JP3091183U - 水平屋根構造 - Google Patents

水平屋根構造

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 従来の無落雪住宅の構成とは異なる屋根構造
により、屋根上の積雪自体を減少させ、かつ落雪発生を
防止することができるとともに、ごみや枯れ葉の堆積を
防止し、すが漏れの発生を防止することのできる、水平
屋根構造および水平屋根工法を提供すること。 【解決手段】 水平屋根構造1を、水平に設けられた水
平屋根10と、その少なくとも一部に設けられたパラペ
ット20とからなり、さらに水平屋根10は、建築物躯
体上に設けられた水平な板状構造物である水平板状体3
と、該水平板状体3の上方にこれを被覆して設けられた
防水シート4と、該水平屋根10上からの排水を行うた
めのドレン部5とから構成する。防水シート4は、水平
板状体3に固設されたシート固着部材6A、6B等に溶
着して点張りする。水平板状体3は、構造用合板、およ
びその上面に載設されたスレート板等の構造用部材から
構成する。

Description

【考案の詳細な説明】
【0001】
【考案の属する技術分野】
本考案は水平屋根構造に関し、特に、冬季積雪地帯における建築物屋根上の積 雪を減少させることのできる、水平屋根構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
冬季に積雪の多い地方では、住宅等の建築物の屋根上に積もった雪の処理が問 題となる。特に建築物保全上の目的から屋根上の積雪を落下させたり、あるいは 積雪が自然に落下する場合、落下した場所からの除雪の必要性、落下に伴う危険 が生じる。このような問題の解決を図るため、従来より、屋根上の雪の住宅敷地 外への落下を防ぐための無落雪住宅が提供されている。
【0003】 図10は、従来の無落雪住宅における屋根構造を、妻行方向から示す縦断面図 である。図において従来の無落雪住宅の屋根構造80は、中央(棟)方向に向か って低くなる傾斜が形成されるように梁66上に束78等を設け、その上に桁や 母屋桁71、76を設け、垂る木77を設けて、屋根面はトタン板79により構 成する。屋根面はその中央にFRPまたは鋼板製の中央溝83が形成され、通常 10%以上の勾配が形成される。中央溝83の一端部にはドレン85が設けられ 、中央溝83はドレン85方向に向かって勾配が形成されている。
【0004】 図11は、従来の無落雪住宅における屋根構造の平面図(屋根伏せ図)である 。図中、水の流れをFで示す。図において従来の無落雪住宅は、屋根面中央(棟 )部分に前記中央溝83が設けられ、屋根面は中央溝83に向かって勾配が形成 され、中央溝83は前記ドレン85方向に向かって勾配が形成されているため、 屋根上に積った雪は重力および屋根面の垂直抗力により中央溝方向に向かい滑落 し、融雪が生じる場合は中央溝83あるいはその付近で融雪する。また屋根面上 で融雪し水となった場合は水は同じく中央溝83に向かい流下する。融雪により 生じた水は、中央溝83をドレン85方向に向かって流下し、ドレン85を通し て排水される。このような作用により、従来の無落雪住宅においては、敷地外へ の落雪を発生させずに屋根上の雪が処理される。
【0005】
【考案が解決しようとする課題】
しかし従来の無落雪住宅には、以下に列挙するような様々な問題があった。 1.屋根の中央方向に向かって勾配を設けるために、気流等の関係から、却って 屋根上の積雪量が増加してしまう。 2.屋根は凹部が形成された状態となるため、ごみや枯れ葉などが自然に中央溝 に溜まり易くなり、ドレンに詰りやすくなる。 3.ごみや枯れ葉のドレンでの詰りにより排水の不良が生じ、屋根上に水が溜ま りやすくなる。 4.屋根面がトタン葺きにより構成されているため、トタン板の折込みによる継 ぎ目から、屋根上に溜まった水が内部に漏れ、いわゆるすが漏れ状態が発生しや すくなる。
【0006】 5.屋根面には10%以上の勾配を設け、さらに中央溝にも勾配を設ける必要が あることにより軒高が非常に高くなり、そのため風当たり面積および重量が増大 するため、それに対応して住宅全体の強度を高める必要がある。
【0007】 したがって本考案の課題は、上記従来技術の欠点を除き、従来の無落雪住宅の 構成とは異なる屋根構造により、屋根上の積雪自体を減少させ、かつ落雪発生を 防止することができるとともに、ごみや枯れ葉の堆積を防止し、すが漏れの発生 を防止することのできる、水平屋根構造を提供することである。
【0008】 また他の課題は、軒高、風当たり面積、重量の増大を抑制することのできる、 上記水平屋根構造を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本願考案者は上記課題について鋭意検討した結果、屋根を水平にし、かつ屋根 周囲にパラペットを設け、屋根面には防水シートを設けることにより上記課題を 解決できることを見出し、本考案に至った。すなわち、上記課題を解決するため の手段として本願で実用新案登録請求される考案は、以下のとおりである。
【0010】 (1)水平に設けられた水平屋根と、該水平屋根の周囲の少なくとも一部に設け られたパラペットとからなる水平屋根構造であって、該水平屋根は、建築物躯体 上に設けられた水平な板状構造物である水平板状体と、該水平板状体の上方にこ れを被覆して設けられた防水シートと、該水平屋根上からの排水を行うためのド レン部とを備えていることを特徴とする、水平屋根構造。
【0011】 (2)前記防水シートは前記水平板状体に固設されたシート固着部材に溶着され て点張りされていることを特徴とする、(1)の水平屋根構造。
【0012】 (3)前記水平屋根を構成する水平板状体は構造用合板、およびその上方面に載 設されたスレート板またはその他の構造用部材を備えることを特徴とする、(1 )または(2)の水平屋根構造。
【0013】 (4)水平に設けられた水平屋根と、該水平屋根の周囲の少なくとも一部に設け られたパラペットとからなる水平屋根構造であって、該水平屋根は、建築物躯体 上に設けられた水平な板状構造物である水平板状体と、該水平板状体の上方にこ れを被覆して設けられた防水シートと、該水平屋根上からの排水を行うためのド レン部とを備えており、該防水シートは該水平板状体に固設されたシート固着部 材に溶着されて点張りされ、該水平屋根を構成する水平板状体は構造用合板、お よびその上方面に載設されたスレート板またはその他の構造用部材を備え、該パ ラペットには、一定量を超えて水が溜まらないように該水平屋根上からの排水を 行うためのオーバーフロー部が設けられていることを特徴とする、水平屋根構造 。
【0014】 すなわち屋根上の積雪自体を減少させ、かつ落雪発生を防止することができる とともに、ごみや枯れ葉の堆積を防止し、すが漏れの発生を防止するという課題 に対して本考案は、屋根を水平にしその周囲にパラペットを設け、屋根面には防 水シートを被覆するとともにドレン部を設けるという解決手段を提供する。また このような構成により、軒高、風当たり面積、重量の増大を抑制するという他の 課題に対しても、解決手段を与えることができる。
【0015】 本考案の水平屋根構造は上述のように構成されるため、以下の特徴を有する。 1.屋根上の積雪を減少させることができ、かつ落雪を防止することができる。 2.防水シートを溶着工法によって設けることにより、年数経過による該シート の剥がれを防止することができ、維持保全の労力とコストが不要となる。 3.木造住宅では用いられる木の性質により曲がり、反り、収縮が生じるが、本 考案では防水シートを点張りし、つまり屋根構造材上に所定間隔で留めてシート 全体としてはこれを浮かせ張りの状態とするため、シートはこのような建築物躯 体の変形の影響を受けず、追随性がよい。 4.屋根に勾配を設ける必要がないため、小屋組みには束等を設ける必要がなく 、軒高が高くなることを抑制することができ、風当たり面積、重量ともにその増 大を抑制することができ、余計な強度対策は不要である。 5.小屋組みとしては、水平板状体を設けることにより従来よりも水平力が強く なり、その結果その力は、建築物の縦方向の構成である軸組みにも伝わり、建築 物全体の強度を高めることができる。 6.軒高の抑制や勾配が不要であることにより、屋根を構成する材料およびそれ に係るコストを低減することができる。 7.屋根を水平に構成するため、施工作業の能率がよく、効率的に施工すること ができる。
【0016】 なお本考案においてパラペットは、屋根周囲に設ける壁上の構造であり、屋根 上に吹き込む風の気流に乱流を生じさせるようなあらゆる形状のものがこれに該 当する。
【0017】
【考案の実施の形態】
以下、本考案を図面により詳細に説明する。 図1は、本考案の水平屋根構造の妻行方向からの縦断面図である。図において 本水平屋根構造1は、水平に設けられた水平屋根10と、該水平屋根10の周囲 の少なくとも一部に設けられたパラペット20とからなり、さらに該水平屋根1 0は、建築物躯体上に設けられた水平な板状構造物である水平板状体3と、該水 平板状体3の上方にこれを被覆して設けられた防水シート4と、該水平屋根10 上からの排水を行うためのドレン部5と、からなることを主たる構成とする。該 パラペット20は、該水平屋根10の周囲の一部に設けることも、また全周囲に 設けることもできる(請求項1)。
【0018】 図において本考案の水平屋根構造1が設けられる建築物躯体は、柱41、梁4 6、桁51、母屋桁56、垂る木57等を備えて構成される。
【0019】 図において本構造は、前記防水シート4が前記水平板状体3に固設されたシー ト固着部材6A、6B等に溶着されて点張りされる構成とすることができる(請 求項2)。
【0020】 該防水シート4としては、雨水、雪解け水を透過しない構造、耐寒性、耐候性 を備え、さらに木造の軸組み構造に追随することのできる適度の収縮性および弾 力性があるものであれば、いかなる種類のものをも用いることができる。酸性雨 や酸性雪への化学的な耐性を充分に備えていればさらに良い。たとえば一例とし て、−35〜−40℃の温度条件下でも使用可能な耐寒性、20年以上の使用に 耐える耐候性、37%塩酸(20℃〜60℃)に対する耐性を備えた防水シート は、本考案の用途として充分に使用することができる。
【0021】 また該シート固着部材6A等としては、たとえば鋼板を用いることができ、前 記パラペット20と前記水平板状体3とにより形成される隅部には直角に折り曲 げた形状のコーナー用鋼板を、また該水平板状体3上にはいわゆるデスク状の鋼 板を、それぞれ用いることができる。これらは、下部の躯体構造を構成する垂る 木57や、該パラペット20を構成する合板に、たとえば釘ねじ(8)等を用い て固設することができる。
【0022】 該防水シート4の溶着は、これを該シート固着部材6A等に剥がれることなく 固着することのできる方法であれば、いかなる方法による溶着工法をも用いるこ とができる。また、点張りは適宜のピッチにより行えるが、たとえば60cm間 隔で行うことができる。防火地域においては、該防水シート4の上にコンクリー ト層を適宜の厚さで設けることにより、該地域における建築基準を満たすことが 可能である。
【0023】 なお図において前記パラペット20には、一定量を超えて水が溜まらないよう に該水平屋根10上からの排水を行うためのオーバーフロー部21を設ける構成 とすることができる(請求項4)。該オーバーフロー部21は適宜の鉛直方向上 位置に設けることができるが、たとえば該パラペット20を200cmの高さに する場合は、これを100cm程度とすることができる。
【0024】 また、前記ドレン部5に接続するパイプは、凍結深度より深い地中に埋設した 升にまで延設する。これにより、屋根上から流下した水がパイプや該ドレン部5 において凍結の発生を防止することができる。
【0025】 図2は、図1に示した本考案の水平屋根構造のシート固着部材6A付近を拡大 した一部縦断面図である。図において本考案に係る水平屋根10は、建築物躯体 上に設けられた水平な板状構造物である水平板状体3と、該水平板状体3の上方 にこれを被覆して設けられた防水シート4と、該水平屋根10上からの排水を行 うためのドレン部(図示せず)とからなり、該防水シート4は、水平板状体3上 からこれを通して垂る木57に打設される釘ねじ8の設けられたシート固着部材 6Aに溶着されている。
【0026】 図3は、本考案の水平屋根構造の一例を示す平面図(屋根伏せ図)である。図 において本構造1は、前記水平屋根10の全周囲に前記パラペット20が設けら れ、該水平屋根10の一隅部に前記ドレン部5が設けられた構造をとる。さらに これに加えて、該パラペット20の適宜の鉛直方向上位置には前記オーバーフロ ー部(図示せず)が設けられた構成をとることができる。該水平屋根10は水平 に設けられるため、その勾配は0%である。
【0027】
【作用】
本考案の水平屋根構造が上述のように構成されるために有する作用を、図によ り説明する。 図4は、本考案の水平屋根構造における屋根上の積雪量減少の作用を示す説明 図である。図において本水平屋根構造は水平屋根10の周囲にパラペット20が 設けられているため、屋根10上に吹き込む風Wは、パラペット20によって遮 られない気流W1と、遮られて水平屋根10上にて乱流となる気流W2の二つの 流れになる。気流W2により、屋根上に積もった雪は上方に吹き上げられ、気流 W1に吸引されて水平屋根10上から排除される(Y)。また、屋根は水平であ るため、水平屋根10の屋根面にはすべて負圧が発生し、一方、より上方を流れ る気流W1は流速が大きく、いわば排気量が大きい状態であるため、屋根10上 の雪はW1に吸引されて排除される。
【0028】 すなわち勾配を設ける従来の無落雪住宅の屋根では負圧発生面があると同時に 正圧発生面が生じるが、本考案の水平屋根構造では屋根面全体に負圧が発生する ため、屋根上に積った雪が上方を流れる気流に吸引されやすく、それにより屋根 上からの雪が排除されやすくなる。気流W1に吸引された雪は風下に搬送される ため、落雪のように屋根の下方に一時にまとまった量の雪が積る現象を防止する ことができる。
【0029】 気流W1による屋根上の雪の吸引作用は屋根中央部においてより多く発生する ため、水平屋根10上の雪は中央部においてより早く排除される。これにより防 水シート4が露出すると、該防水シート4により吸収された太陽熱により、未排 除の雪が融けやすくなる。融雪により生じた雪解け水は前記ドレン部5より排水 される。該防水シート4による被覆により、水平屋根10上に水が溜まった場合 であってもこれが下部の躯体構造に漏れることはない。
【0030】 また、前記防水シート4は、前記水平板状体3に固設されたシート固着部材6 A等に溶着されて点張りされるため、施工から相当年数が経過しても剥がれるこ とがない。
【0031】 図5は、本考案の水平屋根構造の妻行方向からの一部拡大縦断面図である。図 において本水平屋根構造1に係る水平屋根10を構成する水平板状体3は、構造 用合板31、およびその上方面に載設されたスレート板またはその他の構造用部 材33を備えるものとすることができる(請求項3)。したがって該水平屋根1 0は、建築物躯体上に設けられた水平な板状構造物を構成する構造用合板31、 およびその上方面に載設されたスレート板またはその他の構造用部材33と、そ の上方にこれを被覆して設けられた防水シート4と、該水平屋根10上からの排 水を行うためのドレン部(図示せず)とからなり、該防水シート4は、水平板状 体(31、33)上からこれを通して垂る木57に打設される釘ねじ8の設けら れたシート固着部材6A、6Bに溶着されている。
【0032】 図において、前記パラペット20が前記水平屋根10上面から立ち上がる隅部 には、シート固着部材6Bとして直角に折り曲げた構造のコーナー用鋼板を用い 、該パラペット20を構成する合板には、たとえば釘ねじ8等を用いて固設する ことができる。前記オーバーフロー部(図示せず)を、前記防水シート4が該シ ート固着部材6Bに溶着される鉛直方向位置よりも下方に設けることにより、屋 根上に相当の水が溜まってこれが該オーバーフロー部から排水される場合であっ ても、これが下部の躯体構造に漏れることはない。
【0033】 図において、前記防水シート4の下には、その下地となる前記構造用合板31 が表面に凹凸形状を有する場合であってもその影響が該防水シート4に直接及ば ないようにするために、たとえばクロスシートを設ける等の手段を、適宜とるこ とができる。
【0034】 本考案の水平屋根構造は、すべてがピン接点により構成される軸組みにおいて も、小屋組みとしては水平板状体を設けることにより、ピンにおける自由な回転 が抑制されるため従来よりも水平力が強くなり、その結果、その力は建築物の縦 方向の構成である軸組みにも伝わり、建築物全体の強度を高めることができる。 さらに軸組みに筋かいが設置されることによって、建築物の強度、殊に水平力に 対する強度を一層高めることができる。
【0035】 図6は、本考案の水平屋根構造を用いた建築物の概略構成を示す、(a)平面 図(小屋伏せ図)、(b)Y方向立面図(桁行方向の立面図。以下においても同 様。)、(c)X方向立面図(妻行方向の立面図。以下においても同様。)であ る。図中(a)〜(c)において本水平屋根構造は、乱張りされた複数の構造用 合板31と、桁52、53等と、梁46等と、柱43、45等と、火打ち梁58 等と、筋かい7A、7Bとを備える。図中、GLは地面である(以下においても 同様。)
【0036】 図7は、図6に示した概略構成を有する本考案の水平屋根構造を用いた建築物 に水平力Hが作用した場合においても変形発生が少ないことを説明する、該建築 物の概略構成を示す(a)平面図(小屋伏せ図)、(b)Y方向立面図である。 図において、本建築物に水平力Hが作用しても、乱張りされた構造用合板31に より構成された水平板状体により、ピンにおける自由な回転が抑制されて水平力 に対する抵抗が強くなり、その結果、建築物全体の強度が高まり、さらに筋かい 7A等が設置されることによって、建築物の強度、殊に水平力に対する強度が一 層高まるため、水平面の崩れ、さらにはそれによる垂直面の崩れは抑制され、変 形発生が少ない。
【0037】 すなわち、構造用合板31による水平板状体を設けることにより、本考案の水 平屋根構造を用いた建築物では、従来の小屋組みと比較して剛性が高まり、また 束の設置が不要であるため、水平力が軸組みへ均等に分散されて伝わる。筋かい を設ける位置は任意であるが、施工制度を考慮すると、図に例示するように、X 軸始点およびY軸終点を原点として設けるなどの設置方法をとることが望ましい 。
【0038】 図8は、従来の屋根構造を用いた建築物の概略構成を示す、(a)平面図(小 屋伏せ図)、(b)Y方向立面図、(c)X方向立面図である。図中(a)〜( c)において従来の屋根構造は、桁72、73等と、母屋桁76等と、梁66、 68等とからなる小屋組みと、柱62、63等と、火打ち梁88等と、筋かい8 7A、87Bとを備える。
【0039】 図9は、図8に示した概略構成を有する従来の屋根構造を用いた建築物に水平 力Hが作用した場合に発生する変形を説明する、該建築物の概略構成を示す(a )平面図(小屋伏せ図)、(b)Y方向立面図である。図において、ピン接点に よる自由な回転により、筋かい87A等や火打ち梁88等の設けられた部分以外 の部分は水平力に対する抵抗が充分ではない。その結果、従来の屋根構造を用い た建築物に水平力Hが作用する場合、これに対する建築物全体の強度は不充分で あり、水平面の崩れ、さらにはそれによる垂直面の崩れ、変形発生が発生しやす なる。
【0040】 一方、図6および7に示したように、本考案の水平屋根構造を用いた建築物は 、従来の屋根構造を用いたものと比較して全体の強度を高めることができる。
【0041】
【考案の効果】
本考案の水平屋根構造によれば、上述のように構成されているため、屋根上の 積雪を減少させることができ、かつ落雪を防止することができる。
【0042】 また、防水シートは建築物躯体の変形の影響を受けず追随性がよい上、これを 溶着工法により設けることにより、年数経過による該シートの剥がれを防止する ことができ、維持保全の労力とコストが不要となる。
【0043】 また、本考案の水平屋根構造を用いた建築物は屋根に勾配を設ける必要がない ため、小屋組みには束等を設ける必要がなく、軒高が高くなることを抑制するこ とができ、風当たり面積、重量ともにその増大を抑制することができ、余計な強 度対策が不要となる。さらに、小屋組みとしては水平板状体を設けることにより 従来よりも水平力が強くなり、その結果、その力は建築物の縦方向の構成である 軸組みにも伝わり、建築物全体の強度を高めることができる。
【0044】 加えて、軒高の抑制や勾配が不要であることにより、屋根を構成する材料およ びそれに係るコストを低減することができ、また、屋根を水平に構成するため施 工作業の能率がよく、効率的に施工することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本考案の水平屋根構造の妻行方向からの縦断
面図である。
【図2】 図1に示した本考案の水平屋根構造のシート
固着部材6A付近を拡大した一部縦断面図である。
【図3】 本考案の水平屋根構造の平面図(屋根伏せ
図)である。
【図4】 本考案の水平屋根構造における屋根上の積雪
量減少の作用を示す説明図である。
【図5】 本考案の水平屋根構造の妻行方向からの一部
拡大縦断面図である。
【図6】 本考案の水平屋根構造を用いた建築物の概略
構成を示す、(a)平面図(小屋伏せ図)、(b)Y方
向立面図、(c)X方向立面図である。
【図7】 本考案の水平屋根構造を用いた建築物に水平
力Hが作用した場合においても変形が発生しないことを
説明する、該建築物の概略構成を示す(a)平面図(小
屋伏せ図)、(b)Y方向立面図である。
【図8】 従来の屋根構造を用いた建築物の概略構成を
示す、(a)平面図(小屋伏せ図)、(b)Y方向立面
図、(c)X方向立面図である。
【図9】 従来の屋根構造を用いた建築物に水平力Hが
作用した場合に発生する変形を説明する、該建築物の概
略構成を示す(a)平面図(小屋伏せ図)、(b)Y方
向立面図である。
【図10】 従来の無落雪住宅における屋根構造の妻行
方向からの縦断面図である。
【図11】 従来の無落雪住宅における屋根構造の平面
図(小屋伏せ図)である。
【符号の説明】
1、1B、1C…水平屋根構造、 3…水平板状体、4
…防水シート、5…ドレン部、 6A、6B…シート固
着部、 7A、7B…筋かい、 8…釘ねじ、10…水
平屋根、 20…パラペット、 21…オーバーフロー
部、 31…構造用合板、 33…スレート板等、 4
1〜45…柱、 46…梁、51〜53…桁、 56…
母屋桁、 57…垂る木、 58…火打ち梁、 61〜
63…柱、 66〜68…梁、 71〜73…桁、 7
6…母屋桁、 77…垂る木、 78…束、 79…ト
タン板、 80…無落雪住宅屋根、 83…中央溝、
85…ドレン、 87A、87B…筋かい、 88…火
打ち梁、 F…水の流れ、 GL…地面、 H…水平
力、 W、W1、W2…気流、Y…屋根上の雪の動き

Claims (4)

    【実用新案登録請求の範囲】
  1. 【請求項1】 水平に設けられた水平屋根と、該水平屋
    根の周囲の少なくとも一部に設けられたパラペットとか
    らなる水平屋根構造であって、該水平屋根は、建築物躯
    体上に設けられた水平な板状構造物である水平板状体
    と、該水平板状体の上方にこれを被覆して設けられた防
    水シートと、該水平屋根上からの排水を行うためのドレ
    ン部とを備えていることを特徴とする、水平屋根構造。
  2. 【請求項2】 前記防水シートは前記水平板状体に固設
    されたシート固着部材に溶着されて点張りされているこ
    とを特徴とする、請求項1に記載の水平屋根構造。
  3. 【請求項3】 前記水平屋根を構成する水平板状体は構
    造用合板、およびその上方面に載設されたスレート板ま
    たはその他の構造用部材を備えることを特徴とする、請
    求項1または2に記載の水平屋根構造。
  4. 【請求項4】 水平に設けられた水平屋根と、該水平屋
    根の周囲の少なくとも一部に設けられたパラペットとか
    らなる水平屋根構造であって、該水平屋根は、建築物躯
    体上に設けられた水平な板状構造物である水平板状体
    と、該水平板状体の上方にこれを被覆して設けられた防
    水シートと、該水平屋根上からの排水を行うためのドレ
    ン部とを備えており、該防水シートは該水平板状体に固
    設されたシート固着部材に溶着されて点張りされ、該水
    平屋根を構成する水平板状体は構造用合板、およびその
    上方面に載設されたスレート板またはその他の構造用部
    材を備え、該パラペットには、一定量を超えて水が溜ま
    らないように該水平屋根上からの排水を行うためのオー
    バーフロー部が設けられていることを特徴とする、水平
    屋根構造。
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