JP2002165690A - 枕 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 仰向けに寝た場合の体圧を低く均一に分散さ
せつつ、横向き寝や寝返りにも対応でき、寝る方向にか
かわらず快適に睡眠できる枕を提供する。 【解決手段】使用者が後頭部を枕本体に載せた仰向けの
状態で、使用者の両肩に相当する位置を枕本体の基準端
部としたときに、枕本体の中央側において当該基準端部
から下半身側に向かう凸部を設け、当該凸部の上面を下
降する傾斜面に形成した枕。 １‥枕本体、１Ａ‥基準端部、２‥凸部、２Ａ‥凸部の
下降傾斜面

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、枕と使用者との間
の首から背中にかけての隙間を解消することで体圧分散
効果を増大させつつ、たとえ使用者が寝返りをしても肩
の邪魔になることがない枕に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】近年、寝心地の良い枕を求める声は益々
高くなってきており、クッション性や枕の高さ等を様々
に工夫した健康枕や安眠枕と称されるものが存在してい
る。また、従来一般に使用されている枕の平面形状は長
方形であるが、当初から仰向けよりも横向きに寝ること
を考慮した形状の抱き枕といったものも存在している。

【０００３】ここで、寝心地が良い状態とは、枕や布団
から身体が受ける圧力（体圧）が全体的に低くなるよう
に均一に分散している状態であると考えられるが、たと
え仰向けの状態で体圧が分散していても寝返りすること
が難しければ全体として寝心地の良い枕とは言えない。
また、横向きを想定した抱き枕では仰向け寝に適さない
ことは明らかである。

【０００４】特に、寝苦しい時には頻繁に仰向けになっ
たり横向きになったりするものであり、このような時こ
そ快適に睡眠できる枕が求められるが、通常の枕は勿
論、健康枕や安眠枕、抱き枕といえども、未だ十分とは
言えないのが現状である。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】そこで本発明は、仰向
けに寝た場合の体圧を低く均一に分散させることを基本
としつつ、横向き寝や寝返りにも対応でき、寝る方向に
かかわらず快適に睡眠できる枕を提供することを目的と
するものである。

【０００６】

【課題を解決するための手段】本発明は、以上の課題を
解決するためになされたものであって、その要旨は、使
用者が後頭部を枕本体に載せた仰向けの状態で、使用者
の両肩に相当する位置を枕本体の基準端部としたとき
に、枕本体の中央側において当該基準端部から下半身側
に向かう凸部を設け、当該凸部の上面を下降する傾斜面
に形成した枕に係るものである。

【０００７】そして、好ましくは凸部が台形状であっ
て、凸部先端側の上底が１００ｍｍ〜２５０ｍｍであ
り、枕本体側の下底が２００ｍｍ〜３５０ｍｍであり、
枕本体からの突出長さ（台形の高さ）が５０ｍｍ〜１２
０ｍｍである枕に係るものである。一方枕本体は、その
断面が半割りひょうたん形状であることが好ましい。

【０００８】また、材質的には枕本体及び凸部が軟質ウ
レタンフォームで成形されたものであることが好まし
く、この場合、枕本体及び凸部を二層構造とし、その表
面層を高弾性のエーテル系フォーム、内面層を低反撥の
エーテル系フォームとすることが好ましい。更に、枕本
体及び凸部の表面層にはキノコ状の突起を設けることが
好ましい。

【０００９】

【発明の実施の形態】本発明の枕は、使用者が後頭部を
枕本体に載せた仰向けの状態で、使用者の両肩に相当す
る位置を枕本体の基準端部としたときに、枕本体の中央
側において当該基準端部から下半身側に向かう凸部を設
けたものである。即ち、当該凸部で就寝者の首筋から背
中の上部を保持することにより、背中に過剰に作用して
いた体圧を頭部側に移動させて体圧分散効果を増大させ
たものである。

【００１０】一方、凸部の両側には当然ながら就寝者を
保持する部分が存在せず、たとえ就寝者が寝返りをした
り横向きになったとしても、肩が枕に接触することはな
い。即ち、枕本体に対して凸部を設けたのは、寝返り等
の際に枕が邪魔になることがないようにしたものであ
る。従って、本発明の枕では容易に寝返りや横向き寝が
できる。なお、凸部は枕本体の中央側に設けるが、中央
側とは必ずしも真ん中を意味するものではなく、要する
に使用者が横向きになった際に肩と当たらないような位
置であればよい。

【００１１】また、凸部の上面を下降する傾斜面に形成
することで、凸部上面を就寝者の首筋から背中の上部に
かけての形状と一致させている。即ち、従来の枕で存在
していた首から背中にかけての隙間が解消できることと
なる。従って、本発明の枕では仰向けに寝た場合の体圧
を低く均一に分散させることができる。なお、傾斜面は
平面に限られず曲面であってもよい。また、凸部の上面
全体が傾斜面である必要もなく、枕本体側が平坦面で凸
部の先端側が傾斜面となった組み合わせ面であってもよ
い。要するに、首から背中にかけての隙間をほぼ解消で
きるような形状であればよいのである。

【００１２】ここで、凸部の形状を具体的に示すと、凸
部先端側を上底とする台形状にすることが好ましい。凸
部の先端側に対して枕本体側を幅広くすると、枕本体側
が寝返りの際の補助となり、向きの変更が容易になって
一層寝心地が向上するからである。

【００１３】寸法的には、凸部先端側の上底を１００ｍ
ｍ〜２５０ｍｍとすることが好ましく、特に１６０ｍｍ
〜２００ｍｍが好ましい。上底が１００ｍｍ未満である
と背中の上部を十分保持できなくなる可能性があり、２
５０ｍｍを越えると寝返りの際に邪魔になる可能性があ
るからである。一方、枕本体側の下底は２００ｍｍ〜３
５０ｍｍとすることが好ましく、特に２９０ｍｍ〜３１
０ｍｍが好ましい。下底が２００ｍｍ未満であると首筋
を十分保持できなくなる可能性があり、３５０ｍｍを越
えると寝返りの際に邪魔になる可能性があるからであ
る。

【００１４】また、枕本体からの突出長さ（台形の高
さ）は５０ｍｍ〜１２０ｍｍとすることが好ましく、特
に７０ｍｍ〜１００ｍｍが好ましい。突出長さが５０ｍ
ｍ未満であると背中の上部を十分保持できなくなる可能
性があり、１２０ｍｍを越えると背中を圧迫して寝心地
が悪化するからである。

【００１５】なお、上記した寸法は厳密なものではな
い。使用者は年齢、性別、体格等が個々に相違し、ま
た、好みも様々だからである。従って、上記した寸法の
範囲内であれば、仮想した平均的な使用者が満足するで
あろうという程度の意味でしかない。

【００１６】一方、枕本体の形状としては、その断面を
半割りひょうたん形状とすることが好ましい。即ち、ひ
ょうたん中央の凹部で後頭部全体を保持することによっ
て、頭部の圧迫感をより少なくし、ひょうたんの小さい
山の方を下半身側に向けることによって、凸部上面の傾
斜面に滑らかにつながるようにし、後頭部から背中にか
けての体圧分散効果が一層増大するからである。

【００１７】次に、材質的には、クッション性を考慮し
て、枕本体及び凸部を軟質ウレタンフォームで成形する
ことが好ましく、特に、枕本体及び凸部を二層構造とし
て、表面層に高弾性エーテル系フォームを使用し、内面
層に低反撥エーテル系フォームを使用することが好まし
い。ここで、高弾性エーテル系フォームには、材質名で
ＭＢ、ＶＥ、ＭＥ、ＭＦ、ＭＣ、ＧＦといったものが該
当し、低反撥エーテル系フォームには、材質名でＦＹ、
ＦＸといったものが該当する。

【００１８】また、枕本体及び凸部の表面は平坦面であ
ってもよいが、表面を山形状に加工したいわゆるプロフ
ァイル加工とし、クッション性に特徴を持たせることも
できる。即ち、プロファイル加工によって低荷重での変
形を大きくすることができ、軟質ウレタンフォームによ
るクッション体特有の座屈感を減らすことが可能とな
る。

【００１９】更に、枕本体及び凸部の表面にキノコ状の
突起を設けることもでき、この場合クッション性を一層
向上させることができる。即ち、プロファイル加工では
隣り合う山の間隔が広くあいてしまうため、枕として使
用した場合、後頭部に接触する面が少なくなるため違和
感が生じる場合があるが、キノコ状突起であれば後頭部
全体に接触するので、違和感は生じない。

【００２０】なお、キノコ状突起は、軟質ウレタンフォ
ーム基材に対して縦方向及び横方向から二次元裁断加工
或いは熱線加工等をすることにより、立体的に加工して
得られるものである。即ち、このようにして得られた突
起は、平面視が略方形であって、隣り合う突起同士が方
形の辺を対向しつつ並設された状態となる。そして、突
起の首部はその頭部よりも細く形成され、頭部は縦方向
断面視で湾曲状をなしているので、キノコ状と称するの
である。

【００２１】

【実施例】以下、本発明の好ましい実施の形態の具体例
を図面により説明する。図１は、本発明の枕の実施例を
示す図であって、図１（Ａ）はその斜視図、図１（Ｂ）
はその断面図である。即ち、図１（Ａ）に示す通り、枕
本体１は、平面視が幅Ｗ１＝５４０ｍｍ、長さＬ１＝２
９０ｍｍの長方形であり、枕本体１の中央側には、基準
端部１Ａから使用者の下半身側に向かう台形状の凸部２
が設けられている。ここで、凸部２の中心線は枕本体１
の中心線と一致しており、凸部２の上底Ｗ２＝１８０ｍ
ｍ、下底Ｗ３＝３４０ｍｍ、突出長さ（台形の高さ）Ｌ
２＝８０ｍｍとなっている。従って、枕本体１の基準端
部１Ａには、両側１００ｍｍづつ凸部の存在しない部分
があることになる。

【００２２】また、枕本体１の断面形状は、図１（Ｂ）
に示す通り、半割りひょうたん形状となっており、ひょ
うたんの小さい山の方が凸部２上面の下降傾斜面２Ａに
滑らかにつながっている。なお、枕本体１の大きい山の
高さＨ１＝９５ｍｍ、小さい山の高さＨ２＝７５ｍｍ、
谷部までの高さＨ３＝７０ｍｍである。

【００２３】更に、枕本体１と凸部２は二層構造となっ
ており、枕本体１の表面層１１及び凸部２の表面層２１
は高弾性のエーテル系軟質ウレタンフォーム（ＭＥ）、
枕本体１の内面層１２及び凸部２の内面層２２は低反撥
のエーテル系軟質ウレタンフォーム（ＦＹ）で構成され
ている。

【００２４】そして、枕本体１の表面層１１及び凸部２
の表面層２１には、図２に示すようなキノコ状突起３が
設けられている。なお、図２（Ａ）は、キノコ状突起３
が設けられた表面層の平面図であり、図２（Ｂ）は、そ
の側面図である。

【００２５】図３は、本発明の枕の使用状態を示す図で
あり、図３（Ａ）は仰向け寝の場合の側面図、図３
（Ｂ）は横向きの場合の側面図、図３（Ｃ）は横向きの
場合の平面図である。図３（Ａ）に示すように、本発明
の枕は凸部２が就寝者の首筋から背中の上部まで隙間な
く保持している。また、図３（Ｂ）及び（Ｃ）に示すよ
うに、横向きの場合に凸部２が肩に当たることがなく、
しかも台形状の凸部２の下底側２Ｂが寝返りの際の補助
となるので、容易に寝返りができるようになっている。
従って、本発明の枕は、寝る方向にかかわらず快適な睡
眠が可能である。

【００２６】図４は、就寝者の体圧分布を測定した結果
を示す図であり、図４（Ａ）は図１に示した本発明の枕
を使用した場合を示し、図４（Ｂ）は図１の枕から凸部
を取り除いた場合を示すものである。両者を比較すると
明らかな通り、凸部によって就寝者の首筋から背中の上
部が保持され、背中に過剰に作用していた図４（Ｂ）の
体圧極大の部分（黒塗り部）が図４（Ａ）では無くな
り、その分だけ体圧中の部分が首筋から後頭部にまで広
がって、体圧が均一に分散されていることが分かる。

【００２７】なお、枕表面のキノコ状突起によって、後
頭部における軟質ウレタンフォームの座屈感がなく、優
れたクッション性を有する枕であることも確認できた。

【００２８】

【発明の効果】本発明の枕は、枕本体の中央側において
下半身側に向かう凸部を設け、凸部の上面を下降する傾
斜面に形成したので、就寝者の首筋から背中の上部が効
果的に保持され、背中に過剰に作用していた体圧が頭部
側に移動し、仰向けに寝た場合の体圧が低く均一に分散
される。また、寝返り等の際に枕が邪魔になることもな
い。従って、寝る方向にかかわらず、快適な睡眠を約束
できるものである。

【図面の簡単な説明】

【図１】図１は、本発明の枕の実施例を示す図である。

【図２】図２は、図１に示す実施例の表面層の状態を示
す図である。

【図３】図３は、図１に示す実施例の使用状態を示す図
である。

【図４】図４は、就寝者の体圧分布を測定した結果を示
す図であり、図４（Ａ）は実施例、図４（Ｂ）は比較例
の測定結果である。

【符号の説明】

１‥枕本体 １Ａ‥基準端部 ２‥凸部 ２Ａ‥凸部の下降傾斜面 ２Ｂ‥凸部の下底側 ３‥キノコ状突起 １１‥枕本体の表面層 １２‥枕本体の内面層 ２１‥凸部の表面層 ２２‥凸部の内面層 Ｗ１‥枕本体の幅 Ｌ１‥枕本体の長さ Ｈ１‥枕本体の大きい山の高さ Ｈ２‥枕本体の小さい山の高さ Ｈ３‥枕本体の谷部までの高さ Ｗ２‥凸部の上底 Ｗ３‥凸部の下底 Ｌ２‥凸部の長さ

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 竹内 武 埼玉県所沢市山口352−11 Ｆターム(参考） 3B102 AA09 AB07

Claims (6)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 使用者が後頭部を枕本体に載せた仰向け
   の状態で、使用者の両肩に相当する位置を枕本体の基準
   端部としたときに、枕本体の中央側において当該基準端
   部から下半身側に向かう凸部を設け、当該凸部の上面を
   下降する傾斜面に形成したことを特徴とする枕。
2. 【請求項２】 凸部が台形状であって、凸部先端側の上
   底が１００ｍｍ〜２５０ｍｍであり、枕本体側の下底が
   ２００ｍｍ〜３５０ｍｍであり、枕本体からの突出長さ
   （台形の高さ）が５０ｍｍ〜１２０ｍｍであることを特
   徴とする請求項１に記載の枕。
3. 【請求項３】 枕本体の断面が半割りひょうたん形状で
   あることを特徴とする請求項１又は２に記載の枕。
4. 【請求項４】 枕本体及び凸部が軟質ウレタンフォーム
   で成形されたものであることを特徴とする請求項１乃至
   ３のいずれか１項に記載の枕。
5. 【請求項５】 枕本体及び凸部が二層構造であり、表面
   層が高弾性のエーテル系フォームであり、内面層が低反
   撥のエーテル系フォームであることを特徴とする請求項
   ４に記載の枕。
6. 【請求項６】 枕本体及び凸部の表面層にキノコ状の突
   起が設けられていることを特徴とする請求項５に記載の
   枕。