JP2002173689A - 活性多環芳香族系炭化水素材料およびその製造方法 - Google Patents

活性多環芳香族系炭化水素材料およびその製造方法

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ピッチを主成分とした原料を用いて、比較的
低温にて熱反応処理を行い、原料コストおよび製造コス
トが安価で、かつイオン吸着能の高い活性多環芳香族系
炭化水素材料を提供する。 【解決手段】 炭素と水素を主成分とする多環芳香族系
炭化水素において、 水素/炭素(原子比)が0.05〜0.5であり、 BET法による比表面積値が1500m2/g以上であり、 MP法による8〜12Åの細孔容積が0.2ml/g以上である
ことを特徴とする活性多環芳香族系炭化水素材料。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電気伝導性を有す
る活性多環芳香族系炭化水素材料に関する。
【0002】
【従来の技術】高分子系材料は、成形性、軽量性および
量産性に優れている。特にエレクトロニクス産業を代表
とする多くの産業分野においては、これらの特性に加え
て、さらに電気的に半導性あるいは伝導性を有する高分
子系材料が必要とされている。
【0003】特に求められているものは、電気伝導度が
半導体あるいは伝導体領域にあるというだけでなく、シ
リコン、ゲルマニウムなどのように、n型あるいはp型半
導体としての性質を有し、それらのp-n接合などを利用
してダイオードあるいは太陽電池などへの応用が可能で
ある有機高分子系半導体である。n型あるいはp型半導体
としての性質を持つ有機高分子系材料としては、ポリア
セチレン、ポリフェニレンなどが知られている。
【0004】例えば、「合成金属」(“化学増刊”87、19
80年発行、15-28)は、アセチレンを重合して直接フィ
ルム状のポリアセチレンを得た後、これに電子供与性ド
ーピング剤あるいは電子受容性ドーピング剤をドーピン
グすることにより、大幅に電気伝導度を増加させたp型
あるいはn型の半導体を得る手法を開示している。しか
しながら、ポリアセチレンは酸素によって酸化されやす
いので、実用性に極めて乏しい。
【0005】また、ポリフェニレンは、ポリアセチレン
とは異なり、比較的酸化安定性には優れている。しかし
ながら、ポリフェニレンにおいては、フェニレン骨格が
単結合で線上に結合しており、炭素原子間の共役系が小
さいので、ドーピング剤をドーピングすることによって
達成される電子伝導度に限界があると考えられ、またド
ーピング剤による不純物制御にも限界があると考えられ
ている。
【0006】そこで、半導体ないし伝導体としての電気
伝導性を有し、かつ優れた物理的性質を有するだけでな
く、酸化安定性にも優れた電気伝導性有機高分子材料が
開発された(特公平6-43545号公報参照)。この材料は、
多環芳香族系炭化水素材料(低温処理炭素材料あるいは
ポリアセン系有機半導体と一般に呼ばれている)であ
り、現在半導体材料として製造され、広く応用されてい
る。ポリアセン系有機半導体は、耐酸化性、耐薬品性、
耐熱性などの材料安定性に優れていること、反応条件を
選択することにより幅広い導電率が得られること、多く
の導電性高分子(ポリアニリン、ポリピロールなど)では
困難であった、p型(負イオン)およびn型(陽イオン)の両
ドーピングが可能であることなどの多くの利点を有して
いる。
【0007】ポリアセン系有機半導体は、1次元グラフ
ァイトの切端が3次元網目状に発達してできた分子レベ
ルの隙間を有した高次構造を持つ。このため、活性炭に
比べてイオン吸着能が強く、迅速に大量のドーパントを
蓄えることができる。また、ドーパントの出し入れに際
しても、材料の体積変化が少なく、非常に安定であるた
め、二次電池、キャパシタ材料としても注目を集めてい
る。また、この材料は、重金属を全く含まないので、環
境にやさしい、安全な高信頼性材料である。しかしなが
ら、イオン吸着能に関しては、未だ不十分であり、より
大きなイオン吸着量を有するポリアセン系有機半導体は
得られていない。
【0008】上記公知のポリアセン系有機半導体は、イ
オン吸着量が不十分であるという問題点があり、さらに
は、原料にフェノール樹脂を使用しているために、原料
コストが高価になってしまうという問題点がある。従っ
て、公知のポリアセン系有機半導体を電極材料にする場
合には、低温で熱反応を行うために、活性炭の製造に比
べて設備コストは安価であるが、原料コストが高いため
に、全体の製造コストが高価になってしまう。
【0009】これらの問題点に鑑み、イオン吸着量が大
きく、かつ安価な原料で容易に製造できる活性多環芳香
族系炭化水素材料が希求されている。しかしながら、安
価な原料であるピッチ、コークス、椰子がら、木粉など
を出発原料として活性多環芳香族系炭化水素材料を製造
した場合には、イオン吸着能が低くなるという問題が残
されている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明は、ピ
ッチを主成分とした原料を用いて、比較的低温にて熱反
応処理を行い、原料コストおよび製造コストが安価で、
かつイオン吸着能の高い活性多環芳香族系炭化水素材料
を得ることを主な目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記の課題
を解決するために、鋭意研究を行なった結果、炭素と水
素を主成分とする多環芳香族系炭化水素に特定の物性を
付与する場合には、その目的を達成しうることを見出し
た。
【0012】すなわち、本発明は、下記の活性多環芳香
族系炭化水素材料およびその製造方法を提供する。 項1. 炭素と水素を主成分とする多環芳香族系炭化水
素において、 水素/炭素(原子比)が0.05〜0.5であり、 BET法による比表面積値が1500m2/g以上であり、 MP法による8〜12Åの細孔容積が0.2ml/g以上であるこ
とを特徴とする活性多環芳香族系炭化水素材料。 項2. ピッチを主成分とする炭化水素原材料を不活性
雰囲気下で熱処理することを特徴とする下記の特性を備
えた活性多環芳香族系炭化水素材料の製造方法: 水素/炭素(原子比)が0.05〜0.5であり、 BET法による比表面積値が1500m2/g以上であり、 MP法による8〜12Åの細孔容積が0.2ml/g以上である。 項3. ピッチを主成分とする炭化水素原材料の酸素濃
度が20重量%以上であることを特徴とする項2に記載の
方法。
【0013】
【発明の実施の形態】本発明の活性多環芳香族系炭化水
素材料は、炭化水素を主とする原材料を不活性雰囲気下
に熱反応処理に供することにより、得られる。
【0014】炭化水素原材料は、特に限定されないが、
ピッチ、コークス、椰子がら、木粉、セルロースなどが
挙げられる。これらの原材料は、単独で使用して良く、
あるいは2種以上の混合物を使用しても良い。特に、広
い分野での実用性を左右する材料コストを考慮すると、
炭化水素原材料としては、ピッチ、コークスなどの安価
な材料がより好ましく、ピッチを主成分とする材料が特
に好ましい。
【0015】本発明において主たる原材料として使用す
る「ピッチを主成分とする炭化水素」は、所望の物性を
備えた活性多環芳香族系炭化水素材料を得ることができ
る限り、特に限定されるものでないが、石油系ピッチお
よび石炭系ピッチが例示される。石油系ピッチの場合に
は、原油の蒸留残査、流動性接触分解残査(デカントオ
イルなど)、サーマルクラッカーからのボトム油、ナフ
サクラッキングに際して得られるエチレンタールなどを
熱処理により重縮合させた生成物などが挙げられる。ま
た、石炭系ピッチの場合には、石炭の乾留で得られる油
分であるコールタールを蒸留し、軽質分を流出させた残
渣であるストレートピッチ、およびこれにアントラセン
油、タールなどを添加し、加圧下に重縮合させた生成物
などが挙げられる。また、これらのピッチを原料として
合成されるメソフェーズピッチも、本発明の炭化水素原
材料として使用することができる。
【0016】これらの安価なピッチは、現在主に製鉄用
コークスバインダー、電極用含浸材、コークス用原料、
炭素繊維の原料、成形炭素材料バインダーなどの用途に
大量に生産されている。本発明においては、この様な汎
用のピッチを主たる原材料として使用することができ
る。
【0017】本発明の活性多環芳香族系炭化水素材料
は、具体的には、例えば、以下の様な過程を経て製造さ
れる。なお、説明を簡略に行うために、ピッチにより、
原材料中の炭化水素源を代表させる。
【0018】1.ピッチの不融化処理 ピッチをそのままの状態で熱反応処理に供すると、一度
溶融して、所望の性状が得られ難いので、熱反応処理前
に不融化処理(架橋処理)しておくことが望ましい。ピ
ッチの不融化処理は、例えば100〜400℃程度(好ましく
は200〜380℃程度の温度)において、ピッチを空気中で
加熱する方法、ピッチと硝酸、硫酸などの酸性液体とを
接触させる方法などの各種の手法により、行うことがで
きる。
【0019】不融化処理を行ったピッチの酸素濃度は、
20重量%以上であるのが好ましい。より好ましくは、24
〜32重量%である。ピッチの酸素濃度が低すぎる場合に
は、所望の性能を有する活性多環芳香族系炭化水素材料
が得られ難い傾向がある。ピッチの酸素濃度を20重量%
以上とするには、不融化処理において、例えば、ピッチ
を空気中で、250〜380℃で5〜50時間加熱する方法が挙
げられる。
【0020】2.原材料の調製 次いで、上記の不融化処理を行なったピッチに熱反応助
材を加え、均一に混合して、原材料とする。
【0021】熱反応助材としては、例えば、塩化亜鉛、
燐酸ナトリウムなどの無機塩を用いることが好ましい。
不融化生成物に対する熱反応助材の配合量は、炭化水素
源の種類、無機塩の種類、目的とする最終生成物の物性
などによって異なるが、通常不融化ピッチ重量に対し
て、0.5〜8倍量程度であり、好ましくは1〜6倍量程度で
ある。
【0022】なお、上記の様にして得られた不融化ピッ
チと無機塩との混合物からなる原材料(この混合物を単
に「原材料混合物」ということがある)の取り扱いを容
易とするために、原材料混合物をフィルム状、板状、チ
ップ状などの所定形状に成形しても良い。成形を行う場
合には、必要に応じ、成形性を改善するための助材(成
形助材)をさらに配合することができる。成形助材とし
ては、例えば、原材料をそのままプレス成形する場合に
は、セルロースなどの結着性を有する材料を使用するこ
とができる。セルロースを成形助材として使用する場合
の配合量は、原材料の主成分であるピッチ重量に対し
て、通常0.05〜0.5倍量であり、好ましくは0.1〜0.4倍
量程度である。また、加熱成形を行なう場合には、フェ
ノール樹脂(例えば、レゾールなど)などの熱硬化性樹脂
を成形助材として使用することもできる。フェノール樹
脂を成形助材として使用する場合の配合量は、原材料の
主成分であるピッチ重量に対して、通常0.05〜0.5倍量
であり、好ましくは0.1〜0.4倍量程度である。フェノー
ル樹脂を成形助材に用いる場合には、50〜250℃程度(好
ましくは100〜200℃程度)の温度で1〜120分程度(好まし
くは5〜60分程度)加熱することにより、硬化成形するこ
とも可能である。成形助材は、本発明による活性多環芳
香族系炭化水素の構造形成に寄与するものであれば、特
に限定されない。
【0023】3.熱反応処理 次いで、上記で得られた原材料混合物あるいはその成形
物を熱反応処理することにより、本発明の活性多環芳香
族系炭化水素材料を得ることができる。
【0024】成形したあるいは未成形の原材料混合物の
熱反応処理は、窒素、アルゴン、真空などの不活性雰囲
気中で行われる。熱反応温度は、原材料混合物の組成、
熱反応条件(昇温速度、熱反応時間、反応雰囲気など)
に応じて適宜決定されるが、通常500〜700℃程度の範囲
内にあり、さらにはピーク温度を550〜700℃程度とする
ことが好ましい。また、昇温速度は、通常10〜250℃/時
間程度であり、20〜200℃/時間程度とすることが、好ま
しい。
【0025】この熱反応により、活性多環芳香族系炭化
水素構造が形成される。反応度は、反応生成物中の水素
原子/炭素原子数比(以下、単に「H/C比」と記すことが
ある)を基準として、制御することができる。本発明に
よる活性多環芳香族系炭化水素材料のH/C比は、通常0.0
5〜0.5程度であり、好ましくは0.1〜0.3程度であり、よ
り好ましくは0.15〜0.3程度である。H/C比が高すぎる場
合には、充分に多環芳香族系共役構造が発達していない
ので、所定の電気伝導度が得られないため、充分な吸着
能が発揮されない。一方、H/C比が低すぎる場合には、
炭素化が進行しすぎて通常の活性炭となり、やはり充分
な吸着能が得られない。
【0026】4.洗浄および乾燥 次いで、上記で得られた熱反応処理物を洗浄材で洗浄し
て、熱反応物中に含まれている無機塩を除去する。洗浄
材としては、無機塩を除去しうる限り、特に限定されな
いが、水、希塩酸などが挙げられる。希塩酸を使用する
場合には、最終的に水によりさらに洗浄して、塩酸を除
去することが好ましい。次いで、洗浄物を乾燥すること
により、本発明の活性多環芳香族系炭化水素材料が得ら
れる。
【0027】本発明の活性多環芳香族系炭化水素材料
は、下記の特性を備えている。
【0028】まず、その水素原子/炭素原子数比は、上
述した通り、0.05〜0.5の範囲内にある。
【0029】また、そのBET法による比表面積値は、H/C
比が上記の範囲にある条件下において、通常1500m2/g以
上であり、好ましくは1800〜3000m2/gの範囲にある。比
表面積値が大きすぎる場合には、かさ密度が低下して、
単位体積当たりの吸着能が低下する傾向にある。一方、
比表面積値が小さすぎる場合には、細孔構造が充分に発
達していないので、MP法による8〜12Åの細孔容積が0.2
ml/g以上になり難くなる。本発明の一つの特徴は、H/C
比と比表面積とが同時に特定の数値を充足することにあ
る。
【0030】さらに、本発明の活性多環芳香族系炭化水
素材料のもう一つの特徴は、MP法による8〜12Åの細孔
容積が、0.2ml/g以上である点に存する。この値が低す
ぎる場合には、吸着サイトとなるマイクロ孔が少なくな
るので、充分な吸着能が得られない。MP法による8〜12
Åの細孔容積は、好ましくは0.2〜0.8ml/gである。
【0031】なお、MP法とは、「t−プロット法」(B.
C. Lippens, J. H. de Boer,J. Catalysis, 4, 319(19
65))を用いて、マイクロ孔容積、マイクロ孔面積および
マイクロ孔の分布を求める方法を意味する。MP法は、Mi
khail, Brunauer, Bodorにより考案された方法である
(R. S. Mikhail, S. Brunauer, E. E. Bodor, J. Coll
oid Interface Sci., 26, 45 (1968))。
【0032】上記の様にして得られた本発明の活性多環
芳香族系炭化水素材料は、安価な原料を用いて得られ、
しかもイオン吸着量が公知のポリアセン系有機半導体よ
り大きいので、キャパシタなどにおける電極用材料とし
て有用であり、さらに水処理用吸着材、排煙用吸着材、
脱臭用吸着材などとしても有用である。
【0033】
【発明の効果】本発明の活性多環芳香族系炭化水素材料
は、ピッチの様な安価な原料を用いて、比較的低い温度
での熱反応によって得られるので、原料コスト、ランニ
ングコストなどを考慮した場合、工業的価値は非常に大
きい。
【0034】特に、キャパシタなどにおける電極用材料
として使用する場合には、キャパシタの高容量化、低コ
スト化に貢献する。
【0035】
【実施例】以下に、実施例を示し、本発明の特徴とする
ところをさらに明確にする。
【0036】実施例1 まず、主原料であるピッチの不融化処理を行なった。す
なわち、石炭系等方性ピッチ(軟化点280℃)の粉末を磁
製の皿に入れ、小型円筒炉を用いて空気中で熱処理し
た。熱処理は、ピッチ粉末を室温から330℃まで2時間
かけて昇温し、同温度に10時間保持した後、室温まで冷
却し、円筒炉から取り出した。この不融化処理したピッ
チの元素分析を行い、酸素濃度を求めた(測定装置:パ
ーキンエルマー社製元素分析装置“PE2400シリーズII、
CHNS/O”)ところ、酸素濃度は、30.9重量%であった。
【0037】次いで、不融化処理したピッチに熱反応助
材を加え、混合した。熱反応助材として塩化亜鉛を用い
た。混合比率は、不融化ピッチ100重量部に対し、塩化
亜鉛400重量部とした。これらに適量の水を加えて混合
することにより、水性スラリー(固形分85重量%+水分15
重量%)を得た。
【0038】次いで、上記水性スラリーを黒鉛製の皿に
入れ、小型円筒炉を用いて熱反応処理を行った。熱反応
処理は、窒素雰囲気下で120℃/時間の昇温速度で600℃
まで昇温を行い、同温度で1時間保持し、炉中で自然冷
却した後、炉から取り出した。
【0039】次いで、得られた熱反応処理物を希塩酸で
洗浄した後、pH値が約7となるまで蒸留水により洗浄し
た。この洗浄後の熱反応処理物を乾燥することにより、
本発明による活性多環芳香族系炭化水素材料を得た。
【0040】得られた活性多環芳香族系炭化水素材料の
元素分析を行ない、H/C比を求めた(測定装置:パーキン
エルマー社製元素分析装置“PE2400シリーズII、CHNS/
O”)。
【0041】また、窒素を吸着質として、等温線の測定
を行ない(測定装置:ユアサアイオニクス社製“NOVA120
0”)、得られた等温線からBET法により比表面積値を求
めた。
【0042】全細孔容積は、相対圧力P/P0≒1(P:吸着
平衡圧、P0:飽和蒸気圧(77k、N2))付近で吸着した窒素
ガスの全量から求めた。
【0043】8〜12Åの直径を持つマイクロ孔の細孔容
積は、MP法により計算した。
【0044】上記の測定および計算による結果を後記表
1に示す。
【0045】次いで、上記の活性多環芳香族系炭化水素
材料を粉砕し、この粉末100重量部に対し、カーボンブ
ラック10重量部とバインダーとしてのポリテトラフルオ
ロエチレン樹脂粉末8重量部を混合した後、プレス成形
することにより、厚さ0.5mmの電極を得た。
【0046】上記で得られたシート状電極を1.5cm×1.5
cmにカットし、150℃で2時間乾燥した。得られた電極を
正極および負極とし、集電体として厚さ0.2mmのステン
レスメッシュを用い、セパレータとして充分に乾燥した
電解コンデンサー紙を用い、電解液として、濃度1.0mol
/lのテトラエチルアンモニウム・テトラフルオロボレー
ト(Et4NBF4)/プロピレンカーボネート(PC)溶液を用い
て、ドライボックス中でキャパシタを組み立てた。
【0047】次いで、得られたキャパシタを用いてイオ
ン吸着量を求めた。イオン吸着量は、キャパシタの電気
容量(F/g)として測定した。すなわち、キャパシタの最
大充電電流を50mAに規制し、2.5Vで1時間充電した後、1
mAの定電流にてキャパシタ電圧が0Vになるまで放電し
た。放電曲線の傾きから電気容量(F)を求め、正極/負極
の全重量と電気容量とから、電極の重量当たりの容量(F
/g)を求め、この値をイオン吸着量とした。結果を表1
に併せて示す。
【0048】実施例2 主原料であるピッチの不融化処理を行うに当たり、石炭
系等方性ピッチ(軟化点280℃)の粉末を磁製の皿に入
れ、小型円筒炉を用いて空気中で熱処理した。熱処理
は、ピッチ粉末を室温から330℃まで2時間かけて昇温
し、同温度に8時間保持した後、室温まで冷却し、円筒
炉から取り出した。この不融化処理したピッチの元素分
析を行い、酸素濃度を求めた。酸素濃度は、28.1重量%
であった。
【0049】次いで、不融化処理したピッチに熱反応助
材を加え、以後実施例1と同様にして、本発明による活
性多環芳香族系炭化水素材料を得た。
【0050】得られた活性多環芳香族系炭化水素材料を
用いて、実施例1と同様の手法により、電極を作製し、
キャパシタを組み立て、充放電を行った。得られた結果
を活性多環芳香族系炭化水素材料の諸物性と併せて表1
に示す。
【0051】実施例3 主原料であるピッチの不融化処理を行うに当たり、熱処
理を室温から320℃まで2時間かけて昇温し、同温度に
8時間保持した後、室温まで冷却し、円筒炉から取り出
した。酸素濃度は、26.4重量%であった。以後実施例1
と同様にして、本発明による活性多環芳香族系炭化水素
材料を得た。
【0052】得られた活性多環芳香族系炭化水素材料を
用いて、実施例1と同様の手法により、電極を作製し、
キャパシタを組み立て、充放電を行った。得られた結果
を活性多環芳香族系炭化水素材料の諸物性と併せて表1
に示す。
【0053】比較例1 主原料であるピッチの不融化処理を行うに当たり、熱処
理を室温から320℃まで2時間かけて昇温し、同温度に
4時間保持した後、室温まで冷却し、円筒炉から取り出
した。酸素濃度は、18.6重量%であった。以後実施例1
と同様にして、本発明による活性多環芳香族系炭化水素
材料を得た。
【0054】得られた活性多環芳香族系炭化水素材料を
用いて、実施例1と同様の手法により、電極を作製し、
キャパシタを組み立て、充放電を行った。得られた結果
を活性多環芳香族系炭化水素材料の諸物性と併せて表1
に示す。
【0055】比較例2 主原料であるピッチの不融化処理を行うに当たり、熱処
理を室温から320℃まで2時間かけて昇温し、同温度に
2時間保持した後、室温まで冷却し、円筒炉から取り出
した。酸素濃度は、13.2重量%であった。以後実施例1
と同様にして、本発明による活性多環芳香族系炭化水素
材料を得た。
【0056】得られた活性多環芳香族系炭化水素材料を
用いて、実施例1と同様の手法により、電極を作製し、
キャパシタを組み立て、充放電を行った。得られた結果
を活性多環芳香族系炭化水素材料の諸物性と併せて表1
に示す。
【0057】比較例3 ピッチを使用することなく、水溶性フェノール樹脂100
重量部(固形分)に対し、塩化亜鉛400重量部を混合す
る以外は実施例1と同様にして熱反応処理を行って、活
性多環芳香族系炭化水素を得た。そのBET法による比表
面積値は、2060m 2/gであった。
【0058】得られた活性多環芳香族系炭化水素を用い
て、実施例1と同様の手法により、電極を作製し、キャ
パシタを組み立て、充放電を行なった。得られた結果を
活性多環芳香族系炭化水素材料の諸物性と併せて表1に
示す。
【0059】
【表1】
【0060】表1に示す結果から、本発明による活性多
環芳香族系炭化水素材料は、イオン吸着量が大きく、か
つ安価な材料であることから、これを使用するキャパシ
タ電極の高容量化、低コスト化に貢献できる。
【0061】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 佐竹 久史 大阪府大阪市中央区平野町4丁目1−2 株式会社関西新技術研究所内 (72)発明者 永野 純子 大阪府大阪市中央区平野町4丁目1−2 株式会社関西新技術研究所内 (72)発明者 矢田 静邦 大阪府大阪市中央区平野町4丁目1−2 株式会社関西新技術研究所内 Fターム(参考) 4H058 DA13 DA39 EA12 FA13 FA40 GA16 HA13

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 炭素と水素を主成分とする多環芳香族系
    炭化水素において、 水素/炭素(原子比)が0.05〜0.5であり、 BET法による比表面積値が1500m2/g以上であり、 MP法による8〜12Åの細孔容積が0.2ml/g以上であるこ
    とを特徴とする活性多環芳香族系炭化水素材料。
  2. 【請求項2】 ピッチを主成分とする炭化水素原材料を
    不活性雰囲気下で熱処理することを特徴とする下記の特
    性を備えた活性多環芳香族系炭化水素材料の製造方法: 水素/炭素(原子比)が0.05〜0.5であり、 BET法による比表面積値が1500m2/g以上であり、 MP法による8〜12Åの細孔容積が0.2ml/g以上である。
  3. 【請求項3】 ピッチを主成分とする炭化水素原材料の
    酸素濃度が20重量%以上であることを特徴とする請求項
    2に記載の方法。
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