JP2002172933A - 自動車ドアのパーティションサッシ構造 - Google Patents

自動車ドアのパーティションサッシ構造

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 自動車ドアのパーティションサッシの構造を
簡素化かつ軽量化すること。 【解決手段】 ドアのウインド開口を前後に仕切るアッ
パサッシ6Aと、アッパサッシ6Aの下端からドア本体
内に延出するロアサッシ6Bとからなるパーティション
サッシ6を硬質合成樹脂で形成し、ロアサッシ6Bには
これと一体にガラスガイド部62を形成し、アッパサッ
シ6Aにのみガラスラン7を装着する構造とした。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、自動車ドアのパー
ティションサッシ構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】自動車のリヤドアを例にとると、図7に
示すように、ドア本体1の上縁のベルトライン10とド
アフレーム2とで囲まれたウインド開口を前後に仕切り
更にドア本体1内へ下方に延出するパーティションサッ
シ6を設けた構造のものがある。そしてパーティション
サッシ6は、軽量化の目的でドア本体内に配設される部
分を硬質合成樹脂製としたものが採用されるようになっ
てきた。そしてパーティションサッシ6には全長にガラ
スランが取付けられ、昇降ドアガラス3の昇降時にその
後縁をガラスランで案内するようになっている。またガ
ラスランを合成樹脂のパーティションサッシ6と一体に
形成したものもある(実開昭57−198289号)。
なお、パーティションサッシ6で仕切られたウインド開
口の後部には固定ドアガラス30がゴムの窓枠部材を介
して設置してある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明はサッシを硬質
合成樹脂で形成した自動車ドアのパーティションサッシ
構造において、構成部品を簡素化して一層の軽量化とコ
スト低減を図ること、および、外観品質を向上させるこ
とを課題としてなされたものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】請求項1の発明は、自動
車ドアのウインド開口を前後に仕切るアッパサッシと、
アッパサッシの下端からドア本体内に延出するロアサッ
シとからなるパーティションサッシ全体を硬質合成樹脂
で構成し、ロアサッシには断面ほぼコ字形の本体部の対
向内面に、撓み性を有し、昇降ドアガラスの縦縁を両面
から摺動自在に挟むガラスガイド部を形成し、アッパサ
ッシには、昇降ドアガラスの縦縁を両面から挟むシール
リップを備えたガラスランを嵌着せしめる構造とする。
【0005】ロアサッシとともにアッパサッシも硬質合
成樹脂製とし、かつサッシと昇降ドアガラスとの間のシ
ール性が要求されないドア本体内のロアサッシはガラス
ガイシド部を一体成形してガラスランを省略し、アッパ
サッシのみにガラスランを取付ける構造としたので、構
造が簡素軽量化され、コストが低減する。
【0006】請求項2の発明は、上記ロアサッシはその
外面に設けたブラケットでドア本体のインナパネルに固
定し、上記アッパサッシの上端には、該上端から上方へ
延出して先端部がL字状に屈曲して延びる取付片を形成
して、上記先端部を車体のルーフサイドに沿うドアフレ
ームの底面に重合締結する。この場合、請求項3のよう
に上記アッパサッシおよびロアサッシは硬質合成樹脂の
射出成形体で、上記取付片はアッパサッシと一体の硬質
合成樹脂で形成する。また請求項4のように上記取付片
は、アッパサッシの射出成形時に基端を上記アッパサッ
シの上端部にインサートした金属板で形成する。
【0007】アッパサッシの上端に設けたL字形の上記
取付片の先端部をルーフサイドに沿うドアフレームの底
面に重合してねじ部材により締結することでアッパサッ
シの上端を作業性よく固定することができる。特に、取
付片をインサート成形された金属板とすることで、アッ
パサッシの上端固定部を強固にすることができる。
【0008】請求項5の発明は、アッパサッシを断面ほ
ぼコ字形の本体部と、底面が本体部と共通で本体部とは
開口方向を逆とする断面ほぼコ字形の背面部を一体に備
えた構造とする。そして、アッパサッシ射出成形時に、
昇降ドアガラスにより開閉されるウインド開口とアッパ
サッシで仕切られた他方のウインド開口を閉じる固定の
ドアガラスの外周を包む窓枠部材とアッパサッシの背面
部材とを一体化させる。これにより、アッパサッシの成
形と同時に、アッパサッシと固定ドアガラスとを結合す
ることができる。
【0009】請求項6の発明では、上記アッパサッシ
は、これと一体成形した加飾用の表皮で被覆する。これ
によりアッパサッシの外観品質を向上させる。特に繊維
強化合成樹脂のアッパサッシなど、補強用フィラーを含
ませることで表面粗度が荒いアッパサッシに適用して効
果がある。
【0010】請求項7の発明では、アッパサッシに取付
けるガラスランに形成したモールリップで、アッパサッ
シの側面のうち、少くとも車外側の側面を被覆する。請
求項6の発明と同様、表面粗度が荒いアッパサッシに適
用して効果がある。
【0011】
【発明の実施の形態】図7に示すように、自動車のリヤ
ドアには縦方向にパーティションサッシ6が設置してあ
る。パーティションサッシ6は、リヤドアのウインド開
口を、昇降ドアガラス3により開閉される前側のウイン
ド開口と、固定のドアガラス30が嵌込まれた後側のウ
インド開口とに仕切るアッパサッシ6Aと、アッパサッ
シ6Aを延長するようにドア本体1内にあって上端がア
ッパサッシ6Aの下端と結合されたロアサッシ6Bとか
らなる。両サッシ6A,6Bはいずれも硬質合成樹脂の
射出成形体である。なお、ドア本体1内の前部には、ド
アフレーム2の前部縦縁を下方へ延長するようにサッシ
20が設けてある。サッシ20はロアサッシ6Bと実質
的に同一構造で、ロアサッシ6Bと前後方向に対向して
いる。
【0012】図1(B)に示すように、ロアサッシ6B
は、断面ほぼコ字形の本体部の相対向する側壁61a,
61bの内面にそれぞれガラスガイド部62がサッシ長
手方向に所定の間隔をおいて形成してある。各ガラスガ
イド部62は断面C字形舌片状で、上端が側壁61a.
61bと一体結合し、下端は側壁61a.61bと分離
しており、厚さは側壁61a.61bよりも薄く、撓み
性を有する。側壁61a.61bのガラスガイド部62
は上下に互い違いの位置としてある。ロアサッシ6B
は、その外面に形成したブラケット66で、開口側を前
方としてドア本体1のインナパネルにボルト締め固定し
てある。
【0013】図1(A)に示すように、アッパサッシ6
Aは、断面ほぼコ字形の本体部63aと、これと開口方
向を逆とする断面ほぼコ字形の背面部63bとを一体と
した断面H形で、本体部63aはロアサッシ6Bとほぼ
同じ断面形状としてある。図2に示すようにアッパサッ
シ6Aの上端には、本体部63aと背面部63bとを仕
切る底壁64から上方へ延びて先端部651がL字状に
背面部63b側へ屈曲する取付片65が一体形成してあ
る。取付片65の幅は底壁64よりも狭くしてある。
【0014】下端がロアサッシ6Bの上端に結合接続さ
れたアッパサッシ6Aの上端は、図3に示すように、取
付片65をドアフレーム2に下側から挿入して先端部6
51をドアフレーム2の水平底面21に重ね合わせ、ね
じ部材67で締結することにより固定される。
【0015】図1(A)に示すように、アッパサッシ6
Aの背面部63bには固定ドアガラス30が、その外周
を包むゴムの窓枠部材8を介して固定せしめてある。固
定は、窓枠部材8を背面部63bに嵌着してもよいし、
後記するようにアッパサッシ6Aを射出成形するときに
背面部63bと窓枠部材8とを一体化してもよい。
【0016】アッパサッシ6Aの本体部63aには、昇
降ドアガラス3の縦縁を挟む一対のシールリップ71を
備えたガラスラン7が組付けてある。ガラスラン7は、
上端がドアフレーム2に組付けられるガラスラン(図示
略)の後端と型成形接続で予めL字状に接続せしめてあ
り、アッパサッシ6Aのコ字形の本体部63aに嵌着さ
れる。なお、本体部63aの下端には図略のストッパが
突設してあり、これにガラスラン7の下端が支持され
る。
【0017】昇降ドアガラス3は、その前後の縦縁が、
ドア本体1内ではサッシ20とロアサッシ6Bにより、
ウインド開口部ではドアフレーム2の前部縦枠に嵌着し
たガラスランとアッパサッシ6Aに嵌着したガラスラン
7により案内されて昇降動する。なおロアサッシ6Bで
は、対向するC字形のガラスガイド部62がドアガラス
3の縦縁をその両面から弾性的に挟み、低い摺動抵抗で
ドアガラス3を上下方向に案内する。
【0018】上記の実施形態では、アッパサッシ6Aと
ロアサッシ6Bをそれぞれ射出成形して両者を連結した
が、アッパサッシとロアサッシを一体としたパーティシ
ョンサッシ全体を一つの金型で一体に射出成形により形
成してもよい。
【0019】また、アッパサッシ6Aの背面部63b
と、窓枠部材8との結合は、固定ドアガラス30の外周
に金型成形により形成した窓枠部材8の前縁部を、アッ
パサッシ6Aを射出成形する金型内にセットしておき、
金型内にアッパサッシ成形用の合成樹脂材を注入して、
アッパサッシ6Aと窓枠部材8を一体化してもよい。こ
れによればアッパサッシ6Aの成形と、アッパサッシ6
Aと窓枠部材8との結合を同時に行うことができる。
【0020】図4は、先の実施形態の取付片65(図
2)に代えて金属板の取付片65Aを用いた実施形態を
示すものである。取付片65は合成樹脂の小型部材であ
るから、車両振動時などにおいて、ねじ締め部で割れが
生じるおそれがある。本実施例では屈曲した先端部65
1を有するほぼL字形の金属板の取付片65Aの基端を
アッパサッシ6Aを成形する金型内にセットしておいて
金型内にアッパサッシ成形材料を注入し、底壁64に取
付片65Aの基端がインサートされたアッパサッシ6A
を得るものである。
【0021】パーティションサッシとしては、合成樹脂
の中で比較的強度にすぐれたABS樹脂、ポリプロピレ
ン樹脂、ポリアセタール樹脂等が用いられ得るが、更に
充分な強度を確保するために、これ等に繊維質の補強用
フィラーを含有せしめた強化合成樹脂を用いる。しかし
ながら強化合成樹脂は、フィラーにより表面に凹凸が現
れて外観が必ずしもよくないので、加飾用表皮材を一体
成形する。加飾用表皮材としては、たとえば図5に示す
ようにアッパサッシ6Aと同質の合成樹脂のフィルム9
aの上に加飾用フィルム9b、例えば表面にメタリック
粉を蒸着したフィルムを積層し、更にその上にクリア層
9cを形成した三層の表皮材9を用いる。
【0022】表皮材9の一体成形は、図示は省略した
が、アッパサッシ6Aを成形するキャビティを構成する
金型の一方の型部材のキャビティに表皮材9を張設し
て、他方の型部材により型閉めし、該他方の型部材のキ
ャビティ面と表皮材9との間にアッパサッシ成形材料を
注入し、注入された成形材料で表皮材9を上記一方の型
部材のキャビティ面に圧接させるフィルムインモールド
法により行う。これによりアッパサッシ6Aの外表面に
所望の色調、光沢が付与される。
【0023】図6は、外観品質に劣る強化合成樹脂のア
ッパサッシの外表面の露出を防止する一実施形態を示す
ものである。アッパサッシ6Aに嵌着されるガラスラン
7の車外側の側壁72の先端から反転して側壁72の外
面に沿って伸びるモールリップ73を形成し、このモー
ルリップ73と側壁72とでアッパサッシ6Aの車外側
の側壁65を挟んだ形でガラスラン7をアッパサッシ6
Aに取付けてアッパサッシ6Aの外表面をガラスラン7
のモールリップ73で被覆する。これによりアッパサッ
シ6Aの外表面の露出が防止されるとともに、ガラスラ
ン7の取付安定性が向上する。
【0024】以上、自動車のリヤドアについて説明した
が、フロントドアにも、昇降ドアガラスで開閉されるド
ア開口と、ドア前端の三角窓のドア開口とがパーティシ
ョンサッシで仕切られた構造のものがある。かかるフロ
ントドアのパーティションサッシにも、本発明のパーテ
ィションサッシ構造が適用され得る。
【0025】
【発明の効果】本発明によれば、パーティションサッシ
を全長にわたり合成樹脂で形成したので軽量となる。ま
た、パーティションサッシのドア本体内部分には昇降ド
アガラスを挟んで案内するガラスガイド部をサッシと一
体に形成し、ドアガラスとの間のシール性が要求される
上部のみにガラスランを装着するようにしたから、パー
ティションサッシに使用するガラスランを従来の半分近
くまで減らすことができ、コスト低減に貢献する。また
パーティションサッシの上端はL字状の取付片を介して
ドアフレームの底面に重合締結することで、作業性よ
く、かつ見栄えよくドアフレームに連結することができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】(A)は本発明のパーティションサッシのアッ
パサッシの図7のIA−IA線に沿う位置での断面図、
(B)はパーティションサッシのロアサッシの斜視図で
ある。
【図2】アッパサッシの上端に形成した取付片の斜視図
である。
【図3】上記取付片とドアフレームの結合部の縦断面図
である。
【図4】アッパサッシの上端に設けた他の取付片の斜視
図である。
【図5】アッパサッシの外表面に形成した加飾用表皮の
拡大断面図である。
【図6】本発明の他のパーティションサッシのアッパサ
ッシの図7のIA−IA線に沿う位置での断面図であ
る。
【図7】パーティションサッシを備えた自動車のリヤド
アの正面図である。
【符号の説明】
1 ドア本体 2 ドアフレーム 21 底面 3 昇降ドアガラス 30 固定ドアガラス 6 パーティションサッシ 6A アッパサッシ 6B ロアサッシ 62 ガラスガイド部 64 底壁 65,65A 取付片 66 ブラケット 7 ガラスラン 71 シールリップ 73 モールリップ 8 窓枠部材 9 アッパサッシの加飾用表皮
フロントページの続き Fターム(参考) 3D127 CB05 CC06 DE23 GG07 3D201 AA01 CA19 CA23 DA03 DA31 DA34

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 自動車ドアのウインド開口を前後に仕切
    るアッパサッシと、アッパサッシの下端からドア本体内
    に延出するロアサッシとからなるパーティションサッシ
    を硬質合成樹脂で構成し、ロアサッシには断面ほぼコ字
    形の本体部の対向内面に、撓み性を有し、昇降ドアガラ
    スの縦縁を両面から摺動自在に挟むガラスガイド部を形
    成し、アッパサッシには断面ほぼコ字形の本体部に、昇
    降ドアガラスの縦縁を両面から挟むシールリップを備え
    たガラスランを嵌着せしめた自動車ドアのパーティショ
    ンサッシ構造。
  2. 【請求項2】 上記ロアサッシはその外面に設けたブラ
    ケットでドア本体のインナパネルに固定し、上記アッパ
    サッシの上端には、該上端から上方へ延出して先端部が
    L字状に屈曲して延びる取付片を形成して、上記先端部
    を車体のルーフサイドに沿うドアフレームの底面に重合
    締結した請求項1記載の自動車ドアのパーティションサ
    ッシ構造。
  3. 【請求項3】 上記アッパサッシおよびロアサッシは硬
    質合成樹脂の射出成形体であり、上記取付片は、上記ア
    ッパサッシと一体成形した硬質合成樹脂からなる請求項
    2記載の自動車ドアのパーティションサッシ構造。
  4. 【請求項4】 上記アッパサッシおよびロアサッシは硬
    質合成樹脂の射出成形体であり、上記取付片は、その基
    端を上記アッパサッシの上端部にインサートして上記ア
    ッパサッシと一体成形した金属板からなる請求項2記載
    の自動車ドアのパーティションサッシ構造。
  5. 【請求項5】 上記アッパサッシは、断面ほぼコ字形の
    上記本体部と、底壁が上記本体部と共通で上記本体部と
    開口方向を逆とする断面ほぼコ字形の背面部を一体に備
    え、昇降ドアガラスにより開閉される一方のウインド開
    口と上記アッパサッシで仕切られた他方のウインド開口
    を閉じる固定ドアガラスの外周を包む窓枠部材を、上記
    アッパサッシに沿う部分で、上記アッパサッシ射出成形
    時に上記背面部と一体化せしめた請求項1ないし4のい
    ずれかに記載の自動車ドアのパーティションサッシ構
    造。
  6. 【請求項6】 上記アッパサッシは、加飾用表皮一体成
    形の射出成形体である請求項1ないし5のいずれかに記
    載の自動車ドアのパーティションサッシ構造。
  7. 【請求項7】 上記ガラスランの少なくとも車外側の側
    壁の先端に該側壁の外表面に沿って伸びるモールリップ
    を形成し、該モールリップと上記側壁とで上記アッパサ
    ッシの車外側の側壁を挟むとともに上記モールリップで
    上記アッパサッシの上記側壁を被覆した請求項1ないし
    5のいずれかに記載の自動車ドアのパーティションサッ
    シ構造。
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