JP2002157598A - 侵入者検知システム - Google Patents
侵入者検知システムInfo
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Abstract
者検知ができるとともに、侵入者の位置を高精度に特定
できるシステムを提供する。 【解決手段】 サブトラクタ120aにより最新原画像
I;tから固定背景I(B)を減算し、絶対値演算器125
aによりその絶対値を求めることにより、移動物体部分
が(比較的)高輝度でそれ以外の部分の輝度がほぼ0で
ある固定背景差分画像を生成する。前回の検知タイミン
グに取得した前回原画像I;t-1にも同様の処理を行う。
そして、サブトラクタ130によりそれら固定背景差分
画像同士の差をとる。これにより、移動物体の現在位置
の部分が正、前回位置の部分が負、背景部分がほぼ0と
なる差分画像が得られる。整流器135によりこの負値
部分を0にすることにより、移動物体の現在位置が正レ
ベルで他の部分がほぼ0の画像が得られ、移動物体の現
在位置を特定できる。
Description
入者を検知するシステムに関する。
メラで撮影した最新画像と保持している背景画像との差
分を取り、その差分画像を解析することで侵入者の有無
を判定するものが一般的である。従来手法は、背景画像
として何を用いるかにより、固定背景方式と連続背景更
新方式の2種類に大別できる。
した画像を背景画像として保持し、その後背景画像の更
新を行わずに同じ背景画像を利用する方式である。背景
画像の取り込みは、侵入者が存在しないタイミングで行
われる。
判定処理時の撮影画像を保持しておき、それを最新の撮
影画像と比較して判定処理を行う方式である。すなわち
この場合、背景画像は前回の撮影画像である。ただし当
然ながら、背景画像として採用されるのは、前回の判定
処理時に侵入者無しと判定された場合に限る。この方式
では、前回判定時からみて変化の起こった画像領域を抽
出でき、その変化領域の情報を侵入者の判定処理に用い
る。
の少ない環境の監視には有効な手法であり、例えば侵入
者が静止していても、侵入者がいないときの固定背景と
の比較によりそれを安定して検知できる。しかしなが
ら、この方式は、背景自体が変化するような環境での使
用には適さない。例えば屋外の監視では、時間によって
背景の輝度自体が変化してしまう。このように背景自体
が変化する環境の監視では、固定背景方式を採用する
と、侵入者有無の判定を含めシステム動作が不安定にな
るという問題があった。
に撮影した画像と最新画像を比較する方式なので、背景
が時間経過に従って徐々に変化していく環境の監視には
適している。しかしながら、この方式は、侵入者が静止
していたり、あるいはその動きが非常に緩慢な場合に
は、前回画像との差分が小さくなるため、侵入者を見逃
す可能性が大きい。また、この方式は、前回画像との単
純な差分を用いているため、侵入者が検知できたとして
も、その位置の特定精度はあまりよくない。なぜなら、
この方式では、(1)前回撮影時には侵入者がいたが今
回撮影時にはいなくなった領域と、(2)今回撮影時に
は侵入者がいるが前回撮影時には侵入者がいなかった領
域、の両方が変化領域として同時に検出されるからであ
る。
鑑みなされたものであり、従来の連続背景更新方式のよ
うに環境(背景)の変化に追従して安定的に侵入者判定
ができるとともに、固定背景方式のように侵入者の位置
を高精度に特定できるシステムを提供することを目的と
する。また本発明は、監視領域内で静止した侵入者も検
知できるシステムを提案する。
め、本発明に係る侵入者検知システムは、固定背景画像
を保持する手段と、前回の検知処理タイミングに監視カ
メラから取得した前回画像を保持する手段と、今回の検
知処理タイミングに監視カメラから取得した最新画像を
保持する手段と、最新画像及び前回画像について、それ
ぞれ固定背景画像との差分の絶対値をとって固定背景差
分画像を生成する手段と、最新画像についての固定背景
差分画像から前回画像についての固定背景差分画像を差
し引いて、移動物体の現在位置の部分が正の値を持つ差
分画像を生成し、この差分画像に基づき侵入者を検知す
る手段とを備える。
ムは、前回の検知処理タイミングにおいて検知した侵入
者の画像内での存在場所に関する情報を保持する手段
と、前記侵入者の画像内での前記存在場所について前記
最新画像及び前回画像の相関を求め、その相関が所定値
より高い場合に当該侵入者がその場所に静止していると
判断する手段とをさらに備える。
ステムは、前記監視カメラの監視領域内に存在する既知
の可動物体の存在領域を記憶する手段を備え、その存在
領域を侵入者検知対象から外して処理を行う。
き侵入者を検知する手段は、前記差分画像を2値化し、
その2値化結果の画像に現れる白画素塊を、当該画像内
での人間のサイズの範囲ごに統合し、その統合結果ごと
に侵入者か否かをを判定する。この態様において、白画
素塊の統合を、前記2値化結果を前記画像内での人間の
サイズに応じて低解像度化した低解像度画像を用いて行
うことにより、処理を簡便に行える。
た時間帯ごとに、それに対応する固定背景画像を保持
し、今回の検知処理タイミングの時間帯に対応する固定
背景画像を選択して用いる。
る時点で撮影した複数の固定背景画像を保持し、それら
複数の固定背景画像のうち、最新画像に対する類似性が
もっとも高い固定背景画像を選択して用いる。
区間に分けてそれぞれの区間で最適な固定背景画像を用
いることができるので、監視期間における背景の明るさ
の変化幅が著しい場合などでも、請求項1の原理による
侵入者検知を実行できる。
実施形態という)について、図面に基づいて説明する。
間間隔(例えば1秒)ごとの侵入者検知処理の際に、今
回監視カメラから最新の画像を取り込み、それを基準画
像と比較して侵入者の有無を判定する。従来方式でいえ
ば、基準画像として固定背景画像を用いるのが固定背景
方式であり、前回の検知処理時の撮影画像を用いるのが
連続背景更新方式である。これに対し、最新の撮影画
像、前回撮影画像、及び固定背景の3つの画像を用い
る。
する前に、説明の簡素化のために記号を導入する。ま
ず、所定時間間隔ごとの侵入者検知処理時点で最新の原
画像をI;t、前回検知処理時の原画像をI;t-1 と表
す。ここで原画像とは、侵入者検知システム付属の監視
カメラで得られた生のデジタル画像である。この画像に
対し後述する各種の画像処理が施され、侵入者の有無や
その位置などの各種判定が行われることになる。また、
添え字tは検知処理タイミングの一連番号である。ま
た、固定背景画像をI(B)と表す。また、画像I中の座
標(x,y)の画素値はyxを下付き添え字で付加する
ことにより表す。例えば、最新原画像I;tの座標(x,
y)の画素値はIyx;tとなる。なお、以下の処理では画
像の輝度に注目するので、以下画像Iは輝度画像(グレ
ースケール)であるものとする。監視カメラがカラーで
ある場合は、そのカラー画像から輝度画像を生成した上
で、以下に示す処理を実行する。
置の特定精度が悪かった理由は、最新原画像I;tと前回
原画像I;t-1の差分画像において、最新の侵入者位置と
前回の侵入者位置の両方が変化領域として検出されるた
めであった。ところが、このように両方が変化領域とし
て検出されても、背景が暗く侵入者が明るいという限定
された環境であれば、現在の侵入者位置が特定できる。
この点について、図1を参照して説明する。
(b)は前回の原画像、(c)は両者の差分の画像、す
なわち{(最新原画像)−(前回原画像)}を示す。こ
こでは、背景100及び移動物体(侵入者の候補)11
0はそれぞれ単一輝度とし、移動物体110は背景10
0よりも輝度が高いものとする。最新原画像(a)と前
回原画像(b)では、移動物体110の位置が移動して
いる。差分画像(c)では、差分値dが正(d>0)の
領域、負(d<0)の領域、ほぼ0(d≒0)の領域が
できる。ここで差分画像(c)において、前回原画像で
は移動物体110がないが最新原画像では移動物体11
0がある位置ではd>0であり、逆に前回原画像では移
動物体110があったが最新原画像では移動物体110
がなくなった位置ではd<0となっている。上記条件が
満たされれば、このような関係が維持される。したがっ
て、差分画像(c)において画素値が正になる部分が移
動物体110と推定できる。なお、本実施形態のシステ
ムでは、このように抽出した移動物体のうち、人間のサ
イズの範囲に収まるものを侵入者と判定する(詳細は後
述)。
に抽出することができない場合がある。例えば、移動物
体の輝度が均一で移動速度が低い(すなわち前回の検知
処理タイミングから今回までの移動距離が短い)場合に
は、移動物体の一部分しか抽出できない。しかしなが
ら、このような場合でも、前回に移動物体があった位置
を現在の移動物体の存在位置として誤検出することは防
がれるので、メリットは大きい。
境と同等な画像を作り出すのに固定背景方式を利用す
る。すなわち、最新原画像I;t及び前回原画像I;t-1か
ら、固定背景画像I(B)をそれぞれ減算する。本システ
ムが設置された環境が、背景の輝度変化の大きくないも
のであれば、各時点での撮影画像の背景部分と固定背景
画像の対応部分と輝度差よりも、移動物体と固定背景画
像との輝度差の方が一般に大きくなる。したがって、最
新原画像と固定背景との差分{I;t−I(B)}、及び前
回原画像と固定背景との差分{I;t-1−I(B)}のそれ
ぞれについて絶対値をとれば、それら各絶対値画像は背
景部分よりも移動物体の部分の方が高レベルとなった画
像、すなわち、背景が暗く移動物体が明るい画像、が得
られる。これら絶対値画像同士の差をとれば、前述した
原理のように、現検知処理タイミングでの移動物体の位
置が正の値、前回の移動物体の位置が負の値、前回も今
回もともに背景であった部分がほぼ0値、となる画像が
得られる。ここで、絶対値画像同士の差の負値の部分の
値を強制的に0に変更すれば、現在の移動物体の存在す
る部分のみが正の値となり、その他の部分がほぼ0とな
る画像が得られる。このようにして、現処理タイミング
における移動物体(すなわち侵入者の候補)を求めるこ
とができる。
回路図を参照して説明する。この図は、上記原理に従っ
た処理をわかりやすく説明するために、概念的な回路と
して示したものであり、実際にはこの回路機能はコンピ
ュータソフトウエアとして構築することが一般的であろ
う。ただし、この回路機能をハードウエア回路として構
築することももちろん可能である。この回路システムに
は、最新原画像I;t、前回原画像I;t-1、固定背景画像
I(B)の画像信号がそれぞれ入力される。サブトラクタ
(引算器)120aは最新原画像が固定背景を差し引
き、サブトラクタ120bは前回原画像から固定背景を
差し引く。絶対値演算器125a,125bは、サブト
ラクタ120a,120bから出力される引算結果の絶
対値を求めて出力する。サブトラクタ130は、絶対値
演算器125aの出力信号から絶対値演算器125bの
出力を差し引く。このサブトラクタ130の出力は、整
流器135を通ることにより、信号の負レベルの部分が
0レベルとなる。したがって、整流器135の出力信号
は、移動物体に対応する部分のみが正レベルで、他の部
分がほぼ0に近いレベルの信号となる。これが出力画像
Dである。この出力画像信正レベルの部分が、侵入者の
候補となる移動物体を表していると考えられる。
る。
ついて、画素ごとに差分及び絶対値演算が行われる。こ
の演算で得られる画像dを固定背景差分画像と呼ぶこと
にする。この演算を最新原画像及び前回原画像の両方に
ついて行い、固定背景差分画像d;t、d;t-1を求める。
式(2)では、これら両者の差(d;t−d ;t-1)が画素
ごとに計算され、さらに半波整流処理が行われる。この
結果得られる画像Dでは、移動物体の現在の存在領域が
正レベルで、他の部分が0となる。この画像Dを差分画
像と呼ぶことにする。
求められた差分画像Dに対し、2値化やラベリングなど
の画像処理を施すことにより、移動物体を表す画像部分
を切り出し、その大きさなどから、それが侵入者である
か否かを判定する。なお、この処理の詳細は、後に後述
する。
現時点での侵入者の位置を求める方法の概要を説明し
た。この方法を用いれば、侵入者が移動していれば、そ
れを検出してその現在位置を求めることができる。とこ
ろが、侵入者が静止してしまうと、上記の方法では侵入
者を検出できなくなる。そこで、本実施形態のシステム
では、静止している侵入者を検知するための手法を実装
している。以下、この手法について説明する。
監視領域に侵入してその位置に来るまでの間に、上述し
た移動物体の検知手法により必ず検知されているはずで
ある。そして、侵入者が静止している場合、前回の検知
処理タイミングにおいて上述の手法で検出された侵入者
と同じ場所にいる。このような知見に基づき、本実施形
態では、前回検知タイミングで侵入者が検出されている
場合に、その侵入者を表す画像領域について、前回原画
像と最新原画像の相関値を計算し、その相関値が所定の
しきい値以上の場合(すなわち前回原画像と最新原画像
がある程度以上似ている場合)に、侵入者がその場所で
静止していると判定する。
説明するための図である。この図の例は、前回の検知タ
イミングで撮影した前回原画像にて2人の侵入者140
a,140bが検出され、今回の検知タイミングでは侵
入者140aは前回の位置に止まっており、侵入者14
0bは前回の位置から動いている場合を示している。こ
の場合、今回の検知タイミングにおける静止侵入者検知
のためには、前回原画像及び最新原画像の中に、前回原
画像での各侵入者140a,140bの存在領域それぞ
れのバウンディングボックス(x、y軸に平行な辺から
なり、存在領域を取り囲む最小の矩形)を、相関処理領
域142a,142bとしてそれぞれ設定する。そし
て、相関処理領域142aと142bのそれぞれについ
て、前回原画像における当該領域の画像と最新原画像に
おける当該領域の画像との相関値を計算する。この例で
は、相関処理領域142aについては相関値が大きくな
り、相関処理領域142bについては相関値が小さくな
る。これにより、前回検知タイミングに相関処理領域1
42aにいた侵入者は、今回のタイミングでもその場所
に居続け、静止していると判定できる。
イントについて説明した。次に、本実施形態のシステム
構成及び処理内容について詳細に説明する。
システムのソフトウエア的なシステム構成を説明する。
この画像処理機構では、前述した最新原画像150,前
回原画像152、及び固定背景画像154の3つの画像
に加え、処理領域マスク156が用いられる。処理領域
マスク156は、監視領域内に存在する可動物体(例え
ば風によって揺れる可能性のある枝や木の葉の部分)を
侵入者検知処理から除くためのマスク画像である。侵入
者検知処理部160は、これら各画像150〜156を
用いて、各検知タイミングにて侵入者の検知処理を行う
処理モジュールである。侵入者検知処理部160は、典
型的には、以下に説明する処理内容を記述したプログラ
ムを、侵入者検知装置のCPUで実行することにより実
現される。侵入者検知処理パラメータ162は、この検
知処理で用いられる各種パラメータである。侵入者情報
格納領域164は、侵入者検知処理部160が検出した
侵入者の情報などを保持しておく記憶領域である。そし
て、作業領域166は、侵入者検知処理部160が検知
処理を行う際に利用する記憶領域である。なお、処理領
域マスク156や侵入者検知処理パラメータ162,侵
入者情報格納領域164の内容や利用の仕方について
は、後述する処理手順の説明の際にあわせて説明する。
図5を参照して説明する。
した検知タイミングでは、前回原画像が存在しないの
で、今回のタイミングで撮影した原画像を前回原画像I
;t-1にセットする(S10)。その後に続く処理ステッ
プS12〜S36のループは、検知タイミングが到来す
るごとに繰り返し実行される処理である。
回の検知タイミングにて監視カメラで撮影された原画像
を最新原画像I;tにセットする。
4)。この静止判定処理の概要についてはすでに図3を
参照して説明したが、ここではさらに図6のフローチャ
ートを参照してその手順を説明する。この処理手順で
は、侵入者情報格納領域164に格納されているすべて
の侵入者情報について、S40〜S44の処理を実行す
る。ここで、侵入者情報格納領域164には、後述する
S30の侵入者判定処理で検出された各侵入者ごとに、
その侵入者の存在領域その他の情報が格納されており
(詳細は後述)、ここではそれら各侵入者ごとに静止判
定が繰り返されることになる。まず、この繰り返し処理
の最初では、判定対象に選んだ侵入者の画像のバウンデ
ィングボックス(相関処理領域)について、前回原画像
I;t-1と最新原画像I;tとの間の画像の相関値が計算さ
れる(S40)。相関値Rは次式から計算される。
れ相関処理領域(バウンディングボックス)の左上隅及
び右下隅の頂点の座標を示している。この相関値Rは、
正規化相関係数と呼ばれ、0≦R≦1の範囲の値をと
る。そして、任意の定数λ(≠0)に関し、矩形領域の
すべての画素(x,y)についてIyx;t=λIyx;t-1が
成り立つ場合にのみ、R=1となる。すなわち、最新原
画像と前回原画像との間で、相関処理領域内の各対応画
素が比例関係の画素値を持っている場合に、R=1とな
る。そして、このように求めた相関値Rをあらかじめ定
めた規定値と比較し(S42)、相関値Rが規定値より
小さい場合は、現在判定対象としている侵入者情報を侵
入者情報格納領域164から削除する(S44)。この
場合、前回検知された侵入者は移動しているはずなの
で、このステップで侵入者情報を削除しても、その侵入
者はこの後のS30(詳細は後述)の侵入者判定処理に
て改めて検知されることになる。一方、S42の判定で
相関値Rが規定値以上の場合は、当該侵入者情報の削除
は行わない。これにより、前回検知タイミングで検出さ
れた侵入者が静止している場合は、その旨を検知して、
その静止している侵入者の侵入者情報を格納領域164
内に残すことができる。すなわち、静止している侵入者
は、S30の侵入者判定処理では検知されないが、この
静止判定処理により検知することができる。この静止判
定処理は、侵入者情報格納領域164に登録されている
すべての侵入者情報について行われるので、前回検知タ
イミングの終了時点で検知されているすべての侵入者に
ついて、静止しているか否かが判定でき、静止している
場合にはそれを格納領域164から削除しないようにす
ることができる。なお、電源投入後、最初の侵入者が検
知されるまでは、侵入者情報格納領域164は空なの
で、この侵入者静止判定処理は実質的には行われない。
なお、侵入者静止の判断基準となる相関値のしきい値
(規定値)は、例えば0.995などの大きい値とし、
侵入者検知処理パラメータ162に予め登録しておく。
わると、次に差分画像Dを求める(S16)。この差分
画像Dは、図2を用いて説明した処理操作により得られ
る、現在の移動物体の領域を抽出した画像である。S1
6において、Diff()は、最新原画像I;t、前回原画像
I;t-1及び固定背景I(B)から、前述の式(1)及び
(2)で表される演算処理により差分画像Dを求める処
理操作を表している。
画像Dに対し2値化処理を施す(S18)。S18にお
いてBinr()は2値化演算を表す。この2値化演算では、
差分画像Dの各画素ごとに、画素値(輝度)を2値化し
きい値と比較し、画素値がそのしきい値を越える場合は
その画素に白、すなわち2値のうちの“1”を割り当
て、それ以外の場合はその画素に黒、すなわち“0”の
値を割り当てる。この2値化処理は、移動物体部分とそ
れ以外の部分とを2値で区別できるようにするために行
う。
他の部分と正しく区別するには、2値化しきい値を画像
全体の輝度に応じて適切に設定する必要がある。このた
め、本実施形態では、判別分析法(大津の方法)を用い
ることにより、最適なしきい値を動的に計算する。ただ
し、この判別分析法は、入力画像によらず必ずしきい値
を算出するので、移動物体が存在しない画像でもその画
像に応じた2値化しきい値を算出してしまい、その結果
移動物体がないにもかかわらず2値化処理により白にな
る部分が現れる場合がある。本実施形態では、このよう
なことを防ぐため、差分画像Dに移動物体がない場合に
は判別分析法により求めたしきい値を用いず、予め設定
しておいた固定しきい値を用いる。すなわち、移動物体
がない場合には、差分画像Dの導出手順(式(1)、
(2)等参照)から分かるように、差分画像Dは全画素
がほぼ0に近い小さい値となるので、判別分析法で求め
られる2値化しきい値も0に近い小さい値となる。そこ
で、判別分析法で求めたしきい値をその固定しきい値と
比較し、固定しきい値の方が大きい場合には、固定しき
い値の方を2値化しきい値として採用する。このような
2値化しきい値制御により、移動物体がない場合に白画
素が生じることを防止することができる。固定しきい値
の値は、侵入者検知処理パラメータ162に予め登録し
ておく。なお、固定しきい値は、例えば、1画素8ビッ
ト(すなわち画素値が0〜255の整数)の画像で昼間
の場合には30程度に設定する。
画素として抽出されるのは、侵入者の候補となる厳密な
意味での移動物体のみとは限らない。例えば、監視領域
内の草木などの可動物体が風などで揺れた場合には、そ
の部分が白画素となることもあるし、画像取り込み処理
の際のハードウエアのノイズによって白画素が生じる場
合もある。また、カメラ自体が揺れれば、監視領域全体
がカメラに対して相対的に動いたことになり、白画素が
生じる。これらは、侵入者検知という観点から見ればい
ずれもノイズであり、正確な判定のためにこれらノイズ
の除去が求められる。本実施形態では、このようなノイ
ズに対する対策の一環として、まずマスク処理(S2
0)及び収縮・膨張処理(S22)を行う。
る草木等の既知の可動物が侵入者として検出されてしま
うのを防止するための処理である。すなわち、既知可動
物の存在領域自体は予め分かっているので、この処理で
は、2値画像B上の既知可動物の存在領域をマスクで覆
ってしまうことで、それが動いても白画素として抽出さ
れないようにする。マスク処理のための演算では、2値
画像Bと、予め用意した処理領域マスクM(図4では処
理領域マスク156)との論理積(&)を求める。マス
クMは、既知可動物の存在領域の各画素を黒(0)に、
それ以外の部分を白(1)にした画像である。この論理
積演算により、2値画像B上で既知可動物の部分に白画
素があったとしても、その部分はマスクにより値が0
(黒)になる。
アノイズやカメラの揺れなどによるノイズを除去するた
めの処理である。これらの原因によるノイズは、たいて
いの場合、せいぜい1画素程度の点状であったり、1〜
2画素程度の幅のライン状であったりすることが多い。
そこで、この収縮・膨張処理(S22)では、まずマス
ク処理済みの画像B1に対して収縮処理を施す。収縮処
理では、白画素の各塊を1画素幅ずつ狭める(黒画素部
分を広げると言ってもよい)。この処理により、2画素
幅の白画素のラインや点は消えてしまう。次に、この逆
の操作(すなわち膨張処理)を行うことで、消えてしま
った細いラインや点以外の大きな白画素塊は収縮前の状
態に戻る。
をN回行う用にすれば、2N画素幅の白画素の点やライ
ンを除去することができる。ノイズが大きい場合には、
収縮、膨張の繰り返し回数Nを大きく設定すればよい。
この回数Nの値は、ノイズ除去レベルとして、侵入者検
知処理パラメータ162に登録することができる。
その結果得られた画像B2 も対してラベリング処理を行
って、白画素群を連結成分の塊に分けて整理する(S2
4)。ラベリング処理には、公知の様々な手法があり、
本実施形態は基本的にそのいずれを用いてもよい。ラベ
リングにより、白画素の各塊(連結成分)ごとに、異な
るラベルが割り当てられる。例えば、本出願人が特願平
12−8783号で提案した高速ラベリング手法を用い
た場合、ラベリング処理を高速に行うことができるとと
もに、生成された白画素塊の位置や面積、重心位置など
幾何学的情報を同時に求めることができる。この手法の
詳細については、上記公開公報を参照されたい。
の一環として、小面積の白画素塊の除去処理を行う(S
26)。この処理では、ラベリングした白画素塊のう
ち、予め登録された面積(例えば10平方画素)未満の
もののラベリングを無効にする。ラベリングを無効とさ
れた白画素塊は、以降の処理では無視される。これによ
り、ノイズの可能性の高い小面積の白画素塊を除去する
ことができる。
合処理を行う(S28)。監視カメラの画像から1人の
侵入者が1つの白画素塊として抽出されることは少な
く、一般には、頭や胴、四肢といった部位ごとに異なる
塊として抽出されることが多い。そこで、この統合処理
では、それら1人の侵入者を構成すると考えられる複数
の塊を互いに関連づけて1つにまとめる。この処理で統
合するのは、画像内での互いの距離が所定のしきい値以
下である塊である。この統合処理の基準となる距離のし
きい値は、監視カメラの画像の中に映る人物のサイズに
応じて定め、侵入者検知処理パラメータ162に予め設
定しておく。例えば、監視カメラの撮影画像が水平64
0画素×垂直480画素であり、監視領域の幅が10m
である場合、1mの幅は約64画素に相当する。したが
って、この場合、水平方向には肩幅相当の20画素程度
のしきい値、垂直方向には胴体長さ相当の60画素程度
のしきい値をそれぞれ設定すれば、分離抽出された1人
の侵入者の各部位を1つに統合することができる。な
お、この例では、統合処理のための距離のしきい値を、
水平方向及び垂直方向のそれぞれについて定め、登録し
ているが、これはあくまで一例である。
度を落とす方法を用いる。ここで、解像度変換による統
合の原理を以下に説明する。
標(x,y)の画素値をByxと標記し、白画素は値
“1”、黒画素は値“0”であるとする。この2値画像
Bにラベリングを施して得たラベル画像Lを、水平方向
の距離しきい値2ux、垂直方向の距離しきい値2uyを
用いて統合する場合を考える。この統合処理のため、ま
ず元の2値画像Bから、解像度を落とした2値画像bを
生成する。低解像度2値画像bは、
なお、低解像度化に当たり、元の画像Bの外側(すなわ
ちx≧W、y≧H)は、画素値を0(黒)とする。低解
像度画像bを求める演算は、ξ=0,1,2,…,w−
1、η=0,1,2,…,h−1として、次のように表
される。
分割し、その画像Bの中で、低解像度画像b上の座標
(ξ,η)に対応するメッシュの中の各画素の値B yxの
論理和をとる処理を表している。すなわち、メッシュの
中に1つでも“1”(白)があれば、低解像度画像の当
該メッシュに対応する画素の値も“1”になる。
た低解像度画像bに対してラベリングを行う。このラベ
リングの結果得られたラベル画像lの各画素の値lhxを
用いて、元の2値画像Bに対応するラベル画像Lの各画
素の値を修正する。この修正の演算式を次に示す。
る。
ベル修正により、1人の侵入者を構成すると考えられる
各白画素塊に対して同じラベルが割り当てられる。以上
の処理は、厳密な意味では上述した水平及び垂直方向の
しきい値判定とは異なっているものの、得られる修正ラ
ベル画像Lは厳密な処理によって得られるものに近いも
のとなっている。そしてなによりも、この近似的な手法
は、厳密な処理よりも計算コストが大幅に少ないという
点で大きな利点を有する。
す。この例では、統合処理前のラベル画像200は8連
結ラベリング処理によるものである。低解像度ラベル画
像210は、元の画像200の2×3画素を1画素にし
ており、4連結ラベリングによりラベルを付与した結果
である。そして、統合処理結果220では、元の解像度
の画像の各白画素に対し、低解像度ラベル画像210の
対応画素と同じラベルが設定されている。
れた塊(以下「統合塊」という)について、重心や面積
などの幾何学的情報を計算することもできる。面積は、
同一ラベルを持つ画素の数を計数すればよいし、重心は
それら各画素の座標の平均をとることにより求めること
ができる。また、侵入者静止判定や後述する侵入者判定
の際の相関処理のために、統合塊のバウンディングボッ
クスを求めることもできる。これには、同一ラベルを持
つ画素のx、y座標それぞれの最小値及び最大値を求め
ればよい。また、前述の本出願人が特願平12−878
3号で提案した手法を用いて予め個々の塊の重心等が求
められている場合は、これを情報を利用して統合塊の重
心等をより高速に求めることができる。これには、例え
ば同じ侵入者の一部を構成する塊同士が同じラベルで統
合されるのに併せて、元は塊単位で求められていた面積
や重心、左上隅座標、右下隅座標などを、同一ラベルの
塊群での値に更新するわけである。例えば、ラベルnと
mが付与されていた塊が統合されてラベルNの統合塊と
なった場合、その統合塊Nの左上隅座標(xN (UL),yN
(UL))、右下隅座標(xN (LR),yN (LR))、面積SN、
重心座標(xN (G),yN (G))は、それぞれ次のように求
めることができる。
チェックし、予め登録された上限値を超える面積の統合
塊があった場合には、監視カメラの揺れ等による画像異
常と判断して、以降の侵入者検知処理を取りやめる。監
視カメラの揺れ等はノイズ処理においても取り上げた
が、ノイズ処理が対象とするのは比較的小さい揺れであ
るのに対し、ここでは、何らかの原因によりもっと大き
な揺れ等が生じた場合を対象とする。このように大きな
揺れが生じた場合、監視領域各部のカメラに対する相対
移動量はきわめて大きくなるので、ノイズとして除去さ
れなくなり、侵入者と誤認識される可能性がでてくる。
ところが、このような場合、ほぼ画面全体が前回の位置
から移動することになるので、白画素として抽出される
面積は非常に大きくなる。そこで、このことを利用し
て、統合塊の面積が所定の上限値より大きい場合は、侵
入者ではなく、カメラの揺れに起因するものと判断する
わけである。なお、この判断の基準として用いる上限値
は、監視カメラの画像内で侵入者が通常とりうる面積の
範囲より大きく定める。この上限値は、侵入者検知処理
パラメータ162に登録しておく。
を用いて侵入者判定処理を実行する(S30)。侵入者
判定処理の詳細を図8に示す。この処理では、統合処理
で求められた各統合塊ごとに、S50〜S56の処理に
より、その統合塊が侵入者であるか否かを判定する。
い面積を持っているかどうかを判定する。例えば前述し
た水平幅10mの監視領域を640×480画素の画像
として撮影する例の場合、身長170cm、肩幅50c
mの人物の画像を囲むバウンディングボックスの面積は
理論的には3840平方画素程度となる。ただし、実際
には、本実施形態では移動部分のみを抽出して2値化し
ており、また侵入者の全身がカメラによってとらえられ
るとは限らないので、統合塊の面積がもっと小さくなる
可能性も大いにある。逆に、侵入者が荷物を持っていた
り、複数人の侵入者が接近していたりする場合には、統
合塊の面積がその理論値よりも大きくなることもあり得
る。このようなことから、S50の判断基準は、上記理
論値から比較的余裕を持った幅にすることが望ましい。
例えば、理論値の25〜200%(870〜6969平
方画素)を、侵入者と判断する面積の範囲とするなどで
ある。この侵入者と判断する面積の範囲は、侵入者検知
処理パラメータ162に予め登録しておく。
積を持っていない(FALSE)と判定された場合、こ
の統合塊は侵入者でない可能性が極めて高いので、これ
についてはなにも行わず、次の統合塊の処理に移行す
る。
を持っている(TRUE)と判定された場合、次にその
統合塊のバウンディングボックスの内部について、最新
原画像I;tと前回原画像I;t-1の相関を演算する(S5
2)。
用いる。この相関演算は、照明の変化(屋内監視の場
合)や急激な天候変化(屋外監視の場合)などの場合
に、侵入者でないものを侵入者と判定することを防ぐた
めの処理である。すなわち、本実施形態では、移動物体
を抽出するのに最新原画像I;tと前回原画像I;t-1の輝
度差をみているため(式(1)、(2)参照)、天候や
照明状況の急変により監視領域内の既存物体(侵入者以
外)の輝度が変化した場合、それが差分画像D中に抽出
されてしまう。ところが、このような既存物体は動かな
いので、最新原画像と前回原画像とで、その物体の画像
は、輝度は変わっても全体的なパターンはほとんど変わ
らない。したがって、このような場合、式(3)により
求めた相関値はきわめて1に近い値になる。そこで、注
目している統合塊について求めた相関値が高ければ、そ
の統合塊は侵入者でないと判断するようにする。
めた相関値が予め登録しておいた規定値より小さいか否
かを判定し(S54)、相関値が規定値より小さい場合
にのみ、当該統合塊が侵入者であると判断し、その統合
塊の情報を侵入者情報格納領域164に格納する(S5
6)。なお、判断基準となる規定値は、例えば0.99
5などの高い値であり、予め侵入者検知処理パラメータ
162に登録しておく。なお、この規定値は、静止判定
処理(S12)で用いた規定値と兼用することもできる
し、それらを別々に登録することもできる。S46で侵
入者情報格納領域164に格納する情報は、その侵入者
の統合塊の幾何学的情報(面積、重心、バウンディング
ボックスの定義情報など)などである。このように格納
された侵入者情報は、次の検知処理タイミングでの侵入
者静止判定などに利用される。また、S54で相関値が
規定値以上であった場合、注目している統合塊は侵入者
でないと判断され、侵入者情報の登録は行われない。
合処理S28で求められたすべての統合塊に対して完了
すると、侵入者判定処理(S30)が完了する。する
と、再び図5のメインルーチンの処理に戻り、侵入者情
報格納領域164が空でないか判定する(S32)。そ
して、格納領域164が空でなければ、すなわち格納領
域164に侵入者情報が格納されていれば、侵入者が検
知されたと判定し、警報出力や監視者への通知などの処
理を実行する(S34)。一方、格納領域164が空で
あれば、侵入者はいないので、通知処理は行わない。
を前回原画像I;t-1にコピーした上で、S12に戻って
次の検知処理タイミングの処理に移行する。
説明したが、処理の安定性を向上させるために、S12
で最新原画像I;tを取得した後で、その原画像の平均輝
度レベルを求め、その平均輝度レベルが、予め想定して
いた範囲からはずれた場合には、その処理タイミングに
おけるS14以降の処理動作をスキップするようにする
ことも好適である。すなわち、侵入者検知が可能な画像
輝度の上限値及び下限値を予め侵入者検知処理パラメー
タ162に登録しておき、取得した原画像の平均輝度が
その上限値以上、または下限値以下になると、以降の処
理を取りやめる。これにより、明るすぎたり暗すぎたり
するときに無理に侵入者検知処理を行うことを防止し、
侵入者の誤検出を低減できる。
する侵入者検知装置の一例を、図9を参照して説明す
る。図4は、処理に用いるデータの観点から説明したシ
ステム構成図であったのに対し、この図9はよりハード
ウエアよりの図となっている。この例では、監視カメラ
が撮影した画像がNTSC映像信号の形で侵入者検知装
置300に入力される。装置300内の画像取込部30
2は、侵入検知処理部160からの制御指示に従ってN
TSC映像信号を取り込み、その信号をA/D変換して
フレームメモリ304に書き込む。ランダムアクセスメ
モリ308には、最新原画像や前回原画像が記憶される
とともに、それら両画像を用いた侵入者検知処理の際の
途中の計算結果が保持され、さらにその検知処理の結果
得られた侵入者情報が保持される。すなわち、ランダム
アクセスメモリ308は、図4における最新原画像15
0及び前回原画像152の保持部、作業領域166、及
び侵入者情報格納領域164として機能する。侵入者検
知処理部160は、フレームメモリ304に取り込んだ
画像(最新原画像)をランダムアクセスメモリ308に
展開し、その原画像と既にメモリ308内に保持されて
いる前回原画像とから、前述した処理を行うことによ
り、侵入者検知を行う。このときに参照される固定背景
画像154や処理領域マスク156、侵入者検知処理パ
ラメータ162は、不揮発性メモリ306に保持されて
おり、電源断などが起こってもある程度の期間は失われ
ないようになっている。システムアプリケーション31
0は、各種侵入者検知パラメータの設定など、オペレー
タからの操作を受け付けたり、あるいはネットワークを
介した他の装置との通信処理を行ったりする機能モジュ
ールである。侵入者検知処理部160は、侵入者を検知
すると(S34)、その旨をシステムアプリケーション
310に通知する。すると、システムアプリケーション
310は、警報装置制御信号を発して警報装置を作動さ
せたり、所定の場所に設置された上位システム(監視セ
ンタのホストなど)に侵入者情報を通知したりする。こ
の通知の際に、画像伝送処理部312を駆動して、その
際の最新原画像などを圧縮して上位システムへ伝送する
こともできる。
た。以上説明したように、本実施形態によれば、最新原
画像、前回原画像及び固定背景画像を組み合わせること
により、移動物体の現在位置の部分の輝度が高く、それ
以外の部分の輝度がほぼ0に近い差分画像Dを作成する
ので、この差分画像Dから移動物体の位置を精度よく特
定できる。この方式では、1秒程度という短い時間間隔
の最新画像と前回画像の差分をとるので、従来の連続背
景更新方式と同様、背景の明るさの変化の影響を受けず
に安定した検知処理を行える。
出した移動物体部分(2値画像Bの白画素の塊)群を、
人の大きさを基準として統合した上で、統合により得ら
れた統合塊について侵入者か否かを判定するので、撮影
状況により侵入者の身体の各部が分離して抽出された場
合でも、それらを統合して侵入者と判断することができ
る。
際に侵入者を検知した領域について、最新原画像と前回
原画像の相関をとることにより、侵入者が静止している
場合でもそれを検出することができる。
等の可動物体が存在することが分かっている場合、その
物体の存在領域を覆うマスクを設定し、その領域につい
ては侵入者検知の処理を行わないので、草木等の揺れを
侵入者と誤認識することを防止できる。
は、背景の輝度変化の幅が著しくない環境(すなわち、
侵入者の画像と固定背景との輝度差が、撮影した画像の
背景と固定背景の輝度差よりも大きいことが想定できる
環境)での運用を想定したものであり、そのような条件
が満たされる運用環境であれば、時間経過に伴って背景
の明るさが変化しても安定して侵入者を検知できる。
などでは、昼と夜、朝夕などで背景の明るさが著しく異
なる。このような場合にも侵入者検知を可能にするため
には、工夫が必要になる。以下、このような背景の変化
幅が大きい場合に対応可能な変形例を説明する。
昼、夜、朝、夕など、明るさの異なる各時点ごとに、そ
の時点の監視領域を撮影した固定背景画像154を用意
し、検知処理の際、その時点で適切な固定背景画像15
4を選択して利用するというものである。検知処理の際
の固定背景画像154の選択には、いくつかの方法があ
る。
帯に分け、時間帯ごとに利用する固定背景画像を設定し
ておくという方法である。侵入者の画像と固定背景画像
との輝度差が、撮影した画像の背景とその固定背景画像
の輝度差よりも大きくなるという条件が満足されるよ
う、時間帯を分割し、その時間帯に対応する固定背景画
像を用意する。この方法では、各検知処理タイミングに
おいて、現在時刻に該当する時間帯の固定背景画像を選
択して用いる。また、季節ごとに同じ時間でも背景の明
るさは異なるので、時間帯の分割や、各時間帯に用いる
固定背景画像を、季節ごとに定めておくことも好適であ
る。
て、撮影した原画像(最新原画像)にもっともよく似た
固定背景画像を選択するという方法もある。類似性は、
例えば画像同士の2乗偏差で測定できる。この場合、各
固定背景画像と最新原画像との2乗偏差をそれぞれ求
め、その2乗偏差がもっとも小さい固定背景画像を選択
する。最新原画像I(B)と固定背景画像のI;tの2乗偏
差Vは、次式で求めることができる。
素)である。このように、検知処理時に撮影した原画像
に対して類似性の高い固定背景を選択するという方法で
は、個々の検知処理の際の処理量は多くなるものの、時
間帯をチェックする必要がなく、また季節の移り変わり
に応じて時間帯と固定背景を変えるなどの処理も不要に
なるという利点がある。なお、この方法でも、侵入者の
画像と固定背景画像との輝度差が、撮影した画像の背景
とその固定背景画像の輝度差よりも大きくなるという条
件を満足するのに十分な種類の固定背景画像を用意す
る。
背景の明るさの変化幅が著しい監視環境でも、上記実施
形態で説明した効果が得られる。
と前回の原画像との差分の性質を説明するための図であ
る。
る。
するための図である。
点から示した図である。
示すフローチャートである。
ートである。
説明するための図である。
理手順を説明するための図である。
構成を示す図である。
定背景画像、156処理領域マスク、160 侵入者検
知処理部、162 侵入者検知処理パラメータ、164
侵入者情報格納領域、166 作業領域。
Claims (7)
- 【請求項1】 固定背景画像を保持する手段と、 前回の検知処理タイミングに監視カメラから取得した前
回画像を保持する手段と、 今回の検知処理タイミングに監視カメラから取得した最
新画像を保持する手段と、 最新画像及び前回画像について、それぞれ固定背景画像
との差分の絶対値をとって固定背景差分画像を生成する
手段と、 最新画像についての固定背景差分画像から前回画像につ
いての固定背景差分画像を差し引いて、移動物体の現在
位置の部分が正の値を持つ差分画像を生成し、この差分
画像に基づき侵入者を検知する手段と、 を含む侵入者検知システム。 - 【請求項2】 前回の検知処理タイミングにおいて検知
した侵入者の画像内での存在場所に関する情報を保持す
る手段と、 前記侵入者の画像内での前記存在場所について前記最新
画像及び前回画像の相関を求め、その相関が所定値より
高い場合に当該侵入者がその場所に静止していると判断
する手段と、 をさらに備える請求項1記載の侵入者検知システム。 - 【請求項3】 前記監視カメラの監視領域内に存在する
既知の可動物体の存在領域を記憶する手段を備え、その
存在領域を侵入者検知対象から外して処理を行うことを
特徴とする請求項1記載の侵入者検知システム。 - 【請求項4】 前記差分画像に基づき侵入者を検知する
手段は、前記差分画像を2値化し、その2値化結果の画
像に現れる白画素塊を、当該画像内での人間のサイズの
範囲ごとに統合し、その統合結果ごとに侵入者か否かを
を判定することを特徴とする請求項1記載の侵入者検知
システム。 - 【請求項5】 前記白画素塊の統合は、前記2値化結果
を前記画像内での人間のサイズに応じて低解像度化した
低解像度画像を用いて行うことを特徴とする請求項4記
載の侵入者検知システム。 - 【請求項6】 前記固定背景画像を保持する手段は、予
め設定された時間帯ごとに、それに対応する固定背景画
像を保持し、 前記固定背景差分画像を生成する手段は、今回の検知処
理タイミングの時間帯に対応する固定背景画像を選択し
て用いる、 ことを特徴とする請求項1記載の侵入者検知システム。 - 【請求項7】 前記固定背景画像を保持する手段は、明
るさの異なる時点で撮影した複数の固定背景画像を保持
し、 前記固定背景差分画像を生成する手段は、前記複数の固
定背景画像のうち、前記最新画像に対する類似性がもっ
とも高い固定背景画像を選択して用いる、 ことを特徴とする請求項1記載の侵入者検知システム
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