JP2002164236A - 点火コイル及びそれを用いた点火装置 - Google Patents

点火コイル及びそれを用いた点火装置

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JP2002164236A
JP2002164236A JP2000360115A JP2000360115A JP2002164236A JP 2002164236 A JP2002164236 A JP 2002164236A JP 2000360115 A JP2000360115 A JP 2000360115A JP 2000360115 A JP2000360115 A JP 2000360115A JP 2002164236 A JP2002164236 A JP 2002164236A
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coil
ignition
core
insulating
ignition coil
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JP2000360115A
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English (en)
Inventor
Hiroshi Inagaki
浩 稲垣
Toshihiro Fuma
智弘 夫馬
Takashi Washizu
孝 鷲津
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Niterra Co Ltd
Original Assignee
NGK Spark Plug Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 コイル部の外部に露出して配置される部分で
あるヨーク部を腐食や落下等の衝撃による損傷から保護
でき、コイルコアに設けられる相互インダクタンス調整
用のギャップの間隔を所定範囲に維持して、出力電圧に
過不足を生じるおそれをなくすことができ、耐久性と信
頼性に優れる点火コイルと、その点火コイルを用いた点
火装置。 【解決手段】 閉磁路Mを形成するコイルコアCに、相
互インダクタンス調整用のエアギャップに相当する非磁
性スペーサ25が所定の厚みを有する形態で介在し、か
つ、少なくともコイルコアCのうちのヨーク部30を覆
う絶縁性被覆部50が、熱可塑性樹脂による射出成形に
て形成されている。コイルコアCがコイル部10の外部
に露出することがなく、錆等による腐食や落下等の衝撃
による損傷からコイルコアCを保護することができ、点
火コイル100の耐久性を向上させることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、閉磁路型の点火コ
イルと、その点火コイルを用いた点火装置とに関する。
【0002】
【従来の技術】点火コイルは、エンジンの燃焼室内に誘
導される混合気に対して火花を飛ばして着火させるスパ
ークプラグに、例えば数十kVの高電圧(放電用高電
圧)を供給するために用いられる。ところで、点火コイ
ルは、1次コイルと2次コイルとを磁気結合するコイル
コア(鉄心)を備えるものであるが、そのコイルコアの
形状は様々であり、さらにはそのコイルコアにより開磁
路を形成した点火コイル(以下、開磁路型点火コイルと
いう)と、閉磁路を形成した点火コイル(以下、閉磁路
型点火コイルという)とが知られている。ただし、開磁
路型点火コイルでは、コイルコア外部(大気中)を磁路
とするため磁気抵抗が大きく、磁気洩れが発生し、スパ
ークプラグへの供給電圧に損失が生じることが懸念され
る。そこで、磁気洩れを低減し、スパークプラグへの供
給電圧の損失を抑えるべく閉磁路型点火コイル(例え
ば、特開平9−312226号公報等参照)が用いられ
ており、このうち2次コイルが1次コイルの外側に配置
されるタイプの閉磁路型点火コイルの一般的な断面構造
を図7に示す。
【0003】図7において、閉磁路型点火コイル150
は、コイル部110とコイルコアCとを備えている。具
体的には、コイル部110は、軸線方向に沿って延びる
軸孔115bを有する絶縁性樹脂製のコイルケース11
5の内部空間に、このコイルケース115の軸線回りに
(この場合軸孔115b回りに)同心状に巻装する形態で
1次コイル112と2次コイル114とが収容される。
そして、コイルコアCは、コイル部110のうちでコイ
ルケース115に形成された軸孔115bに沿って配置
されるセンタコア部120と、コイル部110の外部を
包囲するように配置されるヨーク部130とから構成さ
れ、このセンタコア部120とヨーク部130とにより
閉磁路Mを形成してなる。
【0004】また、コイル部110では、筒状樹脂製の
1次ボビン111の外周に1次コイル112が巻き付け
られ、筒状樹脂製の2次ボビン113の外周に2次コイ
ル114が分割して巻き付けられている。そして、1次
コイル112と2次コイル114とは、1次コイル11
2が内側に位置するように、コイルケース115の軸線
回りに同心状に巻装する形態でこのコイルケース115
の内部空間に収容されている。さらに、コイルケース1
15の内部空間に注入・固化させた絶縁樹脂層116に
より、両コイル112,114及びコイルケース115
の相互間の隙間が埋められて一体化されている。なお、
140は2次コイル114の高電圧側と導通し、その高
電圧を外部(例えばスパークプラグ)に取り出すための
高電圧タワーであり、141は高電圧端子である。
【0005】一方、コイルコアCのうちで、コイルケー
ス115に形成された軸孔115bに沿って配置される
センタコア部120と、コイル部110の外部を包囲す
るように配置されるヨーク部130とは、珪素鋼板を積
層した2個のE字状コイルコアの脚部同士を対向させて
形成され、閉磁路Mを形成している。そして、このよう
な閉磁路Mを形成するコイルコアCにあっては、通常閉
磁路Mの相互インダクタンス調整用のエアギャップを設
けるものであり、図7の閉磁路型点火コイル150で
は、センタコア部120となるE字状コイルコアの中央
脚部の対向部位置に閉磁路Mの相互インダクタンス調整
用の所定間隔を有するエアギャップGが設けられてい
る。なお、ヨーク部130には、閉磁路型点火コイル1
50をエンジン本体の点火コイル取付位置に取り付ける
ための取付孔Hが四隅に1個ずつ形成されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところで、このような
閉磁路型点火コイル150にあっては、コイルコアCの
一部(すなわちヨーク部130)がコイル部110の外
部に露出するために、この露出するコイルコアCが錆等
による腐食や落下等の衝撃により損傷するおそれがあ
る。そこで、本発明者らは、コイルコアCのうちコイル
部110の外部に露出して配置される部分(すなわちヨ
ーク部130)に対して、熱可塑性樹脂を射出成形(イ
ンサート成形)することにより、この露出するコイルコ
アCを覆う絶縁性被覆部を形成することを試みた。しか
しながら、コイル部110の外部に露出するコイルコア
Cに対して、熱可塑性樹脂による射出成形にて絶縁性被
覆部を形成すると、射出成形時における熱可塑性樹脂の
射出圧力等に起因して、閉磁路Mの相互インダクタンス
調整用のエアギャップGが設定値よりも狭くなる現象
(いわゆるエアギャップGの潰れ現象)が生じることが
判明した。とりわけ、このエアギャップGの潰れ現象
は、熱可塑性樹脂の射出方向とエアギャップGの厚み方
向がほぼ同方向のとき生じやすい。そして、このように
エアギャップGの潰れ現象が生ずると、閉磁路Mの相互
インダクタンスが設定値から変化し、例えばスパークプ
ラグの放電電圧に過不足を生じたりする不都合が発生す
るおそれがある。
【0007】本発明の課題は、閉磁路を形成するコイル
コアのうち、少なくともコイル部の外部に露出して配置
される部分であるヨーク部を錆等による腐食や落下等の
衝撃による損傷から保護することができるとともに、コ
イルコアに設けられる相互インダクタンス調整用のギャ
ップの間隔を所定範囲に維持して、出力電圧に過不足を
生じるおそれをなくすことができ、耐久性と信頼性に優
れる点火コイルと、その点火コイルを用いた点火装置と
を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段及び作用・効果】上記課題
を解決するために、本発明の点火コイルは、軸線方向に
沿って延びる軸孔を有するコイルケースの内部空間に、
当該コイルケースの軸線回りに同心状に巻装する形態で
1次コイルと2次コイルとが収容されるとともに絶縁性
モールド層が充填されたコイル部と、前記コイルケース
の軸孔に配置されるセンタコア部と、前記コイル部の外
部を包囲するように配置され、該センタコア部とともに
閉磁路を形成するヨーク部とを有するコイルコアとを備
え、前記コイルコアには、少なくとも1つ以上のエアギ
ャップに相当する非磁性スペーサが介在しており、少な
くとも前記コイルコアのうちの前記ヨーク部を覆う絶縁
性被覆部が、熱可塑性樹脂による射出成形にて形成され
ていることを特徴とする。
【0009】すなわち、この発明においては、閉磁路を
形成するコイルコアに、相互インダクタンス調整用のエ
アギャップに相当する非磁性スペーサが所定の厚みを有
する形態で介在し、かつ、少なくともコイルコアのうち
のヨーク部を覆う絶縁性被覆部が、熱可塑性樹脂による
射出成形にて形成されている。まず本発明では、閉磁路
を形成するコイルコアのうちのヨーク部を絶縁性被覆部
により覆うことにより、コイルコアがコイル部の外部に
露出することがなく、錆等による腐食や落下等の衝撃に
よる損傷からコイルコアを保護することができ、点火コ
イルの耐久性を向上させることができる。
【0010】ここで、一般に、閉磁路を形成するコイル
コアでは、閉磁路の相互インダクタンスを調整するため
に所定の間隔を有するエアギャップを設けるものであ
る。しかしながら、上述のように点火コイルの耐久性を
向上させるために、コイル部の外部に露出するコイルコ
ア(ヨーク部)を覆う絶縁性被覆部を、熱可塑性樹脂に
よる射出成形にて形成すると、射出成形時における熱可
塑性樹脂の射出圧力、射出方向等に起因して、閉磁路の
相互インダクタンス調整用のエアギャップが設定値より
も狭くなる現象(いわゆるエアギャップの潰れ現象)が
生じるおそれがある。
【0011】そこで、本発明では、所定の間隔を有する
エアギャップに相当する所定の厚みを有する非磁性スペ
ーサを、閉磁路を形成するコイルコアに介在させること
によって、所定の間隔を有するギャップを確保するよう
にしているのである。すなわち、コイルコアにエアギャ
ップに相当する非磁性スペーサを予め介在させることに
より、ギャップが空間により構成されずに、上述のよう
に外部に露出するヨーク部を覆う絶縁性被覆部を形成す
べく熱可塑性樹脂を射出成形するにあたっても、射出圧
力、射出方向等に起因してギャップの間隔が所定の設定
値より狭くなるといった現象を抑制することができる。
したがって、所定の厚みを有する非磁性スペーサをコイ
ルコアに介在させることにより、少なくともヨーク部を
覆う絶縁性被覆部を形成すべく熱可塑性樹脂を射出成形
した場合にあっても、相互インダクタンス調整用のギャ
ップ間隔を所定範囲に維持することができ、出力電圧に
過不足を生じるおそれのない信頼性の高い点火コイルを
提供することができる。
【0012】ところで、閉磁路型点火コイルでは、コイ
ルコアと高電圧を発生する2次コイルとの間で電界強度
が大となることから、これら両者間に隙間があると、実
使用時において、隙間に存在する空気が電離してコロナ
放電が発生する場合がある。図7を援用して示すよう
に、2次コイル114が1次コイル112の外側に位置
するタイプの閉磁路型点火コイル150では、コイルコ
アCのうちでコイル部の外部を包囲するように配置され
る部分(ヨーク部130)の内面130aと、それに対
向するコイル部110(コイルケース115)の外面1
15aとの間の隙間Sにてコロナ放電が発生し易い。つ
まり、このようなタイプにおいて、コイル部110とコ
イルコアCとの間に形成される隙間Sのうち、コロナ放
電の発生が予定される部分はヨーク部130の内面13
0aとそれに対向するコイルケース115の外面115
aとの間の隙間である。そして、点火コイル150が長
時間の連続使用に供されると、コロナ放電の発生熱や、
コロナ放電時に発生するオゾンによってコイルケース1
15等が劣化し、徐々にコイルケース115を構成する
樹脂の侵食が進行し、ついには絶縁破壊を生じるに至る
おそれがある。
【0013】そこで、コイル部とコイルコアとが対向す
ることによってそれらの間に形成される隙間を部分的に
埋める絶縁性充填部が、上述の絶縁性被覆部とともに、
熱可塑性樹脂による射出成形にて形成されているとよ
い。このように、絶縁性被覆部とともに熱可塑性樹脂に
より一体に形成される絶縁性充填部が、コイル部とコイ
ルコアとの間に形成される隙間を埋めることによって、
コロナ放電によるコイル部(具体的には、コイルケー
ス、絶縁性モールド層等)の劣化・侵食が発生しにくく
なり、点火コイルの耐久性をより向上させることができ
る。
【0014】ここで、絶縁性充填部は、コイル部とコイ
ルコアとが対向することによりそれらの間に形成される
隙間を部分的に埋めることになるが、ここでいう「部分
的」とは、コイル部とコイルコアとの間に形成される隙
間のうち、コロナ放電の発生が予定される部分を少なく
とも埋めることを意味する。コロナ放電の発生が予定さ
れる部分とは、言い換えれば、コイル部とコイルコアと
の間に形成される隙間において、その隙間の電界方向に
おける局所的な電位の傾きが、その隙間を満たす空気層
の絶縁耐力以上となる部分である。つまり、点火コイル
におけるコロナ放電の発生条件を満たすコイル部とコイ
ルコアとの間の空気層部分(隙間)を絶縁性充填部によ
り埋めることによって、コロナ放電の発生を防止でき
る。なお、空気層の絶縁耐力は、印加電圧の上昇速度・
時間、空気層の温度・湿度・気圧等によって変動する
が、一般に20℃、1気圧の標準状態において、3kV
/mmといわれている。
【0015】具体的には、2次コイルが1次コイルの外
側に位置するタイプの点火コイルの場合には、絶縁性充
填部は、コイル部の外面とこれに対向するヨーク部の内
面との間に形成される隙間を少なくとも埋める必要があ
る。このタイプでは、2次コイルの高圧側が相対的にコ
イル部の外側に位置するために、コイル部の外面とこれ
に対向するヨーク部の外面との間に形成される隙間にお
いて、コロナ放電が発生しやすくなる。
【0016】一方、2次コイルが1次コイルの内側に位
置するタイプの点火コイルの場合には、絶縁性充填部
は、コイル部の内面とこれに対向するセンタコア部の外
面との間に形成される隙間を少なくとも埋める必要があ
る。このタイプでは、2次コイルの高圧側が相対的にコ
イル部の内側に位置するために、コイル部の内面とこれ
に対向するセンタコア部の外面との間に形成される隙間
において、コロナ放電が発生しやすくなる。
【0017】そして、絶縁性充填部が、コイル部とこれ
に対向するコイルコアとの間に形成される隙間のほぼ全
体を埋めるようにすれば、2次コイルが1次コイルの外
側に位置するタイプでも、前者が後者の内側に位置する
タイプでも本発明を同等に適用でき、汎用性を高めるこ
とができる。
【0018】なお、コイル部とコイルコアとが対向する
ことによりそれらの間に形成される隙間を埋める絶縁性
充填部と、コイルコアのうちでコイル部の外部を包囲す
るように配置される部分を覆う絶縁性被覆部とを、全体
が同一材質の熱可塑性樹脂を用いて同時に一体射出成形
することにより形成すれば、製造効率が向上し製造コス
トの低減にも寄与する。
【0019】ところで、上記絶縁性充填部の形成にあた
っては、コイル部とコイルコアとが対向することにより
形成される隙間の大きさにもよるが、射出成形時の熱可
塑性樹脂の流動性を高めなければ、その隙間に熱可塑性
樹脂が流れ込みにくいものである。そこで、絶縁性充填
部と絶縁性被覆部とを、熱可塑性樹脂による一体射出成
形にて形成する場合には、熱可塑性樹脂の射出圧力は、
絶縁性充填部を形成しない場合よりも高く設定する必要
がある。そのために、これまでのように閉磁路を形成す
るコイルコアにエアギャップを設けているものではギャ
ップ潰れが多発する可能性が高い。しかしながら、本発
明では、閉磁路を形成するコイルコアにエアギャップに
相当する所定の厚みを有する非磁性スペーサが介在する
ことから、絶縁性充填部と絶縁性被覆部とを熱可塑性樹
脂による一体射出成形にて形成した場合にも、ギャップ
潰れ現象の発生を有効に抑制することができ、より耐久
性、信頼性に優れる点火コイルを提供することができ
る。
【0020】上記非磁性スペーサは、120℃以上(望
ましくは150℃以上)の耐熱性(軟化点、融点等)を
有する非磁性体であればよく、合成樹脂の他、ゴム、ア
ルミナ等のセラミック基板等を用いることができる。
【0021】また、非磁性スペーサを合成樹脂で構成す
る場合には、熱可塑性樹脂を用いた射出成形時前に硬化
してギャップの間隔を所定値に維持し、かつ射出成形時
の射出温度によっても変形しないように熱硬化性樹脂で
構成するとよい。具体的には、エポキシ樹脂を主成分と
する接着剤等が推奨される。エポキシ樹脂は、熱硬化後
の電気的性質が安定し閉磁路の相互インダクタンス調整
を行いやすい特徴を有する。また、接着剤であるため
に、例えば一対のコイルコアの端部を突き合わせてギャ
ップを形成する際にも、非磁性スペーサが両コイルコア
を接着するので、両コイルコアが組み付け時に位置ズレ
を起こしにくく、点火コイル自体の製造効率が向上す
る。なお、「主成分」とは、最も重量含有率の高い成分
を意味し、必ずしも「50重量%以上を占める成分」を
意味するものではない。
【0022】さらに、本発明において、絶縁性被覆部を
形成するために射出成形(または、絶縁性被覆部と絶縁
性充填部を形成するために一体射出成形)に用いられる
熱可塑性樹脂には、耐熱性(軟化点)の向上を図るた
め、絶縁性フィラー(例えばガラス繊維)を配合すると
よい。そして、絶縁性フィラーの配合率を10〜40重
量%の範囲に調整し、またその軟化点を120℃以上と
することによって、点火コイルの耐久性をより向上させ
ることができる。
【0023】なお、絶縁性フィラーの配合率が40重量
%を超える場合には、射出成形(一体射出成形)時にお
ける熱可塑性樹脂の流動性が悪化して、例えば絶縁性充
填部が所定の隙間を埋められなくなるおそれがある。ま
た、絶縁性フィラーの配合率が10重量%未満の場合に
は、耐熱性の面で点火コイルの信頼性が低下することが
ある。また、熱可塑性樹脂の軟化点が120℃未満で
は、耐熱性の面で点火コイルの信頼性が低下することが
ある。
【0024】また、本発明において、絶縁性被覆部を形
成するために射出成形(または、絶縁性被覆部と絶縁性
充填部を形成するために一体射出成形)に用いられる熱
可塑性樹脂としては、ポリブチレンテレフタレート樹脂
(以下、PBT樹脂という)、ポリフェニレンスルフィ
ド樹脂(以下、PPS樹脂という)及びポリエチレンテ
レフタレート樹脂(以下、PET樹脂という)のうち少
なくとも1種を選ぶことが望ましい。これらの樹脂は、
いずれもガラス繊維等の絶縁性フィラーを配合した状態
でも流動性が極めてよく、成形性に優れている。なお、
一般的には、射出成形用の熱可塑性樹脂としてガラス繊
維入りPBT樹脂が最も広く用いられており、その軟化
点は200〜220℃である。
【0025】次に、本発明の点火装置は、前述の点火コ
イルと、点火コイルの2次コイルと導通し、点火コイル
にて発生する放電用高電圧の供給を受けて火花放電を発
生するスパークプラグとを備えたことを特徴とする。
【0026】前述のように、点火コイルの耐久性を飛躍
的に向上させることによって、点火装置としての耐久性
の向上に寄与することができる。また、点火コイルが信
頼性に優れることから、点火コイルにて放電用高電圧を
損失なく発生させることができ、スパークプラグにて確
実に火花放電を発生させることができる。したがって、
高い信頼性と十分な耐久性が要求されるガスエンジンに
この点火装置を使用すれば、本発明の特徴を最大限に発
揮することができる。
【0027】
【発明の実施の形態】次に、本発明の実施の形態を、図
面に示す実施例を参照して説明する。図1には、この発
明の点火装置の一実施例であるガスエンジン用点火装置
400が示され、このエンジンEは定置型ガスエンジン
に適用される。この点火装置400は、エンジンEの燃
焼室CR内に誘導される気体燃料(混合気)に火花を飛
ばして着火させるスパークプラグ200と,スパークプ
ラグ200による火花放電に必要な放電電圧に相当する
放電用高電圧をスパークプラグ200に供給する閉磁路
型点火コイル100(以下、単に点火コイルともいう)
と、このときの高電圧を点火コイル100からスパーク
プラグ200に伝達するための高圧コード300とを含
んでいる。ただし、スパークプラグ200に点火コイル
100を直接接続させるダイレクトイグニッションタイ
プでは、高圧コード300は不要である。
【0028】図2に拡大して示す点火コイル100は、
後述する本体部40(図4参照)のほぼ全体をほぼ隙間
なく覆う絶縁性被覆部50とともに熱可塑性樹脂(例え
ばPBT樹脂)材料にて一体成形された取付部70によ
って、エンジン本体EBの点火コイル取付位置に固定さ
れる。具体的には、ボルト等の締結具72を取付部70
の取付孔71に挿通し、エンジン本体EBに形成したね
じ孔に螺合等することによって、点火コイル100を点
火コイル取付位置に固定する。図2に示すように、取付
孔71の内壁面には金属製の補強リング73を嵌合し
て、取付部70が締結具72の締め付け力で潰れないよ
うに強度補強してある。絶縁性被覆部50に対する取付
部70の位置・形状・個数等は後述する一体射出成形時
において、点火コイル取付位置を考慮して適宜調整する
ことによって多様な点火コイル取付位置に容易かつ自在
に対応できる。なお、1は後述する1次コイル(図4参
照)への入力部を表わし、+側入力端子4に+側入力コ
ード5の一端が接続され、−側入力端子2に−側入力コ
ード3の一端が接続されている。また、+側入力コード
5の他端は、バッテリ(図示省略)の+側端子に接続さ
れ、−側入力コード3の他端は、イグナイタ(図示省
略)のコレクタに接続されている。
【0029】また、本体部40から一方向に突出する高
電圧タワー90は、高電圧端子91と高電圧保護部92
とを有する。後述する2次コイル14(図4参照)の高
電圧側と導通し、高圧コード300の一端を接続して、
2次コイル14の高電圧を外部に取り出すための高電圧
端子91を覆う絶縁性の高電圧保護部92を、後述する
コイルケース15(図4参照)と一体成形している。
【0030】図1に戻り、スパークプラグ200は、筒
状の主体金具201、主体金具201の内側に嵌め込ま
れた絶縁体202、絶縁体202の内側に設けられた中
心電極203及び一端が主体金具201に接合され他端
側が側方に曲げ返されて、その側面が中心電極203の
先端部と対向するように配置された接地電極204等を
備えている。中心電極203の先端面と接地電極204
の側面との間に火花放電ギャップgが形成されている。
そして、主体金具201に形成したねじ部205をエン
ジンEのシリンダヘッドSHにねじ込んで、火花放電ギ
ャップgを燃焼室CR内に突入させてある。中心電極2
03の火花放電ギャップg形成側とは反対側の端部には
プラグ側端子206が形成され、ここに高圧コード30
0の他端が接続される。
【0031】次に、図1の点火装置400に用いられ、
本発明に係る閉磁路型点火コイル100の実施例を図2
〜図5に示す。図2は斜視図、図3は平面図を示し、図
4は図3におけるX−X矢視断面図、図5は図3におけ
るY−Y矢視断面図を表わしている。以下、主として図
4及び図5に基づき閉磁路型点火コイル100の構成を
説明する。
【0032】点火コイル100の本体部40は、軸線方
向に沿って延びる軸孔15bを有するコイルケース15
の内部空間において1次コイル12と2次コイル14と
をコイルケース15の軸線回りに(この場合軸孔15b
回りに)同心状に巻装する形態で収容するコイル部10
と、コイルケース15の軸孔15bにおいてその軸線方
向に沿って配置される部分にあたるセンタコア部20
と、コイル部10の外部を包囲するように配置される部
分にあたるヨーク部30とを備えている。そして、セン
タコア部20とヨーク部30とは、コイルケース15の
軸孔15bを通るループ状に接続されて閉磁路Mを形成
し、1次コイル12と2次コイル14とを磁気結合する
鉄心(コイルコア)Cとなる。コイル部10では、筒状
で熱可塑性樹脂製の1次ボビン11の外周に1次コイル
12が巻き付けられ、また、複数個の巻溝を有し、筒状
で熱可塑性樹脂製の2次ボビン13の外周に2次コイル
14が巻き付けられている。1次コイル12は、線径
0.3〜1.0mmのエナメル線を合計100〜200
回程度積層巻きされる。一方、2次コイル14は、これ
よりも細い線径0.03〜0.1mmのエナメル線を合
計5000〜20000回程度分割巻きされる。
【0033】そして、1次コイル12と2次コイル14
とを、1次コイル12が内側に位置するように熱可塑性
樹脂(例えばPBT樹脂)製のコイルケース15の軸線
回りに同心状に収容し、コイルケース15内に注入・加
熱硬化させた熱硬化性絶縁樹脂層(例えばエポキシ樹脂
層)16(絶縁性モールド層)により、両コイル12,
14及びコイルケース15の相互間の隙間を埋めて一体
化されている。ここで、熱硬化性絶縁樹脂層16は、一
体射出成形以前に、軸孔15bが形成されたコイルケー
ス15の内部空間に両コイル12,14等を所定位置に
配置し、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂を液化した状態
で真空含浸することにより形成することができる。この
ように、熱硬化性樹脂を真空含浸させることにより、コ
イルケース15内の隅々にまで絶縁性の樹脂による充填
が図れることから、コイルケース15内の絶縁性を確実
に得ることができる。
【0034】一方、センタコア部20とヨーク部30と
は、珪素鋼板C0を複数積層した2個のU字状鉄心C
(コイルコア)の脚部同士を対向させて環状形態をな
し、閉磁路Mを形成している。したがって、外周を閉磁
路Mで取り囲まれた内部空間において、コイル部10の
コイルケース15が、その中心部の軸孔15bの内壁面
によりセンタコア部20を取り囲む形で位置することに
なる。一対のU字状鉄心Cの脚部同士を突き合わせて形
成されるセンタコア部20には、鉄心Cの脚部同士によ
る対向部位置に閉磁路Mの相互インダクタンス調整用の
ギャップGが設けられ、このギャップGの間隔は例えば
1mmに調整されており、熱硬化性樹脂(例えばエポキ
シ樹脂を主成分とする接着剤)からなる非磁性スペーサ
25が介在することにより形成されている。この非磁性
スペーサ25は、一体射出成形によって一体成形部80
が形成される際に、鉄心Cが成形材料(例えばPBT樹
脂)の射出圧力によって外側から押圧され、ギャップG
の間隔が設定値よりも狭くなって相互インダクタンスが
変化する(いわゆるギャップGの潰れ現象)ことを防止
している。つまり、非磁性スペーサ25は、熱可塑性樹
脂を用いた射出成形時前に硬化してギャップGの間隔を
所定値に維持し、かつ射出成形時の射出温度によって寸
法変化を来さない性質を要することから、エポキシ樹脂
等の熱硬化性樹脂で構成することが望ましい。
【0035】以上のように構成された本体部40は、熱
可塑性樹脂(例えばPBT樹脂、PPS樹脂又はPET
樹脂等)からなる絶縁性被覆部50によってほぼその周
囲全体を覆われている。また、閉磁路Mの内側におい
て、コイル部10と鉄心C(センタコア部20及びヨー
ク部30)との間に形成される隙間Sが、熱可塑性樹脂
(例えばPBT樹脂、PPS樹脂又はPET樹脂等)か
らなる絶縁性充填部60によって埋められている。この
絶縁性充填部60は、絶縁性被覆部50及び取付部70
とともに全体が同一材質の熱可塑性樹脂を本体部40に
対して同時に一体射出成形することにより一体成形部8
0を形成している。ところで、この一体成形部80は、
本体部40を予め金型に埋め込み、熱可塑性樹脂材料を
金型内に射出するインサート成形法によって形成され
る。
【0036】次に、このような点火コイル100の製造
方法について説明する。 (1)コイル部10の組立工程 1次コイル12を巻いた1次ボビン11の外側に2次コ
イル14を巻いた2次ボビン13を重ね合わせ、さらに
その外側に、熱可塑性樹脂(例えばPBT樹脂)を用い
て予めインサート成形により形成され、軸線方向に沿っ
て延びる軸孔15bを有するコイルケース15(図4参
照)を被せて、コイル部10を組み立てる。なお、1次
コイル12及び2次コイル14は、コイルケース15の
軸線回りに(ここでは、軸孔15b回りに)同心状に巻装
する形態で、コイルケース15の内部空間に収容される
(図4参照)。
【0037】(2)本体部40の組立及び非磁性スペー
サ25の配置工程 コイルケース15の軸線方向に沿って形成された軸孔1
5bに、2個のU字状鉄心Cの一端の脚部をそれぞれ挿
入してセンタコア部20を形成しつつ、他端の脚部を突
き合わせてかしめることでコイル部10(コイルケース
15)の外側にてヨーク部30を形成し、本体部40を
組み立てる。2個のU字状鉄心Cの脚部をそれぞれ突き
合わせて形成されるセンタコア部20の軸線方向中間部
にはギャップGを形成し、ヨーク部30側の脚部は一体
化して環状形態をなす。このとき、一方のU字状鉄心C
の脚部に熱硬化性樹脂(例えばエポキシ樹脂)を主成分
とする接着剤からなる非磁性スペーサ25を塗布してお
くことで、閉磁路Mを形成する鉄心Cにエアギャップに
相当する非磁性スペーサ25が介在することになる。
【0038】(3)コイルケース15への絶縁樹脂材料
の注入工程 組み立てた本体部40を型に入れ、真空含浸しながらコ
イルケース15の内部空間に液化した状態の熱硬化性絶
縁樹脂(例えばエポキシ樹脂)を注入する。
【0039】(4)非磁性スペーサ25及び絶縁樹脂層
16の加熱硬化工程 型に入れた本体部40を加熱し、非磁性スペーサ25を
加熱硬化させてギャップGの間隔を所定値に維持すると
ともに、熱硬化性絶縁樹脂材料を加熱硬化させて熱硬化
性絶縁樹脂層16を形成する。
【0040】(5)一体射出成形(インサート成形)工
程(図6参照) 本体部40及び補強リング73(図2参照)を金型D内
に埋め込む形態で所定位置に配置する。この金型Dの型
締めを行った後、材料温度約220〜260℃(例えば
220℃)にて軟化させたPBT樹脂材Pを、射出圧力
約5〜10MPa(例えば8MPa)で金型D内に射出
する。このとき、PBT樹脂材Pが、コイル部10と鉄
心C(センタコア部20及びヨーク部30)との間に形
成される隙間Sを埋めて絶縁性充填部60を形成し、ま
た、本体部40を覆う絶縁性被覆部50を形成し、さら
には補強リング73とともに取付部70を形成し、これ
らは一体化して一体成形部80(図4参照)になる。な
お、このとき鉄心Cに従来のように取付孔が形成される
場合には、この取付孔65にもPBT樹脂材Pが流入す
ることになる。そして、通常の射出成形工程と同様に、
保圧→冷却→離型の各工程を経て点火コイル100が取
り出される。このように、本体部40に対してPBT樹
脂材Pを一体射出成形することにより、絶縁性被覆部5
0、絶縁性充填部60及び取付部70が一体成形部80
として形成される。ただし、上記PBT樹脂材Pには、
絶縁性フィラーとしてのガラス繊維が10〜40重量%
(例えば15又は30重量%)の範囲で配合され、軟化
点が200℃以上になるように調整されている。
【0041】一体成形部80のうち、絶縁性被覆部50
は本体部40のほぼ全体を覆っているので、本体部40
に対して、防錆機能と落下等の衝撃に対する保護・緩衝
機能とを有している。
【0042】また、絶縁性充填部60に関して、次の点
が注目される。すなわち、本実施例のように、2次コイ
ル14を1次コイル12の外側において同心状に巻装す
るタイプでは、2次コイル14の高圧側が相対的にコイ
ル部10の外側に位置するために、コイル部10の外面
10a(コイルケース15の外面15a)とこれに対向
するヨーク部30の内面30aとの間に形成される隙間
Sでコロナ放電が発生しやすくなる。ところで、流動性
のよいガラス繊維入りPBT樹脂材Pを用いた射出成形
であることから、PBT樹脂材Pの金型D内での流れは
極めてスムーズである。したがって、コイルケース15
の外面15aとこれに対向するヨーク部30の内面30
aとの間に形成される隙間SにPBT樹脂材Pが行き渡
ることになる。その結果、コイルケース15及び熱硬化
性絶縁樹脂層16(コイル部10)とこれらに対向する
鉄心Cとの間に形成される隙間Sを埋める形で絶縁性充
填部60が形成されるので、確実にコロナ放電の発生を
防止できる。
【0043】一方、エンジン本体EBにアースするため
のアース点となる取付部70が、鉄心C(本体部40)
を絶縁しつつ、絶縁性充填部60(さらには絶縁性被覆
部50)とともに、本体部40に対してPBT樹脂材P
を一体射出成形することにより形成されている。これに
よって、従来のように鉄心Cの取付孔によって、本体部
40をエンジン本体EBにアースしつつ取り付ける必要
がなく、アース点が従来の鉄心Cから取付部70に移行
する。そのため、2次コイル14とアース点との距離
は、従来の2次コイル14と鉄心Cとの距離L(図4参
照)よりも長くなって、2次コイル14と取付部70
(補強リング73)との距離L’(図5参照)となる。
その結果、2次コイル14とアース点(補強リング7
3)との間の電界強度が低減し、リークが発生しにくく
なる。なお、鉄心Cはエンジン本体EBにはアースされ
ておらず、ほぼ全体を絶縁性被覆部60で覆われて、エ
ンジン本体EBの表面から離間した状態で保持されてい
る。
【0044】ところで、本体部40に対して例えばエポ
キシ樹脂等の熱硬化性樹脂を一体射出成形することによ
って絶縁性被覆部50を形成する場合、熱硬化性樹脂は
熱可塑性樹脂よりも相対的に熱収縮が大きく、絶縁性被
覆部50の厚みがバラつき薄肉化現象が発生しやすい。
そして、点火コイル100が冷熱サイクルを繰り返し受
けたとき、絶縁性被覆部50における薄肉部に熱応力が
集中し、割れ等を生じる(これを耐ヒートサイクル性の
低下という)おそれがある。一方、本体部40に対して
熱可塑性樹脂を一体射出成形することにより形成される
絶縁性被覆部50においては、厚みのバラツキが小さく
抑えられ薄肉化が防止されるので、外観が美麗となる
他、耐ヒートサイクル性が向上する。
【0045】次に、コイル部10と鉄心Cとの配置関係
を模式的に表わした図8に基づき、コイル部10と鉄心
Cとの間に形成され、絶縁性充填部60により埋められ
るべき隙間Sについて説明する。コイル部10と鉄心C
とが対向することによってそれらの間に形成される隙間
Sのうち、コロナ放電の発生が予定される部分は、点火
コイルのタイプによって次のように異なる。なお、図4
から明らかなように、本発明の一実施例として説明して
きたものは、このうちの(1)のタイプに属する。
【0046】(1)2次コイル14が1次コイル12の
外側に位置するタイプでは、2次コイル14の高圧側が
相対的にコイル部10の外側に位置する。このために、
閉磁路Mの内側において、コイル部10の外面10a
(コイルケース15の外面15a)とこれに対向するヨ
ーク部30の内面30aとの間に形成される隙間S1で
コロナ放電が発生しやすい(図8(b)参照)。したが
って、このタイプの点火コイルでは、絶縁性被覆部60
は少なくともこの隙間S1を埋める必要がある。
【0047】(2)2次コイル14が1次コイル12の
内側に位置するタイプでは、2次コイル14の高圧側が
相対的にコイル部10の内側に位置する。このために、
コイル部10の内面10b(コイルケース15の軸孔1
5bの内壁面)とこれに対向するセンタコア部20の外
面20aとの間に形成される隙間S2でコロナ放電が発
生しやすい(図8(c)参照)。したがって、このタイ
プの点火コイルでは、絶縁性被覆部60は少なくともこ
の隙間S2を埋める必要がある。
【0048】本発明に係る点火コイルについて、鉄心の
形状は閉磁路を形成するものであればよく、実施例に示
す2個のU字状の他に、図7に示した2個のE字状、C
字状とI字状との組み合わせ等他の形状のものにも適用
される。また、閉磁路を形成するコイルコアに介在する
非磁性スペーサ は、実施例ではセンタコア部に形成し
たが、ヨーク部に形成してもよく、複数形成する場合も
ある。さらに、本発明に係る点火コイルは、コイル部と
鉄心との相対的位置関係において、いわゆる内鉄形にも
外鉄形にも適用される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る点火装置の一実施例であるガスエ
ンジン用点火装置の概念図。
【図2】図1の点火装置に用いられる点火コイルの斜視
図。
【図3】図2の点火コイルの平面図。
【図4】図2の点火コイルのX−X矢視断面図。
【図5】図2の点火コイルのY−Y矢視断面図。
【図6】図2の点火コイルの一体射出成形工程を示す説
明図。
【図7】従来の点火コイルを示す断面図。
【図8】コイル部と鉄心との配置関係を模式的に表わし
た斜視図及びそのZ−Z矢視断面図。
【符号の説明】
10 コイル部 10a コイル部外面 10b コイル部内面 12 1次コイル 14 2次コイル 15 コイルケース 15a コイルケース外面 15b 軸孔 16 熱硬化性絶縁樹脂層(絶縁性モールド層) 20 センタコア部 20a センタコア部外面 25 非磁性スペーサ 30 ヨーク部 30a ヨーク部外面 40 本体部 50 絶縁性被覆部 60 絶縁性充填部 70 取付部 71 取付孔 80 一体成形部 90 高電圧タワー 91 高電圧端子 92 高電圧保護部 100 点火コイル 200 スパークプラグ 400 点火装置 C 鉄心(コイルコア) EB エンジン本体 G ギャップ M 閉磁路 S 隙間
フロントページの続き (72)発明者 鷲津 孝 愛知県名古屋市瑞穂区高辻町14番18号 日 本特殊陶業株式会社内 Fターム(参考) 3G019 KC02 KC03 KC04 KC05 KC06 5E044 AC02 AC04 AD03 CA09

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 軸線方向に沿って延びる軸孔を有するコ
    イルケースの内部空間に、当該コイルケースの軸線回り
    に同心状に巻装する形態で1次コイルと2次コイルとが
    収容されるとともに絶縁性モールド層が充填されたコイ
    ル部と、 前記コイルケースの軸孔に配置されるセンタコア部と、
    前記コイル部の外部を包囲するように配置され、該セン
    タコア部とともに閉磁路を形成するヨーク部とを有する
    コイルコアとを備え、 前記コイルコアには、少なくとも1つ以上のエアギャッ
    プに相当する非磁性スペーサが介在しており、 少なくとも前記コイルコアのうちの前記ヨーク部を覆う
    絶縁性被覆部が、熱可塑性樹脂による射出成形にて形成
    されていることを特徴とする点火コイル。
  2. 【請求項2】 前記コイル部と前記コイルコアとが対向
    することによってそれらの間に形成される隙間を少なく
    とも部分的に埋める絶縁性充填部と、前記絶縁性被覆部
    とが、熱可塑性樹脂による一体射出成形にて形成されて
    いる請求項1記載の点火コイル。
  3. 【請求項3】 前記2次コイルは前記1次コイルの外側
    に位置するとともに、前記絶縁性充填部は、前記コイル
    部の外面とこれに対向する前記ヨーク部の内面との間に
    形成される隙間を少なくとも埋める請求項2記載の点火
    コイル。
  4. 【請求項4】 前記2次コイルは前記1次コイルの内側
    に位置するとともに、前記絶縁性充填部は、前記コイル
    部の内面とこれに対向する前記センタコア部の外面との
    間に形成される隙間を少なくとも埋める請求項2記載の
    点火コイル。
  5. 【請求項5】 前記絶縁性充填部は、前記コイル部とこ
    れに対向する前記コイルコアとの間に形成される隙間の
    ほぼ全体を埋める請求項2ないし4のいずれかに記載の
    点火コイル。
  6. 【請求項6】 前記絶縁性充填部と前記絶縁性被覆部と
    を構成する前記熱可塑性樹脂は、全体を同一材質にて構
    成した請求項2ないし5のいずれかに記載の点火コイ
    ル。
  7. 【請求項7】 前記非磁性スペーサは熱硬化性樹脂から
    なる請求項1ないし6のいずれかに記載の点火コイル。
  8. 【請求項8】 前記非磁性スペーサは、エポキシ樹脂を
    主成分とする接着剤からなる請求項1ないし7のいずれ
    かに記載の点火コイル。
  9. 【請求項9】 前記熱可塑性樹脂には、絶縁性フィラー
    が配合されている請求項1ないし8のいずれかに記載の
    点火コイル。
  10. 【請求項10】 前記熱可塑性樹脂は、ポリブチレンテ
    レフタレート樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂及び
    ポリエチレンテレフタレート樹脂のうち少なくとも1種
    からなる請求項1ないし9のいずれかに記載の点火コイ
    ル。
  11. 【請求項11】 請求項1ないし10のいずれかに記載
    の点火コイルと、 前記点火コイルの前記2次コイルと導通し、前記点火コ
    イルにて発生する放電用高電圧の供給を受けて火花放電
    を発生するスパークプラグとを備えたことを特徴とする
    点火装置。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2014506654A (ja) * 2011-02-22 2014-03-17 フェデラル−モーグル・イグニション・カンパニー エネルギ効率が改善されたコロナ点火器
JP2014212222A (ja) * 2013-04-19 2014-11-13 ダイヤモンド電機株式会社 内燃機関用点火コイル
CN108597833A (zh) * 2018-04-17 2018-09-28 涿州市领先自动化技术有限公司 点火线圈端子组装设备

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