構造は、X線あるいは電子回折パターンにおける規則格
子反射の解析により決定される。高分解能電子顕微鏡に
より原子配列を直接観察することでも確認可能である。
【0012】母材表面の規則構造層がめっき皮膜間の密
着性を向上させる機構については明確ではないが、この
ような規則構造を持つ層が鋼板表面に存在する場合、め
っき皮膜形成の際に生成し、極めて脆い性質を示す、前
述のAl-Fe やAl-Fe-Si金属間化合物の成長を抑止
し、粗大な合金層が形成されないため、密着性が向上す
るものと思われる。
【0013】母材表面にこのような規則構造層が出現す
る機構については明確ではないが、めっき浴中に含まれ
る元素(Zn 、Al など)がめっき時に母材内に拡散
し、母材を構成するFe 原子と置換することにより生じ
るものと考えられる。
【0014】母材表層部の規則構造層は、めっき浴に浸
漬している間に形成される。かつ、めっき時の浴Al濃
度、めっき浴温度などの最適化により、母材表層部での
規則構造層の生成を促進させることができる。
【0015】Fe 、Al などからなる規則構造層を形成
するAl 源としては、めっき浴に含有されるAl でよ
い。めっき皮膜の密着性を確保するには、めっき浴浸漬
時に規則構造層を発生させると共に、生じた規則構造層
がその後の工程でランダム配列化(不規則化)しないよ
うにする必要がある。
【0016】不規則化は高温で進行する。従って、めっ
き浴温度を過度に高くした場合、めっき浴への浸漬時間
を過度に長くした場合、あるいはめっき後の冷却速度を
過度に小さくした場合などでは不規則化が加速される。
また、これらの要因は相互に関連して不規則化に影響す
る。
【0017】溶融Al-Zn めっきではめっき合金の融点
が高いため、溶融Zn めっきに比較するとめっき浴温度
が高い。このため、めっき浴への浸漬時間を短くし、め
っき後の冷却速度を速くしないと、めっき直後に生成さ
れる規則構造層のAl 濃度が上昇し、FeAl3 、Fe2
l5などの極めて脆い金属間化合物に変化する。その結果
得られるめっき皮膜の密着性が損なわれる。
【0018】従って溶融Al-Zn めっきを施す際には、
めっき浴温度、浸漬時間、およびめっき後の冷却速度を
適正に制御する必要がある。すなわち、めっき後は、浸
漬時間(t、単位:秒)、めっき浴の融点(Tm 、単
位:℃)およびめっき浴温度(Tp 、単位:℃)から下
記式で計算されるv(単位:℃/秒)以上の冷却速度で
冷却するのがよい。 v=[Tp/(60−t)]+(Tp−Tm)/10 上記式は、本発明者らの研究結果に基づいて経験式とし
て求めたものであり、めっき浴温度が高い場合や浸漬時
間が長い場合は、冷却速度を高くして高温領域での滞留
時間を短くするのがよいことを意味している。
【0019】本発明はこれらの知見を基にして完成され
たものであり、その要旨は下記(1)、(2)に記載の
溶融めっき鋼材および(3)に記載のその製造方法にあ
る。 (1)母材表面に、質量%でAl を10%以上、90%
以下含有する溶融Al-Zn 系合金めっき皮膜を備えた溶
融めっき鋼材であって、めっき皮膜と母材との界面領域
に、体心立方格子を有し、主としてFe 原子とAl 原子
とによって構成される規則構造を呈する層を備えたもの
であることを特徴とする溶融Al-Zn 系合金めっき鋼
材。
【0020】(2)規則構造を呈する層の存在比率が、
面積率で母材表面の10%以上であることを特徴とする
上記(1)に記載の溶融Al-Zn 系合金めっき鋼材。 (3)少なくとも表面にフェライト相を有する母材を、
質量%でAl を10%以上90%以下含有する溶融Al-
Zn めっき浴に0.1秒以上、5秒以下浸漬した後、引
き上げて付着量を調整し、下記式で求められるv(℃/
秒)以上の冷却速度で冷却することを特徴とする上記
(1)または(2)に記載の溶融めっき鋼材の製造法; v=[Tp/(60−t)]+(Tp−Tm)/10 ただし、t:めっき浴浸漬時間(秒)、 Tm:めっき浴の融点(℃)、 Tp:めっき浴温度(℃)。 なお、Tm は、状態図における液相線の温度である。
【0021】
【発明の実施の形態】以下に本発明の実施の形態を詳細
に説明する。母材:母材とめっき皮膜との界面に規則構
造層を介在させるために、境界領域、つまり、めっき皮
膜下の母材表層部に規則構造層を設ける。そのためには
母材は少なくともその表面にフェライト相を有する鋼で
あればよく、例えば、極低C鋼、低C鋼などの絞り加工
用軟鋼、あるいは各種の高張力鋼などを用いることがで
きる。フェライト相とオーステナイト相を有する残留オ
ーステナイト鋼、フェライト相とベーナイト相、あるい
はフェライト相とマルテンサイト相などからなる複合組
織鋼などでも構わない。フェライト相の比率は面積%で
10%以上であるのが望ましい。
【0022】母材の形態は、鋼板、鋼管、形鋼、条鋼、
線材など任意である。鋼板でいえば、冷間圧延鋼板、熱
間圧延鋼板、厚鋼板などいずれでもよい。めっき後の母
材表層部の規則構造層:めっき鋼材のめっき皮膜下の母
材表層部、つまり境界領域には、主としてFe 原子とA
l 原子により構成される規則構造層が存在しているもの
とする。「主として」との意味は、この規則構造層の組
成は主にFe 原子とAl 原子であるが、Al の他に、添
加元素あるいは不純物としてのZn 、Si 、Pなどが少
量混入しているものであっても構わないことを意味す
る。
【0023】本発明の規則構造層は、透過電子顕微鏡を
用いて、めっき皮膜/鋼板界面を含む断面を観察し、母
材側の界面領域から得られた電子回折図形を解析するこ
とで確認できる。例えば、母材が体心立方構造を示す鋼
表面に本発明の規則構造を持つ層が存在する場合、母材
の<110> 方向からの電子回折図形には[110] 、[200]、
[112] などの結晶面からの回折斑点が見られるが、母材
表面付近からの電子回折図形にはこれらに加えて[100]
面からの回折斑点を確認することができ、規則構造を呈
していることを確認できる。
【0024】規則構造層が存在すればめっき皮膜の密着
性が向上するが、より優れた密着性を得るには、母材表
面に対する規則構造層の被覆率が、めっき皮膜を備えた
母材表面に対する面積率で(以下、規則構造層を表す%
表示は上記面積率を意味する)10%以上であるのが望
ましい。より望ましくは50%以上、さらに望ましくは
80%以上である。
【0025】上記被覆率は、規則構造層の存在が確認さ
れた鋼板についてオージェ電子分光装置によるAl およ
びFe 元素によるマッピング分析(面分析)をおこな
い、規則合金層であると確認された領域の面積率から求
めることができる。
【0026】めっき皮膜の化学組成; Al :Al は規則構造層を形成するAl 源として含有さ
せるが、さらに、耐食性、耐熱性、あるいは熱反射性を
向上させる作用があり、これらの効果を得るためにも含
有させる。その含有量が10%に満たない場合には上記
効果が少ないので、Al 含有量は10%以上とする。好
ましくは40%以上、より好ましくは50%以上であ
る。
【0027】Al 含有量が90%を超えるとZn 含有量
が少なくなりすぎて、犠牲防食作用が不足するのでよく
ない。このためAl 含有量は90%以下とする。より望
ましくは60%以下である。
【0028】残部は実質的にZn とする。「実質的に」
とは、Al-Zn 系合金めっきの際の金属間化合物の生成
を抑制し、耐熱性を向上させるために、Si を0.5%
以上、5%以下、めっき皮膜の耐食性能をさらに向上さ
せるためにMg を0.5%以上、5%以下、さらにはミ
ッシュメタルを0.5%以上、5%以下含有させても構
わないことを意味する。上記範囲であれば、これらの元
素の1種以上をめっき皮膜に含有させても、溶融めっき
時に上記規則構造を導入するのに何ら支障がなく、十分
な密着性改善効果が得られるからである。
【0029】めっき付着量:特に制限されないが、耐食
性を発揮させるために、めっき面当たりで20g/m2
以上とするのが望ましい。めっき後の製品表面には、公
知のクロム酸処理、リン酸塩処理などの後処理を施して
も構わない。
【0030】製造方法;本発明のめっき鋼材の好ましい
製造方法を、母材として鋼板を用いる場合を例として以
下に説明する。
【0031】前処理:母材は、脱脂、酸洗などの公知の
方法によりその表面を清浄にする。その後、母材が焼鈍
を必要とする場合には、常法により還元性雰囲気中で焼
鈍を施し、その後めっき浴温度近傍まで冷却して溶融め
っき浴に浸漬する。焼鈍を必要としない場合には常法に
よりめっき浴温度近傍まで加熱し、溶融めっき浴に浸漬
して溶融めっきを施す。
【0032】溶融めっきは公知の連続式溶融めっき設備
を利用して施すのが好適であるが、バッチ処理方法な
ど、従来用いられている他の方法を用いても良い。めっ
き浴の化学組成は所望のめっき皮膜の組成に合わせれば
よい。
【0033】めっき浴温度(Tp 、単位:℃)は、めっ
き浴の融点(状態図における液相線)を下限とするが、
めっき作業を安定しておこなうために、めっき浴の融点
+30℃以上とするのが望ましい。めっき浴温度を過度
に高くすると、めっき浴と母材との間での合金化反応が
過剰に進行し、密着性を損なう。これを避けるためにめ
っき浴温度は650℃以下とするのが望ましい。
【0034】めっき浴への浸漬時間は0.1秒以上、5
秒以下とする。浸漬時間が0.1秒に満たない場合には
規則構造の形成が十分ではなく、5秒を超えると生産能
率が低下するのでよくない。めっき浴から引き上げた後
は、ガスワイピングなど公知の方法で付着量を調整し、
常温まで冷却する。
【0035】Al を10%以上含有するめっき浴はZn
めっきなどに比較すると高温であるので、めっき付着量
を調整した後は、非規則化を防止するために、8℃/秒
以上、かつ、前記式で求められるv(℃/秒)以上の冷
却速度で、少なくとも300℃以下まで冷却する。さら
に望ましくは50℃/秒以上の冷却速度で冷却する。上
記以外は公知の条件によればよい。
【0036】
【実施例】JIS−G3141に規定されているフェラ
イト相からなる低炭素鋼の、厚さ:0.8mm、幅:2
00mmの冷延鋼帯を母材とし、これを10%水酸化ナ
トリウム水溶液中で脱脂した後、溶融めっきシミュレー
タを用いて、水素ガスを10体積%、残部が窒素ガスか
らなり、露点が−30℃以下である雰囲気中で800℃
に加熱し、60秒間保持する再結晶焼鈍を施し、めっき
浴温度近傍まで冷却して溶融めっき浴に浸漬し、引き上
げてガスワイピング法で付着量を片面あたり(50±1
0)g/m2 に調整し、その後種々の冷却速度で常温ま
で冷却した。めっき浴のAl 濃度は種々変更した。
【0037】得られた鋼板の性能を以下の方法で評価し
た。 規則構造の確認:電子顕微鏡観察用のめっき鋼板断面試
料は、集束イオンビーム加工装置を用い、めっき皮膜/
母材界面を含む断面の約15ミクロン×15ミクロンの
領域を、観察可能な約100nm(ナノメータ)の厚さま
で薄片化した。透過電子顕微鏡を用いて母材側界面の選
択領域から電子回折図形を収集し、母材界面領域の回折
図形上に体心立方格子の規則格子回折斑点([100] 、[1
11] 、[210] など)が存在するか否かで、規則構造層の
有無を判断した。観察は1サンプルにつき10以上の視
野についておこなった。
【0038】上記観察により規則構造が確認された鋼板
については、オージェ電子分光装置を用いて、Al およ
びFe 元素によるマッピング分析をおこない、規則構造
であると確認された領域の面積率を調査した。
【0039】めっき皮膜の密着性:各めっき鋼板から長
さ100mm、幅15mmの曲げ試験片を採取し、内側曲げ
半径を1.0mmとする180°曲げ加工を施し、曲げ
部分に粘着テープを貼り付けた後に引き剥がし、めっき
皮膜の剥離片が付着している部分の面積率を下記の基準
で目視判定してめっき皮膜の密着性を評価した。 ◎:全く剥離なし、 ○:10%未満、 △:30%未満、 ×:30%以上。
【0040】表1に、めっき皮膜の化学組成、規則構造
層の被覆率および密着性試験結果を示す。
【0041】
【表1】
【0042】表1に示すように、鋼板母材表面に規則構
造層を備えたものはめっき皮膜の密着性が良好であっ
た。規則構造層の被覆率が80%以上であった場合には
特に優れた密着性を示した。これに対し、製造条件が好
ましくないために規則構造層が生じなかった試験番号1
5、16では規則構造層が生成せず、密着性はいずれも
よくなかった。
【0043】
【発明の効果】本発明の溶融めっき鋼材は加工時のめっ
き密着性、耐パウダリング性、低温対衝撃耐久性に優れ
るので自動車、家電製品、建材などに用いられる防錆性
に優れた鋼材として好適である。また、本発明の鋼材は
現状の設備で製造条件を特定範囲に制限することで、効
率よく、かつ、製造コスト面でも安価な方法で、製造す
ることができるので、極めて有用である。
フロントページの続き (72)発明者 堀 雅彦 大阪府大阪市中央区北浜4丁目5番33号 住友金属工業株式会社内 Fターム(参考) 4K027 AA05 AA22 AB02 AB09 AB28 AB44 AB48 AC02 AC12 AC52 AE03

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 母材表面に、質量%でAl を10%以
    上、90%以下含有する溶融Al-Zn 系合金めっき皮膜
    を備えた溶融めっき鋼材であって、めっき皮膜と母材と
    の界面領域に、体心立方格子を有し、主としてFe 原子
    とAl 原子とによって構成される規則構造を呈する層を
    備えたものであることを特徴とする溶融Al-Zn 系合金
    めっき鋼材。
  2. 【請求項2】 規則構造を呈する層の存在比率が、面積
    率で母材表面の10%以上であることを特徴とする請求
    項1に記載の溶融Al-Zn 系合金めっき鋼材。
  3. 【請求項3】 少なくとも表面にフェライト相を有する
    母材を、質量%でAl を10%以上90%以下含有する
    溶融Al-Zn めっき浴に0.1秒以上、5秒以下浸漬し
    た後、引き上げて付着量を調整し、下記式で求められる
    v(℃/秒)以上の冷却速度で冷却することを特徴とす
    る請求項1または2に記載の溶融めっき鋼材の製造法; v=[Tp/(60−t)]+(Tp−Tm)/10 ただし、t:めっき浴浸漬時間(秒)、 Tm:めっき浴の融点(℃)、 Tp:めっき浴の温度(℃)。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2020145387A1 (ja) * 2019-01-11 2020-07-16 日鉄日新製鋼株式会社 冷却速度決定装置および情報処理プログラム
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