JP2002174007A - 屋根板材 - Google Patents

屋根板材

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JP2002174007A
JP2002174007A JP2000374055A JP2000374055A JP2002174007A JP 2002174007 A JP2002174007 A JP 2002174007A JP 2000374055 A JP2000374055 A JP 2000374055A JP 2000374055 A JP2000374055 A JP 2000374055A JP 2002174007 A JP2002174007 A JP 2002174007A
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ridge
shingle
plate
rainwater
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Motoyuki Suzuki
基之 鈴木
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MIZUKUWA SHOTEN KK
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 雨水の浸入を確実に防止し、断熱、防音効果
もを奏する屋根板材を提供する。 【解決手段】 屋根板材310は、平板状の屋根板部材
12の左右端部辺に、接合部材314L、314Rを備
える。縦葺きした場合、隣り合う屋根板材310では、
その一方における接合部材314Lの内部に他方の屋根
板材310の接合部材314Rが有する内側凸条部31
6が入り込み、下方側凸条部317で屋根板部材12を
支える。この接合部材314Lと内側凸条部316並び
に下方側凸条部317は、共に屋根勾配に沿って傾斜
し、下方側凸条部317は、樋として作用する溝を形成
する。こうした係合では、接合部材314の内部に雨水
が浸入しても、その雨水は内側凸条部316で止め置か
れて流れ落ちるので、雨水は内側凸条部316を越えが
たい。雨水がこの凸条部を越えても、その雨水は、下方
側凸条部317が形成する溝に沿って流れ落ちる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、耐久性、断熱性、
防音性に優れた屋根葺きの簡略化を低コストで実現可能
とし、また、取り付け・取り外しを経た移設が可能な屋
根板材に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より瓦に代わる屋根板材として各種
の技術が提案されている。その中でも実公平4−492
92号公報、実登3017834号公報に開示される技
術によれば、屋根板材として耐久性に優れた金属を利用
し、その係合端部を特異形状に折り曲げ加工したり、係
合部の下面に水切りプレートを用いるなどして係合部か
らの雨水の浸入を防いでいる。従って、これらの技術か
らなる屋根板材によれば、屋根板材そのものの優れた耐
久性に加え、野地板の防水によって屋根の保護に優れた
効果を発揮する。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、従来の屋根板
材は、次のような課題を有しており、未だに瓦に代わる
地位を確立しているとは言い難いものであった。
【0004】第一に、従来の屋根板材は、曲げ加工した
係合端部を相互に隙間なく強固に係合することで雨水の
浸入を防止しようとする技術思想である。しかし、どの
様に強固に係合する形状であっても、流体であり表面張
力の大きな水の進入を完全に防ぐことは不可能であり、
野地板への雨水の浸入を防止する効果には一定の限界が
ある。
【0005】第二に、屋根板材の材料として耐久性に優
れた金属が使用されているが、このために降雨時に金属
音が発生し、その音が屋根板材と直接接している野地板
を伝って屋根裏にまで響くという新たな問題が発生して
いる。
【0006】第三に、金属製の屋根板材は、陶器の瓦に
比べて比熱が極めて小さいために環境変化に伴う冷熱変
化が激しく、その温度変化が木製の野地板に伝わり、前
述した雨水の浸入と相俟って屋根の耐用年数を短くして
いる。また、屋根板材が葺かれた屋根全面を通じての放
熱、加熱が行われるために、屋内が夏期には暑く、冬季
には寒くなる。
【0007】本発明は、上記した問題点を解決するため
になされ、耐久性に優れることはもちろんのこと、雨水
の浸入を確実に防止し、断熱、防音効果もを奏する優れ
た屋根板材を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段およびその作用・効果】上
記した課題を解決するため、本発明の屋根板材は、屋根
外観をなすよう屋根組に縦葺き固定される屋根板材にお
いて、長尺状で所定幅の板材により形成される屋根板部
材と、屋根の屋根勾配に沿った前記屋根板部材の一方端
部辺に連設され、前記屋根板部材から上方に凸状とされ
た凸条部と、前記屋根板部材の他方端部辺に連設され、
隣り合う前記屋根板部材が有する前記凸条部とその内部
において接合する接合部材と、前記屋根板部材に配設さ
れ、前記屋根組から前記屋根板部材を離間して下支えす
ると共に、前記屋根組に前記屋根板部材を固定するため
の固定部材とを備え、前記接合部材は、前記隣合う屋根
板部材が有する前記凸条部の内部に入り込むよう、前記
屋根板部材から上方に凸状とされた内部凸条部と、該内
部凸条部に続いて形成され、前記屋根板部材から下方に
凸状とされた下方側凸条部とを有し、該下方側凸条部
は、前記他方端部辺側で凸形状を形成する端部側上昇辺
部を前記隣り合う屋根板部材の下面に向かわせて延出さ
せていることを特徴とする。
【0009】本発明の屋根板材では、屋根勾配に沿った
屋根板部材の端部辺のうち、一方の端部辺には、屋根板
部材から上方に凸状とされた凸条部を屋根板部材に連設
し、他方の端部辺には接合部材を屋根板部材に連設す
る。本発明の屋根板材を屋根組に縦葺きすると、隣り合
う屋根板部材において、一方の屋根板部材の凸条部と他
方の屋根板部材の接合部材が屋根勾配に沿って相対する
ことになる。本発明では、この接合部材は隣り合う屋根
板部材が有する凸条部とその内部において接合するもの
であることから、隣り合う屋根板部材間では、一方の屋
根板部材の凸条部に他方の屋根板部材の接合部材が入り
込んで接合する。こうして両屋根板材が接合された状態
で、それぞれの屋根板材は、固定部材により屋根組から
離間して下支えされて屋根組に固定されることになる。
【0010】ところで、接合部材は、内部凸条部とこれ
に続く下方側凸条部を備え、前者の内部凸条部は、隣合
う屋根板部材が有する凸条部の内部に入り込むよう屋根
板部材から上方に凸状とされたものである。よって、上
記のように凸条部と接合部材が接合した状態では、凸条
部の内部において、一方の屋根板部材における内部凸条
部に他方の屋根板部材の凸条部が覆い被さるようにな
る。また、下方側凸条部は、この内部凸条部に続いて形
成され屋根板部材から下方に凸状とされたものであるの
で、凸条部で覆われた内部凸条部に続いて屋根板部材の
端部辺側に、開口部が上を向いた溝を形成する。しか
も、この下方側凸条部は、その凸形状を形成する端部側
上昇辺部を隣り合う屋根板部材の下面に向かわせて延出
させているので、この端部側上昇辺部により、この溝を
屋根板部材から区画する。こうして形成された溝は、下
方側凸条部が他方の屋根板部材の凸条部により覆われた
内部凸条部に続くものであることから、凸条部に覆われ
る若しくは他方の屋根板部材に覆われることになる。こ
うした凸条部による内部凸条部の覆いや、凸条部若しく
は屋根板部材による上記溝の覆いは、屋根勾配に沿った
ものとなる。また、上記の溝は、雨水を低所へと屋根勾
配に沿って導く樋の作用をなすことになる。
【0011】つまり、縦葺きした場合の隣り合う屋根板
部材間では、凸条部と内部凸条部は、内部凸条部が凸条
部で覆われた状態で共に屋根板部材から突出し、屋根勾
配に倣って傾斜する。よって、凸条部の内部に雨水が浸
入しても、凸条部内の内部凸条部によりそれ以降の雨水
浸入は防止され、その浸入雨水は内部凸条部で止め置か
れる。しかも、上記両凸条部は屋根の傾斜に倣って傾斜
することから、内部凸条部で止め置かれた浸入雨水は、
屋根勾配に沿って流れ落ちるので、より雨水浸入の防止
効果は高まる。
【0012】仮に、凸条部内の内部凸条部を乗り越えて
雨水が浸入しても、その浸入雨水は、内部凸条部に続く
下方側凸条部で形成され樋の作用をなす溝に入り込むこ
とから、この溝により軒側に排出される。よって、屋根
組への雨水の浸入を確実に防止することができる。しか
も、隣り合う屋根板部材相互の係合に際しては、一方の
屋根板部材の凸条部内部への他方の屋根板部材の内部凸
条部の入り込みを起こすのみであり、機械的に緊密な固
定機構を有していない。このため、屋根板部材の大きさ
の変化、例えば経時変化や熱膨張変化などが発生して
も、この係合箇所による形状変化の吸収が行われ、無用
な応力が蓄積されることを防止することが出来る。ま
た、施工後の屋根板材の回収も簡便となると共に、回収
後の屋根板材をそのまま再利用できる。更には、屋根葺
き施行現場での曲げ等の現場加工を必要とせず、より一
層作業性が高まる。
【0013】なお、屋根板部材の所定幅は、屋根に使用
する枚数を考えると、450mmないし1200mmが
好ましく、より好ましくは600mmから1000mm
である。このような寸法であれば、取り扱いの上からも
好ましい。また、上記のように浸入雨水の止め置き作用
をなす内部凸条部の突出高さは、雨水の浸水を完全に防
止するという観点から50mmないし150mmが好ま
しく、凸条部は、この内部凸条部を覆うことができるよ
う突出していればよい。両凸条部を矩形状断面の凸とし
た場合には、その突部幅は、25mmから75mmが好
ましい。詳しくは、凸条部の突部幅が内部凸条部の突部
幅よりも広くした上で上記幅とすればよい。また、下方
側凸条部にあっては、その形成する溝を樋として作用さ
せる都合上、25mmから50mm程度の幅の矩形形状
凸とすることが好ましい。なお、下方側凸条部の幅をこ
の程度とすれば、下方側凸条部が直に屋根組に当接する
場合でも、屋根組へのくい込みを回避できより好まし
い。
【0014】また、屋根板部材は、固定部材を介して屋
根組に対して下支えされて固定されるため、その固定部
材の高さ分だけの空気層が屋根組における板材(例え
ば、野地板)と屋根板部材との間に形成される。従っ
て、屋根板部材として耐久性に富む金属などを利用して
も、この空気層が降雨による金属音に関しては防音層と
して、また環境変化に伴う屋根板部材の冷熱に関しては
断熱層として作用し、優れた防音、断熱効果を発揮す
る。この固定部材により形成される空気層は、防音、断
熱効果を有効に発揮させるために、50mmから120
mmが好適であり、固定部材により形成される空気層の
厚みと上記した下方側凸条部の突出高さを同じとすれ
ば、屋根板部材を、固定部材と下方側凸条部の両方で、
屋根組に対して保持できるので好ましい。
【0015】なお、屋根板部材と両端部辺の凸条部、接
合部材は、金属により形成されていることが加工性、耐
久性の観点から望ましく、特に鋼板、純度の高い鉄、チ
タン、ステンレス、アルミなどが耐久性の面からより好
ましい。この場合、屋根板部材と接合部材の板厚として
は、いわゆるそりや不用意な変形を回避する上から、或
いは重量の観点から、2mm〜6mmであればよい。
【0016】また、凸条部を、金属製の屋根板部材を一
方の端部辺の側で曲げ加工して形成することとし、接合
部材が有する内部凸条部と下方側凸条部とを、金属製の
屋根板部材を他方端部辺の側で同じく曲げ加工して形成
するようにすれば、生産性、耐久性の面からはもとよ
り、防水性向上、コスト低減の点からも好適である。ま
た、屋根板部材を加工性に優れた金属により形成するな
らば、押し出し成型などにより屋根板部材と凸条部並び
に接合部材とを一体成型することもでき、こうしても、
耐久性、防水性を向上できる。
【0017】また、固定部材は、屋根板部材に比べて断
熱及び/または防震効果に優れた材質から構成されるこ
とが望ましく、屋根板材の断熱、防音効果を一層顕著な
ものとすることができる。従って、固定部材の材質とし
ては、ガラス短繊維やピッチ系の炭素繊維をフィラーと
した複合材(例えば、ガラス繊維含有プラスチック、炭
素繊維含有プラスチック)などが好適である。
【0018】また、内部凸条部を、その頂上部が凸条部
の突部底面に接触するようにすることもできる。こうす
れば、凸条部内に侵入した雨水が内部凸条部の頂上を越
えにくくできるので、防水の観点から好ましい。更に、
内部凸条部で凸条部を下支えできるので、この内部凸条
部に続く下方側凸条部が屋根組に当接するものであれ
ば、下方側凸条部並びに内部凸条部で、凸条部を支える
ことができ好ましい。
【0019】また、下方側凸条部の凸形状を形成する端
部側上昇辺部の上端に、屋根板部材の下面に当接する平
板部を備え付けしたり、凸条部の凸形状を形成する端部
側下降辺部を隣り合う屋根板部材の上面に向かわせて延
出させ、該端部側下降辺部の下端に、屋根板部材の上面
に当接する平板部を備え付けたりすることもできる。こ
うすれば、下方側凸条部における端部側上昇辺部上端の
平板部で、屋根板部材を下支えしたり、凸条部における
端部側下降辺部下端の平板部で、凸条部自体を支えるこ
とができ、好ましい。
【0020】接合部材の下方側凸条部と凸条部におい
て、屋根板部材を挟んだ突出高さを下方側凸条部の方が
凸条部より大きくするようにすることもできる。こうす
れば、上記したように下方側凸条部が形成する溝を、凸
条部内側の内部凸条部の突出高さより深くできる。よっ
て、凸条部内の内部凸条部を乗り越えて浸入した雨水
を、この溝にてより確実に軒側に排出でき、防水性をよ
り確実なものとできる。
【0021】
【発明の実施の形態】以上説明した本発明の構成及び作
用を一層明らかにするために、以下本発明の屋根につい
て、その実施の形態を説明する。図1は実施例の屋根1
00の全体構成を概略的に説明するための説明図であ
る。まずこの図1を用いて、全体構成を説明する。
【0022】図示するように、本実施例の屋根100
は、切妻式の屋根組YHを備え、この屋根組YHの棟両
側に所定の屋根勾配で左右の屋根葺材110L、110
Rを取り付け、屋根両側の屋根葺材110L、110R
を棟において棟包み120で覆って構成される。屋根葺
材110L、110Rは、屋根組YHにおける棟木MB
から軒げたNBにかけて屋根を葺く。棟包み120は、
屋根葺材110L、110Rを屋根幅に亘って覆い、屋
根の棟外観を形成する。屋根組YHは、棟木MBから軒
げたNBに亘って垂木Nを掛け渡し、棟木MB並びに垂
木Nを、もや、小屋ばり、小屋づか、妻げた等を用い
て、柱Hで支持する。この図1では、垂木Nを間引いて
描いているが、図2以降に示すように、屋根組YHの屋
根部分はこの垂木Nを隙間なく並べて形成されている。
なお、垂木Nを図示するように間引いて設置し、その上
面に野地板を敷き詰めた屋根組に適用することもでき
る。以下、屋根葺材等について詳細に説明する。
【0023】図2は屋根葺材110Lを複数の屋根板材
310で構成し、この屋根板材310により屋根を縦葺
きする様子を説明する説明図、図3はこの屋根板材31
0の概略斜視図、図4は屋根板材310の要部を平面視
並びに正面視して説明するための説明図、図5はこの屋
根板材310が連結されている状態を示す概略斜視図、
図6は屋根の妻側に配設する屋根板材310Aの概略斜
視図である。屋根葺材110Rは、屋根葺材110Lと
同一であり、その葺き側が異なるに過ぎない。
【0024】これら図面に示すように、屋根板材310
は、長尺状で所定幅の板材により形成された屋根板部材
12と、屋根板部材12の両長辺に取り付けられる左右
の接合部材314R、314Lと、屋根板部材12の所
定幅の中央部から突設され、垂木Nに固定される固定部
材16と、から構成されている。
【0025】図示するように、左側の接合部材314L
は、屋根板部材12の左端を、曲げ加工により上方に凸
とした凸条部として形成されており、外側端部には、平
板部315を有する。この平板部315は、隣の屋根板
部材12の上面に長辺方向に沿って重なるようにされて
いる。つまり、接合部材314Lの外側端部の曲げの際
にはその板厚分が考慮され、上記の平板部315が屋根
板部材12と重なったときに、両隣の屋根板部材12が
略同じ高さ位置となるようにされている。
【0026】右側の接合部材314Rは、隣の屋根板材
310が有する接合部材314L(凸条部)に入り込む
よう上方に凸とされた内部凸条部316と、この内部凸
条部316に連続して下方に凸とされた下方側凸条部3
17とを備え、下方側凸条部317の外側端部には、平
板部318を有する。内部凸条部316、下方側凸条部
317および平板部318は、接合部材314Lと同
様、曲げ加工にて形成される。この内部凸条部316
は、その上端上面(頂上面)が接合部材314Lの上端
下面と重なるよう、曲げ形成されている。つまり、内部
凸条部316は、その突出高さH5(即ち、屋根板部材
12上面から内部凸条部316の上端上面までの高さH
5)が屋根板部材12上面から接合部材314Lの上端
下面までの高さH6と略一致するよう板厚分を考慮して
形成されている。また、下方側凸条部317を形成する
端部側上昇辺部317aは、隣り合う屋根板部材12の
下面近傍まで立設し、これに続く平板部318が隣の屋
根板部材12の下面に長辺方向に沿って重なるようにさ
れている。つまり、接合部材314Rにおける端部側上
昇辺部317aと平板部318の曲げの際にはその板厚
分が考慮され、上記の平板部318が屋根板部材12と
重なったときに、両隣の屋根板部材12が略同じ高さ位
置となるようにされている。
【0027】固定部材16は、略正方形状の中空の柱状
体から形成され、垂木Nに屋根勾配に沿って配設され
る。この固定部材16は、その外形寸法が接合部材31
4Rが有する下方側凸条部317の突出高さH7(即
ち、屋根板部材12下面から下方側凸条部317の下端
外面までの高さH7)とほぼ等しくされている。このた
め、固定部材16は、左右の接合部材314Rの下方側
凸条部317と協同して、屋根板部材12を垂木Nから
離間して下支えする。なお、この固定部材16は、屋根
板材固定のための構成を有するが、それについては後述
する。
【0028】この様な形状の屋根板材310の幅Xは、
例えば延べ板鋼板の成形幅と等しくされており、長さY
は施工する屋根の長さに合わせて製造、加工され、施工
現場に搬入される。また、接合部材314Rが形成する
溝深さは、屋根板材310の幅Xに対して短寸であるこ
とが好ましい。ここで、具体的数字を説明すると、本実
施例ではXが約900mm、Yが約4000mm、接合
部材314Lの突出高さH6が約60mm、接合部材3
14Rの側における溝深さが約95mmである。また、
接合部材314Rにおける内部凸条部316の突出高さ
H5は約55mmとされており、接合部材314Lに内
部凸条部316が入り込んだ状態で、両者の間に若干の
隙間が生じるようにされている。なお、各部材の板厚を
約5mmとすれば、接合部材314Lの凸部下面に内部
凸条部316の頂上面が接触するよう、接合部材314
Lに内部凸条部316を入り込ませるようにすることが
できる。また、垂木Nに接する接合部材314Rの下方
側凸条部317は、垂木Nにくい込まない程度であれば
よく、15mm〜45mm、本実施例では30mmとし
た。接合部材314Lの凸幅は、これに入り込む内部凸
条部316と、これに連続する下方側凸条部317を覆
えるよう、内寸で約70mmとされている。
【0029】本実施例の屋根板部材12と左右の接合部
材314R、314L並びに固定部材16は、軽量であ
りながら耐久性に優れた金属であるチタンによりそれぞ
れ構成されており、固定部材16はシームレス溶接によ
り強固に連結されている。左右の接合部材314R、3
14Lは、金型を用いて曲げ加工機により曲げ加工され
る。なお、固定部材16は、屋根板部材12と同一長さ
のものとするほか、屋根板部材12の長さ方向に所定間
隔、例えば約2000mm間隔で接着等の適宜な工法に
より接合したものとすることもできる。もっとも、固定
部材16における一辺をなす基部分を屋根板部材12と
同じ金属とすれば、固定部材16の固定に溶接等の簡便
で強固な固定手法を採ることができるので、他の辺につ
いては、カーボンファイバやグラスファイバ等の短繊維
材をフィラーとした複合材とすることもできる。このよ
うな複合材とするに当たっては、金属辺部分を金型内に
セットして樹脂成型するインサート成型等の成型手法を
用いればよい。
【0030】この他、屋根板材310は、屋根板部材1
2の棟側端面に、突出板341を有する。この突出板3
41は、その下面が固定部材16や下方側凸条部317
の下面と一致するようにされ、接合部材314Lより高
く突出し、図8に示すように、後述の棟包み120の棟
斜面板部321下面近くとなるようにされている。本実
施例では、接合部材314Lを屋根板部材12上面から
約60mm突出させ、突出板341を約120mm突出
させるようにした。この突出板341は、屋根板部材1
2の棟側端面にシームレス溶接されており、その接合・
固定箇所で、図示しないL字形鋼等で補強されている。
【0031】突出板341は、その上端に屋根板部材1
2とほぼ平行となる屈曲平板部342を備え、その長さ
は次のようにされている。
【0032】屋根板材310を屋根葺きのために並べて
縦葺きした場合、図2や図5に示すように、一方の屋根
板材310の接合部材314Rが他方の接合部材314
Lにその下端側から入り込む。よって、突出板341を
左右の接合部材314R、314Lの間に亘って設ける
と、接合部材314Rの側では、突出板341は、隣の
接合部材314Lおよび平板部315にが干渉する。こ
のため、突出板341は、この干渉を起こさない長さと
されている。本実施例では、突出板341は、隣の接合
部材314Lの平板部315の端面から約5mmの間隙
が空くように、その長さが定められている。なお、この
間隙に、ゴム、エラストマー、軟質プラスチック等の弾
性材をシール材として接着することが好ましい。
【0033】突出板341は、屋根板部材12の棟側端
面に固定されていることから、屋根葺材110R、11
0Lの葺き完了状態では、図4(b)に示すように、接
合部材314Lの内部空間と、屋根板部材12下面と垂
木N上面の間の間隙(空間)とを、棟側で塞ぐ。突出板
341は、図示するように、こうして塞いだ空間と対応
する大きさ(形状)のネット部343、344を有する
ので、これら空間における通気を可能とすると共に、こ
れら空間へのネズミ等の小動物や昆虫の浸入を、棟側で
防止する。
【0034】このように構成された屋根板材310は、
図5に示すように、両隣の屋根板材310における一方
の屋根板材310が有する接合部材314Lの内部に、
内部凸条部316を入り込ませた状態で連結し、垂木N
に載置され、屋根を縦葺きする。こうして葺かれた屋根
100では、接合部材314Lは、屋根板材310にお
ける平板状の屋根板部材12から上方に突出した凸条部
となり、屋根板部材12と同一長さで、棟の側から屋根
勾配に沿って軒げたNBから突出する。また、図示する
ように、この接合部材314Lは、屋根幅方向に沿って
多列に並ぶことになる。
【0035】本実施例は、上記したように複数の屋根板
材310で屋根を縦葺きするものであるが、屋根の妻側
では、その妻部における葺きの見栄えを高めるため、屋
根板材310Aを有する。図2および図6に示すよう
に、この屋根板材310Aは、屋根葺材110Lの右側
に当たる妻部に配設されるものであり、平板部315を
有する接合部材314Lと固定部材16に加え、妻側の
垂木Nに載置される長方形状の中空の補助固定部材17
を有する。また、垂木Nを妻側端部から覆う遮蔽部材1
8と垂木Nを抱え込むようにする遮蔽下端部材19を有
すると共に、上面には、接合部材314Lと同じ高さで
上方に突出した端部凸条体15を有する。屋根の左側妻
部では、この屋根板材310Aをミラー反転させた構成
の屋根板材が用いられる。
【0036】この屋根板材310Aは、既述した屋根板
材310が定寸幅Xのものであるのに対し、不定寸法の
幅X0とされている。つまり、屋根の妻間の屋根幅YX
は種々多様であるので、屋根板材310Aの幅X0は、
この屋根幅YXと屋根板材310の幅Xから、葺き対象
となる屋根ごとに個別に定められる。
【0037】屋根葺材110Rは、上記した屋根板材3
10、10Aを用い、屋根葺材110Lとは屋根の葺き
側が異なるだけであり、構成において屋根葺材110L
と異なるものではない。
【0038】次に、棟包み120について説明する。図
7は棟包み120を一部破断して示す概略斜視図、図8
は棟包み120と屋根板材310の固定の様子並びに棟
包み120と屋根板材310の位置関係を説明する説明
図、図9は図8における9−9線方向からの概略断面図
である。
【0039】棟包み120は、既述したように屋根の棟
外観を形成するものであることから、屋根勾配に適合し
た角度で屈曲形成された棟斜面板部121を備え、この
棟斜面板部121の両端(つまり、屋根における妻側)
を妻側遮蔽板122で塞いでいる。棟包み120は、棟
斜面板部121の斜面先端を屈曲したスカート部123
とし、このスカート部に複数の切欠124を有する。こ
の切欠124は、葺き完了後の屋根葺材110L、11
0Rにおける接合部材314Lのピッチに合わせて予め
形成されている。よって、切欠124両側のスカート部
123は、葺き完了後において隣り合う接合部材314
Lの間に、入り込むことになる。この場合、スカート部
123は、その先端と屋根板材310の屋根板部材12
上面との間に、間隙126が形成されるよう、その突出
長さが調整されている。
【0040】また、棟包み120は、その頂上部裏面に
コの字状の形鋼からなるボルト保持部材128を備え、
当該保持部材で、棟木MBを貫通できる長さの長尺ボル
ト130を保持する。ボルト保持部材128は、補強材
129と共にシームレス溶接等の手法で固定されてい
る。なお、ボルト保持部材128並びに長尺ボルト13
0は、棟包み120を棟木MBの側に引っ張り固定する
に足りる数だけ、棟包み120の長手方向に沿って設け
られている(図7参照)。
【0041】次に、上記した屋根板材310と棟包み1
20の固定の様子について説明する。図2、図3或いは
図5に示すように、屋根板材310は、固定部材16が
垂木Nと重なるようにして、屋根勾配に沿って屋根組Y
Hに配置される。この固定部材16は、図8および図9
に示すように、垂木N上面に接触する底面部材16a
に、垂木Nから突出したボルト材20のシャフト部21
が入り込む固定用抜き穴30を有する。この固定用抜き
穴30は、固定部材16に所定ピッチで形成されてお
り、このピッチに適合させてボルト材20が垂木Nを貫
通して配置される。また、固定用抜き穴30は、シャフ
ト部21の直径と略同一とされた幅の小径抜き穴部31
と、ボルト材20のボルトヘッドはもとより球面ワッシ
ャ23の直径より幅広の幅広形状部32とを、小径抜き
穴部31が屋根勾配に沿って上方側に位置するよう、接
合させた穴形状とされている。この場合、幅広形状部3
2から小径抜き穴部31にかけては、徐々に幅が狭くな
るような穴形状とされている。そして、小径抜き穴部3
1は、シャフト部21の直径と略同一の幅を有すること
から、当該穴部にシャフト部21が入り込むことで、シ
ャフト部21、延いてはボルト材20に対する位置決め
部として機能する。
【0042】ボルト材20は、屋根板材310の葺き前
に垂木Nに次のようにして予め取り付けられる。まず、
ボルト材20を、割ワッシャ22と球面ワッシャ23を
ボルトヘッド側に位置させた状態で、垂木Nの貫通孔2
4に外側から差し込む。次いで、シャフト部21の雄ネ
ジ部分に、垂木裏側から平ワッシャ25を介在させてナ
ット26を螺合する。このナット螺合に際しては、底面
部材16aの厚みtを越える距離だけボルト材20が上
下できるようにされる。
【0043】こうしてボルト材20の側の準備が完了す
ると、固定用抜き穴30の幅広形状部32が垂木Nから
突出したボルト材20のボルトヘッドと重なるように、
屋根板材310を垂木Nの上方に位置させる。この状態
で、屋根板材310を降ろして垂木Nに載置すると、ボ
ルト材20は割ワッシャ22や球面ワッシャ23と共に
幅広形状部32に入り込むので、その後に、図中の矢印
YAで示すように屋根板材310を屋根勾配に沿って下
方にずらす。こうすれば、幅広形状部32に入り込んで
いたボルト材20のシャフト部21は固定用抜き穴30
の小径抜き穴部31の側に入り込み、この小径抜き穴部
31で位置決めされる。この屋根板材のずらしの際に、
球面ワッシャ23はその下端球面部を小径抜き穴部31
の周囲壁面並びに底面部材16aの上面に接触させる
が、ボルト材20の上記した上下動により、シャフト部
21は支障なく小径抜き穴部31に入り込む。よって、
屋根板部材12並びに屋根板材310にあっても垂木N
に対して位置決めされる。なお、屋根板材310Aの補
助固定部材17についても、固定部材16と同様に固定
用抜き穴30を形成するようにすることもできる。
【0044】その後は、垂木裏面側から、ナット26を
更に螺合してボルト材20を垂木側に引き寄せ、ボルト
材20により固定部材16、延いては屋根板材310を
固定する。これにより、屋根斜面の葺きが完了して、屋
根組YHには屋根葺材110L、110Rが固定される
ことになる。こうして葺かれた屋根板材310のそれぞ
れに強風により浮き上げ力が作用しても、ボルト材20
による固定により、各屋根板材310の浮き上がりを確
実に回避できる。この屋根斜面の葺き完了後には、シャ
フト部21のネジ部先端に、雌ネジ穴とこれと同心の有
底孔を有する木製袋ナット27を螺合する。
【0045】なお、屋根板材310は、順次葺かれてい
き、隣接している屋根板材310の相互間は、接合部材
314R、314Lで上記したように接合される。よっ
て、この接合の際には、ネジや溶接などの機械的な結合
が不要である。
【0046】屋根両側における上記した屋根板材310
の葺きに続いては、棟包み120を取り付ける。まず、
屋根葺材110L、110Rの固定済みの屋根組YHの
棟まで棟包み120を持ち上げ、その棟包み120で棟
木MBを覆うようにする。この際、切欠124が屋根板
材310の接合部材314Lに重なるよう、また、スカ
ート部123が隣り合う接合部材314Lの間に位置す
るようにする。この状態で、棟包み120を棟木MBの
側に降ろす。なお、切欠124とスカート部123が上
記位置を採るようにすることで、長尺ボルト130は、
棟木MBの貫通孔131に入り込むようにされている。
【0047】葺き完了後では、図8に示すように、棟包
み120のスカート部123は、棟包み下面から突出し
て、隣り合う接合部材314Lとの間にそれぞれ入り込
む。一方、突出板341は、棟側において、屋根板部材
12上面から突出する。これにより、棟包み120下面
と屋根葺材110L、110R上面との間隙では、棟包
み120で覆われた範囲において、軒げた側から棟側に
かけて、棟包み120下面のスカート部123と突出板
341が屋根勾配に沿ってこの順に並んで対向すること
になる。この場合、図2ないし図8に示すように、隣り
合う接合部材314Lはその間を矩形状の凹部とし、ス
カート部123は長方形状であることから、スカート部
123は、隣り合う接合部材314L間の凹部に合致し
て、棟包み120裏面側から入り込むことになり、間隙
126を残して、接合部材間の上記凹部を塞ぐ。このス
カート部123と対抗する突出板341は、屋根板部材
12上面において上記凹部を塞ぐと共に、棟包み120
裏面側に間隙342aを残す。
【0048】棟包み120がこうした位置関係を採る
と、上記した間隙126および間隙342aが確保され
た状態で、棟包み120は、多列の接合部材314Lの
上面で下支えされる。よって、この棟包み120を、棟
木MB下面でのナット132の螺合締め付けにより、棟
木MBに対して引っ張り固定する。これにより、一切の
葺き作業が完了する。
【0049】こうして葺かれた棟包み120や屋根葺材
110L、110R(詳しくは屋根板材310のそれぞ
れ)の取り外し、回収、移設(リサイクル)に際して
は、上記した葺き作業の逆の作業を行えばよい。つま
り、まず、総てのナット132をボルトから外し、棟包
み120を持ち上げて屋根組YHから取り外す。次い
で、それぞれの屋根板材310については、木製袋ナッ
ト27の取り外し、ナット26の弛め作業を行い、その
後、屋根板材310を矢印YAの逆方向、即ち屋根勾配
に沿って上方にずらす。こうすると、ボルト材20と球
面ワッシャ23は幅広形状部32に位置するので、この
状態で屋根板材310を垂木Nから持ち上げればよい。
【0050】従って、以上説明した本実施例の屋根10
0は、その葺き作業に関連して次の利点を有する。 (1)屋根板材310を垂木Nに載置してずらせばよい
ことから、簡便な施工により屋根葺きを行うことがで
き、屋根葺きの施工作業と移設・取り外し作業を簡便化
することができる。しかも、隣接する屋根板材310の
接合にネジやなどの機械的な結合が不要であることも相
まって、屋根葺きの施工作業等をより一層簡便なものと
できる。
【0051】(2)ボルト材20による屋根板材310
の固定に際し、球面ワッシャ23を用いたので、屋根勾
配に沿って屋根板材310をずらす際に、この球面ワッ
シャ23を固定用抜き穴30の穴周壁に引っかかりにく
くする。よって、屋根板材310を支障無くずらすこと
ができ、葺き作業が容易となる。 (3)棟包み120については、屋根両側の屋根板材3
10の葺き後に、棟まで持ち上げて長尺ボルト130と
ナット132で締め付け固定すればよい。よって、ボル
ト・ナットの締め付け・解除により、棟包み120の固
定作業ばかりかその取り外し作業も簡略化することがで
きる。特に、長尺ボルト130により棟包み120を棟
木MBの側に引き寄せ固定するので、棟木下面側から棟
包み120の固定・取り外し作業を行える。このため、
棟包み120の固定・取り外し作業をより一層簡略化で
きる。
【0052】ここで、本実施例の屋根100が発揮する
雨仕舞いについて説明する。屋根に降り注いだ雨は、棟
包み120の棟斜面板部121に沿って屋根左右に流れ
落ち、棟包み120で覆われていない領域の屋根葺材1
10L、110Rに達する。この雨は、屋根葺材110
L、110Rに直接降り注いだ雨と一緒に屋根勾配に沿
って軒げた方向に流れ落ちる。強風を伴わずにほぼ上方
から降り注いだ雨は、屋根勾配に逆らって屋根板部材1
2上面を棟側に流れることはない。よって、棟包み12
0から雨を屋根葺材110L、110Rに流すことで、
こうした雨に対しては棟において当然に好適な雨仕舞い
を発揮する。
【0053】一方、台風等による強風を伴って降る雨
(強風雨)は、屋根勾配に逆らって屋根板部材12上面
を棟側に流れようとすることがある。この雨は、棟包み
120のスカート部123によりまず遮られ、棟側へ
は、スカート部123下端の間隙126を通って浸入す
るに過ぎず、この浸入雨水の量は僅かしかない。ところ
で、こうして間隙126を通った浸入雨水は、屋根勾配
に沿った重力を受けることから、自ずから屋根勾配に沿
って流れ落ちようとする。このため、間隙126を通っ
た浸入雨水がスカート部123より上流側で貯め置かれ
るような事態は起きがたい。
【0054】風が極端に強い場合は、屋根勾配に逆らっ
て流れるよう雨水に風が及ぼす力も大きくなるので、雨
水は、間隙126を通過後も、更に棟側に向けて流れる
可能性もある。しかし、こうしてスカート部123を越
えて棟側に流れようとする浸入雨水の量は、スカート部
123による遮蔽並びに上記の重力の作用により減少す
る。そして、スカート部123を越えた浸入雨水は、こ
のスカート部123よりも上方で屋根板部材12上面か
ら突出した突出板341で改めて遮られる。
【0055】スカート部123を越えた浸入雨水が屋根
板部材12上面の突出板341を越えて更に棟側に向け
て流れることは、現実的に起き得ない。つまり、突出板
341を浸入雨水が越えるには、突出板341の先端を
乗り越えるに足りる嵩で、突出板341の下方に雨水が
貯まり、更にこの雨水貯まりに浸入雨水が流れ込む必要
がある。しかし、浸入雨水の量は、既述したように、ス
カート部123を越えて棟側に流れようとする時点で減
少し、重力の作用もあることから、突出板341の下方
の雨水貯まりの雨水嵩は少ない。しかも、図8に示すよ
うに、スカート部123と突出板341とを離間させる
ほど、突出板341の下方において、突出板341の先
端を乗り越えるに足りる嵩で雨水が貯まることは起きが
たくなる。このため、屋根勾配に沿って下方のスカート
部123を越えた浸入雨水が、スカート部123より上
方の突出板341の先端を越えて更に棟側に向けて流れ
ることは、起きがたい。
【0056】なお、突出板341の下流側に、この突出
板と平行な突出板を屋根板部材12の上面に新設させれ
ば、この新設突出板でも雨水遮蔽をできることから、こ
の新設突出板を越えて雨水が棟側に流れ込み、更にその
雨水が突出板341を越えることは皆無に等しい。しか
も、棟包み120下面のスカート部123は、隣り合う
接合部材314L間の凹部に合致して入り込んで、この
凹部を効果的に塞ぐ。よって、このことからも、上記し
た浸入雨水の軒側への流れはより一層起きにくくできる
ので、強風を伴って多量の雨が降った場合でも、棟にお
いては、この雨に対して好適な雨仕舞いを確実に確保で
きる。
【0057】また、棟包み120から屋根葺材110
L、110Rに流れ落ちた雨や、屋根葺材110L、1
10Rに直接降り注いだ雨にあっても、次のようにして
好適な雨仕舞いを発揮する。
【0058】図2並びに図5に示すように、左右の屋根
板材310とがそれぞれの接合部材314R、314L
にて相互に係合しているとき、相互の接合部材314
R、14Lにおいて、これらは機械的に結合されてはお
らず、僅かな間隙が生じている。詳しくは、平板部31
5下面と屋根板部材12上面の間には、僅かな隙間が生
じている。しかし、この間隙を通過してそれ以降も雨水
が内部に浸入することは皆無に等しく、屋根板材310
の下方に位置する垂木Nの側への防水はほぼ完全に達成
される。すなわち、接合部材314R、14Lの間隙か
ら垂木Nにまで雨水が浸入するためには、接合部材31
4Lに入り込んだ内部凸条部316を越えて雨水が上っ
て行かねばならず、不可能である。たとえ、雨量が多く
屋根板材310の屋根板部材12上に雨水の層が出来よ
うとも、屋根勾配の傾斜θで屋根板材310は傾いてい
るためにこの雨水の層の雨水は常に軒側に流れ落ち、こ
の雨水の層が内部凸条部316の突出高さを上回る事態
が継続して発生する可能性はない。更に、何らかの原因
でこの内部凸条部316の突出高さを越えて雨水が嵌合
部に浸入したとしても、内部凸条部316に連続した下
方側凸条部317が傾斜θの雨樋として作用し、浸入し
た雨水を上記の傾斜θで流し落とすこととなるからであ
る。しかも、下方側凸条部317が形成する傾斜θの雨
樋の深さを内部凸条部316の突出高さより大きくした
ので、雨水が内部凸条部316を越えても、この内部凸
条部316の突出高さより深い折り返し部の雨樋は高い
排水作用を発揮するので、垂木側にはより一層雨水は浸
入しにくい。
【0059】更に、本実施例の屋根100によれば、次
の利点がある。棟包み120が有するスカート部123
は、その下端で間隙126を形成する。この間隙126
は、屋根板部材12の上面に沿った空気の通気部として
機能する。また、屋根板材310の側の突出板341に
あっても、その上端に空気の通気部として機能する間隙
342aを形成する。そして、本実施例では、屋根組Y
Hに対して屋根板材310を中空の固定部材16で下支
えして固定した。このため、固定部材16の中空部の空
気を、図8に矢印ATで示すように棟木MBの側に通気
させることができ、この空気を、間隙342a並びに間
隙126を経て大気中に通気可能とする。また、棟木M
Bの側において垂木Nに切欠を設けたりすれば、建物内
や天井裏の空気にあっても、図8に矢印ANで示すよう
に棟木MBの側に通気させることができ、この空気を、
間隙342a並びに間隙126を経て大気中に通気可能
とする。従って、屋根頂上の棟(即ち、棟包み120の
下面領域)を介して、屋根板部材下面の空気の換気や、
建物内或いは天井裏の空気換気を図ることができ、住環
境を改善できる。具体的に説明すると、日差しの強い夏
季では、日中において太陽からの放射で屋根全体が暖ま
り固定部材16の中空部内空気や、屋根葺材110L、
110R並びに棟包み120の下面全域の空気が高い温
度となる。これに伴い、天井裏の空気も高温となる。し
かし、夜間になれば、この高温空気を図8の矢印AT、
ANで示すように排出換気できるので、屋根を通した建
物内部の不用意な高温化を回避できる。しかも、この高
温下回避に、電気エネルギを消費する換気扇やファンを
必要としないので、省エネ効果を得ることもできる。
【0060】また、屋根板材310を下支えするに当た
り、屋根板部材12下面からの接合部材314Rにおけ
る下方側凸条部317の突出高さを固定部材16と同じ
とした。よって、接合部材314Rと固定部材16の両
者で屋根板材310を垂木Nに対して下支えできるの
で、この屋根板部材のそり等の変形を回避でき好まし
い。
【0061】以上、本発明の一実施形態を説明したが、
本発明はこうした実施例に何等限定されるものではな
く、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々なる
様態で実施し得ることは勿論である。
【0062】例えば、上記の実施例では、接合部材31
4Lや内側凸条部316並びに下方側凸条部317を矩
形断面で凸の凸形状としたが、三角形断面や台形形状断
面等の凸形状とすることもできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例の屋根100の全体構成を概略的に説明
するための説明図である。
【図2】屋根葺材110Lを複数の屋根板材310で構
成し、この屋根板材310により屋根を縦葺きする様子
を説明する説明図である。
【図3】この屋根板材310の概略斜視図である。
【図4】屋根板材310の要部を平面視並びに正面視し
て説明するための説明図である。
【図5】この屋根板材310が連結されている状態を示
す概略斜視図である。
【図6】屋根の妻側に配設する屋根板材310Aの概略
斜視図である。
【図7】棟包み120を一部破断して示す概略斜視図で
ある。
【図8】棟包み120と屋根板材310の固定の様子並
びに棟包み120と屋根板材310の位置関係を説明す
る説明図である。
【図9】図8における9−9線方向からの概略断面図で
ある。
【符号の説明】
12…屋根板部材 310…屋根板材 310A…屋根板材 15…端部凸条体 16…固定部材 16a…底面部材 314R…接合部材 314L…接合部材 315…平板部 316…内部凸条部 317…下方側凸条部 318…平板部 317a…端部側上昇辺部 341…突出板 342…屈曲平板部 342a…間隙 343,344…ネット部 17…補助固定部材 18…遮蔽部材 19…遮蔽下端部材 20…ボルト材 21…シャフト部 22…割ワッシャ 23…球面ワッシャ 24…貫通孔 25…平ワッシャ 26…ナット 27…木製袋ナット 30…固定用抜き穴 31…小径抜き穴部 32…幅広形状部 100…屋根 110L…屋根葺材 110R…屋根葺材 120…棟包み 121…棟斜面板部 122…妻側遮蔽板 123…スカート部 124…切欠 126…間隙 128…ボルト保持部材 129…補強材 130…長尺ボルト 131…貫通孔 132…ナット MB…棟木 N…垂木 YH…屋根組

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 屋根外観をなすよう屋根組に縦葺き固定
    される屋根板材において、 長尺状で所定幅の板材により形成される屋根板部材と、 屋根の屋根勾配に沿った前記屋根板部材の一方端部辺に
    連設され、前記屋根板部材から上方に凸状とされた凸条
    部と、 前記屋根板部材の他方端部辺に連設され、隣り合う前記
    屋根板部材が有する前記凸条部とその内部において接合
    する接合部材と、 前記屋根板部材に配設され、前記屋根組から前記屋根板
    部材を離間して下支えすると共に、前記屋根組に前記屋
    根板部材を固定するための固定部材とを備え、 前記接合部材は、 前記隣合う屋根板部材が有する前記凸条部の内部に入り
    込むよう、前記屋根板部材から上方に凸状とされた内部
    凸条部と、 該内部凸条部に続いて形成され、前記屋根板部材から下
    方に凸状とされた下方側凸条部とを有し、 該下方側凸条部は、前記他方端部辺側で凸形状を形成す
    る端部側上昇辺部を前記隣り合う屋根板部材の下面に向
    かわせて延出させていることを特徴とする屋根板材。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の屋根板材であって、 前記屋根板部材と前記凸条部並びに前記接合部材は、金
    属により形成されており、 前記凸条部は、前記屋根板部材を前記一方端部辺の側で
    曲げ加工して形成され、 前記接合部材の前記内部凸条部と前記下方側凸条部と
    は、前記屋根板部材を前記他方端部辺の側で曲げ加工し
    て形成されている屋根板材。
  3. 【請求項3】 請求項1または請求項2記載の屋根板材
    であって、 前記内部凸条部は、その頂上部を前記隣合う屋根板部材
    が有する前記凸条部の突部底面に接触させている屋根板
    材。
  4. 【請求項4】 請求項1ないし請求項3いずれか記載の
    屋根板材であって、 前記下方側凸条部は、前記屋根板部材下面からの前記固
    定部材の高さと略同じ高さで前記屋根板部材から凸とさ
    れている屋根板材。
  5. 【請求項5】 請求項1ないし請求項4いずれか記載の
    屋根板材であって、 前記固定部材は、前記屋根板部材の中央部に配設されて
    いる屋根板材。
  6. 【請求項6】 請求項1ないし請求項5いずれか記載の
    屋根板材であって、 前記下方側凸条部は、前記端部側上昇辺部の上端に、前
    記屋根板部材の下面に当接する平板部を有する屋根板
    材。
  7. 【請求項7】 請求項6記載の屋根板材であって、 前記凸条部は、前記一方端部辺側で凸形状を形成する端
    部側下降辺部を隣り合う屋根板部材の上面に向かわせて
    延出させ、該端部側下降辺部の下端に、前記屋根板部材
    の上面に当接する平板部を有する屋根板材。
  8. 【請求項8】 請求項1ないし請求項7いずれか記載の
    屋根板材であって、 前記接合部材の前記下方側凸条部は、前記屋根板部材を
    挟んだ突出高さが前記凸条部より大きくされている屋根
    板材。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN110761466A (zh) * 2019-10-30 2020-02-07 芜湖科逸住宅设备有限公司 一种用于装配式建筑部品部件的顶面固定装置

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