JP2002159289A - サル由来胚性幹細胞 - Google Patents

サル由来胚性幹細胞

Info

Publication number
JP2002159289A
JP2002159289A JP2001180760A JP2001180760A JP2002159289A JP 2002159289 A JP2002159289 A JP 2002159289A JP 2001180760 A JP2001180760 A JP 2001180760A JP 2001180760 A JP2001180760 A JP 2001180760A JP 2002159289 A JP2002159289 A JP 2002159289A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
monkey
embryonic stem
solution
culture
cells
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2001180760A
Other languages
English (en)
Other versions
JP5014535B2 (ja
Inventor
Norio Nakatsuji
憲夫 中辻
Takashi Tada
高 多田
Ryuzo Torii
隆三 鳥居
Yoshihiko Hosoi
美彦 細井
Akira Iritani
明 入谷
Teruo Akuta
照夫 芥
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Tanabe Seiyaku Co Ltd
Original Assignee
Tanabe Seiyaku Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Tanabe Seiyaku Co Ltd filed Critical Tanabe Seiyaku Co Ltd
Priority to JP2001180760A priority Critical patent/JP5014535B2/ja
Publication of JP2002159289A publication Critical patent/JP2002159289A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5014535B2 publication Critical patent/JP5014535B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Measuring Or Testing Involving Enzymes Or Micro-Organisms (AREA)
  • Micro-Organisms Or Cultivation Processes Thereof (AREA)

Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】サル由来胚性幹細胞;その生産方法;組織又は
細胞の特異的分化を行なうための試薬のスクリーニング
方法;並びに分化細胞又は分化組織を提供すること。 【解決手段】(a)サルの卵子とサルの精子とを用い
て、体外受精法又は顕微授精法で受精を行なって受精卵
を得る工程、(b)該(a)で得た受精卵を用い体外培
養法で胚盤胞期胚を発生させる工程、及び(c)該
(b)で得た胚盤胞期胚を用いて胚性幹細胞を樹立する
工程、を含む、サル由来胚性幹細胞の生産方法;該方法
により得られうるサル由来胚性幹細胞;樹立されたカニ
クイザル由来胚性幹細胞;被検物質の存在下に、該胚性
幹細胞を維持することを特徴とする、組織又は細胞の特
異的分化を行なうための試薬のスクリーニング方法;該
胚性幹細胞から分化してなる分化細胞又は分化組織。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、霊長類、特にヒ
ト、サルにおける発生学的研究、疾患研究、臨床応用、
実験モデル等に有用な、サル由来胚性幹細胞;該サル由
来胚性幹細胞を高い収率で得ることが可能な、サル由来
胚性幹細胞の生産方法;所望の分化細胞又は分化組織を
得るのに有用な、組織又は細胞の特異的分化を行なうた
めの試薬のスクリーニング方法;並びに分化細胞又は分
化組織に関する。
【0002】
【従来の技術】胚性幹細胞(以下、ES細胞ともいう)
とは、多分化能と自己複製能とを有する未分化細胞であ
る。また、前記ES細胞は、損傷後の組織修復力を有す
ることが示唆されている。このため、かかるES細胞
は、各種疾患の治療用物質のスクリーニング、再生医療
分野等において有用であるとして、さかんに研究されて
いる。
【0003】現在、マウス由来のES細胞は、遺伝子タ
ーゲティング法による特定遺伝子の改変マウスの作製等
に広く利用されている。しかしながら、マウス由来のE
S細胞をヒトの疾患モデルとして応用する場合、a)マ
ウスとヒト胚では発現の時期が異なる遺伝子がある、
b)胎盤等の胚体外組織の構造や機能が異なる、及び
c)着床初期胚の胚体組織の構造が異なる、等の点か
ら、必ずしも期待される効果が得られない場合がある。
【0004】一方、サル由来のES細胞は、マウス由来
のES細胞に比べて、よりヒトに近縁であるため、ヒト
の疾患に利用するにあたって好適である。
【0005】従来、世界中でおよそ200種類のサルが
知られているが、日常の実験に用いられている種類は限
られているのが現状である。高等霊長類は、以下の2グ
ループに大別される: (1)新世界霊長類(New World Primates) マーモセット(Callithrix jacchus)が広く知られ、実
験用霊長類の一つとして用いられている。新世界霊長類
の発生は、胚や胎盤の構造が旧世界霊長類のものと異な
る面もあるが、基本的には類似する。 (2)旧世界霊長類(Old World Primates) 旧世界霊長類はヒトに極めて近縁な霊長類である。アカ
ゲザル (Macaca mulatta) やカニクイザル(Macaca fasc
icularis) が知られている。ニホンザル(Macaca fusca
ta)はカニクイザルと同じ属(マカカ属)である。旧世
界霊長類の発生は、ヒトの発生に酷似する。
【0006】現在、サル由来のES細胞として、マーモ
セットES細胞〔トームソン(Thomson, J.A.) ら、Bio
l. Reprod. 55, 254-259, (1996) 〕及びアカゲザルE
S細胞〔トームソン(Thomson, J.A.) ら、Proc. Natl.
Acad. Sci. U.S.A. 92, 7844-7848, (1995) 〕が樹立さ
れている。しかしながら、前記したように、マーモセッ
トは、ヒトとは系統が離れた新世界霊長類に属するもの
であり、胚や胎盤の構造が異なる面もある。さらに、マ
ーモセットは、体が小さいため、各種実験操作が容易で
はなく、さらにバックグラウンドデータも少ないのが現
状である。一方、前記アカゲザルは、実験動物として日
本及びヨーロッパでの使用は極めて少なく、また繁殖に
季節性があり、年間を通して排卵がみられるわけではな
い。さらに、マーモセットES細胞及びアカゲザルES
細胞の作製には、卵子の回収に時間を要し、回収の効率
が低いという欠点がある。
【0007】また、ヒトのES細胞も開発されている
が、倫理的な観点から、使用に制限がある場合がある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、前記従来の
技術に鑑みてなされたものであり、霊長類、特にヒト、
サルにおける発生学的研究、疾患研究、臨床応用、実験
モデル等に有用な、サル由来胚性幹細胞;該サル由来胚
性幹細胞を高い収率で得ることが可能な、サル由来胚性
幹細胞の生産方法;所望の分化細胞又は分化組織を得る
のに有用な、組織又は細胞の特異的分化を行なうための
試薬のスクリーニング方法;並びに分化細胞又は分化組
織を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明の要旨は、〔1〕
(a)サルの卵子とサルの精子とを用いて、体外受精
法又は顕微授精法により受精を行なって受精卵を得る工
程、(b)工程(a)で得られた受精卵を用いて体外培
養法により胚盤胞期胚を発生させる工程、及び(c)工
程(b)で得られた胚盤胞期胚を用いて胚性幹細胞を樹
立する工程、を含むプロセスを行なうことにより得られ
うるサル由来胚性幹細胞、〔2〕 (a)サルの卵子と
サルの精子とを用いて、体外受精法又は顕微授精法によ
り受精を行なって受精卵を得る工程、(b)工程(a)
で得られた受精卵を用いて体外培養法により胚盤胞期胚
を発生させる工程、及び(c)工程(b)で得られた胚
盤胞期胚を用いて胚性幹細胞を樹立する工程、を含む、
サル由来胚性幹細胞の生産方法、〔3〕 下記特性:
(i)未分化状態を維持したまま増殖継代可能である、
(ii) 起源のカニクイザル個体と同じ染色体数を有す
る、(iii) 8〜12週齢のSCIDマウス又はヌードマ
ウスの皮下、腎皮膜下又は精巣に移植することにより、
多分化能が認められる、(iv) SSEA−1陰性であ
り、かつSSEA−3とSSEA−4とに対して陽性で
ある、及び(v) アルカリホスファターゼ活性が検出さ
れる、を呈する、樹立されたカニクイザル由来細胞、
〔4〕 被検物質の存在下に、前記〔1〕記載のサル由
来胚性幹細胞及び前記〔3〕記載のカニクイザル由来細
胞からなる群から選択された細胞を維持することを特徴
とする、組織又は細胞の特異的分化を行なうための試薬
のスクリーニング方法、並びに〔5〕 前記〔1〕記載
の胚性幹細胞及び前記〔3〕記載のカニクイザル由来細
胞からなる群から選択された胚性幹細胞から分化してな
る分化細胞又は分化組織、に関する。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明に用いられる「サル」と
は、霊長類、具体的には、新世界霊長類及び旧世界霊長
類をいう。なかでも、旧世界霊長類は、ヒトに極めて近
縁な霊長類であり、かつヒトの発生に類似しているの
で、ヒトに近い疾患モデル動物や種々の疾患治療剤のス
クリーニング系として利用されることが期待される。し
たがって、本発明においては、旧世界霊長類が望まし
く、具体的には、ニホンザル、カニクイザル等が挙げら
れ、特にカニクイザルが好ましい。
【0011】前記ニホンザル及びカニクイザルは、より
ヒトに近い系統であり、ニホンザルは、中型(体重:5
〜15kg)のため、外科的手術を容易に行なうことが
でき、体力も十分であるという点で有利である。さら
に、ニホンザルは、温順な性格であり、トレーニング効
果も大きいため、無麻酔下での各種実験が可能であると
いう利点がある。一方、カニクイザルは、小型(体重:
3〜6kg)であるため、種々の動物実験において取り
扱い易く、日本及びヨーロッパで実験動物としての使用
例が多く、バックグラウンドデータも多く取得されてい
るという利点を有する。また、カニクイザルは、年間を
通して排卵が見られるため、排卵に季節性があるアカゲ
ザルよりも生殖生理実験に有用であるという利点があ
る。
【0012】本発明のサル由来胚性幹細胞は、(a)サ
ルの卵子とサルの精子とを用いて、体外受精法又は顕微
授精法により受精を行なって受精卵を得る工程、(b)
工程(a)で得られた受精卵を用いて体外培養法により
胚盤胞期胚を発生させる工程、及び(c)工程(b)で
得られた胚盤胞期胚を用いて胚性幹細胞を樹立する工
程、を含むプロセス(以下、サル由来胚性幹細胞の生産
方法という)により得られうる。かかるサル由来胚性幹
細胞の生産方法も本発明の範囲に含まれる。
【0013】本発明のサル由来胚性幹細胞の生産方法
は、前記(a)〜(c)の工程を行なうことにより、約
40〜46%という驚くべく高い確率で受精卵から胚盤
胞期胚を得ることができるという、本発明者らの知見に
基づく。さらに、それにより、本発明の生産方法によれ
ば、優れた効率でサル由来胚盤胞期胚を発生させること
ができるという優れた効果を発揮する。したがって、従
来の方法〔例えば、国際公開第96/22362号パン
フレット等〕に比較しても、極めて高い収率でサル由来
胚性幹細胞を得ることができるという優れた効果を発揮
する。
【0014】工程(a)において、サルの卵子は、従来
行なわれてきた、開腹して、卵巣直視下で卵巣穿刺する
方法、排卵卵子を卵管摘出した後、洗浄し、回収する方
法等により得ることもでき、個体への負担の低減、手術
後の創傷治癒に要する時間の短縮又は解消、個体におけ
る感染の危険性の低減の観点から、腹腔鏡観察下にサル
から採卵することにより得ることが望ましい。腹腔鏡観
察下での採卵においては、例えば、腹壁に約1cmの切
開を施すのみで腹腔鏡を挿入し、腹壁を通して卵巣穿刺
を行なえばよい。これにより、局所の拡大像が容易に得
られるため、直視下に卵巣穿刺を行なう場合よりも、よ
り正確に穿刺部位を捉えて採卵できるという利点もあ
る。また、かかる腹腔鏡観察下での採卵によれば、採卵
後は、腹壁を1糸縫合するのみであり、短時間で手術す
ることができるため、動物福祉の観点から望ましい。
【0015】採卵に用いるメスのサルの年齢は、サルの
種類により異なる場合もあるが、定期的な月経周期を認
めることが望まれるという観点から、3.5齢以上、好
ましくは4齢以上であり、月経周期の終了前であるとい
う観点から、20齢以下、好ましくは15齢以下である
ことが望ましい。具体的には、ニホンザルの場合、5〜
15齢、カニクイザルの場合、4〜15齢であることが
望ましい。
【0016】採卵にあたっては、排卵誘発剤等を用いて
もよい。前記排卵誘発剤としては、卵胞刺激ホルモン
(FSH)、黄体形成ホルモン(LH)、ゴナドトロピ
ン放出ホルモン(GnRH)等が挙げられ、具体的に
は、例えば、ゴナドトロピン放出ホルモン(GnR
H)、妊馬血清ゴナドトロピン(PMSG)、ヒト閉経
期尿性ゴナドトロピン(hMG)、ヒト繊毛性ゴナドト
ロピン(hCG)、黄体形成ホルモン放出ホルモン(L
HRH)、卵胞刺激ホルモン(FSH)等が挙げられ
る。かかる排卵誘発剤の投与量及び投与期間は、個体の
体重、用いる排卵誘発剤の種類により、排卵誘発効果が
発揮される範囲で適宜選択することができる。
【0017】前記工程(a)で用いられるサルの卵子
は、成熟して、MII期に達しており、細胞質は均質で
あり弾力を有することが望ましい。かかる特性は、顕微
授精又は体外受精の過程を観察することにより評価する
ことができる。
【0018】腹腔鏡観察下での採卵は、具体的には、下
記のように行なうことができる:5〜15齢のニホンザ
ルのメス又は4〜15齢のカニクイザルのメスにゴナド
トロピン放出ホルモン(GnRH)1.8〜3.65m
gを皮下投与する。GnRH投与2週間後から、妊馬血
清ゴナドトロピン(PMSG)を25IU/kg又は、
ヒト閉経期尿性ゴナドトロピン(hMG)10IU/k
g又は卵胞刺激ホルモン(FSH)3IU/kgを1日
1回、一定時刻に9日間連続で、筋肉内投与する。投与
4〜5日後に、腹腔鏡(外径3mm)を用いて卵巣の観
察を行い、卵胞の発育の有無を確認する。ここで、卵胞
の発育の有無は、卵巣に白膜が薄く盛り上がったような
形状をなすものが複数個見られ、そのため、卵巣自体が
大きくなっており、さらに子宮も赤味を増してくること
を指標として評価する。ついで、PMSG、hMG又は
FSHを9日間投与し卵胞の発育が十分あることを確認
した後、ヒト繊毛性ゴナドトロピン(hCG)400I
U/kgを1回筋肉内投与する。hCG投与38〜42
時間後に、採卵する。採卵については、卵巣を腹腔鏡
(外径10mm)観察下において、約0.5mlの10
% SSS (Serum Substitute Supplement)を含むα−
MEM溶液を入れた60mmの19G又は20Gのカテ
ラン針を付けた2.5mlの注射筒を用いて、卵胞を穿
刺し吸引して卵胞液と共に卵子を回収することにより行
なう。回収後、直ちに実体顕微鏡下で卵丘細胞に包まれ
た成熟卵子を分離し、0.3% BSA含有TALP中
に移す。5% CO2 、5% O2 、90% N2 、3
7℃の条件下で3〜4時間前培養して、受精に用いられ
る卵子を得ることができる。
【0019】また、サルの精子は、精巣上体から採取し
てもよく、電気刺激法により採取してもよい。前記電気
刺激法としては、後述の実施例記載の直腸法、陰茎法等
が挙げられる。具体的には、以下の通りである:直腸法 塩酸ケタミン、塩酸キシラジン等に代表される麻酔剤を
用いてオスのサルを麻酔し、仰臥位におく。電気刺激器
に取り付けた棒状直腸電極にケラチンクリームを塗布
し、該電極を前記サルの直腸に静かに挿入する。電気刺
激器を交流電圧、5〜20Vにセットする。断続的に通
電を行ない、陰茎の先から精液を採取する。陰茎法 無麻酔下で、ケージ前面にオスのサルの四肢を保定し、
陰茎を保持しやすい位置に設置する。電気刺激器の電極
を陰茎にセットし、クリップで接続する。断続的に通電
を行ない、陰茎の先から精液を採取する。
【0020】前記工程(a)で用いられるサルの精子
は、高い受精能を得る観点から、精子の活性化を行なう
ことが望ましい。精子の活性化は、例えば、カフェイ
ン、dbC−AMP、フォルスコリン、ペントキシフィ
リン等の薬剤により精子を処理することにより行なうこ
とができる。前記薬剤のなかでは、前進性を持つ活発な
運動性や生存率の観点から、カフェインとdbC−AM
Pとの組み合わせが好適である。また、前記薬剤による
精子の処理の後、Swim up 法により、より受精能の高い
精子の獲得を行なってもよい。前記精子の活性化を行な
うことにより、高い受精率を得ることができ、さらに未
処理では運動性が乏しい精子を用いた場合でさえも、顕
微授精によって高率に受精させることができるという優
れた効果を発揮しうる。
【0021】カフェイン及びdbC−AMPの使用量
は、運動性を活性化させる観点から、精子1×107
に対して10μM〜1mMであることが望ましい。
【0022】前記Swim up 法とは、遠心分離により丸底
試験管に精子を集めた後、カフェインとdbC−AMP
とを含む培地(約0.5ml)を添加し、5% C
2 、37℃でインキュベーター内に静置することによ
り、約30〜60分後、上へ泳ぎ上がった精子を集める
方法をいう。
【0023】精子の活性化は、前進性を持つ活発な運動
性を有することを指標として評価することができる。
【0024】サルの精子の活性化は、例えば、以下のよ
うに行なうことができる:精巣上体からの採取又は電気
刺激法による採取により得られた精子が保存されたスト
ローから凍結保存剤とともに精子を試験管に移した後、
1mM カフェインと1mM dbC−AMPとを含有
したBSA/BWW (Biggers, Whitten andWittingham
s) 液10mlを加え、30分間、5% CO2 、37
℃の炭酸ガス培養器でインキュベートして、受精能獲得
を行なう。その後、1,000rpm(200×g)で
2分間遠心分離し、上清を捨てる。残部の精子に、新た
に1mM カフェインと1mM dbC−AMPとを含
むBSA/BWW約0.5〜10mlを加える。得られ
た精子溶液を、37℃の炭酸ガス培養器にて、60分間
静置し、Swim Up した精子を集めて、精子の運動性と精
子数とを確認する。なお、精子の運動性は、精子の前進
性と活発性とを指標とする。これにより、精子の活性化
を行なうことができる。
【0025】工程(a)において、受精は、体外受精法
又は顕微授精法により行なわれ得る。体外受精法は、ト
リイ(Torii, R. )ら [Primates, 41, 39-47 (2000)]
に記載の方法に従って行なわれ得、顕微授精法について
は、ヒュウィットソン(Hewitson, L.)[Human Reprodu
ction, 13, 3449-3455 (1998)]に記載の方法に従って行
なわれ得る。
【0026】本発明のサル由来胚性幹細胞の生産方法に
おいては、卵子への影響を低減させる観点から、前記体
外受精法又は顕微授精法を行なう際、TALP(Tyrode
-Albumin-Lactate-Pyruvate)液、TALP−HEPES
液及びBWW液からなる群より選ばれた培養液を用いる
ことが好ましい。TALP液及びTALP−HEPES
液は、下記のように調製することができる:
【0027】
【表1】
【0028】ここで、TALP液調製の直前に、 ピルビン酸ナトリウム 0.5mM 0.0055g (100mlに対して) ゲンタマイシン硫酸塩 (10mg/ml) 50μg/ml 50μl BSA 3mg/ml 0.3g を調製し、得られた試薬をフィルターで濾過滅菌する。
【0029】一方、TALP−HEPES液調製の直前
に、 ピルビン酸ナトリウム 0.1mM 0.0011g (100mlに対して) BSA 3mg/ml 0.3g を調製し、得られた試薬をフィルターで濾過滅菌する。
【0030】なお、TALP−HEPES液を調製する
際、50ml NaClとNa−HEPES(N−2−
ヒドロキシエチルピペラジン−N’−2−エタンスルホ
ン酸)、フェノールレッド、ペニシリンGを先に溶解さ
せる。得られた溶液に、それぞれのストック溶液を規定
量加え、最後にNaClストック溶液で100mlまで
メスアップする。ついで、得られた溶液のpHを1M
NaOHでpH7.4に調整する。乳酸ナトリウムスト
ック溶液は、原液 (60%シロップ) と水とを1:35で
混合する。得られた混合物に、1mg/mlのフェノー
ルレッドを加えた後、得られた溶液のpHを1M Na
OHでpH7.6に調整し、濾過滅菌する。得られた試
薬は、4℃で1週間保存可能である。NaHPO4 ・H
2 O 28mgは、10mlのグルコース溶液に溶解
し、濾過滅菌する。得られた溶液は4℃で1週間保存可
能である。
【0031】ついで、表2にBWW(Biggers, Whitten
and Whittingham)液の組成を示す。
【0032】
【表2】
【0033】体外受精又は顕微授精に際して用いる溶液
は、ミネラルオイル等で表面を覆うことにより、卵子の
溶液又は精子の溶液の乾燥を防止し、さらに温度、p
H、CO2 、O2 濃度の変動を防止するという効果を得
ることができる。
【0034】また、工程(a)において、受精の際、卵
子への影響を低減させる観点から、TALP液、TAL
P−HEPES液及びBWW液からなる群より選ばれた
培養液を用いることが好ましい。
【0035】受精の有無は、雌雄前核の存在を指標とし
て、位相差の倒立顕微鏡下で目視することにより評価す
ることができる。
【0036】本発明において行なわれた体外受精法又は
顕微授精法の一例を以下に示す:体外受精法 プラスチックディッシュ内のミネラルオイルで覆われた
50μlのBSA/BWWのドロップ中に、卵丘細胞に
包まれた卵子1〜5個をいれる。ついでドロップ中に
5.0×105 〜1.0×106 個(精子)/mlにな
るように精子懸濁液を移す。ドロップをミネラルオイル
で覆い、ついで媒精を行なう。
【0037】顕微授精法 (i)卵子の調製 回収された卵母細胞を、ミネラルオイル(Sigma Chem. C
o.) で覆われた50μlの0.3% BSAを含むTA
LP(BSA/TALP)溶液スポット中に集めた後、
約2〜4時間、37℃、5% CO2 、5% O2 、9
0% N2 の条件下で前培養する。
【0038】卵子の成熟状態は、卵母細胞培養物を0.
1%のヒアルロニダーゼで処理し、卵丘細胞を除去し、
回収した卵子について倒立顕微鏡下で、以下のClass-1
〜4の4種類に分類して、評価されうる。 Class-1 : 極体(PB)を持つ成熟卵子、 Class-2 : PBと卵核胞(GV)が観察されない成熟途上卵
子、 Class-3 : GVが観察される未成熟卵子、 Class-4 : 形状の変形が著しいか、細胞質が変成、退行
的変化を示している卵子
【0039】Class-1 の卵子については、確認後、すぐ
に、顕微授精に供試する。Class-2とClass-3 の卵子に
ついては、更にミネラルオイルで覆われた50μlのB
SA/TALP溶液スポット中に集めた後、37℃、5
% CO2 、5% O2 、90% N2 の条件下で継続
培養する。この場合、前記と同様に卵子の成熟状態を確
認する。未成熟卵子とClass-4 の卵子とについては、受
精に用いないことが望ましい。
【0040】(ii)精子の調製 体外受精に準じた方法で行なう。
【0041】(iii) 顕微授精法 顕微授精は、マイクロマニュピュレーターを装備した倒
立顕微鏡下で行なう。
【0042】150mmディッシュに、スポット1:希
釈精子を15μlと、スポット2:10% ポリビニル
ピロリドンPBS培養液〔PVP:平均分子量約36
0,000〕を5μl×3個とスポット3 :卵子操作用
のTALP−HEPES(最終濃度3mg/ml BS
A)溶液5μl×3個とを順に置き、表面をミネラルオ
イルで覆い乾燥を防ぎ、顕微授精のワーキング・フィー
ルドとする。なお、操作温度を一定にする場合には、必
要に応じて、加温ステージを用いてもよい。
【0043】注入用のニードルを動作精度の高いアルカ
テルシリンジに接続する。注入用のニードルとしては、
例えば、ヒト顕微授精用の傾斜角度30度のニードル等
が挙げられる。
【0044】卵子保持用ニードルとしては、前記ヒト顕
微授精用の傾斜角度30度のニードル、マグネティック
・プラー(PN−30、ナリシゲ社製)により作製した
外径約100μm、先端の内径約15μmのニードルが
挙げられる。前記卵子保持用ニードルは、2000μl
のエアータイトシリンジを付けたインジェクターに接続
して用いられる。
【0045】精子は、スポット1でヒト顕微授精の基準
に従い運動性のある精子を選んで吸引して、得られた精
子をスポット2へ移し、排出する。スポット2ではPV
Pの粘性により、精子の運動性が低下する。その精子尾
部をインジェクションニードルでこすりつけ、膜の一部
を破壊し、精子の運動を停止させる。該精子を粘性の高
い溶液とともに吸引し、スポット3へ移す。
【0046】成熟卵子をスポット3に入れ、保持用ニー
ドルを用いて、極体の下にある染色体を注入用ニードル
で壊されないように、6時あるいは12時の位置に固定
する。その後、注入用のニードルの先端に精子を置き、
卵子へ刺し込む。ニードルが透明帯を通過したことを確
認後、卵細胞膜を吸引する。膜の断裂が起こったことを
確認して、注入用ニードル内の内容物(精子と卵子の細
胞質)を注入する。精子と卵子の細胞質の注入に関する
一連のこれらの操作を繰り返し行なう。一回の操作で2
〜3個卵子に顕微授精を行なう。精子や卵細胞質により
先端の内側が汚れた場合は、スポット2で洗浄する。
【0047】前記工程(a)の後、(b)工程(a)で
得られた受精卵を用いて体外培養法により胚盤胞期胚を
発生させる工程を行なう。
【0048】体外培養法としては、温度と炭酸ガス濃度
の急激な変化を避ける観点から、ミネラルオイルで培養
液をカバーすることを特徴とする微少懸滴培養法が挙げ
られる。かかる微少懸滴培養法は、ヒトでは通常行われ
ず、マウスやウサギ等の実験動物で広く採用されている
手法であるが、かかる培養法によれば、サル由来の胚盤
胞期胚の発生に適用することによって、予想外に高い発
生率を得ることができるという優れた効果を発揮する。
【0049】受精卵の培養に際しては、培養経過の観察
により引き起こされうる温度やpHの変化等の不要なス
トレスを避ける観点から、体外受精の場合、培養開始後
7〜9日間、好ましくは、8日間、顕微授精の場合、培
養開始後7〜10日間、好ましくは、9日間、胚盤胞期
胚の出現が予測されるまで培養器の扉の開閉を止め密閉
することが望ましい。
【0050】胚盤胞期胚の出現は、初期分割の速度に比
例する傾向にある。
【0051】また、工程(b)における体外培養法にお
いては、用いられた培養液、培養温度、培養気相にも1
つの大きな特徴がある。
【0052】工程(b)においては、CMRL−106
6、TCM−199、DMEM、α−MEM等を用いて
体外培養法を行なうことが好ましい。特にCMRL−1
066を用いて体外培養法を行なうことが好ましい。な
お、CMRL−1066液は下記のように調製すること
ができる:10mlのA液〔ペニシリンG(1000 単位)
、ゲンタマイシン硫酸塩(10mg/ml) 0.5
ml、CMRL−1066(10×)(NaHCO3
びL−グルタミン無) 10ml、NaHCO3 0.2
18g、乳酸ナトリウム (290mOsmol's stock) 6.7
ml、水で100mlにメスアップ〕にL−グルタミン
0.014615g(1mM)を溶解する。ついで、
得られた溶液を濾過滅菌する。滅菌後の溶液1mlにA
液9mlを添加し、全量10mlのB液を得る。ピルビ
ン酸ナトリウム 0.0055g(終濃度5mM)をB
液に加えて溶解し、C液を得る。C液8mlとBCS
(子牛血清)2mlとを混合する。得られた混合物を濾
過滅菌して、CMRL−1066液を得る。
【0053】さらに、培養液として、卵子への影響を低
減させる観点から、TALP液、TALP−HEPES
液及びBWW液からなる群より選ばれた培養液を用いる
ことが望ましい。前記培養液としては、具体的には、T
ALPとCMRL−1066とを組み合わせた培養液が
挙げられる。かかるTALPとCMRL−1066とを
組み合わせた培養液によれば、受精確認後、該培養液を
用いることにより、桑実胚から胚盤胞期胚への発生が見
られ、かつ受精胚の40〜46%という極めて高い発生
率を得ることができる点で有利である。
【0054】培養温度は、発生に要する時間の短縮の観
点及び桑実胚から胚盤胞期胚への発生を進行させる観点
から、37℃以上であり、好ましくは37.5℃以上で
あることが望ましく、38.5℃以下であり、好ましく
は38.2℃以下であることが望ましい。具体的には、
38℃で培養を行なうことにより、体外受精では7日後
に、顕微授精では8日後に、効率よく胚盤胞期胚を得る
ことができる。
【0055】培養気相は、桑実胚から胚盤胞期胚への発
生を進行又は向上させる観点から、低酸素の気相が好ま
しく、具体的には、通常ES細胞の作製の際に用いられ
る培養気相と比べてO2 濃度が低い、5% CO2 、5
% O2 、90% N2 の気相によれば、驚くべく効率
よく胚盤胞期胚を得ることができるという優れた効果を
発揮する。
【0056】さらに、(c)工程(b)で得られた胚盤
胞期胚を用いて胚性幹細胞を樹立する工程を行なう。工
程(c)においては、工程(b)で得られた胚盤胞期胚
より得られる内部細胞塊をフィーダー細胞上又は白血球
増殖抑制因子〔LIF、分化阻害因子(DIF)とも表
記される)中で培養することにより胚性幹細胞を樹立す
ることができる。
【0057】胚盤胞期胚から内部細胞塊を取得する際、
透明体が除去された胚盤胞期胚を用いればよい。前記透
明体は、ヒアルロニダーゼ、プロナーゼ、酸性タイロー
ド液等により処理することにより除去してもよい。ヒア
ルロニダーゼ、プロナーゼ、酸性タイロード液等で透明
体を除去する場合、例えば、適切な濃度のヒアルロニダ
ーゼ、プロナーゼ、酸性タイロード液等を含むM2培養
液〔例えば、D. M. Gloverら編、DNA Cloning 4 Mamma
lian Systems A Practical Approach 第2版(1995)
等を参照のこと〕中で胚盤胞期胚をインキュベートすれ
ばよい。透明体除去後、適宜、得られた胚盤胞期胚をリ
ン酸緩衝化生理的食塩水により洗浄してもよい。
【0058】透明体なしの胚盤胞期胚から内部細胞塊を
分離するには、例えば、該胚盤胞期胚を免疫手術に供す
ればよい。さらに、内胚葉系の細胞をピペッティングに
より剥がし、得られた内部細胞塊をフィーダー細胞上で
1週間培養し、増殖した内部細胞塊をトリプシンで処理
(例えば、0.25重量% トリプシン+0.5mME
DTA等での処理)して、約3〜4個の細胞からなる塊
にし、さらに、これらの細胞をフィーダー細胞上で再度
培養する。
【0059】免疫手術に用いる抗血清としては、例え
ば、ウサギ抗サル血清、具体的にはウサギ抗ニホンザル
血清、ウサギ抗カニクイザル血清等が挙げられる。かか
る抗血清をM16培養液〔前記DNA Cloning 4 Mammali
an Systems A Practical Approach等を参照のこと〕で
20倍に希釈した溶液中に胚盤胞期胚を移し、37℃で30分
インキュベートすることにより、内部細胞塊を分離する
ことができる。また必要に応じて、ガラス針を用いて顕
微鏡下で物理的に栄養外胚葉を除去してもよい。
【0060】フィーダー細胞としては、妊娠12日〜1
6日目のマウス胎児の線維芽細胞の初代培養細胞、マウ
スの胎児線維芽細胞株であるSTO細胞等をマイトマイ
シンCやX線処理して得られた細胞等が挙げられる。か
かるマウス由来のフィーダー細胞は、大量に調製できる
点で実験等に有利である。
【0061】前記フィーダー細胞の作製は、例えば、後
述の実施例に記載の方法等により行なうことができる。
【0062】フィーダー細胞は、例えば、MEM培地(M
inimum Essential Medium Eagle)を用いて、ゼラチンコ
ートした培養容器に播種する。フィーダー細胞は、培養
容器を隙間無く覆う程度まで播種すればよい。
【0063】前記内部細胞塊は、前記フィーダー細胞が
播種された培養容器中のMEM培地をES細胞培養用の
培地〔ES細胞培地、表3〕に交換したフィーダー細胞
上に播種する。
【0064】
【表3】
【0065】細胞の培養条件は、マウスES細胞の培養
条件として通常実施される条件であればよい。例えば、
37℃、5% CO2 条件下で7日間培養すればよい。
なお、内部細胞塊の着床を阻害しない観点から、培養開
始から3日間は培養液の交換を行なわず、毎日顕微鏡下
で着床状況を観察することが望ましい。また、細胞の増
殖に従って、順次サイズの大きな培養皿に継代すればよ
い。
【0066】ついで、胚性幹細胞の同定及び評価を行な
う。なお、評価基準の例示は以下のとおりである。
【0067】評価基準の例核型(karyotype) :染色体数に異常がない。
通常、起源としたサルの染色体数(2n=42)と同じ
数であるか否かを調べる。
【0068】多分化能:例えば、胚性幹細胞と思われる
細胞(1×105 〜1×106 個)を、8〜12週齢の
SCIDマウス又はヌードマウスの皮下、腎皮膜下又は
精巣に注射し、5〜16週後に腫瘤の形成の有無を調
べ、腫瘤が形成された場合には、該腫瘤について組織学
的検査を行なうことにより、分化能を調べることができ
る。またフィーダー細胞を除去したり、あるいはレチノ
イン酸などの分化誘導剤を添加することにより、種々の
分化能を調べることができ、多分化能を評価することが
できる。
【0069】形態学的特徴: 1.高い核/細胞質比、顕著な核小体、コロニー形成を
呈する。 2.マウスES細胞に比べて、コロニー形態が扁平であ
る。 かかる形態学的特徴の例を、図1並びに図2のパネルA
及びパネルBに示す。なお、かかる図1及び図2に対応
する写真は、図面参照用写真として、別途提出する。
【0070】細胞表面マーカーの発現: 陰性対照:SSEA−1 陽性対照:SSEA−3、SSEA−4 前記細胞表面マーカーは、それぞれステージ特異的な胚
性抗原である糖脂質細胞表面マーカーである。かかるマ
ーカーを抗原として、各抗体を作製し、慣用の免疫染色
等により検出できる。
【0071】アルカリホスファターゼ活性:慣用のアル
カリホスファターゼ染色により検出できる。
【0072】本発明のサル由来胚性幹細胞としては、具
体的には、下記特性: (i)未分化状態を維持したまま増殖継代可能である、
(ii) 起源のカニクイザル個体と同じ染色体数を有す
る、(iii) 8〜12週齢のSCIDマウス又はヌードマ
ウスの皮下、腎皮膜下又は精巣に移植することにより、
多分化能が認められる、(iv) SSEA−1陰性であ
り、かつSSEA−3とSSEA−4とに対して陽性で
ある、及び(v) アルカリホスファターゼ活性が検出さ
れる、を呈する、樹立されたカニクイザル由来細胞、具
体的には胚性幹細胞、が挙げられる。かかるカニクイザ
ル由来胚性幹細胞は、 (vi) 高い核/細胞質比、顕著な
核小体、コロニー形成を呈し、かつマウスES細胞に比
べて、コロニー形態が扁平であるという形態学的特徴
〔例えば、図1並びに図2のパネルA及びパネルBを参
照のこと〕を有する。
【0073】本発明の樹立されたカニクイザル由来胚性
幹細胞は、8〜12週齢のSCIDマウス又はヌードマ
ウスの皮下、腎皮膜下又は精巣に移植した場合、外胚葉
由来細胞、中胚葉由来細胞、内胚葉由来細胞等への分化
能、より具体的には、例えば、ニューロン、グリア、筋
肉、軟骨、骨、線毛上皮、腸管上皮等への分化能を呈す
る。
【0074】本発明の樹立されたカニクイザル由来胚性
幹細胞によれば、疾患モデル動物の作製のための該細胞
の使用、移植用組織の作製のための該細胞の使用が期待
される。
【0075】本発明のサル由来胚性幹細胞によれば、組
織又は細胞、特に好ましくは霊長類由来の組織又は細胞
の特異的分化を行なうための試薬をスクリーニングする
ことができる。本発明には、組織又は細胞の特異的分化
を行なうための試薬のスクリーニング方法も含まれる。
【0076】本発明の組織又は細胞の特異的分化を行な
うための試薬のスクリーニング方法は、被検物質の存在
下に、本発明の胚性幹細胞を維持することを1つの特徴
とする。
【0077】本発明のスクリーニング法においては、本
発明の胚性幹細胞を用いるため、霊長類、特にヒト、サ
ルにおける発生学的研究、疾患研究、臨床応用、実験モ
デル等に有用であり、かつ所望の分化細胞又は分化組織
を得るのに有用な試薬をスクリーニングすることができ
るという優れた効果を発揮する。
【0078】本発明のスクリーニング法においては、胚
性幹細胞から所望の組織又は細胞への特異的分化は、例
えば、所望の組織又は細胞に発現するマーカーを指標と
して評価されうる。前記所望の組織又は細胞のマーカー
としては、組織又は細胞特異的抗原が挙げられる。前記
所望の組織又は細胞のマーカーとしては、例えば、神経
系細胞のマーカーとして、ニューロン特異的エノラー
ゼ、グリア線維性酸性タンパク質、ネスチン等、軟骨の
マーカーとして、S−100タンパク質、酒石酸抵抗性
酸ホスファターゼ等、筋肉のマーカーとして、デスミ
ン、筋特異的アクチン等が挙げられる。かかる特異的マ
ーカーは、該マーカーに対する抗体を用い、慣用のEL
ISA、免疫染色等により検出してもよく、該マーカー
をコードする核酸を用い、慣用のRT−PCR、DNA
アレイハイブリダイゼーション等により検出してもよ
い。なお、「核酸」とは、ゲノムDNA、RNA、mR
NA又はcDNAを意味する。
【0079】前記スクリーニング法により得られた試薬
は本発明の範囲に包含される。かかる試薬によれば、再
生医学分野への応用が期待される。
【0080】また、本発明の胚性幹細胞から分化された
分化細胞又は分化組織も本発明の範囲に含まれる。
【0081】前記分化細胞及び分化組織は、前記組織又
は細胞に特異的なマーカーの発現、形態学的特徴の観察
により同定することができる。
【0082】本発明の分化細胞及び分化組織は、ヒトに
近縁なサルの細胞及び組織であるため、種々の薬剤に対
する各種試験の被検体としての利用、組織や細胞の移植
モデルとしての利用等に好適である。
【0083】
【実施例】以下、実施例等により、本発明をさらに詳し
く説明するが、本発明は、かかる実施例によりなんら限
定されるものではない。なお、以下の実施例等におい
て、「%」は、特に明記がない場合は、重量%を示すも
のとする。また、CO2 、O 2 及びN2 における「%」
表記は、体積%を示すものとする。
【0084】実施例1 カニクイザルの胚盤胞期胚の作
製方法 サル類は、マウスやラット、ウサギ等の実験動物と異な
り、卵管や子宮環流による受精卵回収法は確立されてい
ないのが現状である。また、排卵周期における体内受精
卵を子宮内から回収する方法は効率が極めて悪いことが
知られている。
【0085】そこで今回は、胚性幹細胞を樹立するため
に好適な胚盤胞期胚を得るため、体外授精法及び顕微授
精法により受精を行い、その後、体外培養法によって胚
盤胞期胚に発生させる方法を検討した。
【0086】(1)卵巣刺激法 カニクイザルのメス(4〜15齢)にゴナドトロピン放
出ホルモン(GnRH)〔商品名:リュープリン(Leupl
in) 、武田薬品工業(株)社製;又は商品名:スプレキ
ュア(Sprecur)、ヘキスト・マリオン・ルセル(株)社
製〕1.8mgを皮下投与した。GnRH投与2週間後
から、妊馬血清ゴナドトロピン(PMSG)〔商品名:
セロトロピン(Serotropin)、帝国臓器製薬(株)社製〕
を25IU/kg、ヒト閉経期尿性ゴナドトロピン(h
MG)〔パーゴナル(Pergonal)、帝国臓器製薬(株)社
製〕10IU/kg又は卵胞刺激ホルモン(FSH)
〔フェルティノーム (Fertinorm)、セローノ・ラボラト
リーズ社製〕3IU/kgを1日1回一定時刻に9日間
連続で、本実施例では夕刻に筋肉内投与した。投与5日
後に、腹腔鏡(外径3mm)を用いて卵巣の観察を行
い、卵胞の発育の有無を確認した。
【0087】ついで、PMSG、hMG又はFSHを投
与し卵胞の発育が十分あることを確認した後、ヒト繊毛
性ゴナドトロピン(hCG)〔商品名:プベローゲン(P
uberogen) 、三共(株)社製〕400IU/kgを1回
筋肉内投与した。hCG投与40時間後に、採卵した。
【0088】採卵は、卵巣を腹腔鏡(外径10mm)観
察下において、約0.5ml の10%SSS(Serum Substit
ute Supplement, Irvine Scientific Sales Inc.製) を
含むα−MEM(alpha-Modification of Eagles Mediu
m, ICD Biomedical Inc. 製) 溶液を入れた60mmの
19G又は20Gのカテラン針を付けた2.5mlの注
射筒を用いて、卵胞を穿刺し吸引して卵胞液と共に卵子
を回収することにより行なった。
【0089】回収後、直ちに実体顕微鏡下で卵丘細胞に
包まれた成熟卵子を分離し、0.3% BSA含有TA
LP(以下、BSA/TALPと示す)中に移し、5%
CO2 、5% O2 、90% N2 、37℃の炭酸ガ
ス培養器中にて3〜4時間前培養した。
【0090】以上のように、腹腔鏡観察下での採卵は、
腹壁に約1cmの切開を行なうのみでそこから腹腔鏡を
挿入し、腹壁を通して卵巣穿刺を行なうものである。
【0091】一方、採卵方法としては、通常、マウスで
は卵巣、子宮摘出後、卵管灌流を行なう卵巣摘出法、ま
たヒトでは超音波診断装置を用いた卵巣穿刺法により行
なわれる。しかし、サル類は個体の数が限られているこ
とから、卵巣摘出法を用いることができない場合があ
る。また、体躯がヒトに比べて小さいことから、超音波
診断装置を用いる方法は極めて難しい。そのため、サル
類の国内外での体外受精に用いられる未受精卵の回収方
法としては通常、開腹による卵巣直視下で卵巣穿刺法が
行われている。しかしこの方法は、個体への負担が大
きいこと、手術後の創傷治癒に時間がかかること、
感染の危険性が大きいこと等の欠点がある。
【0092】これに比べて、本実施例で行なった方法
は、直視下よりもむしろ拡大された像が得られる。した
がって、穿刺部位を正確にとらえて採卵が行なうことが
できる。また、採卵後、腹壁を1糸縫合するのみで時間
も極めて短時間で終えることができるため、動物愛護の
観点からも極めて有用な方法であることがわかった。
【0093】(2)精子の採取 (i)精巣上体からの採取法 オスのカニクイザル(10〜15齢)の精巣上体を採取
後、直ちに23Gの針を付けた1mlの注射筒を精管に
挿入して、0.3% BSAを含むBWW(以下、BS
A/BWWと示す)をゆっくり注入し、精巣上体尾部を
切断し流出する精液を採取した。
【0094】(ii)電気刺激法による採取法 i)直腸法 塩酸ケタミン+塩酸キシラジン(それぞれ、5mg/k
g及び1mg/kg)でオスのカニクイザル(10〜1
5齢)に麻酔を施し、仰臥位においた。電気刺激器に取
り付けた棒状直腸電極にケラチンクリームを塗布し、該
電極を前記サルの直腸に静かに挿入した。陰茎を滅菌生
理食塩水で洗浄し、ペーパータオル等でふき取り、陰茎
の先を試験管(50ml)の中にいれた。ついで、電気
刺激器を交流電圧、5Vにセットして、通電を行なっ
た。通電を3〜5秒間行なった後、5秒間休止した。こ
れを最大3回まで繰り返した。射精が見られた時は、そ
の時点で終了した。射精が見られないときは、電圧を1
0Vにして同様の操作を行なった。さらに、射精が見ら
れないときは、15V、20Vで実施した。
【0095】ii)陰茎法 無麻酔下で、ケージ前面にオスのカニクイザル(10〜
15齢)の四肢を保定し、陰茎を保持しやすい位置に設
置した。手術用ゴム手袋を装着し、陰茎を無菌生理食塩
水で洗浄し、ペーパータオル等で拭き取った。電気刺激
器を準備し、電極を陰茎にセットし、クリップで接続し
た。通電は、まず直流の電圧5Vで1秒間隔でON-OFFを
繰り返しながら、徐々にその間隔を短くしていく操作と
した。射精が見られない時は、同様の操作を10V、1
5V、20Vで行なった。さらに、射精が見られないと
きは、交流で同様の操作を繰り返した。
【0096】(3)精液採取後の処理と凍結保存法(Tor
ii et al, 1998) 直腸法又は陰茎法で採取した精液を、37℃炭酸ガス培
養器内で約30分間静置した。液状成分のみを採取し、
0.3% BSA含有BWW (Biggers, Whitten and W
ittinghams) (BSA/BWW)培養液を約1〜2ml
加えて精子溶液を調製した後、80% パーコール(Ame
rican Permacia Biotech Inc. 製) 2.5mlと60%
パーコール2.5mlの液の上に静かに重層した。得
られたものを1,400rpmで20分、室温で遠心分
離した後、試験管内の底部の約0.5mlを残して、上
層を吸引除去した。さらに、BSA/BWWを約10m
l添加して軽く混合した。得られた混合物を1,400
rpmで3分、室温で遠心分離した後、底部の約0.5
mlを残して上層を吸引除去した。
【0097】得られた精子に、精子数約5×107
1.0×108 個/mlになるようにBSA/BWWを
適量加えて精子溶液を調製した後、4℃で約60〜90
分間静置した。その後、氷水中で精子溶液の1/5量の
TTE−G溶液〔終濃度12%のグリセロールを含むT
TE培地(培地100ml中の組成:Tes 1.2
g、Tris−HCl 0.2g、グルコース 2g、
ラクトース 2g、ラフィノース 0.2g、卵黄 2
0ml、ペニシリン−G 10,000IU、ストレプ
トマイシン硫酸塩 5mg)を静かに滴下し、5分間静
置した。なお、前記のTTE−G溶液の滴下及び静置の
操作を5回繰り返した。
【0098】氷水中で60〜90分間放置した後、得ら
れた精子溶液を0.25又は0.5mlのストローに入
れた。ストローを、液体窒素の容器の上部で約5分間維
持した後、液体窒素上面でさらに5分間維持した。前記
ストローを液体窒素中に投入し、保存した。
【0099】(4)体外受精用精子の調製 液体窒素から出したストローを一旦室温で30秒間保持
した後、37℃の温浴中に30秒間投入して保存精子溶
液を融解した。ついで、前記ストローに、1mM カフ
ェイン(シグマ社製)と1mM dbC−AMP (シグ
マ社製)とを含有したBSA/BWW 10mlを加
え、30分間37℃の炭酸ガス培養器でインキュベート
して、受精能獲得を行なった。
【0100】その後、1,000rpm(200g)で
2分間、精子溶液を遠心分離し、上清を捨てた。つい
で、新たに1mM カフェインと1mM dbC−AM
Pとを含有したBSA/BWW約0.5〜1mlを精子
に加えた。得られた精子溶液を、37℃の炭酸ガス培養
器にて、60分間静置し、Swim Up した精子を集めて、
精子の運動性と精子数とを確認した。これにより体外受
精用精子を得た。
【0101】(5)受精方法 1)体外受精法 プラスチックディッシュ内のミネラルオイルで覆われた
50μlのBSA/BWWのドロップ中に、卵丘細胞に
包まれた卵子1〜5個をいれた。ついでドロップ中に
5.0×105 〜1.0×106 個(精子)/mlにな
るように精子懸濁液を移した。ドロップをミネラルオイ
ルで覆い、ついで媒精を行なった。
【0102】その後、受精後の卵子を37℃、5% C
2 、5% O2 、90% N2 の炭酸ガス培養器にて
培養した。媒精5時間後、BWW液からTALP液に交
換し、受精の確認を行なった。その結果、約45%の高
い受精率で受精卵が得られた。受精が確認された卵子に
ついて、約20時間培養して、その後CMRL−1066
液に移し培養を継続した。
【0103】2)顕微授精法 (i)卵子の調製 回収された卵母細胞を、ミネラルオイル(シグマ社製)
で覆われた50μlの0.3% BSAを含むTALP
(BSA/TALP)溶液スポット中に集めた後、約2
〜4時間、37℃、5% CO2 、5% O2 、90%
2 の条件下で前培養した。
【0104】卵子の成熟状態を確認するため、0.1%
のヒアルロニダーゼ(シグマ社製)を含むTALP−H
EPES溶液中に卵母細胞培養物を1分間さらした後、
ピペッティングで卵丘細胞を除去した。回収した卵子
は、倒立顕微鏡下で、以下のClass-1 〜4 の4種類に分
類した。 Class-1 : 極体(PB)を持つ成熟卵子、 Class-2 : PBと卵核胞(GV)が観察されない成熟途上卵
子、 Class-3 : GVが観察される未成熟卵子、 Class-4 : 形状の変形が著しいか、細胞質が変成、退行
的変化を示している卵子
【0105】Class-1 の卵子については、確認後、すぐ
に、顕微授精に供試した。Class-2とClass-3 の卵子に
ついては、更にミネラルオイルで覆われた50μlのB
SA/TALP溶液スポット中に集めた後、37℃、5
% CO2 、5% O2 、90% N2 の条件下で継続
培養した。培養後24時間で、卵子の成熟状態を確認し
た。成熟した卵子については、その時点で、顕微授精に
供試した。残りの未成熟卵子とClass-4 の卵子とについ
ては、受精には供試しなかった。
【0106】(ii)精子の調製 体外受精に準じた方法で行なった。
【0107】(iii) 顕微授精法 顕微授精を、ナリシゲ社製のマイクロマニュピュレータ
ーを装備したオリンパスIX70倒立顕微鏡下で行なった。
【0108】150mmディッシュに、スポット1:希
釈精子を15μl、スポット2:10% ポリビニルピ
ロリドンPBS培養液〔PVP:平均分子量約360,
000、ナカライ テスク(株)社製〕5μl×3個と
スポット3:卵子操作用のTALP−HEPES(最終
濃度3mg/ml BSA)溶液5μl×3個を順に置
き、表面をミネラルオイルで覆い乾燥を防ぎ、顕微授精
用のワーキング・フィールドとした。なお、本実施例で
は、操作温度の変化には留意せず、加温ステージを用い
なかった。
【0109】注入用のニードルとしては、ヒト顕微授精
用の傾斜角度30度のニードル(外径7〜8μm、内径
5〜7μm、メディー・コンインターナショナル社製)
を用いた。前記ニードルを動作精度の高いアルカテルシ
リンジに接続した。
【0110】卵子保持用ニードルとしては、同じくヒト
顕微授精用の傾斜角度30度のニードル、あるいはマグ
ネティック・プラー(商品名:PN−30、ナリシゲ社
製)により作製した外径約100μm、先端の内径約1
5μmのニードルを用いた。前記ニードルは、2000
μlのエアータイトシリンジを付けたナリシゲのインジ
ェクターに接続した。
【0111】スポット1でヒト顕微授精の基準に従い運
動性のある精子を選んで吸引して、得られた精子をスポ
ット2へ移し、排出した。スポット2においては、PV
Pの粘性により、精子の運動性が低下した。前記精子尾
部をインジェクションニードルでこすりつけ、膜の一部
を破壊し、精子の運動を停止させる。該精子を粘性の高
い溶液とともに吸引し、スポット3へ移した。
【0112】成熟卵子をスポット3に入れ、保持用ニー
ドルを用いて、極体の下にある染色体が注入用ニードル
で壊されないように、6時又は12時の位置に固定し
た。その後、注入用のニードルの先端に精子を置き、該
精子を卵子へ刺し込んだ。ニードルが透明帯を通過した
ことを確認した後、卵細胞膜を吸引した。膜の断裂が起
こったことを確認した後、注入用ニードル内の内容物
(精子と卵子の細胞質)を注入した。精子と卵子の細胞
質の注入に関する一連のこれらの操作を繰り返し行なっ
た。一回の操作で2〜3個卵子に顕微授精を行なうが、
精子や卵細胞質により先端の内側が汚れた場合は、スポ
ット2で洗浄する。
【0113】顕微授精された卵子を、すぐに培養器へ戻
し、37℃、5% O2 、5 % CO2 、90% N2
の条件下で培養を開始した。顕微授精後、すぐ、60m
mノンコート培養皿に、50μlのCMRL−1066
溶液のスポットを作り、それをパラフィンオイルでカバ
ーした。なお、スポットと気相の平衡は、原則的には、
3 時間以上行なった。顕微授精後24時間で、TALP
溶液から前記CMRL−1066溶液のスポットに移
し、炭酸ガス培養器中で37℃、5 % O2 、5% C
2 、90% N2 の条件下で密封のまま8日間培養し
た。その結果、約75〜85%の高い受精率で受精卵が
得られた。
【0114】以上のように、サル類の体外受精、顕微授
精を行なうにあたって、精子の活性化を行なった。マウ
スやヒトの場合には、通常の体外受精、顕微授精を行な
う際に精子をそのまま用いるが、本実施例においては、
より高い受精率を得るために、カフェインとdbC−A
MPとによる活性化を行なった後、Swim up 法により、
より受精能の高い精子の獲得を行なった。この操作を加
えることにより、体外受精において、高い受精率を得る
ことが出来ることが判明した。さらに運動性が乏しく体
外受精に不適な精子についても、同様の処理を行なうこ
とにより、顕微授精で高率に受精させることができた。
この方法は、受精率の悪い精子が供給された場合等に
は、極めて有効であることが判った。
【0115】(6)培養方法 体外受精及び顕微授精において、受精を確認した後は、
培養を行なうにあたって、温度と炭酸ガス濃度の急激な
変化を避けるため、ヒトでは通常行なわれず、マウスや
ウサギ等の実験動物で広く採用されている、ミネラルオ
イルで培地をカバーする微少懸滴培養法を採用した。ま
た、培養経過を観察することにより、温度やpHの変化
による不要なストレスを与えることを避けるため、体外
受精では培養開始後7日間、顕微授精では培養開始後8
日間、胚盤胞期胚の出現が予測されるまで培養器の扉の
開閉を行なわず、密閉して培養を行なった。
【0116】ここで用いた培養液、培養温度、培養気相
は以下の通りである。
【0117】培養液:TALP&CMRL−1066 通常、マウスで用いられるBWWやヒトで用いられるP
l(ナカメディカル社製)、Blast medium
(ナカメディカル社製)及び新たに開発されたHFF
(human folicular fluid 、扶桑薬品(株)社製)を用
いた結果、受精と分割までは順調に進むが桑実胚までの
発生にとどまることが判る。受精確認後、TALPとC
MRL−1066の培養液と組み合わせて用いることに
より、胚盤胞期胚への発生がみられ、かつその率は受精
胚の40〜46%と極めて高率にみられることが判明し
た。培養器外の操作で、リン酸緩衝液系のPBSを使わ
ずHEPES緩衝液系のTALPを用いたことにより、
卵子への悪影響を減らしたと思われる。
【0118】培養温度:38℃ マウスやヒトでは、通常37℃で行なうが、この温度で
は、発生が遅く、かつ桑実胚以降への発生は全くなかっ
た。そこで、38.5℃で胚培養を行なうウシ等と同様
に、38℃とやや高い温度で培養を行なうことにより、
体外受精では7日後に、顕微授精では8日後に胚盤胞期
胚を得た。
【0119】培養気相:5% CO2 、5% O2 、9
0% N2 通常用いられる5% CO2 、95%空気の条件下で
は、桑実胚までの発生にとどまったが、5% CO2
5% O2 、90% N2 で培養を行なうことにより、
胚盤胞期胚への発生率が高い率で見られるようになっ
た。
【0120】実施例2 サルES細胞樹立法 (1)フィーダー細胞の作製 12.5日齢のマウス胚から得た初代胚線維芽細胞(以下、
PEFsともいう)を、10%ウシ胎仔血清(FBS)
を含むMEM培地でコンフルエントになるまで、初代〜
3代目の間で培養した。ついで、最終濃度10μg/m
lのマイトマイシンC(MMC)を含むMEM培地でP
EFsを2〜3時間培養し、細胞分裂を不活性化した。
その後、MMCを含む培地を除き、細胞をPBSで3回
洗浄した。トリプシン処理(0.05% トリプシン、
1mM EDTA)により、洗浄後の細胞を培養ディッ
シュから剥がし、細胞数をカウントした。
【0121】ゼラチンコートした24穴培養ディッシュ
の各ウエルに2×104 個のMMC処理されたPEFs
を播種した。
【0122】得られた細胞について、実際にディッシュ
上に播種し、適した細胞数であることを確認した上で、
マウスES細胞を培養し、性質を調べた。その結果、増
殖能が良好であり、未分化状態が維持されていたため、
得られた細胞がフィーダー細胞として適していることが
示された。また、3代目以下(初代〜3代目)までの培
養のフィーダー細胞が、好適であった。
【0123】(2)サル胚盤胞期胚からの内部細胞塊の
分離 透明体除去のためにサル胚盤胞期胚を最終濃度0.5%プロ
ナーゼまたはタイロードを含むM2培養液〔例えば、D.
M. Gloverら編、DNA Cloning 4 Mammalian Systems
A Practical Approach 第2版 (1995) 等を参照のこ
と〕に移し、37℃で10分インキュベートした。な
お、透明体が残っている胚盤胞期胚について、さらに3
7℃で5分のプロナーゼ処理を行なった。透明体の除去
を確認後、得られた胚盤胞期胚をPBSで2回洗浄し
た。
【0124】ついで、ウサギ抗カニクイザルリンパ球血
清をM16培養液〔前記DNA Cloning 4 Mammalian Sys
tems A Practical Approach等を参照のこと〕で20倍
に希釈した溶液中に胚盤胞期胚を移し、37℃で30分
インキュベートした。その後、得られた胚盤胞期胚をP
BSで3回洗浄した。補体をM16培養液で50倍に希
釈した溶液中に胚盤胞期胚を移し、37℃で30分イン
キュベートした。得られた胚盤胞期胚をPBSで3回洗
浄した。胚盤胞期胚の栄養外胚葉が完全に除去出来ない
場合は、ガラス針を用いて顕微鏡下で物理的に栄養外胚
葉を除去した。これにより、内部細胞塊 (Inner Cell M
ass;ICM)を分離した。
【0125】(3)サル内部細胞塊の培養 (1)で得られたフィーダー細胞を播種した24穴培養
ディッシュからMEM培地を除き、ウエルごとにES細
胞培地〔表3〕を800 μl ずつ加えた。
【0126】ついで、(2)で得られたICMを、マイ
クロピペットを用いて各ウエルに1個ずつ移し、37
℃、5% CO2 条件下で7日間培養した。ICMの着
床を阻害しないために、培養開始から3日間は培地の交
換を行なわず、毎日顕微鏡下で着床状況を観察した。
【0127】培養7日目にICM細胞の解離を行なっ
た。ウエルからES細胞培地を除き、PBSで1回洗浄
した。300μlの0.25% トリプシン/0.02
% EDTAをウエルに加え、直ちに取り除いた。つい
で、24穴培養ディッシュを37℃で1分インキュベー
トした。顕微鏡下で細胞の解離を確認した後に、ウエル
に500μlのES細胞培地を加えピペットマンでよく
ピペッティングした。
【0128】フィーダー細胞を予め播種した24穴培養
ディッシュのウエルに、上記の全細胞を移した。300
μlのES細胞培地を加えて、あわせて800μlの培
地量にした後に、細胞の播きムラが無いようによく混合
した。2日に1回、ES細胞培地を交換した。解離後、
7日以内にES細胞と思われる細胞集団が増殖し、コロ
ニーとして出現するため、毎日観察した。
【0129】ES細胞のコロニーが出現したら、24穴
培養ディッシュ上の細胞をトリプシン処理し、継代増殖
を繰り返した。この間、毎日または2日に1回の頻度で
ES細胞培地を交換した。その結果、カニクイザルの胚
盤胞期胚から複数のES細胞株を得た。
【0130】実施例3 サルES細胞の評価 (1)カニクイザルES細胞核型(karyotype) :染色体数が正常(起源と
したサルの染色体数と同じ数:2n=42)であるか否
かを調べた。この結果、樹立したES細胞株は、正常の
核型を保持していた。
【0131】多分化能:1×106 個のカニクイザルE
S細胞を、8週齢のSCIDマウスの鼠径部に皮下注射
した。注射後5〜12週後に、腫瘤の形成が認められ
た。前記腫瘤をブアン液又はパラホルムアルデヒド液で
固定後、薄切し、ヘマトキシリン−エオジン染色(HE
染色)または免疫染色を施し、組織学的検査を行なっ
た。なお、免疫染色においては、利用できるサル組織特
異抗体が極めて少ないことから、ヒトのニューロン特異
的エノラーゼ(NSE)に対する抗体、グリア線維性酸
性タンパク質(GFAP)に対する抗体、S−100タ
ンパク質に対する抗体及びデスミンに対する抗体を用い
た。
【0132】その結果、形成した腫瘤は、外胚葉(ニュ
ーロン、グリア)由来、中胚葉(筋肉、軟骨、骨)由来
及び内胚葉(線毛上皮、腸管上皮)由来の細胞群で構成
されるテラトーマであることがわかった。また、免疫組
織学的検査において、ニューロンはNSEに対する抗
体、グリアはNSEに対する抗体及びGFAPに対する
抗体、末梢神経はNSEに対する抗体、軟骨はS−10
0タンパク質に対する抗体、筋肉はデスミンに対する抗
体によってそれぞれ検出された。以上の結果から、カニ
クイザルES細胞が、外胚葉由来細胞、中胚葉由来細
胞、内胚葉由来細胞等、より具体的には、ニューロン、
グリア、筋肉、軟骨、骨、線毛上皮、腸管上皮等への多
分化能を有することが明らかとなった。
【0133】かかるHE染色後の顕微鏡観察の結果を図
3のパネルA〜Hに、免疫染色後の顕微鏡観察の結果を
図3のパネルI〜Mに、それぞれ示す。なお、かかる図
3に対応する写真は、図面参照用写真として、別途提出
する。
【0134】形態学的特徴: 1.高い核/細胞質比、顕著な核小体、コロニー形成を
呈した。 2.マウスES細胞に比べて、コロニー形態が扁平であ
った。 かかる形態学的特徴を、図1並びに図2のパネルA及び
パネルBに示す。
【0135】細胞表面マーカーの発現:細胞表面マーカ
ーであるStage-specific embryonic antigens (SSEA)の
有無を確かめるために、SSEA−1(陰性対照)、S
SEA−3、SSEA−4の各細胞表面マーカーに対す
る抗体を用いて、免疫染色を行なった。これらの抗体
は、The Developmental Studies Hybridoma Bank of th
e National Institute ofChild Health and Human Deve
lopmentより入手した。SSEAの各細胞表面マーカー
について、下記操作により評価した:4%パラホルムア
ルデヒドで固定した細胞と1次抗体とを反応させた。つ
いで、次にアミノ酸ポリマーにペルオキシターゼと2次
抗体を結合させた標識ポリマー(シンプルステインPO、
ニチレイ社製)を反応させた後、シンプルステインDAB
溶液(ニチレイ社製)を加えて検出した。
【0136】その結果、SSEA−1は検出されず、S
SEA−3及びSSEA−4が検出された。かかる免疫
染色によるSSEA−4の検出結果を図2のパネルDに
示す。
【0137】アルカリホスファターゼ活性:Fast−
Red TR SaHを基質として、アルカリホスファ
ターゼ活性をHNPP(ロッシュ社製)を用いて測定し
た。その結果、アルカリホスファターゼ活性が検出され
た。かかる検出結果を図2のパネルCに示す。
【0138】
【発明の効果】本発明のサル由来胚性幹細胞は、霊長
類、特にヒト、サルにおける発生学的研究、疾患研究、
臨床応用、実験モデルとして有用である。また、本発明
のサル由来胚性幹細胞の生産方法によれば、前記サル由
来胚性幹細胞を高い収率で得ることができるという優れ
た効果を奏する。さらに、本発明の組織又は細胞の特異
的分化を行なうための試薬のスクリーニング方法によれ
ば、所望の分化細胞又は分化組織を得るのに有用な、組
織又は細胞の特異的分化を行なうための試薬をスクリー
ニングすることができるという優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明のカニクイザル由来胚性幹細胞
を顕微鏡観察した結果を示す図である。上段パネルは、
低倍率(100倍) における観察結果を示し、下段パネル
は、高倍率(200倍) における観察結果を示す。
【図2】図2は、本発明のカニクイザル由来胚性幹細胞
を各種手法により観察した結果を示す図である。パネル
A及びパネルBは、それぞれ、本発明のカニクイザル由
来胚性幹細胞を顕微鏡観察した結果を示す〔パネルA:
低倍率(Bar; 100 μm)、パネルB:高倍率(Bar; 50μ
m) 〕。パネルCは、本発明のカニクイザル由来胚性幹
細胞をアルカリホスファターゼ染色後に顕微鏡観察した
結果を示す (Bar;100μm) 。パネルDは、本発明のカ
ニクイザル由来胚性幹細胞をSSEA-4に対する免疫染色後
に顕微鏡観察した結果を示す (Bar; 100μm) 。
【図3】図3は、本発明のカニクイザル由来胚性幹細胞
をマウスに皮下注射後、形成した腫瘤を各種染色後に顕
微鏡観察した結果を示す図である。パネルA〜Hは、本
発明のカニクイザル由来胚性幹細胞をマウスに皮下注射
後、形成した腫瘤をHE染色後に顕微鏡観察した結果を
示す。パネルA:腫瘤全体(Bar; 300 μm) 、パネル
B:神経上皮 (Bar; 200μm) 、パネルC:グリア(Ba
r; 200 μm) 、パネルD:腺 (Bar; 200μm) 、パネ
ルE:筋肉(Bar; 200 μm) 、パネルF:軟骨(Bar; 40
0μm) 、パネルG:骨(Bar; 200 μm) 、パネルH:
線毛上皮 (Bar;150μm) 。パネルI〜Mは、前記腫瘤
を免疫染色後に顕微鏡観察した結果を示す。パネルI:
ニューロン及びグリアのNSEに対する免疫染色(Bar;
200 μm) 、パネルJ:グリアのGFAPに対する免疫
染色 (Bar; 200μm) 、パネルK:末梢神経のNSEに
対する免疫染色(Bar; 200 μm) 、パネルL:筋肉のデ
スミンに対する免疫染色 (Bar; 200μm) 、パネルM:
軟骨のS−100タンパク質に対する免疫染色(Bar; 40
0 μm) 。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C12R 1:91) C12N 5/00 E (72)発明者 入谷 明 京都府京都市左京区岩倉長谷町1−24 (72)発明者 芥 照夫 熊本県熊本市画図町上無田610−1 レイ クサイドコート 104号室 Fターム(参考) 4B063 QA01 QA18 QQ08 QQ20 QR56 QR69 QR77 QS24 QS34 4B065 AA90X AC20 BB01 BC03 BC06 BC07 BC10 CA46

Claims (21)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (a)サルの卵子とサルの精子とを用い
    て、体外受精法又は顕微授精法により受精を行なって受
    精卵を得る工程、(b)工程(a)で得られた受精卵を
    用いて体外培養法により胚盤胞期胚を発生させる工程、
    及び(c)工程(b)で得られた胚盤胞期胚を用いて胚
    性幹細胞を樹立する工程、を含むプロセスを行なうこと
    により得られうるサル由来胚性幹細胞。
  2. 【請求項2】 サルが、ニホンザル又はカニクイザルで
    ある、請求項1記載の胚性幹細胞。
  3. 【請求項3】 サルが、カニクイザルである、請求項1
    記載の胚性幹細胞。
  4. 【請求項4】 工程(a)において、TALP液、TA
    LP−HEPES液及びBWW液からなる群より選ばれ
    た培養液を用いる、請求項1〜3いずれかに記載の胚性
    幹細胞。
  5. 【請求項5】 工程(b)における体外培養法が微少懸
    滴培養法である、請求項1〜4いずれかに記載の胚性幹
    細胞。
  6. 【請求項6】 工程(b)においてCMRL−1066
    を用いて体外培養法を行なう、請求項1〜5いずれかに
    記載の胚性幹細胞。
  7. 【請求項7】 工程(b)において培養温度が38℃で
    ある、請求項1〜6いずれかに記載の胚性幹細胞。
  8. 【請求項8】 工程(b)において培養条件が5% C
    2 、5% O2 、90% N2 の条件である、請求項
    1〜7いずれかに記載の胚性幹細胞。
  9. 【請求項9】 (a)サルの卵子とサルの精子とを用い
    て、体外受精法又は顕微授精法により受精を行なって受
    精卵を得る工程、(b)工程(a)で得られた受精卵を
    用いて体外培養法により胚盤胞期胚を発生させる工程、
    及び(c)工程(b)で得られた胚盤胞期胚を用いて胚
    性幹細胞を樹立する工程、を含む、サル由来胚性幹細胞
    の生産方法。
  10. 【請求項10】 サルが、ニホンザル又はカニクイザル
    である、請求項9記載の方法。
  11. 【請求項11】 サルがカニクイザルである、請求項9
    記載の方法。
  12. 【請求項12】 工程(a)において、TALP液、T
    ALP−HEPES液及びBWW液からなる群より選ば
    れた培養液を用いる、請求項9〜11いずれかに記載の
    方法。
  13. 【請求項13】 工程(b)における体外培養法が微少
    懸滴培養法である、請求項9〜12いずれかに記載の方
    法。
  14. 【請求項14】 工程(b)において、培養温度が38
    ℃である、請求項9〜13いずれかに記載の方法。
  15. 【請求項15】 工程(b)において、培養条件が5%
    CO2 、5% O 2 、90% N2 の条件である、請
    求項9〜14いずれかに記載の方法。
  16. 【請求項16】 工程(b)において、CMRL−10
    66を用いて体外培養法を行なう、請求項9〜15いず
    れかに記載の方法。
  17. 【請求項17】 下記特性: (i)未分化状態を維持したまま増殖継代可能である、
    (ii) 起源のカニクイザル個体と同じ染色体数を有す
    る、(iii) 8〜12週齢のSCIDマウス又はヌードマ
    ウスの皮下、腎皮膜下又は精巣に移植することにより、
    多分化能が認められる、(iv) SSEA−1陰性であ
    り、かつSSEA−3とSSEA−4とに対して陽性で
    ある、及び(v) アルカリホスファターゼ活性が検出さ
    れる、を呈する、樹立されたカニクイザル由来細胞。
  18. 【請求項18】 8〜12週齢のSCIDマウス又はヌ
    ードマウスの皮下、腎皮膜下又は精巣に移植した場合、
    外胚葉、中胚葉及び内胚葉からなる群より選ばれた少な
    くとも1種への分化能を呈する、請求項17記載の樹立
    されたカニクイザル由来細胞。
  19. 【請求項19】 8〜12週齢のSCIDマウス又はヌ
    ードマウスの皮下、腎皮膜下又は精巣に移植した場合、
    ニューロン、グリア、筋肉、軟骨、骨、線毛上皮及び腸
    管上皮からなる群より選ばれた少なくとも1種への分化
    能を呈する、請求項17又は18記載の樹立されたカニ
    クイザル由来細胞。
  20. 【請求項20】 被検物質の存在下に、請求項1〜8い
    ずれかに記載のサル由来胚性幹細胞及び請求項17〜1
    9いずれかに記載のカニクイザル由来細胞からなる群か
    ら選択された細胞を維持することを特徴とする、組織又
    は細胞の特異的分化を行なうための試薬のスクリーニン
    グ方法。
  21. 【請求項21】 請求項1〜8いずれかに記載の胚性幹
    細胞及び請求項17〜19いずれかに記載のカニクイザ
    ル由来細胞からなる群から選択された細胞から分化して
    なる分化細胞又は分化組織。
JP2001180760A 2000-06-15 2001-06-14 カニクイザル由来胚性幹細胞 Expired - Fee Related JP5014535B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001180760A JP5014535B2 (ja) 2000-06-15 2001-06-14 カニクイザル由来胚性幹細胞

Applications Claiming Priority (7)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000180376 2000-06-15
JP2000-180376 2000-06-15
JP2000180376 2000-06-15
JP2000-278057 2000-09-13
JP2000278057 2000-09-13
JP2000278057 2000-09-13
JP2001180760A JP5014535B2 (ja) 2000-06-15 2001-06-14 カニクイザル由来胚性幹細胞

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2002159289A true JP2002159289A (ja) 2002-06-04
JP5014535B2 JP5014535B2 (ja) 2012-08-29

Family

ID=27343738

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2001180760A Expired - Fee Related JP5014535B2 (ja) 2000-06-15 2001-06-14 カニクイザル由来胚性幹細胞

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5014535B2 (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7323337B2 (en) 2001-06-08 2008-01-29 Dnavec Research Inc. Gene transfer into primate embryonic stem cells using VSV-G pseudotyped simian immunodeficiency virus vectors
KR101112748B1 (ko) * 2009-10-22 2012-03-13 중앙대학교 산학협력단 소의 체외 수태능력 예측 방법
US10017784B2 (en) 2005-10-28 2018-07-10 Id Pharma Co., Ltd. Gene transfer into airway epithelial stem cell by using lentiviral vector pseudotyped with RNA virus or DNA virus spike protein

Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO1996022362A1 (en) * 1995-01-20 1996-07-25 Wisconsin Alumni Research Foundation Primate embryonic stem cells

Patent Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO1996022362A1 (en) * 1995-01-20 1996-07-25 Wisconsin Alumni Research Foundation Primate embryonic stem cells

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7323337B2 (en) 2001-06-08 2008-01-29 Dnavec Research Inc. Gene transfer into primate embryonic stem cells using VSV-G pseudotyped simian immunodeficiency virus vectors
US10017784B2 (en) 2005-10-28 2018-07-10 Id Pharma Co., Ltd. Gene transfer into airway epithelial stem cell by using lentiviral vector pseudotyped with RNA virus or DNA virus spike protein
KR101112748B1 (ko) * 2009-10-22 2012-03-13 중앙대학교 산학협력단 소의 체외 수태능력 예측 방법

Also Published As

Publication number Publication date
JP5014535B2 (ja) 2012-08-29

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Gomez et al. Births of kittens produced by intracytoplasmic sperm injection of domestic cat oocytes matured in vitro
US20010049829A1 (en) Developmental competence for assisted reproduction and nuclear transfer in pigs
JP2003533976A (ja) 胚分割による霊長類子孫のクローン性増殖
Nagashima et al. The domestic dog embryo: in vitro fertilization, culture, and transfer
US7083977B2 (en) Monkey-origin embryonic stem cells
Yanagimachi Gamete manipulation for development: new methods for conception
Kurotaki et al. Practical reproductive techniques for the common marmoset
JP2010517563A (ja) イヌ科動物の体細胞核移植産子の生産効率を向上させる方法
JP5014535B2 (ja) カニクイザル由来胚性幹細胞
Kim et al. Fertilization and in vitro development of porcine oocytes following intracytoplasmic injection of round spermatid or round spermatid nuclei
Mitalipov et al. Nuclear transfer in nonhuman primates
CN113736728A (zh) 一种小鼠体细胞核移植胚胎培养液及胚胎培养方法
KR101763343B1 (ko) 체세포 또는 줄기세포의 핵 이식을 이용한 복제개의 생산방법
JP5234535B2 (ja) 哺乳動物未成熟卵子の体外成熟培養用添加剤及びそれを用いた成熟卵子の作出方法
Souza-Fabjan et al. Laparoscopic ovum pick up (LOPU) in goats: from hormonal treatment to oocyte possible destinations
Chang et al. Assisted reproductive technology in nonhuman primates
JP7257012B1 (ja) 卵子成熟促進剤及びその用途
Goel et al. Status and Prospects of Reproductive Biotechnologies of Small Ruminants in India: An Overview
KR20100081805A (ko) 체세포 또는 줄기세포의 핵 이식을 이용한 복제개의 생산방법
WO2023176017A1 (ja) 卵子成熟促進剤及びその用途
Menkir et al. In-vitro embryo production and transfer technology in cattle: An updated review article
Park et al. A New Sperm Preparation Method for Testicular Sperm Extraction-Intracytoplasmic Sperm Injection (TESE-ICSI) Cycles: Simple, Effective and Rapid Method
JP2002045085A (ja) クローン豚の作出方法
Nancarrow et al. Production of transgenic sheep
Vajta et al. Assisted reproduction technologies

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20080610

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20110201

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20110330

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20111214

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20120313

A911 Transfer of reconsideration by examiner before appeal (zenchi)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A911

Effective date: 20120508

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20120525

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20120606

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20150615

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees