JP2002174188A - 無給油式スクロール圧縮機及びその製造方法 - Google Patents

無給油式スクロール圧縮機及びその製造方法

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JP2002174188A
JP2002174188A JP2000369424A JP2000369424A JP2002174188A JP 2002174188 A JP2002174188 A JP 2002174188A JP 2000369424 A JP2000369424 A JP 2000369424A JP 2000369424 A JP2000369424 A JP 2000369424A JP 2002174188 A JP2002174188 A JP 2002174188A
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JP2000369424A
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Takashi Osanawa
尚 長縄
Yuji Yoshitomi
雄二 吉冨
Shigeru Machida
茂 町田
Kazuaki Shiiki
和明 椎木
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Hitachi Ltd
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Hitachi Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】チップシールを用いた無給油式スクロール圧縮
機において、高面圧及び高温下でのチップシールのスク
ロールラップとの潤滑性及び耐摩耗性の向上を図り、高
性能で長寿命にすること。 【解決手段】旋回スクロール3の鏡板に渦巻き形のラッ
プ3b、3dを形成し、旋回スクロールラップ3b、3
dに噛み合って圧縮作動室14、15を形成するラップ
1b、2bを形成した固定スクロール1、2を配設し、
スクロール1、2、3をアルミニウム合金で形成し、そ
のラップ底面1a、3jにニッケル系皮膜を形成すると
共に、スクロール1、2、3の先端部に形成した溝1
f、3hに自己潤滑性高分子材料を主成分とする材料で
形成したチップシールを設ける。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、無給油式スクロー
ル圧縮機及びその製造方法に係り、特にスクロールラッ
プの先端部にチップシールを設けた無給油式スクロール
圧縮機及びその製造方法に好適なものである。
【0002】
【従来の技術】スクロール圧縮機は、従来から知られて
いるように、基本的な動作原理を説明すると、鏡板にイ
ンボリュート曲線などの連続した曲線で渦巻き状に形成
されたラップを直立して設けた旋回スクロールと固定ス
クロールを互いに噛み合わせて、一方のスクロールを他
方のスクロールに対して自転しないように拘束しながら
相対的に旋回運動させ、スクロールの外周部から中央部
に向かって気体を圧縮させるものである。そして、無給
油式スクロール圧縮機は、潤滑油等の液体が存在しない
という特徴を利用して広く使用されており、両スクロー
ルのラップ先端部にチップシールを設けてシール性能を
向上するようにしたものがある。
【0003】この無給油式スクロール圧縮機において、
旋回及び固定両スクロールを軽量化のためにアルミニウ
ム合金で構成することが有効な手段と考えられ、その場
合にアルミニウム合金化された両スクロールとチップシ
ールとの耐摩耗性を向上して圧縮機寿命を長くすること
が求められている。
【0004】従来の無潤滑式スクロール圧縮機として
は、特開平8−128395号公報(従来技術1)に示
されているように、旋回運動する旋回スクロールの鏡板
に渦巻き形のラップを形成し、旋回スクロールの渦巻き
形のラップに噛み合って圧縮作動室を形成するラップを
形成した一対の固定スクロールを配設した無潤滑式スク
ロール圧縮機において、両スクロールをアルミニウム合
金で形成すると共に、その表面に陽極酸化被膜等の表面
処理を施し、両スクロールのラップ先端部には炭素等の
無機系材料や4フッ化エチレン樹脂やポリイミド樹脂の
複合材料で形成したチップシールを設けるものがある。
【0005】また、従来のオイルフリースクロール圧縮
機としては、特開平8−261171号公報(従来技術
2)に示されているように、旋回運動する旋回スクロー
ルの鏡板に渦巻き形のラップを形成し、旋回スクロール
の渦巻き形のラップに噛み合って圧縮作動室を形成する
ラップを形成した固定スクロールを配設したオイルフリ
ースクロール圧縮機において、両スクロールをアルミニ
ウム合金で形成すると共に、そのラップ底面にモリブデ
ン硫化物を含浸処理した陽極酸化被膜を施し、両スクロ
ールのラップ先端部の溝にPEEK(ポリエーテルエー
テルケトン)樹脂またはPI(ポリイミド)樹脂を主成
分とするシール材を設けるものがある。
【0006】一方、従来の給油式スクロール圧縮機とし
ては、特開平5−86483号公報(従来技術3)に示
されているように、旋回運動する旋回スクロールの鏡板
に渦巻き形のラップを形成し、旋回スクロールの渦巻き
形のラップに噛み合って圧縮作動室を形成するラップを
形成した固定スクロールを配設した給油式スクロール圧
縮機において、両スクロールをアルミニウム合金で形成
すると共に、両スクロールの一方を、その表面に微粒子
を複合した無電解ニッケル−リンめっき層を施したもの
で形成するか、微粒子を複合した無電解ニッケル−リン
めっき層の表面が無電解ニッケル−リンめっき層のみの
層からなるもので形成することにより、耐摩耗性を向上
しようとするものがある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来技
術1では、アルミニウム合金で形成した両スクロールの
表面に陽極酸化被膜等の表面処理を施し、両スクロール
のラップ先端部に炭素等の無機系材料や4フッ化エチレ
ン樹脂やポリイミド樹脂の複合材料で形成したチップシ
ールを設けることが示されており、また、従来技術2で
は、アルミニウム合金で形成した両スクロールの溝底面
にモリブデン硫化物を含浸処理した陽極酸化被膜を施
し、両スクロールのラップ先端部の溝にPEEK(ポリ
エーテルエーテルケトン)樹脂またはPI(ポリイミ
ド)樹脂を主成分とするシール材を設けることが示され
ているが、無給油式スクロール圧縮機においては、更な
る圧縮機性能の向上が求められており、特に高面圧及び
高温の条件下で運転されても長寿命化が図れるものが求
められている。
【0008】また、従来技術3では、微粒子を複合した
アルミニウム合金で形成したスクロールの表面に無電解
ニッケル−リンめっき層を施してスクロール部材の摩耗
低減を図ることが示されているが、スクロールラップの
先端部にチップシールを有していない給油式に関するも
のであり、無給油式スクロール圧縮機のスクロールラッ
プの先端部に設けたチップシールの摩耗低減を図ること
については記載されていない。
【0009】本発明の目的は、高面圧及び高温下でのチ
ップシールのスクロールラップとの潤滑性及び耐摩耗性
の向上を図ることにより、高性能で長寿命の無給油式ス
クロール圧縮機を提供することにある。
【0010】本発明の別の目的は、高面圧及び高温下で
のチップシールの耐摩耗性及びスクロールラップとの潤
滑性が優れ、高性能で長寿命の無給油式スクロール圧縮
機を低コストで製造できる無給油式スクロール圧縮機の
製造方法を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
の本発明の第1の特徴は、旋回運動する旋回スクロール
の鏡板に渦巻き形のラップを形成し、前記旋回スクロー
ルの渦巻き形のラップに噛み合って圧縮作動室を形成す
るラップを形成した固定スクロールを配設した無給油式
スクロール圧縮機において、前記両スクロールをアルミ
ニウム合金で形成すると共に、そのラップ底面にニッケ
ル系皮膜を形成し、前記両スクロールのラップ先端部に
形成した溝に自己潤滑性高分子材料を主成分とする材料
で形成したチップシールを設けたことにある。
【0012】好ましくは、前記自己潤滑性高分子材料は
ポリテトラフルオロエチレン或いは変性ポリテトラフル
オロエチレンを主成分とする材料で形成したことにあ
る。
【0013】また、前記チップシールは熱伝導性及び耐
摩耗性の良好な銅合金粉末であるブロンズを配合したポ
リテトラフルオロエチレン或いは変性ポリテトラフルオ
ロエチレンを主成分とする材料で形成したことにある。
【0014】また、前記チップシールは耐摩耗性の良好
な球状炭素または炭素繊維を配合したポリテトラフルオ
ロエチレン或いは変性ポリテトラフルオロエチレンを主
成分とする材料で形成したことにある。
【0015】また、好ましくは、前記チップシールは潤
滑性の良好な二硫化モリブデンを配合したポリテトラフ
ルオロエチレン或いは変性ポリテトラフルオロエチレン
を主成分とする材料で形成したことことにある。
【0016】また、特に好ましくは、前記チップシール
は、熱伝導性及び耐摩耗性が良好な銅合金粉末であるブ
ロンズ、耐摩耗性の良好な球状炭素または炭素繊維、及
び潤滑性の良好な二硫化モリブデンを配合したポリテト
ラフルオロエチレン或いは変性ポリテトラフルオロエチ
レンを主成分とする材料で形成したことにある。
【0017】本発明の第2の特徴は、鏡板に渦巻き形の
ラップを形成した旋回スクロールと、前記旋回スクロー
ルの渦巻き形のラップに噛み合って圧縮作動室を形成す
るラップを形成した固定スクロールとを組合せて無給油
式スクロール圧縮機を製造する方法において、前記両ス
クロールをアルミニウム合金で形成した後に、そのラッ
プ底面を精密機械加工により表面粗さを小さく形成し、
この状態で前記ラップ底面にニッケル系皮膜処理を施
し、次いで前記両スクロールのラップ先端部に形成した
溝に、熱伝導性及び耐摩耗性の良好な銅合金粉末である
ブロンズ、耐摩耗性の良好な球状炭素または炭素繊維、
及び潤滑性の良好な二硫化モリブデンを配合したポリテ
トラフルオロエチレン或いは変性ポリテトラフルオロエ
チレンを主成分とするチップシールを配置し、この状態
の両スクロールを組み合わせたことことにある。
【0018】
【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施例における
無給油式スクロール圧縮機を図を用いて説明する。
【0019】まず、無給油式スクロール圧縮機の全体構
成について図1から図5を参照して説明する。図1は本
発明の一実施例における無給油式スクロール圧縮機の縦
断面図、図2は同無給油式スクロール圧縮機の固定スク
ロールの平面図、図3は同無給油式スクロール圧縮機の
旋回スクロールの平面図、図4は同無給油式スクロール
圧縮機のラップの噛み合い状態を示す断面図、図5は同
旋回スクロールと固定スクロールの噛み合い状態を示す
断面鳥瞰図である。
【0020】図1に示す無給油式スクロール圧縮機は、
外周駆動型スクロール圧縮機であり、鏡板の一側に渦巻
き状に形成されたスクロールラップ1bを有する固定ス
クロール1と、鏡板の一側に渦巻き状に形成されたスク
ロールラップ2bを有する固定スクロール2と、鏡板3
aの両側に渦巻き状に形成されたスクロールラップ3
b、3cを有する旋回スクロール3とを備えている。
【0021】固定スクロール1、2は、そのスクロール
ラップ1b、2bがスクロールラップ3bに噛み合うよ
うに旋回スクロール3の両側に配置される。これによ
り、旋回スクロール3の鏡板3aの両側に圧縮作動室1
4、15が形成される。この圧縮作動室14、15は、
図4及び図5で明らかなように、固定スクロールラップ
1b、2bと旋回スクロール3bとの間に三日月状に複
数形成される。スクロール圧縮機では、三日月状の圧縮
作動室14、15が中心軸に対して対称にかつ同じ体積
で一対構成され、それが複数形成される。この圧縮作動
室14、15は、外周部から中心に向かって順次その体
積が減少するように構成されていると共に、旋回スクロ
ール3の旋回運動に伴って連続的に中心に移動するよう
になっている。そして、係る圧縮作動室14、15は、
無給油式スクロール圧縮機の性能向上に伴って、高面圧
及び高温下の条件で形成されるようになっている。な
お、旋回スクロール3の鏡板3aは、上下の圧縮作動室
14、15が連通するようにほぼ中央部に貫通する流路
8が設けられている。
【0022】固定スクロール1、2及び旋回スクロール
3のそれぞれのスクロールラップ1b、2b、3bの先
端部には、図1に示すようにチップシール1c、2c、
3dがそれぞれ渦巻きに沿って複数個に分割されて設け
られている。これより、チップシール1c、2c、3d
の成形性、組立性に優れ、さらにはメンテナンスコスト
の低減を図ることができる。
【0023】図5に示すように旋回スクロール3のスク
ロールラップ3bに設けたラップ溝3h、3iは、溝区
切り3kを境に周方向に2つに分割されている。それぞ
れのラップ溝3h、3iに分割されたチップシール3d
(図1参照)が嵌入される構造となっている。この際、
チップシール3dの周方向の長さは嵌入されるラップ溝
3h、3iの長さより短くしている。これにより空気圧
縮時に発生する熱によってチップシール3dが膨張して
も、周方向の隙間長さ分だけ自由に膨張できるので、チ
ップシール3d及びラップ溝3h、3iに過大な負荷を
かけることなく動作させることができる。
【0024】図1に示すように、旋回スクロール3の鏡
板3aの外周部には、偏心部を有する駆動軸4と、これ
に同じ偏心量の偏心部を有する補助駆動軸5とが配置さ
れている。旋回スクロール3は、それらの駆動軸4、5
の少なくともいずれか一方の偏心部分(本実施例では補
助駆動軸5の偏心部分)に弾性支持部材13を有する軸
受11bが設けられている。駆動軸4や補助駆動軸5は
旋回スクロール3に設けられた軸受11a及び11bを
介して回転可能な構造になっている。そして、旋回スク
ロール3は、駆動軸4及び補助駆動軸5が同時に回転す
ることによって、自転を阻止された状態で旋回運動が行
われるようになっている。
【0025】固定スクロール1は、そのほぼ中央部に吐
出ポート9が形成されており、外表面(ラップの裏面)
全体に放熱フィン1dが設けられている。この放熱フィ
ン1dの周りは冷却風の流路になっており、放熱フィン
1dの放熱効果が高められるようになっている。他方の
固定スクロール2も、そのほぼ中央部に吐出ポート9が
形成されており、外表面全体に放熱フィン2dが設けら
れている。この放熱フィン2dの周りも冷却風の流路に
なっており、放熱フィン2dの放熱効果が高められるよ
うになっている。また、旋回スクロール3は、その鏡板
3a全体にわたって放熱孔3fが形成されており、放熱
孔3f内が冷却風の流路になっており、鏡板3aの放熱
効果が高められるようになっている。このようにして、
圧縮作動室14、15で流体が断熱圧縮されることによ
り発生する熱は、固定スクロール1、2及び旋回スクロ
ール3を通して冷却風中に放熱される。
【0026】図1に示すように、固定スクロール1の外
周部にはフランジ部1gを有し、固定スクロール2の外
周部にはボルト穴12を有するフランジ部2fを有す
る。そして、図示しないボルトをボルト穴12にねじ込
むことにより、両固定スクロール1、2がフランジ部1
g、2fにおいてボルト締結される。
【0027】図2に示すように、固定スクロール2に
は、圧縮する流体を吸込むための吸入孔10が設けられ
ている。この吸入孔10は、フランジ部2fを貫通する
ように設けられ、旋回スクロール全体を覆うように構成
されている吸込み室空間2gに連通されている。また、
図3に示すように、旋回スクロール3の鏡板3aには、
両側の圧縮作動室14、15を連通する小さな直径の連
通孔3gが渦巻きに沿って180度間隔で複数個設けら
れている。
【0028】固定スクロール1、2及び旋回スクロール
3は、それぞれアルミニウム合金に代表されるように軽
量で熱伝導性のよい材料で構成されている。本実施例で
は、旋回スクロール3の方が高い温度になるため、旋回
スクロール3はシリコン含有量の多いアルミニウム合金
で構成されて高温下での機械的強度を確保するようにな
っている。
【0029】次に、固定スクロール1と旋回スクロール
3との摺動部分の構成及び耐摩耗性について図6及び図
7を参照しながら説明する。図6は図1の無給油式スク
ロール圧縮機の旋回スクロール及び固定スクロールのラ
ップ部の拡大縦断面図、図7は同無給油式スクロール圧
縮機に用いるチップシールの表面処理別摩耗量の比を示
す図である。
【0030】図6において、固定スクロール1及び旋回
スクロール3は、上述したようにアルミニウム合金で形
成されている。固定スクロール1及び旋回スクロール3
のラップ先端にはチップシール嵌入用の溝1f、3hが
形成されており、チップシール1c、3dが嵌入されて
いる。逐次形成される圧縮室14において、スクロール
中心部側の圧縮室14が高圧側となり、スクロールラッ
プ1b、3bで仕切られた隣の圧縮室14との間で圧力
差が生じ、チップシール1c、3dが浮上して、それぞ
れラップ底面1a、3j及び溝1f、3hの側面に押し
付けられ、圧縮室14間のシール性を保つようになって
いる。
【0031】固定スクロール1のラップ底面1aとラッ
プ1bの側面にはニッケル系皮膜処理が施されて皮膜6
が形成されると共に、旋回スクロール3のラップ底面3
jとラップ3bの側面にもニッケル系皮膜処理が施され
て皮膜6が形成される。本実施例では無電解めっき法に
よりニッケル系皮膜6が20μmの厚さで形成されてい
る。この無電解めっき法では、温度100℃でニッケル
系皮膜6を形成するため、アルミニウム合金で形成され
た固定スクロール1及び旋回スクロール3に熱によるひ
ずみが殆ど発生しない。
【0032】上述した固定スクロール1及び旋回スクロ
ール3にニッケル系皮膜6を形成した場合に、皮膜処理
前後で表面粗さがほとんど変わらないと共に、皮膜処理
後のニッケル系皮膜6の表面が滑らかでかつニッケル系
皮膜6特有の軟らかになるという特徴を有している。そ
こで、皮膜処理前に、固定スクロール1及び旋回スクロ
ール3の表面を精密機械加工により表面粗さを小さくし
ておくことにより、皮膜処理後の精密機械加工を必要と
せずに、ニッケル系皮膜6の表面粗さを小さくできると
共に、ニッケル系皮膜6の表面を極めて滑らかなものと
することができ、かつニッケル系皮膜6特有の柔らから
にすることができる。これにより、皮膜処理後の精密機
械加工を省略することができ、無給油式スクロール圧縮
機の生産性を著しく向上できる。なお、本実施例では、
チップシール1c、3dが摺動するラップ底面1a、3
jを十点平均表面粗さ5μmで精密機械加工した後、ニ
ッケル系皮膜処理を施したものであり、皮膜処理後のラ
ップ底面1a、3jの十点平均表面粗さも5μmであっ
た。なお、このニッケル系皮膜6のビッカース硬さはH
v500である。
【0033】固定スクロール1及び旋回スクロール3
は、上述したニッケル系皮膜6により、スクロールラッ
プ1b、3b側面部の潤滑性及び耐摩耗性が向上するの
で、旋回スクロール3の旋回運動中にスクロールラップ
1b、3b側面部が接触する際に、スクロールラップ1
b、3bが円滑に摺動して動作させることができ、長期
寿命化を図ることができる。
【0034】チップシール1c、3dは、潤滑性の優れ
た自己潤滑性高分子材料を主成分とする材料で形成され
ている。チップシール1c、3dは、ラップ底面1a、
3jとの摺動摩擦によって摩耗するが、自己潤滑性高分
子材料を主成分とし、上述したラップ底面1a、3jの
ニッケル系皮膜6と組み合わせて用いることにより、高
面圧及び高温下でのチップシール1c、3dの摩耗量を
著しく低減することができる。これによって、無給油式
スクロール圧縮機の信頼性の向上を図ることができると
共に、チップシール1c、3dの長期メンテナンスフリ
ーを実現することができる。また、本実施例に用いるチ
ップシール1c、3dは、熱可塑性樹脂の中で耐熱性、
耐摩耗性に優れたポリテトラフルオロエチレン或いは変
性ポリテトラフルオロエチレンを主成分と材料で形成し
ている。これにより、上述したラップ底面1a、3jの
ニッケル系皮膜6との相性が極めて良好になり、より一
層の長寿命化、長期メンテナンスフリー化を図ることが
できる。
【0035】さらに、チップシール1c、3dは、ポリ
テトラフルオロエチレン或いは変性ポリテトラフルオロ
エチレンをベースレジンとした材料に、熱伝導性及び耐
摩耗性の良好な銅合金粉末であるブロンズや、耐摩耗性
の良好な球状炭素または炭素繊維や、潤滑性の良好な二
硫化モリブデン等を充填して形成されている。これによ
り、次に述べる通り、ニッケル系皮膜6との潤滑性及び
耐摩耗性を向上させることができる。
【0036】このようにブロンズを充填するのは、高面
圧及び高温の条件下では、チップシール1c、3dに熱
がこもって、ラップ底面1a、3jとの摺動摩擦による
摩耗が大きくなるのを防ぐため、チップシール1c、3
dを冷却して温度上昇による耐摩耗性の低下を防止する
必要があるからである。即ち、銅合金のブロンズは金属
の中でも熱伝導性がよい材料であり、粉末のブロンズを
充填することにより、チップシール1c、3dの熱伝導
性がよくなり、発熱したチップシール1c、3dの熱を
摺動する相手材に伝えて、チップシール1c、3dの冷
却を促進することができる。また、ブロンズそのものも
耐摩耗性に優れた材料であり、チップシール1c、3d
の耐摩耗性の向上にも寄与している。
【0037】さらには、耐摩耗性の良好な球状炭素また
は炭素繊維は、ベースレジンよりも熱伝導性がよい材料
であり、二硫化モリブデンは潤滑性がよい材料であり、
これらを配合することにより、伝熱冷却の促進及び耐摩
耗性の向上を図ることができる。
【0038】本実施例で説明したチップシール1c、3
dの摩耗量を比較した結果を図7に示す。図7における
摺動条件は、温度160℃、摺動速度2.6m/s、摺
動面圧0.2MPaである。チップシール1c、3dが
摺動するラップ底面1a、3jは、陽極酸化皮膜処理し
たままのもの(No.1)と、陽極酸化皮膜処理後に精
密機械加工したもの(No.2)と、本発明のニッケル
系皮膜処理したままのもの(No.3)の3種類につい
て記述してある。十点平均表面粗さは、No.1が25
μm、NO.2が5μm、No.3が5μmである。摩
耗量の比は、チップシール1c、3dの摩耗量を摺動時
間1、000時間後のチップシール1c、3dの質量を
測定して求め、No.2の摩耗量を1として、No.1
及びNo.3を求めたものである。
【0039】図7から明らかなように、No.1の摩耗
量は、No.2の摩耗量の1.35倍であり、チップシ
ール1c、3dの早期交換が余儀なくされる。一方、本
発明のニッケル系皮膜処理したままのNo.3は、N
o.2の0.45倍と大幅に低減している。したがっ
て、本発明によるチップシール1c、3dの寿命は、N
o.2の陽極酸化皮膜処理後に十点平均表面粗さ5μm
に精密機械加工した面を摺動する場合と比較しても2倍
以上に長くすることができる。
【0040】このように、本発明の材料で形成したチッ
プシール1c、3dをスクロール圧縮機に用いるととも
に、本発明のニッケル系皮膜処理を固定スクロール1及
び旋回スクロール3に施すことにより、チップシール1
c、3dの長期メンテナンスフリーを実現することがで
きる。
【0041】図6及び図7に係る説明においては、固定
スクロール1と旋回スクロール3との摺動部分に関して
して説明したが、固定スクロール2と旋回スクロール3
との摺動部分についてもこれと基本的に同じである。
【0042】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
高面圧及び高温下でのチップシールのスクロールラップ
との潤滑性及び耐摩耗性の向上を図ることにより、高性
能で長寿命の無給油式スクロール圧縮機を得ることがで
きる。
【0043】また、本発明によれば、高面圧及び高温下
でのチップシールの耐摩耗性及びスクロールラップとの
潤滑性が優れ、高性能で長寿命の無給油式スクロール圧
縮機を低コストで製造できる無給油式スクロール圧縮機
の製造方法を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例における無給油式スクロール
圧縮機の縦断面図である。
【図2】同無給油式スクロール圧縮機の固定スクロール
の平面図である。
【図3】同無給油式スクロール圧縮機の旋回スクロール
の平面図である。
【図4】同無給油式スクロール圧縮機のラップの噛み合
い状態を示す断面図である。
【図5】同旋回スクロールと固定スクロールの噛み合い
状態を示す断面鳥瞰図である。
【図6】同無給油式スクロール圧縮機の旋回スクロール
及び固定スクロールのラップ部の拡大縦断面図である。
【図7】同無給油式スクロール圧縮機に用いるチップシ
ールの表面処理別摩耗量の比を示す図である。
【符号の説明】
1…固定スクロール、1a…ラップ底面、1b…スクロ
ールラップ、1c…チップシール、1d…放熱フィン、
1f…ラップ溝、1g…フランジ部、2…固定スクロー
ル、2a…ラップ底面、2b…スクロールラップ、2c
…チップシール、2d…放熱フィン、2f…フランジ
部、2g…吸込み室空間、3…旋回スクロール、3a…
鏡板、3b、3c…スクロールラップ、3d…チップシ
ール、3f…放熱孔、3g…連通孔、3h…ラップ溝、
3i…ラップ溝、3j…ラップ底面、3k…溝区切り、
4…駆動軸、5…補助駆動軸、6…ニッケル系皮膜、8
…流路、9…吐出ポート、10…吸入孔、11…軸受、
12…ボルト穴、13…弾性支持部材、14、15…圧
縮作動室。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 町田 茂 茨城県土浦市神立町502番地 株式会社日 立製作所機械研究所内 (72)発明者 椎木 和明 静岡県清水市村松390番地 株式会社日立 製作所産業機器グループ内 Fターム(参考) 3H029 AA02 AA12 AA24 BB16 BB31 BB43 BB44 CC02 CC19 CC38 CC39 3H039 AA05 AA10 AA14 BB04 BB07 BB11 BB28 CC05 CC31 CC35 CC36 CC41

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】旋回運動する旋回スクロールの鏡板に渦巻
    き形のラップを形成し、前記旋回スクロールの渦巻き形
    のラップに噛み合って圧縮作動室を形成するラップを形
    成した固定スクロールを配設した無給油式スクロール圧
    縮機において、前記両スクロールをアルミニウム合金で
    形成すると共に、そのラップ底面にニッケル系皮膜を形
    成し、前記両スクロールのラップ先端部に形成した溝に
    自己潤滑性高分子材料を主成分とする材料で形成したチ
    ップシールを設けたことを特徴とする無給油式スクロー
    ル圧縮機。
  2. 【請求項2】前記自己潤滑性高分子材料はポリテトラフ
    ルオロエチレン或いは変性ポリテトラフルオロエチレン
    を主成分とする材料で形成したことを特徴とする請求項
    1に記載の無給油式スクロール圧縮機。
  3. 【請求項3】前記チップシールは熱伝導性及び耐摩耗性
    の良好な銅合金粉末であるブロンズを配合したポリテト
    ラフルオロエチレン或いは変性ポリテトラフルオロエチ
    レンを主成分とする材料で形成したことを特徴とする請
    求項1に記載の無給油式スクロール圧縮機。
  4. 【請求項4】前記チップシールは耐摩耗性の良好な球状
    炭素または炭素繊維を配合したポリテトラフルオロエチ
    レン或いは変性ポリテトラフルオロエチレンを主成分と
    する材料で形成したことを特徴とする請求項1に記載の
    無給油式スクロール圧縮機。
  5. 【請求項5】前記チップシールは潤滑性の良好な二硫化
    モリブデンを配合したポリテトラフルオロエチレン或い
    は変性ポリテトラフルオロエチレンを主成分とする材料
    で形成したことを特徴とする請求項1に記載の無給油式
    スクロール圧縮機。
  6. 【請求項6】前記チップシールは、熱伝導性及び耐摩耗
    性が良好な銅合金粉末であるブロンズ、耐摩耗性の良好
    な球状炭素または炭素繊維、及び潤滑性の良好な二硫化
    モリブデンを配合したポリテトラフルオロエチレン或い
    は変性ポリテトラフルオロエチレンを主成分とする材料
    で形成したことを特徴とする請求項1に記載の無給油式
    スクロール圧縮機。
  7. 【請求項7】鏡板に渦巻き形のラップを形成した旋回ス
    クロールと、前記旋回スクロールの渦巻き形のラップに
    噛み合って圧縮作動室を形成するラップを形成した固定
    スクロールとを組合せて無給油式スクロール圧縮機を製
    造する方法において、前記両スクロールをアルミニウム
    合金で形成した後に、そのラップ底面を精密機械加工に
    より表面粗さを小さく形成し、この状態で前記ラップ底
    面にニッケル系皮膜処理を施し、次いで前記両スクロー
    ルのラップ先端部に形成した溝に、熱伝導性及び耐摩耗
    性の良好な銅合金粉末であるブロンズ、耐摩耗性の良好
    な球状炭素または炭素繊維、及び潤滑性の良好な二硫化
    モリブデンを配合したポリテトラフルオロエチレン或い
    は変性ポリテトラフルオロエチレンを主成分とするチッ
    プシールを配置し、この状態の両スクロールを組み合わ
    せたことを特徴とする無給油式スクロール圧縮機の製造
    方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN101761475B (zh) * 2008-12-22 2012-09-05 株式会社日立产机系统 免加油涡旋式压缩机
JP2013170516A (ja) * 2012-02-21 2013-09-02 Sanden Corp スクロール型流体機械

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