JP2002180205A - 鉄をベースとするアイアンヘッド用合金 - Google Patents

鉄をベースとするアイアンヘッド用合金

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JP2002180205A
JP2002180205A JP2000377113A JP2000377113A JP2002180205A JP 2002180205 A JP2002180205 A JP 2002180205A JP 2000377113 A JP2000377113 A JP 2000377113A JP 2000377113 A JP2000377113 A JP 2000377113A JP 2002180205 A JP2002180205 A JP 2002180205A
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iron
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Shika Cho
志▲華▼ 趙
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O Ta Precision Industry Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 特に低密度で、伸び性に優れ、高い防錆効果
を有し、更に、鍛造表面の特性に優れた鉄をベースとす
るアイアンヘッド用合金を提供する。 【解決手段】 重量%で、Mn:25〜31%、Al:
6.3〜7.8%、C:0.65〜0.85%、Cr:
5.5〜9.0%及び残部はFeから成る合金であっ
て、前記合金に800℃〜1050℃の温度で熱間鍛造
を行うことによって、表面特性が向上されると共に、表
面粗さが3μm以下になることを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、特に低密度で、伸
び性に優れ、高い防錆効果を有し、更に、鍛造表面の特
性に優れた鉄をベースとするアイアンヘッド用合金に関
するものである。
【0002】
【従来技術とその課題】図1に示すように、現在のアイ
アンヘッドの製造方法には、精密ロストワックス鋳造法
及び鍛造加工法の二種類があり、他の方法としては、表
面メッキ加工(例えば、ニッケル、コバルト、ダイアモ
ンドなど)或いは嵌め付け加工などがある。全体的にみ
ると、精密ロストワックス鋳造法はコストが低く、鍛造
加工法は多方面で優れている。そして、精密ロストワッ
クス鋳造法及び鍛造加工法によりアイアンヘッドを製造
するための合金の機械的性質は、図2に示す通りであ
る。
【0003】現在のアイアンヘッドは、如何にして正確
な打撃を行うかなどを考慮して設計されたものであり、
その幾つかについて説明する。 1.ヘッドの大型化:一般にウッドクラブのヘッドの体
積は280cm3〜310cm3の間であるが、350cm3
達するものもあり、オーバーサイズのアイアンヘッドも
ある。それらの目的は、打撃面を大きくし、打撃の成功
率を高めると共に、飛距離を延ばすことである。 2.重心が低い:現在の最新技術では、重心を低くする
ことにより、打撃面を正確に打撃すると共に、捩じれ慣
性を増加させ、飛距離を延ばすことができる。 3.空気抵抗が低く、打撃面が強圧する:安定的にスイ
ングし、打撃面を正確に打撃すると共に、捩じれのエネ
ルギーの損失を防ぐために、最近ではコンピュータ援用
設計(CAD)によってヘッドの形状を変更することに
より、空気抵抗係数を低減させた異なる重心及び打撃面
を形成させ、そして、高圧押込み方式によってアイアン
或いはウッドの打撃面を製造する。
【0004】上述したように、重心を低くすると共に、
空気抵抗を減少させ、打撃面を強化することにより、優
れた打球点、捩じれ慣性の増加、飛距離の向上などの目
的を達成することができる。しかし、一般的にアイアン
ヘッドの設計において、形状を変更する要求が多いた
め、アイアンヘッドを製造する場合は強度、伸び性及び
耐食性に優れた合金を使用する必要があるが、現在の工
業用合金ではそれらの要求に応えることはできなく、例
えばチタン合金及び析出系ステンレス鋼は耐食性を有す
るが、伸び率及び衝撃値が理想的ではなく、また、ステ
ンレス304は伸び率40%〜60%であるが、強度が
不足している。従って、現在のところ75ksi〜85
ksiの引張強さ及び30%〜35%の伸び率を兼備す
る鍛造軟鉄S25Cの材料が最も優れたものであるが、
それも鍛造後の耐食性が十分ではない。
【0005】ゴルフクラブの規格はヘッドの重量によっ
て決まるため、若し低密度、優れた伸び率及び靱性、且
つ一定の強度を有する新素材を開発すれば、ヘッドを設
計する際の自由度を増加させることができ、打球を安定
させると共に、打撃面の厚さを抑え、更に優れた伸び率
及び靱性を達成できるので、理想的なアイアンの打撃効
果を提供することができる。また、現在のゴルフクラブ
製造業において最も優れた合金の引張強さは、鍛造軟鉄
の約1.0〜1.5倍の80ksi〜120ksiであ
り、降伏強さは約55ksi〜70ksiであり、伸び
率は40%以上であり、且つその伸び率は40%以上で
あれば高い程よく、密度は7.9g/cm3以下であり、
更に耐食性があればより好ましい。その材料を使用する
ことによって打撃性に優れたアイアンヘッド或いは中空
のアイアンヘッドを製造することができる。
【0006】また、以前より国内外においてFe−Al
−Mn系合金が専門家の間で広く研究され、合金組成を
調整することによって、Fe−Al−Mn系合金に優れ
た強度、靱性、耐低温性、耐高温性又は耐磨耗性などの
特性を持たせる知見が得られた。以下、これらの研究に
関する文献を示す。1960年 Schmatz,D.J.による
“Structure and Properties of Austentic Alloy
s Containing Aluminum and Silicon”(Trans.ASM
第52巻898ページ)、1975年 Krivonogov,
G.S.等による“Phase Trasformation Kinetics in
Steel 9G28Yu9MVB”(Phys.Met.&Metallog 第4巻
29ページ)、1978年4月 Banerji,S.K.による“A
n Anstenitic Stainless Steel Without Nickel
or Chromium ”(Met.Prog.59ページ)、1981年Ch
arles,J.等による“Phase Decomposition of Rapidl
y Solidified Fe-Mn-Al-C Austenitic Alloys”(Me
t. Prog. 71ページ)、1982年 Grcia,J.等によ
る“Development of Oxidation Resistant Fe-Mn-A
l Alloys”(Met. Prog. 47ページ)、1983年 W
ang,R.等による“New Stainless SteelWithout Nick
el or Chromium for Alloys Applications”(Met.
Prog.72ページ)、1985年 Benz,J.C.等による
“An Assessment of Fe-Mn-AlAlloys as Substitu
tes for Stainless Steels”(J.Met. 36ペー
ジ)、1981年 J.Charles.等による“New Cryogenic
Materials”(Met. Prog.71ページ)、1986年 H
am,K.H.等による“TEM Evidence of Modulated Str
ucture in Fe-Mn-Al-C Alloys”(Scripta Metall
第20巻 33ページ)、1990年 Tjong,S.C.によ
る“Electron Microscope Observationsof Phase D
ecompositions in an Austentic Fe-8.7Al-29.7Mn-
1.04C Alloy”(Mater.Char 第24巻 275ペー
ジ)、1993年 Hwang,C.N.等による“Grain Bounda
ry Precipitation in an Fe-7.8Al-1.7Mn-0.8Si-1.
0C Alloy”(Scripta Metall 第28巻 109ペー
ジ)、1990年 Liu,T.F.によるアメリカ特許第49
68357号 “Hot-Rolled Alloy Steel Plat
e”。
【0007】上述した文献の研究結果により、Fe−A
l−Mn系合金の主要成分はFe、Al、Mn、Cであ
り、その中はオーステナイト相を安定させる目的で添加
され、この時該合金は常温や低温の環境において面心立
方(Fcc)構造になり、Fe−Al系或いはFe−A
l−C系から成る合金の脆性を改善できると共に、優れ
た靱性及び加工性を持たせることができる。また、Al
は抗酸化性及び耐食性の目的で添加され、炭素は強化用
の元素を析出する目的で添加される。即ち、合金を10
50℃〜1200℃の温度で固溶化熱処理した後、急速
的に焼入れ処理を行って、450℃〜750℃の温度で
焼時効処理を行い、それにより、該焼入れ処理時には合
金が単一オーステナイト相になり、時効処理時には先ず
微細(Fe,Mn)3AICxκ相の炭化物を均一にベー
ス内で析出する。更に、成分により長時間に亘り時効処
理を行った後、結晶界面においてγ→α+β−Mn或い
はγ→α+β−Mn+κ相などの相変化反応が起こり、
この結晶界面における粗大なβ−Mn析出物が材料の伸
び性を低下させることによって、オーステナイトベース
においてκ相の炭化物を均一に発生させ、粗大なβ−M
n析出物を結晶界面に存在させないことは、Fe−Al
−Mn−C系合金に優れた強度及び靱性を持たせるため
の重要な条件である。
【0008】上述したように、Fe−Al−Mn系合金
の主要成分範囲は、Fe、Al5%〜12%、Mn20
%〜35%及びC0.3%〜1.3%であり、固溶化、
焼入れ及び時効処理を行った後、合金の成分により引張
強さの範囲は80ksi〜200ksiになり、降伏強
さの範囲は60ksi〜180ksiになり、伸び率の
範囲は62%〜25%になる。その例としては、図3及
び図4に示す比較表であり、それらは過去に研究された
典型的なFe−Al−Mn系合金の成分及び機械的性質
を比較したものである。
【0009】また、本発明者はかつて、Fe−Al10
%−Mn30%−C1%系合金及びFe−Al10%−
Mn30%−C0.8%系合金に関する研究分析を行
い、その結果、Fe−Al10%−Mn30%−C1%
系合金を1100℃の温度で0.5〜2Hr熱処理すれ
ば、硬度値がHRb82.7〜88.9の範囲になり、
引張強さの値が111ksi〜124ksiの範囲にな
り、降伏強さの値が79.7ksi〜97ksiの範囲
になり、伸び率が58.9%〜63.3%の範囲になる
ことが分かった。また、この場合の結晶粒径(d)と引
張強さ(σ)とのHall−Petchの関係式はσ=
68.72+21.2×d-0.46によって表すことがで
きる。更に、高濃度の塩水を48時間噴射する塩水噴霧
試験では耐食性が悪いという結果が出た。また、熱加工
温度を1050℃〜1200℃にして熱間鍛造加工した
後の材料の表面粗さはRa=3.1〜5.9μmであっ
た。
【0010】図5はFe−Al−Mn系合金を熱処理し
た後の金相図であり、図6はFe−Al−Mn系合金を
熱間鍛造加工した後の金相図である。
【0011】Fe−Al8%−Mn30%−C0.8%
系合金を1100℃の温度で0.5〜2時間熱処理した
場合、引張強さは110ksi〜120ksiの範囲で
あり、Fe−Al10%−Mn30%−C1%系合金と
はあまり差が無く、伸び率も58.5%〜64.7%の
範囲に維持され、単に降伏強さの値のみが71.1ks
i〜83.1ksiと変化が大きかった。また、この場
合の結晶粒径(d)と引張強さ(σ)とのHall−P
etchの関係式は、σ=69.25+23.6×d
-0.45であり、高濃度の塩水を48時間噴射する塩水噴
霧試験では耐食性が悪いという結果が出た。また、熱加
工温度を1050℃〜1200℃にして熱間鍛造加工し
た後の材料の表面粗さはRa=3.2〜5.7μmであ
った。
【0012】本発明の目的は上記の事情に鑑み、低密度
(密度6.78〜7.05g/cm3の間)及び優れた伸び
性(伸び率65%以上)を具備し、引張強さの値が80
ksi〜120ksi、降伏強さが55ksi〜70k
siの範囲であり、且つ耐食性を有する素材を提供する
ことによって、アイアンヘッドの製造に要求される優れ
た強度、伸び性、防錆性及び鍛造加工性に対応すること
ができる。更に、前記目的を達成するために、本発明の
合金は鉄以外にMn25%〜31%、Al6.3%〜
7.8%、C0.65%〜0.85%及びCr5.5%
〜9.0%から成り、Si0.8%〜1.5%及びTi
2.0%〜5.0%又はMo0.5%〜1.0%が添加
されてもよい。該添加されたCr、Ti、Moは共に優
れた耐空気侵食性を有すると共に、800℃〜1050
℃で熱間鍛造加工ができるので、優れた表面性質を得る
ことができ、980℃〜1080℃の温度で1〜24H
r熱処理を行えば、優れた伸び性及び引張強さを得るこ
とができる。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明は、重量%で、M
n:25〜31%、Al:6.3〜7.8%、C:0.
65〜0.85%、Cr:5.5〜9.0%及び残部は
Feから成る合金であって、前記合金に800℃〜10
50℃の温度で熱間鍛造を行うことによって、表面特性
が向上されると共に、表面粗さが3μm以下になる鉄を
ベースとするアイアン用合金、を提供する。
【0014】以下、添付図面を参照して本発明の好適な
実施の形態を詳細に説明する。
【0015】
【発明の実施の形態】図7は本発明の実施例及び比較例
に係わる合金の成分表であり、図8は本発明の実施例及
び比較例に係わる合金特性の比較表(1)であり、図9
は本発明における引張強さ、降伏強さ及び伸び率と熱処
理時間との関係を示す線図(1)であり、図10は本発
明の合金特性の比較表(2)であり、図11は本発明に
係わる合金の引張強さ、降伏強さ及び伸び率と熱処理時
間との関係を示す線図(2)であり、図12は本発明に
係わる合金の熱間鍛造温度と表面粗さとの関係を示す線
図である。
【0016】本発明は、低密度及び優れた伸び性を具備
するアイアンヘッド用合金に関し、主要な元素の組成成
分はFe、Mn、Al、C、Crであり、その中にS
i、Ti、Moも添加される。更に、それらの含有量は
重量%で、Mn成分が25%〜31%、Al成分が6.
3%〜7.8%、C成分が0.65%〜0.85%、C
r成分が5.5%〜9.0%、Si成分が0.8%〜
1.5%、Ti成分が2.0%〜5.0%、Mo成分が
0.5%〜1.0%であり、残部はFe成分より成る。
【0017】図7に示すように、本発明の鉄をベースと
するアイアンヘッド用合金に係わる実施例はNo.1〜
No.10であり、No.11〜No.15は比較例で
ある。
【0018】また、図8及び図10からも分かるよう
に、Fe−Mn26.50%−Al6.85%−C0.
69%−Cr5.67%から成るNo.1の合金を10
30℃の温度で2時間熱処理した場合、その機械的性質
である引張強さの値は105ksiであり、降伏強さの
値は62.3ksiであり、伸び率は68.5%であ
り、室温での衝撃値は153.0ft−pdであり、更
にその合金を950℃の温度で熱間鍛造加工した後の表
面粗さは2.63μmであった。また、1030℃の温
度での熱処理を12時間まで延長した場合、その機械的
性質である引張強さの値は104.8ksi、降伏強さ
の値は62.1ksi、伸び率は75.9%、室温での
衝撃値は142.8ft−pdになり、更にその合金を
850℃の温度で熱間鍛造加工した場合、その表面粗さ
は2.11μmになった。そして、それらから製造され
たアイアンヘッドに塩水噴霧試験を48時間及び打撃試
験を3000発行った結果、共に合格であった。更に、
上記と同様にNo.2〜No.10の合金に対し、10
30℃の温度で2〜12時間熱処理を行った場合、その
機械的性質は引張強さの値が104.8ksi〜11
8.2ksiの間、降伏強さの値が62.1ksi〜6
8.5ksiの間、伸び率が65.8%〜77.8%の
間、室温での衝撃値が135.2〜158.5ft−p
d、表面粗さが2.8μm以下であった。更にそれらか
ら製造されたアイアンヘッドにも塩水噴霧試験を48時
間及び打撃試験を行ったが、その結果は共に合格であっ
た。
【0019】しかし、図7に示すように、No.11及
び12のCrを含まない合金、No.13の3.15%
のCrを含んだ金属、及びNo.14の4.89%のC
rを含んだ金属は、若し表面処理を施さなければ塩水噴
霧試験が不合格になる。言いかえれば、塩水噴霧試験を
パスするために、表面電気メッキを施す必要があるとい
うことである。
【0020】本発明に係わる合金を800℃〜1050
℃の温度で熱間鍛造加工すると共に、980℃〜108
0℃の温度で1〜4時間熱処理を行えば、図8に示すよ
うに、伸び性は65%に達し、図9に示すように、熱処
理時間を4〜24時間に延長すれば、伸び性は70%以
上まで上昇する。更に、図10及び図11に示すよう
に、No.1の合金を1030℃の温度で24時間熱処
理を行った場合、伸び率の変化は極めて少ないにもかか
わらず、降伏強さが54.8ksiまで下がってしまう
ため、降伏強さを所望強度である55ksi以上にする
目標を達成できない。従って、合金の熱間鍛造加工の時
間を24時間以内にする必要がある。
【0021】ま た、図12に示すように、No.1の
合金を異なる温度で熱間鍛造加工してアイアンヘッドを
試製したが、その表面粗さは鍛造温度が上昇するに連れ
て1.9μmから5.7μmに変化した。故に、表面粗
さを高品質である3μm以下にするため、熱間鍛造加工
を1050℃以下で行う必要がある。
【0022】以下、各種添加元素の成分限定理由を詳細
に説明する。 Mn:通常、MnはFeと共存し、また、Sと結合し易
いので、Sによって合金への熱脆性の悪影響を防ぐこと
ができると共に、合金中の酸化物を除去することができ
る。更に、高炭素鋼状態では、MnはCと結合してMn
3Cになると同時に、Fe3Cと固溶して(Fe,Mn)
3Cに成るので、合金の強度及び硬度を増強することが
できる。従って、Mnの含有量が25wt%より少ない
時は、製造過程或いは完成後にフェライト相が発生し易
く、加工性や伸び性に悪影響を及ぼす虞があり、Mnの
含有量が31wt%以上の時は、β−Mn相が結晶界面
において析出してしまい、脆くなる。従って、本発明の
合金におけるMnの含有量を25wt%〜31wt%の
間に制限する必要がある。 Al:Alは優れた脱酸素剤であり、結晶粒の成長を抑
制し、酸化物或いは窒化物を分散的に形成させることが
できると共に、合金の伸び性、加工性及び靱性を高める
ことができる。従って、Alの含有量が6.3wt%よ
り少ない場合、合金の降伏強さが所望強度である55k
siより低くなり、7.8wt%より多い時は、降伏強
さが所望強度である70ksiより大きくなってしま
う。従って、合金におけるAlの含有量を6.3wt%
〜7.8wt%の間に制限する必要がある。 C:C元素には炭化物を析出させる作用があるだけでは
なく、オーステナイト相を安定させることもでき、更
に、Cの含有量が増加してフェライト相が減少するに従
って、オーステナイト相は安定する。従って、Cの含有
量が0.5wt%より多い時は、合金でオーステナイト
相を安定的に形成させることができ、また、降伏強さを
所望強度である55ksi〜70ksiの間に位置させ
るためには、合金におけるCの含有量を0.65wt%
〜0.85wt%に制限する必要がある。 Cr:合金にCrを添加した場合、合金の耐食性及び酸
化抵抗性を高められるだけではなく、合金の硬度及び高
温強度も高めることができ、特に高炭素鋼の耐摩耗性に
は著しい効果がある。Crの含有量が5.5wt%より
少ない時は、合金により製造されたアイアンヘッドは塩
水噴霧試験をパスできなく、また、Crの含有量が9.
0wt%より多い時は、伸び率が目標である65%より
低くなる。従って、合金におけるCrの含有量を5.5
wt%〜9.0wt%の間に制限する必要があり、若し
Crの含有量が5.5wt%より少ない場合は、電気め
っき処理により、耐食性を高める必要がある。 Si:Siは合金における気孔の形成を防止すると共
に、収縮作用を増進でき、更に溶融鉄鋼の流動性も高め
られる。しかし、Siの含有量が1.5wt%より多い
時は、伸び率が目標である65%より低くなってしま
う。従って、合金に0.8wt%〜1.5wt%のSi
を添加すれば、伸び率の目標を達成することができる。 Ti:Tiは材料の密度を小さくできると共に、材料の
耐食性を高めることができるが、Tiの含有量が2.0
wt%以下の時は、それらの効果が現れ難く、5.0w
t%以上の時は、合金の伸び率が低下してしまう。従っ
て、合金に2.0wt%〜5.0wt%のTiを添加す
れば、合金密度を低下させ、耐食性を増加させることが
できる。 Mo:Moはオーステナイト相の温度を上昇させると共
に、硬化層深さを適度にし、焼鈍による脆性を防止し、
更に合金の高温強さ、クリープ強さ及び高温硬度を高め
ると同時に、合金の耐食性を高め、並びに耐磨耗性を有
するMoC粒子を形成し、溶融鉄鋼の流動性を促進する
が、Moの含有量が1.5wt%以上の時に余分な析出
が発生し、材料を脆化させてしまう。従って、合金に添
加されるMoが0.5wt%〜1.0wt%の場合は、
目標範囲内であるため、合金の流動性、鋳造加工性及び
耐食性を高めることができる。 上述したように、本発明の鉄をベースとする合金によっ
て、アイアンヘッドを鍛造成形する際は、800℃〜1
050℃の温度で熱間鍛造加工を施せば、Ra=3μm
以下の優れた表面精度を得ることができ、若し1050
℃〜1200℃の温度で熱加工を行った場合は、酸化層
が増加するだけではなく、部材の表面粗さがRa3μm
より大きくなり、アイアンクラブの品質に悪影響を及ぼ
してしまう。
【0023】
【発明の効果】本発明は上記の構成を有するので、次の
ような効果がある。 1.機械強度:Cr、Mn、Cの含有量を制御して、引
張強さの値を80ksi〜120ksiの間に、降伏強
さの値を55ksi〜70ksiの間に位置させるの
で、合金によってアイアンヘッドを製造する場合、アイ
アンヘッドや空心アイアンヘッドの要求に応えることが
できる。 2.低密度:合金には6.3wt%〜7.8wt%のA
l元素、或いは2.0wt%〜5.0wt%のTi元素
が添加されると共に、合金は面心立方構造(FCC)で
あるため、合金の密度を6.78〜7.05g/cm3
抑えることができる。従って、合金によってアイアンヘ
ッドを製造する場合、同一重量で体積の大きいアイアン
ヘッドを製造できる。 3.優れた伸び性:合金はAlの添加により伸び性が増
すと共に、更に合金を980℃〜1080℃の温度で熱
処理することによって、より優れた伸び性を具備させ
る。また、その熱処理時間を1〜4時間行った場合の合
金の伸び性は65%であり、4〜24時間行った場合の
伸び性は70%以上である。 4.耐食性:合金にはCr、Ti及びMoが添加され、
それらの元素は大気に対する耐食性に優れると同時に、
アイアンヘッド或いは空心アイアンヘッドの製造コスト
を大幅に下げることもできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】精密ロストワックス鋳造法及び鍛造加工法によ
り製造したアイアンヘッドの特性比較表である。
【図2】従来のアイアンヘッド用材料における機械的性
質の比較図である。
【図3】従来の典型的なFe−Al−Mn系合金の成分
表である。
【図4】従来の典型的なFe−Al−Mn系合金におけ
る機械的性質の比較表である。
【図5】Fe−Al−Mn系合金に熱処理を行った後の
金相図である。
【図6】Fe−Al−Mn系合金に熱間鍛造加工を行っ
た後の金相図である。
【図7】本発明の実施例及び比較例に係わる合金の成分
表である。
【図8】本発明の実施例及び比較例に係わる合金特性の
比較表(1)である。
【図9】本発明における引張強さ、降伏強さ及び伸び率
と熱処理時間との関係を示す線図(1)である。
【図10】本発明の合金特性の比較表(2)であり、図
11は本発明における引張強さ、降伏強さ及び伸び率と
熱処理時間との関係を示す線図(2)である。
【図11】本発明に係わる合金の引張強さ、降伏強さ及
び伸び率と熱処理時間との関係を示す線図(2)であ
る。
【図12】本発明に係わる合金の熱間鍛造温度と表面粗
さとの関係を示す線図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) // C21D 8/00 C21D 8/00 D

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重量%で、Mn:25〜31%、Al:
    6.3〜7.8%、C:0.65〜0.85%、Cr:
    5.5〜9.0%及び残部はFeから成る合金であっ
    て、 前記合金に800℃〜1050℃の温度で熱間鍛造を行
    うことによって、表面特性が向上されると共に、表面粗
    さが3μm以下になる鉄をベースとするアイアンヘッド
    用合金。
  2. 【請求項2】 前記合金には、重量%で、Si:0.8
    〜1.5%及びTi:2.0〜5%が含まれることを特
    徴とする請求項1に記載の鉄をベースとするアイアンヘ
    ッド用合金。
  3. 【請求項3】 前記合金には、重量%で、Mo:0.5
    〜1%が含まれることを特徴とする請求項1又は2に記
    載の鉄をベースとするアイアンヘッド用合金。
  4. 【請求項4】 前記800℃〜1050℃の温度で熱間
    鍛造を行った合金に、980℃〜1080℃の温度で1
    〜24Hrの熱処理を施すことによって、合金の伸び率
    が65%以上になることを特徴とする請求項1〜3のい
    ずれかに記載の鉄をベースとするアイアンヘッド用合
    金。
  5. 【請求項5】 前記800℃〜1050℃の温度で鍛造
    された合金に、980℃〜1080℃の温度で4〜24
    Hrの熱処理を施すことによって、合金の伸び率が70
    %以上になることを特徴とする請求項4に記載の鉄をベ
    ースとするアイアンヘッド用合金。
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