JP2002164204A - 異方性ボンド磁石、回転機およびマグネットロール - Google Patents

異方性ボンド磁石、回転機およびマグネットロール

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JP2002164204A
JP2002164204A JP2001273859A JP2001273859A JP2002164204A JP 2002164204 A JP2002164204 A JP 2002164204A JP 2001273859 A JP2001273859 A JP 2001273859A JP 2001273859 A JP2001273859 A JP 2001273859A JP 2002164204 A JP2002164204 A JP 2002164204A
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magnet
powder
bonded magnet
weight
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Katsunori Iwasaki
克典 岩崎
Masahiro Tobise
飛世  正博
Yasunobu Ogata
安伸 緒方
Yutaka Kubota
裕 久保田
Takashi Takami
崇 高見
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Hitachi Metals Ltd
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    • H01F1/03Magnets or magnetic bodies characterised by the magnetic materials therefor; Selection of materials for their magnetic properties of inorganic materials characterised by their coercivity
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    • H01F1/11Magnets or magnetic bodies characterised by the magnetic materials therefor; Selection of materials for their magnetic properties of inorganic materials characterised by their coercivity of hard-magnetic materials non-metallic substances, e.g. ferrites, e.g. [(Ba,Sr)O(Fe2O3)6] ferrites with hexagonal structure in the form of particles
    • H01F1/113Magnets or magnetic bodies characterised by the magnetic materials therefor; Selection of materials for their magnetic properties of inorganic materials characterised by their coercivity of hard-magnetic materials non-metallic substances, e.g. ferrites, e.g. [(Ba,Sr)O(Fe2O3)6] ferrites with hexagonal structure in the form of particles in a bonding agent

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 従来の異方性フェライトボンド磁石を超える
最大エネルギー積(BH)maxを有し、さらには耐熱性を改
善した新規高性能の異方性ボンド磁石を提供する。 【解決手段】 実質的にマグネトプランバイト型結晶構
造を有する平均粒径10μm超1000μm以下の異方性フェ
ライト焼結磁石粉末とバインダーとから実質的になるこ
とを特徴とする異方性ボンド磁石。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、広範囲な磁石応用
製品分野、例えば自動車または電気機器用等の各種回転
機、電子写真や静電記録等において現像ロール用に使用
するマグネットロール、音響用スピーカ、ブザー、ある
いは吸着または磁界発生用磁石等に有用であり、従来の
異方性フェライトボンド磁石を超える最大エネルギー積
(BH)maxを有し、さらには耐熱性を向上した新規高性能
の異方性ボンド磁石に関する。また本発明は、前記異方
性ボンド磁石を用いて構成される高性能の回転機および
マグネットロールに関する。
【0002】
【従来の技術】国際公開;WO98/38654には、六方晶構造
を有するフェライトを主相とし、かつSr,Ba,Ca
およびPbから選択される少なくとも1種の元素であっ
て、Srを必ず含むものをAとし、希土類元素(Yを含
む)およびBiから選択される少なくとも1種の元素で
あってLaを必ず含むものをRとし、Coであるか、C
oおよびZnをMとしたとき、A,R,FeおよびMそ
れぞれの金属元素の総計の構成比率が、全金属元素量に
対し、A:1〜13原子%、R:0.05〜10原子%、Fe:
80〜95原子%、M:0.1〜5原子%である組成を有する
酸化物磁性材料を含有するフェライト粒子からなるボン
ド磁石が記載されている。具体例として、Sr0.7
0.3Fe 2−7Co0.319(但し、仮焼前
にSiOを0.2重量%、CaCOを0.15重量%添
加。)の組成の仮焼体を乾式振動ミルで粉砕後、大気中
で1000℃×5分間アニールし、得られたボンド磁石用フ
ェライト粉末の固有保磁力iHcが343.0kA/m(4.31kOe)
である旨の記載がある。しかし、このボンド磁石の(BH)
maxは記載されておらず、異方性フェライト焼結磁石粉
末を用いる記載は無い。最近の異方性フェライトボンド
磁石に対する高性能化の要求は益々過酷になってきてい
るが従来の異方性フェライトボンド磁石の(BH)maxは上
限値に達しており、さらなる高性能化が困難であった。
またマグネットロールの用途では高い(BH)maxを有する
のが、回転機の用途では高い(BH)maxを有するとともに
耐熱性を向上する(iHcを高める)のが望まれていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】したがって、本発明が
解決しようとする課題は、従来の異方性フェライトボン
ド磁石を超える最大エネルギー積(BH)maxを有し、さら
には耐熱性を向上した新規高性能の異方性フェライトボ
ンド磁石を提供することである。また本発明の課題は前
記異方性フェライトボンド磁石を用いて構成される高性
能の回転機およびマグネットロールを提供することであ
る。
【0004】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決した本発
明の異方性ボンド磁石は、実質的にマグネトプランバイ
ト型結晶構造を有する平均粒径10μm超1000μm以下の
異方性フェライト焼結磁石粉末とバインダーとから実質
的になることを特徴とする。また本発明の異方性ボンド
磁石は、実質的にマグネトプランバイト型結晶構造を有
するとともにFe2+含有量が0.10重量%以下の異方性
フェライト焼結磁石粉末とバインダーとから実質的にな
ることを特徴とする。これら本発明の異方性ボンド磁石
は従来の異方性フェライトボンド磁石を超える(BH)max
を有する。
【0005】また本発明の異方性ボンド磁石を構成する
異方性フェライト焼結磁石粉末が、 (A1−xR’)O・n[(Fe1−y)](原子比率) (AはSrおよび/またはBaであり、R’はYを含む希
土類元素の少なくとも1種であってLa,Pr,Ndお
よびCeから選択される少なくとも1種を必ず含み、M
はCoまたは、CoおよびZnである。)、0.01≦x≦
0.4,0.005≦y≦0.04,および5.0≦n≦6.4で表される
主要成分組成を有し、実質的にマグネトプランバイト型
結晶構造を有する場合、従来の異方性フェライトボンド
磁石を超える高い(BH)maxおよび顕著に向上した耐熱性
を有する。
【0006】また本発明の異方性ボンド磁石を構成する
異方性フェライト焼結磁石粉末を、実質的にマグネトプ
ランバイト型結晶構造を有する異方性フェライト焼結磁
石粉末であって、A’O・nFe(原子比率)
(A’はSrおよび/またはBaであり、5.0≦n≦6.4
である。)で表される主要成分組成を有するフェライト
焼結磁石粉末と、 (A1−xR’)O・n[(Fe1−y)](原子比率) (AはSrおよび/またはBaであり、R’はYを含む希
土類元素の少なくとも1種であってLa,Pr,Ndお
よびCeから選択される少なくとも1種を必ず含み、M
はCoまたは、CoおよびZnである。)、0.01≦x≦
0.4,0.005≦y≦0.04,および5.0≦n≦6.4で表される
主要成分組成を有するフェライト焼結磁石粉末とからな
る異方性ボンド磁石で構成することもできる。
【0007】本発明の異方性ボンド磁石はラジアル異方
性または極異方性を有するものが実用性に富む。本発明
の異方性ボンド磁石を用いて構成される回転機は高効率
になり、本発明の異方性ボンド磁石を用いて構成される
マグネットロールを搭載してなる複写機では高精細画像
が得られる。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明に好適な異方性フェライト
焼結磁石粉末は実質的にマグネトプランバイト型結晶構
造を有する。実質的にマグネトプランバイト型結晶構造
を有するとはマグネトプランバイト型結晶構造相を主相
とするものを包含し、マグネトプランバイト型結晶構造
相のみからなる場合が好ましい。
【0009】本発明に用いる、主要成分組成が、 (A1−xR’)O・n[(Fe1−y)](原子比率) (AはSrおよび/またはBaであり、R’はYを含む希
土類元素の少なくとも1種であってLa,Pr,Ndお
よびCeから選択される少なくとも1種を必ず含み、M
はCoまたは、CoおよびZnである。)、0.01≦x≦
0.4,0.005≦y≦0.04,および5.0≦n≦6.4で表され、
実質的にマグネトプランバイト型結晶構造を有する異方
性フェライト焼結磁石粉末の組成限定理由を以下に説明
する。
【0010】n(モル比)は5.0〜6.4が好ましく、5.6
〜6.2がより好ましく、5.8〜6.0が特に好ましい。nが
6.4超ではマグネトプランバイト相以外の異相(α-Fe
等)の生成が顕著になりiHcが大きく低下し、nが
5.0未満では(BH)maxが大きく低下する。
【0011】xの値は0.01〜0.4が好ましく、0.1〜0.3
がより好ましく、0.15〜0.25が特に好ましい。xが0.4
超では(BH)max,iHcが大きく低下し、xが0.01未満では
添加効果が認められない。R’にはLa,Pr,Ceお
よびNd以外の希土類元素(Yを含む)を不可避的に含
むことが許容される。R’原料としてLa,Pr,Ce
およびNdから選択される少なくとも2種の混合希土類
酸化物または水酸化物を用いると安価で好ましい。飽和
磁化を高めるために、R’に占めるLa,Pr,Ceお
よびNdから選択される少なくとも1種の比率を、好ま
しくは50原子%以上、より好ましくは70原子%以上、さ
らに好ましくは95原子%以上とするのがよい。特に、不
可避的に混入するR’成分を除いてR’がLaからなる
場合が最も好ましい。
【0012】本発明の異方性ボンド磁石は従来のフェラ
イトボンド磁石に比べて高い(BH)maxを有するか、ある
いは従来と同等以上の(BH)maxを保持しつつ高いiHcを有
する。このためにMとしてCoを選択するのが好まし
い。またMとしてCoおよびZnを選択する場合はMに
占めるCoの比率を10〜90原子%にするのが好ましく、
30〜80原子%にするのがより好ましい。Mに占めるCo
の比率が10原子%未満ではiHcが大きく低下し、90原子
%超ではZnによるBrの向上効果が事実上得られない。
【0013】電荷補償の目的を実現するために、yとx
の間には理想的にはy=x/(2.0n)の関係が成り立つ必
要があるが、yがx/(2.6n)以上、x/(1.6n)以下であ
れば電荷補償による効果を実質的に損なうことは無く、
好ましい。例えばR=LaでかつM=Coの場合の理想
的な電荷補償はLa3+とCo2+により相殺されると
して扱える。ところでyの値がx/(2.0n)からずれた場
合、前記異方性フェライト焼結磁石粉末のマグネトプラ
ンバイト相のFeサイトのFe3+がFe2+になり電
荷補償が行われるものと判断される。さらに後述の実施
例1〜3に示す通り、特定の条件で熱処理するとiHcを
顕著に向上できるとともにFe2+が低減されるのがわ
かった。iHcを高めるためにFe2+の含有量を0.005〜
0.10重量%にするのが好ましく、0.01〜0.07重量%にす
るのがより好ましい。Fe2+の含有量を0.005重量%
未満にするのは工業生産上困難であり、Fe2+の含有
量が0.10重量%超ではiHcのさらなる向上を望めない。
典型的な例では、yの好ましい範囲は0.005〜0.04であ
り、0.01〜0.03とするのがより好ましい。
【0014】前記主要成分組成を有する異方性フェライ
ト焼結磁石粉末は結晶粒界のR’濃度が結晶粒内のR’
濃度よりも高い傾向が認められる。特にn=5.7〜6.2,
x=0.15〜0.3および1.0<x/2ny≦1.3,より好まし
くは1.05≦x/2ny≦1.25というR’過剰組成、およ
びCaO含有量を0.5〜1.5重量%にし、SiO含有量
を0.25〜0.55重量%にしたときに高い(BH)maxが得ら
れ、かつ結晶粒界のR’濃度が結晶粒内のR’濃度より
も高い傾向が顕著になる。
【0015】また本発明に用いる異方性フェライト焼結
磁石粉末として、主要成分組成が A’O・nFe
(原子比率) (A’はSrおよび/またはBaであり、n(モル比)=
5.0〜6.4である。)で表わされる主要成分のものの実用
性が高い。
【0016】従来の異方性フェライトボンド磁石を超え
る(BH)maxを有するために、主要成分組成が(A
1−xR’)O・n[(Fe1−y)](原
子比率)の異方性フェライト焼結磁石粉末と主要成分組
成がA’O・nFe(原子比率)の異方性フェラ
イト焼結磁石粉末とを50〜100:50〜0 の重量比率で
混合し、異方性ボンド磁石用磁粉とするのが好ましい。
両者を混合して用いるメリットはA’O・nFe
磁粉が(A1−xR’)O・n[(Fe1−y)
]磁粉に比べて(BH)max、iHcは低いが安価なためであ
る。
【0017】前記異方性フェライト焼結磁石粉末の平均
粒径は2〜1000μm(Sympatec社製レーザー回折型粒径
分布測定装置:ヘロス・ロードスにより測定。)とする
のが好ましく、10μm超300μm以下がより好ましく、3
0〜100μmが特に好ましい。平均粒径が2μm未満では
充填密度の低下が顕著になり(BH)maxの低下が大きくな
り、平均粒径が1000μm超では異方性ボンド磁石の表面
状態が悪化し磁気ギャップの狭い用途への適用が困難な
場合を生じる。
【0018】本発明に用いる異方性フェライト焼結磁石
粉末の製造は、「原料粉の混合→仮焼によるフェライト
化(固相反応)→粉砕→磁場中成形→焼結→粉砕→熱処
理→解砕」という製造工程によるのが実用的である。あ
るいは「原料粉の混合→仮焼によるフェライト化(固相
反応)→粉砕→磁場中成形→粉砕→焼結→熱処理→解
砕」という製造工程も有用である。後者の製造工程では
成形体を平均粒径2〜1000μmに粉砕し、焼結する。
「解砕」は熱処理後の凝集状態を解いて磁場配向性を高
めるために行う処理で、凝集が軽度の場合は「解砕」を
省略してもよい。
【0019】仮焼の加熱条件は1150〜1300℃×1〜5時
間とするのが好ましい。仮焼の加熱条件が1150℃×1時
間未満ではフェライト化が不十分になり、1300℃×5時
間超では仮焼物が硬くなり粉砕性が劣化する。公知の粉
砕機を任意に組合せて粗粉砕および微粉砕を行う。乾式
または湿式のアトライター、ボールミル、あるいは振動
ミル等を用いるのが実用的である。異方性ボンド磁石の
iHcおよび(BH)maxを高めるために微粉砕紛の平均粒径を
0.4〜0.9μm(空気透過法により測定。)とするのが好
ましく、0.6〜0.8μmにするのがより好ましい。この微
粉砕平均粒径にすることにより最終的に得られる異方性
フェライト焼結磁石粉末のc軸方向の平均結晶粒径を2
μm以下、好ましくは1μm以下にできる。
【0020】次に湿式磁場中成形または乾式磁場中成形
を行う。磁場中成形は室温で397.9〜1193.7kA/m(5〜15
kOe)の磁場を印加しつつ、0.35〜0.45トン/cm2程度の成形
圧力で行うのが好ましい。このようにして得られる成形
体の密度は2.6〜3.2Mg/m3(g/cm3)程度である。次に成形
体を1180〜1230℃×1〜5時間の加熱条件で焼結する。
加熱条件が1180℃×1時間未満では焼結体の密度が十分
に上がらず(BH)maxが低くなり、1230℃×5時間超では
結晶粒が粗大化してiHcの低下が顕著になる。次に必要
に応じて焼結体を粉砕し、次いで篩分または風力分級し
粒径分布および平均粒径を所定値に調整する。次に熱処
理を行う。大気中熱処理でもiHcを高めることができる
が、好ましくは酸素分圧(PO2)を0.02MPa(0.2atm)超、
より好ましくは0.03MPa(0.3atm)以上、特に好ましくは
0.05〜0.1MPa(0.5〜1atm)に調整した過剰酸素雰囲気
中で750〜950℃×0.5〜5時間熱処理するのがよい。酸
素分圧が0.02MPa以下ではiHcの向上およびFe2+の低
減が十分ではなく、酸素分圧が0.1MPa超では熱処理の効
果が飽和する。熱処理の加熱条件が750℃×0.5時間未満
ではiHcが事実上向上できず、950℃×5時間超ではフェ
ライト磁粉の凝集が顕著になりiHc、(BH)maxが顕著に低
下する。
【0021】前記異方性フェライト焼結磁石粉末に適量
のSiOおよびCaOを含有する場合に緻密な焼結体
組織になり、有用な磁気特性が得られる。SiOは焼
結時の結晶粒成長を抑制する添加物であり、含有量は重
量%で0.05〜0.55%が好ましく、0.25〜0.55%がより好
ましい。SiO含有量が0.05%未満では焼結時の不均
一結晶粒成長が顕著になり、iHcが劣化し、0.55%を超
えると結晶粒成長が過度に抑制され、結晶粒成長ととも
に進行する配向度の改善が不十分となりBr、(BH)maxが
大きく低下する。一方CaOは結晶粒成長を促進する元
素であり、CaO含有量は重量%で0.35〜1.5%が好ま
しく、0.4〜1.2%がより好ましく、0.5〜1.0%が特に好
ましい。CaO含有量が1.5%を超えると焼結時に結晶
粒成長が過度に進行してiHcが大きく低下し、0.35%未
満では有用な添加効果が得られず、配向度の改善が不十
分となりBr、(BH)maxが劣化する。
【0022】前記異方性ボンド磁石の室温におけるiHc
を278.5kA/m(3.5kOe)以上、好ましくは358.1kA/m(4.
5kOe)以上、特に好ましくは437.7kA/m(5.5kOe)以上
とするために、前記異方性フェライト焼結磁石粉末のA
l含有量およびCr含有量の合計を(Al+Cr
)換算で0.1〜1重量%にするのが好ましく、0.2
〜0.5重量%とするのがより好ましい。この含有量未満
では添加効果が事実上得られず、この含有量を超えると
従来の異方性フェライトボンド磁石を超える(BH)maxを
得るのが困難になる。
【0023】コンパウンドを構成するバインダーとして
公知の熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂またはゴム材料を用
いるのが実用的である。特にバインダーの粘性の低いも
のを選定するのが159.2〜795.8kA/m(2〜10kOe)、好
ましくは238.7〜477.5kA/m(3〜6kOe)という実用的
な強度の配向磁場を印加して得られる異方性フェライト
ボンド磁石の(BH)maxを高めるために好ましい。成形法
として磁場中圧縮成形法、磁場中押出成形法または磁場
中射出成形法を採用するのが実用性に富む。あるいはコ
ンパウンドを80〜300℃に加熱し、次いで平均間隔を0.0
1〜3mmに調整した双ロールの間隙に通してシート状
に圧延する。次に得られたシートを前記加熱状態に保持
しつつシートの所定部分の厚み方向に沿って159.2〜79
5.8kA/m(2〜10kOe)の配向磁場を印加して異方性を付
与し、次いで冷却する。この操作をシートの全長にわた
り行って異方性のシート状ボンド磁石を作製することが
できる。加熱温度が80℃未満では成形性が悪く、異方性
を付与するのが困難であり、300℃超ではバインダーの
熱分解を生じて(BH)maxが大きく低下する。
【0024】本発明の異方性ボンド磁石の形状、寸法は
特に限定されないが、外径:5〜60mm、(外径−内
径)/2で定義する肉厚:0.3〜3mm、軸方向長さ:0.
3〜50mmのリング状の成形体(好ましくはラジアル異
方性あるいは極異方性を有するもの。)が実用性に富
む。マグネットロール用途のラジアル異方性あるいは極
異方性を有する異方性ボンド磁石の形状、寸法は特に限
定されないが、外径:10〜60mm、軸方向長さ:200〜3
50mm、および(長さ/外径)≧5の円筒状に形成する
のが実用性に富む。小型の複写機やプリンターの用途に
は外径:10〜30mm、特に外径:10〜20mmでかつ(軸
方向長さ/外径)≧5の小径とするのが好ましい。
【0025】
【実施例】以下、実施例により本発明を詳しく説明する
が、それら実施例により本発明が限定されるものではな
い。
【0026】(実施例1) [酸素過剰雰囲気中で熱処理したSrLaCo系異方性フェラ
イト焼結磁石粉末を配合してなる異方性ボンド磁石]S
rCO粉末(不純物としてBa,Caを含む),α−
Fe粉末,La粉末及びCo粉末を
用いて、仮焼後にSr0.80La0.20Fe
11.70Co0.2018.85で表される主要成
分組成になるように配合した。次いで前記配合物に対し
SiO粉末およびCaCO粉末をそれぞれ0.25重量
%および0.2重量%配合し、混合した。次に1300℃で2
時間、大気中で仮焼した。得られた仮焼物を粗砕後、ロー
ラーミルで乾式粗粉砕し粗粉を得た。次いでアトライタ
ーにより湿式微粉砕し、平均粒径0.6μm(空気透過法に
よる。)の微粉砕粉を含むスラリーを得た。微粉砕初期
に焼結助剤としてSrCO粉末,SiO粉末,Ca
CO粉末,AlおよびLa粉末を微粉砕
に投入した粗粉の総重量に対しそれぞれ0.25重量%,0.
40重量%,0.80重量%,0.25重量%および0.60重量%添
加した。得られた微粉砕スラリーにより795.8kA/m(10kO
e)の磁場中で圧縮成形した。得られた成形体を大気中で
1200℃×2時間焼結し、La/Co=1.2(La過剰組
成)の異方性フェライト焼結磁石を得た。 (Sr0.77La0.23)O・5.72[(Fe
0.983Co0.01 ] SiO含有量:0.40重量%,CaO含有量:0.57重量
%,(Al+Cr)に換算した(Al+C
r)含有量:0.32重量%
【0027】得られた焼結体をジョークラッシャーで粗
砕後、ローラーミルで乾式粗粉砕し粗粉を得た。次に20
0メッシュアンダーに篩分した。次にこの粉末を酸素分
圧:PO2=0.1MPa(1atm)の過剰酸素雰囲気中で830℃
×2時間熱処理し、次いで室温まで冷却した。次に水中
に前記熱処理済み粉末を浸漬し、次いで浸漬物を80℃に
加熱して水分を蒸発させた後冷却した。こうして得られ
た異方性フェライト焼結磁石粉末(以後、SrLaCo系フェ
ライト焼結磁粉-1という。)の平均粒径は55.4μmであ
った。SrLaCo系フェライト焼結磁粉-1の単位重量あたり
のFe2+含有量を分析した結果0.06重量%であり、他
の含有Feは全てFe3+であった。
【0028】次に、SrLaCo系フェライト焼結磁粉-1:10
0重量部、液状エポキシ樹脂:2.8重量部、硬化剤(DD
S;ジアミノジフェニルスルフォン):0.7重量部、およ
びメチルエチルケトン(沸点79.5℃):2.8重量部を攪
拌機に投入し、20r.p.m.で20分間撹拌してスラリー化し
た。得られたスラリー(コンパウンド)により、室温に
おいて配向磁場強度:477.5kA/m(6kOe)および成形圧
力:784MPa(8トン/cm)で湿式磁場中圧縮成形した。
得られた成形体を85℃で1時間加熱して脱溶媒し、次い
で170℃で2時間加熱硬化した。次に交流脱磁し得られ
た異方性ボンド磁石を20℃でB−Hトレーサーにより着
磁磁場強度795.8kA/m(10kOe)で着磁してiHc,(BH)max
を測定した。結果を表1のNo.1に示す。
【0029】(実施例2) [大気雰囲気中で熱処理したSrLaCo系異方性フェライト
焼結磁石粉末を配合してなる異方性ボンド磁石]酸素分
圧:PO2=0.02MPa(0.2atm)の大気雰囲気中で830℃×
2時間熱処理した以外は実施例1と同様にして、主要成
分組成が (Sr0.77La0.23)O・5.72[(Fe
0.983Co0.017 ] であり、SiO
含有量:0.41重量%,CaO含有量:0.55重量%,
(Al+Cr)に換算した(Al+Cr)
含有量:0.33重量%、単位重量あたりのFe2+含有量
=0.08重量%、他の含有Feは全てFe3+であり、平
均粒径57.7μmの異方性フェライト焼結磁石粉末(以
後、SrLaCo系フェライト焼結磁粉-2という。)を得た。
この磁粉を用いた以外は以降実施例1と同様にしてスラ
リー化し、異方性ボンド磁石を作製し評価した。結果を
表1のNo.11に示す。
【0030】(実施例3) [熱処理無しの異方性フェライト焼結磁石粉末を配合し
てなる異方性ボンド磁石]実施例1で得られた200メッ
シュアンダーの篩分粉末を異方性フェライト焼結磁石粉
末(以後、SrLaCo系フェライト焼結磁粉-3という。)と
した。SrLaCo系フェライト焼結磁粉-3のFe2+含有量
は0.11重量%で、他の含有Feは全てFe 3+であっ
た。この磁粉を用いた以外は以降実施例1と同様にして
スラリー化し、異方性ボンド磁石を作製し評価した。結
果を表1のNo.21に示す。
【0031】(実施例4) [酸素過剰雰囲気中で熱処理したSr系異方性フェライト
焼結磁石粉末を配合してなる異方性ボンド磁石]日立金
属(株)製のSr系異方性フェライト焼結磁石(商品
名:YBM−6BF)のスクラップを粉砕し、次いで20
0メッシュアンタ゛ーに篩分した。次に酸素分圧:PO 2=0.1MPa
(1atm)の酸素過剰雰囲気中で830℃×2時間熱処理
し、次いで室温まで冷却した。次に水中に前記熱処理済
み粉末を浸漬し、次いで浸漬物を80℃に加熱して水分を
蒸発させた後冷却した。こうして主要成分組成がSrO
・6Fe (原子比率)で表され、平均粒径65μm
の異方性フェライト焼結磁石粉末(以後、Sr系フェライ
ト焼結磁粉-1という。)を作製した。この磁粉を用いた
以外は以降実施例1と同様にしてスラリー化し、異方性
ボンド磁石を作製し評価した。結果を表1のNo.31に示
す。
【0032】(実施例5) [大気雰囲気中で熱処理したSr系異方性フェライト焼結
磁石粉末を配合してなる異方性ボンド磁石]酸素分圧:
PO2=0.02MPa(0.2atm)の大気雰囲気中で830℃×2時
間熱処理した以外は実施例4と同様にして、主要成分組
成がSrO・6Fe(原子比率)で表され、平均
粒径63μmの異方性フェライト焼結磁石粉末(以後、Sr
系フェライト焼結磁粉-2という。)を作製した。以降は
実施例1と同様にしてスラリー化し、異方性ボンド磁石
を作製し評価した。結果を表1のNo.41に示す。
【0033】(実施例6) [熱処理無しのSr系異方性フェライト焼結磁石粉末を配
合してなる異方性ボンド磁石]実施例4で得られた200
メッシュアンダー篩分粉末を異方性フェライト焼結磁石
粉末(以後、Sr系フェライト焼結磁粉-3という。)とし
た。以降は実施例1と同様にしてスラリー化し、異方性
ボンド磁石を作製し評価した。結果を表1のNo.51に示
す。
【0034】(実施例7)実施例1のSrLaCo系フェライ
ト焼結磁粉-1と実施例4のSr系フェライト焼結磁粉-1と
を50/50の比率で配合し、混合磁粉を作製した。この混
合磁粉を用いた以外は以降実施例1と同様にしてスラリ
ー化し、異方性ボンド磁石を作製し評価した。結果を表
1のNo.61に示す。
【0035】(比較例1)SrCO粉末(不純物とし
てBa,Caを含む),α−Fe粉末,La
粉末及びCo粉末を用いて、仮焼後に(Sr
0.85La0.15)O・5.85[(Fe0.98Co
0.02]で表される主要成分組成になるよう
に配合し、混合した。次いで1200℃で2時間、大気中で
仮焼した。得られた仮焼物を粗砕後、ローラーミルで乾
式粗粉砕し粗粉を得た。次に乾式の振動ミルにより平均
粒径1.15μm(空気透過法による。)の微粉を得た。次
にPO2=0.02MPa(0.2atm)の大気雰囲気中で830℃×2
時間熱処理し、次いで室温まで冷却した。次に水中に浸
漬し、次いで乾燥して平均粒径1.20μm(空気透過法に
よる。)のボンド磁石用フェライト粉末(以後、SrLaCo
系フェライトボンド磁粉という。)を得た。この磁粉を
用いた以外は以降実施例1と同様にしてスラリー化し、
異方性ボンド磁石を作製し評価した。結果を表1のNo.8
0に示す。
【0036】(比較例2)磁粉として、PO2=0.02MPa
(0.2atm)の大気雰囲気中で830℃×2時間熱処理して
得られた、主要成分組成がSrO・6Feであ
り、平均粒径1.10μm(空気透過法による。)のボンド
磁石用フェライト粉末(以後、Sr系フェライトボンド磁
粉という。)を用いた以外は以降実施例1と同様にして
スラリー化し、異方性ボンド磁石を作製し評価した。結
果を表1のNo.90に示す。
【0037】
【表1】
【0038】表1より以下の知見が得られた。 (1)実施例1〜3、比較例1の比較から、過剰酸素中で
熱処理したSrLaCo系フェライト焼結磁粉-1を配合した場
合に(BH)max、iHcが最も向上することがわかる。また異
方性フェライト焼結磁粉に大気中熱処理を施すと(BH)ma
x、iHcが向上する効果を得られることがわかる。すなわ
ち、異方性フェライト焼結磁石粉末に熱処理を施すこと
により異方性ボンド磁石の(BH)maxを落とさずにiHcを高
められるので高出力でかつ耐熱性に富む回転機を構成す
ることができる。熱処理により(BH)max、iHcが向上する
のは粉砕時に導入された歪や微小欠陥が減少あるいは消
滅する効果に加え、Fe2+含有量が低減されることが
効いていると判断される。 (2)実施例4〜6、比較例2の比較から、過剰酸素中で
熱処理したSr系フェライト焼結磁粉-1を配合した場合に
(BH)max、iHcが最も向上することがわかる。 (3)実施例1、7、および比較例1の比較から、過剰酸
素中で熱処理したSrLaCo系フェライト焼結磁粉-1を50重
量部以上、過剰酸素中で熱処理したSr系フェライト焼結
磁粉-1を50重量部以下配合してなる異方性ボンド磁石の
(BH)maxは比較例1よりも(BH)maxが高く、かつ安価な異
方性ボンド磁石として有用なことがわかる。
【0039】次に実施例8、9および比較例3により、
磁場中圧縮成形法を採用して作製したリング状異方性ボ
ンド磁石ならびにそれらを組み込んだ回転機の評価結果
について説明する。 (実施例8)実施例1のスラリーを、成形機に設置され
た室温の外径:25mm、内径(金型のコア外径):22m
mの成形用金型キャビティに充填し、次いでラジアル配
向磁場:318.3kA/m(4kOe)を印加しながら、成形圧
力:784MPa(8トン/cm)で湿式磁場中圧縮成形した。
得られた成形体を80℃に加熱して脱溶媒し、次いで加熱
硬化して外径:25mm、内径:22mm、軸方向長さ:15
mmのリング状ラジアル異方性ボンド磁石を得た。次に
このボンド磁石の外径面の周方向に総磁束量が飽和する
条件で対称8極着磁を施した。得られた着磁品の軸方向
中心でかつ外径面周方向の表面磁束密度(Bo)波形を測定
し、各磁極のBoの最大値の平均値(以後Bo,maxという。)
を求めた。その結果、Bo,maxは0.162T(1.62kG)であり
高かった。
【0040】(比較例3)比較例1のスラリーを用いた
以外は実施例8と同様にして、ラジアル異方性を有し、
対称8極着磁を施してなるリング状ボンド磁石(外径:
25mm、内径:22mm、軸方向長さ:15mm)を作製
し、Bo,maxを測定した。Bo,maxは0.148T(1.48kG)であり
低かった。
【0041】(実施例9)実施例1のスラリーを、成形
機に設置された室温の外径:25mm、内径(金型のコア
外径):22mmの成形用金型キャビティに充填し、次い
で極異方性配向磁場(対称8極):318.3kA/m(4kOe)
を印加しながら、成形圧力:784MPa(8トン/cm)で湿
式磁場中圧縮成形した。得られた成形体を80℃に加熱し
て脱溶媒し、次いで加熱硬化して外径:25mm、内径:
22mm、軸方向長さ:15mmのリング状極異方性ボンド
磁石を得た。このボンド磁石の外径面の異方性付与方向
に沿って総磁束量が飽和する条件で対称8極着磁を施
し、得られた着磁品の軸方向中心でかつ外径面周方向の
Bo,maxは0.160T(1.60kG)であった。
【0042】実施例8、9および比較例3で作製したリ
ング状ボンド磁石をそれぞれ用いてブラシレスモータ
(図示省略)の回転子側に組み込み、ブラシレスモータ
を構成した。なお各モータの回転子と固定子との間の平
均エアギャップ間隔を0.3mmとした。これら各モータ
の最高効率をそれぞれ測定した結果、実施例8および9
のリング状ボンド磁石を組み込んだモータの最高効率が
ほぼ同等であり、かつ比較例3のリング状ボンド磁石を
組み込んだモータの最高効率に比べて高いことがわかっ
た。
【0043】次に実施例10、11および比較例4によ
り、磁場中射出成形法を採用して作製したリング状異方
性ボンド磁石ならびにそれらを組み込んだ回転機の評価
結果について説明する。 (実施例10)ミキサーに実施例1のSrLaCo系フェライ
ト焼結磁粉-1:100重量部、およびシラン系カップリン
グ剤(KBM-603;信越化学(株)製):0.25重量部を投入
して混合した。得られた混合粉を大気中で80℃×3時間
加熱後、冷却して表面処理を行った。次に、表面処理し
たSrLaCo系フェライト焼結磁粉-1:88.3重量部、ナイロ
ン12:11.4重量部、ステアリン酸アミド(AP-1;日本化
成(株)製):0.3重量部を加圧・加熱型ニーダに投入
し、混練し、得られた混練物を造粒して回転機用のコン
パウンドを得た。次に、コンパウンドを射出成形機に投
入し、射出温度:290℃、射出圧力:98MPa(1000kgf/c
m2)の条件で、ラジアル配向磁場:318.3kA/m(4kOe)
の成形用金型キャビティに射出成形した。得られたラジ
アル異方性リング状成形体(外径:20mm、内径:15m
m、軸方向長さ:10mm)の外径面側に総磁束量が飽和
する条件で対称6極着磁を施した。この着磁品の軸方向
中心でかつ外径面周方向のBo,maxは0.147T(1.47kG)
であった。
【0044】(比較例4)ミキサーに比較例1のSrLaCo
系フェライトボンド磁粉:100重量部、およびシラン系
カップリング剤(KBM-603;信越化学(株)製):0.25重
量部を投入して混合した。得られた混合粉を大気中で80
℃×3時間加熱後、冷却して表面処理を行った。次に、
表面処理したSrLaCo系フェライトボンド磁粉:88.2重量
部、ナイロン12:11.5重量部、ステアリン酸アミド(AP
-1;日本化成(株)製):0.3重量部を加圧・加熱型ニー
ダに投入し、混練し、得られた混練物を造粒して回転機
用のコンパウンドを得た。このコンパウンドを用いた以
外は以降実施例10と同様にして、ラジアル異方性ボン
ド磁石を成形した。得られたリング状ボンド磁石(外
径:20mm、内径:15mm、軸方向長さ:10mm)に対
称6極着磁を行い、測定したBo,maxは0.138T(1.38kG)で
あった。
【0045】(実施例11)実施例10で作製したのと
同じコンパウンドを射出成形機に投入し、射出温度:29
0℃、射出圧力:98MPa(1000kgf/cm2)の条件で、対称6
極極異方性配向磁場:318.3kA/m(4kOe)の成形用金型
キャビティに射出成形した。得られた極異方性リング状
成形体(外径:20mm、内径:15mm、軸方向長さ:10
mm)の異方性付与方向に沿って総磁束量が飽和する条
件で対称6極着磁を施し、測定したBo,maxは0.147T
(1.47kG)であった。
【0046】実施例10、11および比較例4で作製し
たリング状ボンド磁石をそれぞれ用いて、ブラシレスモ
ータ(図示省略)の回転子側に組み込み、ブラシレスモ
ータを構成した。これらモータの各々の最高効率を測定
した結果、実施例10および11のリング状ボンド磁石
を組み込んだモータの最高効率はほぼ同等であり、かつ
比較例4のリング状ボンド磁石を組み込んだモータの最
高効率に比べて高いことがわかった。各ブラシレスモー
タの回転子と固定子との間の平均エアギャップ間隔を0.
3mmとした。
【0047】(実施例12) [シート状異方性ボンド磁石]表2に示す4種のフェラ
イト磁粉をそれぞれ用い、各フェライト磁粉:91.5重量
部、EEA樹脂(MB-870):6.2重量部、分散剤(DH-3
7):1.0重量部,滑剤(スリパックスE):0.5重量
部、およびシリコーンオイル(KF968,信越化学工業
製):0.8重量部を加熱・加圧型ニーダに投入して混練
し、整粒して4種のコンパウンドを作製した。表2のN
o.102に記載の*SrLaCo系フェライト焼結磁粉は微粉砕時にA
を添加しなかった以外は実施例1のSrLaCo系フ
ェライト焼結磁粉-1と同様にして作製した。*SrLaCo系
フェライト焼結磁粉は主要成分組成が、 (Sr0.77La0.23)O・5.72[(Fe
0.983Co0.017]であり、SiO
含有量:0.41重量%、CaO含有量:0.57重量%、(A
+Cr)に換算した(Al+Cr)含有
量:0.05重量%、平均粒径70.3μm、Fe2+=0.05重
量%であり他の含有Feは全てFe3+であった。
【0048】表2のNo.103および104に記載のSrLaCoZn
系フェライト焼結磁粉は、仮焼後にSr0.80La
0.20Fe11.70Co0.10Zn0.10
18.8 で表される主要成分組成になるように配合
し、また微粉砕時にAlを添加しなかった以外は
実施例1と同様にして作製した。SrLaCoZn系フェライト
焼結磁粉の主要成分組成は、(Sr0.77La
0.23)O・5.72[(Fe0.983Co0.0085
Zn .0085)]であり、SiO含有量:0.
42重量%、CaO含有量:0.59重量%、(Al
Cr)に換算した(Al+Cr)含有量:0.04重
量%、平均粒径62.9μm、Fe2+=0.05重量%であり
他の含有Feは全てFe3+であった。次に4種のコン
パウンドを順次加熱した押出成形機(図示省略;混練、
押出ゾーンの設定温度:150〜230℃。)に投入し、押出
成形機の押出口近傍に設けた平行配向磁場ゾーン(印加
磁場強度:397.9kA/m(5kOe))を通過させて押出し、
固化した。次いで軸方向長さ:320mmに切断し、図1
に示すように断面が略コの字状で厚みtが2mmのシー
ト状異方性ボンド磁石16を得た。
【0049】[マグネットロール]図1のマグネットロ
ール23を以下のようにして作製し、評価した。シャフト
22に固着された円筒状の等方性フェライト焼結磁石17の
現像磁極部に軸方向に延在する凹溝13を形成した。次い
で、作製した各シート状異方性ボンド磁石16をそれぞれ
凹溝13に固着し、マグネットロール23(表2のNo.101〜
104)を形成した。シート状異方性ボンド磁石16の軸方
向に凹部14が延びて貫通しているので、現像磁極直上の
空隙磁束密度分布波形が2山ピークになっている。マグ
ネットロール23の軸方向に沿うN極直上の表面磁束密
度Boを測定し、表2の結果を得た。表2のBo(平均値)
は相対値で示してある。Bo測定は、シート状異方性ボン
ド磁石16の軸方向両端部から軸方向中心に向かって10m
mまでの部分は除外し、軸方向長さ300mm(軸方向中
心から±150mm)の範囲で行った。その結果、No.101
〜104のマグネットロールのいずれも後述の比較例5(N
o.111)のマグネットロールに比べて高いBo(平均値)
を有し、高性能のマグネットロールを構成できることが
わかった。なお、円筒状磁石17を従来の等方性フェライ
トボンド磁石または異方性フェライトボンド磁石で構成
した場合にも高性能のマグネットロールを構成できる。
【0050】(比較例5)比較例1のSrLaCo系フェライ
トボンド磁粉:91.5重量部、EEA樹脂(MB-870):6.2
重量部、分散剤(DH-37):1.0重量部、滑剤(スリパッ
クスE):0.5重量部、およびシリコーンオイル(KF96
8,信越化学工業製):0.8重量部を加熱・加圧型ニーダ
に投入して混練し、整粒してコンパウンドを作製した。
このコンパウンドにより以降は実施例12と同様にして
シート状異方性ボンド磁石を作製し、マグネットロール
を構成した。
【0051】実施例12のシート状異方性ボンド磁石の
厚みtは2mmであるが、159.2〜795.8kA/m(2〜10kO
e)という実用的な配向磁場強度を印加しつつ押出成形
またはカレンダーロール成形すれば、従来の異方性フェ
ライトボンド磁石を超える(BH)maxを有する厚み:0.01
〜3mmのシート状異方性ボンド磁石を作製できる。
【0052】
【表2】
【0053】表2より、SrLaCoZn系フェライト焼結磁粉
を配合し作製したシート状異方性ボンド磁石を用いて構
成したNo.104のマグネットロールの(Bo平均値)が最も
高くなることがわかった。また(SrLaCoZn系フェライト
焼結磁粉:75重量部+Sr系フェライト焼結磁粉-1:25重
量部)の混合磁粉を用いた場合に比較例5よりも高い
(Bo平均値)が得られることがわかった。
【0054】上記実施例に記載の各異方性フェライト焼
結磁石粉末をX線回折したところ、いずれもマグネトプ
ランバイト型結晶構造相のX線回折ピークのみが観察さ
れ、マグネトプランバイト型結晶構造を有することがわ
かった。
【0055】実施例1〜7、実施例8、9ではバインダ
ーに液状エポキシ樹脂を採用してスラリーを作製し、磁
場中圧縮成形した場合を記載したが本発明はこれに限定
されない。例えばポリアミド樹脂等の熱可塑性樹脂をバ
インダーに採用してコンパウンドを作製し、温間で磁場
中圧縮成形すれば高性能の異方性フェライトボンド磁石
を作製できるとともにコンパウンドおよび異方性ボンド
磁石のリサイクルが可能になる。
【0056】本発明に用いるコンパウンドにはフェライ
ト磁粉およびバインダー以外に磁粉の分散剤(例えばフ
ェノール系。)、滑剤(例えばワックス類。)、可塑剤
(例えばDOP,DBP等)などを単独または複合で添加して
成形性等を向上するのが好ましい。これらの添加量は合
計で3重量%以下が好ましく、0.1〜2重量%がより好
ましい。
【0057】
【発明の効果】以上記述の通り、本発明によれば、従来
の異方性フェライトボンド磁石を超える最大エネルギー
積(BH)maxを有し、さらには耐熱性を向上した新規高性
能の異方性フェライトボンド磁石を提供できる。また高
性能の回転機およびマグネットロールを提供することが
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明のマグネットロールの一例を示す要部
断面図である。
【符号の説明】
13 軸方向に平行に設けた溝部、14 凹部、15 凸部、
16 シート状ボンド磁石、17 マグネットロール基体
部、22 シャフト、23 マグネットロール。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 久保田 裕 埼玉県熊谷市三ヶ尻5200番地 日立金属株 式会社磁性材料研究所内 (72)発明者 高見 崇 埼玉県熊谷市三ヶ尻5200番地 日立金属株 式会社磁性材料研究所内 Fターム(参考) 5E040 AA04 AA19 AB04 BB04 BB05 BD01 CA01 HB01 HB03 HB06 HB11 HB15 HB17 NN01 NN06 NN18

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 実質的にマグネトプランバイト型結晶構
    造を有する平均粒径10μm超1000μm以下の異方性フェ
    ライト焼結磁石粉末とバインダーとから実質的になるこ
    とを特徴とする異方性ボンド磁石。
  2. 【請求項2】 実質的にマグネトプランバイト型結晶構
    造を有するとともにFe2+含有量が0.10重量%以下の
    異方性フェライト焼結磁石粉末とバインダーとから実質
    的になることを特徴とする異方性ボンド磁石。
  3. 【請求項3】 実質的にマグネトプランバイト型結晶構
    造を有する異方性フェライト焼結磁石粉末が、 (A1−xR’)O・n[(Fe1−y)](原子比率) (AはSrおよび/またはBaであり、R’はYを含む希
    土類元素の少なくとも1種であってLa,Pr,Ndお
    よびCeから選択される少なくとも1種を必ず含み、M
    はCoまたは、CoおよびZnである。)、0.01≦x≦
    0.4,0.005≦y≦0.04,および5.0≦n≦6.4で表される
    主要成分組成を有する請求項1または2に記載の異方性
    ボンド磁石。
  4. 【請求項4】 実質的にマグネトプランバイト型結晶構
    造を有する異方性フェライト焼結磁石粉末が、 A’O・nFe(原子比率)(A’はSrおよび
    /またはBaであり、5.0≦n≦6.4である。)で表され
    る主要成分組成を有するフェライト焼結磁石粉末と、 (A1−xR’)O・n[(Fe1−y)](原子比率) (AはSrおよび/またはBaであり、R’はYを含む希
    土類元素の少なくとも1種であってLa,Pr,Ndお
    よびCeから選択される少なくとも1種を必ず含み、M
    はCoまたは、CoおよびZnである。)、0.01≦x≦
    0.4,0.005≦y≦0.04,および5.0≦n≦6.4で表される
    主要成分組成を有するフェライト焼結磁石粉末とからな
    る請求項1または2に記載の異方性ボンド磁石。
  5. 【請求項5】 前記異方性フェライト焼結磁石粉末の平
    均粒径が2〜1000μmである請求項2乃至4のいずれか
    に記載の異方性ボンド磁石。
  6. 【請求項6】 ラジアル異方性または極異方性が付与さ
    れている請求項1乃至5のいずれかに記載の異方性ボン
    ド磁石。
  7. 【請求項7】 厚みが0.01〜3mmのシート形状を有す
    る請求項1乃至5のいずれかに記載の異方性ボンド磁
    石。
  8. 【請求項8】 請求項1乃至7のいずれかに記載の異方
    性ボンド磁石を用いて構成されることを特徴とする回転
    機。
  9. 【請求項9】 請求項1乃至7のいずれかに記載の異方
    性ボンド磁石を用いて構成されることを特徴とするマグ
    ネットロール。
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