JP2002157283A - 増改築住宅の見積方法 - Google Patents

増改築住宅の見積方法

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JP2002157283A
JP2002157283A JP2000354379A JP2000354379A JP2002157283A JP 2002157283 A JP2002157283 A JP 2002157283A JP 2000354379 A JP2000354379 A JP 2000354379A JP 2000354379 A JP2000354379 A JP 2000354379A JP 2002157283 A JP2002157283 A JP 2002157283A
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Michio Baba
三千雄 馬場
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Asahi Kasei Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】将来の増改築を想定した建物を実現するための
基礎構造や架構構造及び耐力要素を配置して増改築前の
建物を建築する場合の見積と、将来の増改築を想定する
ことのない建物を建築する場合の見積を図面と共に顧客
に提示することで、顧客が両者の優劣を容易に比較検討
し得るようにする。 【解決手段】増改築住宅の見積方法は、予め増改築後の
構造体を想定し、該増改築後の構造体に基づいて基礎構
造及び骨組構造並びに耐力要素を含む構造計算を行い、
前記構造計算の結果得られた予め想定された増改築後の
構造体を実現するのに必要な基礎断面,柱断面及び耐力
要素を取り込んで増改築前の建物を設計し、且つ増改築
を想定することのない建物を設計し、夫々の価格及び意
匠図を出力して顧客に提示する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、戸建住宅や集合住
宅等の中低層住宅を建築するに際し、将来の増改築を見
込んで増改築前の建物を設計して見積し、且つ増改築を
見込むことのない建物を設計して見積し、夫々の価格と
図面を顧客に提示することで、増改築を見込んだ場合と
見込まない場合の比較を行なえるようにした増改築住宅
の見積方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】住宅を建築する場合、現在の家族構成に
基づいて設計し、この設計の中に比較的近い将来に確実
に実現するであろうことを見越して設計するのが一般的
である。また子供の成長に伴って、当初建築した個室を
広くする必要が生じたり、夫婦の部屋や居間等の居室を
広くする必要が生じることがあり、このような必要が生
じたとき、これらの要求に対し増築によって対応するこ
とが行なわれる。
【0003】住宅の増改築を行う場合、依頼内容に応じ
て個別に構造計算等を行って安全を確認しており、基礎
断面や柱,梁等の架構及び耐力要素の配置が充分でない
場合、既存の基礎や架構等の一部を取り壊して補強する
ことが行われる。特に、上階を増築する場合、既存の基
礎,架構や耐力要素の量では不足するのが一般的であ
り、これらの既存部分を補強した後、増築工事にかかる
のが一般的である。
【0004】このように、増築工事を行なう場合、工事
そのものが大がかりとなり、これに伴って工事期間が長
くなり、且つ費用も増大せざるを得ないという問題があ
る。また将来の増築を見越して当初から最終目的を満足
する大きな建物を建築した場合、初期投資が大きく、こ
の投資が無駄になる虞もあるという問題もある。
【0005】上記問題を解決するために本件出願人は、
将来の増改築に対応した階層や間取りを想定して構造計
算を行い、この計算の結果得られた増改築後の建物を実
現するのに必要な基礎,柱,耐力要素を取り込んで増改
築前の建物を設計する技術を開発して特許出願している
(特願平10-369263号)。この技術では、増改築前の建
物を建築した後、適度な期間を経て所定の増改築を行な
う際に、基礎や躯体に補修等を施すことなく既設の躯体
に増改築部分の構造体を接続する工事を行なうことで構
成することが出来る。このため、予め想定された増改築
工事を短期間で且つ低い費用で実施することが出来る。
【0006】一方、建物の設計を行なう場合、現在の家
族構成に適した間取りと、近い将来に生じるであろう家
族構成の変化や生活様式の変化を取り入れて想定した間
取りを顧客に提示し、提示されたプランの中で最適なも
のを選択し、選択された間取りに基づいて間仕切壁の位
置や耐力要素の配置を決定した後、構造計算を実施する
のが一般的である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】上記の如き将来の増改
築を見込んで増改築前の建物を設計する技術であって
も、未だ完成したものではなく、建物を設計する際に、
顧客が、増改築を見込んだ増改築前の建物の建築費用
と、増改築を見込むことのない建物の建築費用とを比較
し得るようになっていないという問題がある。
【0008】また最近では建物の長寿命化が要望され、
この要望を取り入れた建物も実現されつつある。このよ
うな建物では、居住期間が伸びるのに従って、住人の趣
味が変化したり周辺の住環境が変化し、変化した趣味や
周辺環境に対応させて外観を変更(例えば屋根形状の変
更や、外壁をタイル貼にする変更、或いはベランダの構
築等)することが必要になることがある。この場合、予
め想定された外観の変更に対応し得る躯体と基礎を持っ
た建物を設計すると共に、顧客に建築費用を提示するこ
とが出来れば有利である。
【0009】更に、寿命の長い建物の場合、家族構成が
変化して間取りを変更するような要求がなされることが
予想されるため、間取りの変更に対する自由度の高い建
物を設計すると共に顧客に建築費用を提示することが出
来れば有利である。
【0010】本発明の目的は、将来の増改築を想定した
建物を実現するための基礎構造や架構構造及び耐力要素
を配置して増改築前の建物を建築する場合の見積と、将
来の増改築を想定することのない建物を建築する場合の
見積を図面と共に顧客に提示することで、顧客が比較検
討し得るようにした増改築住宅の見積方法を提供するこ
とにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に本発明に係る増改築住宅の見積方法は、予め増改築後
の構造体を想定し、該増改築後の構造体に基づいて基礎
構造及び骨組構造並びに耐力要素を含む構造計算を行
い、前記構造計算の結果得られた予め想定された増改築
後の構造体を実現するのに必要な基礎断面,柱断面及び
耐力要素を取り込んで増改築前の建物を設計し、且つ増
改築を想定することのない建物を設計し、夫々の価格及
び意匠図を出力して顧客に提示することを特徴とするも
のである。
【0012】上記増改築住宅の見積方法では、予め、増
改築後の階層や間取り、或いは増改築後の屋根形状や外
壁の仕様等の増改築条件を設定することで、増改築後の
構造体を想定することが出来る。前記構造体に基づいて
基礎構造及び骨組構造,耐力要素の構造及び配置を含む
構造計算を行い、この構造計算の結果得られた増改築後
の構造体を実現するのに必要な基礎断面,柱断面及び耐
力要素を取り込んで増改築前の建物を設計することで、
前記設計仕様に基づいて、増改築前の建物の価格と意匠
図(平面図,立面図,透視図,柱割図,耐力要素配置図
を含む、以下同じ)を出力することが出来る。
【0013】また増改築を予想することなく、上記増改
築前の建物の階層と間取りを実現する構造体を設定する
と共に構造計算を行い、この構造計算の結果得られた基
礎断面,柱断面及び耐力要素を取り込んで建物を設計
し、この建物の価格と意匠図を出力することが出来る。
【0014】上記の如くして出力した増改築を想定した
増改築前の建物の意匠図及び価格と、増改築を想定する
ことのない建物の意匠図と価格とを顧客に提示すること
で、提示された顧客は両者を比較して検討することが可
能となり、この結果、当初の建物を増改築を想定したも
のとして建築するか、或いは増改築を想定することなく
建築するかの優位性を比較して決定することが出来る。
【0015】また本発明に係る他の増改築住宅の見積方
法は、増改築後の構造体を想定するに際し予め耐力要素
配置不可領域と耐力要素配置不可線分を設定しておき、
想定された増改築後の構造体に基づいて基礎構造及び骨
組構造並びに耐力要素を含む構造計算を行い、前記構造
計算の結果得られた予め想定された増改築後の構造体を
実現するのに必要な基礎断面,柱断面及び耐力要素を取
り込んで増改築前の建物を設計し、夫々の価格及び意匠
図を出力して顧客に提示することを特徴とするものであ
る。
【0016】上記増改築住宅の見積方法では、増改築後
の構造体を想定する際に、予め耐力要素を配置してはな
らない耐力要素配置不可領域と、耐力要素を配置しては
ならない耐力要素配置不可線分を設定しておき、この構
造体に基づいて構造計算を行なう場合、耐力要素配置不
可領域,耐力要素配置不可線分以外の領域及び線分に耐
力要素を配置すると共に、増改築後の構造体を実現する
のに必要な基礎断面,柱断面を取り込んだ増改築前の建
物を設計し、この設計に基づいた価格と意匠図を出力し
て顧客に提示することが出来る。
【0017】上記した増改築住宅では、耐力要素配置不
可領域は所望の位置に間仕切壁を配置して自由なプラン
を実現し得る平面的な領域として構成される。このた
め、前記耐力要素配置不可領域を、家族構成の変化に応
じて広さの異なる和室或いは洋室として構成することが
出来、用途の自由度の高い空間を実現することが出来
る。
【0018】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係る増改築住宅の
見積方法の好ましい実施形態について説明する。
【0019】本発明に係る第1の見積方法は、予め増改
築後の階層や間取り、或いは増改築後の屋根や外壁の仕
様を想定して構造体を想定し、この構造体を想定して構
造計算を行なって得た該構造体を実現するのに必要な基
礎断面や柱断面及び耐力要素を取り込んで増改築前の建
物を設計すると共に価格と意匠図を出力し、一方では、
増改築を想定することなく当初の階層と間取り、及び屋
根や外壁の仕様を満足する構造体を設定して構造計算を
行なって得た基礎断面や柱断面及び耐力要素に基づいて
建物を設計すると共に価格と意匠図を出力し、夫々の価
格と意匠図を顧客に提示することで、これらを提示され
た顧客が、価格と意匠図、及び将来の予測に基づいて比
較検討して長い目で見た優位性を判断し得るようにした
ものである。
【0020】将来の増改築としては、家族構成の変化に
伴う複数世代の同居に対応する上方への増築(2階建て
住宅を3階建て住宅に増築)や、上部階層の水平方向へ
の増築(2階のルーフベランダを居室として増築)があ
る。何れの場合も増築に伴って重量が増加し、下部階層
を構成する柱や梁からなる躯体及び基礎に対する負担が
増加することになる。このため、地震時に作用する水平
力の負担が多くなる。また増築に伴って外壁面積が増加
し、風による影響が大きくなって躯体及び基礎に対する
負担が増加する。
【0021】また将来の改築としては、住人の趣味の変
化や周辺の住環境の変化に伴う屋根の改築(例えば陸屋
根を寄棟屋根に改築)や外壁の改築(例えば外壁パネル
の塗装面をタイル貼り意匠に改築)、或いは建物の経時
的な劣化に伴う屋根や外壁の改築等がある。これらの場
合でも、躯体や基礎に対する負担荷重の増加を伴うこと
となり、地震時に作用する水平力の負担が大きくなる。
【0022】従って、予め将来の増改築を予測して構造
体を想定しておき、想定した増改築後の構造体の負担荷
重等の設計条件に基づいて柱,梁からなる骨組構造、基
礎構造及び耐力要素を含む構造計算を行うことで、増改
築後の建物に必要な骨組構造や基礎構造、及び耐力要素
の構造や数を設定することが可能である。また、当初建
築する増改築前の建物を設計するに際し、上記骨組構
造、基礎構造及び耐力要素を取り込んでおき、前記条件
で増改築前の建物を設計することが可能である。
【0023】そして、増改築後の骨組構造、基礎構造及
び耐力要素を取り込んで設計された増改築前の建物を建
築するのに必要な明細を含む価格を記載した見積書と、
平面図,立面図,透視図,柱割図,耐力要素配置図等を
含む意匠図を作成し、これらの情報を顧客に提示するこ
とで、予め増改築を見越した構造体を持った当初の建物
(増改築前の建物)の価格と、構造及びプランを具体的
に知らせることが可能である。尚、以下、単に「価格」
と記載した場合、明細と価格を記載した見積書を含むも
のとする。
【0024】一方、将来の増改築を見越すことなく、現
在の家族構成と極めて近い将来の家族構成の変化(例え
ば子供の成長に伴う個室の必要性等)を見込んで建物を
建築しておき、将来、増改築が必要になった場合には建
て換え、または骨組構造や基礎構造の補強及び耐力要素
の追加配置することもある。
【0025】この場合、当初の建物の構造体を想定する
と共に該構造体の骨組構造、基礎構造及び耐力要素を含
む構造計算を行い、この結果得られた骨組構造、基礎構
造及び耐力要素に基づいて当初の建物を設計し、更に、
この建物を建築するのに必要な価格と、平面図,立面
図,透視図等からなる意匠図を作成し、これらの情報を
顧客に提示することで、現在必要な建物の価格と構造及
びプランを具体的に知らせることが可能である。
【0026】従って、顧客は、増改築を見込んだ増改築
前の建物の価格と意匠図の情報、及び増改築を見込むこ
とのない当初の建物の価格と意匠図の情報とを比較して
検討することが可能となり、且つ建物に対して予測され
る将来の使用態様を想定しつつ、価格の検討を行なうこ
とが可能である。
【0027】また、上記の如くして増改築後の骨組構
造、基礎構造及び耐力要素を取り込んだ増改築前の建物
を建築するのに必要な価格と意匠図を作成した後、該増
改築前の建物を増改築後の建物に増改築するのに必要な
価格を出力し、更に、将来の増改築を見越すことのない
当初の建物を前記した増改築後の建物と同一の建物に増
改築する際に必要な価格を出力することが可能である。
【0028】前述したように増改築前の建物では骨組構
造、基礎構造及び耐力要素の配置が増改築後の建物の構
造を取り込んでいるのに対し、当初の建物では該当初の
建物を満足する構造でしかないため、増改築前の建物を
増改築後の建物に増改築する際の価格と、当初の建物を
増改築後の建物に増改築する際の価格とでは大幅な開き
が生じる。
【0029】従って、増改築を見込んだ増改築前の建物
の価格と意匠図の情報、増改築を見込むことのない当初
の建物の価格と意匠図の情報、前記増改築前の建物を増
改築後の建物に増改築する際に必要な価格、当初の建物
を増改築後の建物に増改築する際に必要な価格を夫々顧
客に提示することが可能であり、顧客は実際の増改築の
必要性を充分に想定しつつ、建築すべき建物の仕様(増
改築を見込むか否か)の検討と、価格の検討を行なうこ
とが可能となる。従って、充分に将来を見越した合理的
な建物を建築することが可能である。
【0030】このため、顧客は将来の家族構成の変化や
周囲の住環境の変化等の条件の変化に対する対応をより
具体的に検討して何れが有利であるかの決定を行なうこ
とが可能である。
【0031】本発明に係る第2の見積方法は、増改築後
の構造体を想定する際に、予め耐力要素配置不可領域と
耐力要素配置不可線分を設定しておき、構造計算を行な
って構造体に耐力要素を配置する場合、前記耐力要素配
置不可領域と耐力要素配置不可線分以外の領域と線分に
配置し、その後、増改築後の骨組構造、基礎構造及び耐
力要素を取り込んで設計された増改築前の建物を建築す
るのに必要な価格と、平面図,立面図,透視図等からな
る意匠図を作成し、これらの情報を顧客に提示すること
で、予め増改築を見越した構造体を持った当初の建物
(増改築前の建物)の価格と、構造及びプランを具体的
に知らせることが可能である。
【0032】上記の如く、増改築後の構造体を想定する
際に、耐力要素配置不可領域と耐力要素配置不可線分を
設定しておくことによって、この耐力要素配置不可領域
をプランの自由度の高い領域とすることが可能であり、
将来、家族構成の変化や趣味の変化により屋内の間取り
を変更する際に、耐力要素配置不可領域内に設けられて
いる間仕切壁の位置を変更しても構造体の強度に影響を
与えることがない。
【0033】従って、顧客は、間取りの変更に対し高い
自由度を持った建物の価格と意匠図の情報に基づいて価
格の検討を行なうことが可能である。
【0034】次に、上記見積方法の具体的な手順につい
て図を用いて説明する。本実施例では、増改築後の建物
は居室の増築を行なうことなく、陸屋根から寄棟屋根に
改築することで外観を変化させるようにしている。しか
し、居室部分の改築を行なう場合、或いは外壁の改築を
行なう場合、更には、居室の増築,屋根の改築,外壁の
改築、他の要素の増改築等を選択的に或いは複合的に行
なう場合であっても基本的な手順は同じである。
【0035】また本実施例では、増改築後の建物に於け
る屋内の居室部分と増改築前の建物に於ける屋内の居室
部分を間取りの変更を行なうことなく同一のプランとし
ている。しかし、屋内に耐力要素配置不可領域と耐力要
素配置不可線分を設定して、耐力要素の配置を行なうこ
とで、予め設定された耐力要素配置不可領域と耐力要素
配置不可線分には耐力要素が配置されることがなく、容
易に間取りの変更を行なうことが可能である。
【0036】図1は本実施例に係る見積方法の手順を説
明するフローーチャートである。図2は増改築後の建物
の外観を示す立面図である。図3は増改築後の建物の平
面図である。図4は増改築後の建物の屋根伏せ図であ
る。図5は当初の建物の外観を示す立面図である。図6
は増改築を見込んだ増改築前の建物の平面図である。図
7は増改築を見込んだ増改築前の建物の屋根伏せ図であ
る。図8は増改築を見込むことのない当初の建物の平面
図である。図9は増改築を見込むことのない当初の建物
の屋根伏せ図である。図10は本発明の見積方法を実施す
るのに好適な見積支援装置の構成を説明するブロック図
である。
【0037】前述したように、本実施例は、図5〜図7
に示す陸屋根1を持った建物(増改築前の建物A)を将
来は図2〜図4に示す寄棟屋根2を持った建物(増改築
後の建物B)に増改築し得るようにしたものと、図8,
図9に示す増改築を見込むことのない建物(当初の建物
C)との価格の比較と意匠図の比較を容易にし得るよう
にしたものである。
【0038】先ず、上記各建物A〜Cについて簡単に説
明する。図5,図6に示すように、増改築前の建物A
は、2階建ての住宅として構成されており、屋根は水勾
配を持った陸屋根1として構成されている。また外壁3
は下層がレンガ積み意匠で上層が縦目地意匠からなるツ
ートーン模様を有して構成されている。
【0039】前述したように、外壁3も本発明の対象と
なるものであり、例えば図3に示す外壁3をタイル貼り
意匠に増改築することによって、外壁の重量が増加する
ような場合も対象としている。
【0040】増改築前の建物Aは、図6(a)に示すよ
うに、1階には玄関4,洗面,浴室5,台所6,階段
7,便所8が設けられており、且つ廊下9a,洋室9
b,和室9cを含む広い部分が耐力要素配置不可領域9
として設定されている。即ち、廊下9a〜和室9cの内
部、及び耐力壁配置不可領域9内に配置された間仕切壁
10には耐力要素11が配置されることがなく、必要に応じ
て適宜間仕切壁10の位置を変更することで、耐力要素配
置不可領域9内を目的に応じた空間として活用し得るよ
うに構成されている。
【0041】尚、耐力要素配置不可領域9は外壁3及び
玄関4〜便所8との間仕切壁12を含むものではなく、該
耐力要素配置不可領域9の周囲を規制する外壁3,間仕
切壁12は、後述する耐力要素配置不可線分13を除く部位
が耐力要素11を配置し得る部位として構成される。
【0042】耐力要素配置不可線分13は、外壁3及び間
仕切12に於けるドアや窓等の開口14を構成する部位を対
象として設定されており、これらの外壁3,間仕切壁12
に設定された耐力要素配置不可線分13以外の部位が耐力
要素11を配置し得る線分として設定される。
【0043】また増改築前の建物Aの2階は、同図
(b)に示すように、複数の室15及びベランダ16が配置
されている。本実施例では、2階には耐力要素配置不可
領域は構成されず、便所8及び各室15を仕切る複数の間
仕切壁17は、夫々耐力要素11を配置し得るように構成さ
れている。
【0044】増改築前の建物Aの屋根は、増図(c)に
示すように、陸屋根1として構成されている。この陸屋
根1は全体が緩やかな水勾配を有しており、外観上は略
平坦な屋根として構成される。このような陸屋根1で
は、束材や勾配梁が不要であり、軽量な屋根として構成
される。
【0045】次に、増改築後の建物Bの外観及び間取り
について図2,図3により説明する。図に示すように、
本実施例では、屋根を増改築することを対象としている
ため、増改築前の建物Aと比較して1階,2階の間取
り、及び外壁3に変更はなく、屋根が寄棟屋根2に増改
築されている点でのみ異なるものである。このため、図
2,図3共に屋根を除いては、図5,図6と同様であ
る。
【0046】次に、増改築を見込むことのない当初の建
物Cの間取りについて図8により説明する。当初の建物
Cは、外観が増改築前の建物Aと同一に構成されると共
に屋内の間取りも略同一に構成されている。しかし、同
図(a)に示す1階には、耐力要素配置不可領域が設定
されることなく、廊下20,洋室21,和室22が夫々間仕切
壁23によって独立して構成されている。
【0047】上記の如く、増改築前の建物Aでは陸屋根
1を寄棟屋根2に増改築することを見込んた条件に基づ
いて設計された図示しない骨組構造,基礎構造を構成す
ると共に耐力要素11を配置しており、この骨組構造,基
礎構造,耐力要素11の配置は増改築後の建物Bと同一で
ある。しかし、当初の建物Cでは増改築を見込むことが
ないため、建物自体の重量の増加やこれに伴う地震時の
負荷の増加等を加味する必要がなく、増改築前の建物A
と比較して簡易な骨組構造,基礎構造及び耐力要素を有
している。
【0048】ここで、本実施例に係る見積方法を実施す
るのに好適な見積支援装置の構成について図10を用いて
説明する。図に於いて、見積支援装置40は、制御部41
と、入力部42と、出力部43とを有して構成されており、
制御部41と入力部42及び出力部43がインターフェース44
を介して接続されている。
【0049】制御部41は、演算部41aと、入力部42から
入力された目的の住宅に対応させたデータや演算結果の
データを一時記憶する一時記憶部41bと、予め増改築住
宅設計手順のプログラムや判定手順が書き込まれたプロ
グラム記憶部41cと、目的の建物の間取りを設定する際
の構成要素、例えば、玄関や台所、或いは居間,和室等
の個別の機能を満足させるための要素や各種断面形状を
持った基礎のデータ,各種断面形状を持った柱のデー
タ,各種形状を持った耐力要素のデータ等を記憶させた
構成要素記憶部41dと、構造計算を実行するためのプロ
グラムが書き込まれた計算プログラム記憶部41eと、増
改築後の建物Bの構造計算を行う増改築後建物演算部41
fと、増改築前の建物Aの構造計算を行う増改築前建物
演算部41gと、増改築することのない当初の建物Cの構
造計算を行なう当初建物演算部41hと、構成要素毎の値
段と取付工賃のデータを記憶させた価格データ記憶部41
iと、建物の平面図,立面図,透視図からなる意匠図を
出力するためのデータを記憶させた意匠図データ記憶部
41jと、を有して構成されている。
【0050】入力部42はキーボード42aやマウス42b及
びスキャナー42c等の入力手段を有して構成され、また
出力部43はディスプレイ43a及びプリンター43bを有し
て構成されている。
【0051】上記の如く構成された設計装置40では、増
改築後の建物B、増改築前の建物A、当初の建物Cの間
取りを設定するのに必要な情報、例えば土地の面積や地
型等、増改築後の建物Bの構造計算を行うのに必要な情
報、例えば地耐力や単位面積当たりの積載荷重等からな
る増改築後の建物B,増改築前の建物A及び当初の建物
Cを設計するのに必要な全データを入力部42から入力し
て制御部41の一時記憶部41bに記憶させ、その後、地型
をディスプレイ43aに表示しつつ建物の外形を決定し、
更に、構成要素記憶部41dから間取りを構成する要素を
読み出して建物の形状に当てはめて行くことで、各階の
間取りを設定することが可能である。
【0052】また各階の間取りを設定した後、増改築後
建物演算部41fでは計算プログラム記憶部41eに記憶さ
れた構造計算のプログラムに従って地盤の耐力情報及び
風や地震力による力の作用を解析して構造計算を実施す
る。この過程で、オペレーターはディスプレイ43aを確
認しつつ、基礎構造を設定し、各階の柱や梁を含む架構
を設定し、更に各階の壁面に耐力要素を配置する作業を
進行させることが可能である。
【0053】特に、予め耐力要素配置不可領域9及び耐
力要素配置不可線分13を入力しておくことで、構造計算
に伴って耐力要素を配置する際に、耐力要素配置不可領
域9以外の領域、及び耐力要素配置不可線分13以外の線
分に配置することが可能である。
【0054】上記の如くして設定された増改築後の建物
Bから増改築に対応した部分を除いた増改築前の建物A
の間取りを設定し、増改築前建物演算部41gでは計算プ
ログラム記憶部41eに記憶された構造計算のプログラム
に従って地盤の耐力情報及び風や地震力による力の作用
を解析して構造計算を実施することが可能である。
【0055】そして、設定された各階の間取り、及び基
礎伏図、柱位置や梁伏図、耐力壁の配置、屋根伏せ図
(図4,図7)等をプリンター43bによって出力するこ
とが可能である。また増改築後の建物Bに対応した構造
計算の結果に対し増改築前の建物Aに対応した構造計算
の結果が適合するか否かを判定して判定結果を得ること
が可能である。
【0056】更に、構造計算の結果が適合するとして判
定されたとき、意匠図データ記憶部41jから増改築前の
建物Aに対応させた平面図(図6),立面図(図5)か
らなる意匠図を出力すると共に、価格データ記憶部41i
から増改築前の建物Aを建築するのに必要な価格を出力
することが可能である。
【0057】また各階の間取りを設定した後、当初建物
演算部41hに記憶された構造計算のプログラムに従って
構造計算を実施し、各階の柱や梁を含む架構を設定し、
更に各階の壁面に耐力要素を配置する作業を進行させる
ことが可能である。
【0058】上記の如くして設定された当初の建物Cの
各階の間取り、及び基礎伏図、柱位置や梁伏図、耐力壁
の配置、屋根伏せ図(図9)等をプリンター43bによっ
て出力することが可能である。更に、意匠図データ記憶
部41jから当初の建物Cに対応させた平面図(図8),
立面図(図5)からなる意匠図を出力すると共に、価格
データ記憶部41iから増改築前の建物Aを建築するのに
必要な価格を出力することが可能である。
【0059】次に、上記増改築前の建物Aと当初の建物
Cを設計すると共に価格及び意匠図を出力する手順につ
いて図1のフローチャートに従って説明する。尚、図に
於いて太い点線で囲まれた範囲は増改築を見込んた増改
築前の建物Aの価格及び意匠図を出力する手順を示し、
点線の範囲外の部分は当初の建物Cの価格及び意匠図を
出力する手順を示す。
【0060】先ず、ステップS1では増改築後の建物B
及び増改築前の建物Bを設計するのに必要な土地の面積
や地型等、及び地耐力や単位面積当たりの積載荷重等の
全データを入力手段42によって入力する。
【0061】ステップS2では、入力された全データの
中から増改築後の建物Bの間取りを設定するのに必要な
CADデータを選択し、増改築後の建物Bの間取りを設
定する。本実施例では、屋根の増改築を対象としている
ため、増改築前の建物Aの間取りと増改築後の建物Bの
間取りとは同一に設定されている。従って、同時にステ
ップS8ではステップS2と同一の操作を行なって、増
改築後の建物Bと同一のCADデータを選択して増改築
前の建物Aの間取りを設定する。
【0062】特に、屋根を設定する場合、ステップS2
に於いて増改築後の建物Bでは寄棟屋根に対するCAD
データが選択され、またステップS8に於いて増改築前
の建物Aでは陸屋根に対するCADデータが選択され
る。
【0063】設定された各階の間取り及び屋根の形状は
ディスプレイ43aに表示され、必要に応じてプリンター
43bによって意匠図の一部として出力される。
【0064】上記の如く、寄棟屋根2を有する増改築後
の建物Bに対し、実際に建築する増改築前の建物Aは陸
屋根1を有する建物として設定されている。
【0065】次に、ステップS3では、上記の如き階層
と間取りを持った増改築後の建物Bについて基礎構造,
柱や梁からなる骨組構造、及び耐力要素の構造と配置位
置を決定するための構造計算を行うのに必要なデータを
抽出する。同様にステップS9に於いて、増改築前の建
物Aについて構造計算を行うのに必要なデータを抽出し
ておく。
【0066】そしてステップS4に於いて、抽出された
データに基づいて増改築後の建物Bに対応する構造計算
を実施する。この計算は地盤の耐力や増改築後の建物の
高さ及び重量等に基づき、風及び地震により作用する水
平力を加味した通常の構造計算であり、予め制御部41の
計算プログラム記憶部41eに記憶させたプログラムをス
テップS6で読みだして実行される。
【0067】上記構造計算の過程で、ステップS5で
は、増改築後の建物Bの構造を合理的に設定するよう
に、該増改築後の建物Bを構成する構成要素を必要に応
じて変更する。この構造計算の結果、ステップS7で
は、増改築後の建物Bに対し最適な状態で対応させた基
礎断面,柱断面,梁断面からなる架構の断面形状及び耐
力要素の構造と配置位置等を設定する。
【0068】上記構造計算の結果、図示しない基礎の伏
図及び1階の床梁の配置及び耐力要素11の位置が設定さ
れる。即ち、増改築後の建物Bの周囲に基礎が配意さ
れ、該基礎に1階の床梁及び耐力要素11が配置される。
このとき、耐力要素11は、予め設定された耐力要素配置
不可領域9以外の領域、及び耐力要素配置不可線分13以
外の線分に配置される。
【0069】同様にして、2階部分にも2階の床梁が配
置され、2階の床梁を支持する柱及び耐力要素が夫々所
定の位置に配置され、更に、寄棟屋根2には、図4に示
すように、両端が柱に支持された梁31,両端が梁31に支
持された梁32及び斜め梁35,棟梁36を支持する支持梁34
を取り付けるための梁33が夫々所定の位置に配置され
る。
【0070】上記の如くして増改築後の建物Bの間取り
が設定されると共に、この間取りに基づく増改築後の建
物Bの基礎断面,柱断面及び耐力要素11の構造と位置が
設定される。しかし、前記増改築後の建物Bの構造は設
定された間取りに対し一義的に設定されるものではな
く、多種,多様の構造を設定することが可能である。即
ち、ステップS7で設定した増改築後の建物Bに対し最
適な状態で対応させた基礎断面,柱断面及び耐力要素の
構造と位置等であっても、これらは単なる一例にすぎな
い。
【0071】次に、ステップS7で設定された増改築後
の建物Bに対応させた基礎断面,柱断面,耐力要素11の
構造と位置のデータをステップS10に転送し、転送され
た増改築後の建物Bに対する構造を増改築前の建物Aの
階層に対応する部分にそのままの状態で取り込んで、増
改築前の建物Aの基礎断面,柱断面,耐力壁の構造と位
置とする。
【0072】そして、ステップS10では、増改築後の建
物Bに対応させた基礎断面,柱断面,耐力要素の構造と
位置を取り込んだ増改築前の建物Aに対する構造計算を
実行する。この構造計算は制御部41の計算プログラム記
憶部41eに記憶させたプログラムをステップS6で読み
だして実行される。
【0073】次に、ステップS11では、ステップS10で
実行した増改築前の建物Aに対する構造計算の結果が、
ステップS4で実行した増改築後の建物Bに対する構造
計算の結果と適合しているか否かを比較検討して判定し
て出力する。
【0074】増改築後の建物Bに対応させた基礎断面,
柱断面,耐力壁の構造と位置を増改築前の建物Aに適用
した場合、増改築前の建物の構造としては過大な仕様と
なり、該増改築前の建物Aに作用する水平力等に充分に
対抗し得るものである。しかし、増改築後の建物Bの形
状と増改築前の建物Aの形状が極端に異なるような場
合、必ずしも過大な仕様であることを条件として満足し
得るものではなく、建物に作用する水平力に対抗し得な
くなることがある。特に、この傾向は鉄骨造の建物では
顕著であり、増改築後の建物Bに対応させた基礎断面,
柱断面,耐力要素の構造と位置を取り込んだ増改築前の
建物Aの構造が強度的に満足するか否かを検討すること
が必要である。
【0075】ステップS11で増改築後の建物Bに対応さ
せた基礎断面,柱断面,耐力要素の構造と位置を取り込
んだ増改築前の建物Aの構造が強度的に満足するか否か
を判定した結果、強度的に不満である場合には、増改築
前の建物Bの基礎断面,柱断面,耐力要素の構造と位置
が増改築後の建物Bの基礎断面,柱断面,耐力要素の構
造と位置に適合しないものと判断してステップS5に戻
り、増改築後の建物Bに於ける基礎構造,柱や梁等から
なる架構構造,耐力要素の構造と位置を含む構成要素を
変化させ、その後、ステップS4〜ステップS10を実行
して、ステップS11で再度、増改築前の建物Aに対する
構造計算の結果が、ステップS4で実行した構造を変更
した後の増改築後の建物Bに対する構造計算の結果と適
合しているか否かを比較検討する。
【0076】上記ステップS5に於ける構成要素の変化
は、オペレーターがディスプレイ43aの表示を確認しつ
つ適宜行うことが好ましい。
【0077】ステップS11で増改築後の建物Bに対応さ
せた基礎断面,柱断面,耐力要素の構造と位置を取り込
んだ増改築前の建物Aの構造が強度的に満足するか否か
を検討した結果、強度的に満足した場合には、増改築前
の建物Aの基礎断面,柱断面,耐力要素の構造と位置が
増改築後の建物Bの基礎断面,柱断面,耐力要素の構造
と位置に適合したものと判断してステップS12に進行
し、ステップS1で入力された全データから増改築前の
建物Aを設計する。
【0078】ステップS12に於いて設定された増改築前
の建物Aの構造に応じて、ステップS13では、基礎伏
図,2階の梁伏図,図7の屋根梁の屋根伏せ図を出力す
ると共に、ステップS14で意匠図データ記憶部41jから
意匠図を出力するのに必要なデータを読み出して図5に
示す各方向の立面図、及び図6に示す各階層の平面図を
出力し、更に、価格データ記憶部41iから増改築前の建
物Aを建築するのに必要な構成要素のデータを読み出し
て価格表を夫々出力する。
【0079】上記の如くして出力された平面図(図6)
では、1階に耐力要素配置不可領域9及び耐力要素配置
不可線分13が設定されているため、耐力要素配置不可領
域9内に配置されている間仕切壁10は所望の位置に変更
することが可能であり、間取りの自由度の高い空間を形
成することが可能である。
【0080】またステップS15では、増改築前の建物A
と同一の階層と間取りを持った当初の建物Cに対する構
造計算を行なう。この構造計算は、増改築後のことにつ
いて考慮する必要がないため、単に、設定された階層と
間取りに対応させて、地盤の耐力や当初の建物Cの高さ
及び重量等に基づき、風及び地震により作用する水平力
を加味した通常の構造計算を行なう。
【0081】上記構造計算の結果、図示しない基礎の伏
図及び1階の床梁の配置及び耐力要素11の位置が設定さ
れる。当初の建物Cでは耐力要素配置不可領域9及び耐
力要素配置不可線分13は設定されていないため、全ての
外壁3及び間仕切壁23が耐力要素11の配置対象となる。
後述するように当初の建物Cでは、屋根の増改築を想定
しないため、骨組構造や基礎構造は、陸屋根1に対応し
得るもので良い。このため、負担荷重が小さくなり、増
改築前の建物Aと比較して耐力要素11の配置数が少なく
なる。
【0082】また2階部分にも2階の床梁が配置され、
2階の床梁を支持する柱及び耐力要素が夫々所定の位置
に配置される。
【0083】更に、屋根は増改築前の建物Aと同様に陸
屋根1として構成されるため、図9に示すように、陸屋
根1には、両端が柱に支持された梁31,両端が梁31に支
持された梁32が夫々所定の位置に配置される。即ち、屋
根の増改築を考慮することのない当初の建物Cでは、寄
棟屋根を構成する斜め梁や、該斜め梁を支持する支持梁
等を設ける必要がなく、屋根の構成部材の数は増改築前
の建物Aと比較して減少している。
【0084】次いで、ステップS16に進行し、ステップ
S1で入力された全データから増改築前の建物Aを設計
する。
【0085】ステップS16に於いて設計された当初の建
物Cの構造に応じて、ステップS17では、基礎伏図,2
階の梁伏図,図9の屋根梁の屋根伏せ図を出力すると共
に、ステップS18で意匠図データ記憶部41jから意匠図
を出力するのに必要なデータを読み出して図5に示す各
方向の立面図、及び図8に示す各階層の平面図を出力
し、更に、価格データ記憶部41iから増改築前の建物A
を建築するのに必要な構成要素のデータを読み出して価
格表を夫々出力する。
【0086】ステップS13で出力された増改築前の建物
Aの価格と意匠図、及びステップS17で出力された当初
の建物Cの価格と意匠図は夫々顧客に提示される。従っ
て、顧客は建物を建築するに当たって、屋根を陸屋根か
ら寄棟屋根に増改築することを考慮した増改築前の建物
Aと、該増改築前の建物Aと同じ階層と間取りを持った
当初の建物Cの意匠図を比較しつつ、同時に価格の比較
を行なうことが可能となり、増改築を準備した建物と準
備することのない建物の優劣を認識しつつ、実際に建築
すべき建物の仕様を決定することが可能である。
【0087】上記当初の建物Cでは、1階が高い自由度
を持った空間として構成されるものではない。しかし、
予め1階に耐力要素配置不可領域と耐力要素配置不可線
分を設定しておくことで、間取りの自由度の高い空間を
構成することが可能である。従って、増改築を考慮する
か否かに関わらず、予め耐力要素配置不可領域と耐力要
素配置不可線分を設定しておくことによって、間取りの
設定に対し高い自由度を持った建物の価格を出力すると
共に意匠図を出力することが可能である。
【0088】上記の如くして増改築後の建物Bに対応さ
せた基礎断面,柱断面,耐力壁の構造と位置を取り込ん
だ増改築前の建物Aの価格と意匠図、及び増改築を考慮
することのない当初の建物Cの価格と意匠図を夫々出力
した後、エンドとなって終了する。
【0089】尚、本実施例では、屋根を増改築する場合
の見積方法について説明したが、上部に又は水平方向に
居室を増築する場合であっても、同様の手順で見積する
ことが可能である。即ち、建物を増増改築する場合であ
っても、同様の手順で見積することが可能である。
【0090】また外壁3を異なる意匠(例えばタイル貼
り)に増改築するような場合であっても、同様の手順で
見積することが可能である。特に、外壁3を増改築する
ような場合、外壁の全周を増改築することなく、一部の
面(例えば道路に面した面や外から見える面)を増改築
する場合でも、増改築後の重量等の条件を入力すること
で、上記と同様の手順で見積することが可能である。
【0091】
【発明の効果】以上詳細に説明したように本発明に係る
増増改築住宅の見積方法では、予め増増改築後の建物に
対応させた基礎断面,柱断面,耐力壁の構造と位置を取
り込んで増増改築前の建物を設計し、且つ増増改築前の
建物と同様の階層と間取りを持った当初の建物を設計
し、夫々の設計結果に対応した価格と意匠図とを出力し
て顧客に提示することで見積することが出来る。
【0092】このため、価格と意匠図を提示された顧客
は、増増改築を見込んだ建物と、増増改築を見込むこと
のない建物との優劣を比較することが可能となり、より
長い見方で住宅を建築することが出来る。
【0093】また本発明に係る第2の見積方法では、予
め耐力要素配置不可領域と耐力要素配置不可線分を設定
することで、構造計算の際の耐力要素の配置を規制する
ことが出来る。このため、間取りの自由度の高い空間を
実現し得る建物を見積することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施例に係る見積方法の手順を説明するフロ
ーーチャートである。
【図2】増改築後の建物の外観を示す立面図である。
【図3】増改築後の建物の平面図である。
【図4】増改築後の建物の屋根伏せ図である。
【図5】当初の建物の外観を示す立面図である。
【図6】増改築を見込んだ増改築前の建物の平面図であ
る。
【図7】増改築を見込んだ増改築前の建物の屋根伏せ図
である。
【図8】増改築を見込むことのない当初の建物の平面図
である。
【図9】増改築を見込むことのない当初の建物の屋根伏
せ図である。
【図10】本発明の見積方法を実施するのに好適な見積支
援装置の構成を説明するブロック図である。
【符号の説明】
A 増改築前の建物 B 増改築後の建物 C 当初の建物 1 陸屋根 2 寄棟屋根 3 外壁 4 玄関 5 洗面,浴室 6 台所 7 階段 8 便所 9 耐力要素配置不可領域 9a,20 廊下 9b,21 洋室 9c,22 和室 10,12,17,23 間仕切壁 11 耐力要素 13 耐力要素配置不可線分 14 開口 15 室 16 ベランダ 31,32,33 梁 34 支持梁 35 斜め梁 36 棟梁 40 見積支援装置 41 制御部 41a 演算部 41b 一時記憶部 41c プログラム記憶部 41d 構成要素記憶部 41e 計算プログラム記憶部 41f 増改築後建物演算部 41g 増改築前建物演算部 41h 当初建物演算部 41i 価格データ記憶部 41j 意匠図データ記憶部 42 入力部 42a キーボード 42b マウス 42c スキャナー 43a ディスプレイ 43b プリンター 43 出力部 44 インターフェース
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G06F 17/60 318 G06F 17/60 318A

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 予め増改築後の構造体を想定し、該増改
    築後の構造体に基づいて基礎構造及び骨組構造並びに耐
    力要素を含む構造計算を行い、前記構造計算の結果得ら
    れた予め想定された増改築後の構造体を実現するのに必
    要な基礎断面,柱断面及び耐力要素を取り込んで増改築
    前の建物を設計し、且つ増改築を想定することのない建
    物を設計し、夫々の価格及び意匠図を出力して顧客に提
    示することを特徴とする増改築住宅の見積方法。
  2. 【請求項2】 増改築後の構造体を想定するに際し予め
    耐力要素配置不可領域と耐力要素配置不可線分を設定し
    ておき、想定された増改築後の構造体に基づいて基礎構
    造及び骨組構造並びに耐力要素を含む構造計算を行い、
    前記構造計算の結果得られた予め想定された増改築後の
    構造体を実現するのに必要な基礎断面,柱断面及び耐力
    要素を取り込んで増改築前の建物を設計し、夫々の価格
    及び意匠図を出力して顧客に提示することを特徴とする
    増改築住宅の見積方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2016130988A (ja) * 2015-01-15 2016-07-21 住友林業株式会社 建物の建設計画提案システム
JP2017120572A (ja) * 2015-12-28 2017-07-06 積水化学工業株式会社 間取り作成装置および間取り作成支援システム

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JP2016130988A (ja) * 2015-01-15 2016-07-21 住友林業株式会社 建物の建設計画提案システム
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