JP2002170579A - 固体電解質型燃料電池 - Google Patents

固体電解質型燃料電池

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JP2002170579A
JP2002170579A JP2001268246A JP2001268246A JP2002170579A JP 2002170579 A JP2002170579 A JP 2002170579A JP 2001268246 A JP2001268246 A JP 2001268246A JP 2001268246 A JP2001268246 A JP 2001268246A JP 2002170579 A JP2002170579 A JP 2002170579A
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solid
oxygen ion
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Naoki Hara
直樹 原
Fumio Munakata
文雄 宗像
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Nissan Motor Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 安定化Bi系固体電解質を用いた固体
電解質型燃料電池において、安定化Bi系固体電
解質の電子伝導性を抑えて酸素イオン輸率を高くするこ
とができると共に、Biの拡散による電気絶縁層の形成
やイオン伝導度の低下を防止して、出力効率を向上させ
ることが可能な固体電解質型燃料電池を提供する。 【解決手段】 安定化Bi系の第1固体電解質層
2と燃料極4との間に、当該固体電解質型燃料電池の作
動条件下において、電解質の伝導担体である酸素イオ
ン、電子、ホール、プロトンからなる伝導のうち、電子
およびプロトンによる伝導の割合が第1固体電解質層2
より小さく、酸素イオン輸率が高い第2固体電解質層5
を介在させ、さらに望ましくは、同じく当該電池の作動
条件下において、上記伝導担体からなる伝導のうち、ホ
ールによる伝導の割合が第1固体電解質層2より小さ
く、酸素イオン輸率が高い第3固体電解質層6を第1固
体電解質層2と空気極3との間に介在させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、固体電解質型燃料
電池に係わり、特に安定化Bi系固体電解質から
なる層を含んだ固体電解質型燃料電池(以下、「SOF
C」と略記する)に関するものである。
【0002】
【発明が解決しようとする課題】従来の固体電解質型燃
料電池(SOFC)における電解質材料として多く用い
られているイットリア安定化ジルコニア(YSZ)は、
高い酸素イオン輸率(材料中を移動する全伝導体のう
ち、酸素イオンの占める割合)を有しているものの、低
温におけるイオン伝導度が高くないために、SOFCの
運転温度は、およそ1000℃と高温であった。そのた
め、SOFCの運転の安定性や信頼性、耐高温材料使用
による高コストなどの問題点を抱えており、これら問題
点を解決するために、SOFCの低温作動化への鍵とな
る固体電解質材料の開発が精力的に行われている。
【0003】このような固体電解質材料の中で、Bi
−Yをはじめとする安定化Bi系固体
電解質は、高いイオン伝導特性を有し、およそ700℃
において、1000℃でのイットリア安定化ジルコニア
と同等のイオン伝導度を示すことが知られており(例え
ば、Takahashi,T. and Iwahara,H.:Mat.Res.Bull.,13,1
447,1978)、SOFCの運転温度の低温化に有効な材料
であると期待されていた。
【0004】しかしながら、このような安定化Bi
系固体電解質は、低酸素分圧下において、Bi
の還元反応による電子伝導性を示すために、安定化Bi
系電解質単体では、SOFCの電解質として用い
ることができなかった。
【0005】また、安定化Bi系固体電解質の融
点は、700〜800℃程度であるため、安定化Bi
系固体電解質が、1000℃におけるYSZと同等
のイオン伝導度を示す700℃近辺の温度域では、Bi
あるいはBiが周囲の電極材料へ拡散してしま
い、電気絶縁層の形成や電解質層におけるイオン伝導度
の大幅な低下の恐れがあり、安定化Bi系電解質
単体をSOFCの電解質として用いることができなかっ
た。
【0006】すなわち、固体電解質型燃料電池(SOF
C)において、固体電解質層と燃料極の境界では、 ≪燃料極側間≫ Oo+H ⇔ HO+Vo+2e …(f−1) のような反応が行われており、空気極側へ電子を供給し
ている。ここで、Voは電解質中の酸素空孔、Ooは酸
素空孔に酸素イオンが収まった状態、eは電子を意味
する。
【0007】一方、固体電解質層が低酸素分圧下で還元
反応による電子伝導性を示す場合、個体電解質層と燃料
極の境界では、 ≪燃料極側間≫ Oo+H ⇔ HO+Vo+2e …(f−2a) Bi+3H ⇒ 2Bi3++3O2−+6H+6e ⇔ Bi+HO …(f−2b) のような反応が行われている。
【0008】(f−2b)式からもわかるように、Bi
の還元反応により、燃料極で生じたeが電解質層側へ
移動する(電子伝導性)結果、両電極間の分極抵抗が増
大し、SOFCの出力効率が低下する。
【0009】安定化Bi系固体電解質は、低温で
の酸素イオン伝導性に優れており、SOFCの低温作動
化に有効な固体電解質材料であると考えられている。し
かしながら、低酸素分圧下において電子伝導性を示すこ
とから(600℃での酸素イオン輸率は90%程度)、
SOFCの出力効率の低下が生じている。
【0010】したがって、SOFCの低温作動化のため
には、低温での酸素イオン伝導性に優れる安定化Bi
系固体電解質の電子伝導性を防ぎ、酸素イオン輸率
を高くする対策が必要である。
【0011】さらに、混合導電性を有する固体電解質を
用いた燃料電池では、発電に寄与する酸素イオン以外の
伝導体が電極間を移動するため、本来の燃料電池の開放
端電圧(OCV)は低下し、その結果出力が低下する。
【0012】例えば、酸素イオン輸率がtmo-の混合導
電性を有する固体電解質を用いた燃料電池の開放端電圧
(OCV)Em0は、酸素イオン輸率が100%の燃料電
池のOCVをE0とすると、 Em0 = tmo-・E0 ・・・ (f−3) と表される。混合導電性固体電解質の酸素イオン輸率
は、tmo- < 100%であるから、 Em0 < E0となる。
【0013】また、上記混合導電性を有する固体電解質
を用いた燃料電池に負荷を接続し、負荷に電流密度Jの
電流を供給した場合の燃料電池の端子間電圧Em(J)
は、固体電解質の単位面積あたりの酸素イオン伝導に対
する抵抗をRmo-とすると、 Em(J) = Em0 − J・Rmo- ・・・ (f−4) となる。ここで、固体電解質の伝導度をσm、層の厚み
をLmとすると、固体電解質層の単位面積あたりの酸素
イオン伝導に対する抵抗Rmo-は、 Rmo- = Lm/tmo-・σm と表すことができ、式(f−4)は、 Em(J) = tmo-・E0−J・Lm/tmo-・σm ・・・ (f−5) となる。式(f−5)から、燃料電池の出力は固体電解
質の酸素イオン輸率tmo-が大きいほど高いことがわか
る。
【0014】安定化Bi系固体電解質は、前述の
ように融点が700〜800℃と低いため、700℃程
度の温度でも安定化Bi系固体電解質層の周囲へ
Bi元素が拡散し、電気絶縁層の形成、あるいは電解質
層のイオン伝導度の大幅な低下の恐れがあり、固体電解
質層として単体での使用が難しいという問題点があり、
これら問題点の解決が安定化Bi系固体電解質を
用いたSOFCにおける課題となっていた。
【0015】
【発明の目的】本発明は、SOFCの電解質材料として
安定化Bi系固体電解質を適用した場合の上記課
題に着目してなされたものであって、安定化Bi
系固体電解質の電子伝導性を抑えて酸素イオン輸率を高
くすることができると共に、Biの拡散による電気絶縁
層の形成やイオン伝導度の低下を防止して、出力効率を
向上させることが可能なSOFC(固体電解質型燃料電
池)を提供することを目的としている。
【0016】
【課題を解決するための手段】本発明に係わる第1の固
体電解質型燃料電池(SOFC)は、安定化Bi
系からなる第1固体電解質層と、第1固体電解質層の一
方の面側に設けられる空気極と、第1固体電解質層の他
方の面側に設けられる燃料極と、第1固体電解質層と燃
料極との間に介在する第2固体電解質層を備えた固体電
解質型燃料電池であって、当該固体電解質型燃料電池の
作動温度条件下において、前記第2固体電解質層におけ
る電解質の伝導担体であるイオン、電子、ホールからな
る伝導のうち、電子とプロトンによる伝導の割合が前記
第1固体電解質層より小さく、酸素イオンによる伝導の
割合が大きい構成としたことを特徴としている。
【0017】本発明の第1の固体電解質型燃料電池(S
OFC)における好適形態としては、第1固体電解質層
の酸素イオン輸率をtpo、全伝導度をσp、層厚をLp、
第2固体電解質層の酸素イオン輸率をtao、全伝導度を
σa、層厚をLaとするとき、Lp/(tpo×σp) > La
/(tao×σa) の関係を満たすことが望ましく、同じく
好適形態として、第1固体電解質層の酸素イオン輸率を
tpo、第2固体電解質層の全伝導度をσa、層厚をLa、
酸素イオン輸率をtao、燃料電池への負荷電流密度を
J、燃料電池の理論起電力をE0とするとき、(tao -
tpo)・E0 > J・La/tao・σaの関係を満たすことが
望ましい。
【0018】また、本発明に係わる第2の固体電解質型
燃料電池(SOFC)は、安定化Bi系からなる
第1固体電解質層と、第1固体電解質層の一方の面側に
設けられる空気極と、第1固体電解質層の他方の面側に
設けられる燃料極と、第1固体電解質層と燃料極との間
に介在する第2固体電解質層と、第1固体電解質層と空
気極との間に介在する第3固体電解質層を備えた固体電
解質型燃料電池であって、当該固体電解質型燃料電池の
作動温度条件下において、前記第2固体電解質層におけ
る電解質の伝導担体であるイオン、電子、ホールからな
る伝導のうち、電子とプロトンによる伝導をあわせた割
合が前記第1固体電解質層より小さく、酸素イオンによ
る伝導の割合が大きく、かつ前記第3固体電解質層にお
ける電解質の伝導担体であるイオン、電子、ホールから
なる伝導のうち、ホールによる伝導の割合が前記第1固
体電解質層より小さく、酸素イオンによる伝導の割合が
大きい構成としたことを特徴としている。
【0019】そして、本発明の第2の固体電解質型燃料
電池(SOFC)における好適形態としては、第1固体
電解質層の酸素イオン輸率をtpo、全伝導度をσp、層
厚をLp、第2固体電解質層の酸素イオン輸率をtao、
全伝導度をσa、層厚をLa、第3固体電解質層の酸素イ
オン輸率をtco、全伝導度をσc、層厚をLcとすると
き、Lp/(tpo×σp).> Lc/(tco×σc)+La/
(tao×σa) の関係を満たすことが望ましく、同じく好
適形態として、第1固体電解質層の酸素イオン輸率をt
po、第2固体電解質層の全伝導度をσa、層厚をLa、酸
素イオン輸率をtao、第3固体電解質層の全伝導度をσ
c、層厚をLc、酸素イオン輸率をtco、前記第2およ
び第3固体電解質層の酸素イオン輸率taoおよびtcoの
うち値の小さい方をtcao、燃料電池への負荷電流密度
をJ、燃料電池の理論起電力をE0とするとき、(tcao
− tpo)・E0 > J・(Lc/tco・σc + La/ta
o・σa)の関係を満たすことが望ましい。
【0020】そしてまた、本発明の固体電解質型燃料電
池における好適形態としては、安定化Bi系固体
電解質がBiを主成分とする材料にYおよびラン
タノイド系元素から選ばれた1種以上の元素が30mo
l%以内添加された安定化Bi系からなる固体電
解質であることが望ましく、さらに、運転温度が第1固
体電解質層の融点以下であることが望ましい。
【0021】
【発明の実施の形態】(第1の実施の形態)本発明の第
1の実施形態に係るSOFCは、燃料極と第1固体電解
質層との間に電子伝導の割合(輸率)およびプロトン
(H)伝導の割合(輸率)が小さく、酸素イオン輸率
の高い第2固体電解質層を設ける。即ち、第1の実施形
態に係わるSOFCは、安定化Bi系固体電解質
層と電子とプロトンの輸率の合計が第1固体電解質より
も小さく、酸素イオン輸率の高い固体電解質層が積層さ
れた積層固体電解質を用いたことに特徴を持つ。
【0022】図1(A)に、本発明の第1の実施形態に
係るSOFCを示す。同図に示すように、第1の実施形
態に係るSOFCは、第1固体電解質層2である安定化
Bi 系固体電解質層と、その一方の面側に形成さ
れた空気極3と、その他方の面側に形成された燃料極4
とを有し、この第1固体電解質層2と燃料極4との間
に、電子の輸率、およびプロトンの輸率が小さく、酸素
イオン輸率の高い第2固体電解質層5を備える。
【0023】ここで、第1固体電解質層2としては、安
定化Bi系化合物を用いることができる。また、
第2固体電解質層5としては、安定化ジルコニアやセリ
ア系酸化物を用いることができる。例えば、ジルコニア
(ZrO)にイットリア(Y)を添加したYS
Z、ジルコニアにカルシア(CaO)を添加したCSZ
を用いることができる。このほか、ジルコニアにSm
(サマリウム)、Sc(スカンジウム)、等の酸化物を
添加した安定化ジルコニアを用いることもできる。な
お、ジルコニアに添加される酸化物は2種以上でもよ
い。また、セリア系酸化物としては、例えば(Ce
1−X(MO1.5で示されるSDCを用い
ることもできる。なお、ここで、Mは、希土類元素又は
Caであり、xは、0.1以上0.3以下とすることが
好ましい。
【0024】SOFCの作動温度は、SOFCの周辺材
料としてメタル材料を利用できるように、約600℃以
下とすることが望ましい。この作動条件において、第2
固体電解質層5は、第1固体電解質層2に比較し、電子
の輸率とプロトンの輸率が小さい材料を使用しているの
で、燃料極4と第2固体電解質層5間で発生する電子
(e)の移動および燃料極4に供給される水素イオン
(H)の伝導が、第2固体電解質層5により抑制され
る。したがって、図2(B)に示すように、積層固体電
解質全体の混合伝導性を抑制し、酸素空孔Voを介して
酸素イオンO2−を主な伝導担体とすることができる。
すなわち、電極間の酸素イオン以外の伝導性を抑制し、
第1と第2の固体電解質層をあわせた積層固体電解質全
体の実質的な酸素イオン輸率を向上させることができ
る。この結果、(f−2b)式の反応や電子・プロトン
の伝導による電極間の分極抵抗の増加を防ぐ。
【0025】ただし、第2固体電解質層5の層厚が厚す
ぎると、固体電解質全体の酸素イオン伝導に対する抵抗
が上がり、実質的な酸素イオン伝導度が低下する。よっ
て、第2固体電解質層5の層厚は、少なくとも第1固体
電解質層2と比較し、酸素イオン伝導に対する抵抗が小
さいことが望まれる。
【0026】すなわち、第1固体電解質層2単体の単位
面積あたりの酸素イオン伝導に対する抵抗をRp(o)、
第2固体電解質層5単体の単位面積あたりの酸素イオン伝
導に対する抵抗をRa(o)とすると、次式(F1−1)
を満たすことが望ましい。 Rp(o) > Ra(o) ・・・ (F1−1) なお、Rp(o)、Ra(o)はそれぞれ次式で表される。 Rp(o) = Lp/tpo・σp Ra(o) = La/tao・σa ここで、 Lp :第1固体電解質層の層厚 σp :第1固体電解質層の全伝導度 tpo :第1固体電解質層の酸素イオン輸率 La :第2固体電解質層の層厚 σa :第2の固体電解質層の全伝導度 tao :第2固体電解質層の酸素イオン輸率 従って、(F1−1)は、次式(F1−2)に書き換えら
れる。 Lp/tpo・σp > La/tao・σa ・・・ (F1−2)
【0027】さらに、第1固体電解質層のみを用いた従
来のSOFCに比較し、より確実に出力効率を上げるた
めには、第1固体電解質層2と燃料極4との界面に第2
固体電解質層5を挿入することによる電解質層の酸素イ
オン伝導に対する電圧降下の増加分が、混合導電性を抑
えることによる開放端電圧降下分よりも小さくなるよう
に、第2固体電解質層5の層厚を調整することが望まし
い。すなわち、ここで、 Ep(J):負荷電流密度Jの際の第1固体電解質層のみ
の場合の電極間電圧 Ea(J):負荷電流密度Jの際の第2固体電解質層を挿
入した場合の電極間電圧 E0:燃料電池の理論上の開放端電圧 とすると、Ep(J),Ea(J)は、式(f−5)より、そ
れぞれ Ep(J) = tpo・E0−J・Lp/tpo・σp ・・・ (F1−3) Ea(J) = tao・E0− J・(Lp/tpo・σp+La/tao・σa) … (F1−4) と表され、Ea(J)>Ep(J)となるには、 tao・E0−tpo・E0 >J・(Lp/tpo・σp+La/tao・σa) −J・Lp/tpo・σp つまり、(tao - tpo)・E0 >J・La/tao・σa La < tao・σa・(tao - tpo)・E0/J ・・・ (F1−5) となる。
【0028】式(F1−5)より、挿入する第2固体電
解質層5の層厚は、第1固体電解質層2の層厚に依存せ
ず、負荷電流密度に依存している。この負荷電流密度J
の値については、作製する燃料電池によって異なるが、
各燃料電池の出力が最大となるときの負荷電流密度Jma
xと設定すれば、最大出力時においても第2固体電解質
層5を挿入した効果が発揮できる。しかしながら、作製
した燃料電池を最大出力条件以下で用いる場合は、式
(F1−5)における負荷電流密度JはJmax以下の値
となり、挿入する第2固体電解質層5の層厚も応じた値
とすれば、挿入する効果が発揮できる。
【0029】また、安定化Bi系固体電解質層と
電極の間に別の電解質層を介在させることは、SOFC
の内部抵抗の増大を抑えるだけでなく、安定化Bi
系固体電解質層が酸化雰囲気や還元雰囲気にさらされ
ることを防ぐのに有効であり、電極層へのBiの拡散に
よる電気絶縁層の形成やイオン伝導度の低下が抑制され
ることになる。
【0030】このとき、安定化Bi系固体電解質
層と電極の間に介在している電解質層に対して、Bi
の拡散がわずかに生じる場合があるが、10mol
程度までの拡散であれば、介在させた電解質層のイオン
伝導度にさほど大きな影響を与えることはなく、Bi
の拡散ブロック層として有効である。
【0031】そして、本発明に係わるSOFCの好適形
態においては、安定化Bi系固体電解質として、
Biを主成分とする材料に、Yおよびランタノイ
ド系元素、すなわちLa,Ce,Pr,Nd,Pm,S
m,Eu,Gd,Tb,Dy,Ho,Er,Tm,Y
b,Luのうちから選ばれた1種以上の元素を用いるこ
とにより、安定な結晶構造が維持される。このとき、上
記元素の添加量を30mol%以下とすることにより、
添加元素がBiにうまく取り込まれ、添加元素が
不純物として残存したり、Biと別の組成物を生
成したりすることなく、電解質層の特性が向上すること
になる。
【0032】次に、上述した第1の実施形態に係るSO
FCの製造方法について説明する。安定化Bi
固体電解質である第1固体電解質層2は、焼結法を用い
て作製することができる。第2固体電解質層5であるY
SZは、RFスパッタ、CVDや印刷法等の種々の方法
を用いて第1固体電解質層2の片面に形成するとよい。
さらに、この第2固体電解質層5上面に、多孔質で、耐
酸化性と導電性を有する空気極3を、RFスパッタ、印
刷等の方法で形成する。また、第2固体電解質層5が形
成されない第1固体電解質層2の他方の面上には、同様
に多孔質で、耐還元性と導電性を有する燃料極4を形成
する。空気極3および燃料極4としては、例えばPt/
Ag等の材料を用いることができる。
【0033】安定化Bi系固体電解質である第1
固体電解質層2は、焼結法に限らず、スパッタ、CV
D、あるいは印刷法などの種々の方法を用いて作製する
ことができる。作製順序は、安定化Bi系化合物
固体電解質層2の層上に、第2固体電解質層5を形成し
てもよいし、空気極3上に第2固体電解質層5を形成
し、この上に、第1固体電解質(安定化Bi系化
合物)層2を形成してもよい。
【0034】(第2の実施の形態)本発明における第2
の実施形態に係るSOFCは、空気極と第1固体電解質
層との間に第1固体電解質よりもホール伝導の割合(輸
率)が小さく、酸素イオン伝導の割合の高い第3固体電
解質層を設け、燃料極と第1固体電解質層との間に電子
伝導の割合(輸率)とプロトン伝導の割合(輸率)が小
さく、酸素イオン伝導の割合の大きい第2固体電解質層
を設けた構造を有する。すなわち、第2の実施形態に係
わるSOFCは、ホールの輸率の小さい第3固体電解質
層、安定化Bi2O3系の第1固体電解質層、および電
子とプロトンの輸率の合計が小さく、酸素イオン輸率の
高い第2固体電解質層を積層した積層固体電解質を用い
たことを特徴としている。
【0035】図2(A)に、本発明の第2の実施形態に
係るSOFCを示す。同図に示すように、第2実施形態
に係るSOFCは、第1固体電解質層2である安定化B
系固体電解質層とその片側に形成された空気極
3と、その他方に形成された燃料極4とを有し、第1固
体電解質層2と空気極3との間にホールの輸率が小さ
く、酸素イオン輸率の高い第3固体電解質層6を備え、
第1固体電解質層2と燃料極4との間に、電子の輸率と
プロトン(H)の輸率の合計が小さく、酸素イオン輸
率の高い第2固体電解質層5を備える。
【0036】なお、第1固体電解質層2、第2固体電解
質層5および第3固体電解質層6のそれぞれの材料は、
第1の実施の形態で説明したものと同じ材料を使用でき
る。第2固体電解質層5と第3固体電解質層6とを同じ
材料にしてもよいし、それぞれ異なる材料としてもよ
い。
【0037】SOFCの作動温度は、同様に、SOFC
の周辺材料としてメタル材料を利用できるように、約6
00℃以下とすることが望ましい。この作動温度におい
て、図2(B)に示すように、第3固体電解質層6の存
在により、空気極3と固体電解質で発生するホール(h
)の移動が第2固体電解質により抑制されるととも
に、第2固体電解質層5の存在により、電子およびプロ
トン(H)の移動が抑制されるため、積層固体電解質
全体の混合伝導性をより効果的に防ぐことができる。す
なわち、積層固体電解質全体の酸素イオンの輸率を向上
できる。
【0038】しかし、第1の実施形態において、すでに
説明したように、第2固体電解質層5の層厚および第3
固体電解質層6の層厚が厚すぎると、積層固体電解質全
体の酸素イオン伝導に対する抵抗が上がり、実質的な酸
素イオン伝導量が低下する。より高い出力効率を得るた
めには、積層固体電解質全体の酸素イオン輸率を高める
とともに酸素イオン伝導量を増やすことが望ましい。
【0039】よって、少なくとも第1固体電解質層2単
体の酸素イオン伝導に対する抵抗より、第1〜第3固体
電解質層からなる積層固体電解質全体の酸素イオン伝導
に対する抵抗が小さいことが望まれる。
【0040】すなわち、第1固体電解質層2単体の単位
面積あたりの酸素イオン伝導に対する抵抗をRp(o)、
第3固体電解質層6単体の単位面積あたりの酸素イオン
伝導に対する抵抗をRc(o)とすると、第2固体電解質
層5単体の単位面積あたりの酸素イオン伝導に対する抵
抗をRa(o)とすると、次式(F2−1)を満たすこと
が望ましい。 Rp(o) > Rc(o) + Ra(o) ・・・ (F2−1) なお、Rp(o)、Rc(o)、Ra(o)はそれぞれ次式で表
される。 Rp(o) = Lp/tpo・σp Rc(o) = Lc/tco・σc Ra(o) = Lc/tco・σa ここで、 Lp :第1固体電解質層の層厚 σp :第1固体電解質層の全伝導度 tpo :第1固体電解質層の酸素イオン輸率 Lc :第3固体電解質層の層厚 σc :第3の固体電解質層の全伝導度 tco :第3固体電解質層の酸素イオン輸率 La :第2固体電解質層の層厚 σa :第2の固体電解質層の全伝導度 tao :第2固体電解質層の酸素イオン輸率 したがって、(F2−1)は、次式(F2−2)に書き換
えられる。 Lp/tpo・σp > Lc/tco・σc + La/tao・σa … (F2−2)
【0041】さらに、第1固体電解質層のみを用いた従
来のSOFCに比較し、より確実に出力効率を上げるた
めには、第1固体電解質層2と空気極3との界面に第3
固体電解質層6を挿入し、第1固体電解質層2と燃料極
4との界面に第2固体電解質層5を挿入することによる
電解質層の酸素イオン伝導に対する電圧降下の増加分
が、混合導電性を抑えることによる開放端電圧降下分よ
りも小さくなるように、第2固体電解質層5および第3
固体電解質層6の層厚を調整することが望ましい。すな
わち、ここで、 Ep(J):負荷電流密度Jの際の第1固体電解質層のみ
の場合の電極間電圧 Ec+a(J):負荷電流密度Jの際の第2,3固体電解質
層を挿入した場合の電極間電圧 E0:燃料電池の理論上の開放端電圧 とすると、Ep(J),Ec+a(J)は、式(f−5)より、
それぞれ Ep(J) = tpo・E0−J・Lp/tpo・σp ・・・ (F2−3) Ec+a(J) = tcao・E0−J・(Lp/tpo・σp+ Lc/tco・σc+La/tao・σa) …(F2−4) となる。ここで、tcaoはtcoとtaoのうち、小さい方
の酸素イオン輸率である。したがって、Ec+a(J)>Ep
(J)のため 、挿入する固体電解質層の層厚を規定する
関係式は、 tcao・E0−tpo・E0 > J・(Lp/tpo・σp+Lc/tco・σc+La/tao・σa) −J・Lp/tpo・σp つまり、 (tcao - tpo)・E0 > J・(Lc/tco・σc+La/tao・σa) ・・・ (F2−5) となる。
【0042】式(F2−5)より、挿入する第2固体電
解質層5、第3固体電解質層6の層厚は、第1固体電解
質層2の層厚に依存せず、負荷電流密度に依存してい
る。この負荷電流密度Jの値については、作製する燃料
電池によって異なるが、燃料電池の出力が最大となると
きの負荷電流密度Jmaxと設定すれば、最大出力時にお
いても第2、3固体電解質層を挿入した効果が発揮でき
る。しかしながら、作製した燃料電池を最大出力条件以
下で用いる場合は、式(F2−5)における負荷電流密
度JはJmax以下の値となり、挿入する第2固体電解質
層5の層厚も応じた値とすれば、挿入する効果が発揮で
きる。
【0043】また、安定化Bi系固体電解質層と
電極の間に別の電解質層を介在させることは、SOFC
の内部抵抗の増大を抑えるだけでなく、安定化Bi
系固体電解質層が酸化雰囲気や還元雰囲気にさらされ
ることを防ぐのに有効であり、電極層へのBiの拡散に
よる電気絶縁層の形成やイオン伝導度の低下が抑制され
ることになる。
【0044】このとき、安定化Bi系固体電解質
層と電極の間に介在している電解質層に対して、Bi
の拡散がわずかに生じる場合があるが、10mol
程度までの拡散であれば、介在させた電解質層のイオン
伝導度にさほど大きな影響を与えることはなく、Bi
の拡散ブロック層として有効である。
【0045】そして、本発明の第2の実施形態に係わる
SOFCにおいても、同様に安定化Bi系固体電
解質として、Biを主成分とする材料に、Yおよ
びランタノイド系元素、すなわちLa,Ce,Pr,N
d,Pm,Sm,Eu,Gd,Tb,Dy,Ho,E
r,Tm,Yb,Luのうちから選ばれた1種以上の元
素を用いることにより、安定な結晶構造が維持される。
このとき、上記元素の添加量を30mol%以下とする
ことにより、添加元素がBiにうまく取り込ま
れ、添加元素が不純物として残存したり、Bi
別の組成物を生成したりすることなく、電解質層の特性
が向上することになる。
【0046】なお、第2の実施の形態に係るSOFC
は、第1の実施の形態に係るSOFCと同様な方法で作
製することができる。即ち、安定化Bi系固体電
解質である第1固体電解質層2は、一般に使用される焼
結法を用いて作製することができるが、焼結法に限ら
ず、スパッタ、CVD、あるいは印刷法などの種々の方
法を用いて作製することができる。また、YSZ等の第
2固体電解質層5および3固体電解質層6も、RFスパ
ッタ、CVDや印刷法等の種々の方法を用いて作製でき
る。作製順序は、安定化Bi系の第1固体電解質
層2を先に形成し、その一方の面に第2固体電解質層5
および他方の面上に、第3固体電解質層6を形成しても
よい。あるいは、空気極2を先に形成し、空気極2上に
第3固体電解質層6、第1固体電解質(安定化Bi
系固体電解質)層2、第2固体電解質層5の順に積層
してもよい。あるいは、燃料極4上に第2固体電解質層
5、第1固体電解質層2、第3固体電解質層6の順に積
層してもよい。
【0047】
【発明の効果】本発明に係わる第1の固体電解質型燃料
電池の特徴は、安定化Bi系の第1固体電解質層
と燃料極との間に、当該固体電解質型燃料電池の作動条
件下において、電解質の伝導担体であるイオン、電子、
ホールからなる伝導のうち、電子による伝導の割合とプ
ロトンの輸率の合計が上記の第1固体電解質層より小さ
く、酸素イオン輸率が高い第2固体電解質層を介在させ
ていることであり、本発明に係わる第2の固体電解質型
燃料電池の特徴は、安定化Bi系の第1固体電解
質と燃料極との間に、当該固体電解質型燃料電池の作動
条件下において、電解質の伝導担体である酸素イオン、
電子、ホール、プロトンからなる伝導のうち、電子とプ
ロトンの輸率の合計が、第1固体電解質層より小さく、
酸素イオン輸率が高い第2固体電解質層を介在させ、第
1固体電解質層と空気極との間に、当該固体電解質型燃
料電池の作動条件下において、電解質の伝導担体である
酸素イオン、電子、ホール、プロトンからなる伝導のう
ち、ホールによる伝導の割合(ホールの輸率)が、上記
第1固体電解質層より小さく、酸素イオン輸率が高い第
3固体電解質層を介在させていることであるから、安定
化Bi系の第1固体電解質層が混合伝導性を示す
場合でも、各電極と第1固体電解質層との間に介在させ
た、ホール伝導性、電子伝導性、あるいはプロトン伝導
性が小さく、酸素イオン輸率が高い第2あるいは第3の
固体電解質層により、固体電解質全体の混合伝導性を抑
制し、実質的な酸素イオン輸率を向上させることができ
ると共に、上記(f−2b)式の反応や電子・プロトン
の伝導による電極間の分極抵抗の増加を防ぎ、SOFC
の出力効率を改善することができるという極めて優れた
効果がもたらされる。
【0048】
【実施例】以下に、本発明を実施例に基づいてより具体
的に説明する。
【0049】(実施例1)図1(A)に実施例1に係わ
る固体電解質型燃料電池(SOFC)の概略図を示す。
当該実施例に係わるSOFC1は、安定化Bi
固体電解質層2の両側に、空気極3と燃料極4を有し、
前記安定化Bi系固体電解質層2と燃料極4の間
に、イットリア安定化ジルコニア(YSZ)からなる電
解質層(第2固体電解質層)5を介在させた構造を有す
る。
【0050】この場合の製法例としては、安定化Bi
系固体電解質(Bi .73−(Y
0.27,(Bi0.85−(Sm
0. 15を焼結法により作製し、この安定化Bi
系固体電解質層2の片面側に、例えばRFスパッ
タなどを用いてYSZを成膜して電解質層5を形成す
る。
【0051】YSZ層5の層厚は、第1の実施の形態に
おける式(F1−5)の条件を満たす層厚とした。
【0052】このうち、酸素イオン伝導度σについて
は、600℃の大気中において両電極3,4間の抵抗率
を測定し、その逆数を酸素イオン伝導度σとした。ま
た、電解質中の電気伝導は、大気中600℃において1
00%の酸素イオンの伝導と仮定した。そして、酸素イ
オン輸率TOiについては、燃料極4および空気極3の側
にArガスを流しながら600℃まで昇温し、Arガス
を止めた後、燃料極4側に加湿水素を、空気極3側に空
気をそれぞれ流し、30分放置後の両電極3,4間の自
然電位を測定し、その値の理論自然電位に対する百分率
を酸素イオン輸率TOiとした。
【0053】測定の結果、燃料極4との間に酸素イオン
輸率が99%以上のYSZ層5を介在させることで、電
解質層全体の酸素イオン伝導度がわずかに低下したが、
電子による伝導を抑制できたことによって、酸素イオン
輸率が改善された。このときの測定結果を表1の実施例
1(1−a、1−b)の欄に示す。
【0054】なお、安定化Bi系固体電解質層2
の作製方法については、焼結法のみに限らず、スパッ
タ,CVD,あるいは印刷法などを適用することがで
き、作製方法は限定されない。また、YSZ層5の作製
方法についても、RFスパッタに限らず、CVDや印刷
法などの方法を適用することができる。さらに、作製手
順についても、安定化Bi系固体電解質層2にY
SZ層5を形成する代わりに、燃料極4にYSZ層5を
作製した後に、安定化Bi系固体電解質層2およ
び空気極3を形成することもでき、作製手順も限定され
ない。
【0055】(実施例2)図2(A)に実施例2に係わ
る固体電解質型燃料電池(SOFC)の概略図を示す。
当該実施例に係わるSOFC1は、安定化Bi
固体電解質層2の両側に空気極3と燃料極4を有し、安
定化Bi系固体電解質層2と燃料極4の間、およ
び当該安定化Bi系固体電解質層2と空気極3の
間に、イットリア安定化ジルコニア(YSZ)からなる
電解質層5(第2固体電解質層)および6(第3固体電
解質層)をそれぞれ介在させた構造を有する。
【0056】この場合の製法例としては、安定化Bi
系固体電解質(Bi .73−(Y
0.27,(Bi0.85−(Sm
0. 15を同様に焼結法により作製し、この安定
化Bi系固体電解質層2の両面に、例えばスクリ
ーン印刷法などを用いてYSZを成膜し、電解質層5お
よび6をそれぞれ形成する。YSZ層の層厚は、第2の
実施の形態における式(F2−5)の条件を満たす層厚
とした。
【0057】この電解質層5および6に対し、両YSZ
面に、Pt/Ag電極3,4を形成し、実施例1と同様
の測定方法により、酸素イオン伝導度σ[S/cm]お
よび酸素イオン輸率TOi[%]の測定を行った。
【0058】測定の結果、空気極3との間、燃料極4と
の間に、酸素イオン輸率が99%以上のYSZ層5を介
在させることで、電解質層全体の酸素イオン伝導度がわ
ずかに低下したが、ホール,電子,およびプロトンによ
る伝導を抑制できたことによって、酸素イオン輸率が改
善されることが判明した。このときの測定結果を表1の
実施例2(2−a、2−b)の欄に示す。
【0059】なお、この場合も、安定化Bi系固
体電解質層2の作製方法は焼結法だけに限らず、スパッ
タ,CVD,あるいは印刷法などを適用することがで
き、特に限定されない。また、YSZ層5の作製方法も
スクリーン印刷に限らず、スパッタやCVDなどの方法
を適用することができ、特に限定されない。さらに、作
製手順についても、安定化Bi系固体電解質層2
にYSZ層5,6を形成するのではなく、空気極3にY
SZ層6を形成した後に、安定化Bi系固体電解
質層2、YSZ層5および燃料極4を形成することもで
き、作製手順は特に問われない。
【0060】(実施例3)図3に実施例3に係わる固体
電解質型燃料電池(SOFC)の概略図を示す。当該実
施例に係わるSOFC1は、安定化Bi系固体電
解質層2の両側に空気極3と燃料極4を有し、安定化B
系固体電解質層2と燃料極4の間にイットリア
安定化ジルコニア(YSZ)からなる電解質層5が、安
定化Bi系固体電解質層2と空気極3の間にSm
添加の酸化セリア(SDC)からなる電解質層
(第3固体電解質層)7がそれぞれ介在した構造を有し
ている。
【0061】この場合の製法例としては、安定化Bi
系固体電解質(Bi .73−(Y
0.27,(Bi0.85−(Sm
0. 15を同様に焼結法により作製し、この安定
化Bi系固体電解質層2の片面に、例えばスクリ
ーン印刷法などを用いてSDCを成膜して電解質層7を
形成し、前記安定化Bi系固体電解質層2のもう
一方の面に、例えばRFスパッタなどを用いてYSZを
成膜して電解質層5を形成する。このときのYSZ層5
およびSDC層7の層厚は、上記実施例2で示した条件
を満たす層厚となるように作製した。
【0062】このような電解質層5および7に対し、S
DC面およびYSZ面に、それぞれPt/Ag電極3,
4を形成し、実施例1と同様の測定方法により、酸素イ
オン伝導度σ[S/cm]および酸素イオン輸率TOi
[%]の測定を行った。
【0063】その結果、空気極3との間に、ホール伝導
性の小さいSDC層7を介在させ、燃料極4との間に、
酸素イオン輸率が99%以上のYSZ層5を介在させる
ことで、電解質層全体の酸素イオン伝導度がわずかに低
下したが、ホール,電子,およびプロトンによる伝導を
抑制できたことによって、酸素イオン輸率が改善される
ことが判明した。このときの測定結果を表1の実施例3
(3−a、3−b)の欄に示す。
【0064】なお、この場合も、安定化Bi系固
体電解質層2の作製方法は焼結法だけに限らず、スパッ
タ,CVD,あるいは印刷法などを適用することができ
る。SDC層7についてもスクリーン印刷に限らず、ス
パッタやCVDなど、作製方法は問われない。YSZ層
5の作製方法もRFスパッタに限定されず、CVDや印
刷法などを適用することができる。また、作製手順につ
いても、安定化Bi系固体電解質層2に、YSZ
層5およびSDC層7を形成する代わりに、空気極3に
SDC層7を形成した後に、安定化Bi系固体電
解質層2、YSZ層5および燃料極4を形成することも
でき、作製手順は特に問われない。
【0065】(比較例)安定化Bi系固体電解質
単体からなる層2の両側に、YSZ層やSDC層を介在
させることなくPt/Ag電極3,4を形成し、実施例
1と同様の測定方法により、酸素イオン伝導度σ[S/
cm]および酸素イオン輸率TOi[%]の測定を行っ
た。このときの測定結果を表1の比較例(a,b)の欄
に示す。
【0066】
【表1】
【図面の簡単な説明】
【図1】(A) 本発明の実施例1に係わるSOFCの
概略図である。 (B) 図1(A)に示したSOFCにおける層厚条件
の概念図である。
【図2】(A) 本発明の実施例2に係わるSOFCの
概略図である。 (B) 図2(A)に示したSOFCにおける層厚条件
の概念図である。
【図3】本発明の実施例3に係わるSOFCの概略図で
ある。
【符号の説明】
1 固体電解質型燃料電池(SOFC) 2 第1固体電解質層 3 空気極 4 燃料極 5 第2固体電解質層 6 第3固体電解質層(YSZ) 7 第3固体電解質層(SDC)

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 安定化Bi系からなる第1固体電
    解質層と、第1固体電解質層の一方の面側に設けられる
    空気極と、第1固体電解質層の他方の面側に設けられる
    燃料極と、第1固体電解質層と燃料極との間に介在する
    第2固体電解質層を備えた固体電解質型燃料電池であっ
    て、当該固体電解質型燃料電池の作動温度条件下におい
    て、前記第2固体電解質層における電解質の伝導担体で
    あるイオン、電子、ホールからなる伝導のうち、電子と
    プロトンによる伝導の割合が前記第1固体電解質層より
    小さく、酸素イオンによる伝導の割合が大きいことを特
    徴とする固体電解質型燃料電池。
  2. 【請求項2】 第1固体電解質層の酸素イオン輸率をt
    po、全伝導度をσp、層厚をLp、 第2固体電解質層の酸素イオン輸率をtao、全伝導度を
    σa、層厚をLaとするとき Lp/(tpo×σp) > La/(tao×σa) であることを特徴とする請求項1記載の固体電解質型燃
    料電池。
  3. 【請求項3】 第1固体電解質層の酸素イオン輸率をt
    po、 第2固体電解質層の全伝導度をσa、層厚をLa、酸素イ
    オン輸率をtao、 燃料電池への負荷電流密度をJ、燃料電池の理論起電力
    をE0とするとき、 (tao - tpo)・E0 > J・La/tao・σa であることを特徴とする請求項1記載の固体電解質型燃
    料電池。
  4. 【請求項4】 安定化Bi系からなる第1固体電
    解質層と、第1固体電解質層の一方の面側に設けられる
    空気極と、第1固体電解質層の他方の面側に設けられる
    燃料極と、第1固体電解質層と燃料極との間に介在する
    第2固体電解質層と、第1固体電解質層と空気極との間
    に介在する第3固体電解質層を備えた固体電解質型燃料
    電池であって、当該固体電解質型燃料電池の作動温度条
    件下において、前記第2固体電解質層における電解質の
    伝導担体であるイオン、電子、ホールからなる伝導のう
    ち、電子とプロトンによる伝導をあわせた割合が前記第
    1固体電解質層より小さく、酸素イオンによる伝導の割
    合が大きく、かつ前記第3固体電解質層における電解質
    の伝導担体であるイオン、電子、ホールからなる伝導の
    うち、ホールによる伝導の割合が前記第1固体電解質層
    より小さく、酸素イオンによる伝導の割合が大きいこと
    を特徴とする固体電解質型燃料電池。
  5. 【請求項5】 第1固体電解質層の酸素イオン輸率をt
    po、全伝導度をσp、層厚をLp、 第2固体電解質層の酸素イオン輸率をtao、全伝導度を
    σa、層厚をLa、 第3固体電解質層の酸素イオン輸率をtco、全伝導度を
    σc、層厚をLcとするとき Lp/(tpo×σp) > Lc/(tco×σc)+La/(tao
    ×σa) であることを特徴とする請求項4記載の固体電解質型燃
    料電池。
  6. 【請求項6】 第1固体電解質層の酸素イオン輸率をt
    po、 第2固体電解質層の全伝導度をσa、層厚をLa、酸素イ
    オン輸率をtao、 第3固体電解質層の全伝導度をσc、層厚をLc、酸素
    イオン輸率をtco、 前記第2および第3固体電解質層の酸素イオン輸率tao
    およびtcoのうち値の小さい方をtcao、 燃料電池への負荷電流密度をJ、燃料電池の理論起電力
    をE0とするとき、 (tcao − tpo)・E0 > J・(Lc/tco・σc +
    La/tao・σa) であることを特徴とする請求項4記載の固体電解質型燃
    料電池。
  7. 【請求項7】 安定化Bi系固体電解質がBi
    を主成分とする材料にYおよびランタノイド系元素
    から選ばれた1種以上の元素が30mol%以内添加さ
    れた安定化Bi系からなる固体電解質であること
    を特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれかに記載
    の固体電解質型燃料電池。
  8. 【請求項8】 運転温度が第1固体電解質層の融点以下
    であることを特徴とする請求項1ないし請求項7のいず
    れかに記載の固体電解質型燃料電池。
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