JP2002176959A - 食品加熱殺菌装置 - Google Patents

食品加熱殺菌装置

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JP2002176959A JP2000381625A JP2000381625A JP2002176959A JP 2002176959 A JP2002176959 A JP 2002176959A JP 2000381625 A JP2000381625 A JP 2000381625A JP 2000381625 A JP2000381625 A JP 2000381625A JP 2002176959 A JP2002176959 A JP 2002176959A
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充 平向
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博昭 兼弘
Yasushi Hatano
靖 波多野
Yoshinori Okuyama
美憲 奥山
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Abstract

(57)【要約】 【課題】固形食品を開放状態において均一に加熱して食
品の品質を低下することなく殺菌する装置を提供する。 【解決手段】上チャンバ(14)と下チャンバ(16)
によって形成される密閉空間内に配置される容器(1)
内の米飯を1対の給気孔(72)から供給される加熱蒸
気によって殺菌する装置において、多数の小孔が形成さ
れた多孔板(60)の上には給気孔(72)および排気
孔(74)の直下にめくら板(62)がそれぞれ設けら
れており、給気孔(72)と排気孔(74)の間には1
対のじゃま板(64)がその下端部をめくら板(62)
の給気孔側端縁に接続され、その上端部を上チャンバ
(14)の頂部下面に接するようにして設けられてい
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、食品加熱殺菌装置
に関し、特に、開放状態すなわち密閉されていない状態
において米飯等の固形食品を加熱殺菌する装置に関す
る。
【0002】
【従来の技術】特許第2912876号には、無菌包装
米飯の製造方法として、洗米浸漬した米をトレーに定量
充填し、それを密封チャンバに入れ、高温・加圧蒸気を
間欠的にフラッシュすることにより滅菌処理すると同時
に米をα化し、次いで炊き水を注水して炊飯した後、個
食トレーに蓋材を被せて密封シールする方法が開示され
ている。この間欠的な加圧加熱滅菌処理により、米の風
味を損なわずに効果的に滅菌処理ができるとともに、蒸
気フラッシュを行わない非処理インターバルの間に個食
トレーを米充填工程から蒸気炊飯工程へ向けて前進させ
ることができるため製造ラインの稼動の効率化、高速化
を実現できるという利点がある。
【0003】この加熱殺菌方法を実施する装置としては
特許第2838198号に記載されたものがある。この
装置は、上下1対のチャンバを有する加圧加熱殺菌アセ
ンブリがラインの上流から下流に向け複数(例:8個)
並設されており、各上側チャンバの天面には蒸気の給気
管(2個)と排気管(1個)が接続されている。下側チ
ャンバは昇降駆動手段により上下動し、アセンブリの開
閉がなされる。
【0004】この装置においては、上下チャンバの間を
トレー容器載置板に載ったトレーが間欠移動しながら殺
菌が行われる。すなわち、載置板の移動が止まった時に
上下チャンバが閉じて密閉空間を形成し、この密閉空間
に蒸気を供給・排気しながら開放状態の米飯の殺菌が行
われる。容器載置板には載置すべき個数分(例:4個)
の開口が開けられており、同時に複数(例:4個)のト
レーを載置し殺菌するようになっている。また、トレー
に充填された米が高圧加熱蒸気の間欠的フラッシュによ
り飛散することを防止するために、密閉チャンバ内にお
いてトレーの開口部を多孔板で覆いながら殺菌するよう
に構成されている。この多孔板の上には高圧加熱蒸気の
フラッシュが均一に分散するように給気管と排気管の直
下近傍にそれぞれめくら板が敷設されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上記従来の加熱殺菌装
置では、チャンバ内の加熱蒸気の流れが均一性を欠き、
トレーの載置される位置によっては部分的に加熱が弱い
部分が発生するなど殺菌状態のばらつきが大きく、殺菌
が充分に行えない場合が生じるという問題があった。特
に、米飯のように食品の構成単位(各米粒)間に間隙を
有する固形食品を殺菌するときは、食品の構成単位間に
残存する空気により食品を効率よく加熱することができ
ないので、すべての位置のトレーについて充分に殺菌で
きるような条件で加熱を行うと米飯の表面が過加熱によ
って褐変または変質し、食品の品質が低下するという問
題があった。
【0006】本発明は、上記従来の加熱殺菌装置の問題
点にかんがみなされたものであって、固形食品を開放状
態においてムラなく均一にかつ効率よく加熱して、食品
の品質を低下させることなく短時間で殺菌することがで
きる装置を提供しようとするものである。
【0007】
【課題を解決する手段】本発明者らは、鋭意研究と実験
を重ねた結果、上記従来の装置においては、上側チャン
バが固定側であるため配管の便宜上1対の給気孔とその
中間の排気孔がすべて上側チャンバの頂部に形成されて
おり、このため給気孔から供給される加熱蒸気の流れの
一部が多孔板の多数の小孔から容器開口部に向かわず
に、排気孔に直接流れ排気されるために殺菌状態のばら
つきが生じることを見出し、この加熱蒸気の給気孔から
排気孔へのショートパスをなくすことにより固形食品を
解放状態においてムラなく均一に効率よく加熱できるこ
とを発見し、本発明に到達した。
【0008】上記目的を達成する本発明の食品加熱殺菌
装置は、収容された固形食品の表面上の空間が開口部を
形成する容器を支持する容器支持手段と、第1の蒸気室
を有する第1のチャンバと、第2の蒸気室を有する第2
のチャンバと、該第1および第2のチャンバが密接して
該第1および第2の蒸気室からなる実質的に密閉された
密閉空間を形成する密接位置と該第1および第2のチャ
ンバが離隔する離隔位置との間で該第1および第2のチ
ャンバを相対移動させる相対移動手段と、該第1および
第2のチャンバが該離隔位置にあるときに該容器支持手
段を該第1および第2のチャンバの間に供給する容器供
給手段と、該第1および第2のチャンバが該密接位置に
あるときに該密閉空間に所定圧の蒸気を供給する蒸気供
給手段とを有し、該第1および第2のチャンバを対とし
て有するアセンブリが複数段所定間隔をおいて並設され
ており、該容器供給手段は、殺菌すべき固形食品が収容
された容器を所定ピッチで間欠的に搬送し、各間欠搬送
後に所定時間止まる位置において該蒸気供給手段からの
蒸気供給を受けて殺菌処理が行われる食品加熱殺菌装置
において、該蒸気供給手段は、蒸気供給源に接続される
とともに該容器の開口部の一部分に対向するようにして
該第1のチャンバの頂部に開口する1対の給気孔および
該1対の給気孔の中間において該第1のチャンバの頂部
に開口する排気孔と、該第1のチャンバと該第2のチャ
ンバの密接位置において該容器の開口部の上方かつ該第
1のチャンバの頂部の下方に位置するように該第1のチ
ャンバに固定され多数の小孔が形成された多孔板と、該
1対の給気孔および該排気孔の直下位置からその近傍に
延長するようにして各給気孔および排気孔に対向して該
多孔板上に設けられためくら板と、該1対の給気孔の各
々と該排気孔との間の該多孔板上の空間内に配されたじ
ゃま板であって、その下端部は該排気孔に対向して設け
られためくら板の該給気孔側の端縁にほぼ接しその上端
部は該第1のチャンバの頂部下面にほぼ接するようにし
て該給気孔と該排気孔を結ぶ線に交叉して設けられたじ
ゃま板とを備えることを特徴とするものである。
【0009】
【作用】本発明によれば、1対の給気孔の各々と排気孔
との間の多孔板上の空間内にじゃま板が配置されてお
り、各じゃま板の下端部は排気孔に対向するめくら板の
給気孔側の端縁にほぼ接し、上端部は第1のチャンバの
頂部下面にほぼ接するようにして給気孔と排気孔を結ぶ
線と交叉するように設けられているので、各給気孔から
供給された加熱蒸気は排気孔へ直接流れることができ
ず、加熱蒸気のすべての流れが多孔板の多数の小孔から
下方に配置された容器の開口部に向けて流れ、固形食品
内を流動して固形食品の均一な加熱を行うことができ、
殺菌不足部分の発生を防止することができる。
【0010】
【発明の実施の形態】以下添付図面を参照して本発明の
実施の態様について説明する。図1〜図7は、本発明を
前記特許第2838198号に開示された装置に適用し
た実施態様を示す。この食品殺菌装置は、プラスチック
容器内に充填された米飯を高温加圧条件下で殺菌処理す
ることにより、米飯中の一般細菌および耐熱細菌を死滅
させるために構成されたものである。
【0011】図1は装置の全般的な設備構成を概略的に
示す図であり、スチームジェネレータ10により供給さ
れる蒸気が蒸気循環路12内に充填されている。蒸気循
環路12内の蒸気は常時3〜3.5kg/cmの蒸気
圧を有するよう維持されている。
【0012】蒸気循環路12の下方には、上下1対のチ
ャンバ14、16からなる加熱殺菌アセンブリ18が複
数段並設されている。上チャンバ14は電磁弁からなる
蒸気弁20を介して蒸気循環路12と連結されており、
蒸気弁20が開かれた時に蒸気循環路12内の所定蒸気
圧の蒸気が上チャンバ14に送り込まれるようになって
いる。
【0013】また上チャンバ14は電磁弁からなる排気
弁22を介して排気路24と連結されており、排気弁2
2が開かれた時後述する密閉空間内に充填された飽和蒸
気を排気路24から屋外に排出するようになっている。
【0014】蒸気循環路12内において蒸気の凝結によ
り生成された水分は、排水管26内に徐々に溜まるが、
排水管26に設けられた排水弁28を開くことにより外
部に排出される。
【0015】各加熱殺菌アセンブリ18の詳細について
図2および図3を参照して説明する。上チャンバ14の
蒸気室30は、その側面が完全に閉塞され、その下面が
開口しており、その上面は給気管32、32および排気
管34を除く部分において閉塞されている。給気管3
2、32は蒸気弁20を介して蒸気循環路12と連通し
ている。排気管34は排気弁22を介して排気路24と
連通している。
【0016】上チャンバ14の蒸気室30の開口下面に
臨んで、その直下に複数のプラスチック容器(トレー)
1を載置可能な容器載置板38が配置される。容器載置
板38は、図4に示されるように、載置すべき容器1の
個数(図示実施例においては4個)分の開口39が設け
られ、この開口39にそれぞれ容器1の本体部2を嵌合
し、容器上端フランジ部3を開口39のまわりで支持す
ることにより、容器1を載置支持するようになってい
る。図2ないし図4において容器1は仮想線で示されて
いる。
【0017】容器載置板38は、そこに支持される容器
1内の米に対して殺菌処理が行われている間は上チャン
バ蒸気室30の開口下面の直下位置に止まっているが、
ローラコンベア40等の任意の搬送手段により水平方向
(図2において紙面と鉛直方向、図3においてはたとえ
ば右方向)に搬送可能とされている。
【0018】下チャンバ16は、図2および図3に示さ
れる待機状態においては、上チャンバ14の下方に間隔
をおいて離隔配置されている。下チャンバ16の蒸気室
42は、その下面および側面が完全に閉塞され、その上
面が開口している。下チャンバ蒸気室42は、容器載置
板38の開口部39に嵌合されてその下方に突出する容
器1の本体部2を収容可能な大きさを有するように形成
されている。
【0019】上チャンバ14が固定ブロック44に支持
されて不動に固定されているのに対して、下チャンバ1
6は油圧または水圧シリンダ等の昇降駆動手段46によ
り昇降移動可能なベース48上に支持されている。さら
に、下チャンバ16は、多数の皿バネを直列に配してな
る支持脚50によりベース48上に支持されているた
め、ベース48に対して下チャンバ16は上下方向にか
つ部分的に微動可能とされている。下チャンバ16とベ
ース48の間にはさらに1対のシリンダガイド52、5
2が設けられ、ベース48上に下チャンバ16を安定的
に支持するとともに、ベース48に対する下チャンバ1
6の微動方向を上下方向に限定して左右方向のぶれを防
止している。
【0020】図5〜図7は蒸気供給手段の一部を構成す
る多孔板60、めくら板62およびじゃま板64の構成
を示すもので、図5は多孔板60、めくら板62および
じゃま板64と容器の位置関係を示すために上チャンバ
14の頂部を取り除いて示す平面図、図6は上チャンバ
14と下チャンバ16が密接して密閉空間が形成された
時の蒸気室30、42の状態を模式的に示す断面図、図
7は図6のA−A矢視図である。図5において、容器1
は1点鎖線により示されており、また給気孔72および
排気孔74は点線により示されている。
【0021】上チャンバ14の蒸気室30内の容器1の
上方の位置には容器1から所定間隔をおいて多孔板60
が水平に配置され、その長手方向両端部60a、60a
は上チャンバ14に図示しないピンで固定されている。
多孔板60はステンレス鋼板からなり蒸気室30を横断
してそのほぼ全面積を覆うような形状に形成されてい
る。なお、符号66は蒸気をフラッシュした時各容器1
の飛び上がりを防ぐための容器押え板である。
【0022】多孔板60はその全面にわたり多数の小孔
60aが形成されている。なお、図5において多孔板6
0の多数の小孔60aはその一部のみが示されている。
多孔板60の小孔は蒸気フラッシュ時の固形食品表面へ
の蒸気の当たりを調整する役目を果たし、局所的な蒸気
の流れを緩和し、固形食品の飛散を防止している。小孔
の形状と大きさはこの役目を果たす限り任意に設定可能
で、限定されるわけではないが一般に2〜7mmの円形
で開口率20〜50%に設定される。
【0023】上チャンバ14と下チャンバ16が相互に
離隔している図2、図3に示す状態においては、各容器
1はフランジ部3が容器載置板38の開口39のまわり
で支持されているが、両チャンバ14、16が密接した
図6に示す状態においては、各容器1は下チャンバ16
の底面に設けられた容器支持台56により押上げられ
て、各容器1のフランジ部3が容器載置板38から浮き
上がった状態で容器支持台56に支持されている。
【0024】1対の給気孔72および排気孔74の直下
位置からその近傍に延長するようにして各給気孔72お
よび排気孔74に対向するめくら板62が設けられてい
る。各めくら板62はステンレス鋼板からなり、給気孔
72の中心と排気孔74の中心を結ぶ直線に直交する方
向(上チャンバ14の幅方向)において両端部62aが
中央部62cよりも隆起した板状部材であり、中央部6
2cにおいて多孔板60に溶接等により固定されてい
る。各めくら板62は、給気孔72の中心と排気孔74
の中心を結ぶ直線の方向(上チャンバ14の長手方向)
において各容器1の一部を覆うような位置に張出してお
り、給気孔72の中心と排気孔74の中心を結ぶ直線と
直交する方向(上チャンバ14の幅方向)においてはめ
くら板62の側端縁と上チャンバ14の内壁面との間に
若干の隙間68(図5)が空くように形成されている。
この隙間68は加熱殺菌を終えた蒸気の排気孔74に至
る排気用通路として機能する。
【0025】1対の給気孔72の各々と排気孔74との
間の空間内には多孔板60上に1対のじゃま板64が設
けられている。これらじゃま板64は、その幅(上チャ
ンバ14の幅方向の長さ)がめくら板62の幅とほぼ同
一のステンレス鋼板からなり、その下端部64aはじゃ
ま板本体64bと鈍角をなすように形成されており、排
気孔74に対応して設けられためくら板62の両給気孔
72、72側の端縁に溶接等の手段により接続されてい
る。じゃま板本体64bは両給気孔側に向かって斜めに
延在し、その上端部は容器1のほぼ中央部上方位置にお
いて上チャンバ14の頂部下面にほぼ接するように配置
されている。なお、じゃま板64は、上記の構成とは逆
に、上端部を上チャンバ14の頂部下面に溶接等により
固定し、下端部をめくら板62の給気孔側端縁にほぼ接
するように配置してもよく、あるいはじゃま板64を他
の固定部材(図示せず)により多孔板60上に固定し、
じゃま板の上端部および下端部の双方を上チャンバ14
の頂部下面およびめくら板62の給気孔側端縁にそれぞ
れほぼ接するように配置してもよい。また、じゃま板の
取付角度は図示の実施態様のように多孔板60に対し斜
めに取付けずに、じゃま板に垂直に取り付けてもよい。
要するに、各じゃま板64は、下端部が排気孔74に対
向して設けられためくら板62の給気孔側の端縁にほぼ
接し、上端部が上チャンバ14の頂部下面にほぼ接する
ようにして給気孔72と排気孔74を結ぶ線に交叉する
ように配置することにより、給気孔62から排気孔74
への加熱蒸気のショートパスを実質的に塞ぐ機能を発揮
することができればよい。なお、じゃま板64は、給気
孔72と排気孔74を結ぶ線を含む平面に直交するよう
に配置するのが、遮蔽が効果的にでき好ましい。
【0026】めくら板62およびの幅は、容器1の幅よ
りもやや狭いか、それ以上が好適である。めくら板62
の幅が容器1の幅よりも著しく狭いと、給気孔62から
流出する加熱蒸気の一部がめくら板ではね返らずに多孔
板60の小孔60aから直接容器1に流入する結果加熱
蒸気の伝播にムラが生じ均一な加熱殺菌ができないおそ
れが生じる。また、じゃま板64の幅が容器1の幅より
も著しく狭いと、給気孔72から排気孔74への直接の
蒸気の流れが生じ、じゃま板64によるショートパス防
止効果が減殺される。両給気孔72に対応するめくら板
62およびじゃま板64の幅を多孔板60の幅と同一と
し、排気孔74に対応するめくら板62の幅を多孔板6
0の幅よりも小さくすると、両給気孔72に対応するめ
くら板62の側端縁と上チャンバ14の内壁面との間の
隙間68がなくなるが、この場合でも加熱殺菌を終えて
容器1から流出した蒸気は多孔板60の下の蒸気室30
内を通って排気孔74に対応するめくら板62の側端縁
側の隙間68に流出し、排気孔74から排気される。
【0027】次に、以上のように構成された食品加熱殺
菌装置の動作について説明する。図2および図3に示す
待機状態において、各容器1には洗米され浸漬により含
水率10〜30%程度に調整された米が所定量充填され
ている。これらの容器1を載置する容器載置板38が上
チャンバ14の直下の所定位置に送り込まれている。こ
のとき蒸気弁20は閉状態であり、排気弁22は開状態
である。
【0028】この状態から昇降駆動手段46を作動させ
て下チャンバ16を上昇させ上チャンバ14に密接させ
て上チャンバ蒸気室30と下チャンバ16蒸気室42と
による密閉空間が形成され、各容器1はこの密閉空間内
に収容される。密閉空間形成の際、蒸気室30および4
2内の余分な空気は排気管34から開位置の排気弁22
を通って排気路24に送り込まれ、屋外に排出される。
【0029】次いで、排気弁22を開けたまま蒸気弁2
0を開く。これにより所定圧、所定温度(例:0.33
〜0.36MPa、140℃)の蒸気が密閉空間内に導
入される。この蒸気は給気管32から給気孔72の直下
に流出し、対応して設けられためくら板62に衝突して
周囲に拡散され、多孔板60の多数の小孔60aから真
下に流れて容器1の開口部の一部から容器1内に入り、
容器の一部から他の部分に拡散するようにして容器1内
の各米粒の間を流動して容器開口部の他の部分から流出
する。流出した蒸気はめくら板62の側端縁と上チャン
バ14の内壁面との間の隙間68を通って排気孔74に
至り外部に排気される。この時各米粒の間に存在する空
気は蒸気の流れによって追い出されることによって蒸気
は容器の隅々まで行き渡る。このように排気弁22を開
けたまま蒸気弁20を開けることによって、蒸気室30
および42内、更に米粒間の空気は、排気管34から排
気路24より排気され、蒸気室30および42内、米粒
間は蒸気置換される。置換時間は一般に0.1から2秒
以内、望ましくは0.2から1秒以内である。
【0030】次いで、蒸気弁20を開けたままで排気弁
22を閉じる。これにより所定圧、所定温度(例:0.
33〜0.36MPa、140℃)の蒸気が密閉空間内
に充満される。この温度は米に含まれる一般生菌および
耐熱生菌を死滅させて無菌化を実現するために充分な温
度とする。
【0031】この食品加熱殺菌装置においては、好まし
い稼動形態として、上述の高温飽和蒸気の導入を所定時
間を1サイクルとして複数回繰り返し行う。たとえば、
5〜10秒間の蒸気フラッシュを6〜10回繰り返して
行う。所定時間の蒸気フラッシュを行った後蒸気弁20
を閉じるとともに排気弁22を開く。排気弁22を開く
ことによって密閉空間内の蒸気は排気管34から排気路
24を通じて外気に排出され密閉空間内は大気圧に戻
る。
【0032】排気弁22を開いてから所定時間(例えば
1秒)経過後昇降駆動手段46を作動させ、下チャンバ
16を上チャンバ14から離す。これにより装置は再び
図2および図3に示す待機状態になる。
【0033】次いでローラコンベア40を作動させて容
器載置板38を水平方向に1ピッチ分移動させる。すな
わち、図3において左側の加熱殺菌アセンブリ18aの
上チャンバ14直下位置にあった容器載置板38はこの
1ピッチ分の移動により、右側の加熱殺菌アセンブリ1
8bの上チャンバ14直下位置に移動される。また左側
の加熱殺菌アセンブリ18aの上チャンバ14の直下位
置には、図示しないその左側の加熱殺菌アセンブリか
ら、あるいは同アセンブリ18aが装置の最後尾に設置
されたものである場合は図示しない容器載置板供給手段
を介して新たな容器載置板38が供給される。
【0034】以上の動作を1サイクルとして以後前述の
動作を繰り返す。たとえば、加熱殺菌アセンブリ18を
8段に設置して各サイクルにおいて5秒間の蒸気フラッ
シュを行う場合は、5秒間×8=都合40秒間の加熱殺
菌処理が行われることになる。上述した加熱殺菌処理を
終了した米飯は炊飯処理等後段の工程に付される。
【0035】本発明はパック米飯の殺菌ばかりでなく、
まぜご飯や赤飯、さらにはスパゲッテイやマカロニ等各
種パスタ類、サラダ等各種固形食品の殺菌に適用するこ
とができる。
【0036】
【実施例】上記実施態様の食品加熱殺菌装置を使用して
米飯を殺菌する実施例について説明する。中間層にエチ
レン・ビニル共重合樹脂を有するポリプロピレン製トレ
ー容器(縦120mm、横175mm、高さ35mm、
開口部の縦90mm、横155mm、内容量200g)
に洗米、浸漬した米100gを充填した。
【0037】コンベアの進行方向に連続する8ケのチャ
ンバを有する上記構成の間欠式蒸気殺菌装置(株式会社
シンワ機械製)を用いて、米を充填した上記トレー容器
を、同トレー4個を一列に並べコンベアを兼ねる載置板
に並列して乗せ、上記間欠式殺菌装置の各チャンバを移
動させながら、高温・加圧蒸気による殺菌を行った。
【0038】殺菌条件は次のとおりである。 殺菌条件:140℃×5秒×8回 1回の殺菌サイクル=9.6秒 (排気0.5秒、保持5.0秒、コンベア移動4.1
秒) 蒸気圧 0.33〜0.36MPa
【0039】各トレーについて、加圧加熱殺菌時の温度
履歴を測定し、その結果によりF値を計算し、殺菌能力
を評価した。温度履歴測定は、米国メサ・ラボラトリー
社製マイクロパック(商品名)を用い、トレー内側の底
部コンベア進行方向右側の端部近傍の位置について行っ
た。評価基準としてはF値が5以上のものを充分殺菌さ
れたものと評価し、5未満のものを殺菌不充分と評価し
た。
【0040】多孔板上に設けられるめくら板およびじゃ
ま板の構成を次のとおり変更して実験を行った。同一条
件にて3回測定を繰り返した。
【0041】実施例1 本発明の上記実施の態様(図5〜図7)どおりの構成。
【0042】比較例1 給気孔および排気孔の直下近傍に本発明実施態様と同一
構造のめくら板を設け、じゃま板を設けないもの、すな
わち、じゃま板を取り除いた以外は本発明実施態様と同
一構造のもの。図8(a)は比較例1を図6と同様の状態
で、図8(b)は比較例1を図7と同様の状態でそれぞ
れ示す模式図である。なお図8および図9において図5
〜図7と同一構成要素は同一符号で示す。
【0043】比較例2 給気孔および排気孔の直下近傍に本発明実施態様と同一
構造のめくら板を設け、かつ各給気孔と排気孔の中間に
本発明実施態様と同一幅のじゃま板を多孔板に垂直に取
付けたもの。図9(a)は比較例2を図6と同様の状態
で、図9(b)は比較例2を図7と同様な状態でそれぞ
れ示す模式図である。じゃま板80と排気孔74の直下
のめくら板62は接続されておらず、間隔が開いてい
る。測定結果を下表に示す。
【0044】
【0045】この結果から判るように、試験した殺菌条
件において、比較例1、2ではF値が5未満のものがあ
り、殺菌不足のものが出ているのに対し、実施例ではす
べてF値が5以上であり、殺菌が充分に行われているこ
とが判る。なお、実施例の条件で殺菌されたものの米の
表面には、褐変などの変質は観察されなかった。
【0046】比較例2ではじゃま板80を設けているに
もかかわらず、殺菌効果は充分ではなかった。これは、
じゃま板80と排気孔74の直下のめくら板62が接続
されていないために、給気孔72から流出した加熱蒸気
はじゃま板80に遮られて多孔板60の小孔60aから
多孔板60下方の蒸気室30内に流れこむが、蒸気室3
0内に入った蒸気の一部は容器1の開口部に向かわず
に、じゃま板80とめくら板62の間の多孔板60の小
孔60aを通って上昇し排気されるために殺菌効果が減
少する理由によるものと思われる。
【0047】
【発明の効果】以上述べたように、本発明によれば、1
対の給気孔の各々と排気孔との間の多孔板上の空間内に
じゃま板が配置されており、各じゃま板の下端部は排気
孔に対向するめくら板の給気孔側の端縁にほぼ接し、上
端部は第1のチャンバの頂部下面にほぼ接するようにし
て給気孔と排気孔を結ぶ線と直交するように設けられて
いるので、各給気孔から供給された加熱蒸気は排気孔へ
直接流れることができず、加熱蒸気のすべての流れが多
孔板の多数の小孔から下方に配置された容器の開口部に
向けて流れ、固形食品内を流動して固形食品の均一な加
熱を行うことができ、殺菌不足部分の発生を防止するこ
とができる。したがって、固形食品を開放状態において
ムラなく均一にかつ効率よく加熱して、食品の品質を低
下させることなく短時間で殺菌することができる装置を
提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の1実施形態が適用される装置の全般的
な構成を示す斜視図である。
【図2】加熱殺菌アセンブリの正面図である。
【図3】加熱殺菌アセンブリの側面図である。
【図4】容器載置板を示す平面図である。
【図5】多孔板、めくら板およびじゃま板と容器の位置
関係を示す平面図である。
【図6】密閉空間内の容器および多孔板、めくら板およ
びじゃま板の状態を示す断面図である。
【図7】図6中A−A矢視図である。
【図8】比較例1を図6および図7と同様の状態で模式
的に示す図である。
【図9】比較例2を図6および図7と同様の状態で模式
的に示す図である。
【符号の説明】
1 容器 14 上チャンバ 16 下チャンバ 60 多孔板 62 めくら板 64 じゃま板 72 給気孔 74 排気孔
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4B021 LA41 LP01 LT01 4B023 LC08 LE11 LG01 LP08 LT06

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】収容された固形食品の表面上の空間が開口
    部を形成する容器を支持する容器支持手段と、第1の蒸
    気室を有する第1のチャンバと、第2の蒸気室を有する
    第2のチャンバと、該第1および第2のチャンバが密接
    して該第1および第2の蒸気室からなる実質的に密閉さ
    れた密閉空間を形成する密接位置と該第1および第2の
    チャンバが離隔する離隔位置との間で該第1および第2
    のチャンバを相対移動させる相対移動手段と、該第1お
    よび第2のチャンバが該離隔位置にあるときに該容器支
    持手段を該第1および第2のチャンバの間に供給する容
    器供給手段と、該第1および第2のチャンバが該密接位
    置にあるときに該密閉空間に所定圧の蒸気を供給する蒸
    気供給手段とを有し、該第1および第2のチャンバを対
    として有するアセンブリが複数段所定間隔をおいて並設
    されており、該容器供給手段は、殺菌すべき固形食品が
    収容された容器を所定ピッチで間欠的に搬送し、各間欠
    搬送後に所定時間止まる位置において該蒸気供給手段か
    らの蒸気供給を受けて殺菌処理が行われる食品加熱殺菌
    装置において、 該蒸気供給手段は、蒸気供給源に接続されるとともに該
    容器の開口部の一部分に対向するようにして該第1のチ
    ャンバの頂部に開口する1対の給気孔および該1対の給
    気孔の中間において該第1のチャンバの頂部に開口する
    排気孔と、 該第1のチャンバと該第2のチャンバの密接位置におい
    て該容器の開口部の上方かつ該第1のチャンバの頂部の
    下方に位置するように該第1のチャンバに固定され多数
    の小孔が形成された多孔板と、 該1対の給気孔および該排気孔の直下位置からその近傍
    に延長するようにして各給気孔および排気孔に対向して
    該多孔板上に設けられためくら板と、 該1対の給気孔の各々と該排気孔との間の該多孔板上の
    空間内に配されたじゃま板であって、その下端部は該排
    気孔に対向して設けられためくら板の該給気孔側の端縁
    にほぼ接しその上端部は該第1のチャンバの頂部下面に
    ほぼ接するようにして該給気孔と該排気孔を結ぶ線に交
    叉して設けられたじゃま板とを備えることを特徴とする
    食品加熱殺菌装置。
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