JP2002155254A - 再剥離型粘着剤組成物および粘着製品 - Google Patents

再剥離型粘着剤組成物および粘着製品

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JP2002155254A
JP2002155254A JP2000354960A JP2000354960A JP2002155254A JP 2002155254 A JP2002155254 A JP 2002155254A JP 2000354960 A JP2000354960 A JP 2000354960A JP 2000354960 A JP2000354960 A JP 2000354960A JP 2002155254 A JP2002155254 A JP 2002155254A
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polymer
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pressure
adhesive
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JP2000354960A
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Hiroaki Hasegawa
裕彰 長谷川
Manabu Sano
学 左野
Naoki Tokimine
直樹 常峰
Satoshi Tazaki
智 田▲崎▼
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Nippon Shokubai Co Ltd
Original Assignee
Nippon Shokubai Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 粘着力が良好で再剥離性と耐曲面貼り性に優
れた粘着製品を得ることのできる粘着剤組成物を提供す
る。 【解決手段】 異なるモノマー組成のモノマー成分Aと
モノマー成分Bとを有機溶剤中でラジカル重合して得ら
れる粘着剤用ポリマーと、多価カルボン酸とを含む粘着
剤組成物であって、上記モノマー成分AおよびBは、そ
れぞれ異なる(メタ)アクリル酸アルキルエステルを主
体とし、モノマー成分Aのみから形成されるポリマーA
とモノマー成分Bのみから形成されるポリマーBとが非
相溶となるように選択されたものであり、ラジカル重合
方法が、まずモノマー成分Aを反応器に仕込んで重合を
行い、モノマー成分Aの重合開始後であって、かつ、モ
ノマー成分Aの重合率が50%を超えない時点で、前記
反応器へモノマー成分Bの投入を開始して重合を行うも
のであることを特徴とする再剥離型粘着剤組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、再剥離型粘着剤組
成物およびその製造方法に関する。さらに詳しくは、各
種基材に適用可能であり、特にポリプロピレン等から製
造される合成紙に対して良好な密着性を有する粘着剤層
を形成することができ、被着体に貼付した後、再び剥離
する際に(再剥離時)、粘着剤が凝集破壊して被着体に
粘着剤の跡が残る等の不都合を起こさず、また曲面に貼
り付けても端が浮き上がったりしない粘着製品を提供す
ることのできる再剥離型粘着剤組成物および粘着製品に
関するものである。
【0002】
【従来の技術】(メタ)アクリル酸アルキルエステルを
主たる構成成分とするアクリル系粘着剤は、タック、粘
着力、凝集力等の基本物性に加え、耐熱性、耐候性、耐
水性、耐油性等に優れていることから、粘着ラベル、シ
ート、テープ等の粘着製品に幅広く使用されている。
【0003】一般的に、これらの粘着製品は、被着体に
貼付した後は剥離されることがほとんどない永久接着型
と、被着体に貼付した後に再び剥離することが想定され
る再剥離型に分類することができ、近年は、環境対応や
リサイクルの必然性から、再剥離型粘着製品の使用量が
増大している。
【0004】再剥離型粘着製品に用いられる粘着剤は、
被着体に貼付されてから長時間経過した後であっても、
糊残り等の被着体汚染を起こさずに、きれいに剥離でき
ることが要求される。このため、例えば、永久接着型の
粘着剤の架橋密度を上げる、あるいは、粘着剤用ポリマ
ーのガラス転移温度を高める、といった手段で、凝集力
の向上を図れば、糊残りがなくなって再剥離性が向上す
ると考えられる。しかし、これらの手段では、再剥離性
は向上するが、粘着力が低下してしまうという問題があ
った。
【0005】一方、近年、再剥離型粘着剤を用いた粘着
ラベルが清涼飲料水やアルコール飲料の缶ラベルとして
用いられている。この缶用粘着ラベルは、ポリプロピレ
ン等から製造される合成紙に粘着剤層を設けたものが多
く使用されている。ここで、基材となる合成紙は、通
常、基層とその両側(または片側)に紙状層とを備えた
積層構造であり、紙のような白さと優れた印刷適性、耐
水性等を備え、プラスチックフィルムと同等の強さを持
つ素材である。缶の素材は良接着性素材である金属が多
いため、ラベルの粘着力を確保することは簡単である
が、再剥離の際に、ラベルの基材である合成紙の強度よ
りも缶との粘着力が大きいことによって、合成紙を構成
する基層と紙状層の界面剥離が起こったり、強度の弱い
紙状層部分が破断してしまういわゆる基材切れを起こす
ことがあった。
【0006】界面剥離や基材切れを防ぐためには、粘着
ラベルと被着体との粘着力を小さくすることが考えられ
るが、粘着力を小さくすると、缶等の曲面に貼り付けた
場合に、基材の反発力を緩和する能力が低下して、結果
として端部が浮いてしまい、いわゆる耐エッジリフト性
が悪くなってしまう。
【0007】さらに、飲料缶の場合、保温のための熱履
歴によって粘着力の異常な増大が起こったり、缶の冷却
による露結で耐水性に劣るラベルではすぐ剥離してしま
う等の問題があった。
【0008】これらの問題を解決するために、(メタ)
アクリル系粘着剤に配合する添加剤についていくつかの
検討がなされている。例えば、特開昭58−14127
1号には、添加剤として、エチレン性不飽和カルボン酸
の誘導体にリン酸、スルホン酸、または硫酸あるいはそ
れらのアルカリ塩を付加した化合物を用いる方法が開示
され、また、特開平10−287850号には、添加剤
として、非イオン性界面活性剤を用いる方法が開示され
ている。
【0009】しかし、上記の方法によっても、特に高温
・高湿条件下で長時間曝された場合に、剥離時の被着体
の汚染が起こる傾向が高い。これらの従来技術を踏ま
え、本発明者等は、再剥離性や耐曲面貼り性をさらに向
上させるため、種々の検討を続けている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明では、粘着剤用
ポリマーの重合方法を改善すると共に、有用な添加剤を
見出すことによって、耐曲面貼り性に優れ、強粘着力を
示し、さらに再剥離性にも優れた粘着製品を得ることの
できる粘着剤組成物の提供を課題とするものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決した本発
明に係る再剥離型粘着剤組成物は、異なるモノマー組成
のモノマー成分Aとモノマー成分Bとを有機溶剤中でラ
ジカル重合して得られる粘着剤用ポリマーと、多価カル
ボン酸とを含む粘着剤組成物であって、上記モノマー成
分AおよびBは、それぞれ異なる(メタ)アクリル酸ア
ルキルエステルを主体とし、モノマー成分Aのみから形
成されるポリマーAとモノマー成分Bのみから形成され
るポリマーBとが非相溶となるように選択されたもので
あり、ラジカル重合方法が、まずモノマー成分Aを反応
器に仕込んで重合を行い、モノマー成分Aの重合開始後
であって、かつ、モノマー成分Aの重合率が50%を超
えない時点で、前記反応器へモノマー成分Bの投入を開
始して重合を行うするものであるところに要旨を有す
る。
【0012】特定の重合方法の採用によって、得られる
粘着剤用ポリマーは、構成成分(モノマー成分AとBの
割合)が異なり、かつ、連続的な組成勾配を有するポリ
マーの集合体となる。その結果、一つ一つのポリマーの
有するガラス転移温度(Tg)が異なることとなり、得
られるポリマー自体のTgはシャープなピークを示さ
ず、ブロードとなるので、幅広い温度範囲で良好な粘着
力を示し、再剥離性に優れた粘着製品が得られる。
【0013】なお、本発明で「非相溶」というのは、−
100〜150℃の範囲で、有機溶剤等の溶媒を含まな
い状態で、少なくとも2種以上の異なる組成を持つポリ
マーが相溶していないことを意味する。例えば、2種以
上の異なる組成のポリマーが含まれる混合物において、
動的粘弾性測定によって測定されるtanδのピーク
(あるいはDSCで測定されるTgのピーク)が1個の
み現れるようなポリマー混合物は相溶しているが、非相
溶のポリマー混合物は、それぞれの異なる組成を持つポ
リマーに由来するTgに応じたピークが1個ずつ、つま
り複数個現れることとなる。
【0014】一方、上記特定の重合方法によって得られ
る粘着剤用ポリマーは、Tgが少しずつ異なる組成のポ
リマーが多数生成するので、それぞれの組成のポリマー
に由来する複数のTgに応じたピークが重なり合って、
シャープなピークを示さず、ブロードなピークとして観
測される。すなわち、複数の種々のTgの集合体として
ブロードなピークとなるのであり、これが本発明の好ま
しい形態である。
【0015】本発明の粘着剤組成物の必須成分である多
価カルボン酸は、一般式HOOC−R−COOH(Rは
炭素数8〜28の飽和または不飽和炭化水素基)で表さ
れる化合物であることが好ましい。
【0016】粘着剤用ポリマー100質量部に対し、多
価カルボン酸は0.5〜20質量部含まれていることが
好ましい。なお、本発明には、本発明の粘着剤組成物を
用いて得られる粘着製品も含まれる。
【0017】
【発明の実施の形態】本発明者等は、再剥離型粘着剤に
適したポリマーとしては、様々な剥離速度に対応できる
ように、低温から高温まで幅広い温度域で物性が変化し
ないか、若しくはその変化の度合いが小さいものである
ことが好ましいとして、共重合比を少しずつ変えること
によってTgが少しずつ異なるポリマーを作れば、この
ようなポリマーの集合体は、全体としてはブロードなT
gやtanδを示すと考え、本発明に到達したものであ
る。以下、本発明を詳細に説明する。なお、「ホモポリ
マー」と特に断る場合以外の「ポリマー」という言葉
は、コポリマーやターポリマー以上の多元共重合体を代
表するものとする。
【0018】本発明の粘着剤用ポリマーは、特定の重合
方法によって得られるものであり、その重合方法は、組
成の異なるモノマー成分Aとモノマー成分Bを用い、モ
ノマー成分Aの方は反応器へ仕込んで、少なくともモノ
マー成分Aの重合開始後に、モノマー成分Bを滴下また
は分割投入するところにポイントがある。
【0019】モノマー成分Aの重合が開始した後に、モ
ノマー成分Bの投入を開始することによって、モノマー
成分Bの投入前は、モノマー成分Aのみからなるポリマ
ーが形成されるが、モノマー成分Bの投入直後はモノマ
ー成分Aがリッチなポリマーが形成される。モノマー成
分Bの添加が終了する頃にはモノマー成分Aは残り少な
くなっているので、モノマー成分Bがリッチなポリマー
かモノマー成分Bのみからなるポリマーが形成される。
【0020】例えば、モノマー成分Aとモノマー成分B
を50質量部ずつ用い、モノマー成分Aの全てを反応器
に仕込んでから、少なくとも、モノマー成分Aの重合開
始後からモノマー成分Bを1質量部ずつ滴下した場合、
モノマー成分Bの最初の滴下直後は、反応器内のモノマ
ー組成は、モノマー成分Aが50質量部、モノマー成分
が1質量部となっているため、このまま重合させれば、
共重合比が50:1(質量比)のポリマーが形成され
る。そして、モノマー成分Bの滴下が進行していくと、
モノマー成分Aはポリマー化によって反応系内に存在す
る量が少なくなっていくので、重合後期では、モノマー
成分Bがリッチなポリマーが形成される。最終的に得ら
れるポリマーは、例えば、共重合比が50:1のポリマ
ーから、1:50のポリマーまで、共重合組成が少しず
つ異なるポリマーの集合体となる。以下、このような本
発明の目的に沿うポリマーを勾配組成ポリマーという。
【0021】勾配組成ポリマーは、共重合組成が少しず
つ異なるポリマーの集合体であるので、そのTg(ta
nδまたはDSC微分曲線のピーク)は、各組成のポリ
マーのTgが少しずつ異なるため、全体としては、図1
にtanδのピークを概念的に示すように、均一組成の
Tgに比べてブロードなものとなる。
【0022】本発明の粘着剤用ポリマーを得るために
は、モノマー成分Aのみから形成されるポリマー(以下
ポリマーA)とモノマー成分Bのみから形成されるポリ
マー(以下ポリマーB)とが非相溶となるように各モノ
マー成分を選択することが好ましい。均一に相溶する2
種のポリマーを形成することのできる2種のモノマー成
分を本発明の重合方法によって重合したところで、前記
したブロードなTgを示すポリマー集合体を得ることが
できないからである。
【0023】上記特定の重合方法で得られるポリマー
は、ポリマーAと、ポリマーBと、AとBの共重合組成
が少しずつ異なる種々のポリマーとの混合物となるの
で、ポリマーAとポリマーBとが非相溶であっても、A
とBの共重合組成が少しずつ異なる種々のポリマーの存
在によって、全体として相溶した状態のポリマー(混合
物)となる。具体的には、2種以上の異なる組成のポリ
マーに由来する複数のTgに応じたピークが重なり合っ
て、ブロードな(シャープでない)ピークを示すポリマ
ーとなる。つまり、本発明で好ましく採用される上記特
定の重合方法によって得られる粘着剤用ポリマーは、ポ
リマーAとポリマーBとに、さらに、複数の勾配組成の
ポリマーが加わった種々の異なる組成のポリマーの集合
体となり、勾配組成故に安定な相溶状態を示し、これに
よって本発明の目的とする再剥離性に優れた粘着剤用ポ
リマーとなる。なお、モノマー成分Bの滴下開始時期が
モノマー成分Aの重合開始直後であればポリマーAおよ
び/またはポリマーBが生成しないこともあり得る。
【0024】なお得られるポリマーは、完全に相溶して
いる場合と、微視的な海島構造(ミクロドメイン構造)
を採る場合とがあるが、乾燥ポリマー膜が透明であれ
ば、いずれでも差し支えない。
【0025】本発明で採用される重合方法では、反応器
には先ずモノマー成分Aを仕込んでおく必要がある。モ
ノマー成分Aも滴下すると、勾配組成ポリマーができな
いためである。通常、モノマー成分Aの全てを一括して
反応器へ仕込む方が簡便であるが、モノマー成分Aの重
合開始前であれば、分割して仕込んでもよい。また、モ
ノマー成分Bの投入が開始される前であれば、一旦モノ
マー成分Aの重合を途中で中断して、重合再開後にモノ
マー成分Bを添加することも可能である。
【0026】仕込み段階でのモノマー成分Aの濃度(溶
媒との混合物中のモノマー成分Aの濃度)としては、3
0〜80質量%が好ましい。30質量%より少ないとポ
リマーの分子量が上がりにくく、80質量%以上では、
重合時の発熱量が大きくなって、除熱等の温度制御が難
しいため好ましくない。より好ましいモノマー成分Aの
濃度は40〜70質量%である。なお、モノマー成分A
の濃度は重合溶媒に応じて適宜設定変更可能である。例
えば、連鎖移動が起こりやすいトルエン等を重合溶媒と
して用いる場合には、分子量を上げるためには、モノマ
ー成分Aの濃度を上げることが好ましい。ただし、発熱
量が上がって温度制御が難しいため、重合初期の溶剤と
しては連鎖移動の発生が少ない酢酸エチルを用いること
が推奨される。
【0027】モノマー成分Bの最初の投入は、反応器に
仕込まれたモノマー成分Aの重合開始後であって、か
つ、重合率が50%を超えない時点で行う。モノマー成
分Aの重合率が50%を超えてしまうと、ポリマーAが
反応容器中に既にかなりの量生成しているため、モノマ
ー成分Bの重合相手となるモノマー成分Aが相対的に少
なくなって、勾配組成ポリマーを得ることができない。
この意味で、モノマー成分Bの最初の投入は、モノマー
成分Aの重合率が低い段階で行うことが推奨される。重
合率が20%以下の段階で行うことがより好ましく、1
0%以下がさらに好ましく、モノマー成分Aの重合開始
直後が最も好ましい。なお、重合の開始時点は、重合容
器の内温を測定することにより、重合による発熱が開始
した時点として計測することができる。また、還流温度
で重合する場合は、重合溶媒の揮発が激しくなった時点
として捉えることができる。
【0028】モノマー成分Bの投入は、3分割以上に分
割投入することが好ましく、滴下が最も好ましい。Tg
をブロードにするためには、反応容器内のモノマー成分
Bがなくならないように、すなわちモノマー成分Bの濃
度が所定量以上には減少しないように、所定の速度で添
加することが好ましいからである。具体的には、反応器
内のモノマー成分Bの残存量を経時的に測定してモノマ
ー成分Bの消費速度を算出し、その消費速度から反応器
内へ添加すべきモノマー成分Bの量を調整すれば、若干
のタイムラグがあるが、反応器内のモノマー成分Bの存
在量を一定にすることができる。
【0029】また、モノマー組成の異なるモノマー成分
Aとモノマー成分Bとは、お互いがそれぞれ存在してい
れば(いずれかが0でなければ)その比率は特に限定さ
れないが、1:9〜9:1(質量比)とすることが好ま
しい。すなわち、両者の合計量を100質量%として、
モノマー成分Aを10〜90質量%、モノマー成分Bを
90〜10質量%とすることが好ましい。モノマー成分
Aを20〜80質量%、モノマー成分Bを80〜20質
量%とすることがより好ましい。
【0030】重合は、有機溶剤中で、いわゆる溶液重合
によって行う。溶液重合法は、重合時の重合熱の除去が
容易であり、操業性が良いからである。溶媒の具体例と
しては、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;酢
酸エチル、酢酸ブチル等の脂肪族エステル類;シクロヘ
キサン等の脂環族炭化水素類;ヘキサン、ペンタン等の
脂肪族炭化水素類等が挙げられるが、上記重合反応を阻
害しなければ、特に限定されない。これらの溶媒は、1
種類のみを用いてもよく、2種類以上を便宜混合して用
いてもよい。なお、溶媒の使用量は、適宜決定すればよ
い。
【0031】重合開始剤としては、メチルエチルケトン
パーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、ジクミル
パーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド、
クメンハイドロパーオキサイド、t−ブチルパーオキシ
オクトエート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ラ
ウロイルパーオキサイド、商品名「ナイパーBMT−K
40」(日本油脂社製;m−トルオイルパーオキサイド
とベンゾイルパーオキサイドの混合物)等の有機過酸化
物や、アゾビスイソブチロニトリル、商品名「ABN−
E」[日本ヒドラジン工業;2,2’−アゾビス(2−
メチルブチロニトリル)]等のアゾ系化合物等の公知の
ラジカル重合開始剤を利用することができる。
【0032】重合開始剤は、モノマー成分A用とモノマ
ー成分B用が必要であり、モノマー成分A用のものは反
応器に仕込み、モノマー成分B用のものはモノマー成分
Bを添加する際に一緒に添加する。モノマー成分A用と
モノマー成分B用の重合開始剤は同種のものでも異種の
ものでもよく、いずれにおいても2種類以上の開始剤を
混合して使用してもよい。また、モノマー成分Bの添加
が終了した後に、低分子量のポリマー低減を目的として
後添加用開始剤(ブースター)を添加してもよい。開始
剤量は合計で、モノマーの質量に対して、0.01〜1
質量%となるように使用することが好ましい。あまり多
いと、粘着特性の優れた高分子量のポリマーが得られな
いことがある。粘着特性の点からは、粘着剤用ポリマー
全体としての重量平均分子量Mwは20万以上が好まし
く、30万以上がより好ましい。上限は特に限定されな
いが、溶液重合では200万を超えるポリマー合成は難
しいため、200万以下が好ましく、100万以下がよ
り好ましい。
【0033】重合温度や重合時間等の重合条件は、例え
ば、モノマー成分A・Bの組成や、重合溶媒、重合開始
剤の種類、あるいは、得られる粘着剤用ポリマーの要求
特性、粘着剤の用途等に応じて適宜設定すればよく、特
に限定されない。また、反応圧力も特に限定されるもの
ではなく、常圧(大気圧)、減圧、加圧のいずれであっ
てもよい。なお、重合反応は、窒素ガス等の不活性ガス
の雰囲気下で行うことが望ましい。
【0034】ポリマーA(モノマー成分Aのみから形成
されるポリマー)とポリマーB(モノマー成分Bのみか
ら形成されるポリマー)は、いずれか一方のポリマーの
Tgが−70〜−30℃となるように、モノマー組成を
選択することが好ましい。Tgがこの温度範囲であれ
ば、常温(23℃)で良好な粘着力を示すためである。
また、このとき、他方のポリマーは、前記ポリマーのT
gと10℃以上差があることが好ましい。両者のTgの
差が広ければ広いほど、勾配組成ポリマーとなったとき
のTgが幅広くブロードになって、広い温度範囲で良好
な粘着特性を示すからである。ただし、他方のポリマー
のTgが+30℃を超えるようになると、得られる勾配
組成ポリマーの常温での粘着力が低下してしまうので、
+30℃以下になるようにモノマー成分組成を選択する
ことが好ましい。Tgの低い方のポリマーを構成するモ
ノマー成分はAであってもBであってもよい。ポリマー
のTgはDSC(示差走査熱量測定装置)、DTA(示
差熱分析装置)、TMA(熱機械測定装置)によって求
めることができる。また、ポリマーのTg(K)とモノ
マーの質量分率から、公知の計算式を用いて求められる
計算値を目安にして、モノマー組成を決定してもよい。
【0035】モノマー成分Aとモノマー成分Bには、そ
れぞれ、粘着力を発現させるための(メタ)アクリル酸
アルキルエステルと、架橋点となる官能基を含有するモ
ノマーとを組み合わせて用いることが好ましい。(メ
タ)アクリル酸アルキルエステル類では、Mwが1万を
超えると、ホモポリマー同士(例えばポリアクリル酸n
−ブチルとポリアクリル酸2−エチルヘキシル)は、ほ
ぼ例外なく非相溶となるので、モノマー成分Aとモノマ
ー成分Bの構成モノマーとして異なる(メタ)アクリル
酸アルキルエステルを選択すればポリマーAとポリマー
Bは非相溶となる。また、(メタ)アクリル酸アルキル
エステルと共に他のモノマー(例えば官能基含有モノマ
ー)を組み合わせて使用する場合も、主モノマー(モノ
マー成分中80質量%以上使用されるモノマー)の(メ
タ)アクリル酸アルキルエステルの種類が異なっていれ
ば、生成するポリマーは非相溶となる。
【0036】(メタ)アクリル酸アルキルエステルとし
ては、アルキル基の炭素数が1〜12のものが好まし
く、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アク
リル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)ア
クリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシ
ル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)
アクリル酸n−オクチル、(メタ)アクリル酸イソオク
チル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル
酸ステアリル等が挙げられる。これらは1種または2種
以上を用いることができる。
【0037】粘着特性を考慮すれば、モノマー成分A、
Bそれぞれ100質量%中における(メタ)アクリル酸
アルキルエステル類の含有量を、70〜99.9質量%
とすることが好ましい。99.9質量%を超えると、官
能基含有モノマー量が少なくなって、粘着剤用ポリマー
を充分架橋させることができない恐れがある。
【0038】官能基含有モノマーとしては、架橋剤と反
応し得る官能基を有するモノマーであれば、特に限定さ
れない。例えば、COOH基含有モノマー、OH基含有
モノマー、エポキシ基含有モノマー、アミド基含有モノ
マー、アミノ基含有モノマー、イソシアネート基含有モ
ノマー等が挙げられる。これらの官能基含有モノマーの
中では、架橋反応が速やかに進行するヒドロキシル基含
有モノマーが最も好ましい。
【0039】COOH基含有モノマーの具体例として
は、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、無
水マレイン酸、マレイン酸、2−アクリロイルオキシエ
チルコハク酸、2−アクリロイルオキシエチルフタル
酸、2−アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタル
酸等が挙げられる。
【0040】OH基含有モノマーの具体例としては、
(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)ア
クリル酸3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸
2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4−ヒド
ロキシブチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチ
ルのポリカプロラクトン変性物である「プラクセルF」
シリーズ(ダイセル化学工業社製)等が挙げられる。
【0041】エポキシ基含有モノマーとしては、(メ
タ)アクリル酸グリシジル、脂環エポキシ基含有モノマ
ーである「サイクロマー」シリーズ(ダイセル化学工業
社製)、(メタ)アクリル酸メチルグリシジル等が挙げ
られる。
【0042】アミド基含有モノマーとしては、(メタ)
アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルア
ミド、 N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、
N,N−ジブチル(メタ)アクリルアミド、N−メチロ
ールアクリルアミド、N−メトキシメチルアクリルアミ
ド、N−エトキシエチルアクリルアミド、N−(n−ブ
トキシメチル)アクリルアミド、ジメチルアミノプロピ
ルメタクリルアミド、t−ブチルアクリルアミド等が挙
げられる。
【0043】アミノ基含有モノマーとしては、(メタ)
アクリル酸ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸
ジエチルアミノエチル、ジメチルアミノプロピル(メ
タ)アクリルアミド等が挙げられる。
【0044】イソシアネート基含有モノマーとしては、
2−(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネー
ト、(メタ)アクリロイルイソシアネートが挙げられ
る。
【0045】これらの官能基含有モノマーは、モノマー
成分AとBのいずれか一方、または両方に、合計で0.
1〜10質量%用いることが好ましい。0.1質量%よ
り少ないと、架橋が不充分となって架橋密度が低く、凝
集力不足となることがある。しかし、10質量%を超え
て用いると、架橋密度が高くなり過ぎて、粘着力が低く
なることがある。官能基含有モノマーは、1種または2
種以上用いることができるが、反応性の高い2種類以上
の官能基を同一の粘着剤用ポリマー中に導入すると、ゲ
ル化の原因となるので好ましくない。反応性の低い2種
以上の官能基であれば、併存可能である。
【0046】粘着剤用ポリマーに適量のCOOH基があ
ると、粘着力と再剥離性とのバランスが採り易いこと
が、本発明者等によって見出されているため、COOH
基含有モノマーを併用することが好ましい。これは、C
OOH基の存在によって、粘着剤用ポリマーと多価カル
ボン酸との相溶性が増すためと、ポリマー中のCOOH
基と多価カルボン酸のCOOH基との間に化学的相互作
用が働いて、多価カルボン酸の被着体表面への配向速度
を調整するためであると考えられる。COOH基含有モ
ノマーのなかでは、アクリル酸が最も好ましい。
【0047】粘着剤用ポリマーにCOOH基を持たせる
場合は、ポリマーの酸価が3〜150となるようにCO
OH基含有モノマー量を調整することが好ましい。酸価
が150より高いと、ポリマーのTgが高くなり常温で
固くなって、良好な粘着性が得られない場合があり、ま
た、多価カルボン酸との化学的相互作用が強くなり過ぎ
て、多価カルボン酸の接着界面への適度な配向を阻害す
ることがあるので好ましくない。また、ポリマーの酸価
が3より小さいと、ポリマーと多価カルボン酸との間に
化学的相互作用が働かず、ポリマーと多価カルボン酸と
の相溶性が低下したり、剥離時に被着体汚染を生じたり
して、好ましくない。より好ましい酸価は3〜100、
さらに好ましくは10〜80である。なお、酸価とは、
対象物質1g中の酸を中和するのに必要な水酸化カリウ
ムのmg数である。
【0048】モノマー成分AおよびBには、その他のモ
ノマーが含まれていてもよい。その他のモノマーの具体
例としては、スチレン、α−メチルスチレン等の芳香族
系モノマー;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニ
ルエステル;N−ビニルピロリドン、アクリロイルモル
ホリン等のN基含有モノマー;(メタ)アクリロニトリ
ル;(メタ)アクリルアミド、N−メチロールアクリル
アミド等のアミド系モノマー等が挙げられるが、特に限
定されるものではない。これらのその他のモノマーは、
各モノマー成分中0〜20質量%とすることが好まし
い。20質量%を超えると、粘着剤用ポリマーのTgが
上がって硬くなるので、粘着力・耐反発性等の特性が低
下するため好ましくない。
【0049】本発明に係る粘着剤用ポリマーを得るため
の好ましい重合方法およびモノマー成分については、以
上説明したとおりであるが、ラジカル重合開始剤の使用
量をモノマーに対して0.01質量%未満とし、3〜6
個のメルカプト基を有する多価メルカプタンを重合開始
前から反応容器に仕込んでおく(モノマー成分Aに添加
しておいてもよい)と、メルカプト基を発端としてラジ
カル重合が起こり、勾配組成を持つ星形ポリマー(特許
第2934586号)が得られる。このような星形の粘
着剤用ポリマーも本発明では使用可能である。
【0050】上記星形ポリマーは、モノマー成分Xと多
価メルカプタンを含む混合物を反応容器に入れ、この混
合物にモノマー成分Xとは異なる組成のモノマー成分Y
を徐々に添加する添加工程中に、多価メルカプタンのメ
ルカプト基を発端としてモノマー成分Xとモノマー成分
Yの混合物のラジカル重合を行うことによって得られ
る。得られるポリマーは、多価メルカプタン部分と複数
の多元ポリマー部分とを有するポリマーの集合体とな
る。この多元ポリマー部分は、モノマー成分Xとモノマ
ー成分Yとから構成され、多価メルカプタン部分から放
射状に伸びていてい、ポリマーの集合体全体においては
連続的に変化した組成(勾配組成)を有している。
【0051】具体的な特性を示せば、4000〜100
00の数平均分子量を有し、50℃以上の幅を有するT
gピークを1つだけ有し、75%以上(好ましくは80
%以上、より好ましくは85%以上)の平行光線透過率
を有するポリマーを得ることができる。Tgのピーク幅
は80℃以上が好ましく、100℃以上がより好まし
く、120℃以上がさらに好ましい。これにより再剥離
性と、耐熱性・強靱性のバランスが良好になる。なお、
Tgのピーク幅は、DSC曲線がバックグラウンドレベ
ルから立ち上がる温度(℃)と、再びバックグラウンド
レベルに戻る温度を調べ、それらの温度差が最大となる
ピークについての立ち上がり温度と戻る温度との差で表
すことができる。また、平行光線透過率は、厚み100
μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム
2枚を3mmのスペーサーを挟んで対向させて配置し、
フィルム間に粘着剤用ポリマーを充填して冷却固化した
後、濁度計(日本電色工業社製「ND−1001D
P」)を用いて厚み方向に可視光線を照射して透過率を
測定し、この測定値を2枚のPETフィルムの平行光線
透過率で補正して求めることができる。
【0052】本発明の粘着剤組成物には、以上説明した
ような粘着剤用ポリマーと共に、多価カルボン酸が必須
成分として含まれる。多価カルボン酸とは、1分子中に
COOH基を2個以上有する化合物であり、COOH基
はその一部が塩の形(アンモニウム、カリウム、ナトリ
ウム塩等)となっていても良いが、有機溶剤への溶解性
あるいは粘着剤用ポリマーとの相溶性を考慮すると、遊
離している酸(COOH)が多いもの(80モル%以
上)、あるいは全部が遊離しているものが好ましい。
【0053】多価カルボン酸は、その存在によって再剥
離性が良好になる。これは、COOH基との親和性があ
る被着体(特に金属等)の場合、多価カルボン酸が粘着
剤層中を被着体との界面(接着界面)へと移動(配向)
し、この界面に多価カルボン酸がリッチに存在するよう
になって、熱履歴による粘着力の異常な増大を防ぐため
ではないかと考えられる。
【0054】多価カルボン酸としては、分子量が200
0以下であることが好ましく、より好ましくは1000
以下、さらに好ましくは500以下である。分子量が2
000よりも大きいと、多価カルボン酸の接着界面への
適度な配向が起こりにくく、再剥離性に欠けるので、好
ましくない。
【0055】多価カルボン酸の酸価は、180以上であ
ることが好ましい。酸価が180未満だと、接着界面へ
の適度な配向が起こりにくく、また、粘着剤用ポリマー
との相溶性が小さくなるので被着体汚染の原因になるこ
とがあり、好ましくない。
【0056】多価カルボン酸の具体例としては、トリメ
リット酸等の三価カルボン酸、エチレンジアミン4酢酸
やトランス−1,2−シクロヘキサンジアミン4酢酸等
の4価カルボン酸等も使用可能であるが、二価カルボン
酸が好ましく、一般式HOOC−R−COOH(Rは炭
素数8〜28の飽和または不飽和の炭化水素基)で表さ
れる二塩基酸化合物が最も好ましく使用できる。
【0057】上記二塩基酸は、適度な極性を有するた
め、粘着剤用ポリマーとの相溶性に優れ、かつ接着界面
への配向が適度な速度で行われるので、粘着力と再剥離
性とのバランスに優れる再剥離型粘着剤組成物を提供で
きる。また、炭化水素基Rも、二塩基酸の極性を調節す
る役目を有している。すなわち、Rの炭素数が比較的多
いので、Rの疎水性とCOOH基とのバランスが採れ、
二塩基酸の極性が適正となって、粘着剤用ポリマーとの
相溶性および被着体表面への配向性が良好になると推測
される。Rは、飽和でも不飽和でもよく、直鎖状、分岐
状いずれでもよい。また、脂環や芳香環が含まれていて
もよい。
【0058】このような二塩基酸としては、α,β−不
飽和ジカルボン酸またはこのジカルボン酸の無水物とア
ルケンとの反応により、または、さらに水素添加するこ
とによって得られるアルケニルまたはアルキル基を有す
る置換コハク酸や、アルキル二酸等が好ましいものとし
て挙げられる。
【0059】アルケニルコハク酸としては、オクテニル
コハク酸、ノネニルコハク酸、デセニルコハク酸、ウン
デセニルコハク酸、ドデセニルコハク酸、テトラデセニ
ルコハク酸、ペンタデセニルコハク酸(三洋化成工業社
製「PDSA−DB」として入手可能)、ヘキサデセニ
ルコハク酸、ヘプタデセニルコハク酸、オクタデセニル
コハク酸、ノナデセニルコハク酸、エイコセニルコハク
酸、テトラデセニルコハク酸とヘキサデセニルコハク酸
の混合物(例えば、花王株式会社のラテムルASKの未
中和品)等が挙げられる。
【0060】アルキルコハク酸としては、オクチルコハ
ク酸、ノニルコハク酸、デシルコハク酸、ウンデシルコ
ハク酸、ドデシルコハク酸、トリデシルコハク酸、テト
ラデシルコハク酸、ペンタデシルコハク酸、ヘキサデシ
ルコハク酸、ヘプタデシルコハク酸、オクタデシルコハ
ク酸、ノナデシルコハク酸、エイコシルコハク酸等が挙
げられる。
【0061】アルキル二酸としては、デカン二酸、ドデ
カン二酸、トリデカン二酸、エイコサン二酸、2−メチ
ルノナン二酸、8,9−ジフェニルヘキサデカン二酸、
SLB−12(岡村製油株式会社製)、ULB−20
(岡村製油株式会社製)、SL−20(岡村製油株式会
社製)、SB−20(岡村製油株式会社製)、ST−2
P(岡村製油株式会社製)、IUP−22(岡村製油株
式会社製)、IPS−22(岡村製油株式会社製)等が
挙げられる。
【0062】二塩基酸の中でも、極性のバランスが優れ
ている点で、特にアルケニルコハク酸が好ましく、アル
ケニル基の炭素数が13〜17のアルケニルコハク酸が
特に好ましい。
【0063】粘着剤用ポリマーに対する多価カルボン酸
の添加量は、ポリマー100質量部に対して、0.5〜
20質量部が好ましい。0.5質量部よりも少ない場合
は、再剥離性が発現しにくく、20質量部よりも多い場
合は、初期粘着力が低くなり好ましくない。より好まし
い下限は1質量部である。また上限は10質量部が好ま
しく、さらに好ましくは5質量部である。
【0064】粘着剤組成物への多価カルボン酸の添加方
法としては、特に限定されないが、例えば、粘着剤用ポ
リマー溶液を作成した後に、その溶液へ直接、あるい
は、溶剤に多価カルボン酸を溶解させたものを、所定量
添加し、均一になるまで十分に撹拌する方法等が挙げら
れる。また、粘着剤用ポリマーを重合する前あるいは重
合中に、反応系中に多価カルボン酸を直接、あるいは、
溶剤に溶解して添加してもよい。このとき、多価カルボ
ン酸用の溶剤としては、粘着剤用ポリマーの重合に使用
できるような一般的な溶剤で、多価カルボン酸の溶解が
可能なものであれば特に限定はされない。
【0065】本発明の粘着剤組成物には、粘着剤用ポリ
マーと、上記多価カルボン酸が必須的に含まれるが、粘
着剤用ポリマーは、所定量の架橋剤で架橋して粘着製品
に利用することが好ましい。凝集力が向上するためであ
る。架橋剤としては、前記官能基含有モノマーの有する
官能基であって粘着剤用ポリマーに導入された官能基と
の反応性を有する官能基を1分子中に2個以上有する化
合物を用いることができる。このような官能基として
は、イソシアネート基、エポキシ基、アミノ基、メチロ
ール基、アルコキシメチル基、イミノ基、金属キレート
基、アジリジニル基等が挙げられる。具体的な化合物と
しては、多官能イソシアネート化合物、多官能エポキシ
化合物、多官能メラミン化合物、金属架橋剤、アジリジ
ン化合物等が挙げられる。
【0066】イソシアネート基を2個以上有する多官能
イソシアネート化合物としては、トリレンジイソシアネ
ート(TDI)、4,4’−ジフェニルメタンジイソシ
アネート(MDI)、ヘキサメチレンジイソシアネー
ト、キシリレンジイソシアネート、メタキシリレンジイ
ソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、
水素化ジフェニルメタンジイソシアネート、水素化トリ
レンジイソシアネート、水素化キシリレンジイソシアネ
ート、イソホロンジイソシアネート等のジイソシアネー
ト化合物;「スミジュールN」(住友バイエルウレタン
社製)等のビュレットポリイソシアネート化合物;「デ
スモジュールIL」、「デスモジュールHL」(いずれ
もバイエルA.G.社製)、「コロネートEH」(日本
ポリウレタン工業社製)等として知られるイソシアヌレ
ート環を有するポリイソシアネート化合物;「スミジュ
ールL」(住友バイエルウレタン社製)等のアダクトポ
リイソシアネート化合物;「コロネートL」および「コ
ロネートL−55E」(いずれも日本ポリウレタン社
製)等のアダクトポリイソシアネート化合物等を挙げる
ことができる。これらは、単独で使用し得るほか、2種
以上を併用することもできる。また、これらの化合物の
イソシアネート基を活性水素を有するマスク剤と反応さ
せて不活性化したいわゆるブロックイソシアネートも使
用可能である。
【0067】多官能エポキシ化合物としては、1分子当
たりエポキシ基を2個以上有する化合物であれば特に限
定されるものではない。具体例としては、エチレングリ
コールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコール
ジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグ
リシジルエーテル、ビスフェノールA・エピクロルヒド
リン型エポキシ樹脂、N,N,N',N'−テトラグリシジル−
m−キシレンジアミン、1,3−ビス(N,N−ジグリシ
ジルアミノメチル)シクロヘキサン、N,N−ジグリシジ
ルアニリン、N,N−ジグリシジルトルイジン等が挙げら
れる。
【0068】多官能メラミン化合物としては、メチロー
ル基またはアルコキシメチル基またはイミノ基を合計で
1分子当たり2個以上有する化合物であれば、特に限定
されるものではない。具体例としては、ヘキサメトキシ
メチルメラミン、ヘキサエトキシメチルメラミン、ヘキ
サプロポキシメチルメラミン、ヘキサブトキシメチルメ
ラミン、ヘキサペンチルオキシメチルメラミン等が挙げ
られる。
【0069】金属架橋剤としては、特に限定されるもの
ではない。具体例としては、アルミニウム、亜鉛、カド
ミウム、ニッケル、コバルト、銅、カルシウム、バリウ
ム、チタン、マンガン、鉄、鉛、ジルコニウム、クロ
ム、錫等の金属に、アセチルアセトン、アセト酢酸メチ
ル、アセト酢酸エチル、乳酸エチル、サリチル酸メチル
等が配位した金属キレート化合物等が挙げられる。
【0070】アジリジン化合物としては、N,N'−ヘキサ
メチレン−1,6−ビス(1−アジリジンカルボキシア
ミド)、トリメチロールプロパン−トリ−β−アジリジ
ニルプロピオネート、ビスイソフタロイル−1−(2−
メチルアジリジン)、トリ−1−アジリジニルホスフォ
ンオキサイド、N,N'−ジフェニルエタン−4,4’−ビ
ス(1−アジリジンカルボキシアミド)等が挙げられ
る。
【0071】架橋剤の使用量は特に限定されないが、粘
着剤用ポリマー(固形分)に対し、架橋剤を0.05〜
15質量%とすることが好ましい。0.05質量%より
も少ないと、架橋が不充分となって架橋密度が低く、凝
集力不足となることがある。15質量%を超えると、架
橋密度が高くなり過ぎて、粘着力が低くなることがあ
る。より好ましい下限は0.1質量%、上限は10質量
%である。
【0072】上記粘着剤用ポリマーと多価カルボン酸と
架橋剤を含む粘着剤組成物を各種用途に応じた形態にし
た後、架橋反応させると、粘着製品が得られる。粘着剤
組成物には、粘着剤用ポリマー以外に、必要により、粘
着付与剤が配合されていてもよい。粘着付与剤として
は、(重合)ロジン系、(重合)ロジンエステル系、テ
ルペン系、テルペンフェノール系、クマロン系、クマロ
ンインデン系、スチレン樹脂系、キシレン樹脂系、フェ
ノール樹脂系、石油樹脂系等が挙げられる。これらは1
種または2種以上組み合わせて使用できる。
【0073】粘着付与剤の量は、特に限定されないが、
粘着剤用ポリマー100質量部に対して、通常、5〜1
00質量部とするのが好ましい。粘着付与剤の添加量が
5質量部より少ないと、粘着付与剤による粘着力向上効
果が発揮されないことがある。一方、上記粘着付与剤の
添加量が100質量部より多いと、逆にタックが減少し
て粘着力が低下するおそれがある。10〜50質量部の
範囲内がさらに好ましい。
【0074】粘着剤組成物には、さらに、必要に応じ
て、通常配合される充填剤、顔料、希釈剤、老化防止
剤、紫外線吸収剤、紫外線安定剤等の従来公知の添加剤
を添加してもよい。これらの添加剤は、1種類または2
種以上、使用可能である。これらの添加剤の添加量は、
所望する物性が得られるように適宜設定すればよい。
【0075】粘着剤用ポリマーと多価カルボン酸および
架橋剤に、必要により、上記各種添加剤、溶剤等を混合
して調製された粘着剤組成物は、例えば、粘着シート、
粘着ラベル、粘着テープ、両面テープ等の各種粘着製品
の製造に好適に用いることができる。このような粘着製
品は、基材レスで、または基材に粘着剤組成物の層を形
成し、架橋反応させることにより製造される。
【0076】基材としては、上質紙、クラフト紙、クレ
ープ紙、グラシン紙等の従来公知の紙類;ポリプロピレ
ン等と無機充填剤から形成される合成紙;ポリエチレ
ン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリスチレン、ポ
リエチレンテレフテレート、ポリ塩化ビニル、セロファ
ン等のプラスチック;織布、不織布等の繊維製品等を利
用できる。基材の形状は、例えば、フィルム状、シート
状、テープ状、板状、発泡体等が挙げられるが、特に限
定されるものではない。飲料缶用のラベル用途に用いる
場合は、合成紙を基材とすることが好ましい。合成紙と
しては、王子油化合成紙社製の「ユポ」シリーズ、東洋
紡績社製の「クリスパー」シリーズ、日清紡績社製の
「ピーチコート」シリーズ、阿波製紙社製の「ピュアリ
ー」シリーズ等が市販されている。
【0077】基材の片面に粘着剤組成物を公知の方法で
塗布することによって、粘着シート、粘着テープ、粘着
ラベル等を得ることができる。また、紙、合成紙、プラ
スチックフィルム等のシート状物に離型剤が塗布されて
いる離型紙等に粘着剤組成物を塗布することにより、基
材レス(単層構造)の粘着層が得られ、基材レスの両面
テープとして使用することができる。また、上記基材の
両面に同種または異種の粘着剤組成物を塗布して、両面
テープとしてもよい。
【0078】粘着剤組成物を基材に塗布する方法は、特
に限定されるものではなく、ロールコーティング法、ス
プレーコーティング法、ディッピング法等の公知の方法
を採用することができる。この場合、粘着剤組成物を基
材に直接塗布する方法、離型紙等に粘着剤組成物を塗布
した後、この塗布物を基材上に転写する方法等いずれも
採用可能である。
【0079】粘着剤組成物を塗布した後、乾燥させるこ
とにより、基材上に粘着層が形成される。乾燥温度は、
特に限定されるものではないが、加熱乾燥時に架橋反応
が進行するので、架橋剤の種類に応じて架橋反応が速や
かに進行する温度で乾燥することが好ましい。なお、用
途によっては、粘着剤組成物を被着体に直接、塗布して
もよい。
【0080】基材上に形成された粘着層の表面には、例
えば、離型紙を貼着してもよい。粘着層表面を好適に保
護・保存することができる。剥離紙は、粘着製品を使用
する際に、粘着層表面から引き剥がされる。なお、シー
ト状やテープ状等の基材の片面に粘着層が形成されてい
る場合は、この基材の背面に公知の離型剤を塗布して離
型剤層を形成しておけば、粘着層を内側にして、粘着シ
ート(テープ)をロール状に巻くことにより、粘着層
は、基材背面の離型剤層と当接することとなるので、粘
着層表面が保護・保存される。
【0081】
【実施例】以下実施例によって本発明を詳細に説明する
が、本発明の範囲はこれら実施例のみに限定されるもの
ではない。なお以下特にことわりのない場合、「%」は
「質量%」を、「部」は「質量部」をそれぞれ示すもの
とする。
【0082】合成例1(粘着剤用ポリマー溶液A1の合
成) 温度計、撹拌機、不活性ガス導入管、還流冷却器および
滴下ロートを備えた4つ口フラスコに、モノマー成分A
としてアクリル酸2−エチルヘキシル(2EHA)21
6部およびメタクリル酸2−ヒドロキシプロピル(HP
MA)24部を仕込み(計240部)、酢酸エチル25
0部とトルエン100部を加えて昇温し、80℃になっ
たところで過酸化物系開始剤(ナイパーBMT−K4
0:日本油脂社製)を0.96部と酢酸エチル10部と
を添加して重合を開始した。モノマー成分Aの重合開始
と同時に、アクリル酸ブチル(BA)310.92部、
アクリル酸(AA)48部およびメタクリル酸2−ヒド
ロキシプロピル(HPMA)1.08部からなるモノマ
ー成分B(計360部)と、ナイパーBMT−K40を
1.08部、および酢酸エチル245部の混合物を1時
間半かけてフラスコに添加し、反応を継続した。モノマ
ー成分Bの滴下終了してから1時間後に、内容物の粘度
が上昇してきたので希釈溶剤として酢酸エチルを30
部、トルエンを150部添加した。さらに2時間後にア
ゾ系重合開始剤(商品名ABN−E:日本ヒドラジン工
業社製)を0.28部と酢酸エチル10部を添加し、さ
らに4時間反応を続けた。重合終了時にトルエン105
部を加えて希釈した。その結果、固形分38.8%、粘
度3360mPa・s(25℃、B型粘度計、以下同
様)、重量平均分子量32.4×104(GPC測定:
標準ポリスチレン換算)の粘着剤用ポリマー溶液A1を
得た。
【0083】なお、GPCによる分子量測定条件は以下
の通りである。 GPC測定装置:Liquid Chromatography Model 510
(Waters社製) 検出器:M410示差屈折計 カラム:Ultra Styragel Linear(7.8mm×30c
m) Ultra Styragel 100A (7.8mm×30cm) Ultra Styragel 500A (7.8mm×30cm) 溶媒:THF(テトラヒドロフラン) 試料濃度は0.2%、注入量は200マイクロリットル
/回とした。
【0084】合成例2および3 モノマー組成を表1に示す通りに変更した以外は合成例
1と同様に重合を行い、粘着剤用ポリマー溶液A2およ
びA3を得た。
【0085】比較合成例1 温度計、攪拌機、不活性ガス導入管、還流冷却器および
滴下ロートを備えた4つ口フラスコに、アクリル酸2−
エチルヘキシル(2EHA)238.2部、アクリル酸
ブチル(BA)312部、アクリル酸(AA)48部、
およびアクリル酸2−ヒドロキシエチル(HEA)1.
8部からなるモノマー成分600部のうちの240部
と、酢酸エチル425部、トルエン40部を加えてから
昇温し、80℃になったところで過酸化物系開始剤(ナ
イパーBMT−K40:日本油脂(株)社製)を0.9
6部と酢酸エチル10部とを添加して重合を開始した。
重合開始10分後に残りのモノマー成分360部と、ナ
イパーBMT−K40を1.08部、および酢酸エチル
245部を1時間半かけて添加し、反応を継続した。モ
ノマー滴下終了から1時間後に、内容物の粘度が上昇し
てきたので希釈溶剤として酢酸エチルを30部、トルエ
ンを150部添加した。さらに2時間後にアゾ系重合開
始剤(商品名ABN−E:日本ヒドラジン工業(株)社
製)を0.28部と酢酸エチル10部を添加し、さらに
4時間反応を続けた。重合終了時にトルエン135部お
よび酢酸エチル90部を加えて希釈した。その結果、固
形分39.4%、粘度3040mPa・s、重量平均分
子量46.6×104の比較用の粘着剤用ポリマー溶液
B1を得た。
【0086】比較合成例2および3 モノマー組成を表2に示す通りに変更した以外は、比較
合成例1と同様に重合を行い、粘着剤用ポリマー溶液B
2およびB3を得た。
【0087】
【表1】
【0088】
【表2】
【0089】実施例1 粘着剤用ポリマー溶液[A1]100質量部(有り姿)
に対して、ラテムル未中和品(花王株式会社製の「ラテ
ムルASK」の完全遊離酸タイプ:固形分100%)を
3部(ポリマー固形分100部に対する質量部)、架橋
剤としてコロネートL55E(日本ポリウレタン社製の
ポリイソシアネート化合物:固形分55%)を2.5部
(ポリマー固形分100部に対する質量部)混合して、
粘着剤組成物を作製した。得られた粘着剤組成物の粘着
力試験を以下の方法に従って行った。その結果を表3に
示す。
【0090】[試験片の作成方法]離型紙(サンエー化
研株式会社製、商品名K−80HS)上に、架橋剤を所
定量配合した粘着剤組成物を乾燥後の厚さが25μmと
なるように塗布した後、100℃で2分間乾燥させた。
その後、粘着剤層表面にポリプロピレン系合成紙(王子
油化合成紙社製の「ユポSGS」;厚さ80μm)を貼
着し、23℃、相対湿度65%の雰囲気下で7日間養生
し、粘着フィルム(粘着製品)を得た。この粘着製品を
所定の大きさに切断して、試験片を作製した。なお、離
型紙は各種測定試験を実施する際に引き剥がした。
【0091】[保持力の測定方法]温度23℃、相対湿
度65%の雰囲気下で、JIS G 4305に規定さ
れるステンレス鋼板(SUS304:以下「SUS板」
と記す)に、貼付面積が25mm×25mmとなるよう
に粘着フィルム試験片を貼着する。25分間放置後40
℃に保ち、さらに20分後に試験片に1kgの荷重を掛
けて、SUS板から試験片が落下するまでの時間、また
は17時間後のズレ距離を測定した。NCとあるのは、
全くズレなかったものである。
【0092】[初期粘着力の測定方法]被着体として前
記SUS板またはポリエチレン板(以下「PE板」と記
す)を用い、幅25mmの粘着フィルム試験片を、23
℃、相対湿度65%の雰囲気下で、被着体に2kgのゴ
ムローラで貼り付け、ゴムローラが試験片上を合計で3
往復するように圧着した。圧着してから25分後に、2
3℃、相対湿度65%の雰囲気下、引張試験機で試験片
の一端を180度方向に速度300mm/分で剥離させ
たときの強度を測定し、これを初期粘着力(N/25m
m)とした。
【0093】[加熱促進後の粘着力の測定方法]初期粘
着力測定と同様にして、SUS板に幅25mmの試験片
を貼着した。貼着してから70℃で24時間(1日)放
置したものと、70℃で7日間放置したものについて、
初期粘着力測定と同様にして180゜剥離粘着力(N/
25mm)を測定した。なお、粘着力は、それぞれ加熱
状態からサンプルを取り出し、23℃、相対湿度65%
の雰囲気下で1時間放置してから測定した。
【0094】[再剥離性]初期粘着力測定と加熱促進後
の粘着力測定用の試験片(対SUS板)をそれぞれ作成
し、試験片をSUS板に対し180度方向に手で素早く
剥がした(約30m/分)。このときの糊残り状態を下
記基準に従って評価した。
【0095】[剥離状態評価]上記の初期粘着力、加熱
促進後の粘着力、再剥離性の測定に際し、下記基準に従
って粘着剤の剥離状態(糊残り性)を評価した。 A:粘着剤の跡が全く残らない B:粘着剤の跡が曇って残る (B):一部粘着剤の跡が曇って残る C:粘着剤の薄い凝集破壊(被着体に粘着剤がうっすら糊残りしている) D:粘着剤の濃い凝集破壊(被着体に粘着剤がべっとり糊残りしている) E:被着体に粘着剤が移行 (E):一部に被着体の粘着剤が移行 F:基材切れ (F):一部に基材切れ SS:スティックスリップ (SS):一部スティックスリップ
【0096】[耐エッジリフト性(耐曲面貼り性)]温
度23℃、相対湿度65%の雰囲気下で、円柱形のポリ
エチレン製のチューブ(直径23mm)の円周に沿っ
て、半周分の長さに相当する試験片(ラベル)を貼り付
け、原則として、4日後のラベルの浮き状態を観察し
た。数値評価のため、貼り付いている部分の面積を試験
片全体の面積で割った%表示で示した。図2に5種類の
評価基準を示した。完全に浮いてしまったものについて
は、浮いた日を併記した。
【0097】実施例2〜6 粘着剤用ポリマーの種類と多価カルボン酸量と架橋剤量
を表3に示す通りに変更した以外は実施例1と同様の方
法を用いて物性を測定した。結果をまとめて表3に示
す。「ラテムルASKの塩を外したもの」とは、ラテム
ルASKはカリウム塩で市販されているため、その塩を
外してフリーの酸に戻したもののトルエン60%溶液を
用いたものであり、使用量3.0部とあるのは、ドライ
換算量である。
【0098】比較例1〜12 粘着剤用ポリマーの種類と多価カルボン酸量と架橋剤量
を表3〜5に示す通りに変更した以外は実施例1と同様
の方法を用いて物性を測定した。結果をまとめて表3〜
5に示す。
【0099】参考例1 市販されている合成タック紙(リンテック社製:「スー
パーステック ユポ80UV」)を実施例1と同様の方
法を用いて物性を測定した。結果を表6に示す。
【0100】参考例2 市販されている合成タック紙(日本加工製紙社製:「ワ
ンタックYR」)を実施例1と同様の方法を用いて物性
を測定した。結果を表6に示す。
【0101】
【表3】
【0102】
【表4】
【0103】
【表5】
【0104】
【表6】
【0105】表3から、特定の重合方法で得られる勾配
組成ポリマーを用い、かつ多価カルボン酸を含む粘着剤
(実施例1〜6)は、粘着力、再剥離性、耐エッジリフ
ト性(曲面貼り性)の全てがバランス良く良好であるこ
とが分かる。しかし、勾配組成ポリマーであっても多価
カルボン酸が含まれていない場合、架橋剤量が少ない比
較例1や2では、粘着力や耐エッジリフト性は良好であ
ったが、特に加熱後の再剥離性に劣る結果となった。ま
た、架橋剤量が多い比較例3〜6では、加熱後の再剥離
性や耐エッジリフト性が劣っていた。
【0106】一方、勾配組成ポリマーではなく、均一組
成のポリマーB1〜B3を用い、多価カルボン酸を含ま
ない比較例7〜12では、SUSに対する初期粘着力は
良好であったが、その他の特性は、実施例に比べて劣っ
ていた。また、市販品を用いた参考例1および2では、
耐エッジリフト性が実施例よりも劣っていた。
【0107】
【発明の効果】本発明の粘着剤組成物は、特定の重合方
法によって得られる勾配組成ポリマーと加熱による粘着
力の増大を抑制する多価カルボン酸とを組み合わせたこ
とによって、粘着力、再剥離性、耐曲面貼り性のバラン
スに優れた粘着製品を提供することができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】勾配組成ポリマーのブロードなTgを説明する
ための概念図である。
【図2】耐エッジリフト性の評価基準を示す図である。
フロントページの続き (72)発明者 常峰 直樹 大阪府吹田市西御旅町5番8号 株式会社 日本触媒内 (72)発明者 田▲崎▼ 智 大阪府吹田市西御旅町5番8号 株式会社 日本触媒内 Fターム(参考) 4J004 AA02 AA10 AA17 CA04 CB01 CB02 CB03 CC02 FA01 FA08 4J011 AA05 AA07 AC03 BA02 BA05 BB07 BB10 BB17 DA04 HA03 HB06 HB13 HB14 4J040 DF031 DF032 GA05 GA07 GA11 GA14 GA20 GA22 HB26 HB28 JA09 JB09 KA16 LA02 LA06 MA09 MA10 MB09 NA10

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 異なるモノマー組成のモノマー成分Aと
    モノマー成分Bとを有機溶剤中でラジカル重合して得ら
    れる粘着剤用ポリマーと、多価カルボン酸とを含む粘着
    剤組成物であって、 上記モノマー成分AおよびBは、それぞれ異なる(メ
    タ)アクリル酸アルキルエステルを主体とし、モノマー
    成分Aのみから形成されるポリマーAとモノマー成分B
    のみから形成されるポリマーBとが非相溶となるように
    選択されたものであり、 ラジカル重合方法が、まずモノマー成分Aを反応器に仕
    込んで重合を行い、モノマー成分Aの重合開始後であっ
    て、かつ、モノマー成分Aの重合率が50%を超えない
    時点で、前記反応器へモノマー成分Bの投入を開始して
    重合を行うものであることを特徴とする再剥離型粘着剤
    組成物。
  2. 【請求項2】 前記多価カルボン酸が、一般式HOOC
    −R−COOH(Rは炭素数8〜28の飽和または不飽
    和炭化水素基)で表される化合物である請求項1に記載
    の再剥離型粘着剤組成物。
  3. 【請求項3】 前記粘着剤用ポリマー100質量部に対
    し、前記多価カルボン酸が0.5〜20質量部含まれて
    いる請求項1または2に記載の再剥離型粘着剤組成物。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3のいずれかに記載の再剥離
    型粘着剤組成物からなる粘着剤層を備えることを特徴と
    する粘着製品。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010180271A (ja) * 2009-02-03 2010-08-19 Lintec Corp 易貼付性粘着シート及びその製造方法

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