JP2002154319A - 車両用空調装置 - Google Patents
車両用空調装置Info
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- JP2002154319A JP2002154319A JP2001251893A JP2001251893A JP2002154319A JP 2002154319 A JP2002154319 A JP 2002154319A JP 2001251893 A JP2001251893 A JP 2001251893A JP 2001251893 A JP2001251893 A JP 2001251893A JP 2002154319 A JP2002154319 A JP 2002154319A
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- Air Conditioning Control Device (AREA)
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 蓄冷式の車両用空調装置において、蓄冷器の
急速蓄冷効果の確保と、圧縮機動力の低減とを両立させ
る。 【解決手段】 車室内へ送風される空気を冷却する冷房
用熱交換器9の空気流れ下流側に蓄冷器40を配置し
て、冷房用熱交換器9を通過した冷風により蓄冷器40
を冷却する。冷房用熱交換器9の温度を目標温度となる
ように制御する制御手段を備え、蓄冷器40への蓄冷を
行う蓄冷モードの開始時には、目標温度を初期蓄冷目標
温度に設定して蓄冷器40を急速に冷却し、蓄冷器40
の蓄冷完了を判定すると、目標温度を初期蓄冷目標温度
より高い温度に切り替える。
急速蓄冷効果の確保と、圧縮機動力の低減とを両立させ
る。 【解決手段】 車室内へ送風される空気を冷却する冷房
用熱交換器9の空気流れ下流側に蓄冷器40を配置し
て、冷房用熱交換器9を通過した冷風により蓄冷器40
を冷却する。冷房用熱交換器9の温度を目標温度となる
ように制御する制御手段を備え、蓄冷器40への蓄冷を
行う蓄冷モードの開始時には、目標温度を初期蓄冷目標
温度に設定して蓄冷器40を急速に冷却し、蓄冷器40
の蓄冷完了を判定すると、目標温度を初期蓄冷目標温度
より高い温度に切り替える。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、冷房用熱交換器通
過後の冷風により冷却される蓄冷器を備えた蓄冷式の車
両用空調装置に関するもので、停車時等に圧縮機の駆動
源である車両エンジンを一時的に停止させる車両に適用
して好適である。
過後の冷風により冷却される蓄冷器を備えた蓄冷式の車
両用空調装置に関するもので、停車時等に圧縮機の駆動
源である車両エンジンを一時的に停止させる車両に適用
して好適である。
【0002】
【従来の技術】近年、環境保護を目的にして、信号待ち
等の停車時(エンジン動力不要時)にエンジンを自動的
に停止する車両(エコラン車、ハイブリッド車等)が実
用化されており、今後、停車時にエンジンを停止する車
両が増加する傾向にある。
等の停車時(エンジン動力不要時)にエンジンを自動的
に停止する車両(エコラン車、ハイブリッド車等)が実
用化されており、今後、停車時にエンジンを停止する車
両が増加する傾向にある。
【0003】ところで、車両用空調装置においては、冷
凍サイクルの圧縮機を車両エンジンにより駆動している
ので、上記エコラン車等においては信号待ち等で停車し
て、エンジンが停止される毎に、圧縮機も停止して冷房
用熱交換器(蒸発器)の温度が上昇し、車室内への吹出
空気温度が上昇するので、乗員の冷房フィーリングを損
なうという不具合が発生する。
凍サイクルの圧縮機を車両エンジンにより駆動している
ので、上記エコラン車等においては信号待ち等で停車し
て、エンジンが停止される毎に、圧縮機も停止して冷房
用熱交換器(蒸発器)の温度が上昇し、車室内への吹出
空気温度が上昇するので、乗員の冷房フィーリングを損
なうという不具合が発生する。
【0004】そこで、圧縮機の稼働時に蓄冷される蓄冷
器を備え、圧縮機の停止時(冷房用熱交換器の冷却作用
停止時)には蓄冷器により車室内への吹出空気を冷却で
きる蓄冷式の車両用空調装置の必要性が高まっている。
器を備え、圧縮機の停止時(冷房用熱交換器の冷却作用
停止時)には蓄冷器により車室内への吹出空気を冷却で
きる蓄冷式の車両用空調装置の必要性が高まっている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らは、現在、
冷房用熱交換器(蒸発器)を通過した冷風により蓄冷器
を冷却する蓄冷式の車両用空調装置を開発中であって、
蓄冷器を急速蓄冷(急速冷却)するためには冷房用熱交
換器の温度を下げればよいが、その代わりに、冷房用熱
交換器の温度を下げることは冷凍サイクル低圧圧力を下
げる必要があり、圧縮機動力の増大を招く。
冷房用熱交換器(蒸発器)を通過した冷風により蓄冷器
を冷却する蓄冷式の車両用空調装置を開発中であって、
蓄冷器を急速蓄冷(急速冷却)するためには冷房用熱交
換器の温度を下げればよいが、その代わりに、冷房用熱
交換器の温度を下げることは冷凍サイクル低圧圧力を下
げる必要があり、圧縮機動力の増大を招く。
【0006】本発明は上記点に鑑みて、蓄冷式の車両用
空調装置において、蓄冷器の急速蓄冷効果の確保と、圧
縮機動力の低減とを両立させることを目的とする。
空調装置において、蓄冷器の急速蓄冷効果の確保と、圧
縮機動力の低減とを両立させることを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、請求項1に記載の発明では、車室内へ送風される空
気を冷却する冷房用熱交換器(9)と、冷房用熱交換器
(9)の空気流れ下流側に配置され、冷房用熱交換器
(9)を通過した冷風により冷却される蓄冷器(40)
と、冷房用熱交換器(9)の温度を目標温度となるよう
に制御する制御手段(S210)とを備え、蓄冷器(4
0)への蓄冷を行う蓄冷モードの開始時には、目標温度
を初期蓄冷目標温度(TEOB1)に設定して蓄冷器
(40)を冷却し、蓄冷器(40)の蓄冷完了を判定す
ると、目標温度を初期蓄冷目標温度より高い温度(TE
OB2)に切り替えることを特徴とする。
め、請求項1に記載の発明では、車室内へ送風される空
気を冷却する冷房用熱交換器(9)と、冷房用熱交換器
(9)の空気流れ下流側に配置され、冷房用熱交換器
(9)を通過した冷風により冷却される蓄冷器(40)
と、冷房用熱交換器(9)の温度を目標温度となるよう
に制御する制御手段(S210)とを備え、蓄冷器(4
0)への蓄冷を行う蓄冷モードの開始時には、目標温度
を初期蓄冷目標温度(TEOB1)に設定して蓄冷器
(40)を冷却し、蓄冷器(40)の蓄冷完了を判定す
ると、目標温度を初期蓄冷目標温度より高い温度(TE
OB2)に切り替えることを特徴とする。
【0008】これにより、蓄冷モードの開始当初は初期
蓄冷目標温度(TEOB1)に対応した低温冷風により
蓄冷器(40)を急速に冷却して、急速蓄冷を行うこと
ができ、短時間で蓄冷を完了できる。そして、蓄冷完了
後は冷房用熱交換器(9)の温度を高くして圧縮機動力
を低減できる。
蓄冷目標温度(TEOB1)に対応した低温冷風により
蓄冷器(40)を急速に冷却して、急速蓄冷を行うこと
ができ、短時間で蓄冷を完了できる。そして、蓄冷完了
後は冷房用熱交換器(9)の温度を高くして圧縮機動力
を低減できる。
【0009】請求項2に記載の発明では、蓄冷器(4
0)は相変化する蓄冷材(44)を有し、初期蓄冷目標
温度(TEOB1)を蓄冷材(44)の凝固温度(T
0)より低い温度に設定することを特徴とする。
0)は相変化する蓄冷材(44)を有し、初期蓄冷目標
温度(TEOB1)を蓄冷材(44)の凝固温度(T
0)より低い温度に設定することを特徴とする。
【0010】これにより、蓄冷材(44)を凝固させ
て、凝固潜熱による蓄冷を行うことができ、単位体積当
たりの蓄冷量を増大できる。
て、凝固潜熱による蓄冷を行うことができ、単位体積当
たりの蓄冷量を増大できる。
【0011】請求項3に記載の発明では、蓄冷材(4
4)の凝固温度をT0とし、初期蓄冷目標温度をTEO
B1とし、蓄冷器(40)の蓄冷完了後における目標温
度をTEOB2としたとき、T0>TEOB2>TEO
B1>0℃の関係に設定することを特徴とする。
4)の凝固温度をT0とし、初期蓄冷目標温度をTEO
B1とし、蓄冷器(40)の蓄冷完了後における目標温
度をTEOB2としたとき、T0>TEOB2>TEO
B1>0℃の関係に設定することを特徴とする。
【0012】これによると、初期蓄冷目標温度(TEO
B1)が0℃より高いから、蓄冷時に冷房用熱交換器
(9)のフロストを防止できる。しかも、蓄冷完了後に
おける目標温度(TEOB2)が凝固温度(T0)より
低いから、蓄冷材(44)の凝固(蓄冷)状態を確実に
維持できる。
B1)が0℃より高いから、蓄冷時に冷房用熱交換器
(9)のフロストを防止できる。しかも、蓄冷完了後に
おける目標温度(TEOB2)が凝固温度(T0)より
低いから、蓄冷材(44)の凝固(蓄冷)状態を確実に
維持できる。
【0013】請求項4に記載の発明では、請求項3にお
いて、蓄冷器(40)の蓄冷完了後、所定時間(τ)経
過すると、蓄冷完了後における目標温度(TEOB2)
を空調環境条件により決定される目標温度(TEOA)
に切り替えることを特徴とする。
いて、蓄冷器(40)の蓄冷完了後、所定時間(τ)経
過すると、蓄冷完了後における目標温度(TEOB2)
を空調環境条件により決定される目標温度(TEOA)
に切り替えることを特徴とする。
【0014】これによると、高速道路等における連続長
時間走行時には空調環境条件により決定される目標温度
(TEOA)に切り替えて、冷房用熱交換器(9)の温
度を制御することができる。そのため、目標温度(TE
OA)が空調環境条件により12℃のような比較的高い
温度になっている場合は、蓄冷材(44)の凝固温度
(T0)より高い温度で冷房用熱交換器(9)の温度を
制御することができ、圧縮機動力のより一層の低減が可
能となる。
時間走行時には空調環境条件により決定される目標温度
(TEOA)に切り替えて、冷房用熱交換器(9)の温
度を制御することができる。そのため、目標温度(TE
OA)が空調環境条件により12℃のような比較的高い
温度になっている場合は、蓄冷材(44)の凝固温度
(T0)より高い温度で冷房用熱交換器(9)の温度を
制御することができ、圧縮機動力のより一層の低減が可
能となる。
【0015】請求項5に記載の発明のように、請求項2
ないし4のいずれか1つにおいて、蓄冷器(40)の温
度を検出する温度検出手段(33)を有し、蓄冷器(4
0)の温度が蓄冷材(44)の凝固温度(T0)より低
下すると蓄冷器(40)の蓄冷完了を判定することがで
きる。
ないし4のいずれか1つにおいて、蓄冷器(40)の温
度を検出する温度検出手段(33)を有し、蓄冷器(4
0)の温度が蓄冷材(44)の凝固温度(T0)より低
下すると蓄冷器(40)の蓄冷完了を判定することがで
きる。
【0016】ここで、蓄冷器(40)の温度は、具体的
には蓄冷器吹出空気温度、蓄冷器壁面温度等により検出
できる。
には蓄冷器吹出空気温度、蓄冷器壁面温度等により検出
できる。
【0017】請求項6に記載の発明のように、冷房用熱
交換器(9)と蓄冷器(40)とを一体に形成すれば、
この両者(9、40)の構成の小型、簡素化を図ること
ができる。また、車両用空調装置の通風路内への組付も
蓄冷器(40)と冷房用熱交換器(9)を一体にして簡
単に行うことができる。
交換器(9)と蓄冷器(40)とを一体に形成すれば、
この両者(9、40)の構成の小型、簡素化を図ること
ができる。また、車両用空調装置の通風路内への組付も
蓄冷器(40)と冷房用熱交換器(9)を一体にして簡
単に行うことができる。
【0018】請求項7に記載の発明のように、冷房用熱
交換器(9)は、具体的には車両エンジン(4)により
駆動される圧縮機(1)を有する冷凍サイクル(R)の
蒸発器(9)であり、蒸発器(9)の温度を検出する温
度検出手段(32)を有し、制御手段(S210)は、
蒸発器(9)の温度に基づいて圧縮機(1)の作動を制
御するようにしてよい。
交換器(9)は、具体的には車両エンジン(4)により
駆動される圧縮機(1)を有する冷凍サイクル(R)の
蒸発器(9)であり、蒸発器(9)の温度を検出する温
度検出手段(32)を有し、制御手段(S210)は、
蒸発器(9)の温度に基づいて圧縮機(1)の作動を制
御するようにしてよい。
【0019】ここで、蒸発器(9)の温度は、具体的に
は蒸発器吹出空気温度、蒸発器壁面温度等により検出で
きる。
は蒸発器吹出空気温度、蒸発器壁面温度等により検出で
きる。
【0020】請求項8に記載の発明のように、圧縮機
(1)として吐出容量が一定になっている固定容量型圧
縮機を用いる場合は、固定容量型圧縮機(1)の作動を
断続制御することにより蒸発器(9)の温度を制御すれ
ばよい。
(1)として吐出容量が一定になっている固定容量型圧
縮機を用いる場合は、固定容量型圧縮機(1)の作動を
断続制御することにより蒸発器(9)の温度を制御すれ
ばよい。
【0021】請求項9に記載の発明のように、圧縮機
(1)として吐出容量を変化し得るように構成された可
変容量型圧縮機を用い、可変容量型圧縮機(1)の吐出
容量を変化させることにより蒸発器(9)の温度を制御
するようにしてもよい。 これによると、圧縮機(1)
の吐出容量は連続的に制御できるので、蒸発器(9)の
温度を目標温度に対してオーバシュートさせることな
く、目標温度とほぼ一致するように良好に制御できる
(後述の図17参照)。
(1)として吐出容量を変化し得るように構成された可
変容量型圧縮機を用い、可変容量型圧縮機(1)の吐出
容量を変化させることにより蒸発器(9)の温度を制御
するようにしてもよい。 これによると、圧縮機(1)
の吐出容量は連続的に制御できるので、蒸発器(9)の
温度を目標温度に対してオーバシュートさせることな
く、目標温度とほぼ一致するように良好に制御できる
(後述の図17参照)。
【0022】なお、請求項8のように圧縮機作動を断続
制御する場合には、蒸発器(9)の温度が目標温度に対
してオーバシュートして、折角凝固した蓄冷材が再溶融
してしまう等の不具合が起こりやすいが、請求項9によ
ると、吐出容量制御により蒸発器(9)の温度を目標温
度とほぼ一致するように良好に制御できるので、蓄冷材
の再溶融といった不具合を確実に回避できる。
制御する場合には、蒸発器(9)の温度が目標温度に対
してオーバシュートして、折角凝固した蓄冷材が再溶融
してしまう等の不具合が起こりやすいが、請求項9によ
ると、吐出容量制御により蒸発器(9)の温度を目標温
度とほぼ一致するように良好に制御できるので、蓄冷材
の再溶融といった不具合を確実に回避できる。
【0023】しかも、請求項9によると、蒸発器(9)
の温度のオーバシュートがなくなるので、蒸発器(9)
の目標温度を蓄冷材の融点に近接した高めの温度に設定
することが可能となり、このことから蓄冷材の冷却のた
めに必要な蒸発器冷却能力が小さくすみ、圧縮機動力を
低減できる。つまり、凝固した蓄冷材の再溶融防止と、
圧縮機動力の低減とを両立できる。
の温度のオーバシュートがなくなるので、蒸発器(9)
の目標温度を蓄冷材の融点に近接した高めの温度に設定
することが可能となり、このことから蓄冷材の冷却のた
めに必要な蒸発器冷却能力が小さくすみ、圧縮機動力を
低減できる。つまり、凝固した蓄冷材の再溶融防止と、
圧縮機動力の低減とを両立できる。
【0024】請求項10に記載の発明では、車両エンジ
ン(4)の動力不要時には車両エンジン(4)を停止す
る車両に、請求項7ないし9のいずれか1つに記載の車
両用空調装置を搭載することを特徴とする。
ン(4)の動力不要時には車両エンジン(4)を停止す
る車両に、請求項7ないし9のいずれか1つに記載の車
両用空調装置を搭載することを特徴とする。
【0025】これによると、信号待ち等による車両エン
ジン(4)の停止時にも、蓄冷器(40)の放冷作用に
より車室内の冷房作用を維持できる。
ジン(4)の停止時にも、蓄冷器(40)の放冷作用に
より車室内の冷房作用を維持できる。
【0026】請求項11に記載の発明では、冷房用熱交
換器(9)は、電動モータにより駆動される電動圧縮機
(1)を有する冷凍サイクル(R)の蒸発器(9)であ
り、蒸発器(9)の温度を検出する温度検出手段(3
2)を有し、制御手段(S210)は、蒸発器(9)の
温度に基づいて電動圧縮機(1)の回転数を制御するこ
とを特徴とする。
換器(9)は、電動モータにより駆動される電動圧縮機
(1)を有する冷凍サイクル(R)の蒸発器(9)であ
り、蒸発器(9)の温度を検出する温度検出手段(3
2)を有し、制御手段(S210)は、蒸発器(9)の
温度に基づいて電動圧縮機(1)の回転数を制御するこ
とを特徴とする。
【0027】これによると、電動圧縮機(1)の回転数
制御によりサイクル内冷媒流量を連続的に制御して蒸発
器(9)の温度を制御できる。従って、請求項9と同様
に、蒸発器(9)の温度のオーバシュートがなくなるの
で、蒸発器(9)の目標温度を蓄冷材の融点に近接した
高めの温度に設定することが可能となり、このことか
ら、凝固した蓄冷材の再溶融防止と、圧縮機動力の低減
とを両立できる。
制御によりサイクル内冷媒流量を連続的に制御して蒸発
器(9)の温度を制御できる。従って、請求項9と同様
に、蒸発器(9)の温度のオーバシュートがなくなるの
で、蒸発器(9)の目標温度を蓄冷材の融点に近接した
高めの温度に設定することが可能となり、このことか
ら、凝固した蓄冷材の再溶融防止と、圧縮機動力の低減
とを両立できる。
【0028】請求項12に記載の発明では、冷凍サイク
ル(R)に冷媒を循環する圧縮機(1)と、圧縮機
(1)の吸入側に設けられ、車室内へ送風される空気を
冷却する蒸発器(9)と、蒸発器(9)の空気流れ下流
側に配置され、蒸発器(9)を通過した冷風により冷却
される蓄冷器(40)とを備え、圧縮機(1)を外部か
ら吐出能力制御可能な構成とし、圧縮機(1)の吐出能
力を変化させることにより蒸発器(9)の温度を蓄冷器
(40)に蓄冷するための目標温度となるように制御す
ることを特徴とする。
ル(R)に冷媒を循環する圧縮機(1)と、圧縮機
(1)の吸入側に設けられ、車室内へ送風される空気を
冷却する蒸発器(9)と、蒸発器(9)の空気流れ下流
側に配置され、蒸発器(9)を通過した冷風により冷却
される蓄冷器(40)とを備え、圧縮機(1)を外部か
ら吐出能力制御可能な構成とし、圧縮機(1)の吐出能
力を変化させることにより蒸発器(9)の温度を蓄冷器
(40)に蓄冷するための目標温度となるように制御す
ることを特徴とする。
【0029】ここで、吐出能力制御可能な構成とは、請
求項9のような吐出容量の制御可能なものや、請求項1
1の電動圧縮機(1)のように回転数制御が可能なもの
を含む。つまり、吐出容量や回転数の制御により圧縮機
(1)の吐出能力(単位時間当たりの吐出流量)を変化
させることができるからである。
求項9のような吐出容量の制御可能なものや、請求項1
1の電動圧縮機(1)のように回転数制御が可能なもの
を含む。つまり、吐出容量や回転数の制御により圧縮機
(1)の吐出能力(単位時間当たりの吐出流量)を変化
させることができるからである。
【0030】請求項12によると、蓄冷器(40)を蓄
冷する蒸発器(9)の温度を、圧縮機(1)の断続制御
でなく、吐出能力の可変制御にて制御するから、請求項
9、11と同様に、蒸発器(9)の温度のオーバシュー
トがなくなるので、蒸発器(9)の目標温度を蓄冷材の
融点に近接した高めの温度に設定することが可能とな
り、このことから、凝固した蓄冷材の再溶融防止と、圧
縮機動力の低減とを良好に両立できる。
冷する蒸発器(9)の温度を、圧縮機(1)の断続制御
でなく、吐出能力の可変制御にて制御するから、請求項
9、11と同様に、蒸発器(9)の温度のオーバシュー
トがなくなるので、蒸発器(9)の目標温度を蓄冷材の
融点に近接した高めの温度に設定することが可能とな
り、このことから、凝固した蓄冷材の再溶融防止と、圧
縮機動力の低減とを良好に両立できる。
【0031】なお、上記各手段の括弧内の符号は、後述
する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すも
のである。
する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すも
のである。
【0032】
【発明の実施の形態】(第1実施形態)図1は第1実施
形態の全体構成図であり、車両用空調装置の冷凍サイク
ルRには冷媒を吸入、圧縮、吐出する圧縮機1を有し、
この圧縮機1には動力断続用の電磁クラッチ2が備えら
れている。なお、圧縮機1は吐出容量が一定になってい
る固定容量型圧縮機である。圧縮機1には電磁クラッチ
2およびベルト3を介して車両エンジン4の動力が伝達
されるので、電磁クラッチ2への通電を空調用電子制御
装置5により断続することにより圧縮機1の運転が断続
される。
形態の全体構成図であり、車両用空調装置の冷凍サイク
ルRには冷媒を吸入、圧縮、吐出する圧縮機1を有し、
この圧縮機1には動力断続用の電磁クラッチ2が備えら
れている。なお、圧縮機1は吐出容量が一定になってい
る固定容量型圧縮機である。圧縮機1には電磁クラッチ
2およびベルト3を介して車両エンジン4の動力が伝達
されるので、電磁クラッチ2への通電を空調用電子制御
装置5により断続することにより圧縮機1の運転が断続
される。
【0033】圧縮機1から吐出された高温、高圧の過熱
ガス冷媒は凝縮器6に流入し、図示しない冷却ファンよ
り送風される外気と熱交換して冷却され凝縮する。この
凝縮器6で凝縮した冷媒は次に受液器7に流入し、受液
器7の内部で冷媒の気液が分離され、冷凍サイクルR内
の余剰冷媒(液冷媒)が受液器7内に蓄えられる。
ガス冷媒は凝縮器6に流入し、図示しない冷却ファンよ
り送風される外気と熱交換して冷却され凝縮する。この
凝縮器6で凝縮した冷媒は次に受液器7に流入し、受液
器7の内部で冷媒の気液が分離され、冷凍サイクルR内
の余剰冷媒(液冷媒)が受液器7内に蓄えられる。
【0034】この受液器7からの液冷媒は膨張弁(減圧
手段)8により低圧に減圧され、低圧の気液2相状態と
なる。膨張弁8は蒸発器(冷房用熱交換器)9の出口冷
媒の温度を感知する感温部8aを有する温度式膨張弁で
ある。この膨張弁8からの低圧冷媒は蒸発器9に流入す
る。この蒸発器9は車両用空調装置の空調ケース10内
に設置され、蒸発器9に流入した低圧冷媒は空調ケース
10内の空気から吸熱して蒸発する。蒸発器9の出口は
圧縮機1の吸入側に結合され、上記したサイクル構成部
品によって閉回路を構成している。
手段)8により低圧に減圧され、低圧の気液2相状態と
なる。膨張弁8は蒸発器(冷房用熱交換器)9の出口冷
媒の温度を感知する感温部8aを有する温度式膨張弁で
ある。この膨張弁8からの低圧冷媒は蒸発器9に流入す
る。この蒸発器9は車両用空調装置の空調ケース10内
に設置され、蒸発器9に流入した低圧冷媒は空調ケース
10内の空気から吸熱して蒸発する。蒸発器9の出口は
圧縮機1の吸入側に結合され、上記したサイクル構成部
品によって閉回路を構成している。
【0035】空調ケース10において、蒸発器9の上流
側には送風機11が配置され、送風機11には遠心式送
風ファン12と駆動用モータ13が備えられている。送
風ファン12の吸入側には内外気切替箱14が配置さ
れ、この内外気切替箱14内の内外気切替ドア14aに
より外気導入口14bと内気導入口14cを開閉する。
これにより、内外気切替箱14内に外気(車室外空気)
または内気(車室内空気)が切替導入される。内外気切
替ドア14aはサーボモータからなる電気駆動装置14
eにより駆動される。。
側には送風機11が配置され、送風機11には遠心式送
風ファン12と駆動用モータ13が備えられている。送
風ファン12の吸入側には内外気切替箱14が配置さ
れ、この内外気切替箱14内の内外気切替ドア14aに
より外気導入口14bと内気導入口14cを開閉する。
これにより、内外気切替箱14内に外気(車室外空気)
または内気(車室内空気)が切替導入される。内外気切
替ドア14aはサーボモータからなる電気駆動装置14
eにより駆動される。。
【0036】空調装置通風系のうち、送風機11下流側
に配置される空調ユニット15部は、通常、車室内前部
の計器盤内側において車両幅方向の中央位置に配置さ
れ、送風機11部は空調ユニット15部に対して助手席
側にオフセット配置される。
に配置される空調ユニット15部は、通常、車室内前部
の計器盤内側において車両幅方向の中央位置に配置さ
れ、送風機11部は空調ユニット15部に対して助手席
側にオフセット配置される。
【0037】空調ケース10内で、蒸発器9の下流側に
は後述の蓄冷器40、エアミックスドア19が順次配置
されている。このエアミックスドア19の下流側には車
両エンジン4の温水(冷却水)を熱源として空気を加熱
する温水式ヒータコア(暖房用熱交換器)20が設置さ
れている。
は後述の蓄冷器40、エアミックスドア19が順次配置
されている。このエアミックスドア19の下流側には車
両エンジン4の温水(冷却水)を熱源として空気を加熱
する温水式ヒータコア(暖房用熱交換器)20が設置さ
れている。
【0038】そして、この温水式ヒータコア20の側方
(上方部)には、温水式ヒータコア20をバイパスして
空気(冷風)を流すバイパス通路21が形成されてい
る。エアミックスドア19は回動可能な板状ドアであ
り、サーボモータからなる電気駆動装置22により駆動
される。
(上方部)には、温水式ヒータコア20をバイパスして
空気(冷風)を流すバイパス通路21が形成されてい
る。エアミックスドア19は回動可能な板状ドアであ
り、サーボモータからなる電気駆動装置22により駆動
される。
【0039】エアミックスドア19は、温水式ヒータコ
ア20を通過する温風とバイパス通路21を通過する冷
風との風量割合を調整するものであって、この冷温風の
風量割合の調整により車室内への吹出空気温度を調整す
る。従って、本例においてはエアミックスドア19によ
り車室内への吹出空気の温度調整手段が構成される。
ア20を通過する温風とバイパス通路21を通過する冷
風との風量割合を調整するものであって、この冷温風の
風量割合の調整により車室内への吹出空気温度を調整す
る。従って、本例においてはエアミックスドア19によ
り車室内への吹出空気の温度調整手段が構成される。
【0040】温水式ヒータコア20の下流側には下側か
ら上方へ延びる温風通路23が形成され、この温風通路
23からの温風とバイパス通路21からの冷風が空気混
合部24で混合して、所望温度の空気を作り出すことが
できる。
ら上方へ延びる温風通路23が形成され、この温風通路
23からの温風とバイパス通路21からの冷風が空気混
合部24で混合して、所望温度の空気を作り出すことが
できる。
【0041】さらに、空調ケース10内で、空気混合部
24の下流側に吹出モード切替部が構成されている。す
なわち、空調ケース10の上面部にはデフロスタ開口部
25が形成され、このデフロスタ開口部25は図示しな
いデフロスタダクトを介して車両フロントガラス内面に
空気を吹き出すものである。デフロスタ開口部25は、
回動自在な板状のデフロスタドア26により開閉され
る。
24の下流側に吹出モード切替部が構成されている。す
なわち、空調ケース10の上面部にはデフロスタ開口部
25が形成され、このデフロスタ開口部25は図示しな
いデフロスタダクトを介して車両フロントガラス内面に
空気を吹き出すものである。デフロスタ開口部25は、
回動自在な板状のデフロスタドア26により開閉され
る。
【0042】また、空調ケース10の上面部で、デフロ
スタ開口部25より車両後方側の部位にフェイス開口部
27が形成され、このフェイス開口部27は図示しない
フェイスダクトを介して車室内乗員の上半身に向けて空
気を吹き出すものである。フェイス開口部27は回動自
在な板状のフェイスドア28により開閉される。
スタ開口部25より車両後方側の部位にフェイス開口部
27が形成され、このフェイス開口部27は図示しない
フェイスダクトを介して車室内乗員の上半身に向けて空
気を吹き出すものである。フェイス開口部27は回動自
在な板状のフェイスドア28により開閉される。
【0043】また、空調ケース10において、フェイス
開口部27の下側部位にフット開口部29が形成され、
このフット開口部29は車室内乗員の足元に向けて空気
を吹き出すものである。フット開口部29は回動自在な
板状のフットドア30により開閉される。
開口部27の下側部位にフット開口部29が形成され、
このフット開口部29は車室内乗員の足元に向けて空気
を吹き出すものである。フット開口部29は回動自在な
板状のフットドア30により開閉される。
【0044】上記した吹出モードドア26、28、30
は共通のリンク機構(図示せず)に連結され、このリン
ク機構を介してサーボモータからなる電気駆動装置31
により駆動される。
は共通のリンク機構(図示せず)に連結され、このリン
ク機構を介してサーボモータからなる電気駆動装置31
により駆動される。
【0045】蒸発器9の温度センサ32は空調ケース1
0内で蒸発器9の空気吹出直後の部位に配置され、蒸発
器吹出温度Teを検出する。また、蓄冷器40の温度セ
ンサ33は、蓄冷器40の空気吹出直後の部位に配置さ
れ、蓄冷器吹出温度Tcを検出する。
0内で蒸発器9の空気吹出直後の部位に配置され、蒸発
器吹出温度Teを検出する。また、蓄冷器40の温度セ
ンサ33は、蓄冷器40の空気吹出直後の部位に配置さ
れ、蓄冷器吹出温度Tcを検出する。
【0046】ここで、蒸発器9の温度センサ32の検出
信号(蒸発器吹出温度Te)は通常の空調装置と同様
に、圧縮機1のクラッチ断続を制御して蒸発器吹出温度
を目標蒸発器温度TEOに維持するために使用される。
なお、圧縮機1として可変容量圧縮機を用いる場合は蒸
発器吹出温度Teにより圧縮機1の容量を調整して、蒸
発器吹出温度を目標蒸発器温度TEOに維持する。
信号(蒸発器吹出温度Te)は通常の空調装置と同様
に、圧縮機1のクラッチ断続を制御して蒸発器吹出温度
を目標蒸発器温度TEOに維持するために使用される。
なお、圧縮機1として可変容量圧縮機を用いる場合は蒸
発器吹出温度Teにより圧縮機1の容量を調整して、蒸
発器吹出温度を目標蒸発器温度TEOに維持する。
【0047】蓄冷器40の温度センサ33の検出信号
(蓄冷器吹出温度Tc)は、蓄冷完了の判定のために用
いるとともにエアミックスドア19の開度制御のために
も用いるもので、蓄冷器吹出温度Tcの値によってエア
ミックスドア19の開度補正を行う。
(蓄冷器吹出温度Tc)は、蓄冷完了の判定のために用
いるとともにエアミックスドア19の開度制御のために
も用いるもので、蓄冷器吹出温度Tcの値によってエア
ミックスドア19の開度補正を行う。
【0048】この両温度センサ32、33はほぼ同程度
の温度応答性を持っておればよいが、車室内への吹出温
度を一定に維持するためには、蓄冷器40の温度センサ
33の温度応答性を高めた方がよい。
の温度応答性を持っておればよいが、車室内への吹出温
度を一定に維持するためには、蓄冷器40の温度センサ
33の温度応答性を高めた方がよい。
【0049】空調用電子制御装置5には、上記の両温度
センサ32、33の他に、空調制御のために、内気温T
r、外気温Tam、日射量Ts、温水温度Tw等を検出
する周知のセンサ群35から検出信号が入力される。ま
た、車室内計器盤近傍に設置される空調制御パネル36
には乗員により手動操作される操作スイッチ群37が備
えられ、この操作スイッチ群37の操作信号も空調用電
子制御装置5に入力される。
センサ32、33の他に、空調制御のために、内気温T
r、外気温Tam、日射量Ts、温水温度Tw等を検出
する周知のセンサ群35から検出信号が入力される。ま
た、車室内計器盤近傍に設置される空調制御パネル36
には乗員により手動操作される操作スイッチ群37が備
えられ、この操作スイッチ群37の操作信号も空調用電
子制御装置5に入力される。
【0050】この操作スイッチ群37としては、温度設
定信号Tsetを発生する温度設定スイッチ37a、風
量切替信号を発生する風量スイッチ37b、吹出モード
信号を発生する吹出モードスイッチ37c、内外気切替
信号を発生する内外気切替スイッチ37d、圧縮機1の
オンオフ信号を発生するエアコンスイッチ37eおよび
フルエアコンスイッチ37f等が設けられている。
定信号Tsetを発生する温度設定スイッチ37a、風
量切替信号を発生する風量スイッチ37b、吹出モード
信号を発生する吹出モードスイッチ37c、内外気切替
信号を発生する内外気切替スイッチ37d、圧縮機1の
オンオフ信号を発生するエアコンスイッチ37eおよび
フルエアコンスイッチ37f等が設けられている。
【0051】ここで、フルエアコンスイッチ37fの投
入時は圧縮機1のオン信号を出すとと同時に常に車両エ
ンジン4の稼働要求信号を出して、停車時にも車両エン
ジン4の運転状態を継続させる。これに反し、エアコン
スイッチ37eの投入時は圧縮機1のオン信号を出すの
みで、車両エンジン4の稼働要求信号は出さない。
入時は圧縮機1のオン信号を出すとと同時に常に車両エ
ンジン4の稼働要求信号を出して、停車時にも車両エン
ジン4の運転状態を継続させる。これに反し、エアコン
スイッチ37eの投入時は圧縮機1のオン信号を出すの
みで、車両エンジン4の稼働要求信号は出さない。
【0052】さらに、空調用電子制御装置5はエンジン
用電子制御装置38に接続されており、エンジン用電子
制御装置38から空調用電子制御装置5には車両エンジ
ン4の回転数信号、車速信号等が入力される。
用電子制御装置38に接続されており、エンジン用電子
制御装置38から空調用電子制御装置5には車両エンジ
ン4の回転数信号、車速信号等が入力される。
【0053】エンジン用電子制御装置38は周知のごと
く車両エンジン4の運転状況等を検出するセンサ群(図
示せず)からの信号に基づいて車両エンジン4への燃料
噴射量、点火時期等を総合的に制御するものである。さ
らに、本発明の対象とするエコラン車、ハイブリッド車
においては、フルエアコンスイッチ37fの非投入時に
車両エンジン4の回転数信号、車速信号、ブレーキ信号
等に基づいて停車状態を判定すると、エンジン用電子制
御装置38は、点火装置の電源遮断、燃料噴射の停止等
により車両エンジン4を自動的に停止させる。
く車両エンジン4の運転状況等を検出するセンサ群(図
示せず)からの信号に基づいて車両エンジン4への燃料
噴射量、点火時期等を総合的に制御するものである。さ
らに、本発明の対象とするエコラン車、ハイブリッド車
においては、フルエアコンスイッチ37fの非投入時に
車両エンジン4の回転数信号、車速信号、ブレーキ信号
等に基づいて停車状態を判定すると、エンジン用電子制
御装置38は、点火装置の電源遮断、燃料噴射の停止等
により車両エンジン4を自動的に停止させる。
【0054】また、エンジン停止後、運転者の運転操作
により車両が停車状態から発進状態に移行すると、エン
ジン用電子制御装置38は車両の発進状態をアクセル信
号等に基づいて判定して、車両エンジン4を自動的に始
動させる。なお、空調用電子制御装置5は、車両エンジ
ン4停止後の蓄冷器吹出温度Tcの上昇等に基づいてエ
ンジン再稼働要求の信号を出力する。
により車両が停車状態から発進状態に移行すると、エン
ジン用電子制御装置38は車両の発進状態をアクセル信
号等に基づいて判定して、車両エンジン4を自動的に始
動させる。なお、空調用電子制御装置5は、車両エンジ
ン4停止後の蓄冷器吹出温度Tcの上昇等に基づいてエ
ンジン再稼働要求の信号を出力する。
【0055】空調用電子制御装置5およびエンジン用電
子制御装置24はCPU、ROM、RAM等からなる周
知のマイクロコンピュータと、その周辺回路にて構成さ
れるものである。空調用電子制御装置5は、車両エンジ
ン4の停止許可、停止禁止の信号やエンジン停止後の再
稼働要求の信号を出力するエンジン制御信号出力部、電
磁クラッチ2による圧縮機断続制御部、内外気切替ドア
14aによる内外気吸込制御部、送風機11の風量制御
部、エアミックスドア19による温度制御部、吹出口2
5、27、29の切替による吹出モード制御部等を有し
ている。
子制御装置24はCPU、ROM、RAM等からなる周
知のマイクロコンピュータと、その周辺回路にて構成さ
れるものである。空調用電子制御装置5は、車両エンジ
ン4の停止許可、停止禁止の信号やエンジン停止後の再
稼働要求の信号を出力するエンジン制御信号出力部、電
磁クラッチ2による圧縮機断続制御部、内外気切替ドア
14aによる内外気吸込制御部、送風機11の風量制御
部、エアミックスドア19による温度制御部、吹出口2
5、27、29の切替による吹出モード制御部等を有し
ている。
【0056】次に、蓄冷器40の具体的な構成について
説明すると、蓄冷器40は図1に示すように蒸発器9と
同一の前面面積を有する形状として、蒸発器9通過後の
冷風の全量(空調ケース10内風量の全量)が通過する
熱交換器構成となっている。これにより、蓄冷器40は
空調ケース10内の空気流れ方向Aに対して厚さ寸法の
小さい薄型構造とすることができる。
説明すると、蓄冷器40は図1に示すように蒸発器9と
同一の前面面積を有する形状として、蒸発器9通過後の
冷風の全量(空調ケース10内風量の全量)が通過する
熱交換器構成となっている。これにより、蓄冷器40は
空調ケース10内の空気流れ方向Aに対して厚さ寸法の
小さい薄型構造とすることができる。
【0057】図2は蓄冷器40の具体的な熱交換器構成
を例示するもので、2枚の伝熱プレート41、42にそ
れぞれ空気(冷風)流れ方向Aに沿って交互に凸面部4
1a、42aを形成し、この凸面部41a、42aを互
いに相手側の伝熱プレート41、42の平面部に当接し
て接合(ろう付け等)する。これにより、凸面部41
a、42aの内側に密閉空間43を有するチューブ45
を形成し、密閉空間43内に蓄冷材44を収納するよう
になっている。
を例示するもので、2枚の伝熱プレート41、42にそ
れぞれ空気(冷風)流れ方向Aに沿って交互に凸面部4
1a、42aを形成し、この凸面部41a、42aを互
いに相手側の伝熱プレート41、42の平面部に当接し
て接合(ろう付け等)する。これにより、凸面部41
a、42aの内側に密閉空間43を有するチューブ45
を形成し、密閉空間43内に蓄冷材44を収納するよう
になっている。
【0058】なお、図2において、紙面垂直方向は空調
ケース10内への蓄冷器40の配置状態における上下方
向であり、従って、伝熱プレート41、42の凸面部4
1a、42aおよびその内側の密閉空間43も空調ケー
ス10内の上下方向に延びる形状である。そのため、伝
熱プレート41、42の表面に発生する凝縮水は凸面部
41a、42aに沿って重力にて下方へ落下することが
できる。
ケース10内への蓄冷器40の配置状態における上下方
向であり、従って、伝熱プレート41、42の凸面部4
1a、42aおよびその内側の密閉空間43も空調ケー
ス10内の上下方向に延びる形状である。そのため、伝
熱プレート41、42の表面に発生する凝縮水は凸面部
41a、42aに沿って重力にて下方へ落下することが
できる。
【0059】また、図2には、チューブ45を2組しか
図示していないが、実際には、蓄冷器40が蒸発器9と
同一の前面面積を持っているので、チューブ45が図2
の矢印B方向(空気流れ方向Aと直交方向)に多数組積
層される。
図示していないが、実際には、蓄冷器40が蒸発器9と
同一の前面面積を持っているので、チューブ45が図2
の矢印B方向(空気流れ方向Aと直交方向)に多数組積
層される。
【0060】この多数組のチューブ45の上下両端部に
チューブ相互間の当接部を設けて、チューブ45相互間
に所定間隔の空気通路46を保持するようになってい
る。そして、各チューブ45の伝熱プレート41、42
相互間、およびチューブ45相互間の当接部等を一体に
接合(ろう付け)することにより、蓄冷器40全体を1
つの熱交換器構造として一体化することができる。
チューブ相互間の当接部を設けて、チューブ45相互間
に所定間隔の空気通路46を保持するようになってい
る。そして、各チューブ45の伝熱プレート41、42
相互間、およびチューブ45相互間の当接部等を一体に
接合(ろう付け)することにより、蓄冷器40全体を1
つの熱交換器構造として一体化することができる。
【0061】なお、チューブ45の上下両端部に、多数
の密閉空間43を連通させるタンク部(図示せず)を一
体成形すれば、このタンク部により上記当接部を構成す
ることができる。
の密閉空間43を連通させるタンク部(図示せず)を一
体成形すれば、このタンク部により上記当接部を構成す
ることができる。
【0062】伝熱プレート41、42は伝熱性、軽量化
等を考慮してアルミニュウムの薄板材で成形することが
好ましい。なお、アルミニュウムのろう付け温度は60
0℃付近の高温であるので、蓄冷器40のろう付け工程
終了後に、密閉空間43内に蓄冷材44を封入する。こ
の蓄冷材封入のために、密閉空間43の一部(例えば、
上記タンク部等)に、1箇所または複数箇所の充填口を
設け、この充填口から密閉空間43内に蓄冷材44を充
填し、この充填作業の終了後に充填口を適宜のシール材
(例えば、Oリング等)を介在して蓋部材により密封す
る。
等を考慮してアルミニュウムの薄板材で成形することが
好ましい。なお、アルミニュウムのろう付け温度は60
0℃付近の高温であるので、蓄冷器40のろう付け工程
終了後に、密閉空間43内に蓄冷材44を封入する。こ
の蓄冷材封入のために、密閉空間43の一部(例えば、
上記タンク部等)に、1箇所または複数箇所の充填口を
設け、この充填口から密閉空間43内に蓄冷材44を充
填し、この充填作業の終了後に充填口を適宜のシール材
(例えば、Oリング等)を介在して蓋部材により密封す
る。
【0063】なお、蓄冷材44としては相変化により潜
熱を蓄えることができる物質を選定する。その際、単位
体積当たりの凝固潜熱が大きい材料ほど、蓄冷密度が大
きくなり好ましいが、蓄冷したい温度、蓄冷したい熱
量、蓄冷器40の材質、蓄冷材コスト等を総合的に考慮
して、蓄冷材44の具体的材質を選定する。
熱を蓄えることができる物質を選定する。その際、単位
体積当たりの凝固潜熱が大きい材料ほど、蓄冷密度が大
きくなり好ましいが、蓄冷したい温度、蓄冷したい熱
量、蓄冷器40の材質、蓄冷材コスト等を総合的に考慮
して、蓄冷材44の具体的材質を選定する。
【0064】本例においては、蓄冷器40の主目的が車
両用空調装置における夏場の冷房用であって、蓄冷器4
0の吹出温度Tcを15℃程度以下の温度に抑えたいこ
と、蒸発器9のフロスト防止のために0℃より高い温度
で凝固すること、蓄冷器構成材質(アルミニュウム)に
対する腐食防止作用が得られる等の理由から、蓄冷材4
4の具体的材質として、凝固点T0=8℃程度のパラフ
ィンを選定している。
両用空調装置における夏場の冷房用であって、蓄冷器4
0の吹出温度Tcを15℃程度以下の温度に抑えたいこ
と、蒸発器9のフロスト防止のために0℃より高い温度
で凝固すること、蓄冷器構成材質(アルミニュウム)に
対する腐食防止作用が得られる等の理由から、蓄冷材4
4の具体的材質として、凝固点T0=8℃程度のパラフ
ィンを選定している。
【0065】水の蓄冷密度を1.0とすると、パラフィ
ンの蓄冷密度は0.5程度となるが、科学的安定性や毒
性、材料コスト等の面で溶融塩や他の無機物よりパラフ
ィンの方が優れている。
ンの蓄冷密度は0.5程度となるが、科学的安定性や毒
性、材料コスト等の面で溶融塩や他の無機物よりパラフ
ィンの方が優れている。
【0066】また、空気通路46は、凸面部41a、4
2aが交互に突出することにより蛇行状の通路を形成す
る。すなわち、空気通路46では冷風が蛇行しながら各
チューブ45の伝熱プレート41、42の表面に直接接
触する。この蛇行状の形態により空気流れの直進を阻止
して空気流れを乱すことにより空気側の熱伝達率を飛躍
的に向上できるので、空気側のフィン部材を持たないフ
ィンレス構成であっても必要伝熱性能を確保できる。
2aが交互に突出することにより蛇行状の通路を形成す
る。すなわち、空気通路46では冷風が蛇行しながら各
チューブ45の伝熱プレート41、42の表面に直接接
触する。この蛇行状の形態により空気流れの直進を阻止
して空気流れを乱すことにより空気側の熱伝達率を飛躍
的に向上できるので、空気側のフィン部材を持たないフ
ィンレス構成であっても必要伝熱性能を確保できる。
【0067】次に、上記構成において第1実施形態の作
動を説明する。車両用空調装置においては、車両エンジ
ン4により圧縮機1を駆動することにより冷凍サイクル
Rが運転され、膨張弁8にて減圧された低温低圧の気液
2相冷媒が蒸発器9に流入し、ここで、送風機11の送
風空気から吸熱して低圧冷媒が蒸発することにより送風
空気が冷却、除湿され、冷風となる。
動を説明する。車両用空調装置においては、車両エンジ
ン4により圧縮機1を駆動することにより冷凍サイクル
Rが運転され、膨張弁8にて減圧された低温低圧の気液
2相冷媒が蒸発器9に流入し、ここで、送風機11の送
風空気から吸熱して低圧冷媒が蒸発することにより送風
空気が冷却、除湿され、冷風となる。
【0068】蒸発器9の温度は圧縮機1作動の断続制御
により目標蒸発器温度TEOに維持される。ここで、T
EOは後述のように空調モードの選択に応じて決定され
るものであって、TEOを0℃より高い温度とすること
により蒸発器9のフロストを防止することができる。
により目標蒸発器温度TEOに維持される。ここで、T
EOは後述のように空調モードの選択に応じて決定され
るものであって、TEOを0℃より高い温度とすること
により蒸発器9のフロストを防止することができる。
【0069】そして、蒸発器9通過後の冷風が次には蓄
冷器40の多数組のチューブ45相互間に形成される所
定間隔の空気通路46を通過する。
冷器40の多数組のチューブ45相互間に形成される所
定間隔の空気通路46を通過する。
【0070】ここで、空気通路46の蛇行状の形態によ
り冷風流れを乱して空気側の熱伝達率を飛躍的に向上で
きるので、空気通路46を冷風が通過する間に伝熱プレ
ート41、42を介して蓄冷材(パラフィン)44を効
果的に冷却できる。そして、蓄冷材44が冷却されて常
温時の液相状態から固相状態に凝固し、凝固潜熱の形態
で蓄冷を行うことができる。
り冷風流れを乱して空気側の熱伝達率を飛躍的に向上で
きるので、空気通路46を冷風が通過する間に伝熱プレ
ート41、42を介して蓄冷材(パラフィン)44を効
果的に冷却できる。そして、蓄冷材44が冷却されて常
温時の液相状態から固相状態に凝固し、凝固潜熱の形態
で蓄冷を行うことができる。
【0071】このため、エコラン車のように、信号待ち
等の停車時(エンジン動力不要時)にエンジン4を自動
的に停止する車両において、停車時に冷凍サイクルRの
圧縮機1が停止状態になっても、車室内への吹出空気温
度を蓄冷材(パラフィン)44の蓄冷量(凝固潜熱)を
用いて、比較的低温状態に維持することができる。従っ
て、夏期冷房時における停車時に、圧縮機1の停止に伴
う車室内への吹出温度の急上昇を抑制して、冷房フィー
リングの悪化を防止できる。
等の停車時(エンジン動力不要時)にエンジン4を自動
的に停止する車両において、停車時に冷凍サイクルRの
圧縮機1が停止状態になっても、車室内への吹出空気温
度を蓄冷材(パラフィン)44の蓄冷量(凝固潜熱)を
用いて、比較的低温状態に維持することができる。従っ
て、夏期冷房時における停車時に、圧縮機1の停止に伴
う車室内への吹出温度の急上昇を抑制して、冷房フィー
リングの悪化を防止できる。
【0072】次に、第1実施形態による蓄冷挙動の特徴
を具体的に説明する。車両用空調装置においては、送風
機11からの送風空気をまず最初に蒸発器9にて冷却、
除湿し、その後、エアミックスドア9の開度を調整して
冷風と温風を混合することにより、車室内への吹出温度
を目標温度TAOに制御している。その場合に、例え
ば、TAO=12℃という比較的高い温度であっても、
蓄冷材44の蓄冷を極力短時間で完了するためには、目
標蒸発器温度TEOをできる限り低い温度に設定する必
要がある。
を具体的に説明する。車両用空調装置においては、送風
機11からの送風空気をまず最初に蒸発器9にて冷却、
除湿し、その後、エアミックスドア9の開度を調整して
冷風と温風を混合することにより、車室内への吹出温度
を目標温度TAOに制御している。その場合に、例え
ば、TAO=12℃という比較的高い温度であっても、
蓄冷材44の蓄冷を極力短時間で完了するためには、目
標蒸発器温度TEOをできる限り低い温度に設定する必
要がある。
【0073】ここで、蓄冷材44の蓄冷は図1のように
蒸発器9通過後の冷風により行うから、蓄冷材44の冷
却能力Qは次の数式1により表すことができる。
蒸発器9通過後の冷風により行うから、蓄冷材44の冷
却能力Qは次の数式1により表すことができる。
【0074】
【数1】Q=α・F・(Tc’−Te) 但し、α:熱伝達率、F:蓄冷器40の表面面積、T
c’:蓄冷器40の表面温度、Te:蒸発器吹出温度 数式1において、α、Fは蓄冷器40の仕様により決ま
る一定値であり、またTc’も蓄冷材44の凝固開始後
は蓄冷材44の材質により決まる一定温度(凝固温度T
0)となる。よって、蓄冷材44を極力短時間で蓄冷完
了するためには蒸発器吹出温度Teをできる限り低くす
るのであるが、Te<0℃にすると、蒸発器9のフロス
ト(凝縮水の凍結)が発生して、蒸発器9の冷却能力を
低下させるという問題を生じる。
c’:蓄冷器40の表面温度、Te:蒸発器吹出温度 数式1において、α、Fは蓄冷器40の仕様により決ま
る一定値であり、またTc’も蓄冷材44の凝固開始後
は蓄冷材44の材質により決まる一定温度(凝固温度T
0)となる。よって、蓄冷材44を極力短時間で蓄冷完
了するためには蒸発器吹出温度Teをできる限り低くす
るのであるが、Te<0℃にすると、蒸発器9のフロス
ト(凝縮水の凍結)が発生して、蒸発器9の冷却能力を
低下させるという問題を生じる。
【0075】そこで、本発明者らは、まず、蓄冷時目標
蒸発器温度TEOB(すなわち、蒸発器吹出温度Te)
を1℃に設定して、蒸発器9のフロストを防止できる範
囲内で最大蓄冷状態(最大冷却能力Q)を設定する比較
例について蓄冷挙動を検討してみた。図3はこの比較例
の蓄冷挙動をまとめたものである。
蒸発器温度TEOB(すなわち、蒸発器吹出温度Te)
を1℃に設定して、蒸発器9のフロストを防止できる範
囲内で最大蓄冷状態(最大冷却能力Q)を設定する比較
例について蓄冷挙動を検討してみた。図3はこの比較例
の蓄冷挙動をまとめたものである。
【0076】上記の最大蓄冷状態を設定すると、1℃の
低温冷風により蓄冷材44を急速冷却できるので、図3
の太実線に示すように蓄冷材44の温度(蓄冷器吹出温
度Tc)を冷却開始前の温度から急速に低下できる。本
例では、凝固点T0=8℃のパラフィンを蓄冷材44と
して用いているから、蓄冷材44の温度が8℃に低下す
ると、蓄冷材44の凝固が開始され、蓄冷材44の凝固
潜熱が1℃の低温冷風により吸熱される。そして、この
凝固が継続している間は蓄冷材44の温度が凝固点T0
の8℃に維持されるので、蓄冷器40の吹出温度Tcも
略8℃一定に維持される。
低温冷風により蓄冷材44を急速冷却できるので、図3
の太実線に示すように蓄冷材44の温度(蓄冷器吹出温
度Tc)を冷却開始前の温度から急速に低下できる。本
例では、凝固点T0=8℃のパラフィンを蓄冷材44と
して用いているから、蓄冷材44の温度が8℃に低下す
ると、蓄冷材44の凝固が開始され、蓄冷材44の凝固
潜熱が1℃の低温冷風により吸熱される。そして、この
凝固が継続している間は蓄冷材44の温度が凝固点T0
の8℃に維持されるので、蓄冷器40の吹出温度Tcも
略8℃一定に維持される。
【0077】そして、蓄冷材44の凝固、すなわち、蓄
冷が完了した後も、蓄冷時目標蒸発器温度TEOB=1
℃を継続すると、蓄冷材44は1℃の低温冷風により引
き続き冷却されるので、蓄冷材44も略1℃の温度まで
冷却される。
冷が完了した後も、蓄冷時目標蒸発器温度TEOB=1
℃を継続すると、蓄冷材44は1℃の低温冷風により引
き続き冷却されるので、蓄冷材44も略1℃の温度まで
冷却される。
【0078】ところで、図3の比較例では、空調に必要
な目標蒸発器温度TEOAが12℃である場合に、急速
蓄冷のために、蓄冷時目標蒸発器温度TEOB=1℃と
いう最大蓄冷状態を設定し、この状態を蓄冷完了後も継
続している。しかし、このことは蓄冷完了後も冷凍サイ
クルの低圧圧力を蒸発器9の低温(1℃)に対応する低
い値に下げた状態を継続することになり、圧縮機動力の
無駄な消費につながる。
な目標蒸発器温度TEOAが12℃である場合に、急速
蓄冷のために、蓄冷時目標蒸発器温度TEOB=1℃と
いう最大蓄冷状態を設定し、この状態を蓄冷完了後も継
続している。しかし、このことは蓄冷完了後も冷凍サイ
クルの低圧圧力を蒸発器9の低温(1℃)に対応する低
い値に下げた状態を継続することになり、圧縮機動力の
無駄な消費につながる。
【0079】そこで、上記検討結果に基づいて、第1実
施形態では、蓄冷材44の蓄冷完了を判定し、蓄冷完了
後は目標蒸発器温度を、図4に示すように急速蓄冷のた
めの初期蓄冷目標蒸発器温度TEOB1より高い温度の
蓄冷維持目標蒸発器温度TEOB2に切り替える。ここ
で、TEOB2は蓄冷材44の蓄冷(凝固)状態を維持
するために、蓄冷材44の凝固点T0(8℃)より若干
低い温度(例えば、6℃)に設定する。
施形態では、蓄冷材44の蓄冷完了を判定し、蓄冷完了
後は目標蒸発器温度を、図4に示すように急速蓄冷のた
めの初期蓄冷目標蒸発器温度TEOB1より高い温度の
蓄冷維持目標蒸発器温度TEOB2に切り替える。ここ
で、TEOB2は蓄冷材44の蓄冷(凝固)状態を維持
するために、蓄冷材44の凝固点T0(8℃)より若干
低い温度(例えば、6℃)に設定する。
【0080】次に、第1実施形態による具体的な蓄冷制
御を説明する。まず、図5は制御装置5のマイクロコン
ピュータにより実行される空調制御全体の概要を示すフ
ローチャートであり、図5の制御ルーチンは、車両エン
ジン4のイグニッションスイッチがオンされて制御装置
5に電源が供給された状態において、空調制御パネル3
6の操作スイッチ群37の風量スイッチ37b(あるい
はオートスイッチ)が投入されるとスタートする。
御を説明する。まず、図5は制御装置5のマイクロコン
ピュータにより実行される空調制御全体の概要を示すフ
ローチャートであり、図5の制御ルーチンは、車両エン
ジン4のイグニッションスイッチがオンされて制御装置
5に電源が供給された状態において、空調制御パネル3
6の操作スイッチ群37の風量スイッチ37b(あるい
はオートスイッチ)が投入されるとスタートする。
【0081】先ず、ステップS100ではフラグ、タイ
マー等の初期化がなされ、次のステップS110で、セ
ンサ32、33、センサ群35からの検出信号、操作ス
イッチ群37の操作信号、エンジン用電子制御装置38
からの車両運転信号等を読み込む。
マー等の初期化がなされ、次のステップS110で、セ
ンサ32、33、センサ群35からの検出信号、操作ス
イッチ群37の操作信号、エンジン用電子制御装置38
からの車両運転信号等を読み込む。
【0082】続いて、ステップS120にて、車室内へ
吹き出される空調風の目標吹出温度TAOを算出する。
吹き出される空調風の目標吹出温度TAOを算出する。
【0083】この目標吹出温度TAOは、車室内を温度
設定スイッチ37aの設定温度Tsetに維持するため
に必要な吹出温度であり、下記数式2に基づいて算出さ
れる。
設定スイッチ37aの設定温度Tsetに維持するため
に必要な吹出温度であり、下記数式2に基づいて算出さ
れる。
【0084】
【数2】TAO=Kset ×Tset −Kr ×Tr −Kam×
Tam−Ks ×Ts +C 但し、Tr:センサ群35の内気センサにより検出され
る内気温 Tam:センサ群35の外気センサにより検出される外
気温 Ts:センサ群35の日射センサにより検出される日射
量 Kset、Kr、Kam、Ks:制御ゲイン C:補正用の定数 次に、ステップS130にて空調モードが通常モードで
あるか、蓄冷モードであるか、放冷モードであるかを選
択する。ここで、通常モードと蓄冷モードはエンジン稼
働中(車両走行中)に設定するモードであって、この通
常モードと蓄冷モードの選択は具体的には上記基準目標
吹出温度TAOと空調制御パネル36のエアコンスイッ
チ37eおよびフルエアコンスイッチ37fの操作状態
とに基づいて行うことができる。
Tam−Ks ×Ts +C 但し、Tr:センサ群35の内気センサにより検出され
る内気温 Tam:センサ群35の外気センサにより検出される外
気温 Ts:センサ群35の日射センサにより検出される日射
量 Kset、Kr、Kam、Ks:制御ゲイン C:補正用の定数 次に、ステップS130にて空調モードが通常モードで
あるか、蓄冷モードであるか、放冷モードであるかを選
択する。ここで、通常モードと蓄冷モードはエンジン稼
働中(車両走行中)に設定するモードであって、この通
常モードと蓄冷モードの選択は具体的には上記基準目標
吹出温度TAOと空調制御パネル36のエアコンスイッ
チ37eおよびフルエアコンスイッチ37fの操作状態
とに基づいて行うことができる。
【0085】すなわち、フルエアコンスイッチ37fの
投入時には前述のごとく車両エンジン4の稼働要求信号
が出されて、停車時にも車両エンジン4の稼働状態が継
続されるので、蓄冷モードが不要であり、従って、TA
Oの如何にかかわらず、通常モードを選択する。
投入時には前述のごとく車両エンジン4の稼働要求信号
が出されて、停車時にも車両エンジン4の稼働状態が継
続されるので、蓄冷モードが不要であり、従って、TA
Oの如何にかかわらず、通常モードを選択する。
【0086】また、エアコンスイッチ37eの投入時に
おいてTAOが暖房域に相当する所定温度(例えば、3
5℃)以上であるときは、蓄冷モードが不要であるの
で、やはり通常モードを選択する。
おいてTAOが暖房域に相当する所定温度(例えば、3
5℃)以上であるときは、蓄冷モードが不要であるの
で、やはり通常モードを選択する。
【0087】これに反し、エアコンスイッチ37eの投
入時においてTAOが暖房域に相当する所定温度(例え
ば、35℃)より低いときは、冷房必要域であり、蓄冷
モードが必要となるので、蓄冷モードを選択する。
入時においてTAOが暖房域に相当する所定温度(例え
ば、35℃)より低いときは、冷房必要域であり、蓄冷
モードが必要となるので、蓄冷モードを選択する。
【0088】ここで、別の選択方式として、例えば、空
調制御パネル36の操作スイッチ群37として蓄冷スイ
ッチを追加して、この蓄冷スイッチの投入時だけ蓄冷モ
ードを選択し、蓄冷スイッチの非投入時は常に通常モー
ドを選択するようにしてもよい。
調制御パネル36の操作スイッチ群37として蓄冷スイ
ッチを追加して、この蓄冷スイッチの投入時だけ蓄冷モ
ードを選択し、蓄冷スイッチの非投入時は常に通常モー
ドを選択するようにしてもよい。
【0089】また、エアコンスイッチ37eの投入時に
おいてエンジン4(圧縮機1)が停止したときは放冷モ
ードを選択する。
おいてエンジン4(圧縮機1)が停止したときは放冷モ
ードを選択する。
【0090】そして、通常モードが選択されたときは、
ステップS140にて通常モード時の目標蒸発器温度T
EOAを決定する。この通常モード時の目標蒸発器温度
TEOAは、空調環境条件により決定される空調に必要
な目標値であって、本例では図6に示す第1目標蒸発器
温度TEOA1と図7に示す第2目標蒸発器温度TEOA2
に基づいて決定する。第1目標蒸発器温度TEOA1はT
AOの上昇につれて高くなるように決定する。従って、
TEOA1=f(TAO)として表すことができる。な
お、第1目標蒸発器温度TEOA1は、本例では12°C
が上限になっている。
ステップS140にて通常モード時の目標蒸発器温度T
EOAを決定する。この通常モード時の目標蒸発器温度
TEOAは、空調環境条件により決定される空調に必要
な目標値であって、本例では図6に示す第1目標蒸発器
温度TEOA1と図7に示す第2目標蒸発器温度TEOA2
に基づいて決定する。第1目標蒸発器温度TEOA1はT
AOの上昇につれて高くなるように決定する。従って、
TEOA1=f(TAO)として表すことができる。な
お、第1目標蒸発器温度TEOA1は、本例では12°C
が上限になっている。
【0091】また、第2目標蒸発器温度TEOA2は、外
気温Tamに対応して決定されるものであって、f(T
am)として表すことができる。このTEOA2は外気温
Tamの中間温度域(例えば、18°C〜25°C)で
は冷房、除湿の必要性が低下するので、第2目標蒸発器
温度TEOA2を高く(例えば12°C)して、圧縮機1
の稼働率を低減することにより、車両エンジン4の省動
力を図る。
気温Tamに対応して決定されるものであって、f(T
am)として表すことができる。このTEOA2は外気温
Tamの中間温度域(例えば、18°C〜25°C)で
は冷房、除湿の必要性が低下するので、第2目標蒸発器
温度TEOA2を高く(例えば12°C)して、圧縮機1
の稼働率を低減することにより、車両エンジン4の省動
力を図る。
【0092】一方、外気温Tamが25°Cを越える夏
期の高温時には冷房能力確保のため、TEOA2を外気温
度Tamの上昇に反比例して低下させる。また、外気温
Tamが10°Cより低くなる低温域では、窓ガラス曇
り防止のための除湿能力確保のために、TEOA2を外気
温Tamの低下とともに低下させる。
期の高温時には冷房能力確保のため、TEOA2を外気温
度Tamの上昇に反比例して低下させる。また、外気温
Tamが10°Cより低くなる低温域では、窓ガラス曇
り防止のための除湿能力確保のために、TEOA2を外気
温Tamの低下とともに低下させる。
【0093】そして、エンジン稼働中における通常モー
ド時(蓄冷モードでないとき)では、上記第1、第2目
標蒸発器温度TEOA1、TEOA2のうち、低い温度の方
を最終的に、目標蒸発器温度TEOA として決定する。
ド時(蓄冷モードでないとき)では、上記第1、第2目
標蒸発器温度TEOA1、TEOA2のうち、低い温度の方
を最終的に、目標蒸発器温度TEOA として決定する。
【0094】次に、ステップS170にて送風機11に
より送風される空気の目標送風量BLWを上記TAOに
基づいて算出する。この目標送風量BLWの算出方法は
周知であり、上記TAOの高温側(最大暖房側)および
低温側(最大冷房側)で目標風量を大きくし、上記TA
Oの中間温度域で目標風量BLWを小さくする。
より送風される空気の目標送風量BLWを上記TAOに
基づいて算出する。この目標送風量BLWの算出方法は
周知であり、上記TAOの高温側(最大暖房側)および
低温側(最大冷房側)で目標風量を大きくし、上記TA
Oの中間温度域で目標風量BLWを小さくする。
【0095】次に、ステップS180にて内外気モード
を決定する。この内外気モードは例えば、上記TAOが
低温側から高温側へ上昇するにつれて、全内気モード→
内外気混入モード→全外気モードと切替設定する。但
し、蓄冷モード時において、蓄冷完了までの間は上記条
件とは関係なく、常に強制的に内気モードとすれば、冷
房負荷の低減により急速蓄冷の効果を向上できる。
を決定する。この内外気モードは例えば、上記TAOが
低温側から高温側へ上昇するにつれて、全内気モード→
内外気混入モード→全外気モードと切替設定する。但
し、蓄冷モード時において、蓄冷完了までの間は上記条
件とは関係なく、常に強制的に内気モードとすれば、冷
房負荷の低減により急速蓄冷の効果を向上できる。
【0096】次に、ステップS190にて上記TAOに
応じて吹出モードを決定する。この吹出モードは周知の
ごとくTAOが低温側から高温側へ上昇するにつれてフ
ェイスモード→バイレベルモード→フットモードと切替
設定される。
応じて吹出モードを決定する。この吹出モードは周知の
ごとくTAOが低温側から高温側へ上昇するにつれてフ
ェイスモード→バイレベルモード→フットモードと切替
設定される。
【0097】次に、ステップS200にて、エアミック
スドア19の目標開度SWを上記TAO、蓄冷器吹出温
度Tc、及び温水温度Twに基づいて算出する。ここ
で、エアミックスドア19の目標開度SW は、エアミ
ックスドア19の最大冷房位置(図1の実線位置)を0
%とし、エアミックスドア19の最大暖房位置(図1の
一点鎖線位置)を100%とする百分率で表される。
スドア19の目標開度SWを上記TAO、蓄冷器吹出温
度Tc、及び温水温度Twに基づいて算出する。ここ
で、エアミックスドア19の目標開度SW は、エアミ
ックスドア19の最大冷房位置(図1の実線位置)を0
%とし、エアミックスドア19の最大暖房位置(図1の
一点鎖線位置)を100%とする百分率で表される。
【0098】次に、ステップS210に進み、目標蒸発
器温度TEOA と温度センサ32により検出される蒸発
器吹出温度Teとを比較して電磁クラッチ2への印加電
圧Vcを決定し、圧縮機作動の断続(ON−OFF)を
決定する。すなわち、蒸発器吹出温度Teが目標蒸発器
温度TEOAより低下すると、クラッチ印加電圧Vc=
0VとしてクラッチOFF(圧縮機OFF)とする。そ
して、蒸発器吹出温度TeがTEOA+αより高くなる
と、クラッチ印加電圧Vc=12VとしてクラッチON
(圧縮機ON)とする。ここで、αは圧縮機断続制御の
ヒステリシス幅であり、通常1℃程度である。
器温度TEOA と温度センサ32により検出される蒸発
器吹出温度Teとを比較して電磁クラッチ2への印加電
圧Vcを決定し、圧縮機作動の断続(ON−OFF)を
決定する。すなわち、蒸発器吹出温度Teが目標蒸発器
温度TEOAより低下すると、クラッチ印加電圧Vc=
0VとしてクラッチOFF(圧縮機OFF)とする。そ
して、蒸発器吹出温度TeがTEOA+αより高くなる
と、クラッチ印加電圧Vc=12VとしてクラッチON
(圧縮機ON)とする。ここで、αは圧縮機断続制御の
ヒステリシス幅であり、通常1℃程度である。
【0099】次に、ステップS220に進み、空調側条
件に基いてエンジン制御信号(前述の車両エンジン4の
停止許可、停止禁止、および車両エンジン4停止後の再
稼働要求の信号)を決定する。
件に基いてエンジン制御信号(前述の車両エンジン4の
停止許可、停止禁止、および車両エンジン4停止後の再
稼働要求の信号)を決定する。
【0100】次に、ステップS230に進み、上記各ス
テップで決定された各制御信号を各制御対象部に出力す
る。すなわち、ステップS170の目標風量BLW、ス
テップS180の内外気モード、ステップS190の吹
出モード、ステップS200の目標開度SWが得られる
ように、送風機11の回転数、内外気ドア14a、吹出
モードドア26、28、30、エアミックスドア19の
操作位置を制御する。
テップで決定された各制御信号を各制御対象部に出力す
る。すなわち、ステップS170の目標風量BLW、ス
テップS180の内外気モード、ステップS190の吹
出モード、ステップS200の目標開度SWが得られる
ように、送風機11の回転数、内外気ドア14a、吹出
モードドア26、28、30、エアミックスドア19の
操作位置を制御する。
【0101】更に、ステップS210で決定されたクラ
ッチ印加電圧Vcに基づいて圧縮機1の作動が断続制御
され、これにより、蒸発器吹出温度を通常時の目標蒸発
器温度TEOAに制御する。また、ステップS220で
決定されたエンジン制御信号をエンジン制御用制御装置
38に出力する。
ッチ印加電圧Vcに基づいて圧縮機1の作動が断続制御
され、これにより、蒸発器吹出温度を通常時の目標蒸発
器温度TEOAに制御する。また、ステップS220で
決定されたエンジン制御信号をエンジン制御用制御装置
38に出力する。
【0102】一方、ステップS130で蓄冷モードが選
択されたときは、蓄冷用目標蒸発器温度TEOBを図8
のフローチャートにより決定する。ステップS151で
まず蓄冷材44の蓄冷が完了したか判定する。この判定
は具体的には蓄冷器吹出温度Tcが蓄冷材凝固温度T0
(8℃)より低下したかを判定する。本例では、Tc<
6℃となったときを蓄冷完了とする。
択されたときは、蓄冷用目標蒸発器温度TEOBを図8
のフローチャートにより決定する。ステップS151で
まず蓄冷材44の蓄冷が完了したか判定する。この判定
は具体的には蓄冷器吹出温度Tcが蓄冷材凝固温度T0
(8℃)より低下したかを判定する。本例では、Tc<
6℃となったときを蓄冷完了とする。
【0103】従って、Tcが6℃以上であるときは蓄冷
が完了していないとして、ステップS152に進み、初
期蓄冷TEOB1=1℃を設定する。これに対し、Tc
<6℃となり、蓄冷が完了するとステップS153に進
み、蓄冷維持TEOB2=6℃を設定する。
が完了していないとして、ステップS152に進み、初
期蓄冷TEOB1=1℃を設定する。これに対し、Tc
<6℃となり、蓄冷が完了するとステップS153に進
み、蓄冷維持TEOB2=6℃を設定する。
【0104】以上により、 蓄冷開始当初には初期蓄冷
TEOB1=1℃を設定することにより、蒸発器吹出温
度Te=1℃で圧縮機1がOFFし、蓄冷器吹出温度T
e=2℃で圧縮機1がONするという、圧縮機1の断続
制御が行われる。これにより、蒸発器吹出温度Teが略
1℃という低温に制御され、この略1℃の低温冷風によ
り蓄冷材44の急速蓄冷を実現できる。具体的には、蓄
冷材44:凝固点T0=8℃のパラフィンを300cc
用い、略1℃の低温冷風により蓄冷材44を冷却した場
合に、約1分間で蓄冷材44の蓄冷(凝固)を完了でき
る。
TEOB1=1℃を設定することにより、蒸発器吹出温
度Te=1℃で圧縮機1がOFFし、蓄冷器吹出温度T
e=2℃で圧縮機1がONするという、圧縮機1の断続
制御が行われる。これにより、蒸発器吹出温度Teが略
1℃という低温に制御され、この略1℃の低温冷風によ
り蓄冷材44の急速蓄冷を実現できる。具体的には、蓄
冷材44:凝固点T0=8℃のパラフィンを300cc
用い、略1℃の低温冷風により蓄冷材44を冷却した場
合に、約1分間で蓄冷材44の蓄冷(凝固)を完了でき
る。
【0105】これに反し、蓄冷完了後は、初期蓄冷TE
OB1=1℃から蓄冷維持TEOB2=6℃にTEOを引
き上げるから、蓄冷材44の蓄冷状態を維持しつつ、し
かも、圧縮機1の稼働率(ON−OFF合計時間に対す
るON時間の比率)を初期蓄冷TEOB1=1℃のとき
に比較して格段と引き下げて、圧縮機1の駆動動力を低
減できる。具体的には、外気温Tam:30℃、車速:
40km/hの条件において、初期蓄冷TEOB1=1
℃のときと蓄冷維持TEOB2=6℃のときの圧縮機動
力比は、1.2:1であり、蓄冷完了後は圧縮機動力を
大幅に低減できる。
OB1=1℃から蓄冷維持TEOB2=6℃にTEOを引
き上げるから、蓄冷材44の蓄冷状態を維持しつつ、し
かも、圧縮機1の稼働率(ON−OFF合計時間に対す
るON時間の比率)を初期蓄冷TEOB1=1℃のとき
に比較して格段と引き下げて、圧縮機1の駆動動力を低
減できる。具体的には、外気温Tam:30℃、車速:
40km/hの条件において、初期蓄冷TEOB1=1
℃のときと蓄冷維持TEOB2=6℃のときの圧縮機動
力比は、1.2:1であり、蓄冷完了後は圧縮機動力を
大幅に低減できる。
【0106】このように、本第1実施形態によると、蓄
冷材44の急速蓄冷と、圧縮機1の駆動動力の低減とい
う背反的な課題を両立できるものであって、図9はこの
ことを概略的に示す説明図である。
冷材44の急速蓄冷と、圧縮機1の駆動動力の低減とい
う背反的な課題を両立できるものであって、図9はこの
ことを概略的に示す説明図である。
【0107】次に、図5のステップS130で放冷モー
ドが選択されたときは、ステップS160に進み、放冷
モードにおける限界蓄冷器温度TCOを決定する。この
限界TCOは、放冷モードにおける蓄冷器温度、具体的
には蓄冷器吹出温度Tcの上昇により湿度変化、温度変
化、臭い発生、窓曇り発生を乗員に感じさせない知覚限
界点の温度(上限値)であり、所定温度、例えば12℃
に固定したり、あるいは、この限界TCOを放冷モード
における環境変化に応じて補正してもよい。
ドが選択されたときは、ステップS160に進み、放冷
モードにおける限界蓄冷器温度TCOを決定する。この
限界TCOは、放冷モードにおける蓄冷器温度、具体的
には蓄冷器吹出温度Tcの上昇により湿度変化、温度変
化、臭い発生、窓曇り発生を乗員に感じさせない知覚限
界点の温度(上限値)であり、所定温度、例えば12℃
に固定したり、あるいは、この限界TCOを放冷モード
における環境変化に応じて補正してもよい。
【0108】そして、放冷モードでは、ステップS22
0において、温度センサ33により検出される蓄冷器吹
出温度Tcと上記限界TCOとを比較し、Tc<限界T
COである間は、車両エンジン4の停止許可の信号を継
続する。これにより、エンジン4の停止状態、すなわ
ち、放冷モードが継続される。
0において、温度センサ33により検出される蓄冷器吹
出温度Tcと上記限界TCOとを比較し、Tc<限界T
COである間は、車両エンジン4の停止許可の信号を継
続する。これにより、エンジン4の停止状態、すなわ
ち、放冷モードが継続される。
【0109】放冷モードの継続によりTcが上昇して、
Tc≧限界TCOの関係になると、エンジン稼働要求の
信号を出力し、車両エンジン4を再起動させ、圧縮機1
の作動による蒸発器9の冷房作用を再開させる。従っ
て、放冷モードが終了する。
Tc≧限界TCOの関係になると、エンジン稼働要求の
信号を出力し、車両エンジン4を再起動させ、圧縮機1
の作動による蒸発器9の冷房作用を再開させる。従っ
て、放冷モードが終了する。
【0110】なお、第1実施形態によると、蓄冷器40
を蒸発器9の下流で、且つ、エアミックスドア19の上
流側に配置してあるから、エアミックスドア19の回動
位置の如何に左右されることなく、常に、蒸発器9通過
後の冷風により蓄冷器40を良好に冷却できる。
を蒸発器9の下流で、且つ、エアミックスドア19の上
流側に配置してあるから、エアミックスドア19の回動
位置の如何に左右されることなく、常に、蒸発器9通過
後の冷風により蓄冷器40を良好に冷却できる。
【0111】特に、蓄冷器40を冷風により冷却する構
造にするとともに蓄冷器40をフィンレス構造としてい
るから、蓄冷器40を簡素な熱交換器構造とすることが
できる。また、蓄冷器40がフィンレス構造であると、
空気側のフィンを設けない分だけ、同一体格内での蓄冷
材収容スペースを拡大でき、蓄冷能力を増加できる。
造にするとともに蓄冷器40をフィンレス構造としてい
るから、蓄冷器40を簡素な熱交換器構造とすることが
できる。また、蓄冷器40がフィンレス構造であると、
空気側のフィンを設けない分だけ、同一体格内での蓄冷
材収容スペースを拡大でき、蓄冷能力を増加できる。
【0112】(第2実施形態)第2実施形態は第1実施
形態よりも一層圧縮機1の駆動動力の低減効果を向上で
きるものである。最初に、第2実施形態の着眼点を説明
する。車両の実際の走行パターンについて考えてみる
と、都市部の市街地走行では、信号待ち等の理由から1
分程度の短時間走行後に停車し、30秒程度後に走行開
始することを頻繁に繰り返すという走行パターンが多
い。一方、郊外地域では、都市部より信号数が少ないと
はいえ、5分以上連続して走行することは稀である。
形態よりも一層圧縮機1の駆動動力の低減効果を向上で
きるものである。最初に、第2実施形態の着眼点を説明
する。車両の実際の走行パターンについて考えてみる
と、都市部の市街地走行では、信号待ち等の理由から1
分程度の短時間走行後に停車し、30秒程度後に走行開
始することを頻繁に繰り返すという走行パターンが多
い。一方、郊外地域では、都市部より信号数が少ないと
はいえ、5分以上連続して走行することは稀である。
【0113】従って、市街地走行および郊外地走行のい
ずれにおいても、車両エンジン4の再稼働による走行開
始時には第1実施形態のように最大蓄冷状態を設定して
1℃の冷風により急速蓄冷を行い、蓄冷完了後は、蓄冷
材44の凝固点T0より僅かに低い温度の冷風により蓄
冷状態の維持を行うという制御が好ましい。
ずれにおいても、車両エンジン4の再稼働による走行開
始時には第1実施形態のように最大蓄冷状態を設定して
1℃の冷風により急速蓄冷を行い、蓄冷完了後は、蓄冷
材44の凝固点T0より僅かに低い温度の冷風により蓄
冷状態の維持を行うという制御が好ましい。
【0114】ところが、高速道路では、一旦走り始める
と、1〜2時間連続して走行することもある。このよう
な連続走行時には次の停車に備えて、第1実施形態によ
る蓄冷状態の維持制御(TEOB2=6℃)を長時間継
続することは圧縮機1の駆動動力の面から無駄が大き
い。
と、1〜2時間連続して走行することもある。このよう
な連続走行時には次の停車に備えて、第1実施形態によ
る蓄冷状態の維持制御(TEOB2=6℃)を長時間継
続することは圧縮機1の駆動動力の面から無駄が大き
い。
【0115】つまり、空調制御のために本来必要なTE
OA(ステップS140で算出される値)が例えば、1
2℃であるにもかかわらず、長時間の間、TEOB2=
6℃という低い目標温度で圧縮機1をON−OFF制御
することは、TEOA=12℃に比較して圧縮機動力を
増大させてしまい、無駄が大きい。
OA(ステップS140で算出される値)が例えば、1
2℃であるにもかかわらず、長時間の間、TEOB2=
6℃という低い目標温度で圧縮機1をON−OFF制御
することは、TEOA=12℃に比較して圧縮機動力を
増大させてしまい、無駄が大きい。
【0116】上記点に着目して、第2実施形態では図1
0に示すように、ステップS151で蓄冷完了を判定す
ると、次のステップS154で蓄冷完了後の経過時間が
所定時間τに到達したかを判定する。ここで、所定時間
τは例えば、5分であり、蓄冷完了後の経過時間が所定
時間τ以内であるときは第1実施形態と同様にステップ
S153で蓄冷維持TEOB2=6℃として、蓄冷維持
の制御を行う。
0に示すように、ステップS151で蓄冷完了を判定す
ると、次のステップS154で蓄冷完了後の経過時間が
所定時間τに到達したかを判定する。ここで、所定時間
τは例えば、5分であり、蓄冷完了後の経過時間が所定
時間τ以内であるときは第1実施形態と同様にステップ
S153で蓄冷維持TEOB2=6℃として、蓄冷維持
の制御を行う。
【0117】しかし、蓄冷完了後の経過時間が所定時間
τに到達すると、ステップS154からステップS15
5に進み、通常モード時の目標蒸発器温度TEOAを決
定する。このTEOAは前述のステップS140で算出
される値と同じであり、空調制御のために本来必要な値
である。
τに到達すると、ステップS154からステップS15
5に進み、通常モード時の目標蒸発器温度TEOAを決
定する。このTEOAは前述のステップS140で算出
される値と同じであり、空調制御のために本来必要な値
である。
【0118】従って、第2実施形態によると、空調制御
のための目標蒸発器温度TEOAが例えば、12℃であ
る条件においては、蓄冷完了後に所定時間τが経過する
と、図11に示すように目標蒸発器温度を蓄冷材44の
凝固温度T0より更に高い温度である、TEOA=12
℃に上昇させることができる。これにより、圧縮機動力
を必要最小限のレベルまで低減することができる。
のための目標蒸発器温度TEOAが例えば、12℃であ
る条件においては、蓄冷完了後に所定時間τが経過する
と、図11に示すように目標蒸発器温度を蓄冷材44の
凝固温度T0より更に高い温度である、TEOA=12
℃に上昇させることができる。これにより、圧縮機動力
を必要最小限のレベルまで低減することができる。
【0119】(第3実施形態)第1実施形態では蓄冷器
40を図2に示すようにフィンレス構造としているが、
第2実施形態では図12に示すように蓄冷器40をフィ
ンアンドチューブ型の熱交換器構造としている。
40を図2に示すようにフィンレス構造としているが、
第2実施形態では図12に示すように蓄冷器40をフィ
ンアンドチューブ型の熱交換器構造としている。
【0120】図12において、2枚の伝熱プレート41
0、420はそれぞれ外方へ椀状に膨出する形状に成形
され、この2枚の伝熱プレート410、420を最中状
に接合することにより、チューブ430を形成するよう
になっている。そして、波形状に折り曲げ成形されたコ
ルゲート型フィン440とチューブ430とを、図12
の上下方向に交互に積層配置し、チューブ430の伝熱
プレート410、420相互間、フィン440とチュー
ブ430との間等をアルミニュウムの一体ろう付けで接
合する。ろう付け後に、チューブ430の内部空間に蓄
冷材44を充填し、密封する。
0、420はそれぞれ外方へ椀状に膨出する形状に成形
され、この2枚の伝熱プレート410、420を最中状
に接合することにより、チューブ430を形成するよう
になっている。そして、波形状に折り曲げ成形されたコ
ルゲート型フィン440とチューブ430とを、図12
の上下方向に交互に積層配置し、チューブ430の伝熱
プレート410、420相互間、フィン440とチュー
ブ430との間等をアルミニュウムの一体ろう付けで接
合する。ろう付け後に、チューブ430の内部空間に蓄
冷材44を充填し、密封する。
【0121】なお、第1実施形態および第3実施形態で
は、伝熱プレート41、42、410、420をそれぞ
れ別体の薄板材で成形する場合を示しているが、1枚の
薄板材を2枚の伝熱プレートに相当する大きさとし、こ
の1枚の薄板材をその中央部でU上に折り曲げて、第1
実施形態のチューブ45若しくは第2実施形態のチュー
ブ430を形成するようにしてもよい。
は、伝熱プレート41、42、410、420をそれぞ
れ別体の薄板材で成形する場合を示しているが、1枚の
薄板材を2枚の伝熱プレートに相当する大きさとし、こ
の1枚の薄板材をその中央部でU上に折り曲げて、第1
実施形態のチューブ45若しくは第2実施形態のチュー
ブ430を形成するようにしてもよい。
【0122】(第4実施形態)上記第3実施形態では、
プレス成形された薄板材からなる伝熱プレート410、
420を接合することにより、チューブ430を構成し
ているが、第3実施形態では図13に示すように、チュ
ーブ430を多穴形状の断面形状を持つ押し出し成形品
で構成し、この押し出しチューブ430をコルゲート型
フィン440に接合している。蓄冷材44はチューブ4
30の多穴内部に充填し、密封する。
プレス成形された薄板材からなる伝熱プレート410、
420を接合することにより、チューブ430を構成し
ているが、第3実施形態では図13に示すように、チュ
ーブ430を多穴形状の断面形状を持つ押し出し成形品
で構成し、この押し出しチューブ430をコルゲート型
フィン440に接合している。蓄冷材44はチューブ4
30の多穴内部に充填し、密封する。
【0123】(第5実施形態)前述の第1実施形態で
は、蒸発器9の下流側に蒸発器9と別体の蓄冷器40を
配置しているが、第4実施形態では図14のごとく蒸発
器9に蓄冷器40を一体化している。図14はこの蒸発
器9と蓄冷器40の一体化の具体例を示すもので、蒸発
器9と蓄冷器40をともにフィンレスの熱交換器構造で
一体化している。
は、蒸発器9の下流側に蒸発器9と別体の蓄冷器40を
配置しているが、第4実施形態では図14のごとく蒸発
器9に蓄冷器40を一体化している。図14はこの蒸発
器9と蓄冷器40の一体化の具体例を示すもので、蒸発
器9と蓄冷器40をともにフィンレスの熱交換器構造で
一体化している。
【0124】図14において、伝熱プレート41、42
の空気流れ方向Aの下流側に、図2と同様の凸面部41
a、42aを成形して蓄冷材44を収納するための密閉
空間43を形成する。また、伝熱プレート41、42の
うち、空気流れ方向Aの上流側にも凸面部41b、42
bを成形して、この凸面部41b、42bの内側に蒸発
器9の冷媒が流れる冷媒通路47を形成する。
の空気流れ方向Aの下流側に、図2と同様の凸面部41
a、42aを成形して蓄冷材44を収納するための密閉
空間43を形成する。また、伝熱プレート41、42の
うち、空気流れ方向Aの上流側にも凸面部41b、42
bを成形して、この凸面部41b、42bの内側に蒸発
器9の冷媒が流れる冷媒通路47を形成する。
【0125】これにより、空気流れ上流側の蒸発器9と
空気流れ下流側の蓄冷器40とを一体ろう付けで簡単に
製造でき、且つ、蒸発器9と蓄冷器40を1つの熱交換
器構造としてまとめることができるから、空調ケース1
0内への組付も容易となる。また、蓄冷材44を冷媒通
路47の冷媒にて冷却された冷風により冷却できると同
時に、伝熱プレート41、42を介した熱伝導により蓄
冷材44を冷却できるので、蓄冷材44の冷却効果を向
上できる。
空気流れ下流側の蓄冷器40とを一体ろう付けで簡単に
製造でき、且つ、蒸発器9と蓄冷器40を1つの熱交換
器構造としてまとめることができるから、空調ケース1
0内への組付も容易となる。また、蓄冷材44を冷媒通
路47の冷媒にて冷却された冷風により冷却できると同
時に、伝熱プレート41、42を介した熱伝導により蓄
冷材44を冷却できるので、蓄冷材44の冷却効果を向
上できる。
【0126】(第6実施形態)上記の各実施形態では、
圧縮機1として吐出容量が一定になっている固定容量型
圧縮機を用い、その固定容量型圧縮機の作動を断続して
蒸発器9の温度を制御する場合について説明したが、第
6実施形態では圧縮機1として吐出容量を変化し得るよ
うに構成された可変容量型のものを用い、圧縮機1の容
量制御により蒸発器9の温度を制御するようにしてい
る。
圧縮機1として吐出容量が一定になっている固定容量型
圧縮機を用い、その固定容量型圧縮機の作動を断続して
蒸発器9の温度を制御する場合について説明したが、第
6実施形態では圧縮機1として吐出容量を変化し得るよ
うに構成された可変容量型のものを用い、圧縮機1の容
量制御により蒸発器9の温度を制御するようにしてい
る。
【0127】本発明者らの実験検討によると、固定容量
型圧縮機1の作動の断続により蒸発器9の温度を制御す
る場合には次のごとき問題が生じることが判明した。す
なわち、図15は圧縮機1の作動の断続により蒸発器9
の温度を制御する場合における蒸発器吹出温度Teと蓄
冷器吹出温度Tcの挙動を示すもので、蒸発器9の温度
センサ(サーミスタ)自体に温度検出の応答遅れがある
ことに加えて、固定容量型圧縮機1の作動の断続により
圧縮機吐出能力が100%と0%を繰り返すので、蒸発
器9の吹出温度Teが蓄冷時の目標温度(図示の例では
6℃)に対して大幅にオーバシュートする。
型圧縮機1の作動の断続により蒸発器9の温度を制御す
る場合には次のごとき問題が生じることが判明した。す
なわち、図15は圧縮機1の作動の断続により蒸発器9
の温度を制御する場合における蒸発器吹出温度Teと蓄
冷器吹出温度Tcの挙動を示すもので、蒸発器9の温度
センサ(サーミスタ)自体に温度検出の応答遅れがある
ことに加えて、固定容量型圧縮機1の作動の断続により
圧縮機吐出能力が100%と0%を繰り返すので、蒸発
器9の吹出温度Teが蓄冷時の目標温度(図示の例では
6℃)に対して大幅にオーバシュートする。
【0128】その結果、蒸発器9の吹出温度Teが蓄冷
材の融点(図示の例では8℃)より上昇し、これに伴っ
て、蓄冷器吹出温度Tcが蓄冷材の融点(図示の例では
8℃)より上昇してしまう期間t1が発生し、折角凝固
した蓄冷材が再溶融するという不具合が生じる。
材の融点(図示の例では8℃)より上昇し、これに伴っ
て、蓄冷器吹出温度Tcが蓄冷材の融点(図示の例では
8℃)より上昇してしまう期間t1が発生し、折角凝固
した蓄冷材が再溶融するという不具合が生じる。
【0129】そこで、蓄冷時の目標温度を上記6℃から
図16に示すように4℃程度まで引き下げることが考え
られるが、このように蒸発器9の目標温度を引き下げる
と、当然のことながら圧縮機1の作動断続の稼働率が上
昇して圧縮機動力が増加する。この圧縮機動力の増加
は、実験によると、蓄冷時の目標温度を6℃から4℃へ
引き下げることによって35%増にも達することが分か
った。
図16に示すように4℃程度まで引き下げることが考え
られるが、このように蒸発器9の目標温度を引き下げる
と、当然のことながら圧縮機1の作動断続の稼働率が上
昇して圧縮機動力が増加する。この圧縮機動力の増加
は、実験によると、蓄冷時の目標温度を6℃から4℃へ
引き下げることによって35%増にも達することが分か
った。
【0130】ところで、エコラン車はそもそも、車両エ
ンジン4をアイドル時に停止させて車両エンジン4の燃
費向上を図ろうとするものであり、このエコラン車にお
いて、蓄冷のために圧縮機動力を増加させ車両エンジン
4の燃費を悪化させることは本来の趣旨に反することで
あり、好ましくない。
ンジン4をアイドル時に停止させて車両エンジン4の燃
費向上を図ろうとするものであり、このエコラン車にお
いて、蓄冷のために圧縮機動力を増加させ車両エンジン
4の燃費を悪化させることは本来の趣旨に反することで
あり、好ましくない。
【0131】なお、蒸発器9の目標温度を4℃程度まで
引き下げても、蒸発器9への風量が大きくて冷房負荷が
大きいとき等には圧縮機1の停止に伴って蓄冷器吹出温
度Tcが蓄冷材の融点より上昇してしまうこともある。
引き下げても、蒸発器9への風量が大きくて冷房負荷が
大きいとき等には圧縮機1の停止に伴って蓄冷器吹出温
度Tcが蓄冷材の融点より上昇してしまうこともある。
【0132】そこで、圧縮機1として可変容量型のもの
を用いて、圧縮機1の吐出容量制御により蒸発器9の温
度を制御するようにし、この温度制御による蒸発器吹出
温度Teと蓄冷器吹出温度Tcの挙動について実験検討
したところ、図17に示す結果が得られた。すなわち、
可変容量型圧縮機1ではその吐出容量(吐出冷媒流量)
をきめ細かく連続的に制御できるので、実際の蒸発器吹
出温度Teが目標温度(図17の例では6℃)近傍の温
度に到達した後には実際の蒸発器吹出温度Teがオーバ
シュートすることなく、目標温度に維持されることが分
かった。
を用いて、圧縮機1の吐出容量制御により蒸発器9の温
度を制御するようにし、この温度制御による蒸発器吹出
温度Teと蓄冷器吹出温度Tcの挙動について実験検討
したところ、図17に示す結果が得られた。すなわち、
可変容量型圧縮機1ではその吐出容量(吐出冷媒流量)
をきめ細かく連続的に制御できるので、実際の蒸発器吹
出温度Teが目標温度(図17の例では6℃)近傍の温
度に到達した後には実際の蒸発器吹出温度Teがオーバ
シュートすることなく、目標温度に維持されることが分
かった。
【0133】そこで、第6実施形態では可変容量型圧縮
機1を用い、その吐出容量制御により蒸発器9の温度を
制御するようにしている。
機1を用い、その吐出容量制御により蒸発器9の温度を
制御するようにしている。
【0134】図18は第6実施形態の全体システム図で
あり、図1との相違点は可変容量型圧縮機1を用いて、
この可変容量型圧縮機1の電磁式容量制御機構1aを空
調用電子制御装置5の出力により制御して、圧縮機1の
吐出容量を制御する点である。
あり、図1との相違点は可変容量型圧縮機1を用いて、
この可変容量型圧縮機1の電磁式容量制御機構1aを空
調用電子制御装置5の出力により制御して、圧縮機1の
吐出容量を制御する点である。
【0135】なお、可変容量型圧縮機1は具体的には、
周知の斜板式圧縮機で構成することができ、具体的には
斜板が配置されている斜板室の圧力(制御圧力)を電磁
式容量制御機構1aにより変化させ、これにより、斜板
の傾斜角度を変化させて、ピストンの作動ストロークを
変化させ、圧縮機1の吐出容量を変化させることができ
る。
周知の斜板式圧縮機で構成することができ、具体的には
斜板が配置されている斜板室の圧力(制御圧力)を電磁
式容量制御機構1aにより変化させ、これにより、斜板
の傾斜角度を変化させて、ピストンの作動ストロークを
変化させ、圧縮機1の吐出容量を変化させることができ
る。
【0136】一方、電磁式容量制御機構1aは、圧縮機
1の吐出圧と吸入圧を利用して制御圧力を変化させるも
のであり、制御電流Inにより電磁力が調整される電磁
機構、およびこの電磁機構の電磁力と吸入圧との釣り合
いによって変位する弁体を有し、この弁体により圧縮機
1の吐出圧を斜板室内に導く通路の圧損を調整して、制
御圧力を変化させるようになっている。
1の吐出圧と吸入圧を利用して制御圧力を変化させるも
のであり、制御電流Inにより電磁力が調整される電磁
機構、およびこの電磁機構の電磁力と吸入圧との釣り合
いによって変位する弁体を有し、この弁体により圧縮機
1の吐出圧を斜板室内に導く通路の圧損を調整して、制
御圧力を変化させるようになっている。
【0137】これによると、電磁式容量制御機構1aの
制御電流Inにより吸入圧の目標圧力を設定し、実際の
吸入圧がこの目標圧力となるように圧縮機1の吐出容量
が制御される。なお、吸入圧は蒸発器9の冷媒蒸発圧力
とほぼ同じであるから、吸入圧の制御により蒸発器9の
温度(冷媒蒸発温度)を制御できる。
制御電流Inにより吸入圧の目標圧力を設定し、実際の
吸入圧がこの目標圧力となるように圧縮機1の吐出容量
が制御される。なお、吸入圧は蒸発器9の冷媒蒸発圧力
とほぼ同じであるから、吸入圧の制御により蒸発器9の
温度(冷媒蒸発温度)を制御できる。
【0138】次に、第6実施形態による蒸発器9の温度
制御の具体例を説明すると、第6実施形態の空調制御
は、図5のステップS210を除いて基本的には図5と
同じでよい。第6実施形態では、図5のステップS21
0において、圧縮機1の断続(ON−OFF)を決定す
る代わりに、可変容量型圧縮機1の電磁式容量制御機構
1aの制御電流Inを決定する。
制御の具体例を説明すると、第6実施形態の空調制御
は、図5のステップS210を除いて基本的には図5と
同じでよい。第6実施形態では、図5のステップS21
0において、圧縮機1の断続(ON−OFF)を決定す
る代わりに、可変容量型圧縮機1の電磁式容量制御機構
1aの制御電流Inを決定する。
【0139】この制御電流Inは、蒸発器吹出温度セン
サ32により検出される実際の蒸発器吹出温度Teが目
標蒸発器吹出温度TEOとなるように決定される。な
お、目標蒸発器吹出温度TEOは、通常モード時であれ
ば、ステップS140のTEOAであり、蓄冷モード時
であれば、ステップS150のTEOB(すなわち、T
EOB1またはTEOB2)である。
サ32により検出される実際の蒸発器吹出温度Teが目
標蒸発器吹出温度TEOとなるように決定される。な
お、目標蒸発器吹出温度TEOは、通常モード時であれ
ば、ステップS140のTEOAであり、蓄冷モード時
であれば、ステップS150のTEOB(すなわち、T
EOB1またはTEOB2)である。
【0140】この制御電流値Inは具体的には次のよう
に比例積分制御(PI制御)によるフィードバック制御
の手法にて算出する。先ず、下記の数式3に基づいて、
実際の蒸発器吹出温度Teと目標蒸発器吹出温度TEO
との偏差Enを算出する。
に比例積分制御(PI制御)によるフィードバック制御
の手法にて算出する。先ず、下記の数式3に基づいて、
実際の蒸発器吹出温度Teと目標蒸発器吹出温度TEO
との偏差Enを算出する。
【0141】
【数3】En=Te−TEO 次に、上記偏差Enに基づいて制御電流Inを下記の数
式4に基づいて算出する。
式4に基づいて算出する。
【0142】
【数4】In=In−1−Kp{(En−En−1)+
θ/Ti・En} 但し、Kp :比例定数 θ :サンプリング・タイム Ti :積分時間 なお、In−1は前回算出した制御電流で、En−1は
前回算出した偏差である。
θ/Ti・En} 但し、Kp :比例定数 θ :サンプリング・タイム Ti :積分時間 なお、In−1は前回算出した制御電流で、En−1は
前回算出した偏差である。
【0143】可変容量型圧縮機1の電磁式容量制御機構
1aでは、上記のようにして算出された制御電流値In
に応じて吸入圧の目標圧力が決まり、吸入圧がこの目標
圧力となるように圧縮機1の容量が可変制御される。こ
の結果、実際の蒸発器吹出温度Teが目標蒸発器吹出温
度TEO(具体的には、TEOAまたはTEOB1また
はTEOB2)に維持される。
1aでは、上記のようにして算出された制御電流値In
に応じて吸入圧の目標圧力が決まり、吸入圧がこの目標
圧力となるように圧縮機1の容量が可変制御される。こ
の結果、実際の蒸発器吹出温度Teが目標蒸発器吹出温
度TEO(具体的には、TEOAまたはTEOB1また
はTEOB2)に維持される。
【0144】ここで、本実施形態では、圧縮機1の吐出
容量を斜板の傾斜角度の調整により連続的にきめ細かく
制御できるとともに、実際の蒸発器吹出温度Teの偏差
Enを比例積分制御によりフィードバックして制御電流
値Inを算出しているから、前述の図17に示すよう
に、実際の蒸発器吹出温度Teをオーバシュートさせる
ことなく目標温度(目標蒸発器吹出温度TEO)付近に
良好に維持できる。従って、一旦凝固した蓄冷材が再溶
融することがない。
容量を斜板の傾斜角度の調整により連続的にきめ細かく
制御できるとともに、実際の蒸発器吹出温度Teの偏差
Enを比例積分制御によりフィードバックして制御電流
値Inを算出しているから、前述の図17に示すよう
に、実際の蒸発器吹出温度Teをオーバシュートさせる
ことなく目標温度(目標蒸発器吹出温度TEO)付近に
良好に維持できる。従って、一旦凝固した蓄冷材が再溶
融することがない。
【0145】なお、図17において、蓄冷材の蓄冷が完
了すると、顕熱変化で蓄冷材温度(蓄冷器吹出温度T
c)が更に低下し、そして、蓄冷材温度は以後放冷する
までは、蒸発器吹出温度Teより若干高い一定温度に保
たれる。
了すると、顕熱変化で蓄冷材温度(蓄冷器吹出温度T
c)が更に低下し、そして、蓄冷材温度は以後放冷する
までは、蒸発器吹出温度Teより若干高い一定温度に保
たれる。
【0146】第6実施形態では、吸入圧が目標圧力とな
るように圧縮機1の容量を可変制御しているが、吐出容
量制御の他の方式として、電磁式容量制御機構1aの制
御電流Inにより圧縮機1の吐出流量の目標流量を設定
し、実際の吐出流量がこの目標流量となるように圧縮機
1の吐出容量を制御するものも知られている。このよう
に圧縮機1の吐出容量により圧縮機1の吐出流量を制御
する方式を第6実施形態で採用しても良い。
るように圧縮機1の容量を可変制御しているが、吐出容
量制御の他の方式として、電磁式容量制御機構1aの制
御電流Inにより圧縮機1の吐出流量の目標流量を設定
し、実際の吐出流量がこの目標流量となるように圧縮機
1の吐出容量を制御するものも知られている。このよう
に圧縮機1の吐出容量により圧縮機1の吐出流量を制御
する方式を第6実施形態で採用しても良い。
【0147】また、上記した斜板式の可変容量型圧縮機
1では、斜板の傾斜角度を変化させて、その吐出容量を
100%の状態から0%付近まで制御できるので、電磁
クラッチ2を廃止することも可能である。
1では、斜板の傾斜角度を変化させて、その吐出容量を
100%の状態から0%付近まで制御できるので、電磁
クラッチ2を廃止することも可能である。
【0148】また、圧縮機1を電動モータにより駆動さ
れる電動圧縮機として構成し、この電動圧縮機1のモー
タ回転数を制御することにより圧縮機1の吐出流量を制
御し、それにより、蒸発器9の温度を制御するようにし
てもよい。
れる電動圧縮機として構成し、この電動圧縮機1のモー
タ回転数を制御することにより圧縮機1の吐出流量を制
御し、それにより、蒸発器9の温度を制御するようにし
てもよい。
【0149】(他の実施形態) 前述の第1実施形態では、蒸発器9の下流側で、且
つ、エアミックスドア19の上流側に蓄冷器40を配置
しているが、車両用空調装置では、ヒータコア20の温
水流量(または温水温度)を調整する温水弁を温水回路
に備え、この温水弁の開度調整によりヒータコア20の
温水流量(または温水温度)を調整してヒータコア20
の加熱能力を調整し、これにより、車室内への吹出空気
温度を調整するタイプのものも知られている。このタイ
プの車両用空調装置では、上記温水弁により、車室内へ
の吹出空気温度を調整する温度調整手段の役割を果すこ
とができるので、エアミックスドア19が不要となる。
つ、エアミックスドア19の上流側に蓄冷器40を配置
しているが、車両用空調装置では、ヒータコア20の温
水流量(または温水温度)を調整する温水弁を温水回路
に備え、この温水弁の開度調整によりヒータコア20の
温水流量(または温水温度)を調整してヒータコア20
の加熱能力を調整し、これにより、車室内への吹出空気
温度を調整するタイプのものも知られている。このタイ
プの車両用空調装置では、上記温水弁により、車室内へ
の吹出空気温度を調整する温度調整手段の役割を果すこ
とができるので、エアミックスドア19が不要となる。
【0150】従って、上記タイプの車両用空調装置では
蒸発器9の下流側で、且つ、ヒータコア20の上流側に
蓄冷器40を配置すればよい。
蒸発器9の下流側で、且つ、ヒータコア20の上流側に
蓄冷器40を配置すればよい。
【0151】前述の第1実施形態では、蓄冷器40の
前面面積を蒸発器9と同一にして、蒸発器9通過後の冷
風の全量が蓄冷器40を通過するようにしているが、蓄
冷器40の前面面積を蒸発器9より小さくして、蓄冷器
40のバイパス通路を形成して、蒸発器9通過後の冷風
の一部が蓄冷器40をバイパスするようにしてもよい。
前面面積を蒸発器9と同一にして、蒸発器9通過後の冷
風の全量が蓄冷器40を通過するようにしているが、蓄
冷器40の前面面積を蒸発器9より小さくして、蓄冷器
40のバイパス通路を形成して、蒸発器9通過後の冷風
の一部が蓄冷器40をバイパスするようにしてもよい。
【0152】前述の第1実施形態では蒸発器9の前面
面積を空調ケース10内の通路断面積と同一にして、送
風機11の送風空気の全量が蒸発器9を通過するように
しているが、蒸発器9と蓄冷器40の前面面積を同一に
するとともに、空調ケース10内に蒸発器9と蓄冷器4
0の両方をバイパスするバイパス通路を形成し、このバ
イパス通路の開度を冷房負荷等の条件に応じてバイパス
ドアにより調整するようにしてもよい。
面積を空調ケース10内の通路断面積と同一にして、送
風機11の送風空気の全量が蒸発器9を通過するように
しているが、蒸発器9と蓄冷器40の前面面積を同一に
するとともに、空調ケース10内に蒸発器9と蓄冷器4
0の両方をバイパスするバイパス通路を形成し、このバ
イパス通路の開度を冷房負荷等の条件に応じてバイパス
ドアにより調整するようにしてもよい。
【0153】蓄冷材44の凝固点T0として上述の各
実施形態では8℃の場合を説明したが、蒸発器のフロス
ト防止および蓄冷材44の放冷による冷房効果の確保の
観点から蓄冷材44の凝固点T0を8℃の前後にずらし
てもよいことはもちろんである。
実施形態では8℃の場合を説明したが、蒸発器のフロス
ト防止および蓄冷材44の放冷による冷房効果の確保の
観点から蓄冷材44の凝固点T0を8℃の前後にずらし
てもよいことはもちろんである。
【0154】上述の各実施形態では蒸発器9と蓄冷器
40を上下方向に延びるように配置(垂直配置)してい
るが、蒸発器9と蓄冷器40を斜め配置、水平配置等の
種々な配置形態を採用できる。
40を上下方向に延びるように配置(垂直配置)してい
るが、蒸発器9と蓄冷器40を斜め配置、水平配置等の
種々な配置形態を採用できる。
【0155】上記の各実施形態では、蒸発器9の温度
を検出する温度検出手段として、蒸発器吹出空気温度T
eを検出する温度センサ32を用いているが、蒸発器9
の冷媒通路壁面温度やフィン表面温度を検出する温度セ
ンサを用いてもよい。
を検出する温度検出手段として、蒸発器吹出空気温度T
eを検出する温度センサ32を用いているが、蒸発器9
の冷媒通路壁面温度やフィン表面温度を検出する温度セ
ンサを用いてもよい。
【0156】また、蓄冷器40の温度を検出する温度検
出手段として、蓄冷器40の吹出空気温度Tcを検出す
る温度センサ33を用いているが、蓄冷器40の壁面温
度やフィン表面温度を検出する温度センサを用いてもよ
い。
出手段として、蓄冷器40の吹出空気温度Tcを検出す
る温度センサ33を用いているが、蓄冷器40の壁面温
度やフィン表面温度を検出する温度センサを用いてもよ
い。
【0157】上記の各実施形態では、蓄冷材44の蓄
冷完了後に、目標蒸発器温度を蓄冷材44の凝固点T0
より僅かに低い蓄冷維持目標温度TEOB2に切り替え
て、蓄冷材44の蓄冷状態を維持しているが、例えば、
蓄冷器40にバイパス通路を設け、蓄冷材44の蓄冷完
了後はドア手段によりバイパス通路を開いて、蓄冷器4
0の通風路を閉じることにより、蓄冷完了後に、蒸発器
吹出空気が蓄冷器40を通過しないようにすることがで
きる。これにより、蓄冷完了後に、目標蒸発器温度を直
ちに空調に必要なTEOA(例えば、12℃)に切り替
えても、蓄冷材44の蓄冷状態を維持することが可能と
なり、圧縮機動力の低減効果を更に向上できる。
冷完了後に、目標蒸発器温度を蓄冷材44の凝固点T0
より僅かに低い蓄冷維持目標温度TEOB2に切り替え
て、蓄冷材44の蓄冷状態を維持しているが、例えば、
蓄冷器40にバイパス通路を設け、蓄冷材44の蓄冷完
了後はドア手段によりバイパス通路を開いて、蓄冷器4
0の通風路を閉じることにより、蓄冷完了後に、蒸発器
吹出空気が蓄冷器40を通過しないようにすることがで
きる。これにより、蓄冷完了後に、目標蒸発器温度を直
ちに空調に必要なTEOA(例えば、12℃)に切り替
えても、蓄冷材44の蓄冷状態を維持することが可能と
なり、圧縮機動力の低減効果を更に向上できる。
【図1】本発明の第1実施形態の全体システム図であ
る。
る。
【図2】第1実施形態における蓄冷器を例示する断面図
である。
である。
【図3】第1実施形態の比較例の蓄冷制御の挙動説明図
である。
である。
【図4】第1実施形態の蓄冷制御の挙動説明図である。
【図5】第1実施形態による空調制御を示すフローチャ
ートである。
ートである。
【図6】第1実施形態における目標蒸発器温度を例示す
る特性図である。
る特性図である。
【図7】第1実施形態における目標蒸発器温度を例示す
る特性図である。
る特性図である。
【図8】第1実施形態による蓄冷モード時の制御を示す
フローチャートである。
フローチャートである。
【図9】第1実施形態の蓄冷制御の特徴の説明図であ
る。
る。
【図10】第2実施形態による蓄冷モード時の制御を示
すフローチャートである。
すフローチャートである。
【図11】第2実施形態の蓄冷制御の挙動説明図であ
る。
る。
【図12】第3実施形態における蓄冷器を例示する断面
図である。
図である。
【図13】第4実施形態における蓄冷器を例示する断面
図である。
図である。
【図14】第5実施形態による蓄冷器と蒸発器との一体
化構造を例示する断面図である。
化構造を例示する断面図である。
【図15】第6実施形態の比較例の蓄冷制御の挙動説明
図である。
図である。
【図16】第6実施形態の比較例の蓄冷制御の挙動説明
図である。
図である。
【図17】第6実施形態の蓄冷制御の挙動説明図であ
る。
る。
【図18】第6実施形態の全体システム図である。
9…蒸発器(冷房用熱交換器)、19…エアミックスド
ア、20…ヒータコア(暖房用熱交換器)、32、33
…温度センサ、40…蓄冷器。
ア、20…ヒータコア(暖房用熱交換器)、32、33
…温度センサ、40…蓄冷器。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) F24F 11/02 102 F24F 11/02 102B 102E (72)発明者 坂 鉱一 愛知県刈谷市昭和町1丁目1番地 株式会 社デンソー内 Fターム(参考) 3L054 BG05 BH01 3L060 AA05 CC04 DD05 EE02 EE41
Claims (12)
- 【請求項1】 車室内へ送風される空気を冷却する冷房
用熱交換器(9)と、 前記冷房用熱交換器(9)の空気流れ下流側に配置さ
れ、前記冷房用熱交換器(9)を通過した冷風により冷
却される蓄冷器(40)と、 前記冷房用熱交換器(9)の温度を目標温度となるよう
に制御する制御手段(S210)とを備え、 前記蓄冷器(40)への蓄冷を行う蓄冷モードの開始時
には、前記目標温度を初期蓄冷目標温度(TEOB1)
に設定して前記蓄冷器(40)を冷却し、 前記蓄冷器(40)の蓄冷完了を判定すると、前記目標
温度を前記初期蓄冷目標温度より高い温度(TEOB
2)に切り替えることを特徴とする車両用空調装置。 - 【請求項2】 前記蓄冷器(40)は相変化する蓄冷材
(44)を有し、 前記初期蓄冷目標温度(TEOB1)を前記蓄冷材(4
4)の凝固温度(T0)より低い温度に設定することを
特徴とする請求項1に記載の車両用空調装置。 - 【請求項3】 前記蓄冷材(44)の凝固温度をT0と
し、前記初期蓄冷目標温度をTEOB1とし、前記蓄冷
器(40)の蓄冷完了後における前記目標温度をTEO
B2としたとき、 T0>TEOB2>TEOB1>0℃の関係に設定する
ことを特徴とする請求項2に記載の車両用空調装置。 - 【請求項4】 前記蓄冷器(40)の蓄冷完了後、所定
時間(τ)経過すると、前記蓄冷完了後における目標温
度(TEOB2)を空調環境条件により決定される目標
温度(TEOA)に切り替えることを特徴とする請求項
3に記載の車両用空調装置。 - 【請求項5】 前記蓄冷器(40)の温度を検出する温
度検出手段(33)を有し、前記蓄冷器(40)の温度
が前記蓄冷材(44)の凝固温度(T0)より低下する
と前記蓄冷器(40)の蓄冷完了を判定することを特徴
とする請求項2ないし4のいずれか1つに記載の車両用
空調装置。 - 【請求項6】 前記冷房用熱交換器(9)と前記蓄冷器
(40)とを一体に形成したことを特徴とする請求項1
ないし5のいずれか1つに記載の車両用空調装置。 - 【請求項7】 前記冷房用熱交換器(9)は、車両エン
ジン(4)により駆動される圧縮機(1)を有する冷凍
サイクル(R)の蒸発器(9)であり、 前記蒸発器(9)の温度を検出する温度検出手段(3
2)を有し、 前記制御手段(S210)は、前記蒸発器(9)の温度
に基づいて前記圧縮機(1)の作動を制御することを特
徴とする請求項1ないし6のいずれか1つに記載の車両
用空調装置。 - 【請求項8】 前記圧縮機(1)は吐出容量が一定にな
っている固定容量型圧縮機であり、前記固定容量型圧縮
機(1)の作動を断続制御することにより前記蒸発器
(9)の温度を制御することを特徴とする請求項7に記
載の車両用空調装置。 - 【請求項9】 前記圧縮機(1)は吐出容量を変化し得
るように構成された可変容量型圧縮機であり、前記可変
容量型圧縮機(1)の吐出容量を変化させることにより
前記蒸発器(9)の温度を制御することを特徴とする請
求項7に記載の車両用空調装置。 - 【請求項10】 前記車両エンジン(4)の動力不要時
には前記車両エンジン(4)を停止する車両に搭載され
ることを特徴とする請求項7ないし9のいずれか1つに
記載の車両用空調装置。 - 【請求項11】 前記冷房用熱交換器(9)は、電動モ
ータにより駆動される電動圧縮機(1)を有する冷凍サ
イクル(R)の蒸発器(9)であり、 前記蒸発器(9)の温度を検出する温度検出手段(3
2)を有し、 前記制御手段(S210)は、前記蒸発器(9)の温度
に基づいて前記電動圧縮機(1)の回転数を制御するこ
とを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1つに記載
の車両用空調装置。 - 【請求項12】 冷凍サイクル(R)に冷媒を循環する
圧縮機(1)と、 前記圧縮機(1)の吸入側に設けられ、車室内へ送風さ
れる空気を冷却する蒸発器(9)と、 前記蒸発器(9)の空気流れ下流側に配置され、前記蒸
発器(9)を通過した冷風により冷却される蓄冷器(4
0)とを備え、 前記圧縮機(1)を外部から吐出能力制御可能な構成と
し、前記圧縮機(1)の吐出能力を変化させることによ
り前記蒸発器(9)の温度を前記蓄冷器(40)に蓄冷
するための目標温度となるように制御することを特徴と
する車両用空調装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2001251893A JP2002154319A (ja) | 2000-09-05 | 2001-08-22 | 車両用空調装置 |
Applications Claiming Priority (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2000-269081 | 2000-09-05 | ||
JP2000269081 | 2000-09-05 | ||
JP2001251893A JP2002154319A (ja) | 2000-09-05 | 2001-08-22 | 車両用空調装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2002154319A true JP2002154319A (ja) | 2002-05-28 |
Family
ID=26599289
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2001251893A Withdrawn JP2002154319A (ja) | 2000-09-05 | 2001-08-22 | 車両用空調装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2002154319A (ja) |
Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2006284063A (ja) * | 2005-03-31 | 2006-10-19 | Espec Corp | 恒温恒湿装置 |
JP2011063058A (ja) * | 2009-09-15 | 2011-03-31 | Denso Corp | 車両用空調装置 |
JP2011156479A (ja) * | 2010-02-01 | 2011-08-18 | Mitsubishi Electric Corp | 除湿装置 |
JP2016124433A (ja) * | 2015-01-05 | 2016-07-11 | 株式会社日本クライメイトシステムズ | 車両の制御装置 |
US10589597B2 (en) | 2015-11-03 | 2020-03-17 | Denso Corporation | Vehicle air conditioner with auxiliary heat exchanger |
-
2001
- 2001-08-22 JP JP2001251893A patent/JP2002154319A/ja not_active Withdrawn
Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2006284063A (ja) * | 2005-03-31 | 2006-10-19 | Espec Corp | 恒温恒湿装置 |
JP2011063058A (ja) * | 2009-09-15 | 2011-03-31 | Denso Corp | 車両用空調装置 |
JP2011156479A (ja) * | 2010-02-01 | 2011-08-18 | Mitsubishi Electric Corp | 除湿装置 |
JP2016124433A (ja) * | 2015-01-05 | 2016-07-11 | 株式会社日本クライメイトシステムズ | 車両の制御装置 |
US10589597B2 (en) | 2015-11-03 | 2020-03-17 | Denso Corporation | Vehicle air conditioner with auxiliary heat exchanger |
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---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20080125 |
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Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A761 Effective date: 20090428 |