JP2002180157A - 積層板用銅合金箔 - Google Patents

積層板用銅合金箔

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 液晶ポリマーを樹脂基板とするプリント配線
板において、液晶ポリマーとの接着性に優れた積層板用
の銅合金箔を提供すること。 【解決手段】 添加元素の成分を重量割合にて、Feを
0.01〜3.0%含み、残部を銅及び不可避的不純物
とし、極表層の酸化層、防錆皮膜の厚さを規制すること
により、導電率が50%IACS以上であり、液晶ポリ
マーとの180゜ピール強度が5.0N/cm以上であ
る、積層板用の銅合金箔を提供する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はプリント配線板用の
積層板に用いる銅合金箔に関するものである。
【0002】
【従来の技術】電子機器の電子回路に用いられるプリン
ト配線板は、硬質積層板(リジット基板)と可撓性積層
板(フレキシブル基板)とに大別される。 フレキシブ
ル基板は可撓性を持つことを特徴とし、可動部の配線に
用いられる他に、電子機器内で折り曲げた状態で収納す
ることも可能であるために、省スペース配線材料として
も用いられている。 また、基板自体が薄いことから、
半導体パッケージのインターポーザー用途あるいは液晶
ディスプレイのICテープキャリアとしても用いられて
いる。 これらの用途では高密度実装の要求から電子回
路の配線幅と配線間隔を小さくしたファインピッチ化が
進んでいる。プリント配線板の導電材としては主として
銅箔が使用されているが、銅箔はその製造方法の違いに
より電解銅箔と圧延銅箔に分類される。 電解銅箔は硫
酸銅めっき浴からチタンやステンレスのドラム上に銅を
電解析出して製造される。圧延銅箔は圧延ロールにより
塑性加工して製造されるので、圧延ロールの表面形態が
箔の表面に転写し、平滑な表面が得られることが特徴で
ある。 フレキシブル基板の導電材に用いられる銅箔
は、可撓性が良好であることから、主に圧延銅箔が用い
られている。 なお、箔とは一般に100μm以下の厚
さの薄板をいう。
【0003】フレキシブル基板は、樹脂フィルムと導電
材としての銅箔とを接着剤を用いて積層し、その後に接
着剤を加熱加圧により硬化して形成される。 フレキシ
ブル基板の樹脂と銅箔との貼りあわせには、例えばエポ
キシ等の熱硬化性樹脂からなる接着剤が用いられ、張り
合わせ後130〜170℃の温度で1〜2時間の加熱加
圧して接着剤を硬化させる。 次に、銅箔をエッチング
して種々の配線パターンを形成し、電子部品をハンダで
接続して実装していく。 プリント配線板用の材料には
このような高温下に繰り返して晒されるため、耐熱性が
要求される。フレキシブル基板の樹脂基板は、樹脂フィ
ルムにはハンダ耐熱性、耐薬品性の点から主にポリイミ
ドおよびポリエステルが使用されていた。 近年は環境
への配慮から鉛フリーハンダが用いられるようになった
が、そのためハンダの融点が高くなり、プリント配線板
には高い耐熱性が求められ、ポリエステルよりも耐熱性
に優れたポリイミドが広く用いられている。
【0004】しかし、フレキシブル基板に広く使われて
いるポリイミド樹脂は吸湿性があり、加熱加圧により銅
箔をラミネートした後に、乾燥した状態で取り扱わない
と、大気中の水分を吸湿して変形する問題がある。 ま
た、現在フレキシブルプリント配線板に広く用いられて
いるポリイミド樹脂の熱膨張係数は2.7×10−5
℃であり、銅の熱膨張係数1.6×10−5/℃と異な
るため、加熱時にプリント配線板の反りが生じやすい。
このため、ポリイミド樹脂を用いたプリント配線板
は、近年のファインピッチ化の要求に対して寸法安定性
の課題が生じている。 さらに、パソコンや移動体通信
等で電気信号が高周波化しているが、これに対応するた
め比誘電率の小さい樹脂基板が求められている。
【0005】このようなプリント配線板に使われる樹脂
基板への要求に対して、スーパーエンジニアリングプラ
スチックスのひとつである液晶ポリマーの採用が検討さ
れている。 液晶ポリマーは高強度、耐薬品性を有する
と共に、吸湿性がポリイミドよりも小さく、寸法安定性
に優れるといった特徴を有している。 また、液晶ポリ
マーの分子は細長い棒状であるが、長軸方向と短軸方向
で熱膨張係数が異なるという特性を持つ。 この特性か
ら、液晶ポリマーの分子配向性を制御することによっ
て、液晶ポリマーの熱膨張係数を調節することが可能で
ある。 液晶ポリマーの熱膨張係数を導電材である銅の
熱膨張係数と一致させることで、加熱時に寸法変化の差
を小さくすることができ、プリント配線板の反りが生じ
なくなる。さらに、比誘電率はポリイミドが約3.5で
あるのに対して、液晶ポリマーが約3.0と小さい。
このため、液晶ポリマーは高周波用途の樹脂基板として
も適している。
【0006】液晶ポリマーは芳香族ポリエステル系の熱
可塑性樹脂であるが、耐熱性に優れており、ハンダ接続
が可能である。 一方で、液晶ポリマーは融点以上に加
熱することによって軟化するので、導電材である銅箔と
液晶ポリマーとを加熱加圧することによって、接着剤を
用いることなく熱融着で貼り合わせることが可能であ
る。 液晶ポリマーと銅箔とを接着剤で貼り合わせるこ
とも可能ではあるが、接着剤のような熱膨張係数の異な
る材料を液晶ポリマーと銅箔との間に入れることは寸法
安定性を損なうことになる。 プリント配線板の寸法安
定性を高く維持するには、液晶ポリマーと銅箔とを直接
に貼り合わせることが好ましい。
【0007】液晶ポリマーを積層板の樹脂基板として、
導電材である銅箔を接着剤を用いずに、液晶ポリマーの
フィルムと圧延銅箔とを、加熱プレス機や加熱ローラー
を用いて液晶ポリマーの融点以上の温度に保ちながら加
圧して、熱融着で貼り合わせたところ、液晶ポリマーと
純銅の圧延銅箔との接着性が悪く、剥離しやすいことが
判明している。 具体的には化学式(1)に示す液晶ポ
リマーと銅箔を345℃にて熱融着させた場合、180
゜ピール強度(JIS C 5016に準拠)は4N/
cm程度しかなく、このため液晶ポリマーをプリント配
線板の樹脂基板として用いることは、導電材である銅箔
の剥離が生じやすく、断線などの欠陥となる問題があ
る。
【0008】
【化1】
【0009】また、導電材として用いられる銅箔の素材
には、純銅や少量の添加元素を含む銅合金が用いられ、
導電性が重視される上記の分野では純度99.9%以上
の純銅が用いられるのが一般的である。 しかし、銅は
純度を上げると耐熱性の低下が著しくなるため、樹脂フ
ィルムに積層する際或いはハンダ接続する際の加熱によ
って変形、断線する問題が発生し、信頼性が低下する。
このため、液晶ポリマーをプリント配線板の樹脂基板
として用いるために、導電材である銅箔に対して樹脂接
着性および耐熱性が要求されるようになっている。これ
に対して、特願2000−247246のように、銅に
CrあるいはZrを含む銅合金を積層板用銅箔とするこ
とが提案されている。 しかし、CrあるいはZrを含
む銅合金は時効析出硬化型の合金であるため、合金元素
を固溶・析出する溶体化処理および時効析出といった熱
処理工程が必要であり、製造に手間がかかるという問題
がある。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】プリント配線板で必要
な接着強度は電子機器の製造条件や使用環境によっても
異なるが、一般に180゜ピール強度が5.0N/cm
以上であれば実用化が可能とされている。 本発明で
は、接着強度の目標値を180゜ピール強度が5.0N
/cm以上とした。 また、導電性の目標値は50%I
ACS以上、耐熱性の目標値は液晶ポリマーとの熱融
着、電子部品とのハンダ付けを考慮し1時間の加熱を行
ったときの引張強さが、加熱前の引張強さと軟化したと
きの引張強さの中間となる温度が350℃以上であるこ
ととした。 液晶ポリマーと銅箔を貼り合わせた積層板
用を実用化するためには、接着性を改善することが課題
である。本発明の目的は、液晶ポリマーとの接着性に優
れ、しかもCu−Cr−Zr系のように長時間の時効処
理が不要である積層板用銅合金箔を提供することであ
る。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、液晶ポリ
マーとの接着性を、導電性の優れる純銅をベースにし
て、少量の添加元素を加えた銅合金で改善されることを
見いだした。 具体的には、液晶ポリマーとの接着性お
よび導電性に対する各種の添加元素の影響について研究
を重ねた結果、本発明は、 (1)Feを0.01〜3.0mass%含み、残部を
銅及び不可避的不純物とし、極表層の酸化層、防錆皮膜
の厚さがいずれも表面から10nm以下であって、導電
率が50%IACS以上であり、液晶ポリマーを熱融着
したときに180゜ピール強度が5.0N/cm以上で
あることを特徴とする積層板用銅合金箔。 (2)Feを0.01〜3.0mass%含み、更にA
g、Al、Be、Co、Mg、Mn、Ni、P、Pb、
Si、Sn、Ti、およびZnの各成分の内一種以上を
総量で0.005〜2.5mass%を含有し、残部を
銅及び不可避的不純物とし、極表層の酸化層、防錆皮膜
の厚さがいずれも表面から10nm以下であって、導電
率が50%IACS以上であり、液晶ポリマーを熱融着
したときに180゜ピール強度が5.0N/cm以上で
あることを特徴とする積層板用銅合金箔。 (3)1時間の加熱を行ったときの引張強さが、加熱前
の引張強さと軟化したときの引張強さの中間となる温度
が350℃以上であることを特徴とする(1)または
(2)に記載の積層板用銅合金箔。を提供するものであ
る。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明において合金組成等を上記
に限定した理由を述べる。 (1)Fe:Feは液晶ポリマーとの接着性を改善する
効果があり、Feを銅に添加して銅合金箔とし、更に酸
化層、防錆皮膜の厚さを規制することにより、液晶ポリ
マーとの接着性を向上することが判明した。 その理由
は、Feが金属と樹脂の結合を促進して、界面の結合が
強化されるためと考えられる。 Feの添加量が少なす
ぎると触媒として十分な作用をしないため、金属と樹脂
の結合が十分に行われず、接着性の改善効果が小さい。
即ちプリント配線板として実用上に必要な180゜ピ
ール強度5.0N/cm以上を付与するには、Feを
0.01mass%以上添加することが必要である。
Feの添加量を増加すると接着性は良好となる。 ま
た、Cu−Fe合金は時効析出硬化型の合金ではある
が、Fe粒子の析出の速度が非常に早く、短時間の熱処
理でもFe粒子が十分に析出し、Cu−Cr−Zr系合
金のように、長時間の時効処理が不要である。 具体的
には、連続焼鈍ラインでの短時間焼鈍でも析出反応が進
行する。 そのため、安価に製造することができる。一
方で、Feはその添加量が多くなると鋳造時に粗大なF
eの析出物が生じて熱間加工性が低下すること、および
導電性が低下することから、添加量の上限は3.0ma
ss%である。 従って、ポリマーを基材とするプリン
ト配線板の積層板用銅合金箔として、Feの適正な添加
量の範囲は、重量比で0.01〜3.0mass%であ
る。
【0013】(2)Ag、Al、Be、Co、Mg、M
n、Ni、P、Pb、Si、Sn、Ti、およびZn:
Ag、Al、Be、Co、Mg、Mn、Ni、P、P
b、Si、Sn、Ti、およびZnはいずれも銅合金の
耐熱性を高める効果を有しており、必要に応じて1種以
上の添加がなされる。 その含有量が総量で0.005
mass%未満であると上記の作用に所望の効果が得ら
れず、一方、総量で2.5mass%を越える場合には
導電性、はんだ付け性、加工性を著しく劣化させる。
従って、Ag、Al、Be、Co、Mg、Mn、Ni、
P、Pb、Si、Sn、Ti、およびZnの含有量の範
囲は総量で0.005〜2.5mass%と定めた。
なお、これらの元素中PはCu中でFeと金属間化合物
を生成し易く、添加することより、より析出反応が十分
行われ、導電性が向上する。 また、Coは結晶粒の微
細化に寄与し、安定した金属組織を得ることができ、Z
nははんだの耐熱剥離性を向上させる。 これらの推奨
される添加量は、P:0.01〜0.15mass%、
Co:0.6〜1.0mass%、Zn:0.05〜
0.20mass%である。以上Ag、Al、Be、C
o、Mg、Mn、Ni、P、Pb、Si、Sn、Ti、
およびZnはCu−Fe系合金の特性改善に有力な元素
であるが、これら以外の元素であっても、銅合金の導伝
率等の特性を大きく低下させずに主として固溶強化を行
う元素を副成分として含む銅合金も本発明の範囲内に属
するものである。
【0014】(3)Cu−Fe合金は耐熱性のある合金
であるが、上記の副成分を添加することにより、更に耐
熱性が向上し、1時間の加熱を行ったときの引張強さ
(TS)が、加熱前の引張強さ(TS)と軟化したと
きの引張強さ(TS)の中間(TS=(TS+TS
)/2)となる温度が350℃以上である銅合金箔を
得ることも可能である。
【0015】ところで、プラスチック半導体パッケージ
に一般的に使われるエポキシ樹脂では、銅合金の表面に
酸化膜(層)があっても高い接着性が得られる。 これ
はエポキシ樹脂と銅合金の接着が、主にエポキシ樹脂に
含まれる水酸基と銅合金上に生成する酸化物の酸素原子
との水素結合によるためで、添加元素は母材と酸化膜の
密着性を改善している。 化学式(2)にエポキシ樹脂
の分子式を示す。
【0016】
【化2】
【0017】しかし、化学式(1)に示したような分子
式を有する液晶ポリマーでは材料表層の酸化層が厚くな
ると上記の触媒作用を阻害するため、樹脂との密着性の
改善効果が得られないことが判明した。 また、箔製品
の表面の酸化が進行するのを防ぐために通常ベンゾトリ
アゾールなどを塗布することにより防錆皮膜を表層に形
成するが、この厚さが厚いと樹脂との加熱、貼り合わせ
の時に防錆皮膜が分解して皮膜自体が母材より剥離しや
すくなるため、結果的に樹脂との密着性を低下させるこ
とになる。 本発明者らは、研究の結果、このような液
晶ポリマーとの接着性の低下を防止するためには、材料
表層に生成する酸化層を表面から10nm以下、かつ防
錆皮膜を表面から10nm以下とすることにより更に改
善されることが判った。本発明の銅合金箔は製造方法に
限定されるものではなく、例えば合金めっき法による電
解銅箔あるいは合金を溶解鋳造して圧延する圧延銅箔の
ような方法で製造できる。
【0018】以下に例として圧延による方法を述べる。
溶融した純銅に所定量の合金元素を添加して、鋳型内に
鋳造してインゴットとする。 インゴットは、熱間圧延
である程度の厚さまで薄くした後、皮削りを行い、その
後冷間圧延と焼鈍を繰返し行い、最後に冷間圧延を行っ
て箔に仕上げる。 圧延上がりの材料は圧延油が付着し
ているので、アセトンや石油系溶剤等で脱脂処理をす
る。
【0019】酸化層の厚さを低減するためには焼鈍で生
じた酸化層を除去することが必要である。 例えば、酸
洗で酸化層を除去するには硫酸+過酸化水素、硝酸+過
酸化水素、または硫酸+過酸化水素+弗化物を用いるこ
とが好ましい。 また、防錆皮膜の厚さを低減するため
には、例えば防錆剤の濃度を低減する方法があり、防錆
剤にベンゾトリアゾールを用いた場合には、その濃度を
1000ppm以下とすることが好ましい。
【0020】
【実施例】以下に本発明の実施例を説明する。銅合金の
作製は、高周波真空誘導溶解炉を用いてAr雰囲気中に
て高純度黒鉛製るつぼ内で純銅として無酸素銅を溶解し
たところへ、所定の添加元素を添加した後、鋳鉄製の鋳
型内に鋳造した。 この方法で厚さ30mm、幅50m
m、長さ150mm、重さ約2kgの銅合金のインゴッ
トを得た。このインゴットを900℃に加熱して、熱間
圧延により厚さ8mmまで圧延して酸化スケールを除去
した後、冷間圧延と焼鈍とを繰り返し、必要により時効
処理を行い、厚さ35μmの圧延上がりの銅合金箔を得
た。上記の方法で得られた厚さ35μmの銅合金箔は圧
延油が付着しているのでアセトン中に浸漬して油分を除
去した。 これを硫酸10mass%および過酸化水素
1mass%を含む水溶液に浸漬して表面の酸化層およ
び防錆皮膜を除去した。 この銅合金箔と液晶ポリマー
とを重ねて、温度345℃に保持した平面加熱プレス機
を用いて熱融着した。 ここで液晶ポリマーは前述の化
学式(1)に示す分子式のものを使用した。
【0021】このように得られた銅合金箔について、
「熱間圧延性」、「酸化層と防錆皮膜の厚さ」、「導電
性」、「耐熱性」および「接着強度」を以下の方法で評
価した。 (1)熱間圧延性:熱間圧延性は、熱間圧延を施した材
料を浸透探傷し、目視で外観を観察して、材料の割れの
有無で評価した。 (2)酸化層と防錆皮膜の厚さ:オージェ電子分光分析
の深さ方向分析を行い、「酸化層の厚さ」は酸素の検出
強度がバックグラウンドと同一になるまでの表面からの
深さを、「防錆皮膜の厚さ」は防錆剤を構成する元素で
ある窒素の検出強度がバックグラウンドと同一になるま
での表面からの深さをそれぞれSiO換算で測定し
た。 (3)導電性:導電性は20℃における電気抵抗をダブ
ルブリッジを用いた直流四端子法で求めた。測定は試験
片を幅12.7mmに切断し、電気抵抗測定間長さ50
mmで行った。 (4)耐熱性:耐熱性は1時間の加熱を行ったときの室
温で引張強さ(TS)を測定し,加熱前の引張強さ(T
)と軟化したときの引張強さ(TS)の中間(T
S=(TS+TS)/2)となるような加熱温度を
軟化温度として評価した。 (5)接着強度:接着強度は180゜ピール強度をJI
S C 5016に記載された方法に準拠して実施し
た。 測定は引き剥がし導体幅を5.0mmとし、液晶
ポリマーを引張試験機側に固定して、導体である銅合金
箔を180゜方向に曲げて引き剥がした。表1に銅合金
箔の組成および表2に銅合金箔の特性等の評価結果を示
す。
【0022】
【表1】
【0023】
【表2】
【0024】表中に「−」で示した部分は測定を実施し
ていないことを示す。 熱間加工性は熱間圧延後に割れ
が発生しなかったものを○で、割れが発生したものを×
で示す。 割れが発生したものは以後の試験を実施して
いない。 実施例のNo.1〜No.10は本発明の銅
合金箔の実施例である。 表1に示すように、本発明の
銅合金箔は導電率が50%IACS以上であり、液晶ポ
リマーを熱融着したときの180゜ピール強度が5.0
N/cm以上であり、かつ優れた導電性と接着強度を有
していることがわかる。 また、いずれも熱間圧延時に
割れが発生しなかった。 No.1、2はFeの添加量
が本発明の範囲内ではあるが、1.5mass%以下と
その添加量は少なく、Ag、Al等の副成分も添加して
いないため、耐熱性は若干低くなった。 そして、N
o.3は添加したFeの添加量の合計が本発明(請求項
1)の上限値3.0%に近いため、導電率が本発明中で
低い値となっている。 No.4は耐熱性を向上させる
ために添加したNi、Si、Zn等の添加量の合計が本
発明(請求項2)の上限値2.5%に近いため、導電率
が本発明中で低い値となっている。
【0025】一方、表1に示す比較例のNo.11は本
発明の合金成分を加えていない圧延銅箔である。 無酸
素銅をAr雰囲気中にて溶解鋳造したインゴットを箔に
加工して、液晶ポリマーと熱融着した。 素材が純銅で
あるので導電性が大きいが、180゜ピール強度は4.
0N/cmと小さいので、プリント配線板としたときに
剥離が生じるため実用に適さない。比較例のNo.12
はFeの濃度が重量比で0.01%未満であったために
接着性を改善する効果が十分でなく、180゜ピール強
度が5.0N/cm未満と小さい。比較例のNo.13
はFeの濃度が重量比で3.0%を超えて添加したため
に、鋳造時にFeの晶出物が生じてしまい、熱間圧延時
に割れが発生し、熱間加工性が悪い。 このため、N
o.13は以後の試験を実施できなかった。比較例のN
o.14は耐熱性を向上させるためにTiを添加した
が、その濃度が重量比で2.5%を超えて添加したため
に、導電率が小さく、プリント配線板の導電材としては
適さない。比較例のNo.15は、実施例のNo.5の
銅合金箔を用いて、酸洗による酸化層及び防錆皮膜の除
去工程を省略することにより、酸化層の厚さが異なるも
のを作製してピール強度を評価したところ、180゜ピ
ール強度が3.4N/cmと小さくなった。比較例のN
o.16は、実施例のNo.5の銅合金を用いて、最終
の脱脂にて、防錆材としてのベンゾトリアゾールを2.
0%(20000ppm)含有したアセトンにて脱脂し
たものであるが、防錆皮膜の厚さが厚く、180°ピー
ル強度が1.1N/cmと小さかった。
【0026】
【発明の効果】本発明の液晶ポリマーを基材とするプリ
ント配線板の積層板用に用いる銅合金箔は、基材樹脂と
優れた接着性を有し、かつ高い導電性と耐熱性を有す
る。これによって、微細配線を必要とする電子回路の導
電材としての用途に好適である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C22C 9/05 C22C 9/05 9/06 9/06 9/08 9/08 9/10 9/10 C23F 11/00 C23F 11/00 A C23G 1/10 C23G 1/10 H05K 1/09 H05K 1/09 A Fターム(参考) 4E351 AA03 AA04 BB01 BB30 DD04 DD19 DD21 DD54 GG11 4F100 AB02A AB10A AB11A AB12A AB14A AB15A AB16A AB17A AB18A AB21A AB23A AB24A AB33A AK01B BA02 EJ19 EJ192 EJ42 EJ422 GB41 JA11B JG05A JL11 YY00A 4K053 PA06 QA01 RA12 RA13 RA15 RA16 YA30 ZA10 4K062 AA01 BB11 CA02 FA09 GA03

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Feを0.01〜3.0mass%含
    み、残部を銅及び不可避的不純物とし、極表層の酸化
    層、防錆皮膜の厚さがいずれも表面から10nm以下で
    あって、導電率が50%IACS以上であり、液晶ポリ
    マーを熱融着したときに180゜ピール強度が5.0N
    /cm以上であることを特徴とする積層板用銅合金箔。
  2. 【請求項2】 Feを0.01〜3.0mass%含
    み、更にAg、Al、Be、Co、Mg、Mn、Ni、
    P、Pb、Si、Sn、Ti、およびZnの各成分の内
    一種以上を総量で0.005〜2.5mass%を含有
    し、残部を銅及び不可避的不純物とし、極表層の酸化
    層、防錆皮膜の厚さがいずれも表面から10nm以下で
    あって、導電率が50%IACS以上であり、液晶ポリ
    マーを熱融着したときに180゜ピール強度が5.0N
    /cm以上であることを特徴とする積層板用銅合金箔。
  3. 【請求項3】 1時間の加熱を行ったときの引張強さ
    が、加熱前の引張強さと軟化したときの引張強さの中間
    となる温度が350℃以上であることを特徴とする請求
    項1または2に記載の積層板用銅合金箔。
JP2000379960A 2000-12-14 2000-12-14 積層板用銅合金箔 Expired - Fee Related JP4550263B2 (ja)

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