JP2002153242A - 凍結魚介類肉又は凍結食肉類の処理方法 - Google Patents

凍結魚介類肉又は凍結食肉類の処理方法

Info

Publication number
JP2002153242A
JP2002153242A JP2000354391A JP2000354391A JP2002153242A JP 2002153242 A JP2002153242 A JP 2002153242A JP 2000354391 A JP2000354391 A JP 2000354391A JP 2000354391 A JP2000354391 A JP 2000354391A JP 2002153242 A JP2002153242 A JP 2002153242A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
meat
frozen
superheated steam
bacteria
food
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2000354391A
Other languages
English (en)
Inventor
Shinya Ashida
慎也 芦田
Satoshi Noguchi
敏 野口
Hiroshi Yamada
弘 山田
Masakazu Hoshi
昌和 星
Takashi Oshima
隆司 大島
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Maruha Corp
Original Assignee
Maruha Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Maruha Corp filed Critical Maruha Corp
Priority to JP2000354391A priority Critical patent/JP2002153242A/ja
Publication of JP2002153242A publication Critical patent/JP2002153242A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Abstract

(57)【要約】 【課題】 魚介類肉又は食肉類へのダメージ・変性を最
小限に制御でき、魚介類肉又は食肉類の本来の風味に影
響を与えることがなく、かつ化学薬品を使用せずに安全
に魚介類肉又は食肉類の菌数を低減できる魚介類肉又は
食肉類の処理方法を提供すること。 【解決手段】 凍結魚介類肉又は凍結食肉類の表面を1
00℃以上の過熱水蒸気により加熱処理する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、魚介類肉又は食肉
類の本来の風味に影響を与えることのない、かつ化学薬
品を使用しない安全な魚介類肉又は食肉類の菌数低減方
法並びに該方法により菌数低減処理された魚介類肉又は
食肉類を原料として製造された食品に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】近年、
大腸菌O−157、ブドウ球菌などの有害微生物による
食中毒が頻発し、食品の微生物的安全性が更に重要な課
題となっている。一方、近年の消費者の嗜好として、ジ
ューシー感を備えた生に近い食感、風味を有する食品
や、低塩分で保存料をなるべく使用しない食品を好む傾
向が強まっている。これらの状況から、消費者に供給さ
れる種々の食品について、それらの微生物的安全性を保
証するための技術的なハードルが従来にも増して高くな
ってきている。また近年、とみに注目されているHAC
CPの概念においても、生に近い食感、風味を有する食
品において有効なCCP工程として活用できる手法が求
められている。
【0003】上記の事情から、食品に存在する細菌など
の微生物を低減するためにさまざまな試みがなされてい
る。例えば、オゾン・酸性電解水などの殺菌作用を持つ
化学物質を食品表面に接触させたり、光、電気などのエ
ネルギーを連続的あるいはパルス的に食品に対して処理
して菌を殺傷しようという方法がある。しかし、これら
の方法は、特に牛肉、豚肉、鶏肉などの家畜肉類や鯖、
鰹、鮭などの魚介類の肉類(以下これらを総称して肉類
と呼ぶこととする)に対しては、いずれも有効な対策と
はならない。なぜならば、これらの肉類は繊維表面が比
較的軟弱な上に表面の構造が複雑であるため、他の食品
と比べて殺菌効果がなかなか上がらない特性をもつ。特
に、最近は人体への安全性の問題から化学物質の使用は
制限される傾向が強まっているために、殺菌力をもつ化
学物質の使用はあまり好ましくない。一方、光や電気エ
ネルギーを使用する方法では、菌数低減の効力を高めよ
うとすれば不可避的に食品組織へのダメージ並びに風味
の低下が生じてきて、これまで効果的に菌数を低減する
ことができなかった。
【0004】その点において、加熱による殺菌は古くか
ら用いられている手法であるが、安全性・コストの面で
は特に優れた方法といえる。しかし、加熱によって食品
組織表面のダメージは不可避的に生じるため、上記肉類
に対しては限定された形でしか用いることができなかっ
た。これまでに、肉類に、常圧で水を沸騰させて生じる
100℃程度以下の飽和水蒸気及び湿り蒸気処理を行っ
て表面の菌数を低減させるなどの試みが行われていた
(特許第2539739号公報などを参照)。しかしな
がら、被加熱物表面に100℃程度の飽和水蒸気や湿り
空気が接すると、その表面上に直ちに水滴が凝縮し伝熱
の妨げとなるため、被加熱物の満足すべき菌数低減効果
をもたらすためには、かなり長時間の処理が必要であっ
た。そのため、表面だけでなく内部にまで蛋白質の変性
が及び、好ましくない風味の低下をもたらされるだけで
なく、凍結された状態の肉類に対しては、内部の温度上
昇による解凍が起こるため好ましくなかった。このよう
な現状から、肉類に対するより効果的で食品組織へのダ
メージの少ない菌数低減方法が求められていた。
【0005】過熱水蒸気とは、常圧下においては、水が
沸騰して生じる100℃の水蒸気を更に加熱することに
よって100℃以上に熱せられたものである。常圧に近
い低圧状態で加熱された過熱水蒸気は同温度の乾燥空気
に比べて熱容量が大きく伝熱効果が高いことは、従来か
らの公知の事実であり、各メーカーから、商業用規模の
過熱水蒸気による加工調理用加熱装置も製造・販売され
ている。また、常圧過熱水蒸気の伝熱効果の高さを利用
して、食品の殺菌に利用する試みがなされているが、高
温高圧を利用したレトルト殺菌とは異なり、含有水分の
高い食品では食品の中心温度が100℃以上に到達しな
いことから、完全殺菌が不可能である欠点がある。その
ため、食品の殺菌の用途としては、主に粉流体並びに小
サイズの食品の殺菌及び乾燥に利用されてきている程度
にとどまっているのが現状である。
【0006】従って、本発明の目的は、魚介類肉又は食
肉類へのダメージ・変性を最小限に制御でき、魚介類肉
又は食肉類の本来の風味に影響を与えることがなく、か
つ化学薬品を使用せずに安全に魚介類肉又は食肉類の菌
数を低減できる魚介類肉又は食肉類の処理方法を提供す
ることにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、凍結魚介類肉
又は凍結食肉類の表面を100℃以上の過熱水蒸気によ
り加熱処理して表面の菌数を低減することを特徴とする
凍結魚介類肉又は凍結食肉類の処理方法を提供すること
により、上記目的を達成したものである。
【0008】
【発明の実施の形態】以下、本発明の凍結魚介類肉又は
凍結食肉類の処理方法について詳述する。本発明では、
凍結状態の肉類(凍結魚介類肉又は凍結食肉類)をその
対象とする。一般的に食材となる動物の生存中には、可
食部となる筋肉内に菌や微生物は殆ど存在していないた
め、凍結状態で保管されている肉類に存在する菌は、解
体処理作業・凍結作業中などの工程において2次的に肉
の表面に付着したものが殆どである。従って、凍結状態
の肉類では、付着した菌は表面に局在したまま内部には
移行しないため、過熱水蒸気によって肉の表面を短時間
加熱することによって、効果的に菌数が低減しうること
が期待できる。また、処理する対象物が凍結状態である
場合の更なる利点として、過熱水蒸気処理により表面の
菌数を低減させる工程において、短時間加熱するだけで
内部の温度上昇は殆どないまま表面のみが効果的に加熱
されることがある。そのため、過熱水蒸気処理を導入す
ることによって、従来からの製造工程に対して、好まし
いからぬ影響を与えることは殆どない。
【0009】本発明で使用される過熱水蒸気は、常圧に
近い低圧下において、液体との平衡状態にある温度帯の
水蒸気を更に加熱することによって、100℃以上に加
熱された蒸気である。過熱水蒸気は、常圧下における1
00℃の飽和水蒸気をそのままさらに加熱することによ
って得られ、最も単純な機械構造の装置で発生できる。
一般には水蒸気の飽和度が100%の飽和過熱水蒸気を
用いるのが好ましいが、水蒸気の飽和度は、殺菌の対象
となる被加熱物の性質並びに製造する製品の特性に合わ
せて調整することができる。例えば、被加熱物からの水
分移動を速やかに行うことが望ましい場合には、過熱水
蒸気と空気を混合した不飽和過熱水蒸気を使用すること
ができる。また、被加熱物から水分を過剰に奪いたくな
い場合は、飽和過熱水蒸気に熱水もしくは飽和水蒸気を
混合した過飽和過熱水蒸気を用いることもできる。
【0010】殺菌対象となる被加熱物の表面に暴露する
過熱水蒸気の雰囲気温度はなるべく高温であることが菌
数低減効果の上では有利であるが、温度が高くなってく
ると機械装置にかかる負担や製造コストが増大する。一
般に、低温空気中では水蒸気の混合割合が増加するほど
水の蒸発速度は減少するが、170℃程度以上の温度帯
では、逆に空気中の水蒸気の混合割合が増加するほど水
の蒸発速度が上昇することが知られている(食品と開
発、vol. 26 No.8 7頁を参照)。従って、170℃以
上の温度帯の過熱水蒸気を食品表面に暴露することによ
って、凍結水が速やかに蒸発し、表面に存在する菌体の
温度上昇が速やかに起こることとなる。よって、好まし
い過熱水蒸気の雰囲気温度は170〜350℃である。
更に好ましくは200〜300℃である。上記の温度帯
での過熱水蒸気の暴露によって、被加熱物表面への蒸気
の結露が当初起こるが、それに引き続き表面に存在する
水分の蒸発・熱交換が発生し、効果的に被加熱物表面に
局在する微生物を死滅に至らしめる。
【0011】過熱水蒸気の処理時間は、当然ながら長時
間になるほど菌数低減効果が高くなるが、それとともに
肉類表面の蛋白質の変性・ダメージも進んでいく。従っ
て、対象となる被加熱物の菌数低減の目標値と、被加熱
物表面に生じるダメージとの兼ね合いによって適正な処
理時間も変化する。更に、殺菌の対象となる肉類の形態
(サイズ、形状、グレーズ層の有無など)並びに製造す
る食品の最終形態の特性を考え合わせて処理時間を調整
することが望ましい。処理時間としては、好ましくは肉
類が表面から最大3mmの深さまで熱変性した状態を作
り出すことが望ましい。より好ましくは肉類が表面から
0.3〜1mm程度まで変性している状態が望ましい。
処理時間が短すぎて、表面の蛋白質が変性していない状
態では、表面に付着している微生物の死滅に達していな
いため、菌数低減効果が上がらない。逆に、表面からの
熱変性部位の深さが3mm以上に達するような過熱水蒸
気処理を行っても、それほどの菌数の低減効果は変化し
ない上に表面の蛋白質の変性・ダメージが増していくこ
とになる。なぜならば、前述したように凍結肉類に存在
する菌は、処理工程において2次的に肉類の表面に付着
したものが殆どであるため、肉類の表面からの深さが3
mm以上の部位には、菌は殆ど存在しないからである。
【0012】一般に、過熱水蒸気雰囲気中で5秒以下の
処理を行った場合、被加熱物表面の温度が十分に上昇せ
ず、菌数低減効果がほとんど現れない。逆に120秒以
上の処理では、熱変性部位の深さが被加熱物表面から3
mm以内にとどまらず更に内部に変性が進むため好まし
くない。以上のことから、5〜120秒の間がおおむね
適正な処理時間の目安となる。しかし、被加熱物の大き
さ、形状によって適正な時間は変化する上に、近年、凍
結中の品質保持の目的で、肉類表面が氷層(グレーズ)
に覆われている凍結原料が多く見られるため、その場合
の処理時間は表面のグレーズを除去するための加熱時間
を加味しなければならない。
【0013】本発明は、流水による洗浄などの従来から
の公知の洗浄法と組み合わせることが可能である。すな
わち、凍結肉類の表面を洗浄し、表面に付着した汚れや
肉の切れ端などを除去した後に過熱水蒸気処理を行うこ
とは、菌数低減の意味ではより望ましい。あるいはグレ
ーズ層に覆われた原料を対象とする場合は、過熱水蒸気
処理工程を当初に組み込んで、凍結肉類の表面を解凍し
て表面を露出させることが、その後の洗浄工程がより便
宜的になる。すなわち、組み合わせる洗浄法は、対象と
なる肉類の形態・特性に合わせ、過熱水蒸気処理の前段
あるいは後段において行うなど、適宜工程を調節するこ
とが望ましい。
【0014】本発明の処理方法により処理された凍結魚
介類肉又は凍結食肉類は、従来の凍結魚介類肉又は凍結
食肉類と同様に、生鮮食品又は加工食品の原料として用
いられる。本発明の処理方法により処理された凍結魚介
類肉又は凍結食肉類を用いることにより、凍結魚介類肉
又は凍結食肉類を原料として製造される生鮮食品又は加
工食品の初発菌数を低減することができる。特にチルド
温度帯で保蔵される生食用の各種食品においては、製品
の性質上本格的な加熱工程を組み込めないことから、魚
介類肉及び食肉類などの原料の初発生菌数を低減し、大
腸菌・サルモネラ菌などの有害微生物を陰性化させるこ
とは安全な食品を製造する上で極めて重要であるが、本
発明の方法を適正に応用することによって、有効な微生
物制御方法を提供できる。さらに、近年、とみに注目さ
れているHACCPの概念の中で、過熱水蒸気による加
熱工程を有効なCCP工程として活用することも可能で
ある。
【0015】本発明の処理方法により処理された凍結魚
介類肉又は凍結食肉類は、その後の商品形態に応じて、
スライス、混和、添加物との混練、粉砕など任意の単位
加工操作と組み合わせることが可能である。例えば、刺
し身あるいはスライス肉のような、表面が加熱変性して
いることが外観上好ましくない食品では、過熱水蒸気処
理で蛋白変性を起こした熱変性部位を切除することが好
ましい。一方、脂肪分の少ない赤身のマグロに油脂を添
加混練して製造するネギトロ様食品(マグロたたき、ト
ロマグロ、すきみマグロなどの通称がある)のように、
過熱水蒸気処理した肉類をその後の工程でミンチ状に混
和する製品は、過熱水蒸気処理で蛋白変性を起こした熱
変性部位を肉類全体と混ぜ込むことによって、該熱変性
部位をマスクすることができる。よって、ネギトロ様食
品のような肉類をミンチ状に混和する製品は、過熱水蒸
気処理がその後の工程並びに最終製品の外観及び風味に
殆ど影響を及ぼさないため、本発明にとっては特に好ま
しい製品形態である。
【0016】
【実施例】次に、実験例及び実施例を示して本発明を詳
細に説明する。
【0017】〔実験例1〕本実験は、畜肉類の過熱水蒸
気処理による熱変性部位の表面からの深さと、菌数の局
在率との関係を調べるために行った。 1)試料 試料として、凍結牛もも肉ブロック(米国産、重量:約
1〜2kg)を5ロット使用した。 2)試験方法 前記凍結牛もも肉ブロックを、−8℃で2日間保管した
後、表面に覆われたフィルムをはずして、脂肪層に覆わ
れていない平滑な部分を2個所、清浄なコルクボーラー
(45mm内径)で打ち抜いた。打ち抜いた円柱状の肉
は、調理用回転刃式スライサー(ハクラ精機株式会社
製)によって、表面から5mmの深さまで、1mm厚の
スライス肉を5枚作成した。スライサーの刃やガイドな
どは一回のカットごとに、洗浄・70%エタノールによ
る殺菌を行い、コンタミネーションを防止した。スライ
スした1mm厚肉を滅菌済ピンセットで採取して、スト
マフィルターに収め、直ちに常法に基づいて、滅菌生理
食塩水により、各試料を10倍段階希釈し、標準寒天培
地を用い、35℃、48時間培養し、各試料1gあたり
の細菌数を測定した。各群10個の測定された細菌数の
最大値、最小値、平均値を求めた。存在率は、平均値を
各群の平均値の総和で除したものである。 3)試験結果 この試験の結果は、下記表1に示す通りである。下記表
1から明らかな通り、肉の表面から深さ5mm以内の範
囲では、表面から深さ3mmまでの部位に約95%以上
の菌が局在していることが判明した。厚さ5mmを超え
た深さの部分に存在する菌数は更に少なくなるため、こ
の数字を肉全体の中での存在率と見做しても問題ないと
考えられる。この結果から、牛肉では表面から深さ3m
mまでが加熱変性されるように過熱水蒸気処理を行うこ
とによって、十分な菌数低減効果がもたらされると考え
られる。なお、牛肉以外の畜肉についても同種の試験を
行ったが、ほぼ同様の結果が得られた。
【0018】
【表1】
【0019】〔実験例2〕本実験は、魚介類肉の過熱水
蒸気処理による熱変性部位の表面からの深さと、菌数の
局在率との関係を調べるために行った。 1)試料 試料として、凍結キハダマグロチャンク肉(重量:約2
kg)を5ロット使用した。 2)試験方法 前記凍結キハダマグロチャンク肉を牛肉の代わりに用い
たことをのぞき、実施例1と同一の方法によって試験を
行った。 3)試験結果 この試験の結果は、下記表2に示す通りである。下記表
2から明らかな通り、肉の表面から深さ5mm以内の範
囲では、表面から深さ3mmまでの部位に約97%以上
の菌が局在していることが判明した。厚さ5mmを超え
た深さの部分に存在する菌数は更に少なくなるため、こ
の数字を肉全体の中での存在率と見做しても問題ないと
考えられる。この結果から、マグロ肉では表面から深さ
3mmまでが加熱変性されるように過熱水蒸気処理を行
うことによって、十分な菌数低減効果がもたらされると
考えられる。なお、マグロ肉以外の魚介類肉についても
同種の試験を行ったが、ほぼ同様の結果が得られた。
【0020】
【表2】
【0021】〔実施例1〕カナダ産牛そともも肉凍結ブ
ロック約1kgの試料を−30℃の冷凍庫から取り出し
て、直ちに250℃の飽和過熱水蒸気雰囲気中に所定時
間暴露した。その後、肉塊を清浄な塩化ビニリデン製袋
に収めて4℃の冷蔵庫で1昼夜自然解凍した。解凍後清
浄なナイフで細片化して、表面の変性の深さについて調
べた後、殺菌処理済のフードカッターを用いて肉をミン
チ状にして混合した。ミンチ肉を常法により滅菌食塩水
で10倍段階希釈して、標準寒天培地(栄研化学社製)
を用いて35℃で48時間培養し、各試料1gあたりの
一般生菌数を測定した。また、ミンチ肉の外観・色調に
ついて目視で評価した。本試験は各群とも3回繰り返し
行い、菌数測定結果は3回の平均値を表わした。その結
果を下記表3に示す。
【0022】〔比較例1〕カナダ産牛そともも肉凍結ブ
ロック約1kgの試料を−30℃の冷凍庫から取り出し
て、直ちにボイラーで発生した飽和水蒸気を導いた湿り
空気雰囲気(測定値98℃)中に所定時間暴露した。そ
の後、実施例1と同様に、表面の変性の深さ、ミンチ肉
の生菌数及びミンチ肉の外観・色調について調査した。
その結果を下記表3に示す。
【0023】
【表3】
【0024】上記表3の結果から明らかなように、25
0℃の過熱水蒸気で処理された牛肉は、未処理のものと
比較して菌数が低減された。しかも98℃の湿り空気で
処理された牛肉に比べて、同じ時間処理したもので肉表
面からの変性の深さはほぼ同じでも、菌数低減効果は明
らかに大きかった。中でも、250℃の過熱水蒸気で3
0秒間処理されたものは、未処理のものと比較して菌数
が100分の1近くに低減された上に、ミンチ肉の色調
も殆ど未処理のものと比較して相違がみられなかった。
【0025】〔実施例2〕市場で購入した約3kgの凍
結メバチマグロチャンク肉3個体を、それぞれバンドソ
ーで3分割して、各1kg×3ブロックのマグロ肉を以
下の試験に使用した。一つは流水中で30秒間程度表面
を手で擦り、表面に付着した汚れやバンドソーの切り屑
を洗浄した。これを200℃の過熱水蒸気雰囲気中に3
0秒間暴露してから、滅菌済みの塩化ビニリデン製フィ
ルム中に入れて4℃の冷蔵庫内で半解凍状態にした。過
熱水蒸気雰囲気中に30秒間暴露した後の変性部位の深
さは表面から0.5mm程度であった。半解凍状態のマ
グロブロック肉を、植物油脂270gとともにサイレン
トカッターに投入した。マグロブロック肉は回転する切
削刃によって砕片化され、ネギトロ様食品が得られた。
なお、対照として、水洗及び過熱水蒸気処理を行わなか
った以外は全く同様の処理を行って作成した未処理のネ
ギトロ様食品、並びに水洗のみを行い過熱水蒸気処理を
行わなかった以外は全く同様の処理を行って作成した水
洗のみのネギトロ様食品をそれぞれ得た。作成直後のネ
ギトロ様食品の風味及び外観は、過熱水蒸気処理を行っ
たものと対照品では全く差は認められなかった。上記の
ようにして作成したネギトロ様食品を各100gに小分
けして清浄なポリエチレン製のフィルムに封入し、10
℃の冷蔵庫内に一定期間(0日、1日、2日、3日、4
日、5日)保管後に取り出して、常法に基づいて滅菌食
塩水で10倍段階希釈して試料溶液を作成した。それを
標準寒天培地(栄研化学社製)で培養し、35℃48時
間後に一般生菌数を測定した。また、デオキシコレート
寒天培地(BBL社製)で培養し、35℃24時間後に
大腸菌群数を測定した。各試験区の生菌数及び大腸菌群
数の経日変化を下記表4に示す。
【0026】
【表4】
【0027】上記表4の結果から明らかなように、過熱
水蒸気処理を行った凍結マグロブロック肉を使って、常
法どおりの細切、粉砕、油脂との混練工程を経て製造さ
れたネギトロ様食品は、外観・風味は従来のものと全く
変わらない状態にもかかわらず、明らかに未処理のもの
及び水洗のみを行ったものと比べて初発菌数が低減さ
れ、その差はその後のチルド保存中にも続いていくこ
と、すなわち製品の日持ち時間が延長される。
【0028】
【発明の効果】本発明によれば、凍結肉類の表面に付着
している一般生菌や大腸菌などの細菌群を、一切の化学
薬品を使用せずに極めて安全な方法で効率的に死滅さ
せ、菌数を低減させることが可能となる。また、本発明
によれば、凍結肉類の表面の加熱によるダメージ・変性
を最小限に制御でき、風味が良く微生物的に安全な消費
者の嗜好・ニーズに合う食品を提供できる。特に、過熱
水蒸気雰囲気の中で対象物を一定時間処理することによ
って、表面の肉蛋白質の変性をその後の処理工程に合わ
せることが容易に行うことができる。この技術は、安全
性並びに生に近い食感と風味を求めている現在の食品産
業界のニーズに適応し、応用面での価値が高いものであ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 山田 弘 東京都千代田区大手町一丁目1番2号 マ ルハ株式会社内 (72)発明者 星 昌和 栃木県宇都宮市清原工業団地8−1 マル ハ株式会社宇都宮工場内 (72)発明者 大島 隆司 栃木県宇都宮市清原工業団地8−1 マル ハ株式会社宇都宮工場内 Fターム(参考) 4B042 AC07 AD39 AE03 AG30 AH01 AP03 AP18

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 凍結魚介類肉又は凍結食肉類の表面を1
    00℃以上の過熱水蒸気により加熱処理して表面の菌数
    を低減することを特徴とする凍結魚介類肉又は凍結食肉
    類の処理方法。
  2. 【請求項2】 前記凍結魚介類肉又は前記凍結食肉類
    が、過熱水蒸気処理の前段あるいは後段において洗浄さ
    れ付着物の除去が行われる請求項1記載の処理方法。
  3. 【請求項3】 前記凍結魚介類肉又は前記凍結食肉類
    が、過熱水蒸気によって表面からの深さ3mm以内の熱
    変性部位が生じるまでの時間処理される請求項1又は2
    記載の処理方法。
  4. 【請求項4】 前記凍結魚介類肉が、凍結マグロ肉であ
    る請求項1〜3の何れかに記載の処理方法。
  5. 【請求項5】 請求項1〜4の何れかに記載の処理方法
    により処理された凍結魚介類肉又は凍結食肉類を原料と
    して製造されたことを特徴とする食品。
  6. 【請求項6】 上記食品が、マグロ加工品である請求項
    5記載の食品。
  7. 【請求項7】 上記マグロ加工品が、ネギトロ様食品で
    ある請求項6記載の食品。
JP2000354391A 2000-11-21 2000-11-21 凍結魚介類肉又は凍結食肉類の処理方法 Pending JP2002153242A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000354391A JP2002153242A (ja) 2000-11-21 2000-11-21 凍結魚介類肉又は凍結食肉類の処理方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000354391A JP2002153242A (ja) 2000-11-21 2000-11-21 凍結魚介類肉又は凍結食肉類の処理方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2002153242A true JP2002153242A (ja) 2002-05-28

Family

ID=18826979

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2000354391A Pending JP2002153242A (ja) 2000-11-21 2000-11-21 凍結魚介類肉又は凍結食肉類の処理方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2002153242A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004305154A (ja) * 2003-04-09 2004-11-04 Sugiyo:Kk 魚介類の調味付け方法
WO2021232987A1 (zh) * 2020-05-21 2021-11-25 江苏省农业科学院 一种汤煲类食品专用禽肉原料的生产方法

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004305154A (ja) * 2003-04-09 2004-11-04 Sugiyo:Kk 魚介類の調味付け方法
WO2021232987A1 (zh) * 2020-05-21 2021-11-25 江苏省农业科学院 一种汤煲类食品专用禽肉原料的生产方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Aponte et al. Impact of gaseous ozone coupled to passive refrigeration system to maximize shelf-life and quality of four different fresh fish products
KR19980701767A (ko) 저 지방 육가공품의 초고온 처리
RU2681289C2 (ru) Функциональный белок, полученный из мышечной ткани животных или мяса механической обвалки, и способ его изготовления
JPH09504944A (ja) 食品熱処理方法
Molina et al. Effect of ultraviolet light treatment on microbial contamination, some textural and organoleptic parameters of cultured sea bass fillets (Dicentrarchus labrax)
JP5965088B2 (ja) 食品衛生方法及び食品製品
Bjørnevik et al. Effect of salting and cold-smoking procedures on Atlantic salmon originating from pre-or post rigor filleted raw material. Based on the measurement of physiochemical characteristics
Sebranek Poultry and poultry products
Vinnikova et al. THE PROBLEMS OF MEAT PRODUCTS THERMAL TREATMENT.
NL2020477B1 (en) Method for prolonging shelf life of saltwater-stewed goose by means of combining pasteurization with nanometer zinc oxide bacteria inhibition and radio frequency sterilization
EP0278592A2 (en) Method for the treatment of fish and meat
AU2017361237A1 (en) Method for preserving raw meat
Srinivasan et al. Effects of freezing and thawing methods and storage time on physicochemical properties of freshwater prawns (Macrobrachium rosenbergii)
JP2002153242A (ja) 凍結魚介類肉又は凍結食肉類の処理方法
KR100767020B1 (ko) 수산물의 위생 가공방법
GB1562590A (en) Meat processing method and apparatus
WO2007047525A2 (en) Ultrasonic treatment for preparing meat products
US1964010A (en) Process of manufacturing and marketing sausages
JP6558611B1 (ja) スモーク加工食品の製造方法
KR101678895B1 (ko) 볶음 당근 제조 방법
Vasilev et al. Perspectives in meat processing
Al-Zaidi et al. The effect of adding some essential oils to the physicochemical properties of frozen beef sausage with different storage periods
RU2810733C1 (ru) Способ производства кулинарного продукта в виде рыбы с овощами
JP2539739B2 (ja) 加脂混練まぐろの製造方法における冷凍まぐろ原料の殺菌方法
Naik et al. Studies on the effect of final quality defects in the smoked products prepared using iced mackerel and pink perch.

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20070111

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20070615

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20080520

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20081104