JP2002175860A - 金属−黒鉛質電刷子及びその製造方法 - Google Patents
金属−黒鉛質電刷子及びその製造方法Info
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- JP2002175860A JP2002175860A JP2000374952A JP2000374952A JP2002175860A JP 2002175860 A JP2002175860 A JP 2002175860A JP 2000374952 A JP2000374952 A JP 2000374952A JP 2000374952 A JP2000374952 A JP 2000374952A JP 2002175860 A JP2002175860 A JP 2002175860A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 摩擦係数を小さくし、かつ、耐摩粍性に優れ
たものとし得る金属−黒鉛質電刷子を提供する。 【解決手段】 導電性金属、黒鉛、バインダーの炭化物
であるカーボン成分及び二硫化モリブデンからなる金属
−黒鉛質電刷子において、前記導電性金属の粒子の表面
に二硫化モリブデンが被膜状に存在している。
たものとし得る金属−黒鉛質電刷子を提供する。 【解決手段】 導電性金属、黒鉛、バインダーの炭化物
であるカーボン成分及び二硫化モリブデンからなる金属
−黒鉛質電刷子において、前記導電性金属の粒子の表面
に二硫化モリブデンが被膜状に存在している。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、金属−黒鉛質電刷
子及びその製造方法に関する。
子及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、金属−黒鉛質電刷子としては、導
電性金属、黒鉛、バインダーの炭化物であるカーボン成
分及び潤滑剤としての二硫化モリブデン等からなるもの
が知られている(特開平6−189505号公報参
照)。上記、金属−黒鉛質電刷子は、主原料である黒鉛
粉及びバインダーとしての熱硬化性樹脂に対し、アルミ
ニウム粉及び二硫化モリブデン粉を添加して混合した
後、成形して熱処理することによって製造されている。
電性金属、黒鉛、バインダーの炭化物であるカーボン成
分及び潤滑剤としての二硫化モリブデン等からなるもの
が知られている(特開平6−189505号公報参
照)。上記、金属−黒鉛質電刷子は、主原料である黒鉛
粉及びバインダーとしての熱硬化性樹脂に対し、アルミ
ニウム粉及び二硫化モリブデン粉を添加して混合した
後、成形して熱処理することによって製造されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、従来の金属−
黒鉛質電刷子では、平均粒径1〜30μmの潤滑剤とし
ての二硫化モリブデンの粒子が偏在するため、十分な潤
滑効果が得られず、摩擦係数が大きくなり、耐摩粍性に
劣る不具合がある。
黒鉛質電刷子では、平均粒径1〜30μmの潤滑剤とし
ての二硫化モリブデンの粒子が偏在するため、十分な潤
滑効果が得られず、摩擦係数が大きくなり、耐摩粍性に
劣る不具合がある。
【0004】そこで、本発明は、摩擦係数を小さくし、
かつ、耐摩粍性に優れたものとし得る金属−黒鉛質電刷
子及びその製造方法を提供することを目的とする。
かつ、耐摩粍性に優れたものとし得る金属−黒鉛質電刷
子及びその製造方法を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決するた
め、本発明の金属−黒鉛質電刷子は、導電性金属、黒
鉛、バインダーの炭化物であるカーボン成分及び二硫化
モリブデンからなる金属−黒鉛質電刷子において、前記
導電性金属の粒子の表面に二硫化モリブデンが被膜状に
存在していることを特徴とする。前記二硫化モリブデン
の厚みは、0.05〜0.3μmであることが好まし
い。又、前記二硫化モリブデンの含有率は、導電性金
属、黒鉛及びカーボン成分に対し外率で0.01〜24
重量%であることが好ましい。
め、本発明の金属−黒鉛質電刷子は、導電性金属、黒
鉛、バインダーの炭化物であるカーボン成分及び二硫化
モリブデンからなる金属−黒鉛質電刷子において、前記
導電性金属の粒子の表面に二硫化モリブデンが被膜状に
存在していることを特徴とする。前記二硫化モリブデン
の厚みは、0.05〜0.3μmであることが好まし
い。又、前記二硫化モリブデンの含有率は、導電性金
属、黒鉛及びカーボン成分に対し外率で0.01〜24
重量%であることが好ましい。
【0006】一方、金属−黒鉛質電刷子の製造方法は、
導電性金属粉、黒鉛粉及びバインダーに対し、モリブデ
ン、硫黄、炭素及び水素を含む有機モリブデン化合物を
添加して混合した後、成形して熱処理することを特徴と
する。前記有機モリブデン化合物に含まれるモリブデン
成分の割合は、導電性金属粉、黒鉛粉及びバインダーに
対し外率で0.01〜15重量%であることが好まし
い。
導電性金属粉、黒鉛粉及びバインダーに対し、モリブデ
ン、硫黄、炭素及び水素を含む有機モリブデン化合物を
添加して混合した後、成形して熱処理することを特徴と
する。前記有機モリブデン化合物に含まれるモリブデン
成分の割合は、導電性金属粉、黒鉛粉及びバインダーに
対し外率で0.01〜15重量%であることが好まし
い。
【0007】又、金属−黒鉛質電刷子の他の製造方法
は、導電性金属粉、黒鉛粉及びバインダーに対し、モリ
ブデン、炭素及び水素を含む有機モリブデン化合物並び
に硫黄粉又は硫黄化合物を添加して混合した後、成形し
て熱処理することを特徴とする。前記有機モリブデン化
合物に含まれるモリブデン成分並びに硫黄粉又は硫黄化
合物に含まれる硫黄成分の割合は、導電性金属粉、黒鉛
粉及びバインダーに対し外率で0.05〜12重量%並
びに0.03〜18重量%であることが好ましい。
は、導電性金属粉、黒鉛粉及びバインダーに対し、モリ
ブデン、炭素及び水素を含む有機モリブデン化合物並び
に硫黄粉又は硫黄化合物を添加して混合した後、成形し
て熱処理することを特徴とする。前記有機モリブデン化
合物に含まれるモリブデン成分並びに硫黄粉又は硫黄化
合物に含まれる硫黄成分の割合は、導電性金属粉、黒鉛
粉及びバインダーに対し外率で0.05〜12重量%並
びに0.03〜18重量%であることが好ましい。
【0008】前記金属−黒鉛質電刷子においては、潤滑
剤としての二硫化モリブデンが均質に存在する。
剤としての二硫化モリブデンが均質に存在する。
【0009】導電性金属としては、金、白金、銀、銅等
が挙げられる。
が挙げられる。
【0010】二硫化モリブデンの厚みが、0.05μm
未満であると、導電性金属の粒子の表面に被膜を実質的
に存在させることが困難となる。一方、0.3μmを超
えると、電気抵抗が高くなり、電刷子としての利用性に
欠ける傾向がある。より好ましい二硫化モリブデンの厚
みは、0.07〜0.15μmである。又、二硫化モリ
ブデンの含有率が、導電性金属、黒鉛及びカーボン成分
に対し外率で0.01重量%未満であると、二硫化モリ
ブデンの被膜の存在しない導電性金属の粒子が多くな
り、潤滑と耐摩耗の効果が得られ難くなる。一方、24
重量%を超えると、被膜の厚みが大きくなるため、電気
抵抗が高く、電刷子としての利用性に欠ける傾向があ
る。より好ましい二硫化モリブデンの含有率は、導電性
金属、黒鉛及びカーボン成分に対し外率で0.2〜10
重量%である。
未満であると、導電性金属の粒子の表面に被膜を実質的
に存在させることが困難となる。一方、0.3μmを超
えると、電気抵抗が高くなり、電刷子としての利用性に
欠ける傾向がある。より好ましい二硫化モリブデンの厚
みは、0.07〜0.15μmである。又、二硫化モリ
ブデンの含有率が、導電性金属、黒鉛及びカーボン成分
に対し外率で0.01重量%未満であると、二硫化モリ
ブデンの被膜の存在しない導電性金属の粒子が多くな
り、潤滑と耐摩耗の効果が得られ難くなる。一方、24
重量%を超えると、被膜の厚みが大きくなるため、電気
抵抗が高く、電刷子としての利用性に欠ける傾向があ
る。より好ましい二硫化モリブデンの含有率は、導電性
金属、黒鉛及びカーボン成分に対し外率で0.2〜10
重量%である。
【0011】一方、前記金属−黒鉛質電刷子の製造方法
においては、熱せられた有機モリブデン化合物(モリブ
デン有機化合物)が分子内又は分子外に存在する硫黄と
反応して融解した二硫化モリブデンとなり、導電性金属
の粒子の表面に被膜状に存在し、潤滑剤としての二硫化
モリブデンが電刷子中に均質に存在することとなる。こ
こで、有機モリブデン化合物とは、学術的な有機金属化
合物ではない。
においては、熱せられた有機モリブデン化合物(モリブ
デン有機化合物)が分子内又は分子外に存在する硫黄と
反応して融解した二硫化モリブデンとなり、導電性金属
の粒子の表面に被膜状に存在し、潤滑剤としての二硫化
モリブデンが電刷子中に均質に存在することとなる。こ
こで、有機モリブデン化合物とは、学術的な有機金属化
合物ではない。
【0012】導電性金属粉としては、平均粒径15〜1
50μmの金、白金、銀、銅等の粉末が用いられる。黒
鉛粉としては、平均粒径0.5〜120μmの天然黒
鉛、人造黒鉛、キッシュ黒鉛、膨張黒鉛等の粉末が用い
られる。バインダーとしては、フェノール樹脂やエポキ
シ樹脂等の熱硬化性樹脂が用いられる。モリブデン、硫
黄、炭素及び水素を含む有機モリブデン化合物として
は、モリブデンジチオカーバメイトやモリブデンチオフ
ォスフェート等が用いられる。一方、モリブデン、炭素
及び水素を含む有機モリブデン化合物としては、モリブ
デンキサンテートやモリブデンアミンコンプレックス等
が用いられる。有機モリブデン化合物は、そのまま又は
溶媒溶液として添加される。又、硫黄粉としては、平均
粒径5〜130μmの斜方晶系硫黄や単斜晶系硫黄等の
粉末又はその塊が用いられ、硫黄化合物としては、チオ
ジエタノール、ブチルチオール、プロピレンチオグリコ
ール等が用いられる。
50μmの金、白金、銀、銅等の粉末が用いられる。黒
鉛粉としては、平均粒径0.5〜120μmの天然黒
鉛、人造黒鉛、キッシュ黒鉛、膨張黒鉛等の粉末が用い
られる。バインダーとしては、フェノール樹脂やエポキ
シ樹脂等の熱硬化性樹脂が用いられる。モリブデン、硫
黄、炭素及び水素を含む有機モリブデン化合物として
は、モリブデンジチオカーバメイトやモリブデンチオフ
ォスフェート等が用いられる。一方、モリブデン、炭素
及び水素を含む有機モリブデン化合物としては、モリブ
デンキサンテートやモリブデンアミンコンプレックス等
が用いられる。有機モリブデン化合物は、そのまま又は
溶媒溶液として添加される。又、硫黄粉としては、平均
粒径5〜130μmの斜方晶系硫黄や単斜晶系硫黄等の
粉末又はその塊が用いられ、硫黄化合物としては、チオ
ジエタノール、ブチルチオール、プロピレンチオグリコ
ール等が用いられる。
【0013】モリブデン、硫黄、炭素及び水素を含む有
機モリブデン化合物に含まれるモリブデン成分の割合
が、導電性金属粉、黒鉛粉及びバインダーに対し外割で
0.01重量%未満であると、二硫化モリブデンの生成
量が少なくなる。一方、15重量%を超えると、二硫化
モリブデンの生成量が過剰となり、形状変化が顕著とな
る。より好ましい上記有機モリブデン化合物に含まれる
モリブデン成分の割合は、導電性金属粉、黒鉛粉及びバ
インダーに対し外率で、0.3〜6重量%である。一
方、モリブデン、炭素及び水素を含む有機モリブデン化
合物に含まれるモリブデン成分並びに硫黄粉又は硫黄化
合物に含まれる硫黄成分の割合が、導電性金属粉、黒鉛
粉及びバインダーに対し外率で0.05重量%未満並び
に0.03重量%未満であると、モリブデンと硫黄の反
応が起こらず、二硫化モリブデンが生成しない。一方、
12重量%を超え並びに18重量%を超えると、モリブ
デンと硫黄の反応による二硫化モリブデンの生成量が過
剰となり、形状変化が顕著となる。より好ましい上記有
機モリブデン化合物に含まれるモリブデン成分並びに硫
黄粉又は硫黄化合物に含まれる硫黄成分の割合は、導電
性金属粉、黒鉛粉及びバインダーに対し外率で、0.3
〜5重量%並びに0.2〜12重量%である。
機モリブデン化合物に含まれるモリブデン成分の割合
が、導電性金属粉、黒鉛粉及びバインダーに対し外割で
0.01重量%未満であると、二硫化モリブデンの生成
量が少なくなる。一方、15重量%を超えると、二硫化
モリブデンの生成量が過剰となり、形状変化が顕著とな
る。より好ましい上記有機モリブデン化合物に含まれる
モリブデン成分の割合は、導電性金属粉、黒鉛粉及びバ
インダーに対し外率で、0.3〜6重量%である。一
方、モリブデン、炭素及び水素を含む有機モリブデン化
合物に含まれるモリブデン成分並びに硫黄粉又は硫黄化
合物に含まれる硫黄成分の割合が、導電性金属粉、黒鉛
粉及びバインダーに対し外率で0.05重量%未満並び
に0.03重量%未満であると、モリブデンと硫黄の反
応が起こらず、二硫化モリブデンが生成しない。一方、
12重量%を超え並びに18重量%を超えると、モリブ
デンと硫黄の反応による二硫化モリブデンの生成量が過
剰となり、形状変化が顕著となる。より好ましい上記有
機モリブデン化合物に含まれるモリブデン成分並びに硫
黄粉又は硫黄化合物に含まれる硫黄成分の割合は、導電
性金属粉、黒鉛粉及びバインダーに対し外率で、0.3
〜5重量%並びに0.2〜12重量%である。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て具体的な実施例、比較例を参照して説明する。 実施例1 平均粒径50μmの天然黒鉛粉100重量部を炭化収率
60重量%のノボラック型フェノール樹脂20重量部の
メタノール溶液と混捏造粒したものと、平均粒径50μ
mの電解銅粉100重量部とに、平均粒径80μmで、
モリブデン含有率28重量%のモリブデンジチオカーバ
メイト粉38重量部を添加して混合した後、乾式プレス
成形で成形し、成形体を還元性雰囲気において500℃
の温度で熱処理して金属−黒鉛質電刷子を得た。 実施例2 平均粒径50μmの天然黒鉛粉100重量部を炭化収率
60重量%のノボラック型フェノール樹脂20重量部、
モリブデン含有率5重量%のモリブデンアミンコンプレ
ックス210重量部、及び平均粒径3000μmの斜方
晶系硫黄粉13重量部のベンゼン溶液と混捏造粒したも
のに、平均粒径50μmの電解銅粉100重量部を添加
して混合した後、乾式プレス成形で成形し、成形体を還
元性雰囲気において500℃の温度で熱処理して金属−
黒鉛質電刷子を得た。 比較例1 平均粒径50μmの天然黒鉛粉100重量部を炭化収率
60重量%のノボラック型フェノール樹脂20重量部の
イソプロピルアルコール溶液と混捏造粒したもの及び平
均粒径50μmの電解銅粉100重量部とに、平均粒径
3μmの二硫化モリブデン粉末5重量部を添加して混合
した後、乾式プレス成形で成形し、成形体を還元性雰囲
気において500℃の温度で熱処理して金属−黒鉛質電
刷子を得た。
て具体的な実施例、比較例を参照して説明する。 実施例1 平均粒径50μmの天然黒鉛粉100重量部を炭化収率
60重量%のノボラック型フェノール樹脂20重量部の
メタノール溶液と混捏造粒したものと、平均粒径50μ
mの電解銅粉100重量部とに、平均粒径80μmで、
モリブデン含有率28重量%のモリブデンジチオカーバ
メイト粉38重量部を添加して混合した後、乾式プレス
成形で成形し、成形体を還元性雰囲気において500℃
の温度で熱処理して金属−黒鉛質電刷子を得た。 実施例2 平均粒径50μmの天然黒鉛粉100重量部を炭化収率
60重量%のノボラック型フェノール樹脂20重量部、
モリブデン含有率5重量%のモリブデンアミンコンプレ
ックス210重量部、及び平均粒径3000μmの斜方
晶系硫黄粉13重量部のベンゼン溶液と混捏造粒したも
のに、平均粒径50μmの電解銅粉100重量部を添加
して混合した後、乾式プレス成形で成形し、成形体を還
元性雰囲気において500℃の温度で熱処理して金属−
黒鉛質電刷子を得た。 比較例1 平均粒径50μmの天然黒鉛粉100重量部を炭化収率
60重量%のノボラック型フェノール樹脂20重量部の
イソプロピルアルコール溶液と混捏造粒したもの及び平
均粒径50μmの電解銅粉100重量部とに、平均粒径
3μmの二硫化モリブデン粉末5重量部を添加して混合
した後、乾式プレス成形で成形し、成形体を還元性雰囲
気において500℃の温度で熱処理して金属−黒鉛質電
刷子を得た。
【0015】得られた実施例1、実施例2及び比較例1
の金属−黒鉛質電刷子をEPMA(エレクトロンマイク
ロプローブ分析)の特定X線像によって観察したとこ
ろ、実施例1,2のものは、銅の粒子の表面に二硫化モ
リブデンが被膜状に存在しているのに対し、比較例1の
ものは、電刷子中に二硫化モリブデンの粒子が偏在して
いることが確認された。実施例1において、銅粒子の表
面に二硫化モリブデンが被膜状に存在するのは、熱せら
れた有機モリブデン化合物が融解して高い流動性を持
ち、部分的に熱分解した有機モリブデン化合物分子内の
硫黄原子が求核種としての銅の表面原子に接近して、更
なる高温域で熱分解して硫黄原子を架橋点とした二硫化
モリブデン被膜となるためと考えられる。又、実施例2
において銅粒子の表面に二硫化モリブデンが被膜状に存
在するのは、ベンゼン溶液中で十分に混合され、硫黄成
分と有機モリブデン化合物が十分に接近して会合体を形
成し、熱せられた硫黄原子が求核種としての銅の表面原
子に接近し、更なる高温域で有機モリブデン化合物とと
もに分解・化合して、硫黄原子を架橋点とした二硫化モ
リブデン被膜となるためと考えられる。これに対し、比
較例1において、二硫化モリブデンの粒子が偏在するの
は、二硫化モリブデンが流動性を持たず、均質に分散で
きないためと考えられる。
の金属−黒鉛質電刷子をEPMA(エレクトロンマイク
ロプローブ分析)の特定X線像によって観察したとこ
ろ、実施例1,2のものは、銅の粒子の表面に二硫化モ
リブデンが被膜状に存在しているのに対し、比較例1の
ものは、電刷子中に二硫化モリブデンの粒子が偏在して
いることが確認された。実施例1において、銅粒子の表
面に二硫化モリブデンが被膜状に存在するのは、熱せら
れた有機モリブデン化合物が融解して高い流動性を持
ち、部分的に熱分解した有機モリブデン化合物分子内の
硫黄原子が求核種としての銅の表面原子に接近して、更
なる高温域で熱分解して硫黄原子を架橋点とした二硫化
モリブデン被膜となるためと考えられる。又、実施例2
において銅粒子の表面に二硫化モリブデンが被膜状に存
在するのは、ベンゼン溶液中で十分に混合され、硫黄成
分と有機モリブデン化合物が十分に接近して会合体を形
成し、熱せられた硫黄原子が求核種としての銅の表面原
子に接近し、更なる高温域で有機モリブデン化合物とと
もに分解・化合して、硫黄原子を架橋点とした二硫化モ
リブデン被膜となるためと考えられる。これに対し、比
較例1において、二硫化モリブデンの粒子が偏在するの
は、二硫化モリブデンが流動性を持たず、均質に分散で
きないためと考えられる。
【0016】又、得られた実施例1、実施例2及び比較
例1の金属−黒鉛質電刷子にピグテールを取り付け、ス
リップリングに取り込んで十分に摺り合わせた後、室温
下、電流密度6A/cm2、押し圧650g/cm2、周
速5m/sで100時間摺動させたところ、それぞれの
摩擦係数と摩粍量は、表1に示すようになった。
例1の金属−黒鉛質電刷子にピグテールを取り付け、ス
リップリングに取り込んで十分に摺り合わせた後、室温
下、電流密度6A/cm2、押し圧650g/cm2、周
速5m/sで100時間摺動させたところ、それぞれの
摩擦係数と摩粍量は、表1に示すようになった。
【0017】
【表1】
【0018】表1から分かるように、実施例1,2の金
属−黒鉛質電刷子は、比較例1のものに比べて小さな摩
擦係数を示し、耐摩粍性に優れている。
属−黒鉛質電刷子は、比較例1のものに比べて小さな摩
擦係数を示し、耐摩粍性に優れている。
【0019】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の金属−黒
鉛質電刷子及びその製造方法によれば、潤滑剤としての
二硫化モリブデンが均質に存在するので、従来に比べて
摩擦係数を小さくし、かつ、耐摩粍性に優れたものとす
ることができる。
鉛質電刷子及びその製造方法によれば、潤滑剤としての
二硫化モリブデンが均質に存在するので、従来に比べて
摩擦係数を小さくし、かつ、耐摩粍性に優れたものとす
ることができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) H01R 43/12 H01R 43/12 (72)発明者 須貝 博之 山形県西置賜郡小国町大字小国町378番地 東芝セラミックス株式会社小国製造所内 Fターム(参考) 4K018 AA02 AA03 AB05 AB07 AC01 BA01 BA02 BA20 BB04 BB06 BC28 BC32 CA11 DA11 DA31 JA03 JA14 KA35 5E063 FA10 XA04
Claims (7)
- 【請求項1】 導電性金属、黒鉛、バインダーの炭化物
であるカーボン成分及び二硫化モリブデンからなる金属
−黒鉛質電刷子において、前記導電性金属の粒子の表面
に二硫化モリブデンが被膜状に存在していることを特徴
とする金属−黒鉛質電刷子。 - 【請求項2】 前記二硫化モリブデンの厚みが、0.0
5〜0.3μmであることを特徴とする請求項1記載の
金属−黒鉛質電刷子。 - 【請求項3】 前記二硫化モリブデンの含有率が、導電
性金属、黒鉛及びカーボン成分に対し外率で0.01〜
24重量%であることを特徴とする請求項1又は2記載
の金属−黒鉛質電刷子。 - 【請求項4】 導電性金属粉、黒鉛粉及びバインダーに
対し、モリブデン、硫黄、炭素及び水素を含む有機モリ
ブデン化合物を添加して混合した後、成形して熱処理す
ることを特徴とする金属−黒鉛質電刷子の製造方法。 - 【請求項5】 前記有機モリブデン化合物に含まれるモ
リブデン成分の割合が、導電性金属粉、黒鉛粉及びバイ
ンダーに対し外率で0.01〜15重量%であることを
特徴とする請求項4記載の金属−黒鉛質電刷子の製造方
法。 - 【請求項6】 導電性金属粉、黒鉛粉及びバインダーに
対し、モリブデン、炭素及び水素を含む有機モリブデン
化合物並びに硫黄粉又は硫黄化合物を添加して混合した
後、成形して熱処理することを特徴とする金属−黒鉛質
電刷子の製造方法。 - 【請求項7】 前記有機モリブデン化合物に含まれるモ
リブデン成分並びに硫黄粉又は硫黄化合物に含まれる硫
黄成分の割合が、導電性金属粉、黒鉛粉及びバインダー
に対し外率で0.05〜12重量%並びに0.03〜1
8重量%であることを特徴とする請求項6記載の金属−
黒鉛質電刷子の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2000374952A JP2002175860A (ja) | 2000-12-08 | 2000-12-08 | 金属−黒鉛質電刷子及びその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2000374952A JP2002175860A (ja) | 2000-12-08 | 2000-12-08 | 金属−黒鉛質電刷子及びその製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2002175860A true JP2002175860A (ja) | 2002-06-21 |
Family
ID=18844041
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2000374952A Withdrawn JP2002175860A (ja) | 2000-12-08 | 2000-12-08 | 金属−黒鉛質電刷子及びその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2002175860A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR100771804B1 (ko) | 2003-04-09 | 2007-10-30 | 도탄카코 가부시키가이샤 | 금속피복 카본 브러시 |
CN102324681A (zh) * | 2011-06-02 | 2012-01-18 | 朱伟 | 电刷的导电减磨材料的生产方法 |
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2000
- 2000-12-08 JP JP2000374952A patent/JP2002175860A/ja not_active Withdrawn
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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KR100771804B1 (ko) | 2003-04-09 | 2007-10-30 | 도탄카코 가부시키가이샤 | 금속피복 카본 브러시 |
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