JP2002172331A - 電気加熱式触媒装置 - Google Patents

電気加熱式触媒装置

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JP2002172331A JP2001272387A JP2001272387A JP2002172331A JP 2002172331 A JP2002172331 A JP 2002172331A JP 2001272387 A JP2001272387 A JP 2001272387A JP 2001272387 A JP2001272387 A JP 2001272387A JP 2002172331 A JP2002172331 A JP 2002172331A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 電気加熱式触媒装置の加熱部熱容量を低減
し、機関始動時の急速昇温を可能とする。 【解決手段】 表面に絶縁層を有する金属製絶縁箔18
2表面に絶縁層を有さない生箔181とを箔長手方向に
電気的絶縁層を介して交互に接合した複合箔を積層した
金属箔積層体の積層方向両端に電極を接続して電気加熱
式触媒装置を構成する。金属箔積層体の各層の絶縁箔を
互いに導通可能に接合する導通接合部を局所的に設け、
生箔全体を電極と絶縁する電気的絶縁層を設ける。これ
により、積層体の各層の接合強度を確保しつつ導通接合
部形成の自由度が増大する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、金属箔を積層して
構成した電気加熱式触媒装置に関する。
【0002】
【従来の技術】内燃機関の排気通路に排気浄化触媒を設
け、排気中のHC、CO、NOx等の有害成分を浄化す
る技術が知られている。しかし、排気浄化触媒は活性化
温度より低い温度では排気浄化能力が著しく低下するた
め、機関始動後排気温度が上昇して触媒が活性化温度に
到達するまでは、機関から排出された上記有害成分、特
にHC、CO成分は触媒により浄化されずそのまま大気
に放出される問題が生じる。
【0003】この問題を解決するために、触媒担体に金
属を使用し、機関始動時にこの金属担体に電流を流すこ
とにより金属担体自体を発熱させて、機関始動後短期間
で触媒温度を上記活性化温度まで上昇させるようにした
電気加熱式触媒装置が考案されている。この種の電気加
熱式触媒装置の例としては、例えば特開平5−1799
39号公報に記載されたものがある。
【0004】同公報の電気加熱式触媒装置は、表面にそ
れぞれ絶縁層を形成した金属製の波箔と平箔とを重ねて
中心電極回りに巻回して構成した円筒状の金属箔積層体
の形状とされ、この円筒状の金属箔積層体の外周部を電
極に接続することにより、金属箔に通電を行う。また、
上記積層体の中心電極近傍部分と外周部近傍の金属箔各
層では上記波箔の山と谷は平箔にロウ付等により相互に
通電可能に接合されており、中間部分の各層では波箔と
平箔は接合されておらず前記金属箔絶縁層により相互に
電気的に絶縁された状態になっている。すなわち上記触
媒装置では、中心電極近傍と外周近傍とに形成された金
属箔相互が導通可能に接合された部分(導通接合部分)
の中間には相互に絶縁された波箔と平箔とが渦巻き円筒
状に積層された部分(非接合部分)が形成された構造と
なっている。
【0005】上記中心電極と外周電極との間に電圧を印
加すると、中心電極近傍と外周近傍の導通接合部分では
金属箔の各層は導通可能に接続せれているため、この部
分では半径方向に電流が流れ電流路の断面積が大きくな
ることから、抵抗が極めて小さくなり通電しても発熱は
生じない。一方、これらの導通接合部分の中間の非接合
部分では金属箔は相互に絶縁されているため、電流はそ
れぞれ波箔と金属箔中を通って流れ、渦巻き状の電流路
が形成される。このため、この非接合部分では電流路断
面積が小さく、かつ電流路長さが長くなることから、電
気抵抗が大きくなり通電により発熱を生じて金属箔全体
の温度が上昇する。
【0006】すなわち上記装置では、電極間に電圧が印
加されると渦巻き円筒状に形成された上記金属箔非接合
部分全体が発熱し、この部分に担持された触媒が活性化
温度(例えば300から400度C)に到達する。ま
た、活性化温度に到達した部分の触媒により一旦排気中
のHC、CO等の成分の酸化反応が開始されると、酸化
反応による発熱で金属箔積層体全体が加熱されるため触
媒全体が速やかに活性化温度に到達することになる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】上述のように、上記特
開平5−179939号公報の触媒装置においては、通
電時には非接合部分の金属箔全体に電流が流れ、渦巻き
円筒状に形成された金属箔非接合部分の全体が加熱、昇
温される。ところが、上記装置では、非接合部分の金属
箔全体を通電により加熱するようにしているため、触媒
の温度上昇に時間を要し、触媒の活性化の遅れや電力消
費量の増加などの問題が生じる。
【0008】すなわち、上記のように金属箔全体に通電
するようにした結果、電流は金属箔の断面全体に均一に
分散して流れ、非接合部分の渦巻き円筒状金属箔全体が
均一に加熱されることになる。従って、上記装置では非
接合部分の渦巻き円筒状金属箔の全体の温度が均一に上
昇し、この部分全体の温度が触媒の活性化温度に到達し
たときに始めて触媒による酸化反応が開始されることに
なる。
【0009】しかし、この非接合部分全体の金属箔の体
積は比較的大きく、熱容量もそれに応じて大きくなって
いるため、この部分の金属箔全体を通電により触媒活性
化温度まで昇温させるためには比較的長時間を要する。
このため、上記装置では通電開始から触媒活性化までの
時間が比較的長くなり、機関始動時の排気浄化が不十分
になるのみならず、通電時間の増加により電力消費量が
増大する問題が生じてしまう。
【0010】また、上記装置においても通電する電流値
を大きくすれば急速に昇温を行うことは可能であるが、
上記非接合部分全体を急速に昇温するためには極めて大
きな電流を流す必要がありバッテリの負担が増大し、機
関始動不良やバッテリの寿命低下等が生じてしまうた
め、昇温時間を大幅に短縮することは困難である。一
方、触媒で酸化反応が開始されると反応熱が発生するた
め、一部の触媒が活性化温度に到達して酸化反応が開始
されるとこの反応熱により周囲の触媒が加熱され、この
部分の触媒も速やかに昇温して活性化温度に到達するよ
うになる。すると、この部分でも酸化反応が開始される
ようになり、反応熱によりさらに周囲の触媒も加熱され
る。従って、一部の触媒で一旦酸化反応が開始されれ
ば、この反応熱により次々に周囲の触媒でも連鎖的に酸
化反応が開始されるようになり、全体の触媒温度は速や
かに上昇して活性化温度に到達する。
【0011】このため、上述の装置のように金属箔全体
を均一に触媒活性化温度まで昇温させなくとも、金属箔
の一部のみの温度を触媒活性化温度まで上昇させれば、
この部分の触媒で酸化反応が開始され、この反応熱によ
り他の部分の触媒でも連鎖的に酸化反応が開始されるよ
うになるため、速やかに全部の触媒が活性化温度に到達
するようになる。
【0012】従って、上述の装置のように金属箔全体に
通電するのではなく、金属箔の一部に局所的に電流を流
しこの部分のみを急速に触媒活性化温度まで昇温させる
ようにすれば、短時間で全部の触媒を活性化させること
が可能になる。本発明は上記に鑑み、金属箔の一部のみ
に局所的な電流通路を形成して、この電流通路に集中し
て電流を流すことにより、この部分の触媒を短時間で昇
温して上記触媒の酸化反応を連鎖的に開始させることが
可能な電気加熱式触媒装置を提供することを目的として
いる。
【0013】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の発明に
よれば、金属箔を積層し、該金属箔積層体の積層方向両
端に電極を接続して構成した電気加熱式触媒装置におい
て、前記金属箔は、表面に電気的絶縁層を有する絶縁箔
と、表面に絶縁層を有さない生箔とを電気的絶縁層を介
して箔長手方向に交互に接合して形成された部分を備
え、前記積層体の各層の前記絶縁箔間には前記絶縁箔相
互を導通可能に接合する接合部が局所的に設けられ、さ
らに前記生箔全体を前記電極と絶縁する電気的絶縁層が
設けられた電気加熱式触媒装置が提供される。
【0014】すなわち、請求項1に記載の発明では、生
箔は電極及び絶縁箔と電気的に絶縁されているため生箔
には電流が流れない。このため、電流は絶縁箔を導通可
能に接合する接合部(導通接合部)のみに集中して流
れ、加熱部分の熱容量の低減により速やかな温度上昇が
得られる。
【0015】請求項2に記載の発明によれば、金属箔を
積層し、該金属箔積層体の積層方向両端に電極を接続し
て構成した電気加熱式触媒装置において、前記金属箔
は、導電性を有する2つの帯状金属箔を、絶縁性を有す
る帯状金属箔の幅方向両側に接合して形成された複合箔
からなり、かつ前記2つの導電性を有する帯状金属箔相
互間を導通する導通路が局所的に設けられた電気加熱式
触媒装置が提供される。
【0016】すなわち、請求項2に記載の発明では、絶
縁箔の両側に接合された2つの導電性を有する帯状金属
箔相互間を局所的に導通する導通路が設けられているた
め、電流はこの導通路のみに集中して流れ、導通路のみ
が加熱されることになり、加熱部分の熱容量が低減され
速やかな温度上昇が得られる。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、添付図面を用いて本発明の
実施形態について説明する。以下に説明する実施形態は
全て、金属製の平箔と波箔とを重ねて中心電極回りに巻
回して外周部に他の電極を接続した円筒状の金属箔積層
体構造の電気加熱式触媒装置に本発明を適用した場合を
例にとって説明している。そこで、それぞれの実施形態
の説明に入る前に、図1から図3を用いてこれら全実施
形態に共通する円筒状積層体構造の電気加熱式触媒装置
について先ず説明する。なお、以下に説明する全実施形
態において、共通する構成要素には同一の参照符号を付
して説明する。
【0018】図1は円筒状金属箔積層体構造の電気加熱
式触媒装置の軸線に沿った断面図を示す、図1において
1は電気加熱式触媒装置の全体、2は後述する円筒状金
属箔積層体からなる触媒担体、10、20はそれぞれ円
筒状金属箔積層体2を構成する帯状の平箔と波箔とを示
している。また、3は円筒状金属箔積層体の中心に設け
られ、平箔と波箔とに通電可能に接続された棒状の中心
電極(プラス極)、5は金属箔積層体2を収容する円筒
状のケーシングであり、ケーシング5は積層体2の外周
と通電可能に接続され、外部電極(マイナス極)として
の機能を果たしている。従って、中心電極3とケーシン
グ(外部電極)5との間に電圧を印加することにより円
筒状金属箔積層体の平箔10と波箔20とに通電するこ
とが可能となっている。
【0019】図2、図3は、図1の円筒状金属箔積層体
2の構造を説明する図である。図2に示すように、円筒
状金属箔積層体2は平箔10と波箔20とを重ねてそれ
ぞれの長手方向端部を中心電極3に接合した後、平箔1
0と波箔20とを重ねた状態のまま中心電極3の周りに
巻回した構成とされる。図3は上記により構成された円
筒状金属箔積層体2の、図1のIII-III 線に沿った断面
を示す。上記のように平箔10と波箔20とを重ねて中
心電極周りに巻回した結果、円筒状積層体2は、図3に
示すように平箔10と波箔20との間の空隙により形成
された軸線方向の通路6が中心電極3の周りに渦巻き状
に配列した構成となっている。また、後述のように、平
箔10、波箔20の表面には排気浄化触媒が担持されて
おり、触媒装置1のケーシング5を内燃機関の排気系に
接続して排気を上記軸線方向通路6を通して流すことに
より、排気中の有害成分が触媒によって浄化される。
【0020】平箔10、波箔20は、本実施形態ではと
もにアルミニウムを含有する鉄系合金等(例えば、20
%Cr−5%Al)の金属を用いて、厚さ50ミクロン
程度の箔材から構成される。また、以下に説明する実施
形態では、これら平箔10、波箔20のいずれか一方、
又は両方の表面には必要に応じて予め、例えばアルミナ
(Al23)等の金属酸化物からなる厚さ1ミクロン程
度の電気的絶縁層が形成されている。このアルミナ層
は、電気的絶縁層として機能する他、触媒を担持する担
持層としての機能を有するため、上記アルミナ絶縁層を
有していない金属箔(以下「生箔」という)を使用して
積層体を形成した場合には、積層体形成後に全体を焼成
することにより生箔表面に絶縁層を形成する。このアル
ミナ層には、含浸等により白金Pt、ロジウムRh、パ
ラジウムPd等の触媒成分が担持せしめられる。
【0021】本発明の電気加熱式触媒装置は、機関始動
時に中心電極3と外部電極5との間に電圧を印加して触
媒を担持する平箔10と波箔20とに電流を流し、箔1
0、20の発熱により短時間で触媒を活性化温度(例え
ば300度Cから400度C程度)まで昇温することを
目的としている。しかし、前述の従来技術のように金属
箔の巻回し方向に沿って金属箔断面全体に均一に電流を
流し、渦巻き円筒状に形成された平箔10と波箔20の
全体を均一に加熱するようにしたのでは加熱される部分
の熱容量が大きいため温度上昇に時間を要したり、急速
加熱のために大電流が必要となる問題がある。
【0022】本発明は上記の問題を解決するために、金
属箔の断面全体に電流を流すのではなく、金属箔中に極
めて狭い断面積の電流路を局所的に形成し、この電流路
に集中して電流が流すことを可能とする電気加熱式触媒
装置を提案するものである。上記のように、局所的に狭
い断面積の電流路を設けることにより、電流路部分(す
なわち加熱部分)の体積が低減されるため発熱部の熱容
量が低くなり、通電により発熱部の急速な温度上昇を得
ることができる。また、電流路の断面積を狭く設定する
ことにより、通電時の合計電流量を低く抑えたままで電
流路を流れる電流密度を高く設定して電流路単位体積当
たりの発熱量を増加させることができるため、加熱部分
の熱容量低減と合わせて極めて短時間で加熱部の温度を
触媒活性化温度まで上昇させることが可能となる。な
お、前述のように局所的な加熱部で触媒が活性化温度に
到達して触媒による酸化反応が開始されると、多量の反
応熱が発生し加熱部近傍の触媒も活性化温度に到達して
酸化反応が開始されるため、上記加熱部で触媒による酸
化反応が開始されると、加熱部を中心として連鎖的に触
媒の酸化反応が生じるようになり、直ちに金属箔積層体
全体が活性化温度まで昇温される。
【0023】次に、本発明の実施形態を説明する前に参
考例として本発明に関連する電気加熱式触媒装置の構造
を図4から図16を用いて説明する。図4から図6は、
電気加熱触媒装置の第1の参考例の構造を説明する図で
ある。本参考例では、表面に絶縁層が形成された金属箔
からなる波箔20と、表面に絶縁層が形成されていない
金属箔(生箔)からなる平箔10とを中心電極3周りに
巻回して図1に示したような円筒状金属箔積層体を形成
しており、局所的に波箔20の絶縁層の絶縁性を破壊し
て平箔10と接合することにより中心電極3と外部電極
4とを接続する半径方向の電流路を形成している。
【0024】図4は本参考例の円筒状金属箔積層体2の
排気入口側端面2aを示す図である。図4において、黒
く塗りつぶした部分は波箔20の絶縁層の絶縁性を破壊
して、平箔(生箔)10と波箔(絶縁箔)20とが導通
可能に接合されている部分(導通接合部分)を示す。図
4に示すように、本参考例では、中心電極3の周囲の平
箔10と波箔20との数層分は全周にわたって導通接合
されている(図4、A)。また、積層体の外周部にも同
様に数層の導通接合部(図4、B)が設けられており、
これらの導通接合部A、Bの間には中心から放射状に延
びる複数の(図4では4つの)導通接合部Cが設けら
れ、導通接合部AとBとを接続する電流路を形成してい
る。
【0025】また、図5は図4のV-V 線に沿った断面を
示しているが、図5から判るようにこれら導通接合部
A、B、Cでは、平箔10と波箔20との接合部は箔の
幅方向(すなわち円筒状金属箔積層体2の軸線方向)全
体にわたっては設けられてはおらず、端面2aから所定
の深さ(例えば3ミリメータ程度)までの範囲のみで平
箔10と波箔20とが導通接合されている。
【0026】図6は平箔10と波箔20との導通接合部
の接合方法を示す図である。本参考例では、平箔10と
波箔20とを重ねて中心電極3周りに巻回す際に、導通
接合部を形成する部分の平箔10と波箔20との間に、
波箔20の絶縁層を形成する金属酸化物(本参考例では
Al23)より還元性の大きい金属(例えばジルコニウ
ムZr)を含む所定の幅(本参考例では3ミリメータ)
のロウ材箔61を挟んで平箔10と波箔20とを巻回
し、円筒状積層体形成している。このように積層体を形
成した後、積層体全体を加熱することにより、これらの
部分に絶縁層の絶縁性を破壊した接合部が形成される。
すなわち、平箔10と波箔20との間に介挿されるロウ
材箔には絶縁層を形成する金属(アルミニウム)より還
元性が高い金属(ジルコニウムZr)が含まれるため、
加熱によりロウ材が溶融すると、ロウ材中のジルコニウ
ムは絶縁層のアルミナから酸素を奪い酸化ジルコニウム
を形成する。これにより、絶縁層の接合部ではアルミナ
が還元されてアルミニウムが析出するため導通可能な接
合部が形成される。
【0027】図7は上記により形成した導通接合部Aと
Cとの境界部分の拡大図である。図7において、黒丸で
示した点は図6に示したように、平箔10と波箔20と
が導通可能に接合されている部分を示している。前述の
ように、導通接合部Aでは波箔20の山と谷の部分は全
て平箔10と導通接合されているためこの部分の半径方
向の電気抵抗は極めて低く、通電時には導通接合部A全
体が中心電極3と略同一の電位になっている。また、図
示していないが外周側の導通部B(図4参照)も同様に
その全体が外部電極4と略同一の電位となっている。一
方、導通接合部以外の部分(図7、Dの部分)では平箔
10と波箔20とは絶縁層を介して接触しているため、
この部分では導通は生じず、導通接合部C以外では半径
方向には電流は流れない。このため、電流は導通接合部
により形成された4つの半径方向電流路Cのみに集中し
て流れるようになり、導通接合部は短時間で加熱され触
媒活性化温度に到達する。
【0028】ところが、図4のように導通接合部を設け
ることにより並列に複数の電流路Cを形成した場合に
は、各電流路間は周方向に各層の平箔10と波箔20と
により接続されていることになる。従って同じ金属箔層
部分で各電流路の電位に差があると、各層の平箔10と
波箔20とを通って各電流路間に電流が流れてしまうた
め、特定の電流路に電流が偏って流れるようになり各電
流路に流れる電流がばらつく場合がある。一方、図4の
ようにロウ材を用いて平箔10と波箔20とを接合して
いると箔相互の接合部の抵抗を完全に同一にすることは
困難である。また、渦巻き状に積層された金属箔に上記
のように半径方向の電流路を形成すると各電流路の長さ
を完全に同一にすることはできないため各電流路の抵抗
にも多少のばらつきが生じる。このため、各金属箔層部
分で各電流路の電位を同一に保持するのは実際上困難で
あり、上記のように各電流路を流れる電流にばらつきを
生じる場合がある。このような電流のばらつきが生じる
と各電流路部分で発熱量が異なってくるため、各電流路
の昇温速度が同一にならずこれらの部分の触媒が同時に
活性化温度に到達しない問題が生じる。
【0029】そこで、本参考例では図7に示すように、
導通接合部Cを連通する各金属箔層に切れ目Eを設けて
各層の平箔10と波箔20とを介して導通接合部C相互
が連通することを防止している。これにより、各電流路
は相互に絶縁され、特定の電流路に偏って電流が流れる
ことがないため、各電流路の発熱量が均一化され、触媒
が活性化温度に到達する時間が略同一になる。次に、図
8(A) に電気加熱式触媒装置の別の参考例を示す。上記
図7に示した参考例では、各電流路を相互に絶縁するた
めに各層の金属箔それぞれに切れ目Eを設けているが、
各層の金属箔に切れ目を設けたのでは金属箔積層体の強
度が低下する恐れがある。また、各電流路間の金属箔の
長さは外周部になるほど長くなり、それにつれて抵抗も
増大するため外周部になるほど各電流路間の抵抗は大き
くなり電流が流れにくくなるので外周部の金属箔には必
ずしも絶縁部を設ける必要はない。一方、中心部に向か
うほど各層における電流路の導通接合部電位は高くな
り、逆に電流路間の距離が小さくなるため各電流路間の
抵抗も小さくなることから、中心部に近い所では特に金
属箔を通って周方向に電流が流れやすくなる。
【0030】従って、図8(A) の参考例では導通接合部
Cと中心側導通接合部Aとの境界をなす平箔105、す
なわち高電位電極側に最も近接した金属箔のみに上記切
れ目Eを設けた構成としている。このように、各電流路
間で最も周方向に電流が流れやすい部分に絶縁部を設け
たことにより、金属箔積層体の強度の低下を防止しなが
ら効果的に各電流路を流れる電流を均一にすることが可
能となる。
【0031】図8(B) は上記図8(A) の絶縁部(切れ
目)Eを形成する方法の一例を示す図である。図8(B)
に示すように、平箔10には中心電極3に巻回した時に
中心側導通接合部Aの最外周部になる部分に、波箔の山
ピッチPの1/2以下の間隔で適宜な幅のスリットE′
を設けてある。この平箔を波箔と重ねて中心電極周りに
巻回して箔相互を接合したあと、スリットEの両側部分
Lを切除することにより図8(A) に示す切れ目Eを形成
することができる。なお、スリットE′の間隔を波箔の
山ピッチPの1/2以下としたのは、中心側接合部Aの
波箔と平箔との接合部分の間に必ず切れ目が配置される
ようにして絶縁を完全にするためである。また、スリッ
トEの両側部分Lの幅を平箔10の幅に対して小さい幅
に設定しておけば、スリットEの両側の連通部分の抵抗
が比較的大きくなるため、波箔との接合後に必ずしもこ
の部分を切除しなくてもよい。
【0032】なお、本参考例では最も高電位側の電極に
近接した平箔のみに切れ目Eを設けているが、積層体強
度が低下しない範囲で数層の金属箔に同様な切れ目を設
けるようにしてもよい。次に、図9から図10を用いて
電気加熱式触媒装置の更に別の参考例を説明する。上記
参考例では、図4に示すように導通接合部Cにより、中
心電極3側から半径方向に延びる複数の電流路が形成さ
れており、導通接合部C(電流路)は端面2aから3ミ
リメータ程度の深さにわたって設けられていた。しか
し、前述のように電流路の断面積を小さくすれば、それ
に応じて加熱部の熱容量を低減でき、同時に電流密度を
増大することができるため、電流路の断面積はできるだ
け小さいことが望ましく、この為には導通接合部Cの端
面2aからの深さをできるだけ小さくすることが好まし
い。
【0033】ところが、図6のようにロウ材箔61を挟
んで平箔と波箔とを積層する方法では、導通接合部Cの
端面からの深さを小さくするためにはロウ材箔61の幅
を低減するしか方法がない。一方、接合部の強度を一定
以上に維持するためにはある程度の接合面積が必要とな
り、ロウ材箔61の幅は最低でも3ミリメータ程度以上
とする必要があり、図6の方法では電流路の断面積をこ
れ以上低減することは困難である。
【0034】そこで、本参考例では図9に示すような複
合ロウ材箔を用いて平箔10と波箔20とを接合するこ
とにより、十分な接合強度を維持しながら電流路の断面
積を低減している。図9は本参考例に使用する複合ロウ
材箔90の構造を示す図である。図9に示した複合ロウ
材90は所定幅(例えば0.5ミリメータ程度)のジル
コニウムZrを含むロウ材箔91の幅方向両側にチタン
Tiを含むロウ材箔92を配置して、ジルコニウムロウ
材箔91をチタンロウ材箔92で挟むようにして接合し
た構造とされ、本参考例では例えば8ミリ×3ミリ程度
の大きさで厚さ25ミクロン程度に形成されている。こ
の複合ロウ材箔90は、例えば厚さ0.5ミリメータ、
幅8ミリメータの適宜な長さのジルコニウムロウ材板の
厚さ方向両側を、それぞれ厚さ1.3ミリメータ程度、
幅8ミリメータの適宜な長さのチタンロウ材板で挟んで
圧接すること等によりジルコニウムロウ材とチタンロウ
材の、断面8ミリメータ×3ミリメータの複合棒材を製
作し、さらにこの棒材を厚さ25ミクロンに切断するこ
とにより形成することができる。
【0035】ところで、ジルコニウムは前述のように波
箔表面の絶縁層を形成するアルミニウムより還元性が大
きく、ジルコニウムロウ材を使用することにより波箔表
面の絶縁層の絶縁性を破壊して金属箔相互を導通可能に
接合することができる。一方、チタンはアルミニウムよ
り還元性が大きいが、ジルコニウムより還元性は小さ
く、生箔及び箔表面に形成された絶縁層とは良好な接合
性を示すものの、絶縁層のアルミナを十分に還元するこ
とはできない。このため、チタンロウ材を使用すること
により、波箔表面の絶縁層の絶縁性を保持しつつ波箔と
平箔(本参考例では表面に絶縁層を有さない生箔)とを
良好に接合することができる。
【0036】図10(A) (B) は、上記複合ロウ材箔90
を用いた波箔20と平箔10との接合部を示す図であ
る。図10(A) に示すように本参考例では、複合ロウ材
90をジルコニウムロウ材91の長手方向(図9で8ミ
リメータの辺)が金属箔の長手方向と一致するように平
箔と波箔との間に介挿して平箔と波箔とを重ねて中心電
極周りに巻回す。本参考例では、波箔の山ピッチは約
2.5ミリメータとされているため、このように複合ロ
ウ材箔90を配置することにより、ジルコニウムロウ材
箔91は幅0.5ミリメータの接触幅で3つの波箔の山
部と接触することになる。
【0037】また、本参考例では、図10(A) に示すよ
うに複合ロウ材箔90と同一の寸法のニッケルNiを含
むロウ材箔93を複合ロウ材箔と平箔(生箔)との間に
重ねている。ニッケルロウ材93を使用するのは、ニッ
ケルロウ材はジルコニウムロウ材とチタンロウ材及び生
箔と極めて良好な接合性を示すため、生箔とチタンロウ
材との接合強度を更に高めることができるためである。
なお、ニッケルロウ材を使用せずに直接複合ロウ材90
と平箔を接合するようにしてもよい。上記のように複合
ロウ材箔90とニッケルロウ材箔93とを平箔10と波
箔20との間に配置して積層体を形成した後、全体を加
熱することにより平箔10と波箔20とが接合される。
【0038】図10(B) は上記により形成された、平箔
10と波箔20との接合部の詳細を示す図10(A) のB
−B線に沿った断面図である。図10(B) に示すよう
に、平箔10と波箔20との間には全体として図5に示
したと同様に、端面2aから3ミリメータの深さにわた
る接合部が形成され、図5と同程度の接合面積が確保さ
れる。しかし、この接合部のうち導通可能な接合部分は
ジルコニウムロウ材箔91により形成された接合部分
(本参考例では幅0.5ミリメータ)のみであり、その
両側のチタンロウ材箔92により形成された接合部分は
絶縁性を有している。このため、電流はジルコニウムロ
ウ材箔による接合部分のみに集中して流れ、電流路の断
面積がさらに低減される。
【0039】すなわち、本参考例によれば平箔10と波
箔20との間の接合面積を十分に大きくとって接合強度
を確保しながら電流路の断面積のみを更に低減すること
が可能となる。また、上述のように所定幅のジルコニウ
ムロウ材箔の幅方向両側をチタンロウ材箔で挟むように
して形成した複合ロウ材箔を用いて接合を行うため、ジ
ルコニウムロウ材箔の幅を正確に管理することができ、
所望の面積の導通接合部を精度良く形成することが可能
となる。
【0040】次に、図11から図12を用いて、電気加
熱式触媒装置の他の参考例を説明する。上述の参考例で
は、図9に示した複合ロウ材箔を用いて平箔と波箔とを
接合することにより接合部面積を確保しつつ導通接合部
のみの面積を低減しているが、本参考例では図9のよう
な複合ロウ材箔を使用せずに導通接合部の面積を低減し
ている。
【0041】本参考例では、予めジルコニウムを含むロ
ウ材を適宜な径(例えば0.1ミリメータ程度)の円柱
または球状に形成しておき、このジルコニウムロウ材の
円柱または球(図11、110)を、図11に示すよう
に導通接合部を形成しようとする位置の波箔20絶縁層
表面に圧着することにより、絶縁層表面に所定の径(例
えば0.5ミリメータ程度)のジルコニウムロウ材の円
板(図12、110a)を付着させておく。また、所定
幅(例えば、3ミリメータ程度)のチタンロウ材箔11
1には、上記圧着されたジルコニウムロウ材の径と同じ
径の開口112を設けておき、平箔10と波箔20とを
重ねて巻回す際に、上記圧着されたジルコニウムロウ材
円板110aを上記チタンロウ材箔の開口112に挿入
するようにチタンロウ材箔を配置して平箔10と波箔2
0との間に介挿する(図12参照)。このとき、平箔1
0(生箔)とチタンロウ材箔111との接合強度を増す
ために、図12に示すように平箔10とチタンロウ材箔
111との間に更にニッケルロウ材箔113を介挿する
ようにしてもよい。
【0042】この状態で、平箔10と波箔20とを中心
電極周りに巻回して金属箔積層体を形成した後、積層体
全体を加熱することにより接合部には、ジルコニウムロ
ウ材円板110aにより接合された円板110aの径に
等しい径の導通接合部と、その周囲にチタンロウ材箔1
11により接合された絶縁性を有する接合部分とが形成
される。従って、本参考例によれば、図9の複合ロウ材
箔を使用した場合と同様に、平箔と波箔との接合面積を
減少させることなく導通接合部(電流路)のみの面積を
低減させることができる。また、本参考例では、ジルコ
ニウムロウ材の円柱または球(図11、110)を波箔
20の絶縁層表面に圧着して形成したジルコニウムロウ
材円板(図12、110a)の径により導通接合部の面
積が決まるため、ジルコニウムロウ材円柱または球を圧
着する際の押圧力を管理することにより円板の径(すな
わち導通接合部の面積)を正確に管理することが可能と
なる。
【0043】次に、図13から図14を用いて電気加熱
式触媒装置の他の参考例を説明する。本参考例では、図
9に示した複合ロウ材箔90の代わりに、ニッケルロウ
材箔上にジルコニウムロウ材の線材とチタンロウ材の線
材とを配列して構成した複合ロウ材箔を使用して、接合
部を形成する。
【0044】図13は、本参考例に使用する複合ロウ材
箔130の構成を示している。図13の複合ロウ材箔1
30は、例えば、ニッケルロウ材箔131上にジルコニ
ウムロウ材の線材132を所定の幅(例えば0.5ミリ
メータ幅)に配列し、その両側にチタンロウ材の線材1
33を配列し、圧接により上記それぞれの線材132、
133をニッケルロウ材箔131上に接合している。本
参考例では、ジルコニウムロウ材の線材の本数により、
ジルコニウムロウ材の線材132の配列幅を管理してい
る。本参考例では、各線材132、133の直径は25
ミクロンとされ、0.5ミリメータの配列幅を得るため
に20本のジルコニウムロウ材の線材132が配列され
ている。また、図13に示すように、全体の複合箔の大
きさは長さ8ミリメータ、幅3ミリメータ程度とされ
る。
【0045】図14は上記の複合ロウ材130を用いた
平箔10と波箔20との接合部を示す図である。本参考
例では、複合ロウ材130をジルコニウムロウ材の線材
132の長手方向(図13で8ミリメータの辺)が金属
箔の長手方向と一致するように平箔と波箔との間に介挿
して平箔と波箔とを重ねて中心電極周りに巻回し、全体
を加熱することにより接合部が形成される。本参考例で
は、波箔の山ピッチは約2.5ミリメータとされている
ため、一つの複合ロウ材130を用いて3つの波箔の山
と平箔とが接合される。また、図9の複合ロウ材箔90
を用いて接合した場合と同様に、各接合部にはジルコニ
ウムロウ材の線材132による幅0.5ミリメータの導
通接合部と、その両側にチタンロウ材の線材133によ
る絶縁性を保持した接合部とが形成されるため、図9の
複合ロウ材90を用いた場合と同様に、全体として平箔
と波箔との接合面積を減少させることなく導通接合部の
みの面積を低減することが可能となる。
【0046】さらに、本参考例では、ジルコニウムロウ
材とチタンロウ材とを線材として形成しているため、そ
れぞれの配列幅を配列する線材の本数で管理でき、導通
接合部の面積を容易かつ正確に管理することが可能とな
る。
【0047】次に、図15(A) から(C) を用いて電気加
熱式触媒装置の別の参考例について説明する。前述の各
参考例では金属箔の絶縁層を接合する際に導通接合部を
形成するために、ジルコニウム等の還元性の大きい金属
を含むロウ材を使用して絶縁層の金属酸化物を還元しな
がら接合を行っており、いわば化学的反応を用いて絶縁
層を除去していた。しかし、このような化学的反応は温
度条件やロウ材の厚さのばらつきなどに影響をうけるた
め、上記のような方法で導通接合部を形成すると導通接
合部の抵抗値等にばらつきを生じ、電流路の抵抗値を均
一に管理することが困難な場合がある。
【0048】そこで、本参考例ではジルコニウムロウ材
等の化学的方法を用いずに導通接合部を形成し、接合部
の抵抗値のばらつきを低減するようにしている。図15
(A) は、本参考例で使用する波箔20を示す。本参考例
では、絶縁層を形成した波箔20の、導通接合部を形成
しようとする位置に、予め機械加工などにより絶縁層
(例えば厚さ1から3ミクロン程度)を完全に除去しう
る深さの、所定幅(例えば、0.5ミリメータ程度)の
溝部150を形成しておく。また、この波箔20と平箔
10との接合部を形成するために使用するロウ材は、ニ
ッケルロウ材箔とチタンロウ材箔との複合ロウ材箔と
し、ジルコニウムロウ材箔は使用しない。
【0049】図15(B) は本参考例で使用する複合ロウ
材箔151を示す。複合ロウ材箔151は、全体の長さ
が8ミリメータ、幅が3ミリメータ程度の大きさであ
り、中央部に長手方向(図15(B) で8ミリメータの辺
の方向)に延設された凸部153を有するニッケルロウ
材箔152上を使用し、この凸部153の両側にチタン
ロウ材箔154を圧接等により接合した構成とされる。
上記凸部153の幅は前記波箔の溝部150の幅(本参
考例では0.5ミリメータ)と略等しくなるように設定
されている。また、図15(B) に示すようにニッケルロ
ウ材箔152とチタンロウ材箔154の厚さはそれぞれ
25ミクロン程度であり、凸部153の高さはニッケル
ロウ材箔152とチタンロウ材箔154とを接合後、凸
部153の先端が、前記波箔の溝部150の深さに相当
する高さだけチタンロウ材箔154から突出するように
設定されている。
【0050】図15(C) は、上記の複合ロウ材箔151
を用いた平箔10と波箔20との接合部を示す断面図で
ある。本参考例では、波箔20に形成した溝部150に
上記複合ロウ材箔151の凸部153を嵌挿するように
複合ロウ材151を平箔10(生箔)と波箔20との間
に配置してロウ付け接合を行う。本参考例でも波箔20
の山ピッチは2.5ミリメータとされており、ニッケル
ロウ材箔152の凸部153が波箔20の3つの山の溝
部150に嵌挿された状態でロウ付けが行われる。これ
により、平箔と波箔とは絶縁層を介さずにニッケルロウ
材箔151の凸部153によって直接接合され、導通接
合部が形成される。また、この場合も導通接合部の両側
にはチタンロウ材箔154による絶縁性を保持した接合
部が形成されるため、全体の接合面積を低下させること
なく、導通接合部のみの面積を低減することができる。
【0051】また、本参考例では、上記のように機械的
に波箔の絶縁層を除去しているため、絶縁層除去部分の
面積が容易かつ正確に管理できるとともに、絶縁層除去
部を直接導通可能に接合することにより導通接合部の抵
抗を正確に管理することが可能となる。
【0052】次に、図16を用いて電気加熱式触媒装置
の他の参考例について説明する。本参考例においても、
図15の参考例と同様、化学的方法によらず絶縁層を除
去して導通接合部が形成される。本参考例においては、
図16(A) に示すように、導通接合部を形成する波箔2
0の山部には、予めレーザー加工或いはドリル加工等の
機械的手段により所定の径(例えば0.4ミリメータ程
度)の凹部(図16では貫通孔)161が形成される。
また、本参考例においても、平箔(生箔)と波箔との接
合には上述の各参考例と同様にチタンロウ材箔165と
ニッケルロウ材箔166とを積層した箔163が使用さ
れるが、この積層ロウ材箔にも、予め導通接合部に相当
する位置に凹部161と同じ径の孔162が機械加工に
より形成される。
【0053】次いで、上記積層ロウ材箔163は波箔2
0上に凹部161と孔部162とが整合する位置に、チ
タンロウ材箔165側が波箔と接するように配置され、
この状態で凹部161と孔部162とに、所定の径の球
状に形成したニッケルロウ材164が圧入される(図1
6(B) )。ここで、ニッケルロウ材球164の径は、凹
部161及び孔部162の径よりやや大きく設定され、
本参考例では例えば0.5ミリメータ程度とされる。ま
た、本参考例においても、上記ニッケルロウ材とチタン
ロウ材との積層ロウ材箔163は長さ8ミリメータ、幅
3ミリメータの大きさに形成されており、長辺を波箔長
手方向に沿って配置することにより1つの積層ロウ材箔
163が波箔20の3つの山部に接するようになってい
る。このため、図16(C) に示すように、ニッケルロウ
材球164の圧入により積層ロウ材箔163は波箔20
上に固定された状態になる。この状態で、平箔10(生
箔)と波箔20とを重ねて中心電極周りに巻回して積層
体を形成した後、積層体の全体を加熱することにより、
平箔と波箔との間に接合部が形成される。
【0054】上記から判るように、本参考例において
も、平箔10と波箔20とは絶縁層を介さずにニッケル
ロウ材164によって直接接合され、導通可能な接合部
が形成される。また、導通接合部の周囲にはチタンロウ
材箔165による絶縁性を保持した接合部が形成される
ため、全体の接合面積を低下させることなく、導通接合
部のみの面積を低減することができる。
【0055】また、本参考例においては、凹部(または
貫通部)を機械的に形成することにより金属箔の絶縁層
を除去しているため、絶縁層除去部分の面積を容易かつ
正確に管理できるとともに、絶縁層除去部を直接導通可
能に接合することにより導通接合部の抵抗を正確に管理
することが可能となる。さらに、本参考例では接合用の
積層ロウ材箔はニッケルロウ材の圧入により波箔上に固
定されるため、接合部の位置を正確に管理できる利点が
ある。
【0056】次に、図17から図24を用いて本発明の
実施形態について説明する。図17から図21は請求項
1の発明に対応する実施形態を示している。
【0057】上述の参考例はいずれも、平箔には表面に
絶縁層を有さない生箔が使用され、波箔には表面に絶縁
層を有する絶縁箔が使用されていたが、本実施形態では
箔長手方向に中心電極3からの距離に応じて絶縁箔を使
用する部分と生箔を使用する部分とが使い分けられてい
る。図17(A) から(D) は本実施形態における絶縁箔と
生箔との箔長手方向の位置関係を示しており、図中斜線
で示した部分は絶縁箔が使用される部分を、その他の部
分は生箔が使用される部分を示している。図17(A) か
ら(D) に示すように、中心電極3側から、平箔、波箔と
もに生箔の部分(図17(A) )、平箔、波箔ともに絶縁
箔の部分(図17(B) )、平箔、波箔ともに、絶縁箔と
生箔のままの部分とが箔長手方向に交互に接続された複
合箔の部分(図17(C) )、及び平箔、波箔ともに生箔
のままの部分(図17(D) )、とが箔長手方向に接続さ
れた構成となっている。(図17(A) から(D) )は平箔
のみについて示すが、この平箔と組み合わされる波箔に
ついても同様な構成とされている)。
【0058】図18(A) は、図17(A) から(D) の生箔
と絶縁箔とのそれぞれの接合部分の構成を示す図であ
る。本実施形態では平箔、波箔ともに、生箔と絶縁箔と
の長手方向接続部分は絶縁性を保持するように接合され
ている。この接合部分では、図18(A) に示すように生
箔181と絶縁箔182とは箔の幅方向全体に渡って生
箔181側からニッケルロウ材箔183とチタンロウ材
箔184とを配してロウ付接合されており、チタンロウ
材箔184により接合部では絶縁箔182の絶縁層の絶
縁性が保持されたまま接合が行われる。
【0059】また、生箔181と絶縁箔182との絶縁
を更に完全にするために、図18(B) に示すように生箔
181と絶縁箔182との間に、生箔181側からニッ
ケルロウ材箔183、第1のチタンロウ材箔184、第
1の予備絶縁箔185、アルミナガラス系接着剤18
6、第2の予備絶縁箔187、第2のチタンロウ材箔1
88を配置してロウ付接合を行っても良い。なお、上記
予備絶縁箔185、186は通常の絶縁箔と同じ材質を
用いて絶縁層の厚さのみを通常より厚くして絶縁性を高
めたものであり、アルミナガラス系接着剤186は絶縁
性を有する接着剤である。
【0060】図19は上記のように構成された平箔と波
箔とを中心電極3周りに巻回して形成した円筒状金属箔
積層体の端面2aを示す部分である。図19において黒
く塗りつぶした部分は絶縁箔が位置する部分を、それ以
外の部分は生箔が位置する部分を示している。すなわ
ち、本実施形態では図17において、生箔が使用される
部分と絶縁箔が使用される部分の中心電極からの距離
は、箔を巻回した時に絶縁箔が図19に示した位置に来
るように設定されている。図19から判るように、本実
施形態の円筒状金属箔積層体では、中心電極から所定の
数の層まで(図19に191で示す部分)は生箔のみに
より構成され、この層の外側1層(図19に192で示
す)は全周にわたり絶縁箔が位置し、この絶縁箔層19
2の外側の所定の数の層までは、図19に193で示し
た部分のみが絶縁箔、その他の部分(図19に194で
示す)は生箔となるようにされている。また、この部分
の外側の層(図19に195で示す部分)は全て生箔で
構成される。すなわち、図19において191、192
で示す部分は、それぞれ図17(A) 、17(B) の部分に
相当し、193と194の部分は図17(C) に、また1
95の部分は図17(D)の部分に相当する。
【0061】図20は、図19にAで示した部分の拡大
図である。図20においても図19と同様黒く塗った箔
は絶縁箔を示し、他の部分は生箔を示している。本実施
形態では、生箔層191では生箔は相互に導通可能に接
続され、通電時には中心電極と略同一の電位になる。ま
た、絶縁箔部分193及び絶縁箔部分193と絶縁箔層
192との間では絶縁箔相互はそれぞれ導通可能に接合
され、電流路(加熱部分)を構成している。また、生箔
部194と絶縁箔層192とは絶縁箔の絶縁層の絶縁性
を保持したまま接合されており、生箔部194と191
(すなわち中心電極)とは導通していない。また、外周
側の生箔層195では、生箔は相互に導通可能に接合さ
れており、通電時には外部電極と略同一の電位になる。
【0062】図21(A) から(B) は、図20の各金属箔
間の接合部の構成を示す図である。図21(A) は図20
に符号21Aで示す絶縁箔相互間の接合部分である。こ
の部分では、平箔10と波箔20(ともに絶縁箔)は幅
0.3ミリメータ、厚さ25ミクロン程度のジルコニウ
ムを含むロウ材箔211を介して相互に導通可能にロウ
付接合されている。また、図21(B) は図20に符号2
1Bで示す生箔相互間の接合部分の構成を示している。
図21(B) に示すように、この部分では、平箔10と波
箔20(ともに生箔)は、幅3ミリメータ、厚さ25ミ
クロン程度のニッケルを含むロウ材箔212を介して導
通可能にロウ付接合されている。
【0063】また、図21には示していないが、図20
の符号21C部分、すなわち絶縁層192の絶縁箔と生
箔との接合部分では、図18(A) に示したと同様にチタ
ンロウ材箔とニッケルロウ材箔とを介してロウ付接合が
行われており、箔相互の絶縁性が保持されている。な
お、この部分も図18(B) に示したように、予備絶縁箔
とアルミナガラス接着剤を用いた接合を行って絶縁性を
さらに高めるようにしても良い。なお、上記接合部分2
1Aから21Cの各接合部分は、平箔と波箔との間にそ
れぞれの接合部に応じたロウ材箔を挟んで巻回し、円筒
状金属箔積層体を形成した後に積層体全体を加熱するこ
とによりロウ付接合を行う。
【0064】次に、上記のように構成した円筒状金属箔
積層体に通電した場合について説明する。図19におい
て中心電極3と外部電極5との間に電圧を印加すると金
属箔中に電流が流れるが、この時、生箔部分191は箔
が相互に導通可能に接合されているため電気抵抗は極め
て低く、この部分は略中心電極3と同一の電位になる。
また、生箔部分194と195においても生箔は相互に
導通可能に接合されているため、通電時には同様に外部
電極5と略同一の電位になる。
【0065】一方、生箔部分194と191との間は絶
縁箔層192が設けられ、絶縁されているため生箔19
1から194には電流は流れない。また、絶縁箔部分1
93と生箔部分194との間も絶縁を保持して接合され
ているため、電流は流れない。従って、本実施形態によ
れば電流は生箔部分191から絶縁箔部分193(電流
路部分)のみに集中してながれるようになる。一方、こ
の部分では絶縁箔相互は、積層体端面2aから極めて浅
い範囲(本実施形態では0.3ミリメータ程度)でしか
接合されておらず、電流路の断面積は小さいため、加熱
部分の熱容量低下と電流密度の増大により速やかな加熱
が得られる。また、本実施形態では、加熱部分の導通接
合部の面積は小さくなるが、絶縁箔部分以外の生箔相互
間はニッケルロウ材箔により強固に接合されているた
め、積層体全体としての接合強度は十分に大きく保た
れ、全体としての接合強度を維持しながら導通接合部の
面積のみを低減することが可能となる。
【0066】次に、図22から図24を用いて請求項2
の発明に対応する実施形態を説明する。図17から図2
1に示した実施形態では、箔長手方向に絶縁箔と生箔と
を交互に接合した複合箔を使用したが、本実施形態では
箔幅方向に絶縁箔と生箔とを交互に接合した複合箔が使
用される。
【0067】図22は、本実施形態で使用する複合箔の
構成を示している。図22において、複合箔220は、
幅bの絶縁箔221の幅方向両側にそれぞれ幅a及び幅
cの生箔222、223とを接合した長尺の帯材として
形成される。また、絶縁箔221とその両側の生箔22
2、223とは図22に示すようにチタンロウ材箔22
4とニッケルロウ材箔225とを介して接合され、絶縁
箔221と生箔222、223との間は絶縁が保たれて
いる。また、図22は平箔の場合を示しているが、波箔
についても同じ構成とされる。なお、絶縁箔221と生
箔222、223の幅a、b、cは任意に設定すること
ができるが、本実施形態では、後述のように形成される
加熱部の位置をできるだけ、排気入口側に近づけるた
め、上流側に位置する生箔222の幅aは下流側の生箔
223の幅cより小さく設定されており、例えば、a=
5ミリメータ、b=5ミリメータ、c=7ミリメータ程
度とされている。
【0068】更に、本実施形態では、図22に示すよう
に生箔222と223とを導通可能に接続して加熱部を
構成する複数の導電体226が所定間隔で設けられてい
る。本実施形態では導電体226として直径50ミクロ
ン程度のニッケル合金の線材が用いられており、線材2
26と生箔222、223とは厚さ20ミクロン程度の
ニッケルロウ材箔227を介して導通可能に接合されて
おり、線材226と絶縁箔221とは厚さ20ミクロン
程度のチタンロウ材箔228を介して絶縁性を保持した
まま接合されている。これにより、後述のように生箔2
22が中心電極に接続され、生箔223が外部電極に接
続されると、電流は生箔222から線材226のみを通
って生箔223に流れることになり、線材226が発熱
することになる。
【0069】なお、本実施形態では図22に示した平箔
のみに線材226を設けているが、波箔のみ、または平
箔と波箔との両方に線材226を設けることも可能であ
る。上記のように構成した加熱部226を有する複合箔
220は、次に、図23に示すように同じく複合箔とし
て構成された波箔230と重ねて巻回され、円筒状積層
体が形成される。この時、図24(A) に示すように、中
心電極3は排気入口側の生箔222のみに接続され、外
部電極5は排気出口側の生箔223のみに接続される。
また、生箔部分の平箔と波箔とは間にニッケルロウ材箔
を挟んで、絶縁箔部分の平箔と波箔とは間にチタンロウ
材箔を挟んでそれぞれ巻回し、積層体形成後に全体を加
熱することにより、それぞれの生箔部分の平箔と波箔と
は導通可能に、また、絶縁箔部分の平箔と波箔とは絶縁
を保持しながら平箔と波箔との接合が行われる。
【0070】図24(A) (B) は、上記により形成された
円筒状金属箔積層体2中の線材(加熱部)226の配置
を示す。図24(B) は積層体226の軸線に直角な断面
での加熱部226の配置を示している。図24(B) に示
すように、本実施形態では加熱部226は、箔を巻回し
て積層した場合に、各層に8点ずつ3層にわたり計24
個所に配置され、中心から放射状に加熱部が配列するよ
うに平箔状の線材226配置が決められている。
【0071】また、図24(A) は円筒状金属箔積層体2
の軸線方向断面を示す。上述のように、積層体2の排気
入口2a側は互いに導通可能に接続された平箔と波箔の
生箔部分222が形成され、この部分に中心電極3が接
続される。また、積層体2の排気出口側部分は同様に互
いに導通可能に接続された平箔と波箔の生箔部分223
が形成され、この部分には外部電極としてのケーシング
5が接続される。また、生箔部分222と223との間
には絶縁箔部分221が形成され、生箔222と223
との絶縁が保持される。一方、加熱部(線材)226は
絶縁箔部分221との絶縁を保持しながら生箔部分22
2と223とを導通可能に接続している。このため、中
心電極3と外部電極5との間に電圧が印加されると、電
流は中心電極3に接続された生箔部分222から、外部
電極5に接続された生箔部分223に向けて、計24個
所に配置された加熱部(線材)226のみを通って流れ
ることになる。すなわち、前述の各例では、加熱部(電
流路)は積層体2の排気入口側端面2aに形成され、電
流は積層体2の半径方向に流れていたが、本実施形態で
は加熱部226は積層体の端面から所定の距離の積層体
中に形成され、電流は積層体2の軸線方向に流れる点が
相違している。
【0072】本実施形態によれば、加熱部226、すな
わち電流路の断面積は線材の径により決定されるため、
電流路の断面積を極めて容易に低減することが可能とな
るとともに、積層体全体の接合強度を各生箔相互及び各
絶縁箔相互の接合面積を増すことにより容易に増大させ
ることができる。このため、積層体の機械的強度を増大
させながら同時に電流路の断面積のみを低減することが
可能となり、加熱部の熱容量低減と電流密度の増大によ
り加熱部の昇温時間を短縮することができる。
【0073】また、本実施形態によれば、金属箔の巻回
しの前に予め加熱部を金属箔上に形成することができる
ため、加熱部形成の際の自由度が大幅に向上するととも
に加熱部形成の際の作業が容易かつ正確に行えるという
利点がある。
【0074】次に、図25から図26を用いて電気加熱
式触媒装置の更に別の参考例を説明する。上述の図4か
ら図21の例ではいずれも、円筒状金属箔積層体を形成
する際に平箔と波箔との間の所定の位置にロウ材箔を介
挿して積層を行い、積層体形成後に全体を加熱すること
により導通接合部を形成していたが、本参考例では円筒
状積層体を形成した後に、積層体端面を放電加工するこ
とにより所定の位置に導通接合部を形成するようにした
点が相違している。
【0075】図25(A) は、本参考例により円筒状積層
体2の排気入口側端面2aに形成される導通接合部(電
流路)250の形状の一例を示している。また、図25
(B)、(C) はそれぞれ図25(A) のB−B線、C−C線
に沿った断面を示す。図25(B) 、(C) から判るよう
に、本参考例では、端面2aから導通接合部250のみ
が所定高さの凸状に形成された構造とされる。
【0076】図26は上記導通接合部250の形成方法
を示す図である。本参考例では、上述の各参考例とは異
なり、平箔、波箔ともに予め絶縁層が表面に形成された
絶縁箔を使用する。また、これらの平箔と波箔とを重ね
て中心電極3周りに巻回す際にはロウ材箔を使用せずに
そのまま巻回して円筒状金属箔積層体2を形成する(図
26(A) )。次いで、上記により形成された積層体2は
排気入口側端面2aから所定の深さまで、ロウ材スラリ
ー261に浸漬される(図26(B) )。ここで使用する
ロウ材スラリーは、絶縁箔の絶縁層の絶縁を破壊して絶
縁箔相互を導通可能に接合できるように、絶縁層の金属
酸化物を還元可能な還元性の大きい金属を含むロウ材が
使用され、本参考例ではジルコニウムZrを含むロウ材
スラリーが使用される。
【0077】また、ロウ材への浸漬深さは、最終的に形
成する電流路の形状や積層体のサイズなどに応じて設定
するが、概略1ミリメータから10ミリメータの範囲と
される。上記ロウ材スラリーに浸漬後、積層体は、図2
6(C) に示すように吸引装置263に装着され、図に矢
印で示した方向に吸引することにより、スラリー浸漬部
262から付着した余剰のスラリーを空気流により除去
する。
【0078】また、上記により余剰のスラリーを除去し
た後、積層体2を加熱炉内で所定温度条件で加熱するこ
とにより、浸漬部262のロウ付接合を行う。これによ
り、浸漬部262では絶縁箔の絶縁層が破壊されて、各
平箔と波箔とは積層体の端面2aからロウ材スラリーの
浸漬深さに等しい範囲まで導通接合される。上記により
端面2aに導通接合部を形成した積層体2は、次に放電
加工機の油槽264内に設置され、後述する放電加工用
電極265を用いて放電加工を行い、図25に示した形
状の導通接合部250のみを残して他の導通接合部を積
層体端面から除去する(図26(D) )。これにより、放
電加工後の積層体端面2aには図25の形状の導通接合
部250が形成されることになる。
【0079】ここで、本参考例に使用する放電電極26
5の形状を図27に示す。本参考例で使用する放電電極
265は、積層体端面の径と同一の径の円板状の形状を
しており、電極265の放電面には、形成する電流路2
50(図25)の凸形状に対して相補的形状をなす凹部
266が設けられている。本参考例では、絶縁箔を用い
て積層体2を形成した後、上記のように積層体2の端面
2aに形成された導通接合部を放電加工により除去して
所望の形状の電流路250のみを残すようにしているた
め、電流は電流路250のみに集中して流れるようにな
り、加熱部の熱容量が低減されるとともに、電流密度が
増大して加熱部の速やかな温度上昇を得ることができ
る。
【0080】また、本参考例によれば、予め導通接合部
を形成する位置にロウ材箔を配置して箔の巻回しを行う
必要がないため、電流路(導通接合部)の形成を極めて
容易に精度良く行うことができる。さらに、本参考例で
は放電加工により電流路の形成をおこなうため、放電電
極の形状を変えることにより電流路の形状を自由に設定
できる。図28(A) 〜(C)は上記以外の電流路(25
0)の形状と、この電流路の形成に使用する電極形状の
例を示す。また、本参考例によれば、電流路の形状は放
電電極の形状を変えることにより、図25、図28以外
にも自由に設定できるため、電流路(導通接合部)の形
状設定の際の自由度が大きくなるとともに、所望の形状
の電流路を容易かつ正確に形成できる利点がある。
【0081】なお、本参考例では、積層体端面全体の導
通接合部を形成する際に、ロウ材スラリーに浸漬してロ
ウ付を行っているが、上記各例と同様に平箔と波箔とを
巻回す際にスラリーの浸漬深さに相当する幅のジルコニ
ウムロウ材箔を介挿して積層体形成後に加熱を行うよう
にして積層体端面全体に導通接合部を形成し、その後放
電加工を行うようにしてもよい。また、円筒状金属箔積
層体形成後、ケーシング5内に積層体を装着してからロ
ウ付け、放電加工等を行うようにすることも可能であ
る。
【0082】
【発明の効果】各請求項に記載した発明によれば、電気
加熱式触媒の通電時に電流を所定の電流路のみに集中し
て流すことができるため、加熱部(電流路)の熱容量が
低減されるとともに電流密度を増大させることができ、
これにより加熱部の速やかな昇温が得られ、機関始動時
に触媒全体が活性化するまでの時間を大幅に短縮できる
という効果に加えて、更に絶縁箔と生箔とを長手方向ま
たは幅方向に交互に接合した複合箔を用いて金属箔積層
体を形成したことにより、積層体の接合強度が増大し、
しかも電流路(導通接合部)の形成の際の自由度が向上
するため、電流路形成作業を容易かつ正確に行うことが
可能となる効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】電気加熱式触媒装置の構造を示す図である。
【図2】円筒状金属箔積層体の構造を説明する図であ
る。
【図3】図2のIII-III 線に沿った断面図である。
【図4】電気加熱式触媒装置の参考例の電流路形状を説
明する図である。
【図5】図4のV-V 線に沿った断面図である。
【図6】図4の金属箔接合部の構成を示す図である。
【図7】図4の導通接合部分の拡大図である。
【図8】電気加熱式触媒装置の別の参考例を説明する図
である。
【図9】電気加熱式触媒装置の別の参考例に使用する複
合ロウ材の構造を示す図である。
【図10】図9の複合ロウ材による接合部を示す図であ
る。
【図11】電気加熱式触媒装置の別の参考例を説明する
図である。
【図12】図11の参考例の接合部の構成を説明する図
である。
【図13】電気加熱式触媒装置の別の参考例を説明する
図である。
【図14】図13の参考例による接合部の拡大図であ
る。
【図15】電気加熱式触媒装置の別の参考例を説明する
図である。
【図16】電気加熱式触媒装置の別の参考例を説明する
図である。
【図17】請求項1の発明に対応する実施形態を説明す
る図である。
【図18】図17の複合箔の接合部構成を示す図であ
る。
【図19】図17の実施形態の円筒状金属箔積層体の排
気入口側端面を示す図である。
【図20】図19のA部拡大図である。
【図21】図19の各金属箔の接合部構成を示す図であ
る。
【図22】請求項2の発明に対応する実施形態を説明す
る図である。
【図23】図22の実施形態の金属箔積層状態を説明す
る図である。
【図24】図22の実施形態の加熱部配置を示す図であ
る。
【図25】電気加熱式触媒装置の別の参考例を説明する
図である。
【図26】図26の参考例の電流路形成方法を説明する
図である。
【図27】図26で使用する放電電極の形状を示す図で
ある。
【図28】図25とは異なる電流路の形状と、それに対
応する放電電極形状を示す図である。
【符号の説明】
1…電気加熱式触媒装置全体 2…円筒状金属箔積層体全体 2a…積層体排気入口側端面 3…中心電極 5…ケーシング(外部電極) 10…平箔 20…波箔 61…ロウ材箔
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) F01N 3/28 301 B23K 101:02 // B23K 101:02 B01D 53/36 C Fターム(参考) 3G091 AB01 BA03 BA39 CA04 FA02 FA04 FA12 FB02 FC07 GA08 GA12 GA13 GB01X GB16X HA31 4D048 AA06 AA13 AA18 AB05 BA03X BA30X BA31X BA33X BA39X BA41X BB02 BB18 CA01 CC63 EA02 4G069 AA01 AA08 BA01B BA17 BB02B BC71B BC72B BC75B CA03 CA09 EA21 EE03 FA01 FB32 FB66 FB69 FB71 FB72

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 金属箔を積層し、該金属箔積層体の積層
    方向両端に電極を接続して構成した電気加熱式触媒装置
    において、前記金属箔は、表面に電気的絶縁層を有する
    絶縁箔と、表面に絶縁層を有さない生箔とを電気的絶縁
    層を介して箔長手方向に交互に接合して形成された部分
    を備え、前記積層体の各層の前記絶縁箔間には前記絶縁
    箔相互を導通可能に接合する接合部が局所的に設けら
    れ、さらに前記生箔全体を前記電極と絶縁する電気的絶
    縁層が設けられた電気加熱式触媒装置。
  2. 【請求項2】 金属箔を積層し、該金属箔積層体の積層
    方向両端に電極を接続して構成した電気加熱式触媒装置
    において、前記金属箔は、導電性を有する2つの帯状金
    属箔を、絶縁性を有する帯状金属箔の幅方向両側に接合
    して形成された複合箔からなり、かつ前記2つの導電性
    を有する帯状金属箔相互間を導通する導通路が局所的に
    設けられた電気加熱式触媒装置。
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